鼻づまりの原因疾患その ❶副鼻腔炎/今も悩める人が多数・鼻トラブルの 2大疾患の1つ鼻づまりの原因疾患その ❷好酸球性副鼻腔炎/原因不明の難治性疾患にはどのように対応すればよいか鼻づまりの原因疾患その ❸アレルギー性鼻炎(花粉症)/患者多数の国民病・悪化を防ぐため何をするか鼻づまりの原因疾患その ❹慢性上咽頭炎/多数の症状を誘発する隠された病鼻づまりの原因疾患その ❺副鼻腔真菌症/正体はカビ、取り除くことが治療の基本鼻づまりの原因疾患その ❻鼻中隔湾曲症/鼻の仕切りが曲がってしまう病気、手術でサクッと治すかそのままか鼻づまりの原因疾患その ❼血管運動性鼻炎/寒暖差に自律神経が過敏反応・アレルギー性鼻炎と誤解されがち鼻づまりの原因疾患その ❽加齢性鼻炎(老人性鼻炎)/加齢現象だからしかたないが
鼻づまりの原因疾患その ❶副鼻腔炎今も悩める人が多数・鼻トラブルの 2大疾患の1つ ▼副鼻腔炎とは? 鼻の周囲に、「副鼻腔」と呼ばれる4つの空洞があります。 その4つが、上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞と名づけられています。4つの空間が左右対であるので、総計8つの副鼻腔があることになります(「鼻の構造と副鼻腔のしくみ」参照)。 ちなみに、なぜ、こんなにもたくさんの空洞が存在するのでしょうか。 その理由ははっきりわかっていません。 (A)空洞があることで、頭部が軽くなり、首への負担をへらせる。( B)大きな衝撃が加わったとき、緩衝効果を生み出し、脳を守る。( C)声を反響させるため。 いろいろな説があります。 これらの副鼻腔は、皆、細い通路で鼻腔に通じています。副鼻腔の中は、鼻腔と同様の薄い粘膜で覆われていて、それ以外は空気で満たされています。この空洞に炎症が起こるのが副鼻腔炎です。 以前は、「蓄膿症」と呼ばれていました。高齢者には、この名前のほうがなじみ深いかもしれませんね。「昔は、青っぱなを垂らした子供たちがよくいたものだ。あの子たちはどこへ消えたのか?」 そんな疑問がひっかかっているかたもいらっしゃるでしょう。 その疑問については、 Q& Aの章でお答えしますが、現代においても、副鼻腔炎は悩んでいる人の多い疾患です。 日々、患者さんを診ている医師としての実感からいえば、患者さんの数は、アレルギー性鼻炎&花粉症と並んで多い。つまり、鼻にまつわるトラブルの 2大疾患の1つといってよいのです。 ▼原因は? 副鼻腔炎の原因は、いろいろあります。 最も一般的なのが、カゼなどや細菌感染によって、鼻腔に炎症が起こり、それが副鼻腔に広がっていくもの。 カゼをひく →鼻腔内の粘膜が炎症を起こして腫れる・鼻腔の分泌物がふえる →副鼻腔と鼻腔内の通路の通りが悪くなる →副鼻腔内の排泄が悪くなる →副鼻腔炎になる。このような流れになるでしょう。 早い時期に医療機関を受診すれば、たいていは薬の投与によって、通常 1 ~ 2週間で症状が治まります。それは、「急性副鼻腔炎」に分類されます。 一方、炎症がいつまでも治まらず、慢性化する場合もあります。 放置していたり、治療しても治りきらなかったり、再発をくり返したりしていると、炎症が悪化し、粘膜が腫れて、鼻腔と副鼻腔につながる通路が完全にふさがってしまいます。 すると、副鼻腔の中に膿がたまって細菌が増殖するとともに、粘膜の炎症はどんどん悪化し、さらに腫れていきます。 こうした悪循環が 3ヵ月以上続くと、副鼻腔炎が慢性化して、この本のタイトルである「慢性副鼻腔炎」と診断されます。 ▼症状は? 副鼻腔炎になると、副鼻腔では何が起こっているのでしょうか。 先ほどのくり返しになりますが、鼻腔と副鼻腔の間には細い通路である自然口があります。副鼻腔炎になると、その通路が炎症でふさがってしまうので、副鼻腔内の換気や、たまった分泌物の排出ができなくなります。炎症を起こす原因物質がたまったままなのですから、細菌感染も起こりやすくなります。 こうして事態は悪化し、慢性化し、どんどん治りにくくなっていくという悪循環が起こります。 悪化すると、鼻腔そのものも腫れて、狭くなっているので、いつまでも鼻づまりが治りません。炎症によって黄色や黄緑色の、ドロドロした鼻水が出ます。 鼻腔の天井部分の嗅覚を司る部分も腫れているため、においがわからない、味がわからないといった症状も起こります。 副鼻腔の炎症により、頭重感、頭痛、ほおの痛み、歯痛などの痛みも生じます。 のどに鼻水が垂れる後鼻漏も起こりやすくなります。副鼻腔炎の鼻水は、粘っこくのどにへばりつき、ゴホンゴホンとセキ払いで吐き出そうとしても、なかなか出てきません。こうして、タンや、セキ、口臭などの原因ともなります。 なにより警戒しなければならないのは、こうした鼻水は細菌やウイルスを含んでおり、それがのどや気管へ感染や炎症を広げるおそれがある点です。 ほかにもさまざまなリスクがあり、だからこそ慢性化・難治化させずに治したいのです。 ▼治療法は? 治療は、基本的には、次の2つのアプローチがあります。
副鼻腔炎治療の基本アプローチ ①炎症を抑える ②鼻水と膿を出す 副鼻腔に起こっている炎症を鎮める必要があります。炎症が強い場合、抗生剤・消炎薬が必要になるケースもあります。 鼻水と膿を出すためには、鼻吸引措置や鼻腔洗浄を行います。 膿の排出を促すため、漢方薬を使うこともあります。 抗生剤の通常投与とは違う方法で、「少量長期投与療法」という方法があります。 使われるのは、マクロライド系抗生剤で、治りにくい慢性副鼻腔炎に、通常よりも少ない量(通常の 1/ 2 ~ 1/ 4)を、長期にわたって投与します。通常、抗生剤の投与は 2週間までですが、少量投与の場合、それよりも長い期間にわたって使うことになります。 この療法の場合、抗生剤で、単に細菌を殺すというのだけが目的なのではありません。加えて、この抗生剤の持つ免疫を高める力や抗炎症作用もあわせて期待しているのです。 患者さんのなかには、抗生剤について拒否反応を示すかたがいらっしゃいます。 確かに、抗生剤の不適切な過剰投与は、私たちの体に問題を引き起こすリスクがあります。しかし、すべての抗生剤を拒否してしまうことは、やはり賢明ではありません。マクロライド系抗生剤にしても、「何ヵ月も通って、抗生剤を飲んでいるので、体に悪影響がないだろうか」と疑問に思うかたもいらっしゃるでしょう。 しかし、体に悪影響が出ないように抑制した少量の薬を、長期投与することによって、実際に効果が上がっているということも、知っておいて損はないはずです。 薬は、使うべきときを見極めて、適切な量を使うべきです。疑問があれば、担当医に説明を求めてください。 なお、漢方薬としては、粘っこい鼻汁を出しやすくして、鼻づまりを解消する「辛夷清肺湯」、慢性の炎症を鎮めてくれる「荊芥連翹湯」などが勧められます。 漢方薬の場合、患者さんの「証(漢方で考えるその人の体質の特徴)」に合わせて、漢方薬を選びます。漢方薬を試したいかたは、ぜひ漢方に詳しい先生に相談のうえ、利用されることをお勧めします。 ▼手術は? 場合によっては、手術も選択の1つになります。 私が耳鼻科医になったころは、副鼻腔炎の手術といえば、歯茎を切開して、ほおの骨を削り、副鼻腔を掃除するといった大掛かりなものでした。痛く、怖い手術の代表でもあったのです。以前の手術では、副鼻腔の粘膜をすべて除去するといったことも行われていました。 現在では、内視鏡による手術が大きく進歩し、手術中の痛みや、手術後の顔のしびれなどの副作用は大きく軽減されています。ご年配のかたのなかには、まだ昔のイメージにとらわれていて、手術をやりたがらないかたもいらっしゃいます。 しかし、最近の内視鏡手術の進展ぶりをお話しすると、たいてい「それなら」と手術を望まれます。 現在では、小分けされている副鼻腔の空洞の仕切りを取っ払い、空間を広げたり、鼻腔に通じる自然口を広げたりするといった方法も取られるようになっています。これによって、換気をよくしようというのです(それだけ感染が起こりにくくなります)。 加えて薬物療法を行うことで、よくなる事例がふえています。 しかし、慢性化すると、まだまだ難治化することが少なくないのも慢性副鼻腔炎です。できるだけ早め早めの対応が大事であることは、いうまでもありません。 ▼セルフケアは? 慢性化し、治りにくくなっている慢性副鼻腔炎の治療のために、セルフケアが非常に重要になってきます。というより、通院しながら、必要な処置を受けつつ、セルフケアを地道に徹底することが、なかなか治らなかった慢性状態を快方へ導く近道なのだといってもよいでしょう。 患者さんのなかには、継続して徹底したセルフケアを行うことで、どの病院に行っても治らなかった慢性副鼻腔炎を、見事に克服したかたもいらっしゃいます。 最も基本的な鼻うがいは、ぜひお勧めしたいセルフケアです。 鼻腔の粘膜は、繊毛に覆われ、繊毛運動が行われています。繊毛が、外から入ってきた細菌、ウイルス、アレルギー物質を粘液とともに鼻腔の奥に移動させて、粘膜表面に停滞、付着しないように働いているのです。 副鼻腔炎になると、この繊毛の機能が低下しており、それが炎症を慢性化させる原因の1つとなっています。鼻うがいをすると、この繊毛運動のかわりに、病原体やアレルギー物質を洗い流すことができます。 鼻うがいのほかに、オイル点鼻も勧められます。
鼻づまりの原因疾患その ❷好酸球性副鼻腔炎原因不明の難治性疾患にはどのように対応すればよいか ▼好酸球性副鼻腔炎とは? 好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に、多発性のポリープ(鼻たけ)ができる疾患です。大量にできて、鼻からあふれるほどになることもあります。近年、増加していることがわかっています。 好酸球とは白血球の一種です。通常、寄生虫などに対して働きかけ、体を守る免疫機能を担っていますが、その一方で、アレルギー性疾患における炎症の一因ともなっています。 どんな病気でも、診断基準が決まって、病名が知れ渡ると、その病気がふえる傾向にあります。好酸球性副鼻腔炎にも当てはまります。 これは、病気そのものがふえたのか、それとも、その病気と診断される患者さんがふえただけなのか、正確なところはわかりません。 好酸球性副鼻腔炎も、広くとらえると、アレルギー性疾患といえると思いますので、要するにアレルギー疾患がふえてきたなかで、この病気も目立ってきたと考えられるかもしれません。 慢性副鼻腔炎の患者は、 100 ~ 200万人と推定されていますが、そのうち、好酸球性副鼻腔炎の患者は 20万人。この 20万人のうち、重症とされるかたが 2万人といわれています。これらのかたがたは、難病指定されています。 この名称は、初耳のかたも多いと思いますが、鼻のトラブルのなかでも重篤な疾患とお考えください。
▼原因は? 原因不明とされています。 患部に好酸球がたくさん集結していることは事実ですが、患部に何か悪いものがあるため、それをやっつけるために好酸球が集まってきているのか、逆に、好酸球が集まっているから症状が出ているのか、それもわかっていません。 ▼症状は? 糊のような粘り気のある鼻汁、ひどい鼻づまり。後鼻漏も生じます。鼻づまりに伴って、頭重感、頭痛も起こります。においがわからない、味がわからないなどと訴えるかたもいます。 鼻で呼吸ができないため、口呼吸を続けていると、のどに細菌がつきやすくなり、気道などに炎症を起こしやすくなります。 呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューというセキが続いたり、さらに悪化すると、気管支ぜんそくなどの呼吸器系の疾患が合併したりすることがあります。この病気の 3割のかたが、該当するといわれています。 好酸球性副鼻腔炎を治療するのは、併発しやすい気管支ぜんそくを発症させないためでもあります。 また、好酸球が増加する、好酸球性中耳炎を併発することもあります。 ▼治療法は? 好酸球性副鼻腔炎は、細菌が主な原因ではありませんから、抗生剤は効きにくいといわれています。 通常、ステロイドを服用することが多く、量を調整しながら、 3ヵ月ほど継続します。これによって、鼻たけが縮小し、においを感じられるようになるなどの症状改善が見られた場合、いったん終了します。 ステロイドの場合、長期に使い続けることはできませんから、休んだり再開したりをくり返すことになります。 漢方薬も選択肢として考えられるので、漢方薬に詳しい医師に相談してみてもいいでしょう。 また、鼻腔洗浄によって、治療効果が高まるとされています。 鼻たけが大きく、鼻づまりや頭重感が強い場合、内視鏡手術で切除しますが、再発して手術をくり返すこともまれではありません。 ▼新しい研究から 最近の研究で、好酸球性副鼻腔炎と気管支ぜんそくとの間に、深い関連のあることがわかってきています。 好酸球性副鼻腔炎と気管支ぜんそくを併発しているかたの場合、気管支ぜんそくが悪化すると好酸球性副鼻腔炎も悪化し、ぜんそくが改善すると好酸球性副鼻腔炎も改善する傾向があります。そのため、好酸球性副鼻腔炎とぜんそくの両方の治療を同時並行して行おうという考え方が生まれ、実践されるようになってきました。 この考え方のベースとなっているのが、国際的なアレルギー性鼻炎ガイドライン、 ARIA(アレルギー性鼻炎とそのぜんそくへの影響)が提唱している、「ワン エアウェイ ワン ディジーズ( one airway, one disease)」という概念です。 鼻腔や副鼻腔が属する上気道と、気管支が属する下気道は、いわば、ひと続きの気道(ワン エアウェイ)であるため、アレルギー性鼻炎といった上気道のアレルギーも、ぜんそくなどの下気道のアレルギーも、1つの疾患(ワン ディジーズ)としてとらえようというのです。 好酸球性副鼻腔炎もアレルギーが関係していることから、最近では、好酸球性副鼻腔炎とぜんそくも、同じ呼吸器疾患の1つとみなされるようになってきました。 このため、治療の際には、鼻だけではなく、呼吸器全般の健康回復を目指す治療も始まっています。 ▼セルフケアは? 好酸球性副鼻腔炎は、完治の難しい病気です。こうした場合、セルフケアの役割がとても大事です。 食事療法やサプリメントの活用も、ぜひご検討ください。食事とサプリで体質改善を図ることで、上手に病状をコントロールできるようになることを目指しましょう。 いわゆる、鼻弱体質というものを食事によって改善していくことが、病状の改善にも役立っていくと考えられます。 また、病院での治療として、鼻腔洗浄が効果的なので、自分で行うセルフケアとしては、鼻うがいが勧められます。鼻づまりの原因疾患その ❸アレルギー性鼻炎(花粉症)患者多数の国民病・悪化を防ぐため何をするか ▼アレルギー性鼻炎とは? アレルギー性鼻炎とは、本来異物を体内に入れないための防御機構である、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが病的、かつ過剰に起こる病気です。 体がある物質を異物と認めると、それから身を守ろうとして抗体がつくられます。再び鼻から異物(アレルゲン =アレルギーの原因物質)が入ってくる
と、それと粘膜内の抗体が抗原抗体反応(アレルギー反応)を起こし、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが生じます。 異物に反応して、免疫機構が過剰に働きすぎて、生体にとってかえって不利益となるような状態を引き起こしてしまうのが、アレルギー反応です。 本来、大した敵ではないはずの、ほこりや花粉に対して、過剰に反応してしまうわけです。くしゃみ ➡くしゃみで、異物を外に飛ばそうとしている鼻水 ➡鼻水で、異物を外に洗い流そうとしている鼻づまり ➡鼻をつまらせて、中に侵入できないようにしている アレルゲンになりやすいのは、ハウスダスト、ダニ、スギやヒノキを代表とする花粉、犬や猫などのペット、カビなどです。 厚生労働省の調査によると、日本人の 2人に 1人が、なんらかのアレルギー疾患にかかっているとされています。 アレルギー疾患には、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性気管支ぜんそく、食物アレルギーなどがあります。なかでもアレルギー性鼻炎は、患者数が最も多く、年々増加し続けています。 特に花粉症は、日本人の 4人に 1人とも、 3人に 1人ともいわれています。 また、アレルギー性鼻炎は、症状を発する時期によって、「通年性」と「季節性」に分けられます。 通年性アレルギー鼻炎は、季節に関係なく、ハウスダストなどによって症状が起こるもの。季節性アレルギー性鼻炎は、特定の季節に症状が起こるものです。なかでも代表的なのは花粉が原因となるもので、花粉症とも呼ばれています。 ▼原因は? 通年性アレルギー性鼻炎の原因物質は、ダニやほこりなどのハウスダスト、ペットの毛などの身のまわりの細かい粒子。排気ガスなどもアレルゲンとなります。 季節性アレルギー性鼻炎の代表格が花粉症。スギやヒノキの花粉がよく知られていますが、季節や地域によってさまざまなものがあります。 例えば、関東地方では、ほぼ 1年を通して、花粉症に関連するさまざまな種類の花粉が飛散しています。スギは 2 ~4月ごろ、ヒノキは 3 ~5月ごろ、カモガヤは 5 ~7月ごろ、ブタクサとヨモギは 8 ~ 10月ごろ。 ほかに、 PM 2・ 5や黄砂も、季節性に分類されます。 こちらでアレルギーマーチの話をしましたが、もともと食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を持っているかたは、その後、ハウスダストや花粉が原因のアレルギー性鼻炎になりやすいとされています。 食物アレルギーがあると、 IgEという抗体をつくりやすくなります。 抗体とは、侵入してきた病原体にくっついて、これを無力化するように働く免疫物質。たんぱく質でできており、私たちの体には5つの抗体があります。最も食物アレルギーと関係する抗体は、 IgEと IgGです。食物アレルギーを発症し、この IgE抗体が多くつくられることが、のちのち、さまざまな症状につながります。 体内に入った花粉に反応した IgEが、炎症などを引き起こす化学伝達物質をたくわえている「肥満細胞」に付着します。花粉との接触を何回もくり返すうちに、 IgEが付着した「肥満細胞」が増加していきます。それが一定レベルを超えると、くしゃみや鼻水を引き起こす化学伝達物質「ヒスタミン」などを放出するようになり、結果として、花粉症が発症することになります。 IgEは、食品に反応するもの、花粉に反応するもの、ハウスダストに反応するものなど、さまざまな抗体がありますが、そもそもアレルギー性疾患の発症のしくみは同じです。もともと IgEをつくりやすい体質だと、食品だけでなく、花粉やハウスダストに反応する IgEもつくりやすいということになります。 こうして、食物アレルギーだけでなく、ハウスダストが原因の通年性アレルギー性鼻炎、花粉が原因の季節性アレルギー性鼻炎も発症しやすくなってしまうのです。 近年の研究により、 IgEを抑制する薬剤による、アレルギー性鼻炎の治療が始まりました。特に、重症のかたには朗報といえます。一方、非 IgE型アレルギー性鼻炎も報告されてきています。一筋縄ではいかないのが、アレルギー性の病気です。 ▼症状は? 通年性のアレルギー性鼻炎と季節性のアレルギー性鼻炎(花粉症)は、立て続けに出るくしゃみ、鼻水、鼻づまりが 3大症状です。3つがそろっていると、アレルギー性鼻炎が強く疑われます。 鼻水は、透明でサラサラした鼻水がたくさん流れ出ます(副鼻腔炎のドロドロした鼻水とは対照的)。 加えて、花粉症は、目のかゆみや充血、のどのかゆみ、皮膚のかゆみ、頭重感、熱っぽい、全身がだるいといった全身症状も出てきます。 花粉症は、花粉の飛散量と症状の強さが比例します。飛散量が多ければ、症状も強くなるのです。つまり、期間限定で非常につらい時期がやってくることになります。 一方、通年性のアレルギー性鼻炎は、季節にかかわらず、なんとなく 1年じゅうグズグズしているというかたが多いのです。 通年性アレルギー性鼻炎と、季節性アレルギー性鼻炎を合併している人もいます。 1年じゅうグズグズしていて、春先は特につらいというパターンをくり返し
ます。 注意しなければならないのは、季節性アレルギー性鼻炎と、通年性のアレルギー性鼻炎は無関係ではないことです。アレルゲンは異なるものの、患者さん本人が、アレルギー体質であることには変わりがありません。 また、スギの花粉症だから春だけ我慢すればよいと考えていると、症状が出ている期間がだんだん長くなって、気づけば通年性のアレルギー性鼻炎になっていたというかたもいます。 タイプは違っても、花粉やハウスダストといった無害なものに反応していることに変わりはありません。我慢したり、やり過ごしたりしているだけでは、炎症は長引き、症状はしだいに進行していくことも多いものです。 ですから、季節性アレルギーのかたは、現在のアレルギー症状の手当はもちろんですが、通年性アレルギーへの進行を予防することも頭に置いて、治療に当たったほうがいいでしょう。 アレルギー疾患は、症状をコントロールすることでよくなる可能性が高まり、ほかのアレルギー疾患の予防にもつながるからです。 ▼検査は? 検査は、まず、あなたの鼻炎がアレルギーによるものかどうかを調べます。 アレルギー性鼻炎、あるいは、花粉症とわかった場合、自分の状態、アレルゲンは何かを把握しておくことは大事です。 検査としては、問診、鼻鏡検査、血液検査、鼻汁好酸球検査などがあります。 問診では、症状が始まった時期、季節との関連性、症状の種類と程度、過去の病歴やほかのアレルギー性の病気(ぜんそく、アトピー性皮膚炎等)の併発の有無、家族の病歴(特にアレルギー)などをはっきりさせましょう。 親のアレルギー体質は、子供に受け継がれることが多いようです。両親や兄弟にアレルギーがあると、アレルギー性鼻炎が起こりやすくなります。そのため、家族の病歴もチェックします。 アレルギー性鼻炎の場合、アレルギー体質のレベル(総 IgE)や、どんな物質にアレルギー反応があるか(特異的 I g E)などを調べることができます。アレルギーは、個人差が大きいものです。ダニやカビ、ハウスダストに対して反応が強く出るかたもいれば、ダニだけに極めて強いアレルギー反応を起こすかたもいます。 アレルギーを持っているかたは、自分がどんなアレルゲンに反応するのか、判定してもらうことが重要です。 何か1つのアレルギー疾患があると、ほかの疾患にもかかりやすくなります。自分が何に反応するのかを調べ、なるべくそれに接触しないようにすれば、症状を軽くできる可能性があります。 お忙しいかたも、一度、ぜひ検査に行くことをお勧めしたいと思います。 近年、アレルギー性鼻炎だけではなく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などのアレルゲンを一度に 3種類調べられる検査( View 3)が行われるようになりました。 Viewアレルギー 39の 39項目は、次のようなものになります。 ●吸入系、その他のアレルゲンヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト、ネコ皮屑、イヌ皮屑、ガ、ゴキブリ、スギ、ヒノキ、ハンノキ(属)、シラカンバ(属)、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガエリ、アルテルナリア(ススカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジダ、マラセチア(属)、ラテックス ●食物系アレルゲン卵白、オボムコイド、ミルク、小麦、ピーナッツ、大豆、米、ソバ、ゴマ、エビ、カニ、キウイ、リンゴ、バナナ、マグロ、サケ、サバ、牛肉、鶏肉、豚肉 費用は、保険適用で自己負担が 3割の場合、 4000 ~ 5000円くらいかかります。 ただし、まだ、この検査の精度は正確ではありません。あるかたが、ある物質に陽性反応が出たからといって、必ずしもその物質でアレルギー反応が出るとは限らないのです。総 IgEも同様で、花粉症がひどいのに、総 IgEが正常値の人もいます。 出た結果と、実際に起こっている自分の反応と照らし合わせて判断していくことが大事になります。
▼治療法は? アレルギー性鼻炎の治療のためには、およそ4つのポイントがあります。アレルギー性鼻炎治療の4つのポイント ①環境調整 ②薬物療法 ③手術 ④舌下免疫療法 環境調整とは、まず、アレルゲンとふれる環境に関するもの。 例えば花粉症の場合、花粉に接触しなければ症状は出ません。このため、花粉にふれない工夫が必要になってきます。 通年性のアレルギー性鼻炎の場合なら、ダニやハウスダストをへらすために、こまめに室内を掃除するなど。 ▼薬は? 内服薬は、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド薬など数多くの種類があります。 アレルギー性鼻炎は、大きく分けて、「くしゃみ・鼻水型」「鼻づまり型」といった 2タイプの鼻炎に分けることができます。また、鼻炎の重症度も、軽・中・重症とあるので、タイプ別、重症度別に勧められる薬は違ってくることになります。 加えて、患者さんは、自分の症状やライフスタイルも考えて、薬を処方してもらうようにしましょう。 薬には、やはり、副作用がつきものです。眠気がしたり、頭がボーッとしたりするものもあります。総じてよく効く薬ほど、副作用も強く出ることが多いといえます。 ですから、仕事で車の運転などをするかたは、眠気を誘う薬は使えません。点鼻薬などでフォローしつつ、マスクなどの環境調整が主になります。 特に花粉症に関しては、症状が悪化してからでは、薬の効きが悪くなります。効果的に薬を使うためには、早めの投与が有効です。 医療機関の指導で行う場合、花粉の飛散開始日の予測を目安にして、花粉が本格的に飛ぶ前から薬を使い始めるのです。すると、症状が出るのを遅らせたり、ピーク時の症状を抑えたりして、全体の症状を軽くできます。 なお、漢方薬としては、花粉症のくしゃみや鼻水によいとされるのが、「小青竜湯」、鼻づまりを解消するのに役立つとされるのが、「葛根湯加川芎辛夷」などです。 ▼手術は? アレルギー反応を起こしにくくするレーザー手術があります。 鼻の中で最も大きいひだである下甲介粘膜を、レーザーで浅く焼いてヤケドをつくります。ヤケドした粘膜が縮み、アレルギー反応が起こりにくくなるのです。鼻腔内が広くなり、鼻づまりが解消し、くしゃみや鼻水も軽くなります。 手術は局所麻酔で行い、所要時間も 30分程度。日帰りでできる治療です。痛みも軽く、副作用もほとんどないとされています。 花粉症の場合、シーズンの半年から 3ヵ月くらい前に行うと、症状は軽くなり、満足度も高いようです。 ただし効果は限定的で、 3年ほどで症状が戻ることが多いとされています。 ▼舌下免疫療法とは? 舌下免疫療法は、アレルゲンの薬用エキスを患者さんの舌の下に入れて、粘膜から吸収させます。アレルゲンに慣れさせる療法です。 スギ花粉症の場合は、シーズン終了後、年内くらいに開始。ダニアレルギーの場合であれば、いつからでも始められます。少なくとも 3年以上継続することで、効果の定着が期待できます。 ただし、舌下免疫療法を行っても、症状がゼロになるかたは 2割といわれています。かなり軽くなったかた、まあまあ軽くなったかたと合わせて、効果が認められたかたが、約 8割。 効果がなかったかたも、 2割にいることになります。 治療期間の長さや手間、費用などを考慮に入れたうえで、検討してみてください。 なお、アレルゲンを直接体に入れることになりますから、アナフィラキシーショック(急激なアレルギー反応によりショック状態になること)が起こる可能性はゼロではありません。そのため、治療は医師の指導のもとで行われます。 ▼セルフケアは? 鼻うがいが勧められます。 鼻うがいによって、鼻の中をきれいに洗浄することができます。
鼻づまりや鼻水などを引き起こす、花粉などの発作の原因物質を洗い流すことで、なるべく鼻腔内に付着しないようにすることができます。これを続けることで、症状の悪化を軽減できると考えられます。 食事も重要です。 私は、アレルギー性鼻炎や花粉症のかたたちには、食事を変えることもお勧めしています。食事を変えることで、鼻づまりなどを発症しやすい鼻弱体質を改善することを目指します。 具体的には、栄養バランスを整える、腸内環境の改善、少食などを推奨しています。最近は、 LPS食材が注目されています(第 4章で詳しくお話ししています)。鼻づまりの原因疾患その ❹慢性上咽頭炎多数の症状を誘発する隠された病 ▼慢性上咽頭炎とは? 上咽頭は、鼻腔のいちばん突き当たり、のどのほうからいえば、のどのいちばん上に位置しています。 カゼやさまざまな要因がきっかけとなって、上咽頭に炎症が起こります。 上咽頭炎には、「急性」と「慢性」がありますが、炎症が 3週間以上続いている場合が「慢性上咽頭炎」と呼ばれています。慢性上咽頭炎は、その炎症の影響で、鼻づまりや後鼻漏、のどの違和感などの症状が引き起こされるだけではなく、血管や神経系を介して、遠くの臓器や全身へと悪影響を及ぼすリスクがあります。 ▼原因は? 上咽頭は、左右の鼻の穴から吸い込まれた空気が合流し、気道に向かって下りていく場所です。上咽頭にはリンパ組織があり、たくさんの免疫細胞が待機しています。ここで侵入してきた病原体に応戦するのです。 このため、上咽頭はもともと炎症の起こりやすい場所です。その炎症が、ストレスなどの影響を受けて慢性化した結果、慢性上咽頭炎となり、体に大きな悪影響を及ぼすようになります。 ▼症状は? 鼻づまりは軽度。外に出る鼻水は少なめですが、後鼻漏に悩まされるかたが多く見られます。のどの奥の違和感や、のどの痛み、タンがからみやすい、声が出しにくい、耳の痛み、頭痛、頭重感、首のこり、肩こりなどの症状が出ます。 しかも、慢性上咽頭炎がやっかいなのは、上咽頭とは直接関連のない、離れた臓器にまで影響を及ぼす点です。それが、病巣感染という現象です。 病巣感染とは、ある部位で起こっている慢性炎症が、遠隔部の一見関連のなさそうな臓器にも飛び火し(炎症性物質が血管を介して移動し)、炎症を引き起こす現象です。 病巣感染の最も典型的な病気とされるのが、 IgA腎症。ほかに、ネフローゼ症候群、掌蹠嚢疱症、乾癬、アトピー性皮膚炎などが知られています。 めまい、耳鳴り、睡眠障害などの自律神経の乱れからくる症状など、多くの症状・疾患が出ることもあります。 ▼治療法は? 明らかに細菌感染があると考えられる場合は、抗生剤を投与します。 効果的な治療法として、 EAT( Epipharyngeal abrasive therapy、上咽頭擦過治療の略)があります。これは、塩化亜鉛溶液を染み込ませた綿棒で、慢性炎症の起こっている上咽頭をこする療法です(実施している医療施設は、『つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい』(著:堀田修 あさ出版) http:// special. asa 21. com/ special/ eat/をご参照ください)。 上咽頭は口を開けても見えない部分にあるため、耳鼻咽喉科で内視鏡の検査を行わない限り、診断が困難です。しかも、慢性上咽頭炎になると、内視鏡で見ても、一見正常に見えることがあり、耳鼻咽喉科でも「異常ありません」と診断されてしまうことも多いのです。 こうしたケースでも、 EATを行うと、上咽頭に慢性炎症があれば、痛みや出血が生じ、炎症の存在を確認することができます。 つまり、 EATは、治療と同時に、この病気の検査も兼ねています。慢性炎症の度合いがひどいほど、 EATを行ったとき、痛みや出血がふえるのです。 EATをくり返し、炎症がよくなってくると、痛みや出血が少なくなってきます。 ▼セルフケアは? 鼻うがいが勧められます。 上咽頭という場所は、鼻の奥、のどの天井部分に位置しています。ですから、ただのうがいなどでは洗うことができません。しかし、鼻うがいであれば、うがいなどで洗えない上咽頭をも、洗浄することが可能になります。 鼻腔にたまっている細菌、ウイルスを洗い流す効果も、あわせて期待できます。
鼻づまりの原因疾患その ❺副鼻腔真菌症正体はカビ、取り除くことが治療の基本 ▼副鼻腔真菌症とは? 副鼻腔真菌症の真菌とは、カビのことです。通常、鼻の内部では、カビが繁殖することはないとされていますが、ガンや糖尿病、自己免疫疾患などの治療中、もしくは抗生剤による治療を不適切に続けて免疫力が低下しているときなどに、この病気にかかることがあります。 まれに、健康なかたもかかります。 ▼原因は? 特定の原因はありませんが、免疫力が低下しているかたや、不適切に抗生剤の服用をくり返しているかたなどに起こります。 ▼症状は? 左右どちらかの鼻から、粘っこい鼻水が出る、鼻々がくさい、鼻の根もとが痛む、出血する、などがあります。 最も真菌の繁殖が激しいのが、上顎洞です。 真菌の種類によっては、副鼻腔の骨を破壊して、目や脳の中にも蔓延するケースがあります。こうしたケースでは、高熱や激しい頭痛、眼球突出、視力障害などの重篤な症状が現れます。 また、真菌に対するアレルギー反応によって起こるアレルギー性真菌症もあります。 その病態は、好酸球性副鼻腔炎に非常に似ていますが、好酸球性副鼻腔炎は両方の鼻で起こるのに対して、アレルギー性真菌症は、片方に起こるという違いがあります。 ▼治療法は? 真菌症といっても、抗真菌薬はあまり使われません。まずは、真菌の広がっている副鼻腔を洗浄し、真菌を洗い流します。それで治らなければ、手術になります。 とにかく取り除くことが、治療の基本とされています。 ▼セルフケアは? 耳鼻咽喉科の処置においても、真菌を洗い流すことが基本的な処置なので、鼻腔を洗うことのできる鼻うがいが勧められます。 免疫力の低下が病気を引き起こす要素となっているため、免疫力アップをもたらす食事を心がけることも大事です。 LPS食材や、腸内環境を改善する食材を積極的にとりましょう。鼻づまりの原因疾患その ❻鼻中隔湾曲症鼻の仕切りが曲がってしまう病気、手術でサクッと治すかそのままか ▼鼻中隔湾曲症とは? 鼻腔を左右に分けている仕切りの壁が、鼻中隔です。この壁が左右どちらかに曲がることによって、鼻づまりや不定愁訴が生じます。 ▼原因は? 鼻中隔がゆがみなくまっすぐ、というかたは、ほとんどいません。誰もが、少し曲がっています。日本人の約 80%に鼻中隔の曲がりが見られるといわれています。 曲がりがあるだけで、特に本人が不便を感じていないなら、治療は不要です。 鼻中隔の湾曲によって、鼻づまりや、頭重感などがひどい場合、治療が必要になります。 ▼症状は? 鼻中隔のゆがみのせいで、左右どちらかが極端に狭くなっていると、そちら側がいつもつまり、においがわからなくなるかたも、少なくありません。そうしたかたがアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎を合併すると、やはり鼻づまりがひどくなり、口呼吸から、睡眠時無呼吸症候群になりやすくなります。 影響が耳に及んで、中耳炎が起こることもあります。 自覚症状としては、ほかに、ひどいいびき、のどの痛み、セキや頭痛など。鼻をかむと、出血しやすい人が多いようです。 ▼手術は?
根本的治療としては、鼻中隔矯正手術があります。これは鼻中隔の曲がっている部分の軟骨・骨を削り取るものです。通常は全身麻酔で行います。 手術によって、鼻中隔のゆがみを治せば、それまで苦しんでいた鼻づまりや口呼吸、嗅覚障害が解消する可能性が大きいと考えられます。手術は、鼻の内側から行うので、傷も残らず、それほど合併症が多い手術でもありません。 ▼セルフケアは? 慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎を合併させないために、鼻うがいやオイル点鼻を行って、合併症を予防することをお勧めします。鼻づまりの原因疾患その ❼血管運動性鼻炎寒暖差に自律神経が過敏反応・アレルギー性鼻炎と誤解されがち ▼血管運動性鼻炎とは? 自律神経が乱れて、鼻水がコントロールできなくなる症状。寒暖差のあるところを移動したとき、体というより、自律神経が反応してしまい、鼻水が大量に出ます。 アレルギー性鼻炎とは違い、目の症状や発熱がないことも特徴の1つです。 ▼原因は? 自律神経の乱れによって起こります。別名、「自律神経性鼻炎」といわれることもあります。はっきりした原因は不明です。 アレルギー性鼻炎や花粉症の場合、花粉やハウスダスト・猫の毛といったアレルゲンが症状の原因となりますが、血管運動性鼻炎の場合、「環境の変化」が原因となり、自律神経に作用して起こります。 血管は、交感神経と副交感神経という2つの自律神経によってコントロールされています。自律神経は、寒いときには血管を収縮させることで体温を保ち、暑いときには、血管を拡張させることによって体温を逃がすなどの役割を果たしています。しかし、寒暖差が激しすぎると、自律神経による体の調整機能がうまく働かず、鼻の血管が過敏になってしまい、症状が出るのです。 しばらくすると治まる点も特徴的です。アレルギー性鼻炎なら、原因物質が浮遊している限り、症状は続きます。 ▼症状は? また、寒暖差アレルギー」「気温差アレルギー」という呼び方もあります。 寒暖差、気温差を感じたとき、透明の鼻水が大量に出ます。 例えば、「冬に温かいふとんから出たとき」「温かい部屋から寒い部屋へ移動したとき」「刺激のある熱いものを食べたとき」「夏に外から涼しい部屋に入ったとき」「冷たい空気を吸い込んだとき」など。 アレルギー性鼻炎と間違えられることも少なくありませんが、アレルギーの検査などで原因が見つからない場合や、抗アレルギー薬を飲んでも、全く改善しない場合、この病気(もしくは加齢性鼻炎)を検討する必要があります ▼治療法は? 自律神経の乱れが根本なので、自律神経を整えるための生活習慣の改善が必要です。 ▼セルフケアは? 生活習慣の改善では、次のようなところがポイントになるでしょう。・ストレスをためない・よく眠る・アルコールを飲みすぎない・たばこの煙やほこりを吸わない・規則正しい生活とバランスの取れた食事・適度な運動・適切な筋トレ スクワットなどを行って筋肉をつけると、体内にある程度の熱を保つことができ、急激な温度差にも対応できるようになります。 気温が低いときは、マスクやマフラーをしたり、衣服をしっかりと着込んだりして、気温が高い時間帯や場所との温度差を小さくするように心がけましょう。
食生活も大事。血液循環を促す食材(ショウガやニンニク)などを積極的にとりましょう。 また、自律神経を調整するための方法は、深呼吸や足湯など、いろいろあります。自分に合ったものを、健康法として生活の中に取り入れてみましょう。鼻づまりの原因疾患その ❽加齢性鼻炎(老人性鼻炎)加齢現象だからしかたないが… ▼加齢性鼻炎(老人性鼻炎とは)? 別名、「老人性鼻炎」。加齢によって、引き起こされる鼻炎です。 高齢化社会の進行によって、近年、ふえているとされています。「鼻水が止まらない =アレルギー性鼻炎やカゼ」と思って、市販薬を長期間飲んでいる高齢者がいます。これらの薬は、効かないだけではなく、薬の副作用が体に悪影響を及ぼすおそれもあります。 市販薬を飲んでもあまり効果がないという場合、ご自分が本当にアレルギー性鼻炎かどうか、検討する必要があります。あやしいようなら、一度、耳鼻咽喉科で診察を受け、確認しましょう。 ▼原因は? 加齢によって、さまざまな老化現象が生じます。鼻腔やのどの粘膜にも萎縮や機能低下が起こり、また、自律神経も乱れます。それらが引き金となります。 ▼症状は? 粘膜機能が低下すると、粘膜が持つ水分吸着力も弱くなるため、水っぽい鼻水が流れ出ます。鼻づまりも起こります。ただし、カゼのような悪寒や、セキ、くしゃみなどはありません。 粘膜の機能低下により、保水できなくなった鼻水がのどへ垂れれば、それが後鼻漏として自覚されます。寝ると、後鼻漏がのどに落ちやすくなりますから、夜間に後鼻漏によるセキがひどくなり、熟睡できないかたも出てきます。 また、鼻からのどにかけての粘膜が萎縮し乾燥することで、鼻汁が張りつきやすくなります。すると、本人は、「のどの違和感・異物感」という症状を訴えます。こうした場合、内視鏡で鼻咽腔などを診察しても、実際にはのどに変調が見られないことがあります。 このため、こちらの症状は「後鼻漏感」と呼ばれています。同じ病気でも、実際に後鼻漏に悩まされるかたと、後鼻漏感に悩まされるかたが出てくるのです。 粘膜の分泌機能の低下で、乾燥が進むと、口腔内やのどに乾きを訴えることもあるでしょう。 さらに、加齢現象として自律神経の失調が起こった場合、血管運動性鼻炎と全く同じ症状を呈することがあります。「寝起きや朝方に、鼻水が多く出る」「食事のときに鼻水が出やすくなる(熱いものやからいものを食べたときに、症状が特に出る)」といった症状が起こります。 ▼治療法は? そもそもの原因が加齢現象なので、その症状を根治させることは難しい面があります。耳鼻科を受診していても、不要な点鼻薬が長期間処方されている場合もあり、注意が必要です。 加齢性鼻炎は、高齢になると誰しも多かれ少なかれ起こる変化です。まずは、その状態を知り、受容することが大事です。ですから、この症状に対しては、治療するというより、ケアする、お手入れをしていくという感覚で対応するとよいでしょう。 なお、漢方薬では、「冷え」に有効な「八味地黄丸」と、「当帰芍薬散」が有効とされています。 ▼セルフケアは? ほとんどの場合、加齢によって乾燥や冷えが生じているので、加湿・加温を心がけてください。体全体の保温に努めましょう。マスク・マフラーの着用もお勧めです。ことにマスクは、鼻を冷やさずに、乾燥を防ぐ効果が期待できます。 アンチエイジングのために、バランスの取れた栄養補給や、適度の運動(ウォーキングなど)も重要です。 鼻、のどの乾燥を感じているかたは、ぜひオイル点鼻を試してみてください。オイルによって、鼻腔の乾燥を少しでも和らげましょう。 また、朝の鼻水に悩まされているかたには、鼻カイロもいいでしょう。 もちろん、オールマイティな鼻うがいも勧められます。
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