治りにくい鼻づまりこそセルフケアが重要セルフケアその ❶鼻うがい/基本中の基本のセルフケア・あらゆる鼻の症状にセルフケアその ❷オイル点鼻/特に鼻の中が乾燥しやすい人にセルフケアその ❸ほお骨押し/蝶形骨のズレを調整し、鼻のムズムズに著効セルフケアその ❹鼻カイロ/鼻をポカポカ温めて、朝起き抜けの鼻づまり予防にセルフケアその ❺ハミング/ハミングするだけ・慢性の副鼻腔炎にセルフケアその ❻足湯/自律神経の乱れの調整・加齢性鼻炎に鼻弱体質改善のための食事療法のポイント肥満になると、副鼻腔炎になりやすいよく噛んで食べることも大事なセルフケア免疫力アップに役立つ LPS食材とは? LPS食材の王様ヒラタケを活用する「ヒラタケのゴマ油漬け」腸内環境を整えて、免疫力を底上げする腸内環境改善のための推奨レシピ「乳酸キャベツ」鼻づまりの予防・改善のために何ができるか―アレルギー性鼻炎&花粉症ケア鼻づまりの予防・改善のために何ができるか―副鼻腔炎ケア
治りにくい鼻づまりこそセルフケアが重要 私は、特に次のようなタイプのかたたちには、セルフケアを積極的に行うように推奨しています。セルフケアが勧められる4つのタイプ ①経過が長い人 ②「治っては、また悪くなり」をくり返している人 ③薬が効きにくい人 ④これまで、何軒もの病院に行ってもよくなっていない人 これらのケースでも、鼻づまりなどの鼻の症状を引き起こしている原因疾患を突き止め、それに対する適切な治療を行う必要があるのは、いうまでもありません。しかし、それに劣らず大切なのが、患者さんご自身が行うセルフケア(食事療法を含む)です。 鼻の疾患では、原因が正しく突き止められた場合でも、なかなか治らないケースがしばしばあります。若いころから、ずっと同じ症状に悩まされてきたかたや、よくなったり悪くなったりのサイクルをくり返してきたかた。長い病歴のなかで、病院をいくつも替えたかたもいるでしょう。 そうした難治性疾患や、グズグズぶり返す鼻の症状を改善するためにこそ、セルフケアをしっかり行うことが重要です。 私は、来院する患者さんにもそのようなお話をして、いくつかのセルフケアを積極的に紹介し勧めています。熱心にセルフケアを実践したかたのなかには、非常によい結果が出ているかたが多いのです。 また、軽い鼻づまりの症状や、軽度の鼻の疾患に対しては、これから紹介する各種のセルフケアが、大きな効果を発揮するはずです。セルフケアだけでよくなるケースも、多数あるでしょう。 セルフケアは、大きく3つに分けて紹介します。ここでは、食事療法も、広い意味でのセルフケアとしています。 ①患部に働きかけるセルフケア ②体質を変えていく食事の工夫 ③日常生活での注意 続いて、それぞれについてお話ししてみましょう。 まずは、患部に働きかけるセルフケア。鼻うがい・オイル点鼻が基本になりますが、ほかのセルフケアも、患者さんご自身の状況に合わせて、うまく使い分けてください。セルフケアその ❶鼻うがい基本中の基本のセルフケア・あらゆる鼻の症状に ▼効果をもたらす疾患・症状 ➡慢性・急性の副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)、好酸球性副鼻腔炎、慢性上咽頭炎など、大多数の鼻の疾患。 鼻うがいは、オールマイティのセルフケアです。 鼻づまり、鼻水や、頭痛をはじめとする顔部のさまざまな痛み、嗅覚障害、後鼻漏、のどの違和感、カゼ対策、長引くセキなど、多くの症状に悩むかたに、お勧めしています。毎日行うことで、カゼや花粉症などの予防にも役立ちます。 ▼どんな効果をもたらすか 副鼻腔炎などによって、鼻腔内に炎症が起こっている場合、その症状を改善させるためには、鼻腔内にたまった細菌・ウイルス・花粉・膿などを除去する必要があります。鼻をかんだり、ただ、うがいしたりするだけでは、これらの異物や膿の除去は、じゅうぶんにできないのです。 鼻うがいは、うがいなどでは直接働きかけることができない鼻腔内を、生理食塩水によって洗浄します。つまり、鼻腔内に直接働きかけることができる点が、鼻うがいの大きな利点です。 鼻腔から上咽頭にかけて付着した花粉やほこりを洗い流すことで、カゼやアレルギーの原因物質を取り除くことができます。鼻をかんでも出にくい、粘り気のある鼻水の排出にも役立つでしょう。 ただ、鼻うがいをしても、鼻腔とは細い通路でつながっているのみの副鼻腔の中までは洗うことはできません。 しかし、鼻腔にたまりがちな粘り気のある鼻汁を洗い流し、副鼻腔への通路やその周辺の環境をよくすることは、副鼻腔への換気をよくして、副鼻腔の症状の予防・改善に有効と考えられます。 ちなみに、生理食塩水とは、血液や組織液と浸透圧が等しい約 0・ 9%の食塩水です。これを作って鼻を洗うので、ツンと水が染みることがありません。 手軽にできて、効果もとても高いので、多くの鼻の症状に勧められる基本中の基本のセルフケアです。やり方は、「鼻うがいのやり方」を参照してください。
▼補足として なお、鼻うがいは上を向いて行うのはやめましょう。また、無理に吸い込んで奥まで入れるのも避けましょう。耳に水が入り、中耳炎などを引き起こすリスクがあります。 また、副鼻腔炎などの症状が重症のかたの場合、重曹を使って鼻うがいをしてみましょう。重曹が、鼻水や膿の粘度を下げ、排出を促す力を高めてくれます。 スーパーなどで市販されている、食用の重曹が使用できます。 分量は、ぬるま湯 500 mlに、重曹 2・ 5 g、塩 5 gです。それで、「鼻うがいのやり方」の手順をくり返してください。重曹は、手順 ②で塩といっしょに溶かします。
▼体験例 Kさん( 50代・女性)は、慢性副鼻腔炎に悩まされ、来院。多量の鼻水や、鼻づまり、のどの奥の違和感などの症状がありました。鼻うがいを勧めたところ、快適だとご本人が気に入って、毎日実践したそうです。 鼻うがいを続けることによって、 Kさんの悩みは着実に改善されていきました。鼻うがいのセルフケアを行うだけで、副鼻腔炎のすべての症状を改善させることができたのです(第 5章体験談参照)。セルフケアその ❷オイル点鼻特に鼻の中が乾燥しやすい人に ▼効果をもたらす疾患・症状 ➡慢性・急性の副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)、好酸球性副鼻腔炎、慢性上咽頭炎など、多くの鼻の症状。 鼻うがいと同様に、オールマイティといえるセルフケアです。加齢によって、鼻腔内が乾きがちになっているかた、特に鼻の乾燥が起こる加齢性鼻炎にお勧めです。 鼻づまり、鼻水、頭痛、後鼻漏、のどの違和感、カゼ対策、長引くセキ、口腔内やのどの乾燥などにも勧められます。 ▼どんな効果をもたらすか 鼻の中が乾燥すると、そのバリア機能が低下し、細菌やウイルスが繁殖しやすくなります。その点、オイル点鼻は、乾燥を改善し、バリア機能を高めます。 手順としては、鼻うがいで鼻腔内を洗浄した後、オイル点鼻を行うことが理想的です。鼻がよく通るようになり、鼻腔内の保湿に役立ちます。 ▼補足として 鼻の穴に油を垂らし、鼻の通りをよくする方法は、インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、「ナスヤ」と呼ばれ、古来、健康維持のために行われてきました。 私自身も、オイル点鼻を実践するようになって以来、カゼをひかなくなりました。 ここでは、オイルをつけた綿棒を鼻の穴に入れ、オイルを鼻の粘膜に塗りつける簡便な方法を紹介します。
▼体験例 Bさん( 80代・男性)は、副鼻腔炎があり、鼻づまり、鼻の乾燥などに悩んで来院。他院でステロイド点鼻の治療を受けていましたが、改善していませんでした。 高齢で、すでに多数の薬を飲んでいたため、基本的には薬を使わず、通院での処置とオイル点鼻だけで対応しました。積極的にオイル点鼻を続けたところ、鼻のすべての不快症状が投薬なしで改善しました(第 5章体験談参照)。セルフケアその ❸ほお骨押し蝶形骨のズレを調整し、鼻のムズムズに著効 ▼効果をもたらす疾患・症状 ➡主に、慢性・急性の副鼻腔炎など。 鼻づまり、鼻水、後鼻漏などに有効です。特に、鼻づまりからくる鼻がムズムズする症状にお勧めします。 ▼どんな効果をもたらすか 鼻づまりの特効ツボである「鼻通」と「迎香」という2つのツボを押すことで、鼻づまりの解消効果が期待できます。 人間の顔は、頭部 8個、顔 14個、耳 6個の計 28個の骨の組み合わせで構成されています。しかも、構造が複雑であるだけに、ゆがみが生じやすいのです。ことに、脳と鼻の境い目にある「蝶形骨」がズレると、さまざまな弊害が起こってきます。蝶形骨のズレによる弊害 ①鼻腔と副鼻腔をつなぐ自然口が狭くなる ②鼻腔や副鼻腔の血流が滞る。 ③鼻腔や副鼻腔のリンパ液の循環が低下。鼻の新陳代謝も低下。 これらがきっかけとなって、鼻づまりが引き起こされたり、副鼻腔炎へとつながったりするのです。その「蝶形骨のズレ」を矯正するのに役立つのが、このほお骨押しです。ほお骨押しは、鼻づまりの特効ツボへの刺激と同時に行えば、両者の相乗効果でより効果的です。 やり方は、「ほお骨押しのやり方」をご参照ください。 ▼補足として ほお骨押しは、特に夜寝る前に、楽な姿勢で行うとよいでしょう。鼻づまりのまま寝ると、就寝中に口呼吸になってしまいます。ほお骨押しで、鼻づまりを少しでも解消して床に就けば、入眠しやくなり、安眠も得られやすいでしょう。
▼体験例 Hさん( 50代・男性)は、以前から、副鼻腔炎に悩んでいました。膿のような鼻水が出ていたということですから、副鼻腔炎も重症化しつつあったと考えられます。 Hさんがほお骨押しを実践したところ、いきなり大量の鼻水が排泄されました。それをきっかけに状態が非常によくなり、すっかり回復できたといいます。セルフケアその ❹鼻カイロ鼻をポカポカ温めて、朝起き抜けの鼻づまり予防に ▼効果をもたらす疾患・症状 ➡慢性・急性の副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)など。 朝起き抜けの鼻づまりがひどいかたに。この症状が出る加齢性鼻炎にも勧められます。 ▼どんな効果をもたらすか 鼻カイロは、鼻を温めることで、鼻腔内の血流を促します。朝起き抜けの鼻づまりは、夜間の血行不全によって生じています。鼻腔内の血流が促進されることで、鼻づまりが楽になります。 寝る前や入浴中に行えば、翌朝の鼻づまり予防効果だけではなく、快眠効果も期待できます。鼻がのどに垂れる後鼻漏のため、夜間のセキで眠れないというかたにもよいでしょう。やり方は、「鼻カイロのやり方」をご参照ください。 ▼補足として 入浴中の鼻タオルもお勧めです。 湯ぶねにつかり、お湯でぬらしたハンドタオルを鼻の上にのせ、 5分ほど温めます。温めながら、湯ぶねから立ち上る湯気を鼻で吸い込みます。入浴後、必ず鼻をかんでください。
▼体験例 鼻タオルと同じような、保温、保湿効果のある市販品を用いて、被験者 30人のかたに鼻を温めてもらったところ、鼻づまりがよくなるなどの効果があったことが確かめられています。セルフケアその ❺ハミングハミングするだけ・慢性の副鼻腔炎に ▼効果をもたらす疾患・症状 ➡慢性・急性の副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など。 カゼ予防に。朝、口の中が乾いていて、寝ている間に口呼吸をしていた人にもお勧めです。 ▼どんな効果をもたらすか スウェーデンのカロリンスカ病院で、健常者 10人を対象に行った実験で、ハミングをすると、通常の鼻呼吸をしているときと比べて、鼻腔内の一酸化窒素( NO)濃度が 15倍に上昇したと報告されています。 NOには、血管を拡張する作用があることが知られています。加えて、 NOは鼻腔と、副鼻腔粘膜の繊毛運動を促進する効果があることもわかってきています。これらの作用によって、ハミングをすると、鼻腔内への細菌やウイルスの侵入を防ぐ効果が期待できるのではないかと考えられるのです。 副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎になると、寝ている間に口呼吸をしていることが多く、そのために、朝、口の中が乾いていたり、頭が痛いなどの不定愁訴を訴えたりする人がいます。 そうした人は、日ごろからハミングを心がけて、鼻の通りをよくしておくとよいでしょう。ハミングは、スムーズに鼻呼吸を行うための訓練にもなります。 ▼補足として このハミングの方法は、ボイストレーナーの白壁慶子さんが紹介している方法です。 ハミングする曲は、自分の好きな曲でよいのですが、ご年配のかたなどに勧められるのが、滝廉太郎の「荒城の月」。 眉間に響かせるつもりでハミングをするとき、いっしょに副鼻腔をふるわせるイメージで行うと効果的です。 実際うまくハミングできると、胸から鼻腔、副鼻腔が1つの連なった楽器として働き、副鼻腔がハミングで振動するのを感じられるでしょう。
▼体験例 先の白壁さんの報告です。 彼女の「声の教室」にやってきた 30代の女性は、子供のころから、副鼻腔炎に悩まされてきました。実際、その日も、副鼻腔炎と後鼻漏(鼻水がのどに垂れる症状)に悩んでいました。それが、ボイストレーニングの一環として、ハミングをしてもらっていたところ、その練習中に早くも鼻がスーッと通ってきたといいます。その女性は大変喜んで帰ったとのことでした。セルフケアその ❻足湯自律神経の乱れの調整・加齢性鼻炎に ▼効果をもたらす疾患・症状 ➡慢性・急性の副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)などによる後鼻漏や、血管運動性鼻炎や加齢性鼻炎の鼻水、鼻づまりなど。 ▼どんな効果をもたらすか 加齢や気温差、寒暖差などのさまざまな条件によって、自律神経が乱れ、環境の変化に対応できなくなることがあります。それが、血管運動性鼻炎で、加齢性鼻炎の一部の症状です。 足湯は、バケツなどにお湯を入れて、両足をつけておくという簡単で手軽な方法ですが、自律神経を整えるのに役立ちます。 足湯による温熱効果で、全身が温まれば、心身が休まり、リラックスできます。リラックスすることで、副交感神経が優位になって、自律神経のバランスが整います。 足湯は、乾いた鼻腔の加湿にも役立ちます。 さらに、足には、鼻腔や副鼻腔につながる反射区(体の各部に対応した反応ゾーン)があり、足を温めることがその反射区への刺激となって、鼻腔や副鼻腔の状態を整える効果も期待できます。 これらの総合的な作用で、血管運動性鼻炎や加齢性鼻炎による鼻水、鼻づまり、鼻の乾きなどの症状を軽快させるのです。 また、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、加齢性鼻炎などによって生じる後鼻漏の改善にも役立つでしょう。
続いて、「鼻弱体質改善のための食事療法のポイント」からは、食事内容の改善の指針についてお話ししましょう。 鼻弱体質改善のための食事療法のポイント 皆さんは、食事療法というと、高血圧や糖尿病など、生活習慣病の改善のために行うもの、そういうイメージをお持ちなのではないでしょうか。 しかし、食事療法が効果を発揮するのは、生活習慣病だけではありません。鼻のさまざまなトラブルに関しても、食事を通じてのアプローチが重要と私は考えています。実際、来院された患者さんにも、食事指導をしています。その結果、症状がよくなっていく患者さんも少なくないのです。 食事のポイントとしては、次の 5点を挙げておきましょう。食事の改善・5つのポイント ①栄養バランスを考える ②食べすぎない ③よく噛んで食べる ④ LPS食材の活用 ⑤腸内環境の改善 鼻のトラブルで来院される患者さんの食事内容で目立つのが、 ①栄養が偏っているかたと、 ②過食のかたです。 患者さんには、高齢で独り暮らしをされているかたも多いのですが、そのうちの多数のかたが、おかずを加工食品などで簡単に済ませています。しかも、パンや麺類、菓子など、糖質の多い食品を過剰にとっています。 こうした食事では、たんぱく質の摂取量が明らかに少なくなり、野菜も不足しがちです。その結果として、ビタミン・ミネラル、食物繊維など、健康を支えていくうえで欠くことのできない栄養素が足りなくなってしまうのです。 そして、糖質を過剰にとる生活を長年続けていると、血糖値が過度に上昇しやすくなります。さらに、加齢や、塩分のとりすぎなどで血圧が上がっていけば、動脈硬化が進み、血管にかかる負担が大きくなっていきます。こうした偏った食事が、毛細血管が張り巡らされている鼻腔や副鼻腔にも悪い影響を及ぼすことになります。 食事の栄養バランスが明らかに片寄っている場合、糖質食品をへらし、たんぱく質や野菜をふやすことが基本になります。 肥満になると、副鼻腔炎になりやすい 一方、過食も、よくありません。 過食が続くことで、血圧や血糖値が上がり、同時に、肥満も進行します。肥満になると、体の中で炎症が進みやすくなることがわかっています。 国立研究開発法人・国立長寿医療研究センターが、どのような人が副鼻腔炎になりやすいのかを調査したところ、年齢の高いかた、肥満傾向のかた、喫煙歴のあるかた、ぜんそくや慢性気管支炎の既往歴のあるかたが、そうでないかたよりも副鼻腔炎になりやすいと報告しています。肥満も、副鼻腔炎のリスクを上げるりっぱな要因の1つであるということです。 肥満のかた、もしくは、肥満ぎみのかたは、肥満の予防・改善のために、食事を少なくすることを心がける必要があります。 食事全体を腹 8分目に抑えるといいでしょう。そのためには、ごはん茶わんを小さいものに換えるなどの工夫も必要でしょう。 また、油にも注意が必要です。 動物性脂肪、つまり、動物性の脂(肉の脂や乳脂肪)に多く含まれる飽和脂肪酸のとりすぎは、 LDL(悪玉)コレステロールをふやすうえ、肥満につながります。 加えて気をつけたいのが、必須脂肪酸(体内で合成できないので食事からとる必要がある)の1つ、オメガ 6系の不飽和脂肪酸です。その代表が、大豆油やコーン油といった植物油に豊富なリノール酸です。いわゆるサラダ油は、オメガ 6系の植物油を精製したものです。 リノール酸は、私たちの体の維持に必要なものですが、とりすぎると免疫細胞が働きにくくなり、体内の炎症反応を促進させてしまいます。このため、花粉症などのアレルギー性炎症疾患を引き起こしやすくなるとされています。 オメガ 6系のリノール酸は、菓子、パン、マヨネーズ、カップ麺、総菜など加工食品やファストフードにも含まれています。私たちは、意識をせずに食べていると、オメガ 6系を過剰摂取してしまう傾向があります。だからこそ、意識して、油を換え、加工食品を控える必要があるのです。 かわりにとりたいのが、オメガ 3系の不飽和脂肪酸です。こちらは、体内の炎症反応を抑制する働きがあるとされています。 オメガ 3系を多く含んだ魚介類や、エゴマ油やアマニ油などを積極的にとることをお勧めしています。 よく噛んで食べることも大事なセルフケア よく噛むこと。これも、重要なポイントです。
よく噛むこと自体が、鼻を健康にするセルフケアになると考えてほしいのです。 なぜなら、よく噛んで食べるだけで、しっかりと咬筋(噛む筋肉)や舌の筋肉を使うことになるからです。また、よく噛めば、唾液の分泌を促します。 現代の食事には、やわらかい食べ物があふれています。ですから、ろくに噛まずに飲み込んでしまっても、食事ができてしまいます。このため、多くのかたが「ちゃんと噛む」という習慣を、おろそかにしてしまう傾向があります。 ろくに噛まないクセがついてしまうと、口のまわりや舌の筋肉が衰えていきます。舌の筋力が落ちると、口腔内での舌の位置が下がり、口呼吸になるリスクが高まります。 口呼吸をしていると、のどや気管が、加湿・加温されていない外気にさらされたり、ウイルスなどの侵入を起こしやすくなったりします。さらに、粘膜上で炎症が慢性化して、アレルギーなども起こりやすくなります。 そうしたさまざまな弊害の予防のためにも、しっかり噛むことが肝心です。よく噛むことで、きちんと鼻呼吸ができるような舌の筋力をキープしておきましょう。 私は、飲み物も、噛んで飲む(噛んでいるつもりで、口をもぐもぐする)ようにしています。 免疫力アップに役立つ LPS食材とは? 偏った食事や過食では、よい栄養補給ができません。それが、鼻トラブルの起こりやすい鼻弱体質をつくり出しているといっても過言ではありません。 そこで次には、鼻弱体質の改善に役立つ、最新食材を取り上げましょう。 それが、 LPS食材です。 皆さん、 LPSといわれても、ピンとこないでしょう。 LPSとは、グラム陰性菌という種類の細菌の細胞外膜の成分で、英語では、「リボポリサッカライド」、日本語では、「リポ多糖」と呼ばれています。この物質が優れているのは、私たちの免疫細胞に作用して、免疫の働きを正常化する点です。 特に免疫細胞の中でも中心的な働きをしているのが、マクロファージです。マクロファージは、花粉からほこり、ガン細胞まで、体内のあらゆる不要物を処理する「掃除屋」の役割を果たしています。 LPSは、このマクロファージの働きを活性化するのです。 花粉症は、花粉に過剰反応するアレルギー疾患です。アレルギー疾患は、免疫が過剰反応することによって起こります。 LPSは、マクロファージの働きを高めて、免疫のバランスを整えるので、こうした症状の改善に役立つと考えられています。 では、 LPSは、どんな食品に含まれているのでしょうか。 実のところ、 LPSは、特別な食品に含まれているのではありません。私たちが日常的に食べている、穀物、根菜、野菜、海藻、キノコ類などに多く含まれています。 LPSを多く含んでいるベスト 3は、 ①ヒラタケ、 ②メカブ、 ③レンコンの順になります。そのほか、ソバ、ヒジキ、ゴマ、ノリ、シイタケ、ホウレンソウ、ナメコなどにも含まれているので、参考にしてください。 ●ヒラタケ 乾燥 1 g当たり、 60 μ gの LPSを含みます。 味にクセがなく、料理のジャンルを問わずに、調理しやすいのが特長です。ヒラタケほどではないものの、マイタケも、 LPSを多く含有しています。 ●メカブ(ワカメの根もと部分) 乾燥 1 g当たり、 42・ 8 μ gの LPSを含みます。 メカブのぬめり成分にも、免疫アップ作用があります。 ●レンコン 乾燥 1 g当たり、 5 μ g含有しています。 LPS以外にも、レンコンには、ムチンとタンニンが豊富に含まれ、これらの成分の相乗効果によって、花粉症の症状を改善するという研究報告もあります。その点からも、推奨できる食材です。 1日に摂取したい LPS量は、体重 1 ㎏につき、 10 μ gとされています。成人なら、 1日につき、およそ、 500 μ gを摂取するとよいでしょう。 このような LPS食材を料理に活用する際には、注意したい4つのポイントがあります。 ①皮ごと食べる LPSは、皮の部分に多く含まれています。レンコンやジャガイモ、サツマイモなどは、よく洗って、まるごと食べることが勧められます。また、穀類も、 LPSは精製されていない部分に多く含まれています。 ②長時間の加熱は × 生食がベストですが、 LPSは比較的熱に強い成分なので、加熱しても大丈夫です。ただし、揚げ物のような長時間の加熱では、組織が壊れるので勧め
られません。 ③長く水に浸さない LPSは、水溶性。このため、野菜や根菜類は、できるだけ水に浸さずに食べるようにしましょう。また、スープや煮物の場合は、水分中に溶け出してしまっていますから、スープ類をいっしょに摂取するとよいでしょう。 ④乳酸菌といっしょにとる 乳酸菌自体に LPSは含まれません。しかし、乳酸菌といっしょにとることで、 LPSの吸収率がよくなるとされています。
LPS食材の王様ヒラタケを活用する「ヒラタケのゴマ油漬け」 代表的な LPS素材である、ヒラタケを使ったレシピを紹介しておきましょう。 作り置きしておける、ヒラタケの油漬けです(作り方は「ヒラタケの油漬け」参照)。作り置きしておけば、毎日継続して、 LPS食材を摂取しやすくなります。 ▼体験例 難病指定もされている、原因不明の難治性疾患である好酸球性副鼻腔炎の患者さんに、 LPSの豊富な食事を続けてもらったことがあります。 そうしたところ、症状が落ち着いてきた患者さんがいました。 好酸球性副鼻腔炎はなかなかよい治療法がなく、治療する側としても、対応の難しい病気です。しかし、なかには、このように効果の上がった例もあるので、この病気で苦しんでいるかたは、試されてみてもいいでしょう。 また、私のクリニックでは、花粉症の患者さんに、 LPSのサプリメントを飲んでもらって、効果を試す臨床研究を行ったことがあります。 すると、患者さんの自覚症状が大きく改善。試されたかたは、皆さん、「来年も続けたい」と話していました。 私は、 LPS食材は花粉症や好酸球性副鼻腔炎といったアレルギー系の疾患だけでなく、粘膜の炎症にも有効ではないかと考えるようになりました。 副鼻腔炎や上咽頭炎などでお悩みの皆さんも、試してみてはいかがでしょうか。
ヒラタケの油漬け[材料] ●ヒラタケ… 300 g ●ニンニク… 1かけ ●鷹の爪… 1本 ●塩…小さじ 1/ 2 ●ゴマ油… 50 ㎖ ●保存容器( 300 ㎖以上のもの) 1個[作り方] ❶ヒラタケを食べやすい大きさに裂く。ニンニクは別にみじん切りに。鷹の爪は中から種を出す。 ❷フライパンを強火で加熱。ゴマ油大さじ 3(分量外)で、ニンニク、鷹の爪を入れ、香りがしてきたら、ヒラタケを加え、水気がなくなるまで炒める。焦がさないよう注意。 ❸②を温かいまま保存容器に入れる。 ❹ゴマ油 50 ㎖を注ぎ、粗熱が取れたら冷蔵庫で保存する。
腸内環境を整えて、免疫力を底上げする 腸内環境を整えることも、鼻弱体質の改善に大いに役立ちます。なぜなら、腸は、私たちの免疫機構の約 7割を占めており、腸内環境がよくなることで免疫力もアップするからです。 私たちの腸内には、 600兆個以上の腸内細菌が生息しています。腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、善玉でも悪玉でもない日和見菌の 3種類に分けられます。善玉菌が優勢になると、日和見菌は善玉菌に味方するため、健康状態がよくなります。悪玉菌が優勢になると、日和見菌が悪玉の味方となり、病気になりやすくなります。 腸内で善玉菌が優勢の場合、免疫力が正常化し、炎症も起こりにくくなります。慢性的な副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎においても、その根底には炎症があるわけですから、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の予防・改善のためにも、腸内環境を整えることは重要です。 その点から、 LPS食材に加えて、腸内環境を高める食材をとることは、鼻弱体質改善のためにも大いに勧められるのです。 腸内で善玉菌をふやすためには、酵素(体内の化学反応を助ける物質)の多い生の野菜や果物、食物繊維の豊富な豆類、雑穀類、根菜類、乳酸菌を補える納豆・キムチなどの発酵食品を毎日摂取するように心がけましょう。 納豆やキムチ、みそ、ぬか漬けといった植物性の発酵食品は、乳酸菌などの善玉菌を補うのに最適です。特に植物性の乳酸菌は、ヨーグルトやチーズといった動物性の乳酸菌に比べると、胃酸や胆汁酸に対する耐久性が強く、生きたまま腸に届きやすいという利点があるからです。 腸内環境改善のための推奨レシピ「乳酸キャベツ」 私のクリニックでも、患者さんたちにお勧めして効果を上げている腸内環境改善レシピが、「乳酸キャベツ」です。 皆さんも、ザワークラウトという料理の名前を聞いたことがあるでしょう。キャベツを乳酸発酵させたヨーロッパで広く親しまれている発酵食品ですが、キャベツを使って簡単に作ることができます。 キャベツがもともと持っている栄養成分に加えて、発酵によってふえた植物性の乳酸菌が腸内環境を整えてくれます。キャベツの食物繊維がさらに腸内環境を改善する働きをしてくれることはいうまでもありません。 作り方は、「乳酸キャベツ」のとおりです。 乳酸キャベツは、 1日に小皿で 1皿程度をとるようにお勧めしています。 2週間以内に食べ切るようにしてください。
乳酸キャベツ[材料] ●キャベツ… 1玉(約 1 ㎏) ●塩… 20 g ●ローリエ… 2枚 ●鷹の爪… 1本 ●粒こしょう… 10粒 ●保存容器(水分が出るので、重石のついた漬物容器、もしくは、上から押さえられる漬物容器)… 1 ℓ以上のもの。[作り方] ❶キャベツをせん切りにする。ローリエは適当な大きさにちぎり、鷹の爪は種をとって、輪切りにする。粒こしょうはポリ袋に入れ、麺棒などでたたいて軽くつぶす。 ❷キャベツをボウルに入れ、塩を加えて、よくもむ。 ❸②にローリエ、鷹の爪、粒こしょうを加えて、よく混ぜる。 ❹保存容器に入れ密閉。圧力をかけるか、もしくは重石をのせて、冷蔵庫か冷暗所で 5 ~ 7日寝かせる。キャベツが黄色くなり、酸味が出たら完成。
▼体験例 Mさん( 50代・男性)は、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、鼻の奥の違和感などで長年悩んできました。他院でさまざまな治療を受けてきたようでしたが、けっきょく、病気は改善していませんでした。 私のクリニックでは、それまで効果が出ていなかったということで、薬物治療を中断。鼻うがいと食事療法をお勧めしました。 食事では、乳酸キャベツをとることや、揚げ物を控え、少食を心がけてもらいました。 Mさんも、根気よくセルフケアを続けたのです。 Mさんには花粉症もありましたが、半年後、スギ花粉の時期になっても、花粉症の症状が全く現れませんでした。 上咽頭に炎症もあったため、 EAT(上咽頭擦過治療)を行ったところ、鼻の奥の違和感や鼻水、鼻づまりが解消。 さらに 1年後に C T検査をすると、篩骨洞(副鼻腔の1つ)にあった副鼻腔炎がなくなっていました。 Mさんの鼻の症状は、いずれもほぼ完治にまで至ったのです。 鼻づまりの予防・改善のために何ができるか―アレルギー性鼻炎&花粉症ケア アレルギー性鼻炎や花粉症の原因となるアレルゲンは、日常生活の中にたくさん潜んでいます。予防のためには、花粉やハウスダストといったアレルゲンを遠ざけるような生活を心がけることです。 次のようなケアを行いましょう。 ●花粉の多い日はできれば外出を避ける 花粉情報に気をつけ、花粉飛散量の多い日はできるだけ外出を控えましょう。 日本気象協会によれば、花粉が飛びやすいのは「晴れ、または曇りの日」「気温が高く、湿度が低い日」などです。特に「前日まで雨で、その後天気が回復し、南風が吹いて気温が高くなる日」は、注意が必要とされています。 加えて、私の考えでは、意外によくないのが、「少しだけ雨の降っている日」。アスファルト上の花粉が雨で舞い上がります。しかも、花粉が水で膨張し、弾けやすくなるため、それを吸い込むと、症状が出ることが多いのです。 ●外出時に気をつけること 外出時はマスクやメガネ、スカーフなどを着用。 外出時のコートや上着には、花粉がつきにくい素材を選びます。ウールや綿などよりも、ポリエステル製などで表面がツルツルして、花粉のつきにくい素材と加工のほうがいいでしょう。 帰宅時は衣服や髪から花粉を払い落とします。手洗い、うがい、洗顔をして鼻もかむようにします。 ●窓の開閉に注意。 現代住宅は密閉性が高く、室内に湿気がこもりがちです。ダニやカビが繁殖しやすい、高温多湿の条件がそろわないよう、換気のための窓開けが必要です。 その一方、花粉が多く飛ぶ日と飛ぶ時間(日中)の窓開けは勧められません。ですから、夏場はエアコンを用いて室内を乾燥させるのもいいでしょう。 ●掃除はこまめに 室内に入り込んだ花粉やハウスダストを取り除くため、こまめな掃除は欠かせません。掃除の際には、舞い上がる花粉やほこりなどの影響を防ぐため、マスクをしましょう。 ふとんや毛布はよく日に干して掃除機をかけ、表面に付着したダニやその死骸なども吸い取ります。枕カバーやシーツの洗濯もこまめに。外に干していたふとんなどは、 s付着した花粉を払い落としてから取り込みます。洗濯物も同様です。 ●ストレスはためない イライラすると、アレルギー症状は悪化しがちなもの。できるだけ気分転換をして、ストレス解消を図りましょう。 睡眠をじゅうぶんにとって、体調を万全にしましょう。お酒やたばこは控えめに。 鼻づまりの予防・改善のために何ができるか
―副鼻腔炎ケア 副鼻腔炎の予防・改善のために重要なポイントにもふれておきましょう。 ●姿勢を正す 私は、姿勢の問題も、広い意味でのセルフケアに入ると考えています。 スマートフォン(以下スマホ)やパソコンなどを、悪い姿勢でずっと使っていると、明らかに顔を上げて、あごを前方に突き出したような姿勢になっています。こうなると、あごの下から首に広がっている薄い筋肉(広頸筋といスマホを悪い姿勢で見ていると、知らず知らずのうちに、口呼吸になっているのです。 ふだんから、意識的に姿勢に注意するようにしましょう。 ●とにかくカゼをひかない カゼをひけば、それが副鼻腔炎のきっかけとなります。なので、できるだけカゼをひかないことが大事。 アレルギー性鼻炎や花粉症をお持ちのかたは、副鼻腔炎を併発しやすい傾向がありますから、よけいに注意が必要です。 日ごろから、鼻うがいやオイル点鼻などを実践し、予防を心がけてください。 ●鼻はすすらない 鼻をかむのがめんどうだといって、こっそり鼻をすすったりしていないでしょうか。 これはよくありません。鼻腔内のほこりやウイルス、細菌などを体内に招き入れることになるからです。また、鼻をすすると、副鼻腔内に残っている鼻水までが逆流して、中耳炎の原因となるリスクもあります。 鼻はきちんとかみましょう。 鼻をかむ際には、片方ずつ、ゆっくりと、やさしくかみましょう。強くかみすぎると、それも中耳炎につながることがあります。 ●市販薬に頼りすぎない たんなるカゼだと思って、市販薬で当座の症状をごまかしているあなた。薬を飲んで、なんとなく少しよくなったような気がしても、それは、決して治ったわけではありません。 市販薬に頼りすぎるのは禁物です。悪くなったら、また薬を飲めばいい、というような安易な気持ちで、市販薬をたびたび使っているうちに、常習化すると、副作用が心配です(市販薬のリスクについては、第 6章で、もう一度取り上げます)。 市販薬を飲んでも大してよくならず、鼻づまりの症状が続いているようなら、早めに耳鼻咽喉科で診察を受けることをお勧めします。 ●鼻は冷やさない 鼻炎が続くと、顔や鼻がほてった感じになり、なんとなく冷やしたくなることがあるでしょう。 しかし、冷やすのは逆効果! 鼻に腫れや炎症が起こっているのは、鼻粘膜の血流が滞っているから。大切なのは、鼻腔内の血流をよくすることなのです。 そのためには、鼻を温めること。 寒暖差があるところを移動すると鼻水が垂れてしまう、血管運動性鼻炎や加齢性鼻炎でも、冷やさないことが大事なケアになっています。健康な鼻を守るためにも、「冷えは厳禁」とお考えください。 ●治療は中断しない 自己判断で、治療を中断するのは勧められません。ちょっとよくなったからといって、自己判断で治療をやめてしまうと、けっきょく、症状がぶり返すことが多いのです。ただ、ぶり返すだけならよいですが、もっと悪化する可能性もあります。 慢性副鼻腔炎や、好酸球性副鼻腔炎の治療は、長期にわたることが少なくありません。このように、治りにくい疾患の場合、治療にはある程度時間がかかるものと覚悟を決めて、主治医とよく相談しながら治療を続けましょう。
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