15 「今日できること」は今日やる! 「今日できること」だけをすべてやり尽くす 「よし! 見えてきたな」というセリフが出るまで詰める 孫正義の成功ルール 16 リーダーはどんな時でも全責任を取る! 古来からリーダーシップの本質は変わらない 孫正義はリーダーシップのとり方も徹底している 孫正義の成功ルール 17 成功確率の低い事業を成功させる! プロジェクト・マネージャーは誰もやりたがらない Yahoo! B B事業もはじめはプロジェクトだった リスクの高いプロジェクトこそ大きなチャレンジができる 孫正義の成功ルール 18 新しい組み合わせで企画をつくる! 新しい組み合わせで生まれた「パズル&ドラゴンズ」 ゼロから生まれる発明品はない 丸の内カフェもキーワードの組み合わせで広がった 孫正義の成功ルール 19 生産性を最大限に上げるように予定を組む! 会社の業績は、社長の生産性で決まる 定例会議をスケジュールのペースメーカーにする
孫正義の成功ルール 20 段取りを組んだら考え込まないで一気にやる! できることはすべてその場でやってしまう 考え込まず、思いついたら即実行する 2日目に集まったデータで一気に資料を作成 孫正義の成功ルール 21 どんな仕事も、何かを学ぶつもりで取り組む! 仕事の性質を見極め、それぞれに対応策を練る どんな仕事も手を抜かずにやれば、自分の肥やしになる

何年か社会人をやっていれば、一度はこのような悩みを持つこともあるでしょう。
ものごとがうまく進まない時、あなたはどのような行動をとりますか? 昔のソフトバンクの社員は、「仕事の悩みは仕事でしか解決できない」という孫正義の言葉通りに、がむしゃらに働いていました。
しかし現在のソフトバンクは、もはや大企業となりましたから、体育会系のノリで働くということはないようです。
昔からいる社員に聞くと、最近はほとんど残業もなく、ずいぶんと労働環境は変わったようです。
ネットバブル崩壊後からブロードバンド事業が立ち上がるまでの 4年半、孫正義も社員も終電過ぎまで働くことが当たり前だった時期がありました。
箱崎のソフトバンク本社ビル前にあるビジネスホテルの部屋は、ソフトバンク社員でいつも満室。
そのために 200 mぐらい離れたところに、そのビジネスホテルがもう一つできたぐらいでした。
このころは、私も 3日間ほとんど寝ないで働いた時期がありました。
昼間は本部長として通常の業務をして、夜は弁護士を交えて徹夜で子会社を売却する交渉をするような状況でした。
昼間どうしても眠くなったら、こっそりサーバールームの端で仮眠したものです。
「仕事の悩みは仕事でしか解決できない」という言葉は、このころ社内で広まったのです。
「今日できること」だけをすべてやり尽くす さて、この質問について考えてみましょう。
この悩みが出るのは、具体的にどんな状況なのでしょうか? 例えば、「営業の成績が上がらず、ノルマが達成できない」などが典型的な状況でしょうか。
仕事の悩みを抱え、ベッドに入っても、マイナスなことばかりが浮かぶ。
無理に寝ようとすればするほど、眠れなくなるものです。
むしろベッドから出たほうがいいでしょう。
どうせ眠ることもできないのですから。
悪いことばかり想像して、ますますネガティブな気持ちが強まってくるだけです。
それならば、仕事を始めて、悩みのもとを解決する努力をしたほうがよいのです。
これが、孫正義の言う「仕事の悩みは、仕事でしか解決できない」ということです。
次にやるべきことは、「今日できること」と「明日以降しかできないこと」を明確に線引きすることです。
仕事上の課題は、必ず「今日できること」と「明日以降しかできないこと」に分割されます。
A 4サイズの紙の真ん中に線を引いて、片方は「今日できること」、もう一方は「明日以降しかできないこと」を書き出すスペースにします。
それぞれをリスト化してどんどん書いていくのです。
「既存のお客さまリストを再整理する」ことは、自分の持っている情報と権限でできるので、「今日できること」に分類します。
一方「隣の部署が持っているお客さまリストをもらって営業する」ことは、自分の情報と権限を越えています。
隣の部署のお客さまリストをもらうには、自分の部署の部長と隣の部署の部長の双方の承諾をもらう必要があるでしょう。
そのリストをもらって初めて営業できることです。
これは明日以降にしかできません。
ほかに今日できることがあるとすれば、部長に相談メールを書くことくらいでしょう。
では、「隣の部署の営業リストの件で部長にメールする」ということを「今日できること」のスペースに書き出しましょう。
この調子で、どんどん書き出していきます。
思いつかなくなるまで、考えて書き出します。
それぞれ「今日できること」と「明日以降しかできないこと」が書き上がれば、「今日できること」をどんどん実行していきましょう。
深夜であっても、電話できる人には電話して、メールで済むものはメールします。
材料がそろっていれば、資料作りは時間を問わずできるでしょう。
「今日できること」に書いてある項目は、すべてやってしまいます。
ここまでやれば、すっきりしませんか? なにしろ、もう残っているのは「明日以降しかできないこと」なのですから、今日はやりたくてもやりようがありません。
実際に作業をしているのですから、疲れているでしょう。
さすがに眠くなるのではないでしょうか。
「よし! 見えてきたな」というセリフが出るまで詰める これとほぼ、同じことを孫正義もやっています。
孫正義と深夜までミーティングして、詰められるところまで詰めると、孫正義は最後に必ず「よし! 見えてきたな」とつぶやいて(というか、叫んで)帰るのです。
「まだまだ最終ゴールは見えてないな」と思っても、まだ結論に至らなくても、深夜のミーティングの最後に、必ず「よし! 見えてきたな」というセリフが出
てきます。
明日以降に詰める項目があっても、「その日にできることはやり尽くした」という合図のようなものです。
正確に言えば、「今日やれるところまでは、すべてやった」ということなのでしょう。
深夜なので、追加の情報を社員に求めようとしても、弁護士や会計士などの専門家の意見を聞こうとしても、無理。
新しい情報や意見が出ない限り進展しない状況になった時、「よし! 見えてきたな」という言葉で会議を締めくくるのです。
このように、孫正義は「今日できることはすべてやり尽くした」という思いで、巨大な新規事業や巨額買収のプレッシャーをはねのけ、毎日安眠しているのでしょう。
それがエネルギッシュな仕事ぶりに現れるのです。
A 「今日の仕事」と「明日以降の仕事」に分ける

孫正義が類い稀なリーダーであることは言うまでもありません。
一代でゼロからソフトバンクを起業して、携帯電話を核とする世界的な企業グループをつくり上げたのですから、新聞社などで調査される「理想のリーダー」で 1位に選ばれることが多いのは当然です。
もし孫正義にリーダーシップがなければ、成功はできなかったでしょう。
リーダーシップのあり方はいろいろありますが、孫正義を間近で見ていて、気づいたことがあります。
孫正義は、「目標を決めて役割を振って、責任を取ること」でリーダーシップを発揮しているのです。
古来からリーダーシップの本質は変わらない リーダーシップの本質を考えるため、ちょっと極端な例を取り上げてみましょう。
狩猟採集時代、大平原の真ん中に狩りに出てきたグループが、獲物を獲ることができず、一日の狩りを終えて、野営しているとしましょう。
彼らは大平原の真ん中で、明日どうするかを議論しています。
グループのリーダーが決めるもっとも重要なことは、どちらの方向に向かって狩りに出発するかです。
行く方向が間違っていれば、獲物と遭遇することはなく、餓死してしまうことにもなりかねません。
リーダーは目標をみんなに論理的に説明して、納得させないといけないのです。
例えば、「この時期、南に向かうマンモスが渡る川があるから、そこに移動して待ち伏せしよう」と説明します。
ちなみに、狩りに行く方向のことで、よくグループ内で揉めごとになっていたのでしょう。
漢字の先祖の甲骨文字は、もともと占いのためのものでした。
その始まりは狩りに行く方向を決めるためだと言われています。
おそらく議論しても、まとまらない時には、占いで決めていたのでしょう。
力ずくよりも、占いのほうがよほど紳士的です。
しかし、狩りに行く方向を占いばかりで決めていたわけではないでしょう。
食料の貯蔵や再生産に限界のある狩猟採集時代には、運任せで獲物にありつけなければ、グループも家族も全滅する可能性があるからです。
ですから、徹底した実績主義だったと思われます。
もし、全面的に占いのみに頼っていたグループがあったとしたら、おそらくすぐに全滅したでしょう。
狩りの方向を決めたら、次に個々人の役割を振ります。
例えば、体の小さいものはマンモスを追い立てる役、力の強いものがとどめを刺す役など。
それぞれの能力を考え、全体として機能するように決めるのです。
ここまで決まれば、あとはマンモスが来るのを待つだけです。
これでマンモスが獲れなければ、その責任はリーダーにあります。
間違いなく解任されたでしょう。
そうでなければ、グループ全体が飢え死にしてしまいますから。
だからこそ狩猟採集時代に無能な人が、リーダーに居座り続けることはできなかったはず。
逆にマンモスを獲ることに成功し続ければ、称賛され、多くの人が慕ってきたに違いありません。
つまり、よくも悪くも最後は、リーダーが全責任を取るということです。
ソフトバンクは、 IT(情報技術)を事業としています。
事業開始の背景には I T事業が必ず伸びるという孫正義の確信がありました。
I T業界でよく知られている「ムーアの法則」という経験則の論理から確信したのです。
インテルの創業者のゴードン・ムーアが発表した「 18ヵ月で ICチップの集積度が倍になる」という法則です。
簡単に言えば、コンピューターは 1年半で性能が倍になるか、大きさが半分になるということです。
それを実証するように、発明当時のコンピューターはビルぐらいの大きさがあったのですが、今はスマートフォンとなって手の平に乗る大きさになったのです。
そして、通信速度も倍々ゲームで速くなっています。
この 10年間でインターネットの通信速度は飛躍的に速くなりました。
昔、インターネットをするために、電源を入れ、画面が表示されるのをしばらく待っていたことを知らない世代もいるでしょう。
ムーアの法則を、先ほどの狩猟採集時代に当てはめると、「この時期、南に向かうマンモスが渡る川がある」という経験則からの発言になります。
ソフトバンクは、プラットフォームとなる事業をいち早く始めることで、成功してきました。
ソフトバンクという社名がその意味をわかりやすく表しています。
社名の「バンク」とは「銀行」です。
銀行は、多くの預金者からお金を集めて複数の企業に貸し付けます。
「ソフトウェアで、銀行と同じ役割をする」を目標にできたのが「ソフトバンク」だったのです。
現在の本業と言える携帯電話事業も Yahoo! JAPANを代表とするインターネット事業も同じように I T事業のプラットフォームと言えるでしょう。
「ソフトバンク」という社名は、事業の方向性を示しています。
孫正義はリーダーシップのとり方も徹底している リーダーにとって重要な「社員に役割を割り振る」ことについて孫正義は徹底しています。
さらに役割の振り方も明確です。
あいまいな指示や複雑で難しい指示を社員に与えてもなかなか伝わらず、できもしない指示を出しても意味がありません。
それぞれの社員の能力を見て、指示を与えることが大切なのです。
重要なこととは、リーダーが責任を取ることです。
「孫正義が責任を取る」ことは、ソフトバンクが快進撃を続ける理由の一つでもあります。
どんな結果になっても、トップが責任を取るので、部下は後のことを考えず、目先の仕事にのみ注力すればいい。
これがいい結果につながっているのです。
もともと孫正義が出す目標が大きすぎるので、部下は思考を巡らせて、思いつく施策すべてに全力を尽くすのです。
あらゆる施策をやるので、当然ながら、失敗もあります。
しかし孫正義は、それも織り込み済みです。
例えば、「ブロードバンド事業、携帯電話事業で、月間の新規顧客獲得目標が数十万件」などという目標を設定します。
大きな数字を達成しようとすれば、既存のやり方とはまったく違う新しい施策を数多く打たなければなりません。
結果、ブロードバンド事業の立ち上げでは、街角でアイスクリームの出店のようなパラソルを立て、通行する人にモデムを渡すというような非常識な営業方法も行われました。
確かにこの手法で実績をあげましたが、モデムを回収するコストが非常に高く、クレームになることも多かったため、ある時から行われなくなりました。
新しい方法はよく失敗します。
しかし、「それはそれで仕方がない」と孫正義も社内全員も考えています。
だからこそ孫正義が部下をその失敗自体で責めることはないのです。
失敗することを避けていては、大きな目標を達成することはできません。
もちろん、改善策を打っても数字が上がらなければ、担当者がかわることはありますが。
ソフトバンクでは、社長が責任を取るので、社員は非常にアグレッシブに働いています。
なにしろ、若いうちから数億や数十億円の予算を持って、数多くの人を動かしプロジェクトを進めていくのですから、楽しいに決まっています。
これが、ソフトバンクの快進撃の要因の一つなのです。
昔の日本企業では、上司が部下の責任を取ることは当たり前でした。
私が新卒で就職した三菱地所のような伝統的な日本企業では「俺が責任を取るから若手は自由にやれ」という親分肌の部長がいました。
親分肌の部長が、かつての日本企業にいたのには理由があります。
それは、年功序列。
年功序列は一般的には非合理的な制度のように言われていますが、実は時間をかけて人を評価するという観点では、合理性があったのです。
親分肌の部長も年功序列の中で実績を積んできたのです。
実績から生み出される信頼が社内にあったから「まあ、あいつが任せると言っているからやらせてみるか」という寛容な判断が下されたのでしょう。
親分肌の部長が任せた若手が新しいアイデアを出して、事業化されるというのが、日本の伝統的企業のイノベーションのパターンだったのです。
ところが、近年は部長も業績主義で単年度や四半期で評価されるようになり、結果、「俺が責任を取るから若手は自由にやれ」と言える環境ではなくなってきました。
これが、日本企業が輝きを失った原因の一つだと思っています。
社内から新しいアイデアが出なくなってしまったのです。
本来は、目標を示し、役割分担をして、社内からよいアイデアを生み出すためにリーダーシップをとるのですが、業績主義が横行すると、本来の意味でのリーダーシップを振るうことができません。
リーダーシップの基本は、「目標を決めて役割を振って、責任を取ること」です。
自分の組織の目標を明確にして、それぞれの担当に割り振り、担当者とその目標を確認しましょう。
そのうえでボトムアップの具体的な方法論は下からあげてもらうことが重要です。
もっとも重要なことは、部下の提案を生かし、自分が責任を取ることを明言して、任せてみることです。
これがリーダーシップのあり方です。
まずは、一歩ずつ実行してみましょう。
A 目標を決めて役割を振って、責任を取ること

一般に、プロジェクトは、失敗する可能性が高いものなのです。
だから組織にのせることができず、プロジェクトという妙な立てつけで進むのです。
悪く言えば、成功確率が低く、どの組織も引き取らない案件がプロジェクト。
成功が見込める案件であれば、きっとどこかの組織が引き取っているでしょう。
プロジェクト・マネージャーは誰もやりたがらない どの会社もプロジェクトの全体を統括するプロジェクト・マネージャーは不足しています。
今まで私が訪問した会社で、「当社にはプロジェクト・マネージャーが数多くいて、それが我が社の強みです」などというところは一社もありません。
大企業でもベンチャー企業でもよくされる質問は、「当社にはプロジェクト・マネージャーがいなくて非常に困っています。
どうしたらプロジェクト・マネージャーが育成できるでしょうか?」です。
原因は、プロジェクト・マネージャーになりたいと思う人がいないこと。
多くの社員に「プロジェクト・マネージャーほど割に合わない仕事はない」と思われているのです。
会社は、社長から平社員までのピラミッド型の組織があって、それぞれやる仕事が決まっています。
仕事に応じて評価があって、ボーナスが決まったり昇進したりするのです。
ところが、プロジェクトというのは既存の会社の組織にのらないのです。
例えば、「新規事業プロジェクト」や「組織風土改善プロジェクト」などで、どこの部門にも属さないような事柄がプロジェクトになります。
組織にのらないということは、誰が何をするのかも決まっていない状態です。
プロジェクト・マネージャーは、仕事を一人ひとりに割り振ることが最初の仕事です。
にもかかわらず、ボーナスの査定をしたり、昇進を決めたりする権限がないケースがほとんどです。
これでは、プロジェクト・マネージャーのなり手がいないのも当然ですし、プロジェクトが失敗する可能性が高いのもうなずけます。
社長のような責任ある仕事を任せられているにもかかわらず、権限は課長以下、ほとんどゼロに近いことすらあります。
そもそも、プロジェクト自体がうまくいく可能性が低いのですから。
でも、ちょっと待ってください。
考え方を変えてみましょう。
本書を手に取ったあなたはおそらく、「現状を超えて何か新しいことをしてみよう」「自分を変えてチャレンジしてみたい」という意欲的な人でしょう。
そういう人にとってはプロジェクトに参加することは非常によいチャンスかもしれません。
Yahoo! B B事業もはじめはプロジェクトだった ソフトバンク時代、私は社長室経営戦略担当・社長室長としてプロジェクト・マネージャーをしていました。
結果、失敗したプロジェクトも多数あります。
また、失敗確実と思われたプロジェクトもありました。
実は Yahoo! B Bのブランドで始めたブロードバンド事業もそうでした。
2001年に開始された Yahoo! B Bは、成功する可能性が極めて低い事業でした。
何しろ、ソフトバンクには通信事業を行うための人・モノ・金・情報という経営資源がまったくと言っていいぐらいなかったのです。
ソフトバンクの社内だけでなく社外・マスコミも「失敗する」というのが大方の予想でした。
実際に事業開始からの 4年間にわたって毎年 100億単位の赤字を出すことになりましたが、 5年目には黒字に転換し、その後のソフトバンクの通信事業の基盤となったのです。
孫社長からとにかく立ち上げをするように厳命され、プロジェクト・マネージャーとして事業を開始したのです。
ところが、私以外のプロジェクト・メンバーは高名な技術者の先生が二人いるばかりです。
とりあえず、ソフトバンクの向かいの雑居ビルの一室で実験機材に埋もれながら、 NTTに出すための基地局の計画と基地局設置の申請書を作り始めました。
そのうちなぜか孫社長も常駐するようになりました。
孫正義の考える事業規模や事業スピードに追いつかなくなり、人事部経由でプロジェクト・メンバーを集めたのですが、人員がまったく集まりません。
すごく大変な仕事の割に、失敗する可能性が高いと思われていたからです。
孫正義はある日、人事部長に「今日の午後 6時の業務終了時に、手が空いている者は全員、向かいのビルのプロジェクト・ルームに集合するように」と指示して、人を集めさせたのです。
その結果 100人ぐらいが集合しました。
孫正義が、みんなの名刺を集め、ミカン箱の上に乗り「 ADSL事業でソフトバンクは第二の創業をする。
ここで名刺を置いた人間はそのメンバーだ」と宣言したのです。
これを聞いて、非常階段から逃げ出す人間がいたのを、ありありと覚えています。
今のソフトバンクから考えると笑い話のようですが、事実です。
「午後 6時に暇なやつはその部から出しても大丈夫」という前提で、人員を抽出する孫正義の策だったのです。
こうして集めた名刺 100枚を組織図に落として最初の組織らしいものができたのでした。
結局、この時に参加したプロジェクト・メンバーは現在でもいろいろな分野で活躍しています。
私も、日本の役に立つプロジェクトをやりたいと思い、「ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト」という長たらしい名前の会社を立ち上げ、その後は年金記録問題や年金システムの開発の委員・福島第一原発の廃炉・汚染水のプロジェクトなど様々なプロジェクトに参加しています。
また、ソフトバンクの中で順調に出世している者もいれば、独立して会社を立ち上げた者もたくさんいます。
それはプロジェクトに参加した経験が生きているからでしょう。
リスクの高いプロジェクトこそ大きなチャレンジができる 失敗しそうなプロジェクトであっても、実はそれほどリスクは高くないのです。
考えてみてください。
そもそもプロジェクトのマネジメントが難しいのは「プロジェクト・マネージャーにボーナスの査定をしたり、昇進を決めたりする権限がない」ことでした。
プロジェクトでの評価は、通常の組織の中での評価とはかなり異なっています。
通常の組織で失敗すれば、大きな非難を受けるのが、今の日本の会社組織です。
その点、プロジェクトはチャンスです。
プロジェクトが、成功しても失敗しても、貴重な経験を得ることができます。
確かに、失敗したら、そのプロジェクトのために使った労力や時間は無駄になるかもしれませんが、通常の組織での失敗のように評価が悪化する可能性は低いでしょう。
だからこそ失敗しそうなプロジェクトこそ、大きなチャンスなのです。
優秀な人材ほど、プロジェクト・メンバーから逃げていくので、日頃なかなか実力を発揮する機会がない人は、むしろ十分な時間と労力をかけてプロジェクトに参加するべきです。
プロジェクトが失敗しても社内の人は、「ああ、あのプロジェクトなら、失敗するとみんな思っていたよ」と言ってくれるはずです。
失敗に厳しい日本企業で、非常に貴重な失敗経験を積めるのです。
その失敗が将来、役に立つ日が必ずきます。
逆に、 Yahoo! B Bのように、うまくプロジェクトから事業として立ち上がれば、得られるものはさらに大きいのです。
A 失敗する可能性が高いプロジェクトこそ、進んで参加する

企画力を身につけるというのは実は簡単です。
企画力とは、孫正義流に言えば、今までにない新しい「組み合わせ」を見つけだす作業です。
その組み合わせを、消費者のニーズや自社の技術力・販売力などから評価して選別していけばいいのです。
企画力が非常に大事な商品として、ゲームの企画があります。
ゲームの企画をする人はゲーム・プロデューサーと呼ばれ、「こうしたら人気が爆発するゲームになる」「俺はゲーム作りの天才だ」と断言する奇才も多くいます。
しかし、こうしたゲーム・プロデューサーでも大ヒットゲームを作り出せる人は年に数人です。
音楽業界も同じく、デビューするアイドルや歌手は年間数百人もいますが、 100万枚以上の CDのセールスを記録する人は年間に数人しかいません。
歌唱力だけでなく、音楽のトレンドや事務所の力、販売手法などにも大きく影響され、ゲーム業界と同じ状況なのです。
成功した企画の例で言えば、スマートフォン向けゲームで大成功したガンホーの「パズル&ドラゴンズ」があるでしょう。
このヒットのお蔭で、ガンホーの売上は、前の年の約 2・ 7倍の 258億円、経常利益は、 6倍の 93億円になり、時価総額は 1兆円を超えるまでになったのです。
これは企画力で成功した例の一つです。
新しい組み合わせで生まれた「パズル&ドラゴンズ」 勝因の一つは、消費者のニーズやマーケットのトレンドを的確に読んでいたことがあります。
ガンホーは、ご存じの人もいると思いますが、 10年ほど前にパソコン向けのオンラインゲームの「ラグナロクオンライン」で大ヒットをして株式を公開した会社です。
その後数多くの PC向けオンラインゲームを出したものの、ヒットゲームに恵まれず、売上も株価も低迷していました。
こうした中、オンライゲームのマーケット自体の成長が鈍化してきました。
その原因は、スマートフォンの普及です。
パソコンの前に何時間も座って、じっくりゲームをするのではなく、電車やバスの待ち時間や移動時間、家事の合間などにスマートフォンを使い 5分、 10分でできるゲームが普及してきたのです。
手軽にゲームで遊ぶ人のほうが、 PCにずっと座っている人よりもはるかに多くなってきました。
このトレンドにうまく乗ったのが、「パズル&ドラゴンズ」と言えるでしょう。
「パズル&ドラゴンズ」のコンセプトも勝因の一つです。
手軽に楽しめるパズルとロールプレイングゲームの要素を組み合わせ、初心者であってもすぐにゲームを楽しむことができるようにしたのです。
ゲームコンセプトによって、子どもから大人まで、男女を問わず人気となったのでした。
この企画発想の方法は、孫正義も使っているものです。
孫正義はアメリカに留学している時に、毎日 1個発明すると決めていたそうです。
しかしある日さっぱり思いつかなくなった孫正義は、次のことを考えたのでした。
「発明する方法を発明しよう」 そうして発明したのは「カードをたくさん作って、組み合わせて、発明のアイデアになる言葉を作っていくこと」でした。
例えば、「全自動」「高速」「携帯型」などのキーワードをベースにして、「洗濯機」「翻訳機」「バイク」などいろいろな組み合わせを加えます。
するとその中で、いい組み合わせが見つかり、そこから発想することで新しい発明が見えてくるというものでした。
ゼロから生まれる発明品はない 実は、多くの発明はまったくのゼロから発明されているわけではないのです。
何かと何かの組み合わせで発明されたものなのです。
例えば、古い発明では、消しゴム付鉛筆があります。
これは、言うまでもなく鉛筆と消しゴムの組み合わせの発明です。
アメリカのフィラデルフィアのハイマン・リップマンという画家が発明しました。
ハイマンは、デッサン中に消しゴムを頻繁になくすので、これを解消するために、消しゴムを鉛筆に固定したものをつくり、 1858年に特許を取得しました。
愛犬家であれば知っている人も多いかもしれませんが、犬用の歯磨きやブラッシングができる手袋というものがあります。
これは、手袋と歯ブラシや毛づくろい用のブラシを一体化させたものです。
犬も歯ブラシには抵抗するものの、飼い主の手には慣れているので、歯磨きを嫌がらなくなるという優れものです。
特許の取れるような発明も、まったくゼロから生まれるものは少ないのです。
既存の何かをほかの用途に転用すると特許になったり、既存の何かに新しい性質を付け加えたりすると特許となるのが普通です。
効率的に発明するためには、とても理に適った方法と言えるでしょう。
こうして発明したのが、孫正義が創業する資金として使った「携帯型翻訳機」だったのです。
「パズル&ドラゴンズ」も組み合わせで生まれました。
企画力を身につける方法は、いろいろな組み合わせを作ることです。
まずは、ヒット商品の頭についているキーワードを抽出して、自社製品と組み合わせてみましょう。
例えば、「コンビニ」という言葉をキーワードにして、「コンビニ・コーヒー」が普及しました。
このキーワードを使って、これまでコンビニでは売れなかった商品を売ることができ、市場を拡大したのです。
ほかにも、ネットワークとの連携を前提にして、自分で考えたりする性質を示す「スマート」なども 2013年のキーワードでした。
それ以外に時代と関係のないキーワードとして「全自動」「高速」「携帯型」などもあるでしょう。
こうしたキーワードと自社の商品の組み合わせを作り企画していくことが重要です。
商品だけでなく、イベントやプロモーションにも、この方法を適用させることができます。
私は、新卒で三菱地所という土地開発をするデベロッパーに就職しました。
日本の代表的なオフィス街である丸の内の大家で知られる会社です。
入社した時には、バブル崩壊後で丸の内の仲通りは、オフィス街版のシャッター通りのようになっていました。
特に、会社が休みの土曜日、日曜日などは店舗もないため、怖いくらいに人の気配がありませんでした。
以前、仲通りには、地方銀行が東京支店を出していたのですが、バブル崩壊後、地方銀行がみんな退出したからでした。
また、品川駅周辺の開発もあり三菱商事も本店を移転することになり、新聞に「丸の内の落日」という特集が組まれました。
当時、私は三菱地所で広報部に配属されていました。
そこでは、三菱地所の企業広報を担当し、企業イメージを上げるためのテレビ CMを打ったり、新聞や雑誌に広告を出稿したりすることが仕事でした。
1997年当時、先輩と二人で広告の企画を考えたのですが、それまでのやり方では企業イメージが向上するとは思えませんでした。
丸の内がシャッター通りになっているのに「街づくりをじっくりやっていく真面目な会社」というイメージを謳っても、現実感がないと思えたのです。
やはり、「三菱地所 =丸の内」というイメージが大変強く、「丸の内の落日」などと新聞に書かれていることが企業イメージの一番の問題で、これをなんとかしないといけないと思いました。
丸の内カフェもキーワードの組み合わせで広がった そこで、当時はやっているキーワードを探してみました。
その一つが「カフェ」だったのです。
プラチナ通りや代官山などのカフェがおしゃれスポットとして人気でした。
そこで無理やり「丸の内カフェ」という企画をつくり出すことにしたのです。
しかし、「丸の内カフェ」と謳い、店舗を誘致しようにも広報部の自分にはできません。
そこで、仮設でカフェをイベント的にやることにして「丸の内カフェ」と押し出して、ラジオや雑誌とタイアップしていくことにしたのでした。
結果、好評を博して丸の内カフェはいつも満員でした。
理由は簡単です。
丸の内に仕事でやってくるビジネスマンが休憩するところがなかったからです。
あるにはあったのですが、高級な喫茶店しかなく、ちょっと早く来たから書類を見ようと気軽に入れるカフェではありませんでした。
たまたまこの好評ぶりを見た有名なフレンチレストランのオーナーシェフの三國清三さんが、「このまま丸の内カフェという名前でカフェを出したい」と言われて、実際にカフェを丸の内で開店してくれたのでした(丸の内カフェという名前だけは勘弁してもらい、ミクニマルノウチという名前になりました)。
ミクニマルノウチも盛況で、この成功が、さらに丸の内に飲食や物販を呼び寄せました。
丸の内カフェのキャンペーンは新聞や雑誌でずいぶんと取り上げられ、パブリシティの広告費換算では、不動産業界ではダントツの一位になったのでした。
オフィスだけではなく、飲食店、物販の店舗なども丸の内でできることになり、丸の内の発展のきっかけの一つになったのでした。
企画力を身につけると言えば、難しいように思えますが、作業としては、数多くの組み合わせをつくればいいのです。
これ自体が難しいことではありませんし、一度できた組み合わせの評価自体も容易です。
いい組み合わせであれば、聞いただけでワクワクしてくるものなのです。
A 面白いと思えるキーワードを気楽に組み合わせる

時間の使い方は非常に重要です。
まず、 1年間の目標を新年に立てましょう。
孫正義も新年には 1年の計画を立てています。
ある年の元日にその年の年間の計画を立てるため、孫正義の自宅に呼び出されたことがあります。
新年早々から仕事とは大変ですが、社長室長だから仕方ありません。
ディスカッションしたことをプレゼンテーションにまとめて、その年のソフトバンクの経営方針のベースにしたのです。
会社の業績は、社長の生産性で決まる 1年の計画を立てた後、もう少しブレークダウンさせて数ヵ月までに達成したい目標を紙に書き出します。
孫正義も時々自宅でそうした短期目標リストを作っていました。
そのリストを移動の車の中などでチェックしているのです。
車中で目標を確認して、スケジュールの調整の指示を電話で秘書に出します。
だから、孫正義が車に乗る時間になると、どんどんスケジュールの調整依頼の電話がかかってくるので、秘書は身構えていました。
スケジュールが決まってくると、ミーティングのプレゼンテーションづくりに社長室の経営戦略担当が呼ばれて準備が始まるのです。
このような段取りで、孫正義のスケジュールを組むのですが、スケジュールを組むにあたって孫正義が社長室に指示していることがあります。
「スケジュールは社長の生産性を最大限に上げるように組め。
ソフトバンクの業績は社長の生産性に依存している。
社長の生産性は秘書のスケジュール調整にかかっている」ということです。
この指示を実際に実行するのは容易ではありません。
それは、孫正義のスケジュールを調整するだけでなく、そのほか多くの参加者を決めて、その人を含めてスケジュールを調整する必要があるからです。
例えば、財務について議論する場合には、社内でも財務担当の取締役や部長の参加は必須になります。
外部の弁護士や会計士の専門家も呼ぶことになると、もっと大変です。
海外の専門家を呼ぶと、さらに調整の難易度が高くなります。
なにしろ、時差があるので、ミーティングができるタイミングはごく限られています。
海外では早朝でこちらは夕方、こちらが深夜で海外が早朝など、調整が非常に難しくなります。
難しい調整を担当する秘書は 3人もいます。
調整は簡単ではないので、 3人も秘書が必要になるのです。
しかし、秘書がこうした苦労をしてまで調整するのには理由があるのです。
新鮮で質の高い情報をミーティングの場にあげ、意思決定権のあるメンバーを会議にすべて参加させ、孫正義の生産を最大に上げるためです。
普通の日本企業であれば意思決定は、稟議でやっていくことでしょう。
こうした稟議を回すのに 1週間や 2週間かかるのは普通です。
稟議を回すだけですから、丁々発止の議論などはありません。
事前の根回しで決まったことを承認するだけでしょう。
ところがソフトバンクでは稟議を承認するメンバーが会議室に集まって、そこで議論して数時間で意思決定しています。
形式的に稟議にかかることになるのですが、これも 24時間以内に返答がなければ、承認扱いという電子稟議で行われています。
これがソフトバンクの動きの速さに表れています。
さて、孫正義のようなミーティングの手法を普通のビジネスパーソンが真似をしたくても、真似をすることはできません。
そんなに都合よく、関係者がスケジュールを調整してくれはしないでしょう。
また、秘書がいなければ、複雑なスケジュール調整は難しい。
一人で複雑なスケジュール調整をしていては、スケジュール調整だけで 1日が終わってしまいかねません。
孫正義の真似をそのままするのはあきらめたほうがいいでしょう。
また、定例会でなく不定期で主催している人もいるかもしれません。
資料の準備が整ったら開催するというような進め方です。
このような会議はしばらくすると機能しなくなってきます。
必要な資料が集まらなくなったり、参加者に欠席や代理出席が目立つようになってきます。
会議の生産性が下がってくると、必要な資料も出なくなり、欠席や代理出席が増えます。
こうして形骸化した定例会が続くことになるのです。
定例会議をスケジュールのペースメーカーにする そこで、おすすめする方法は、スケジュールを可能な限り定例的にすることです。
例えば、あるプロジェクトの定例会を毎週水曜日の午後 1時からと設定するようにします。
短時間でもいいので、必要な幹部や取締役には、この会議に最低でも月に 1回は参加してもらうようにしましょう。
定例会であれば、孫正義でなくても普通のビジネスパーソンでも必要な人を集めることができるはずです。
重要なことは、このミーティングに必要な情報を持ち寄り、ここで決めることを出席者に認識してもらうことです。
そうすれば、出席率も自然と上がります。
知らないうちに勝手に決まっては困るので、きちんと会議に出て発言しておく必要があるからです。
取締役や部長などの意思決定のできる人をメンバーに入れておくことが重要なのです。
定例会開催が決まれば、そのスケジュールに合わせて自然と一週間のスケジュールも決まってきます。
その定例会までに必要な資料を準備することになります。
これが非常によいペースメーカーになるのです。
1週間のスケジュールを調整する際には、毎回必ず目に入り、頭の片隅にやらなければいけないこととして、常に記憶されます。
効果は自分にだけ現れるわけでありません。
結果として、毎週の定例会は自分自身のスケジュールのペースメーカーになるだけでなく、そのミーティングに出席しているすべての人のペースメーカーになるのです。
ほかの人の進捗を細かく管理する必要がなくなり、誰もが自然と必要な作業をできるようになるでしょう。
時間の使い方についても、決まった一種の作法を持つことが仕事の生産性を飛躍的に高めることにつながるのです。
A 定例会をペースメーカーとして活用する

仕事を素早く片づけるおすすめの方法は「 1泊 2日資料作成法」です。
どんな仕事も 1泊 2日でやる仕事術です。
これはソフトバンク時代、孫正義からいつも「大至急、資料を作れ。
明日の朝まで」と言われる中で編み出した方法です。
「1泊 2日資料作成法」とはこうです。
まず 1日目に、資料作成の仕事を、粗削りでも一気に作ってしまいます。
この過程で全体の流れを決めて、必要なデータなども洗い出します。
2日目に、足りない資料やデータなどを集めて一気に仕上げてしまう方法です。
これがもっとも効率的な資料の作り方なのです。
仕事が遅いということの理由のもっとも大きな原因は手戻りです。
同じところを行ったり来たりすることは多いはず。
「 1泊 2日資料作成法」は手戻りを可能な限り最小化する資料作成術です。
できることはすべてその場でやってしまう 今日やれることを「明日でもいいや」と思って先延ばしにしてしまうと、ますます仕事が溜まって悪循環に陥ります。
仕事をどんどんこなしていくには、可能な限り、その瞬間でできることはすべてやってしまって、一旦仕上げることです。
一番よくないのは検討中の状況が続くことです。
例えば、上司からあるプレゼンテーションの補強資料を作ってほしいと依頼されたとしましょう。
ドラフトになっているプレゼンテーションをもらったら、その瞬間にざっと目を通して、どんな補強資料が欲しいのかを尋ねるのです。
例えば、営業前線での自社の実績なのか、外部のシンクタンクに依頼するような将来の市場の成長予想なのか。
仮説ベースでもいいので、仕上がりイメージをその場で確認しましょう。
納期は聞く必要があります。
今日中なのか、明日までなのか、 1ヵ月後なのか、非常に重要です。
納期が決まれば、自然と仕上がりイメージも変わってきます。
明日までであれば、シンクタンクの資料を発注しても間に合わないかもしれません。
やってはいけないことは、「ハイ。
わかりました」とだけ言って受け取ってしまうこと。
上司がそのプレゼンテーションについて考えた直後でイメージが湧いている状態なのですから、その場で質問すべきなのです。
漫然と受け取って、ある程度作業が進んでから、上司に相談して、「いや、ちょっと違うな」と却下されるような手戻りを防がなければなりません。
納期を聞き忘れていれば、プレゼンテーション本番の直前に「どうなった?」と聞かれて「まだ、できていません」と答える羽目になってしまいます。
これではあなたに対する評価はガタッと下がってしまいます。
上司もあなたも納期について共通の認識をつくっておくことが重要です。
仕事が遅い人は、作業の際、一気にやってしまわずに、途中でやめてほかのことをしたりすることがあります。
仕事を再開した時には、以前の内容を思い出すために、また最初から自分の作った資料を見直したりします。
これでは素早く仕上げようにも、情報の整理と自分の脳にインプットすることに時間がかかり、仕事を素早く終わらせることはできません。
もっとも重要なことは、無駄な手戻りの原因になるような情報のインプットの時間を減らすことです。
なぜならば人の脳の処理速度自体にはそれほど差がないからです。
情報のインプットの時間を減らすためのコツは、一つの仕事はやり始めたら一気にやり遂げてしまうことです。
いろいろな仕事を同時にやっていては、ダメ。
パソコンのプログラムの起動や資料の読み直しなどは時間の無駄です。
ある程度の塊ができるまでは一気に仕事はやり遂げてしまいます。
その段階では粗くてもいいので、まずは一気に終わらせてしまうことが大事なのです。
考え込まず、思いついたら即実行する 次に大事なことは、考え込まないことです。
ソフトバンクでは孫正義がよく社員に言っている言葉があります。
「どんなことでも 10秒考えればわかる。
10秒考えてもわからない問題は、それ以上考えても無駄だ」 確かに、 10秒以上考えたからといって、よいアイデアが出てくることは少ないでしょう。
10秒考えていいアイデアが浮かばないような時は、考えるのをやめて、どうしたらいいアイデアが出るかを考えたほうがいい場合が多いものです。
どうすればいいアイデアが浮かぶかを考えるのです。
具体的な考えが浮かべば、即実行することが仕事を早くする秘訣です。
孫正義であれば、いつも「今すぐ人につなげ(連絡しろ)」となります。
無駄に時間をかけても意味がありません。
いいアイデアが出ない場合は、仕事を一旦切り上げます。
重要なことは、資料作成のために必要なことをすべて網羅して、粗削りでもいいので一気に全体を作ってしまうということです。
ここまでを 1日目までに行います。
ここまでで、絶対にやってはいけないことがあります。
部分部分を完璧にしようとして作業を進めることです。
全体を見直した時に、その部分が不要になったりするかもしれないので、無駄な作業になる可能性があります。
部分部分を仕上げていくやり方では結局、何倍も時間がかかることになりかねません。
全体をざっくり作って、必要な資料をすべて洗い出すことのほうがよほど重要なのです。
2日目に集まったデータで一気に資料を作成 一気に全体を作れば、その日はむしろもう手をつけないほうがいいでしょう。
新しい情報が集まらないのであれば、依頼のメールを打って、その日の仕事は終わりにします。
さっぱり忘れてほかの仕事に取りかかりましょう。
翌日、様々な情報を集めた状態で仕上げます。
依頼した担当者からメールが来ているかもしれません。
これでまた、違った角度から考えることができるかもしれません。
前日に一旦切り上げた仕事であっても、脳は寝ている間にも継続して整理整頓をしています。
これは、医学的にも言われていることです。
寝ている間に脳は昼間の情報を整理整頓して記憶しているそうです。
夜に眠れないという睡眠障害の人には記憶力の低下が見られたり、アルツハイマーになる可能性が高まったりするとされています。
脳は寝ている間にも活動を続けているのです。
こうした脳の機能を生かして、 2日目の朝に資料なりを出して一気に書き上げてしまいましょう。
1日目に依頼していた資料もそろっているはずです。
ここからは一気に仕上げてしまいます。
1泊 2日で資料を作ると手戻りがなく一気に作ることができるのです。
必ず効果が上がるはずです。
ぜひとも一度試してみてください。
A 難しい資料は一晩寝かせ、「 1泊 2日」で作る

自分がやるべきだと考える仕事とは、自ら新しい企画を立てたり、その作業をしたりすることを指すのでしょう。
このような仕事は将来への投資と言えます。
自分でやるべきだと決めた仕事ですから、そもそも「納期」も仕上がりのイメージも自分で決めることができる要素が多いわけです。
ルーティーンワークでない業務についてはフォーマットが決まっていないため、机に座ってやる必要はないかもしれません。
例えば、電車の中やカフェなどでも、企画を考えることはできるでしょう。
また、企画系の仕事はむしろ人に会って話をすることが重要です。
消費者のニーズをつかむために知り合いのお母さんの話を聞くというようなことです。
また、関連した業界の知り合いの話を聞くことも非常に重要でしょう。
机に座っていても仕事にならないわけです。
むしろ、レストランかバーで話を聞いたほうがより具体的によい話が聞ける可能性が高いこともあるでしょう。
さて、上から押しつけられた仕事とは、どんなものでしょうか。
まず「上司から押しつけられた」と決めつけるのはよくありません。
「押しつけられた」と感じるぐらいですから、重要度が低く、時間や手間がかかったり、失敗する可能性が高いものかもしません。
しかし、ここでは「押しつけられた」という思いは一度横に置いて、具体的にどのようにして片づけるかを考えましょう。
仕事の性質を見極め、それぞれに対応策を練る まず、仕事を大きく二つに区別します。
一つ目は、上司の思いつきの仕事です。
上司はよく考えずにアイデアを投げてくることがあるでしょう。
上司も「絶対こうしたい」というものがないまま、部下に下ろす場合です。
このような場合には、部下はメモのような役割も期待されています。
そのアイデアを忘れないために上司が話していることが多いからです。
孫正義の場合も時々あります。
それほど深く考えているわけではないのですが、「興味がある」という段階です。
例えば、「 ○ ○の分野について調べろ」と言われた場合にはまず、社内の関連部署に電話をして、ヒアリングをしたり市販の本やネットなどで調べたりして基礎知識をつけます。
それから A 4のメモを作成して、クイックレスポンスできるようにしておきます。
必要な時には、すぐに関連部署の担当者を社長室に呼び出したりできますし、自分の最低限の知識はあるので話を理解する素地はできています。
その後、孫正義から「どうなった?」と声がかかれば、簡単に報告します。
必要ならば、事前に説明しておいた社内の関連部署の担当者を呼びます。
こうしたやり方になったのは、理由があります。
あまりに、孫正義の「 ○ ○しとけ! 大至急!」が多すぎるため、すべてを社長室でやろうとするとパンクしますし、またそれぞれの部署に振っても、彼らも現場の仕事を持っているので、混乱のもとにもなりかねません。
一旦受け止めて、多少消化することが大事だったのです。
思いつきといっても、孫正義の思いつきですから、大発展する可能性もあり、眠らせるわけにはいきません。
だから、投げられた球は一度受け止めて、すぐに投げ返せる準備をして待つようにしたのです。
もう一つのパターンは、面倒で手間がかかるため、部下に投げてくる場合です。
例えば、取締役会に出すプレゼンテーションの作成などがあるでしょう。
難しいクライアントへの営業かもしれません。
お客さま対応などのようになかなか報われない仕事もあります。
投げつけられる立場としても「どうせ面倒だからやらないんでしょ」と断りたくなるかもしれません。
しかし、こうした仕事こそ、実は丁寧にしっかりやるべきです。
仕事のやり方や取締役や他部門の考え方を学ぶよいチャンスなのです。
どんな仕事も手を抜かずにやれば、自分の肥やしになる 三菱地所時代の広報部で働いていたころ、一番時間を使っていたのは、新聞切りでした。
インターネットや様々な情報サービスの普及した現在ではちょっと考えられないのですが、毎朝 32紙の新聞を読んでいました。
よく知られている全国紙から普通の人が読むことのない業界紙まで 32紙を新入社員二人で読むのです。
山のような量で、特に月曜日には土曜と日曜の新聞が溜まるので朝 7時に出社、それ以外でも 7時 30分には会社にいました。
朝起きるのがずいぶんとつらかったものです。
広報部にいた 3年間ずっと続けました。
さらに主要な週刊紙なども同様に目を通していました。
しかし、この新聞切りをしたことが、後に大変役立ちました。
なにしろ、自社や業界の関連記事を切り抜くために見るのですから、一応見出しだけであっても、すべての記事を読むことになります。
おそらく、 3年間で普通の人が一生に読む数回分ぐらいは新聞を読んだのではないでしょうか。
前日の新聞記事やテレビで事前に知っていることが、新聞の何面にどのくらいのサイズで、どういう見出しで出ているかを予想してから新聞をめくっていたのです。
自分がやるべきだと考える仕事とは、自ら新しい企画を立てたり、その作業をしたりすることを指すのでしょう。
このような仕事は将来への投資と言えます。
自分でやるべきだと決めた仕事ですから、そもそも「納期」も仕上がりのイメージも自分で決めることができる要素が多いわけです。
ルーティーンワークでない業務についてはフォーマットが決まっていないため、机に座ってやる必要はないかもしれません。
例えば、電車の中やカフェなどでも、企画を考えることはできるでしょう。
また、企画系の仕事はむしろ人に会って話をすることが重要です。
消費者のニーズをつかむために知り合いのお母さんの話を聞くというようなことです。
また、関連した業界の知り合いの話を聞くことも非常に重要でしょう。
机に座っていても仕事にならないわけです。
むしろ、レストランかバーで話を聞いたほうがより具体的によい話が聞ける可能性が高いこともあるでしょう。
さて、上から押しつけられた仕事とは、どんなものでしょうか。
まず「上司から押しつけられた」と決めつけるのはよくありません。
「押しつけられた」と感じるぐらいですから、重要度が低く、時間や手間がかかったり、失敗する可能性が高いものかもしません。
しかし、ここでは「押しつけられた」という思いは一度横に置いて、具体的にどのようにして片づけるかを考えましょう。
仕事の性質を見極め、それぞれに対応策を練る まず、仕事を大きく二つに区別します。
一つ目は、上司の思いつきの仕事です。
上司はよく考えずにアイデアを投げてくることがあるでしょう。
上司も「絶対こうしたい」というものがないまま、部下に下ろす場合です。
このような場合には、部下はメモのような役割も期待されています。
そのアイデアを忘れないために上司が話していることが多いからです。
孫正義の場合も時々あります。
それほど深く考えているわけではないのですが、「興味がある」という段階です。
例えば、「 ○ ○の分野について調べろ」と言われた場合にはまず、社内の関連部署に電話をして、ヒアリングをしたり市販の本やネットなどで調べたりして基礎知識をつけます。
それから A 4のメモを作成して、クイックレスポンスできるようにしておきます。
必要な時には、すぐに関連部署の担当者を社長室に呼び出したりできますし、自分の最低限の知識はあるので話を理解する素地はできています。
その後、孫正義から「どうなった?」と声がかかれば、簡単に報告します。
必要ならば、事前に説明しておいた社内の関連部署の担当者を呼びます。
こうしたやり方になったのは、理由があります。
あまりに、孫正義の「 ○ ○しとけ! 大至急!」が多すぎるため、すべてを社長室でやろうとするとパンクしますし、またそれぞれの部署に振っても、彼らも現場の仕事を持っているので、混乱のもとにもなりかねません。
一旦受け止めて、多少消化することが大事だったのです。
思いつきといっても、孫正義の思いつきですから、大発展する可能性もあり、眠らせるわけにはいきません。
だから、投げられた球は一度受け止めて、すぐに投げ返せる準備をして待つようにしたのです。
もう一つのパターンは、面倒で手間がかかるため、部下に投げてくる場合です。
例えば、取締役会に出すプレゼンテーションの作成などがあるでしょう。
難しいクライアントへの営業かもしれません。
お客さま対応などのようになかなか報われない仕事もあります。
投げつけられる立場としても「どうせ面倒だからやらないんでしょ」と断りたくなるかもしれません。
しかし、こうした仕事こそ、実は丁寧にしっかりやるべきです。
仕事のやり方や取締役や他部門の考え方を学ぶよいチャンスなのです。
どんな仕事も手を抜かずにやれば、自分の肥やしになる 三菱地所時代の広報部で働いていたころ、一番時間を使っていたのは、新聞切りでした。
インターネットや様々な情報サービスの普及した現在ではちょっと考えられないのですが、毎朝 32紙の新聞を読んでいました。
よく知られている全国紙から普通の人が読むことのない業界紙まで 32紙を新入社員二人で読むのです。
山のような量で、特に月曜日には土曜と日曜の新聞が溜まるので朝 7時に出社、それ以外でも 7時 30分には会社にいました。
朝起きるのがずいぶんとつらかったものです。
広報部にいた 3年間ずっと続けました。
さらに主要な週刊紙なども同様に目を通していました。
しかし、この新聞切りをしたことが、後に大変役立ちました。
なにしろ、自社や業界の関連記事を切り抜くために見るのですから、一応見出しだけであっても、すべての記事を読むことになります。
おそらく、 3年間で普通の人が一生に読む数回分ぐらいは新聞を読んだのではないでしょうか。
前日の新聞記事やテレビで事前に知っていることが、新聞の何面にどのくらいのサイズで、どういう見出しで出ているかを予想してから新聞をめくっていたのです。
結果、どういう見出しが記者に好まれるのか、どういう記事が掲載されるのか、どういう展開で記事が深掘りされるのかなどを予想できるようになってきました。
その後の丸の内カフェの展開やそのほかの事業展開の打ち出し方などに非常に役立ったのです。
一見地味で無駄な仕事であっても、そこから何をどれだけ学べるかは、仕事に対する姿勢次第と言えます。
単に「押しつけられた」と捉えず、何かを学ぶつもりで取り組むことが大事です。
取締役会のプレゼンテーションであっても、どれだけ理解しやすく情報を加工できるかを追求するよい練習になりますし、面倒なクライアントこそ、クライアントの気持ちを教えてくれる貴重な存在かもしれません。
自分がやるべきだと考える仕事と上から押しつけられた仕事。
ビジネスパーソンならば、上から押しつけられた仕事をきっちり仕上げましょう。
その上で、将来への投資になる仕事をやるのです。
A 「押しつけられた仕事」こそ全力を注ぎ、肥やしにする
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