第 3章 基本ができたら応用のチームビルディング
1 誠実な関心を持ってほめる。
惜しみなく心からほめる・褒め言葉がすぐに出てこない・チームビルディングの土台は安心感と自己重要感・褒めるのが恥ずかしい・褒めるのはこびる感じがして嫌だ・褒めると負けた気がする・その人に関心がない・関心がないと見えていない・相手のよいところに気づく・褒め言葉単語テスト・ほめことばあいうえお表音読・即効褒め言葉・マイナス語 W・褒め言葉 W実習・ホメホメトランプ・ほめ言葉サークル・褒めるときの心構え 2 表情力・メラビアンの法則で不一致体験・喜怒哀楽体験・笑顔とまじめな顔体験・無言誕生日実習・好きな芸能人は誰 3 体を動かすチームビルディング・新聞紙お手玉ゲーム・本気のジャンケン体験・ハイタッチ体験・一番ポーズ体験・決意の体験 4 よい習慣を身に付ける・私は誰だろう・後出しジャンケン体験・逆腕組み体験・否定語・肯定語体験・脳は否定形を理解できない・リフレーミング体験・できないと思っていることは・盲点体験 5 コミュニケーション改善・一方向のコミュニケーション・双方向コミュニケーション・叱る目的体験・ピグマリオン効果とゴーレム効果・ミーティングで意見を引き出すコツ 6 チームメンバーのことを知る・自分史シートを使う・にこにこシート・感謝シート研修・読書感想発表会
1 誠実な関心を持ってほめる。
惜しみなく心からほめる ほめるとチームが明るく元気になるのだけれど、ほめるのが苦手だという人がいます。
①ほめ言葉がすぐに出てこない ②ほめるのが恥ずかしい ③ほめるのは媚びる感じがする ④ほめると負けた気がする ⑤相手に関心がないの5つが、その原因です。
●褒め言葉がすぐに出てこない 褒めることは、誰でも簡単にできると勘違いされています。
大人だからできる、親だからできる。
そんなことはありません。
たとえば、上司は部下を褒めて育てないとならないと言われたとしても、言われた本人が褒めて育てられた体験がないと教えることができないのです。
学校の先生から、親は子どものよいところを褒めてあげましょうと言われたとしても、自分自身が褒められた体験がないと褒める言葉さえ知らないので出てこないのです。
体験がなく、かつ、学んだことがないのでできなくて当然なのです。
だから、褒めるのにも努力が必要なのです。
努力とは、ある目的のために力を尽くして励むことです。
苦しんで耐えて嫌なことをするのが努力だと、勘違いをしている人が多いのですが、そうではありません。
一流のスポーツ選手は、他の人から見たら苦しいと感じることでも、本人は目的を持って楽しくやっているのです。
そうでないと継続ができないからです。
たとえば、褒め上手になって誰かを幸せにしたいと願う気持ちがあれば、楽しく努力をすることができます。
すると、誰でも上手に褒めることができるようになります。
学び方には、次の3つのステップがあります。
①正しいやり方を学ぶ ②正しい順番に行う ③継続する 褒め上手になろうと思って、褒めるセミナーに行って、いきなり褒め褒めシャワー実習(ペアになってお互いを褒める実習)をやって、嫌な気持ちになる人もいます。
もともと、褒める単語が頭の中にインストールされていない人や、お互いを知ってからでないと褒めることができない人にとっては、苦しくて嫌な体験になるからです。
そして、逆に褒めることができない自分を見てしまうので、「自分はやっぱりダメだ」とセルフイメージを下げてしまいます。
褒めるセミナーに行っているのに、自分を褒めることができない結果になるのです。
そういうタイプの人は、まず、褒め単語をインストールすることから始めるのです。
そして、お互いを知り合う時間をとってから、褒めるというのが正しい順番です。
後は、楽しく継続すれば、褒めるのが上手になります。
褒め上手は一生の宝になります。
周りの人を幸せにできます。
もし、苦手だと思っていたとしたら、それは、努力をする時間を取っていなかっただけなのです。
楽しく努力をすれば、誰でもが褒め上手になることができます。
そして、相手を褒めることは自分自身も褒めることになります。
〝脳は人称を理解できない〟と言われています。
相手を褒めている言葉を一番そばで聞いているのは誰ですか。
それは自分の耳です。
つまり、相手を褒めている言葉は、そのまま自分の耳から脳の中に入ってくる。
だから、自分も褒めていることになるのです。
●チームビルディングの土台は安心感と自己重要感 コミュニケーションの中で、人は大切にしている欲求が2つあります。
「安心感」を得たい。
「自己重要感」を得たい。
この2つです。
自己重要感とは、自分は価値ある存在であると実感したい欲求のことです。
相手が、自己重要感が満たされたと感じると、相手は、またあなたと話をしたいと思うようになります。
ところが、相手の自己重要感を傷つける人がいます。
相手に対して、「あなたは価値がない」と思わせるような言葉を言う人がいます。
すると、相手は自己重要感を傷つけるような人とは会いたくないと思うのです。
なぜ、そんなことをする人がいるのか。
それは、その人の自己重要感が満たされていないので、相手をさげすみ、批判することで、自分はそのような行動をするに値する立場の偉い人間だとまわりに知らせているのです。
そのことで自己重要感を満たそうとしているのです。
自分の自己重要感を満たすために、無意識に相手の自己重要感を傷つける言動をしているのです。
しかし、本人は自分自身の自己重要感が満たされていないことには気づいていないのです。
たとえば、先生を批判する人、講師を批判する人、上司を批判する人は、その言動によって、自分の自己重要感を高めているのです。
このようなタイプの人の特徴があります。
自分が一番正しいと思っているので、周りにどんどん指示命令をします。
そして、自分が何でも知っていると思っているので、学ぶこともなく、浅はかな知識でアドバイスをしています。
会社で、このような人が多くなると、会社がさつばつとした雰囲気になり、退職者が増えていきます。
相手を批判することで自己重要感を高めている人の指導には、チームリーダーの薫陶が欠かせません。
モデルとなって生き方を教えないとなりません。
いつもそばで正しい生き方、考え方を実践して見せないとなりません。
そして、他者を傷つけないで自己重要感を高めることができる言動を体得させないとなりません。
相手をさげすむことで、自分の自己重要感を高めている人の共通の特徴があります。
幼少期が愛と感謝に恵まれた環境でなかったのです。
チームリーダーは、育てなおしをするイメージで愛情をもって言葉をかけて接することです。
●褒めるのが恥ずかしい よく聞くのが、褒めることが恥ずかしいという声です。
身近な人には「ありがとう」の言葉は恥ずかしくて言えないという人がいます。
特に夫婦や親子のケースです。
そのときは、相手を元気づける、勇気づけるために褒める、今、褒めないと相手には伝わらないと思って言葉にすることです。
私の仙台でのサービス業のチームリーダー研修の教え子で、とても優しくて有能な 30歳前半の Tさんがいました。
私も本気で優秀なチームリーダーに育成をする心がまえでした。
初回研修が終わって、 1か月後に東北大震災が発生しました。
Tさんは、東北大震災の日は遅番出勤のシフトでした。
午後 4時からが勤務時間でした。
しかし、地震が発生した直後の午後 3時には店舗に駆けつけて、お客様の避難誘導をしていました。
お客様の避難誘導が終わると、あらゆる交通機関がマヒしているので、お客様が自宅まで帰ることができないのを見かねて車で送っていくことにしました。
行き先は、海岸のそばの家だったのですが、津波のことはまったく予測していませんでした。
信号機の電気も点灯していない中で、海岸から逃げる車の渋滞に巻き込まれてしまいました。
通常なら 10分程度で行ける距離だったのに、渋滞に巻き込まれてしまって車ごと津波に流されてしまったのです。
そして、そのまま帰らぬ人になりました。
感謝の大切さを話すときには、亡くなった Tさんの話をしています。
『 Tさんも皆さんと同様に、ご両親に「ありがとう」を言うと話してくれました。
しかし、恥ずかしくて直接にはご両親に〝(今まで育てていただいて)ありがとうございます〟と、言ってはいませんでした。
恥ずかしいので、いつか機会をつくって言おうと考えていたのでした。
しかし、言うことができないまま天国に行ってしまいました。
「ありがとう」の気持ちは、言葉にしないと相手に伝わりません。
それもすぐに、直接、「ありがとう」と、言葉で伝えることです。
たとえば、「ありがとうカード」に書かないと、そのことを伝えることができなくなるかもしれません。
Tさんは、まさか自分が天国に行くとは思っていなかったのです。
Tさんの偉いところは、しっかりと研修の受講者レポートに〝ご両親に感謝の気持ちを表現するために旅行をプレゼントする〟と書いていたことです。
これを私は褒めてあげたいと思います。
天国で再会したときに、命がけでお客様に尽くしたことも〝がんばったね〟と褒めてあげたいと思っています。
いつも当たり前と思っていたことに感謝し、明日が来ないこともあると思って、今日を全力で生きることを決意することです。
会社があり、仕事があり、知人や家族がいることに感謝しなければなりません。
●褒めるのはこびる感じがして嫌だ あるチームメンバーがチームリーダーのことは絶対に褒めないと言っていました。
こびるような感じがするので嫌だと言うのです。
私は次のように話しました。
「チームリーダーはあなたのことを想って、導いてくれています。
仕事以外のことも心配しているかもしれません。
そして、チームリーダーも人間だから心がくじけるようなこともあるのです。
そんなときには、あなたが勇気づける言葉をかけてあげましょう。
チームメンバーの思いやりのある一言でチームリーダーは元気になれるのですよ」 この際に、必要なことは、本当に思っている言葉で褒めることです。
〝本当は、そう思っていないけれど、褒める〟という意識があると、それもそのまま頭の中にインプットされて、嫌な気持ちになるのです。
好きな人に、〝大好き〟と言う、大切な人に〝大切な人〟と言う、本当の気持ちで言うと幸せな人間関係になれます。
現実には、おだてるような褒め方、こびるような褒め方をする人がいるのも事実です。
それにまどわされないで、褒めることを実践していきましょう。
●褒めると負けた気がする チームリーダーがチームメンバーを褒める重要性を話しました。
すると、あるチームリーダーが、他のチームメンバーの批判を始めました。
「褒めるところはない」と笑いながら、そのチームメンバーを冗談っぽくけなしていました。
表情には「俺のほうが上だ」と書いてあります。
これは、「褒めると自分の負け」という考えが浸みこんでいるからです。
相手を認めて褒めると自分の価値が下がると思っているので、批判的なことを言って自分の優位性を保とうとしているのです。
相手を批判しないで褒めることは、自分の敗北を認めるという意識になってしまっているのです。
もし、このようなタイプの人がチームにいたとしたら、その人が何を望んでいるかを考えてみましょう。
すると、見えてくることがあります。
負けるのが怖い人の心の叫びです。
それは、「褒めて欲しい」「尊敬して欲しい」「認めて欲しい」「愛して欲しい」などの心の叫びです。
このような心の叫びが見えてくると、その人との距離も近づいてくるかもしれません。
そして、その人が求めている言葉をかけてみましょう。
その人との関係が変わるきっかけになるかもしれません。
褒めると負けの意識は職場だけでなく、夫婦間でも発生しているケースがあります。
夫婦がライバルのようになってしまっているのです。
「私がこれだけやっているのだから、あなたもこれだけやって欲しい」職場での雇用契約関係と同じように、家庭でも雇用契約関係のような感じになってしまっています。
家庭では、勝ち負けでも契約関係でもなく、相手の幸せを想って行動するのです。
勝とうとするのでなく、〝負けるが勝ち〟、これが家庭円満の秘訣なのかもしれません。
●その人に関心がない 褒めるために大切なことは、いつも関心を持って相手を見ていることです。
「愛情」というアンテナを張って見ていると、小さな変化に気づくことができます。
すると「褒めたり」「認めたり」することができます。
人は無関心が一番悲しいのです。
あるサービス業のアルバイト社員の退職理由は、店長に声をかけてもらったこともないということでした。
「お客様を大切にって言うけれど、私たちアルバイトのことなんか、店長は全然相手にしてくれないよね」と言って辞めたそうです。
逆に店長が「いつもあなたを見ているよ」というメッセージを送ることができると、部下は勇気づけられるのです。
どんなに苦しくても店長の気づかいがあるから、頑張れるという部下もいるのです。
まずは、相手に関心を持つことが第一歩です。
●関心がないと見えていない 関心がないと見えていないということを体験してもらう方法があります。
「自動車用の信号機の青はどこですか。
左、真ん中、右のどちらですか」と質問します。
そして、「歩行者用の信号の青は上、下のどちらですか」と質問します。
両方とも正解できる人は 50%以下です。
その日の朝に車を運転してきた人も間違っています。
青はどっちかなと関心を持っていないと人は見ていても記憶に残っていない、つまり、見ていないのと同じなのです。
もう1つあります。
コンセントの穴の大きさは、 ①左が大きい、 ②右が大きい、 ③両方とも同じ大きさ、いずれが正しいですかと聞くのです。
こちらは正解率が 10%以下でした。
実際に、その場で写真を見せています。
すると、左のほうが大きいことに気づいて驚きの表情になります。
コンセントの穴を生まれて初めて見る人はいないはずです。
携帯電話を充電するときはコンセントの穴に差し込み口を入れているはずです。
それでも、間違うのは関心を持って見ていないからです。
関心を持って見ていないと、こんなことにも気づいていないのです。
会社のこと、チームのこと、チームメンバーのことなども同様です。
関心を持って見ていないと何も見ていないのと同じなのです。
愛情の反対は何でしょうか。
憎しみ、怒りでしょうか。
どちらでもなく、〝無関心〟だそうです。
マザー・テレサの言葉だそうです。
憎しみや怒りは相手の存在を認知しています。
そして、相手を人として見ています。
〝無関心〟は、相手を人として見ていません。
その存在さえ認知されていません。
だから、これが最も愛情のない行為かもしれません。
人は寂しいと、相手に怒りをぶつけることがあります。
「もっと、私を見て、私に関心を持って」という気持ちが怒りに変わるのです。
では、関心を持っていることを表現するにはどうしたらいいのでしょうか。
直接、「私はあなたに関心を持っています」と、伝えることではないと思っています。
なにげない、朝の挨拶や呼ばれたときの返事、そして、接するときの優しい笑顔とアイコンタクト、話を聞くときの、うなずきとあいづちだと私は思っています。
だから、愛情を伝える行動はそんなに難しいことではなく、本当はとても簡単なことなのです。
しかし、職場でも家庭でもおろそかにされているのが、このような、なにげない行動なのです。
愛情というアンテナを立てたらどうしたら相手が嬉しいかという心の声が聞こえてきます。
すると、その声に応えて、笑顔で優しく行動することができるはずです。
相手が嬉しいこと、喜ぶことをする人がいるとチームは明るく元気になります。
●相手のよいところに気づく リンゴの絵を2つホワイトボードに描きます。
1つは丸いリンゴ、もう1つは欠けたリンゴです。
どちらが気になるか聞きます。
すると、ほぼ全員が欠けたリンゴが気になると答えます。
人は欠けたものが気になるようになっているのです。
欠けたものとは、欠点、問題点、不安なところ、嫌なところなどと置き換えることができます。
もし、それらが気にならなかったら、自分の生命を守ることができなくなるでしょう。
たとえば、ふだんと違って街の中でクマが歩いていたとしたら、逃げないと襲われるかもしれません。
そのようなことに気づいて命を守るために、欠けたところや不安なことに気づく DNAが人間には植え付けられているのです。
それは誰にでも備わっているものです。
しかし、人を見たときにいつも欠点ばかり気になってしまうと、その人とのよい関係を築くのが難しくなります。
人を見るときは、リンゴの欠けたところではなく、実のある方、つまり、よいところを見るとよいのです〝よいところは何かな〟と思って見ると、その人のよいところに気づけるはずです。
そして、自分自身を見たときも欠点ばかりを見てしまうと、セルフイメージを下げてしまいます。
自分自身もよいところを見るのです。
よいところを見る習慣を身に付ける方法があります。
それは前述した最近うれしかったことを話すことなのです。
最近のできごとの発表、もしくは最近のニュースを話してくださいと言うと、マイナスのできごとの発表が多くなります。
最近うれしかったことをテーマにチームで話をすると、みんなを笑顔にすることができます。
うれしかったことをテーマにして、定期的にチームで発表をする時間を取るようにすると、うれしかったことを話すために、うれしかったことを見つけて準備するという習慣が身についてきます。
それがよいところを見る習慣にもなるのです。
チームリーダーになる人にはよいところを見る習慣が欠かせません。
チームメンバーのよいところを見つけられる人をチームリーダーにするとチームがうまく回るようになります。
チーム全員でうまくいったこと、がんばったことのプレゼンをしてもらったことがありました。
そのときに、その場でダメな自分を吐露する人もいました。
子ども時代や学生時代に、何かあると反省しなさいと言われて、ダメな自分を伝えることが習慣になっていたのかもしれません。
リンゴの欠けたところを探して、それを人に言うのが大好きな人がいます。
自分の欠けたところだけでなく、他の人の欠けたところを見るのも習慣になっているのです。
欠点を見る人は過去を見ています。
そうでなく、未来を見たほうが体と心が楽になります。
「何で失敗したのか」とできない原因を探す質問よりも、「どうしたらうまく行くのか」という質問をして、未来を見ることです。
反省ばかりをしている人生は暗くなるし、それを聞いている周りの人も嫌な気持ちになります。
それに、人生は短いので、反省ばかりをしている時間はないはずです。
●褒め言葉単語テスト チームメンバーに褒める単語をできるだけ多く書いてもらうとチームの褒める風土の現状がわかります。
次のように進行します。
「時間は 7分間です。
単語でよいので、褒め言葉をたくさん書いてください」 褒める単語を書く試験です。
すると、なかなか書きだすことができない体験をすることができます。
褒める目的や重要性はわかっているのだけれど、そもそも褒める単語が記憶されていないことに気づくことができます。
英会話をする際には、英単語が記憶されていないと英会話はできません。
褒めるのも同様で、褒める単語が記憶されていないと褒め言葉が出てこないのです。
褒めるのが苦手だと言う人がいます。
褒めるのが苦手なのではなく、褒める単語が脳の中にインストールされていないのです。
それは、褒める単語を覚える機会がなかったこと、言われた体験が少なかったこと、そして、言った体験が少なかったことが大きな原因なのです。
そのことに気づくのがこのテストの目的です。
一般的な会社の平均は 35個です。
退職者が多い会社でこのテストをしました。
平均が 15個でした。
中には 10個程度の人もいました。
言葉は習慣なので、日常会話で相手を褒める言葉を使っていないこと、そして、相手のよいところを見る習慣もないことがわかりました。
相手の欠点ばかりを指摘し、よいところに気づかない職場の空気。
退職者が多い原因はそこにあったのです。
●ほめことばあいうえお表 音読 一般社団法人日本褒め言葉カード協会が作成した〝褒め言葉あいうえお表〟 200選を音読すると、褒める風土の土台ができあがります。
これは延べ 2000人からアンケートを取って、言われてうれしい褒め言葉をあいうえお順に並べたものです。
これを順番に声に出して読んでいきます。
チームリーダー
チームリーダーは次のことを伝えます。
「音読する人は、気持ちを込めてそれを声に出してください。
表情でも伝えてください。
そして、聞く方は褒め言葉を見ながら、1つひとつの褒め言葉を自分が言われたと思って心で感じながら聞いてください」。
この実習をやると、チームメンバーの表情がだんだんに笑顔になっていきます。
上機嫌の笑顔に変化していきます。
場の空気を変える効果があります。
●即効褒め言葉 チームメンバーを 4人 ~ 6人のグループに分けます。
全員に 1枚ずつ付箋を配布します。
それに自分の褒めて欲しい褒め言葉を書きます。
自分のモチベーションの上がる褒め言葉を1つだけでいいので大きく書きます。
それを班の全員が見える場所に置きます。
たとえば、「元気」、「明るい」、「たくましい」、「頭がよい」、「かわいい」「カッコいい」などです。
それを 1人ずつ班の全員が褒めていくのです。
アイコンタクトをしながら、表情と態度で書いてある言葉を本気で言うのです。
褒められた人は、「ありがとうございます」と応えます。
一周したら、さらに本気度を上げて、もう一周続けて褒めていきます。
スピードも大切です。
たった 3分で班のメンバーが明るく元気になります。
特別編として、その日に誕生日の人がいるようなケースでは、全員でその 1人のために希望する褒め言葉を言うのも楽しくて盛り上がります。
●マイナス語 W 褒め言葉 Wの反対がマイナス語 Wです。
あるチームメンバーの発言で「腹が立つほど重い荷物を運んだ」と聞いたことがあります。
「腹が立つ」と「重い」の両方とも暗い気持ちにさせるマイナス語です。
それを2つ重ねたのがマイナス語 Wです。
そのときの気持ちは伝わってきますが、暗い気持ちも同時に相手に感じさせてしまいます。
聞いているほうもやる気がどんどんなくなっていきます。
他のマイナス語 Wの事例ですが、「苦しくて嫌だ」、「本当にやる気が出ない」、「しんどくて辛い」など考えたらたくさん出てくるかもしれません。
マイナス語の前に、副詞を付けても同様になります。
たとえば、「すごく悔しい」、「とても苦しい」などです。
チームビルディングに失敗するチームリーダーは、無意識にマイナス語 Wの言葉をチームメンバーに言っています。
「本当にバカだな」、「全く仕事ができないな」、「もういい、お前なんかいなくていい」などです。
成功しているチームリーダーは、相手はもちろん独り言でもこのマイナス語 Wを使うことはありません。
パワーハラスメントの問題を起こしている会社は、このマイナス語 Wを撲滅する運動をするとよいでしょう。
まず、当事者に気づいてもらうことです。
本人は叱って指導しているつもりでも、言い過ぎるとパワーハラスメントになります。
そのときの言葉は、ほとんどがマイナス語 Wになっているのです。
●褒め言葉 W実習 褒め言葉 Wとは、褒め言葉を2つ重ねて相手を褒める方法です。
たとえば、「明るい」と「元気」の褒め言葉を2つ重ねて、「明るくて元気」と相手を褒めるのです。
「楽しくて幸せ」「最高におもしろい」「きれいで美しい」など、重ねて言うと効果が大きくなります。
「とても」、「本当に」などの副詞を肯定語の前につけて言っても同様の効果があります。
「とても楽しかった」、「本当に嬉しい」などの言い方です。
相手に与える嬉しさは、 2倍以上になります。
さらに、相手の心をつかむ褒め言葉 Wの使い方があります。
「やっぱり」、「意外と」、「本当は」などと組み合わせて相手を褒めるやり方です。
「やっぱり」と「優しい」で組み合わせると、「やっぱり優しい」ということになります。
「前から優しいと思っていました。
今でも優しいと思っています」という気持ちを表現することができます。
「やっぱり能力高い」「やっぱり頼りになる」「やっぱり飛び抜けている」など応用できます。
さりげなく言うと効果が大きいのは、「意外と」の後に褒め言葉を付け加えるやり方です。
「意外と優しい」「意外と素直」「意外とおもしろい」などです。
また、「本当は」の後に褒め言葉を加えるのも、〝私だけがあなたのよさを知っている〟と表現できる効果があります。
「本当は素直」「本当は優しい」「本当はロマンチック」などです。
この褒め言葉 Wは、自分自身に向かって言う習慣のある人は少ないものです。
聞く方にも、また言う方にとっても、2つ重ねて言う効果はとても大きくなります。
成功するチームリーダーは褒め言葉 Wをチームメンバーに言うことが習慣になっています。
●ホメホメトランプ 企業研修でホメホメトランプを使った研修をしています。
ホメホメトランプは、家庭や学校、社会人にとって、コミュニケーションに欠かせない褒め言葉を厳選し、全部で 54枚のトランプにしたものです。
言葉だけでなく、可愛いキャラクターといっしょに絵で見ることができるので、褒め言葉を楽しく記憶にとどめることができます。
たとえば、褒めることが苦手なのは、すぐに褒め言葉が出てこないからです。
そして、相手が喜ぶ褒め言葉がわかっていないからです。
ホメホメトランプを使った遊び方で、相手が喜ぶ褒め言葉が簡単にわかります。
何度か繰り返して言っていると、相手が喜ぶ褒め言葉が無意識に出てくるようになります。
楽しく褒める習慣を身に付けることができるのです。
職場でホメホメトランプをすると、職場での楽しい笑顔での会話が弾むでしょう。
お互いを認め合う関係が深まるのです。
そして、楽しくトランプで遊んだ体験は、お互いの絆を強くすることになります。
ホメホメトランプの効果は、相手が喜ぶ褒め言葉がわかって、相手を褒めるのが上手になる。
お互いが褒められ認められて楽しい体験をすることができる。
褒め言葉のシャワーを浴びてセルフイメージが向上するなどがあります。
─僕がホメホメトランプをつくったワケ─(藤咲徳朗) 家庭の事情で小学校しか出ていなかった父は、口数も少なく、気持ちを言葉にすることが不得意な人でした。
それが原因だったのか、福岡県の炭鉱の町だった中間市で開いていた家業の自転車屋も繁盛しているとは言えない状況でした。
だから、僕は、欲しいものをねだることはいけないことだと思っていました。
僕の友だちが、模型飛行機のおもちゃを持っていました。
高価なおもちゃで、うちでは買ってもらうことは無理だとわかっていました。
あこがれながらそれをながめていました。
その友達はさわらせてもくれませんでした。
父は、おもちゃを買うその代わりにトランプで遊んでくれました。
米軍の施設で運転手として働いたことがあったそうで、ポーカーなどでアメリカ兵と楽しんだそうです。
父親に水のことを英語で何と言うかと聞かれたので、「ウォーター」って答えたら、米兵は「ワーラー」って言うと嬉しそうに教えてくれました。
父親とは僕が幼稚園に入る前から、トランプをして遊んでいました。
たぶん、 1年間のうちの半分くらいは、遊んでいた感じがします。
そして、炭鉱も閉山して、たくさんの人が炭鉱住宅からいなくなりました。
小学校 1年生の頃は、全校で 1000人くらいの小学生がいたのだけれど、 5年生になると 300人ほどまで減少しました。
買う人がいないので、自転車屋はうまく行かず、大阪に引っ越しをしました。
父は短気な性格と口下手なところがあって、大阪では何度も仕事を変わりました。
そんな父の楽しみは、小学生だった子どもたちとのトランプ遊びでした。
仕事から帰ると、私と妹との 3人でトランプをして遊んでいました。
毎日、 1時間以上、遊んでいました。
私は小学校 6年生だったので、父の苦労はわからないでいました。
家族の生活を守るために、嫌なことも我慢していることなど知らないでいました。
大人になった今ならわかります。
学歴もなく、口下手な父がどんなに苦労したか。
僕は今、ホメホメトランプをつくりました。
父が小学生時代に教えてくれたトランプ遊びが、そのきっかけとなっているのは間違いありません。
父がくれた最初の素晴らしいトランプ遊びという贈り物を忘れることはできません。
そこには愛情がたくさん詰まっていました。
トランプを見ると、いつも、言葉が下手で、子どもを褒めることさえも苦手だった父親のことを思い出します。
父の悲しみや悔しさ、悩みや怒りさえも今ならわかります。
ホメホメトランプは、トランプをしながら褒め合うことができるトランプです。
そのトランプを使ったセミナーでは、出会う受講者の 1人ひとりを、家族のように成長を願いながら勇気づけています。
来てくれる人たちには、父親が私にくれた優しいまなざしと、同じまなざしをおくっています。
トランプをしながら、父親がどんなに私のことが好きだったかわかるようになりました。
天国から見ている父親のためにも、出会ったたくさんの人たちに夢と希望を与えることができたら幸せです。
~父親への感謝を込めて ~ 藤咲徳朗 追伸 このような動機でつくったホメホメトランプをある中学校の校長先生が、生徒全員と遊んでくれました。
いじめがなくなった。
不登校がなくなったと伝えてくれました。
小学校の授業時間にも使われるようにもなりました。
ありがとうございます。
天国の父も喜んでいると思っています。
●ほめ言葉サークル チームメンバーが一気に打ち解ける方法があります。
褒め言葉サークルです。
やり方は、チームメンバー全員が丸く輪になって椅子に座ります。
そばにいる人どうしが、ペアになって椅子に向かい合わせに座ります。
Aさん、 Bさんを決めます。
Aさんが最初に Bさんのよいところを 1分間伝えます。
Bさんは、言われるたびに笑顔で 「ありがとうございます」と答えます。
1分間たったら交代して、今度は Bさんが Aさんを褒めます。
終わったら握手をします。
次に Aさんが時計周りに移動して、新しい Bさんとペアになります。
新しいペアで最初に Aさんが Bさんによいところを 1分間伝えます。
終わったら交代して Bさんが Aさんを褒めます。
終わったら握手をします。
これをサークルで 1周するまで続けます。
終わったら、全員が輪になって感想を伝え合います。
ほとんど会話をしたことがないようなチームメンバーも、これをやった後は会話が弾むようになります。
そして、何回も繰り返していくと褒めるのが苦手な人も慣れてきます。
最初は 1分間褒めることができなかった人も、できるようになります。
相手のよいところに気づくようにもなります。
その日だけでなく、日を空けて、何度か繰り返しましょう。
繰り返すことがポイントです。
ほめ言葉サークルの注意事項があります。
ウォーミングアップの時間をたっぷりと取ることです。
最近うれしかったことやどちらが好きかなどを体験した後だと効果が大きいです。
●褒めるときの心構え 褒めるときの心構えがあります。
デール・カーネギーの「人を動かす」からの引用です。
「相手を褒めることで、私が何かを期待していた!! 何たることをいうんだろう!! 他人を喜ばせたり、褒めたりしたからには、何か報酬をもらわねば気がすまぬというようなけちな考えを持った連中は、当然、失敗するだろう」 褒めて相手から何かをもらうというような人は、褒められた人から見透かされてしまいます。
その褒め言葉が嘘だったと思われてしまいます。
心から、相手のことを思っている愛情や思いやりが入った言葉を伝えるのが褒めるということです。
褒めるとは、見返りなど、もらおうと思わないで行なう行為です。
もし、もらえたとしても、それは相手の喜びの笑顔くらいなのです。
しかし、その相手の笑顔は、褒めた人にとっても最高の喜びになります。
自分自身も笑顔になれるのです。
笑顔の連鎖があったとしたら、いつも、そのきっかけとなっている最初に誰かを褒めている人が、一番の笑顔のよい人になっているのかもしれません。
もう1つ、デール・カーネギーの「人を動かす」からの引用です。
「お世辞は分別のある人には、まず通用しないものだ。
お世辞というものは、軽薄で、利己的で、誠意のかけらもない。
それが通用しなくて当たり前だし、また、事実、通用しない。
結局のところ、お世辞というものは、利益よりむしろ害をもたらすものだ。
お世辞は偽物である。
お世辞と感嘆の言葉とは、どう違うか。
後者は真実であり、前者は真実ではない。
後者は心から出るが、前者は口から出る。
後者は誰からも喜ばれ、前者は誰からも嫌われる」 褒めることは、相手を思い通りに動かすために、お世辞やおべっかを言うこと、もしくは相手に、こびへつらうことと勘違いをしている人がいます。
そのような解釈や、言葉の意味の説明をしている辞書や文献を私は見たことがありません。
一般社団法人日本褒め言葉カード協会では、「相手を明るく元気にすること、夢や希望を与えることを目的として行う言動」を〝褒める〟と定義づけしています。
具体的には、『ねぎらい、共感、好意的感嘆、笑顔、激励・応援、承認、よい点の指摘、プラスの可能性の示唆、感謝』などを伝えることだと教えています。
協会では褒めるときのルールを教えています。
この 10か条を守って相手を褒めると喜んでくれるでしょう。
付録( 174頁)に褒め言葉語録を載せました。
褒めるときに大切な心がまえがわかります。
2 表情力 人に接しているときに、表情の変化が全くない人がいます。
気持ちを伝えるときも言葉だけで伝えようとするので、相手に気持ちが伝わっていません。
表情、アイコンタクト、身振り・手ぶりの大切さに気づかせてあげる方法があります。
●メラビアンの法則で不一致体験 メラビアンは、人と人とが直接顔を合わせるフェイス・トゥー・フェイス・コミュニケーションには、3つの要素(言語情報・聴覚情報・視覚情報)があると
定義しました。
そして、聞き手が、3つの要素に矛盾があるメッセージを受け取ったときに、どれを重要視するかを調べる実験を行いました。
たとえば、「怒った顔の写真」を見ながら「不機嫌な声」で「ありがとう」と言う。
このようなメッセージを聞かされたとき、受け手側が、話し手側の感情を「好意」と判断したら、「言葉」のインパクトが強い、と判断したのです。
「好意や反感などの感情を伝えるコミュニケーション」という特定の状況下において、言語情報と聴覚情報と視覚情報が矛盾した場合、相手が重視するのは『言語情報:メッセージの内容』が 7 %、『聴覚情報:声のトーンや口調」が 38%、『視覚情報:ボディランゲージや見た目』が 55%だったそうです。
ここだけを切り取って、言語情報に価値がないと話す人が多いのだけれど、不一致のときという前提条件があったのです。
これを体感できる方法があります。
相手に向かって〝笑顔〟の〝優しい声〟で〝ばか〟と言うのです。
大半の人が、とてもうれしくなるそうです。
〝ばか〟と言われて思わず〝ありがとう〟って応える人もいます。
笑顔の表情や優しい声の方が言葉よりも、このような不一致のときは伝わるのです。
たとえば、朝の〝おはようございます〟のあいさつは、言われてうれしいものです。
しかしながら、その表情が嫌そうで、声も暗かったとしたら、言葉よりも表情が伝わるから相手には不快感を与えてしまうのです。
不機嫌な職場は表情が暗いのです。
●喜怒哀楽体験 喜怒哀楽の4つの表情を当てる体験は大きな気づきがあります。
ペアになります。
一方が「喜」、「怒」、「哀」、「楽」の表情をランダムに1つずつおこないます。
ペアの相手は、それを見てどの表情だったのか、その順番をメモしておきます。
4つとも終わったら答え合わせをします。
交代してペアのもう 1人も体験します。
喜怒哀楽の表情が全くできていない人がいます。
何をしても、どんなことがあっても喜んでくれない、失敗したとしても無表情、こんなチームメンバーがいたとしたら、他のチームメンバーはどのように対応したらいいのか迷ってしまうでしょう。
そして、この体験で自分の表情力の乏しさに気づくことができます。
感情と表情が一致していない人がたくさんいます。
怒る表情をつくれなくて笑顔になっている人もいるのです。
本当の笑顔になるためには真逆の怒った表情もできないとなりません。
振り子の法則なのです。
●笑顔とまじめな顔体験 普段の表情については、無頓着な人が多いです。
自分の表情が相手を不快にさせているかもしれないと気づくことができる方法を紹介します。
「笑顔」と「真面目な顔」と書いた付箋を用意します。
受講者の中から 2人を選びます。
その 2人に相手の内容がわからないように別々に付箋を渡します。
そこにいる全員に参加してもらってどんな表情か当てていきます。
「笑顔」はわかりやすいです。
ところが、「まじめな顔」を見て、いろいろな答えが出てきます。
「まじめな顔」は他の人から見ると「怒った顔」になる人がいます。
もしくは、「恨んでいる顔」や、「悲しい顔」、「無表情」と言われる人もいます。
相手が自分の表情を見て感じる感情は、自分の思っているものとは違うことに気づくことができます。
「まじめな顔」で一生懸命に仕事をしている人がいます。
しかし、それは周りの人からは「怒っている顔」に見えるケースが多いのです。
不機嫌な職場は、まじめな顔で仕事をしているチームメンバーがつくっているケースがあります。
その表情が怒っているように見えるからです。
見ている人がいることを意識しておく必要があります。
上機嫌な職場をつくるためには、にこやかに仕事をすることの大切さも意識しておきましょう。
●無言誕生日実習 言葉にしなくても非言語の情報でコミュニケーションが伝わる体験ができる実習があります。
全員が誕生日の月日の順番に丸く順番に輪になって並ぶ実習です。
次の注意事項を伝えます。
「これから誕生日の順番に並んでください。
年齢は関係ありません。
月日の順番に並びます。
たとえば、1月 1日生まれの人から円がスタートします。
インストラクターの私が基点になります。
次々に並んでいって円の最後は 12月 31日になります。
ただし、言葉を出してはなりません。
身振り、手振り、アイコンタクト、表情で意思を伝えあうことはかまいません」。
時間をタイマーで計測して、スピード感を出すと真剣になってくれます。
この実習では、言葉にしなくてもお互いのコミュニケーションができる体験をします。
ノンバーバル(非言語)のコミュニケーションの重要性を感じることができます。
身体を使って全員でやるので場が活性化される効果もあります。
ちなみに、この実習では話をしっかりと聴く習慣がない人ほど間違うようです。
ところで、その日、誕生日の人がいたりしたときには、サプライズとして皆でハッピーバースディーを歌うと盛り上がります。
チームメンバーの絆を深めることができます。
●好きな芸能人は誰 一瞬で表情がよくなる方法があります。
好きな人のことを思い浮かべることです。
チームメンバーを集めて、好きな芸能人を 1人ずつ発表をしてもらうと、最高の笑顔で話してくれるでしょう。
ふだん見ることができない笑顔になっている人もいます。
それを見ている他のメンバーも笑顔になることができます。
3 体を動かすチームビルディング 行動しない人は、頭だけで考えてばかりいるので五感がさびついてしまっています。
周りの人から見ると、その人の表情は喜んでいるのか、悲しんでいるのかさえわからなくなっています。
体を動かしたチームビルディングがあります。
●新聞紙お手玉ゲーム マンネリ気味のチームが活性化される方法があります。
新聞紙お手玉ゲームです。
コミュニケーションが取れて仲良くなれます。
沈滞気味な朝礼を活性化したいときにもいいかもしれません。
用意するものは新聞紙だけです。
新聞紙の 1枚の半分を使います(これを人数分用意します)。
ハサミはいりません。
きれいに切らなくて、手で適当に破って半分にしてかまいません。
それを丸めてお手玉にすれば準備 OKです。
そして、集まった人を 4人から 5人にグループ分けをします。
グループになったら、それぞれのグループで、その新聞紙のお手玉を同時にパスして、 1分間に何回パスできるかを競うゲームです。
最初は数回しかできないでしょう。
練習時間を 3分ほど取って、それぞれのグループで練習をしてもらいましょう。
約 3分たったら、作戦タイムを設けます。
位置や並び順や掛け声のかけ方、そして、お手玉の大きさなどを話し合って改善するのです。
その後に 3分間ほどの練習をして本番です。
本番は 1分間です。
グループごとに本番を実施します。
ストップウォッチを用意して、それぞれのグループごとに回数を計ります。
開始前に目標回数をメンバーに聞いてみましょう。
そして、全員が1つのグループに注目して、皆で声援を送るようにしましょう。
賞品を用意して、グループ対抗にすると、結構熱くなります。
練習と改善効果で 50回以上できるグループも出てきます。
終わったら、チームワークという観点で振り返りをしましょう。
いろいろな意見が出てくると思います。
「最初は、ほとんどできなかったことが、みんなでやると決めて行動するとできた」、「目標を持つことが大切だとわかった」、「チームリーダーの役割を果たす人がいた。
リーダーシップの大切さがわかった」「あきらめなかった。
負けたくないと思った」などです。
この体験を観察すると、普段の仕事ぶりも推測できます。
リーダーシップを振るう人、一生懸命熱くなってやる人、冷めた感じで周りに合わせているだけの人、考えるよりも練習する人、考えてばかりで練習をしない人などです。
このような態度を見て、リーダーシップのある人を見極めることもできます。
たとえば、採用面接でのグループワークとしても使えます。
私が採用をするとしたら、一生懸命に熱くなってやる人を採用します。
行動力があり、現場でも一生懸命に仕事をしてくれる可能性が高いからです。
そして、チームリーダーには熱くなって行動をする人を選抜するようにします。
●本気のジャンケン体験 朝礼や研修で集まった人どうしで、 2人のペアになります。
ルールは簡単です。
次のように説明します。
「ジャンケンをして勝った人は本気で身体を使って喜びを表現しましょう。
負けた人も身体を使って悔しさを表現しましょう」。
こう言ってから、チームリーダーは、近くの人とペアになってやって見せます。
すると、イメージが伝わります。
そして、次のように進行します。
「はい、それでは全員ペアになりましたか。
本気のジャンケン、スタート!」一斉にジャンケンが始まります。
勝って本気でこぶしを上げて喜ぶ人がいます。
負けて倒れこむ人がいます。
1回だけで終わってもいいですし、そのまま、勝ち抜きで本気のジャンケン大会をするのも盛り上がります。
●ハイタッチ体験 嬉しいときに身体で喜びを表現するハイタッチ体験があります。
ボウリングでストライクを出したときに、仲間どうしでハイタッチをするイメージです。
たとえば、前述の本気のジャンケンで勝った人どうしでハイタッチをすると盛り上がるでしょう。
やり方は、 2人ペアになって、右手どうしでタッチ、左手どうしでタッチ、そして両手でタッチをする動作を 3回連続でやるとリズム感も出てきます。
●一番ポーズ体験 たった 1分で元気になる体験ができます。
立って足を肩幅に開いて、腰に手を当てて、一本指で上を指しながら、プラスの言葉を言うのです。
「一番」、「やった」、「できる」、「いいね」など、自分の好きな言葉を言ってみましょう。
すると、五感が反応して、明るくなるのです。
そして、このポーズのまま、否定語を言っても気持ちは元気になることも体験しましょう。
「いやだ」、「ムリ」、「できない」などの否定語です。
上を向くと、これらの否定語を言っていても、気持ちが明るくなることを体験できるのです。
否定語を言わないでおこうと思っていても、つい、言ってしまうものです。
その際は、上を向いて言うようにしましょう。
気持ちが軽くなって、むしろ、明るく元気になれるのです。
●決意の体験 私たちは、はなから目標達成についてあきらめてはいないでしょうか。
自分自身があきらめていたら、どんなによいやり方を選んでも目標達成はできません。
また、軽い気持ちで「できたらいいな」、「やろうかな」程度の思いでは目標達成はできません。
やろうと本気で決意しないことは決して実現しないのです。
そのことを体験できる方法があります。
準備するものは椅子1つだけです。
この椅子に座った人を、他の 4人が指だけで持ち上げるのです。
持ち上げる人は、指を両手で組んで人差し指だけを突き出す形にします。
そして、 4人がそれぞれ持ち上げる人の脇の下と、ひざの下に組んだ両手の人差し指を入れて持ち上げるのです。
最初は何の説明もしないで、持ち上がるかどうかをやってもらいます。
通常は持ち上がりません。
持ち上がったとしても少し浮く程度です。
次に気持ちを1つにしていただきます。
リーダーを決めて、持ち上げる人の頭に手をかざして、やるぞと気持ちを1つにします。
全員で持ち上げると強く決意してもらいます。
そのために、「やるぞ!」と全員が大きな声を出します。
気合いを入れて再度実施すると、軽々と指だけで持ち上がります。
やると決意することで結果が違うことがわかります。
1人ひとりに、この実習の体験の感想を聞くと効果が大きくなります。
「最初は全然できないと思った」、「ムダなことをやっていると思っていた」、「いつも最初からあきらめている自分がいた」などの感想を聞くことができます。
たとえば、言葉で「 ~~したいと思います」というクセのある人がいます。
その人はほとんどしたいことは実現しないでしょう。
「 ~~します」と強く決意する人が実現できる人です。
4 よい習慣を身に付ける チームを明るく元気にするためには、ふだんの習慣を変えないとなりません。
不機嫌な表情や言動をするのはそれが習慣になっているからです。
習慣力強化の楽習チームビルディングがあります。
●私は誰だろう 次の詩を読んでもらって、「私は誰」と質問をしていきます。
出てきた答えをホワイトボードに書きながら進めましょう。
『私は誰だろう』私はいつもあなたのそばにいる。
一番頼りになる助け手でもあれば、あなたが背負う最大の重荷でもある。
成功の後押しもすれば、足を引っ張って失敗にも導く。
私はあなたの命令次第で動く。
あなたのすることを私に任せてくれれば、私は素早く正確に片付けてしまう。
私の扱いは簡単。
しっかり指示すれば、それでいい。
どのようにしてほしいのかを明確に示してくれれば、少しの練習のあとで自動的にそのことをこなす。
私はすべての偉人の下僕であり、そして残念ながら、すべての失敗者の下僕でもある。
偉大な人が偉大になったのは私のおかげ。
失敗した人がしくじったのも私のせい。
私は機械ではないが、機械のように正確に、そして知性あふれる人間のように賢く働く。
利益になるように私を使うこともできるが、破綻をきたすように使うこともできる。
私にとってそれはどちらでもよい。
私を利用して訓練し、しっかりと指示してくれれば、世界をあなたの足もとに届けてあげよう。
しかし、私を甘く見れば、あなたを滅ぼすだろう。
私は誰だろうか?(作者不詳) まず、チームメンバーに答えは何か聞いてみましょう。
「心」「脳」「自分自身」などの答えが出てきます。
考えてもらった後に、答えは「習慣」だと教えます。
偉大な人が偉大になったのもよい習慣を持っていたからです。
失敗する人は失敗する悪い習慣を持っていたからです。
そんなことがこの詩で理解できます。
●後出しジャンケン体験 チームリーダーがジャンケンで出したものに対して、後出しでよいのでチームメンバーが勝つというジャンケンをします。
たとえば、チームリーダーがグーを出すと、チームメンバーはパーを出すのです。
違うものを出しながら何度か繰り返していきます。
後出しだからスムーズに勝つことができます。
次に、後出しジャンケンで負けることをチームメンバーに指示します。
チームリーダーがグーを出したら、チームメンバーはチョキを出すのです。
違うものを出しながら何度か繰り返していきます。
すると、勝つよりも負けるほうが難しいことに気づくでしょう。
ジャンケンは勝つという習慣を自動的に身に付けているからです。
この体験で自分自身が習慣で行動していることに気づかせることができます。
●逆腕組み体験 「腕組みをしてください」と伝えます。
そして、どちらの手が上になっているか確認してもらいます。
次に、上になっている手と下になっている手を逆にして腕組みをしてもらいます。
上になっている手を下にすることに違和感を覚えるはずです。
受講者の中には、手を逆にしようとして、手をクルクル回したまま腕組みができない人もいます。
習慣が働いて自動的に慣れた方の手を上にしてしまうのです。
習慣で動いていることが実感できる体験ができます。
●否定語・肯定語体験 言葉には肯定語(ポジティブな言葉)と否定語(ネガティブな言葉)という分類があります。
たとえば、職場で「この仕事をお願いします」と言われて、「忙しくてできません」というのは否定語です。
さらに、「私にはムリです」、「できません」、「むずかしい」という否定語もあります。
否定語を言われると、エネルギーがなくなっていく感じがするはずです。
それを体験できる方法があります。
まず、ペアになります。
1人が右腕を横に伸ばしたまま肩の位置までまっすぐに伸ばします。
そのまま力を入れてもらいます。
もう 1人の人が、それを上から徐々に力を入れて下に下げようとします。
相当な力が必要になるはずです。
次に「いやだ」「ムリ」、「できない」と言葉に出して 3回言ってもらいます。
そして、腕を同じように横に伸ばしてもらって、もう 1人の人が上から徐々に力を入れて下げていきます。
すると、ほとんど力を入れなくても下に下がるはずです。
そして、今度は「できる」、「強い」、「すごい」と 3回言って同じように手に力を入れてもらい、もう 1人が手を上から下げようとします。
なかなか手ごわくて下がらないはずです。
1人が体験したら、ペアを変えて体験してみましょう。
言葉には強い効果があります。
口に出した言葉も効果があるのだけれど、思っただけでも効果があります。
成功する人は肯定語を使ったプラスの効果を使っています。
失敗する人は何気なく否定語を使っているのでマイナス効果を使っているのです。
●脳は否定形を理解できない 肯定形で話す大切さを教えることができるよい実習があります。
受講者全員に目をつぶってもらいます。
そして、これから私の言うとおりにしてくださいと伝えておきます。
そして、次のことを話します。
「ピンクのゾウをイメージしないでください」。
もう一度、言います。
「ピンクのゾウをイメージしないでください」。
目を開けてもらって、受講者の 1人に頭の中に何があるか聞いてみます。
「ピンクのゾウ」そう答えるはずです。
ピンクのゾウをイメージしないでくださいと言われても、頭の中にはピンクのゾウがイメージされているのです。
「ピンクのゾウ」という最初の言葉で、イメージしてしまうのです。
一度、イメージしたことは「しないでください」と言われても記憶に残っているのです。
例題です。
「バレエを踊っているクマのことをイメージしてはいけない」 →バレエを踊っているクマをイメージしたと思います。
「赤いハチマキをしているタコのことをイメージしてはいけない」 →赤いハチマキのタコをイメージしたと思います。
だから、この否定形で言葉を話す習慣のある方は、相手にも自分にもマイナスの結果を出す傾向があるのです。
「入学試験に落ちないように頑張れ」 →入学試験に落ちることをイメージしてしまう。
「交通事故に気を付けなさい」 →交通事故をイメージしてしまう。
「酔っぱらい運転をするな」 →酔っ払い運転をイメージしてしまう。
「風邪をひかないように気を付ける」 →風邪をイメージしてしまう。
「嫌われないように相手に接する」 →嫌われることをイメージしてしまう。
このような言葉の使い方は、最初の言葉でイメージをしてしまうので、そのイメージに影響をされてしまいます。
「 ~してはいけない」、「 ~するな」などのような言い方が習慣になっている人がいます。
それが、マイナスの効果があることをわかっていないとなりません。
チーム力を上げるためには、肯定形で話すチームを築かないとなりません。
そして、言葉に出さなくても、思っただけでも同じようにマイナスの効果があります。
たとえば、「会議の発表で失敗しないようにしよう」と思うと失敗という言葉に引きずられてマイナスのイメージを持ってしまうのです。
すると、会議に出る
ことが嫌な気持ちになります。
その嫌な気持ちが表情や態度に出てしまって、会議の発表で失敗するかもしれません。
人は心の中で思うこと( =内部対話)の 9割以上が否定的なことだというのが心理学の定説です。
この内部対話を肯定的なものに変えるために、チームメンバーが肯定語を話す習慣を身に付けて、お互いによい影響力を与えるようにすると、 1人ひとりの内部対話も肯定語が多くなってくるのです。
すると、表情や言動が不機嫌から上機嫌に変化してきます。
●リフレーミング体験 事実は変わらないかもしれませんが、とらえ方を変えると、自分自身の受取り方や反応や行動が変わります。
事実のとらえ方を言い換える実習をしてみましょう。
4人程度のグループになって、メモに困った状況を書いて発表をしていきます。
たとえば ①「物事がすぐには決められない」、 ②「すぐ忘れる」などです。
これらを皆で話し合いながら、肯定的な言葉に変えていきます。
①は、「慎重なんですね」と置き換えることができます。
②は、「大らかなんですね」と置き換えることができます。
私が参加した実習で、ある女性が「切れやすい」のが欠点だと話していました。
周りの人に対して〝瞬間湯沸かし器〟のようになって怒ってしまうそうです。
「情熱的なんですね!」と、私が言い換えて伝えると、その女性は満面の笑顔になりました。
「切れやすい」自分を前向きに捉えることができたと話してくれました。
同じく 4人程度のグループになって、今度はよい状況をさらにパワーアップして言い換える実習をします。
よい状況をメモに書いて発表をして、これらを皆で話し合いながら、パワーアップして言い換えるのです。
たとえば、 ①頭がいい →天才。
②姿勢がいいね →姿勢が美しい。
③よいことがあった →夢みたいによいことがあった。
④笑顔がいい →笑顔がキラキラと輝いています。
このような言い換えが難しければ、「最高」、もしくは「素晴らしい」、この言葉をプラスしてよいことを表現すると、簡単にレベルアップした言い換えになります。
たとえば、おいしい →最高においしい、さわやか →最高にさわやか、などです。
よいことの言い換えは、少しオーバー気味に表現するのがポイントです。
この言い換える能力が高い人は周りの人を明るくしてくれます。
物事のとらえ方を変えて言い方を工夫すると、事実は変わらなくても、自分自身の感情や行動が変わってきます。
結局は、どのような状況でも、自分のとらえ方しだいという柔軟な思考や態度が大切です。
●できないと思っていることは 自分自身の本当の思いを知る方法があります。
付箋をチームメンバーに配布します。
付箋に「できない」と思うことを書いてもらいます。
ただし、「空を飛ぶ」など、常識的に考えて「できない」ことは除きます。
日常生活の中で自分が「できない」と思っていることを書き出してもらいます。
終わったら、そこに書いてあることをホワイトボードに書き出していきます。
たとえば、 ①私は本を読むことができない。
②私はタバコがやめられない。
③私は飲酒をやめられない等です。
そして、書き出した「できない」と思うことを「しない」という文章に直してみます。
①私は本を読むことができない →私は本を読むことをしない。
②私はタバコがやめられない →私はタバコをやめようとしない。
③私は飲酒をやめられない →私は飲酒をやめようとしない。
等です。
すると、「できない」「無理だ」「不可能だ」と思っていたことが、実は自分の選択だったことがわかるのです。
自分で自分にはめ込んでいた「できない」という『枠組み』に気づくことができるのです。
できないことは、それをやろうと欲しないことが本当の理由なのです。
そんなことはないと反論する人には、たとえば、タバコをやめたら 1億円もらえるとしてもタバコを吸いますか? その 1本のタバコを吸ったら死ぬとしてもタバコを吸いますか? と聞くと、それならやめると言うはずです。
できないというのは、実は『しない』あるいは、『本当はしたくない』ということの「言い訳」なのです。
そのことに気づくことができる体験です。
●盲点体験 素直になって話を聞かない、行動しないチームメンバーには知らないことがたくさんあることに気づく体験が必要です。
自分の体のことさえ知らないことがあるとわかって、素直に学ぶ大切さを感じさせる方法があります。
まず左目を閉じます。
そして、図表 12の +のマークを右目だけで見ます。
右目で +のマークを見ながら、となりの黒い丸の存在を確認します。
直接に黒い丸
を見てはいけません。
視点を置くのは +のマークのほうだけですが、視野の片隅に黒い丸の存在を確認します。
そして、そのままゆっくりこの紙を近づけます。
近づけながらずっと +のマークを見つめておきます。
すると、ある一定の距離(約 30センチ ~ 50センチくらいの所)で、この黒い丸が消えるポイントがあります。
視覚の盲点に入ったからです。
そして、そのままさらに近づけていくと、またこの黒い丸は現れます。
実習をしていると、見えたり消えたりする不思議さに、体験者から歓声が上がることもあります。
目から情報が入ってくるときに受ける部分を網膜といいます。
網膜には神経線維が束になって集まっている部分があります。
その多くの神経が固まっているところは盲点といって、ここに情報が来ても全く見えないのです。
ただし、両目の盲点はそれぞれ別の角度にあり、お互いが盲点をカバーしあっているため普段は気づきません。
また、片目だけで見ても、その盲点が小さかったり、うまく脳が仕入れた情報を利用し補完してしまうので盲点に気づきにくいのです。
この実習で、自分の知らないことがたくさんあるとわかると、謙虚な気持ちになれるのです。
すると、心のコップが上を向いていない人を上向きにすることができるのです。
チームリーダーの言うことを素直に聞いてくれないチームメンバーがいたとしたら、この体験をしてもらうといいかもしれません。
5 コミュニケーション改善 ●一方向コミュニケーション チームメンバーの会話のクセを治すといいチームになります。
たとえば、コミュニケーションのとり方が適切かどうかを体験で学ぶことができます。
まず、一方向コミュニケーションの体験をします。
次の会話をロールプレイングで課長役と部下役で体験するのです。
課長「報告書の進み具合はどうだい」部下「忙しくて、なかなか進んでいないんです」課長「何やっているんだ。
他の仕事もあるのに」部下「私だって、一生懸命やっているんですよ」課長「何がそんなに忙しいんだい」部下「月末の事務処理です」課長「そんな事務処理は、短時間で処理しなきゃ。
そんなことじゃ人事考課に影響するぞ」部下「コンピュータの入力の仕方が変わって、時間がかなり取られたんです」課長「とにかく、結果が大事なんだ」 「君だって、先週やるって言ったはずだぞ」部下「はあ」 ●双方向コミュニケーション 次に双方向コミュニケーションの体験をします。
同じように課長役・部下役で体験しましょう。
課長「報告書の進み具合はどうだい?」部下「忙しくて、なかなか進んでいないんです」課長「なるほど、それで何か原因があるのか?」部下「月末の事務処理でかなり時間が取られたんです。
それは、私だけじゃないと思います」課長「それは、なぜなんだろうか?」部下「コンピュータの入力の仕方が変わって、時間が取られたんです」課長「それは、大変だったね」 「それについては、何か対策をとる必要があるかな? もし、対策の必要があるとすれば、君の意見を聴きたいんだが」部下「はい、総務部から新しいガイドが届きましたので、来週に課の勉強会を開きたいと思っています」課長「それは、いいね。
私も出席するよ」部下「ありがとうございます。
ぜひお願いします」課長「ところで、報告書の遅れについてはどう考える?」部下「はい、すでに見通しができていますので、大丈夫です」課長「わかった。
遅れた時間を挽回できるということだね」部下「はい、そうです。
がんばります」 チームメンバーが辞めるチームはチームリーダーの一方向のコミュニケーションが主流になっています。
これを双方向のコミュニケーションに変えるだけでも離職率は改善されます。
双方向のコミュニケーションのポイントは指導に重点を置いていることです。
部下に考えさせて、自分で行動ができることを意図した指導をしているのです。
このような楽習で体験すると、自分やチームの現状認識ができます。
そして、改善行動のきっかけになります。
●叱る目的体験 叱り方で失敗して、チーム内でトラブルを発生させているケースがあります。
これは叱る意味や目的を理解していないことが原因なのです。
チームメンバーに次の質問をしていきます。
①〝叱る〟という言葉を言われて、「何が見えますか?」 ②〝叱る〟という言葉を言われて、「何が聞こえますか?」 ③〝叱る〟という言葉を言われて、「何を感じますか?」 1つずつ質問をしながら、数人に質問の答えを聞いていきましょう。
①の答えは、ほとんどの人が、怒っている人の顔と情けなさそうに下を向いている人の顔が見えるそうです。
②の答えは、大きな声で怒鳴っている声と、失敗をして謝っている人の声が聞こえるそうです。
③の答えは、とても嫌な感じがして、その場から逃げたくなるそうです。
これがほとんどの人が持っている〝叱る〟という言葉のイメージなのです。
〝怒る〟と全く同じイメージなのです。
〝叱ること =怒ること〟という間違ったイメージを持っている人が多いのです。
この間違った考え方を持つ人から叱られた人は、とても嫌な気持ちになるはずです。
次に叱る目的を聞いていきます。
そして、何人かに聞きながら発表をさせると、考えながら正しい答えを見つけることができます。
つまり、〝叱ることの目的は、間違っている言動を改善させること〟だと、自分たちで気づいていくことができます。
感情的になって怒る必要もなければ、大きな声で話す必要もありません。
〝間違っている言動を教えてあげて、こうしたらうまく行くとアドバイスすればいい〟と気づくのです。
間違っていることを指摘されただけでも、叱られたような気持ちになる人もいます。
そのような人には、軽く声のトーンも優しく話すことです。
あるいは、笑顔で叱ってもいいでしょう。
叱る心がまえで2つの大切なことがあります。
1つは、自分の思い通りに行かないからと言って、感情的になってはいけません。
冷静に「相手の成長か、状況の改善に繋がる」指導をする必要があります。
2つ目は、普段の人間関係です。
どんなに叱っている自分のほうが正しいと思っていても、人は感情で動きます。
たとえば、信頼していない、尊敬していない人から叱られたとしたら、言うことを聞きたくない、やりたくないと思うものです。
コラム【ピグマリオン効果】心理学者ベンジャミン・ブルームが、主要な国際コンクールで優勝したピアニスト 21人に調査したところ、彼らは子どもの頃は、他の子どもより少し上手な程度だったそうです。
そして彼らの先生は近所のピアノ教室の先生でした。
ただ、その先生たちは生徒が音楽を好きになること。
ピアノを弾くことの楽しさを教えてくれたと言います。
好きになったことで後の厳しい練習に打ち込むことができたのです。
●ピグマリオン効果とゴーレム効果 ローゼンタールとジャルコブソンは、こんな実験をしてみました。
あるテストを「ハーバード式学習能力予測検査」と称して小学生に実施しました。
そのテスト結果と関係なく(でたらめに)クラスの 20%の生徒を『学習能力が高く成績が伸びると予想される。
』と教師に告げたのです。
そして、半年後再び同じテストをして見ると「伸びる」と告げられた生徒は、告げられなかった生徒より知能指数が実際に伸びていたのです。
この効果は、教師の期待効果があったからと言えます。
教師が期待を持って接していたら本当に伸びた例です。
これは「えこひいき」ではなく、伸びると言った生徒に対する教師の教え方、褒め方が微妙に変わったからです。
たとえば、授業中に指名する回数が増えたり、授業を離れた場所での人間的接触が多くなったのです。
このように、教師の期待により生徒が伸びる現象を「ピグマリオン効果」と言います。
「ピグマリオン」とは、ギリシャ神話に登場する王様の名前で、その王様は、自分が彫った女神像に恋をし、願い続けるうちに願いが実り、女神像は人間になり王様と結ばれることになったのです。
期待されると人は伸びることを教えるよい教材です。
ピグマリオン効果の反対がゴーレム効果です。
ダメだと思って教えていると、本当にダメな結果を出すという効果です。
チームリーダーがチームメンバーをダメだと思っていると、ダメな結果しか生み出さないのです。
ある中学校の先生は、どんな生徒もできると期待しながら教えているそうです。
1人も見捨てないようにしているそうです。
すると、他の人がダメだと思っているような生徒が結果を出してくれるケースもあるそうです。
期待していることを表現するときに大切なのは、 1人ひとりに接する時間と、その密度だと思っています。
期待していることを伝えるために、相手をおだてたり、思ってもいない褒め言葉を言うような人がいます。
それは逆に相手を不機嫌にするケースがあります。
期待していることを伝える言動は、一例をあげると、なにげない朝の挨拶や呼ばれたときの返事、そして、接するときの優しい笑顔とアイコンタクト、話を聞くときのうなずきとあいづちなのです。
だから、相手に期待していることを伝えるのは、そんなに難しいことでなく、本当はとても簡単なことなのです。
しかし、職場でも家庭でもおろそかにされているのが、このような、なにげない行動なのです。
●ミーティングで意見を引き出すコツ チームミーティングのときに、すぐに効果が出る意見を引き出すコツが2つあります。
1つは「小グループの活用」です。
ミーティングは人数が多いほど、心理的に発言しづらく、物理的にも発言チャンスが少なくなります。
そこで、「ここは全員の発言が欲しい」とか「深く考えた意見が欲しい」という場面で、メンバーを小グループに分けて話し合いをしてもらうのです。
小グループにすると全員が発言するチャンスが増えます。
ペアで話し合ってから小グループで意見を出し合い、全体で小グループの発表をするというやり方もあります。
2つ目は「書き出しカードの利用」です。
参加者は、いきなり意見を求められても、考える時間がないと意見を言うことは難しいのです。
そこで、ほんの短時間( 1 ~ 2分)だけ、付箋に自分の意見やアイデアを書き出す時間を設け、書いたものを読んでもらうようにして発言を求めると、意見が出やすくなります。
この2つを組み合わせると意見が出やすくなります。
まず、各自に複数枚の付箋を配布します。
各自は、その付箋にテーマに沿った意見を書いていきます。
それを小グループで個人発表をしてから、全体でグループ発表するのです。
6 チームメンバーのことを知る ●自分史シートを使う チームメンバーのこれまで歩んできた人生を楽しく聞くことができる体験をする方法があります。
自分史シートを使うのです。
自分史シートとは生まれてから現在までのモチベーションの高かったとき、低かったときを 1枚のシートに書くものです。
さらに、現在から死ぬまでを予測して書き続けていきます。
その後に、チームメンバー 1人ひとりが、それぞれの自分史を発表していくのです。
生まれて初めて自分の人生を振り返った体験をするチームメンバーもいるでしょう。
現在の自分が過去の歴史の上にあることに気づくことができたと話す人もいるでしょう。
また、死ぬことも意識するので、有意義に生きようという気持ちが湧いてきたと真摯に話す人もいるはずです。
自分史シートの体験をすると同じチームのメンバーに対して親しみを感じて、仕事での関係もスムーズになる効果があります。
会社内では社員間のトラブルが発生しています。
上司と部下の人間関係がうまくいっていないケースに遭遇することもあります。
お互いの価値観を理解し合っていないことが大きな原因です。
そもそも、仕事以外の話をする時間を取っていない会社もあります。
また、お互いの仕事の内容に関心を持っていない社員も増えています。
「悪意のない無関心」と私は呼んでいます。
悪意のある無関心であれば、絡まった問題の糸をほぐせば問題は解決します。
これは難しくないと感じています。
ところが、「悪意のない無関心」は、長年の習慣を変えないとなりません。
もともと、無関心の弊害を感じるセンサーのようなものがないので、新しい習慣を植えつけるのはとても難しいのです。
また、仕事の話も今はメールで済ましている会社が多いはずです。
間違いなく、言葉の行き違いによる上司と部下のトラブルは発生する環境なのです。
自分史を語り合うと、相手のことがわかってくるので、人間関係が改善するきっかけになります。
●にこにこシート お互いが認め合い、そして、褒め合う体験ができる〝にこにこシート〟があります。
A 4の用紙に相手のよいところを書いていくのです。
チームメンバーが集まって、相手のよいところを書く〝にこにこシート〟体験をすると、その日からチームのこころが1つになります。
チーム内でお互いのよいところを認めていたとしても、しっかりと言葉で伝えていないものです。
そして、同じチーム全員からの褒め言葉が書いてある〝にこにこシート〟は宝物になります。
・にこにこシートの手順 ①時間を 30分程度確保します。
② 9個のマスを書いた A 4サイズの白紙の用紙を用意します。
③チームメンバーに配布して、真ん中に本人の名前を書いてもらいます。
④隣の人に「にこにこシート」を回します。
周りの 8個のマスの空いているところの1つに、名前の人のよいところを箇条書きで書いていきます。
終わったら記入者の名前も書いて隣の人に回します。
⑤これを全部のマスが埋まるまで続けます。
⑥全員の「にこにこシート」が本人の元へ戻ったら、感想を 1人ずつ発表してもらいます。
・アドバイス事項*マスは 9マスです。
人数が多いときは、線を引いてマスの数を増やすといいでしょう。
少ない場合は、 2周するといいでしょう。
*よいところは、性格のよいところ、外見のよいところ、
その人の仕事でよいところ、頑張っていると感じているところを書いていきます。
観点を変えるといくらでも書くことができます。
*褒める、認める言葉で効果的なのは、「 ○ ○さんは、 ~~だと私は思っています」という Iメッセージの言い方です。
例えば、「 ○ ○さんは〝はい〟の返事が会社で一番すばらしいと私は思っています!」このように書くと、とても喜ばれます。
●感謝シート研修 感謝シートは自分を中心にして、これまで自分に関わってくれた人の名前を書き出すシートです。
お世話になった人、助けてくれた人、教えてくれた人を書き出していきます。
分類は、ご両親、友達、会社の同僚・先輩・部下などです。
書き出していくと、たくさんの方々のお世話があったから、今の自分がいたことに気づくことができます。
名前がなかなか書けない人には、「感謝」のハードルを低くすることを教えています。
どんな小さなことも「感謝」の気持ちを持つ大切さを教えています。
そして、たくさんの名前を書いた人にも、名前を書いた人たちに「ありがとう」を伝えてきましたかと質問します。
ほとんどの人が伝えていなかったことに気づくのです。
感謝のハードルを低くして、どんなことも当たり前と思うのでなく、ありがたいことだと気づいたら、チーム内でも感謝の行動が増えてきます。
●読書感想発表会 心を磨くためには心を磨く読書は欠かせません。
チームで読んだ本の感想の発表をする読書感想発表会を実施するとさらにお互いを知ることができます。
チームリーダーが感動した文章の意見交換会もよいでしょう。
たとえば、福沢諭吉先生の心訓です。
一つ、世の中で一番楽しく立派な事は一生涯を貫く仕事を持つ事です。
一つ、世の中で一番みじめな事は人間として教養のない事です。
一つ、世の中で一番さびしい事はする仕事のない事です。
一つ、世の中で一番みにくい事は他人の生活をうらやむ事です。
一つ、世の中で一番尊い事は人の為に奉仕して決して恩にきせない事です。
一つ、世の中で一番美しい事はすべてのものに愛情を持つ事です。
一つ、世の中で一番悲しい事はうそをつく事です。
チームメンバーに、この中で心を打つ言葉はどれか聞いて意見を発表してもらうと、お互いのことをよく理解できます。
そして、発表をしながら人生の大切な心がまえを学ぶことができます。
不機嫌な職場では、このような大切な生き方を教える人がいません。
それぞれが、うまく行かないことを世の中や他人の責任にしています。
そして、夢や大きな目標を持つ大切さがわかるのはイチローの作文です。
大きな夢に向かって日々努力すること、そして、それを支えた人たちに恩返しをすることをイチローは作文に書いています。
「ぼくの夢」 ぼくの夢は、一流のプロ野球選手になることです。
そのためには、中学、高校と全国大会に出て活躍しなければなりません。
活躍できるようになるためには、練習がひつようです。
ぼくは、 3才のころから練習を始めています。
3才から 7才までは半年くらいやっていましたが、 3年生のときから今までは、 365日中、 360日は、激しい練習をやっています。
だから、 1週間中で友達と遊べるのは、 5 ~ 6時間です。
そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球の選手になれると思います。
そして、中学、高校と活躍して、高校を卒業したらプロに入団するつもりです。
そして、その球団は、中日ドラゴンズか、西武ライオンズです。
ドラフト入団で、契約金は 1億円以上が目標です。
ぼくが、自信のあるのは、投手か打撃です。
去年の夏、ぼくたちは、全国大会に行きました。
そして、ほとんどの投手を見てきましたが、自分が大会ナンバーワン選手と確信でき、打撃では、県大会 4試合のうち、ホームランを 3本打ちました。
そして、全体を通した打率は、五割八分三厘でした。
このように、自分でも納得のいく成績でした。
そして、ぼくたちは、 1年間負け知らずで野球ができました。
だから、この調子で、これからもがんばります。
そして、ぼくが一流の選手になって試合に出られるようになったら、お世話になった人に招待券を配って、応援してもらうのも夢の1つです。
とにかく、 1番大きな夢は、プロ野球の選手になることです。
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