□ケーススタディ「地頭課長と積上クンの会話」 □フェルミ推定が必要な六つのタイプの症状と処方箋 ■「検索エンジン中毒」―自分自身を羽交い絞めにする/ ■「完璧主義」―「タイムボックス」の考え方の習得/ ■「情報コレクター」―少ない情報で仮説を立てる/ ■「猪突猛進」―客観的に全体像で考える/ ■「セクショナリズム」―各因数のバランスよい算出を習得/ ■「経験至上主義」一般化・モデル化・共通の解法の適用 ■第 4章のまとめ
□ケーススタディ「地頭課長と積上クンの会話」 フェルミ推定を単に例題を解いていくという範囲で考えればたいして難易度の高いものではない。
問題はこの「精神」つまり考え方そのものをいかに複雑な日常に適用していくかということである。
ほとんどの人はフェルミ推定で試されるような思考パターンを日々の身の回りのことには適用できていない。
前章で述べたフェルミ推定の例題によって、基本動作は理解できたかと思うが、これを実生活に適用した「応用動作」が実際のビジネスの現場で実践できるかというとまったく別問題であるということを仮想的企業の情報システム部門におけるケーススタディで経験していただこう。
おそらく読者の周りでも日常的に起きていることではないかと思う。
こうした日常的な事象に対して「地頭力」を発揮した対応はどうすべきか、そこにフェルミ推定で鍛えた基本動作をどう応用すべきかを体感していただこう。
【登場人物説明】 地頭(じあたま)課長: 三八歳。
東証一部上場ヒノモト電子機器工業の情報システム部システム企画課長。
データと事実を重視して論理的に結論を導く理論派。
積上(つみあげ)クン: 二五歳。
入社三年目で情報システム部に配属の期待の若手。
モチベーションが非常に高く、仕事熱心で周囲の人にも愛される性格であるが、「やる気」が空回りするあまり、時に独走して周囲を困惑させることもある。
【会話の背景】 ヒノモト電子機器工業では、ほぼ一〇年前に構築した情報システムを拡張の繰り返しで更新してきたが、システムの老朽化によって各所で弊害が目立ってきたために、旧システムを刷新することになった。
それについて社長より情報システム部に対して、向こう三カ年のグローバル I T刷新計画案を提示するよう指示があった。
最終的なグランドデザインの策定期限は約半年後であるが、まずは経営会議で概略の投資対効果について経過報告をする必要がある。
先週基本的な進め方について打ち合わせした地頭課長と積上クンだったが、約一週間たって、地頭課長からのフォローが入ったところである。
【ダイアログ】 地頭課長(以下「地頭」):おーい、積上クン。
この前相談した投資対効果の件だけど、進捗はどうだい? 積上クン(以下「積上」):いまちょっとデータを整理しているので、あと二日ほど待ってもらえますか? 地頭:二日後に報告してもらうのはいいんだけど、いまの大体の状況を教えてもらえないかな? 積上:海外法人の実際のユーザー数がなかなかつかめないんです。
去年はずいぶんと人の出入りがあったみたいで、特に南米の状況がなかなか担当者と連絡がつかなくて……。
地頭:積上クン、そのユーザー調査の話と今回の投資対効果の話はどう結びつくんだい?? 積上:とにかくユーザー数は全体システムの投資や効果に影響するのでデータを集めてみようかと思っていたんですよ。
地頭:そういえば、先週現状システムの使用履歴か何かをアンケートで調べていたよね。
あれはどうなったの? 積上:そうでした。
あれはやってみたんですけど、やっぱり今回の結果とは関係なさそうなので、使うのはやめました。
地頭:詳細なデータを集める前にまずは全体のストーリーが重要なんじゃない? 来月の報告会でどんなキーメッセージを出すか、そのためにどんな説明が必要かといったことを考えてみたかい? 積上:でもいま何もわかっていないんですから、とりあえずデータを集めてみてからでないと経過報告で言おうとする結論の内容はわからないですよね。
地頭:先にある程度結論を想定してからデータを集めはじめた方が効率的じゃないのかな?さっきみたいな「使われなくなるデータ」も少なくなると思うし。
まずは経過報告の目次を考えてみたらどうだろう。
積上:でも課長、まだ作業を開始したばかりなんですよ。
内容も決まってないのに目次なんてできるわけないじゃないですか。
そもそも決まっていないことが多すぎるから投資対効果なんて……。
地頭:そろそろ日程を決めなきゃいけないんだけど、第一回の経過報告はいつにしようか? 積上:うーん。
今の状況では何とも言えないですねえ。
もう少し先が見えてくれば見通しが言えると思いますよ。
地頭:積上クン、「仮説で考える」ってこと勉強したことあるかい? 積上:「仮説」って言葉ぐらいは……。
地頭:じゃあ、「フェルミ推定」って聞いたことある? 積上:フェ、フェルミスイテイ?? 地頭:聞いたことなかったかな? そうだ、私のところにフェルミ推定についての研修の案内が来ていたよ。
半日のコースだったから行ってみたらどうだい? 確かちょうど申し込みの締め切りが今日までだったから。
積上:わかりました。
では申し込んでみます。
(一週間後) 積上:課長、「フェルミ推定」の研修行ってきました。
地頭:どうだった? 積上:「目から鱗が落ちた」っていうか、私のいままでの考え方そのものを変えなきゃいけないんだってことがわかりました。
地頭課長が前におっしゃっていたことも「ああそういうことだったのか……」って半分ぐらいは理解できるようになってきました。
地頭:それは行ってよかったね。
具体的にはどんな研修だったんだい? 積上:いきなり私が指名されて前に出されて、講師の人から「日本全国に電柱が何本あると思いますか?」なんておかしなことを聞かれたんですよ。
地頭:ハハハ、なるほど。
それで君は何て答えたんだい? 積上:まずは頭が真っ白になって、「見当がつきません」って答えました。
次にちょっと落ち着いてから、「後で休憩時間に五分時間を下さい。
このビルの周りをちょっと見てきます。
」って答えちゃいました……。
いま振り返るとちょっと恥ずかしいですけど。
地頭:でも最終的に研修が終わったときには、どういう回答をすべきだったかってわかったんだね。
積上:ええ、そうです。
そこで学んだ考え方を早速いろいろなことに応用するようにしています。
その考え方っていうのが「結論から」「全体から」「単純に」っていう三つの視点だったんです。
まだ頭でわかっていても体がついていかないところもあるので、今後さらに毎日の仕事で生かしていきたいと思います。
地頭:よし、じゃあその考え方でまずは来週の発表の準備にとりかかろう!【ダイアログの考察】 読者はこの話を読んでどう思っただろうか。
あなたの身の回りに積上クンはいるだろうか? 地頭課長はいるだろうか? あるいはあなた自身そのどちらかだろうか? ほとんどのビジネスパーソンは多かれ少なかれ部分的にでもこの会話のような経験をしたことがあるはずである。
この会話の、特に前半部分の二人のやりとりにおける積上クンの言動のどこが問題なのかを整理してみよう。
ポイント 1 「二日後でないと回答できない」 「あと二日待って下さい」上司から進捗を聞かれてこんなふうに答えたことはないだろうか?(あるいは自分が上司の立場でこんな回答をもらったことはないだろうか?)「いまデータの整理中だから」とか「まだ何もわからないから」というのが想定される理由である。
だが大抵こういう質問をする場合の上司の期待は、大体の方向性や課題を聞いた上で次の方向性を判断したいということなのである。
二日後に(あくまでも回答者にとって)「精度の高い」報告を聞くのと、精度は低くても「いま」の状況を聞くのとでは、この上司にとってどちらが役に立つだろうか? 明らかに後者のはずである。
なぜなら精度が高い低いというのはあくまで回答者側の論理であって、二日後に聞いた結果は当初の期待値からはかけ離れたもので二日間の作業はまったく無駄になるリスクをはらんでいる。
こうした場合に求められる行動は、その場の情報量で最善の結論を答えるということである。
例えば「三分間でクイックに回答する」ことに回答者にとってのリスクはないはずである。
方向性が合っていればそれでよいし、もし違っている場合にはその時点で軌道修正がかけられるので、その後の二日間を無駄にせずにすませることができる。
ポイント 2 「全体ストーリーがない」 積上クンはいきなりユーザー数を集め始めてしまっている。
これも複雑な分析を行う際には散見される状況である。
やっている本人はそのつもりではないのだが、説明を聞いているほうからすると、いまやっている詳細分析内容と最終結果、あるいは目的との関係が不明確になってしまうという状態である。
分析にのめりこんでしまうと、最終目的を忘れて「分析のための分析」になり、周りの人にとって、あるいは時には自分自身でさえ何をしているのかわからなくなってしまうということがよくある。
フェルミ推定でいうと、全体の算出式(ロジック)のために因数分解する前にとにかく頭に浮かんだ断片的な計算を開始してしまっている状態である。
こうなると、この分析そのものが最終結論のためにはまったく役に立たなくなってしまうとともに、周りの人間に対して何をやっているのかさっぱりわからないという状況を作ってしまうのである。
ポイント 3 「とりあえずデータを集め始めた」 何らかの分析や調査をする際に、普通の人が取る行動というのはまずは「とりあえず」データを集めてみることではないだろうか。
まずは情報を集めてみてからその次のステップを考えようというのはごく自然の考え方に思われる。
ただし、この場合でも何らかの仮説を持って集めることが効率性につながる。
電柱の例で言えば、とにかく家の周りの電柱を数えはじめるのと、算出方法を仮に決めてから数えてみるのとでは、目的意識や最終結果の精度にも間違いなく大きな違いが出るはずである。
とにかくデータを集め始める前に仮説を立てるということが重要なのである。
ポイント 4 「『南米ユーザー』で時間をとられる」 全体ストーリーなしでデータを集めはじめた積上クンは、ユーザー数の調査を進めるうちに、南米ユーザーの状況がなかなかつかめなかったために、「深みにはまって」しまい、ここの調査に時間を費やすことになった。
しかし考えてみてほしい。
これだけの概算をやっている中で、南米ユーザーの数の精度が全体の答えの精度に影響するとはおよそ考えにくい。
つまりここで積上クンは「枝葉にこだわりすぎて」しまったのだ。
ポイント 5 「集めたデータが使われない」 前記ポイント 3のように、とにかくデータを集めるという姿勢の結果がこれである。
無目的にデータを集めるということは、最終的にそのデータが無駄になる可能性は高い。
あくまでもデータを集めたらそれを最終的にどうやって使っていき、それからどういうメッセージを引き出せればどういう結論になるかという仮説を考えた上で情報を集めていけば、最終結論に至るまでの作業を最大限に効率化することができる。
読者の中には、「でも当初の仮説が適切なものでなければ、結局仮説を見直すことになってデータはまったく使う必要がなくなってしまうのではないか?」と思う方もいるかもしれないが、それはそのとおりである。
ただし、闇雲かつ網羅的にデータを収集していくよりは、何度かの仮説修正を繰り返したとしても「あたり」がある程度ついている分、効率性に差が出てくることは納得してもらえるだろう。
ポイント 6 「マイルストーンを考えていない」 積上クンは当面のデータ収集と分析作業にすっかり頭がとらえられていて、それをいつまでにどんなメッセージを誰に伝えればいいのかといったマイルストーンをまったく意識せずに日々の業務に没頭してしまっている。
積上クンに言わせれば、「準備が十分にできてから」次のマイルストーンの詳細を設定するということになるのであろう。
ところがこのアプローチでこのまま進める限り往々にして「準備が十分にできる日」など永久に訪れない。
そのうちに社長からのフォローが来て、本人としては「準備不足」の状況でマイルストーンとなる報告日を迎えるのは間違いない。
ここで必要なのは先に期限を設定してその中で最善の解答を出す(時間がさらに必要であればさらにこれを繰り返す)というタイムボックスの考え方である。
このイメージをつかむ訓練をするのにフェルミ推定が有効であることは前述のとおりである。
ポイント 7 「目次は内容が決まってから」 読者は何かの報告書や企画書等の文書を作成するときに目次をいつ作成するだろうか。
中身がある程度まとまってからだろうか? 仮説思考と全体像思考ができているかどうかが決定的に出るのがこれらのどちらの行動パターンを取るかである。
「結論から」「全体から」考えている人というのは、必ずはじめに目次を作るという行動パターンを持っている。
逆にこの思考パターンのない人に目次から考えるという発想を理解してもらうのは非常に大変である。
なぜ中身が決まっていないのに、目次ができるのか? 「第一章」のことしか考えていないのに、全体の目次を作ることが可能なのか? これは地頭力を鍛える上での一つのブレークスルーである。
これは思考回路をほぼ一八〇度転換させるのにも等しいほどのパラダイム変革であるからである。
ポイント 8 「前提条件がなくて先に進めない」 積上クンは前提条件が決まってないが故に、「投資対効果」を出すのは無理だと言いかけて、地頭課長に話をさえぎられた。
こうした「ぼんやりとした」検討をする際には、デジタルに前提条件が明確に決まっている状況はほとんどない。
前提条件が決まっていないのであれば自分である程度想定しながら先に進んでいく姿勢が必要である。
全体の整理 ここまでのポイントを整理しておこう。
(図 4- 1) 地頭力のベースとなる思考力のついている地頭課長とこれからそれを鍛えなければならない積上クンの行動パターンやそのベースとなっている思考パターンは一八〇度異なっている。
これは何も特殊な状況ではなく、読者の身の回りの日常のビジネスの現場でも日々起きている事態であり、この思考回路が共有されていない状況でコミュニケーションを行うというのは至難の業である。
例えばもし仮に地頭課長が積上クンに「最初に目次を作る」ことに納得してもらったとしても、ただ目次を作っただけでは単なる表面上の解決策にしかならず、おそらく次に同様な場面に接した場合にまた目次を作らずにデータ収集・分析作業を始めることになるだろう。
このケーススタディは、フェルミ推定で試された三つの思考力の実際のビジネスへの応用編である。
「結論から」「全体から」「単純に」考えている人(地頭課長)といない人(積上クン)との間でいかに会話がかみあわないかがおわかりいただけたであろう。
筆者自身実際のビジネスの現場で何度となくこういった場面を自分自身、あるいは第三者の事象として経験してきた。
そこでの教訓は、基本的な思考回路を共有しない限り、この二人がわかりあうことは絶対に不可能であり、議論すればするだけお互いにフラストレーションがたまっていくだけということである。
なぜなら、第 1章の図 1- 6(磁石とコンパスの図 ★)に示したように、表面的な違いを議論したところで思考回路が天動説と地動説ほども違っていてはすべてが逆の発想になっており、根本的な解決には至らないからである。
こういった衝突や誤解を回避するためにも、思考回路のイメージをあわせるためのツールとして簡潔かつ強力な手段がフェルミ推定なのだ。
□フェルミ推定が必要な六つのタイプの症状と処方箋 おそらくほとんどのビジネスパーソンは多かれ少なかれこの「積上クン」(あるいはその予備軍)の要素を持っており、フェルミ推定によって「
によって「地頭力」を鍛えるニーズはあらゆるところに存在しているといってもよい。
積上クンタイプに限らず、図 4- 2に示すタイプの人にはフェルミ推定をおすすめしたい。
各タイプの症状と処方箋、およびフェルミ推定で何を学ぶべきかを具体的に解説していこう。
■「検索エンジン中毒」―自分自身を羽交い絞めにする インターネットの検索エンジンの普及によって指数関数的に増殖していると考えられる人種である。
「コピペ族」というのもこの一種であろう。
具体的な症状としては、 ・頭が働くより先に手が動いて検索エンジンにキーワードを入力している ・検索結果を鵜呑みにして、そのまま答えとしている ・その結果として考える力が退化しているといったところである。
処方箋としては、 ・とにかく自分の頭を使って考える癖をつけること。
場合によっては、検索したがる自分自身をもう一人の自分で後ろから「羽交い絞めにして」でも仮説を立ててから情報収集や分析を行っていくという「自分の頭で考える」習慣づけが必要である。
フェルミ推定はある意味「自分自身を羽交い絞めにする」ための格好のツールである。
少ない情報で結果を推定するという姿勢を身につけるための最高の訓練となるだろう。
■「完璧主義」―「タイムボックス」の考え方の習得 どんな状況にあっても期限より品質を優先させる。
効率は二の次で、正確かつ十分な根拠を持てるまでは決して結論を出さない。
具体的な症状としては、 ・品質のために締め切りをよく遅らせる ・不十分な情報では作業に着手できない ・精度が低い結果を出すぐらいなら何も出さない方がよいと思っている(「ざっくり」「えいやっ」という言葉は辞書にない)といったところである。
もちろん、完璧主義は必ずしも悪いことではない。
例えば、顧客に対しての最終品質の責任を負っている仕事をしている人はこういった姿勢が通常求められるのだが、やわらかい状態で結論に向かっていく段階においてはこうした姿勢が時としてマイナスに働くのである。
処方箋としては、 ・時としてスピードが品質より優先順位が高くなる(時間をかけて完璧なものをアウトプットしても意味がない)場合があることを理解する ・そのために期限を切って限られた時間を制約条件とした仕事をする癖をつけることが必要である。
そのためにフェルミ推定を用いて「タイムボックス」の考え方を習得し、時間を区切ってその中で必ず答えを出すという習慣づけを学ぶことが重要となる。
■「情報コレクター」―少ない情報で仮説を立てる 分析や集計作業をする際にとにかく情報を集めたがる人種である。
具体的な症状としては、 ・常に仮説より先に情報を集め始める ・結果として、使われない情報を山のように収集している ・時として情報の洪水に溺れて何をしているのかわからなくなるといったところである。
処方箋としては、 ・情報収集の前に仮説を立てる癖をつける ・仮説にしたがった情報収集を心がけるといったことが挙げられる。
そのためにフェルミ推定を用いて、少ない情報で仮説を立てる訓練をすべきである。
またその後の仮説検証活動を通じて、仮説に従った情報収集や、それによる仮説の修正、最終結論に至るまでの道筋を習得すべきである。
■「猪突猛進」―客観的に全体像で考える 周りが見えずに自分の視野だけを頼りにひたすら猛進する。
馬力はあるが、時として周りから不安視されるタイプである。
具体的な症状としては、 ・自分の思い込みで暴走し、時として周りからストップがかかる ・他人に対する説明や文書がひとりよがりでわかりにくいといったところである。
処方箋としては、 ・一歩引いて全体像を見る癖をつける ・自分の視点でなく、自分を客観的に見られる視点に立つことが必要である。
そのためにフェルミ推定で、客観的に見られる全体像で考え、それを他人にわかりやすく説明する訓練をすべきである。
■「セクショナリズム」―各因数のバランスよい算出を習得 具体的な症状としては、 ・全体の最終アウトプットを意識せずにとにかく自分の範囲だけを完璧に仕上げることに専念する ・その結果として必要以上に詳細なことに労力を費しているといったところである。
処方箋としては、 ・常に最終目的を達成することを意識する ・そのための全体要素の中での自部門の役割を認識することが必要である。
フェルミ推定で、全体を意識したアウトプットを出すための各因数のバランスよい算出を習得すべきである。
■「経験至上主義」―一般化・モデル化・共通の解法の適用 具体的な症状としては、 ・自分の経験のみを行動のよりどころとしている ・自分の置かれた環境を実態以上に特殊だと思っており、他者(他社や他業界)から学べることはないと思っている ・事象を一般化して議論することは嫌いであるといったところである。
処方箋としては、 ・まずは自分の状況の置かれた状況が必ずしも特殊でないことを認識して他の世界から学んでいく姿勢を持つ ・一般化や抽象化によって、応用力を広げるという意識をつけるが挙げられる。
そのためにフェルミ推定で学ぶべきことは、事象の一般化・モデル化・複数対象への共通の解法の適用等である。
次章以降では、仮説思考に加えてフレームワーク思考、抽象化思考といった地頭力の基本となる思考力の具体的な応用例について紹介し、これらの思考力を習得するとはどういうことか、何の役に立つかについて詳細に述べていきたい。
■第 4章のまとめ フェルミ推定の意義は、個別の問題そのものを解けることになることよりも、その基本精神やプロセスを身の回りの問題解決に適用していくことである。
我々の中には「検索エンジン中毒」、「情報コレクター」、「完璧主義」、「猪突猛進」、「セクショナリズム」、「経験至上主義」等のような思考回路がひそんでおり、これらが具体的にフェルミ推定の精神を学ぶべき対象として挙げられる。
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