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第 2章 酪酸菌が増えれば花粉症は治る

目次

炎症はすべての病気の原因

第 1章でお伝えしたように、すべての病気は炎症を起こし、逆に、炎症が起こると病気になります。

がんも炎症を起こしますので、炎症が起きると出てくる物質、炎症性サイトカインの血中濃度が上がります。

みなさんが忌み嫌う、シミとシワのでき方で、炎症というものをわかりやすく説明していきましょう。

図 7は最も一般的な炎症反応を示しています。出演しているのはサイトカインだけです。

皮膚の紫外線による炎症は、紫外線が皮膚の表皮や真皮に照射されると活性酸素が発生することで起こります。活性酸素が発生すると、皮膚の細胞は TNF αなどの炎症性サイトカインを放出します。

これが皮膚の炎症で、結果として、皮膚は赤く腫れます。

一部の細胞は死んだり、メラノサイトという細胞からメラニン(黒色色素)が放出されます。やがて、炎症が起こった皮膚には、シミやシワができるのです。

ところが、大腸の酪酸菌を増やし炎症を抑えれば、皮膚のシミやシワはできないようになります。

また、皮膚は赤く腫れることなく、ゆっくり黒く日焼けしていきます。

大腸の酪酸菌を増やして全身の炎症を抑えれば、日焼け止めクリームを塗る必要はありません。また、大腸の酪酸菌が増えると肌がつるつるになり、水を撥くようになります。血流もよくなり手足の冷え症も改善されます。

そうなれば、高いお金を使っている、洗顔料、化粧水、美容液、乳液、クリームなどの基礎化粧品を使う必要がなくなります。美しく見せるためのメイクアップ化粧品を買えばよいだけになります。

免疫について理解すれば炎症は抑えられる

ここで、免疫系について説明しましょう。

免疫に関わる細胞は膨大な種類があります。ここでは、その機能が比較的よくわかっているものだけについて説明します。

図 8で示されているように、免疫系の細胞はすべて骨髄で造血幹細胞から作られます。

図にある赤血球と血小板は免疫系の細胞ではありませんが、起源は同じです。

骨髄では単球、顆粒球、リンパ球が作られ、単球は脾臓に蓄積され、マクロファージや樹状細胞などになります。

リンパ球は胸腺に入ったものは、 Tリンパ球となり、 Bリンパ球とともに脾臓に蓄えられ、リンパ組織に移動します。分化した Tリンパ球と Bリンパ球はリンパ管、血流、組織を巡回します。

この間、さまざまなサイトカインに曝されると Th 1、 Th 2、形質細胞、メモリー B細胞などに分化します。Tリンパ球も Bリンパ球も外敵やがんなどの異常細胞の作る抗原につくタンパク質を作ります。

この抗原につくタンパク質は、一つ一つのリンパ球で異なるように無数の種類のリンパ球が作られます。抗原である外敵や毒性物質は多種多様ですので、これにつくタンパク質も多様でなければ外敵や毒性物質の抗原を抑え込むことができません。

抗原につくタンパク質は Tリンパ球では抗原認識受容体と呼ばれ、 Bリンパ球では抗体と呼ばれています。Tリンパ球は免疫系全体の司令塔となるもので、何を攻撃するかを決める細胞です。

ですから、 Tリンパ球は決して自分の細胞を攻撃しないように、胸腺の中で厳しい審査を受けるのです。自分の細胞を攻撃する Tリンパ球は破壊されます。

リンパ管、血流、組織を巡回するリンパ球は、やがて、さらに分化して外敵や異常細胞を見つけて攻撃します。

血流を流れる顆粒球は、好中球、好酸球、好塩基球の 3種類ありますが、大部分が好中球です。好中球は細菌が侵入した時に貪食し、緑色の膿になります。好中球は肝臓や脾臓に蓄えられ、細菌が侵入した時に患部に移動します。

リンパ球が抗原を攻撃するようになるには、数日かかります。好中球とマクロファージはリンパ球が攻撃する前に、抗原を貪食することによって攻撃します。

蜂に刺されて腫れていたら狩りはできない

前項では Tリンパ球のことを説明しましたが、体中を巡回する Tリンパ球は大腸で Tレグ細胞(制御性 T細胞)に分化します。この分化は酪酸菌が作る酪酸が関与していることが知られています(図 9)。

Tレグ細胞は炎症抑制を行う細胞ですが、どのように抑えるか、まだよくわかっていません。しかし、何が、どのように炎症を抑えるかはそれほど重要なことではありません。何を食べると腸内細菌が炎症を抑えてくれるかを、知ればよいだけなのです。

私はフラクトオリゴ糖を摂るとあらゆる炎症が抑えられることを発見しましたが、野菜に含まれるフラクトオリゴ糖は、じつは、新石器時代(新石器時代は農耕が始まった時代で日本では縄文時代)以前の人は多量に摂っていたと考えられます。

新石器時代以前には米、麦、蕎麦、芋、砂糖など糖質を大量に含む食品はありませんでした。これらの糖質食品の代わりに根菜類、野草、木の実、小動物、魚介類を大量に食べていたのです。

蜂に刺されると肌が赤く大きく腫れますよね? 旧石器時代は狩猟採集をしていますので、蜂に刺され放題です。

蜂に刺されて痛がっていたら狩りは続けられません。

フラクトオリゴ糖を大量に摂っていると、蜂に刺されても、蚊に刺されても腫れません。ですから、旧石器時代の人々は楽々と狩りが続けられていたのです。

花粉症の正体は免疫の暴走だった

すべての病気は炎症を起こしますが、炎症に登場する免疫細胞はさまざまです。花粉症の炎症は、 I型アレルギーというものです(図 10)。

人の皮膚や粘膜に存在するマスト細胞は、花粉を認識すると、大量のヒスタミンを放出。ヒスタミンは鼻では鼻水を出させ、目では痒みを生じます。

花粉症の人は常に花粉に対する IgE抗体を提示するマスト細胞を粘膜に持っていますので、花粉がつくとすぐにヒスタミンが出て、くしゃみをして鼻水を垂らします。

I型アレルギーはすぐに反応するため、即時型アレルギーと呼ばれています。

子どもが蕎麦を食べるとアナフィラキシーショックを起こし、スズメバチに一度刺された人がもう一度刺されるとアナフィラキシーショックを起こすのも、 I型アレルギーです。

関節リウマチなどを起こすその他のアレルギー

アレルギー反応は、大きく 4種類あります(図 11)。

「すべての病気は炎症を起こす」と言ってきましたが、アレルギー反応は獲得免疫が関わっている炎症反応の一つなので、誤解しないようにしてください。

免疫反応は侵入した外部の生き物や物質を攻撃するシステムですが、生まれた時に持っている免疫反応は自然免疫と呼ばれています。

自然免疫の担当者はマクロファージ、樹状細胞、好中球などの貪食細胞とナチュラルキラー細胞( NK細胞)です。獲得免疫は生まれた時には侵入者に対する攻撃態勢が用意されておらず、侵入者に応じて作られて記憶される免疫です。

獲得免疫の担当者は Bリンパ球と Tリンパ球です。マクロファージ、樹状細胞、好中球は獲得免疫にも関わっています。

Ⅰ型以外のアレルギーは、さまざまな自己免疫疾患を起こす炎症です。

第 1章で自己免疫疾患は 1970年代以降に急増していることを書きましたが、ここでは、アレルギー 4種類の違いを理解してください。

「 Ⅱ型アレルギーは自分の細胞成分や侵入した物質に対する抗体ができ、これに補体(抗体の攻撃を強めるタンパク質群)がくっついて抗原を攻撃する」と憶えてください。

「 Ⅲ型アレルギーは自分の細胞成分や侵入した物質に対する抗体ができ、抗原、抗体、補体がくっついた免疫複合体が組織に沈着して障害を起こす」と憶えてください。

「 Ⅳ型アレルギーは自分の細胞に外来の物質が侵入して細胞障害性 T細胞( Tc細胞)や活性化マクロファージが攻撃する」と憶えてください。

Ⅱ型と Ⅲ型はさまざまな自己免疫疾患、しかも重篤な疾患を起こします。これらの病気の治療法を開発すれば国内の数百万人の患者を救うことができます。

ここで思い出してください。

Ⅰ型アレルギーは比較的軽症な疾患ばかりですが、これに苦しむ国民は推定 6000万人と言われています。I型は Ⅱ型、 Ⅲ型アレルギーよりけた違いに多く、私たちの生活の質を著しく下げています。Ⅰ型アレルギーは欧米の先進国でも罹患率が非常に高く、大変問題となっているのです。

酪酸菌が増えれば花粉症は 1日で治る

大腸で酪酸菌が増えていると、 Ⅰ型アレルギーをほぼ抑えることができます。酪酸の増加が I型アレルギーを抑えるメカニズムはよくわかっていませんが、私は Tレグ細胞の増加が関係している可能性が高いと考えています。

Tレグ細胞は、免疫の暴走を抑える作用があるという報告もあります。

IPEX症候群という遺伝病がありますが、この病気の人は Tレグ細胞を作れません。IPEX症候群は非常に稀な遺伝病です。

なぜなら、幼児期に重篤な自己免疫疾患やアレルギーになって死んでしまうからです。幼児期に亡くなってしまうと、子孫が残りません。

ですから、 IPEX症候群の欠損遺伝子はどんどん減少していきますので、非常に稀な遺伝病なのです。

IPEX症候群の人が幼少期にさまざまな重篤な自己免疫疾患やアレルギーになるということから、 Tレグ細胞の欠損がこれらの病気を起こすことはほぼ間違いありません。

酪酸菌という守り神を増やすには?

人が分解・吸収できない食物繊維は、大腸でほとんどが分解され、不溶性の食物繊維である木の繊維であるセルロースも、ほとんどが大腸で分解されます。

ほとんどの食物繊維は大腸で分解され、作られた物質は大腸で吸収されるのです。

実験動物として使用されているハツカネズミはマウスと呼ばれていますが、マウスを用いた実験では、面白いことがわかっています。

マウスの子どもを帝王切開で出産させて、注意して細菌に触れさせないように育てると、腸の中に細菌のいない〝無菌マウス〟というものができます。

無菌マウスを、無菌のまま育てたマウスと親マウスの便を食べさせたマウスで成長を比較すると、便を食べたマウスの体重のほうがはるかに重くなります。

これは、腸内細菌が無菌マウスでは分解できない物質を分解・吸収させたことが原因です。

また、人の話に戻ります。

大腸で多糖やオリゴ糖(糖が 3 ~ 10個くらいつながった多糖)が分解されると、脂肪酸が生成されます。酢酸、酪酸、プロピオン酸、乳酸などです。これらの脂肪酸は短鎖脂肪酸と呼ばれています。

酪酸、プロピオン酸、乳酸は酢酸と比べて大きな分子で、酪酸は酪酸菌が作り、プロピオン酸はプロピオン酸菌が作り、乳酸は乳酸菌やビフィズス菌が作ります。

酪酸、プロピオン酸、乳酸は放っておくと、最終的に小さな分子である酢酸まで分解されますが、その前に大腸細胞によって吸収されます。

また、酢酸も吸収されます。

前に説明したように、吸収された酪酸は Tレグ細胞を増やします。さまざまな食物繊維で酪酸を増やす効果が検討されてきました。

その結果、フラクトオリゴ糖が最も効果が高いことが明らかとなりました。

フラクトオリゴ糖は、 1分子の砂糖に 1 ~ 10個程度のフラクトース(果糖)がつながったオリゴ糖です。

フラクトースが 10個以上たくさんつながったものはイヌリンと呼ばれていますが、イヌリンは低分子のフラクトオリゴ糖より酪酸菌を増やす効果が弱いことがわかっています。

フラクトオリゴ糖とイヌリンは、タマネギ、ニンニク、ゴボウ、キクイモ、ヤーコン、バナナ、アスパラガスなどさまざまな野菜に含まれていますが、これらに含まれるフラクトオリゴ糖類(イヌリンも含む)は低分子から高分子まで、さまざまな大きさの混合物なのです。

本書では、一括してフラクトオリゴ糖と呼んでいます。

日常生活で、私たちは 1 ~ 3グラムのフラクトオリゴ糖を食べています。しかし、この量では自己免疫疾患とアレルギーを抑えるには不足しています。私たちは、フラクトオリゴ糖を含む食品をもっと多く摂る必要があるのです。

じつはビフィズス菌は善玉ではない

胎児は産道を出る時に母親の肛門に顔を向けて出てきます。これは、母親の便を口に入れるためだと考えられています。

その母親の便の中にビフィズス菌がたくさんいるはずだと考えると思いますが、じつはほとんどいません。

新生児は、ビフィズス菌などを含む腸内細菌を口に入れます。新生児は胃酸を作りませんので、母親の便の細菌がすべて腸に入っていきます。ですから、新生児の腸で増殖する細菌は雑菌だらけです。

ところが、母乳を与えると母乳に数%含まれるオリゴ糖が腸に入り、急速にビフィズス菌が増えます。母乳に含まれるオリゴ糖はミルクオリゴ糖類と呼ばれています。

母乳には乳糖が約 5%含まれますが、乳糖は小腸でガラクトースとブドウ糖に分解されます。残りのおよそ 2%のミルクオリゴ糖類は、乳糖にその他の糖がたくさんつながった構造をしています。

ミルクオリゴ糖類には非常にたくさんの種類がありますが、すべて小腸で分解されずに大腸でビフィズス菌のエサになります。

ふしぎなことに、ミルクオリゴ糖類はビフィズス菌以外の雑菌をほとんど増やしませんので、新生児の大腸はビフィズス菌で充満されます。

じつは、生まれたばかりの子の大腸をミルクオリゴ糖を使ってビフィズス菌で充満させ、雑菌の侵入を防ぎ、感染症から子を守るのは、すべての哺乳類に共通していることなのです。

ところが、離乳するとビフィズス菌は急速に減少して、酪酸菌が優占するようになります。離乳するころには、免疫を発達させなければならないので、酪酸菌が必要になるのです。

中年になると、ビフィズス菌は腸内フローラの数バーセント以下になり、高齢者になるとほとんどいなくなります。

ビフィズス菌は乳児にとっては善玉菌ですが、離乳後には不要になります。ビフィズス菌の代わりに酪酸菌が健康を維持するための善玉菌になるのです。

酪酸菌以外にとても重要な善玉菌がもう一つあります。それは、アッカーマンシアという細菌で、腸内フローラの数%を占めています(図 12)。

アッカーマンシアは、大腸の細胞表面にあるムチンを食べて増殖します。ムチンを食べるからといって、大切な保護膜であるムチン層を薄くするわけではありません。大腸に指令を送り、ムチン層を厚くし、大腸表皮を保護します。

そして、アッカーマンシアを増やす食物繊維もフラクトオリゴ糖なのです。フラクトオリゴ糖は酪酸菌とアッカーマンシアという2つの善玉菌を増やして、離乳後の大腸を保護し、免疫を発達させるのです。

乳酸菌は体に必要なかった!

乳酸菌は糖類から乳酸を作る、ラクトバチルスと呼ばれる細菌の仲間です。

ラクトバチルスは細菌の大分類においては、ファーミキューテス綱という群に属し、ビフィズス菌はアクチノバクテリア綱に属し、両者はまったく異なった細菌です。

5年ほど前に、乳酸菌の健康効果を報告している論文を徹底的に探索しましたが、まったく見つかりませんでした。

2018年に『サイエンス』という有名な科学雑誌に「ラクトバチルス・ロイテリという乳酸菌は小腸で増殖して、免疫系を発達させる」という論文が発表されました。

小腸では微生物はほとんど増殖しません。大腸の 1万分の 1以下の細菌しかいません。ロイテリ菌も僅かしか増えませんので、その効果は非常に弱いです。

「乳酸菌を摂るとインフルエンザにならない」と思わせる CMが流されていますが、じつはまったく根拠はありません。

私はフラクトオリゴ糖を摂り始めてから、一度もヨーグルトを食べていませんが、風邪やインフルエンザになっていません。下痢や便秘もありません。

ヨーグルトを食べていたころは、しょっちゅう下痢をして、痔にも悩まされていました。また、蕁麻疹(アトピー性皮膚炎)にも苦しめられていました。

フラクトオリゴ糖を摂るようになってからは、腸に関係する症状はすべて治りました。はっきり言います。

「乳酸菌やヨーグルトを摂る必要はありません」。

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