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第 2章 セルフ・コンパッションで人生も仕事も上手くいく

あらためて、セルフ・コンパッションの効果を整理していきます。

目次

セルフ・コンパッションが与える幸福度と逆境力

まず、セルフ・コンパッションには幸福度を高めるという効果があります。幸福度が高まるのは、オキシトシンやエンドルフィンが分泌されるからです。

さらに、社会的な交流が促進されることで、人との繋がりが増えること、孤独感が和らぐことも影響しているでしょう。また逆境力を高める効果もあります。

逆境力とは、レジリエンスとも呼ばれ、失敗や挫折から立ち直る回復力のことです。

セルフ・コンパッションによって心理的な安心感や安全感が高まっていれば、失敗したことでの落ち込みから早く回復し、早目に立ち直ることができます。そして、再度チャレンジするための原動力になります。

社会的な交流が促されるので、他者からの援助も受けやすくなるかもしれません。

例えば、何か困ったことやトラブルが起きたときに、過度に落ち込まず、落ち込んでも長引かず、自分で自分を励ましたり、誰かに頼ったり相談したりして、失敗からふたたび立ち上がることができるようになるのです。

セルフ・コンパッションが働き方改革のジレンマを解決する

さてここで、働き方改革のお話をさせてください。日本では 2018年6月に働き方改革法案が成立し、 2019年4月から順次施行されています。

デロイトトーマツグループが、 2013年から継続的に実施している最新( 2020年)の実態調査によると、「働き方改革に各社はどういう目的で取り組んでいますか?」に対する回答は次のようなものでした。

1位:従業員の満足度の向上、もしくは人材の維持

2位:多様な人材獲得 従業員が満足し、継続的に仕事を続けられることを目的として働き方改革を進めている会社が多い、ということでした。

その他には、長時間労働を是正し、業務ルールの見直し、在宅勤務を認めるなどの回答がありました。この調査によると、働き方改革を推進した企業は 9割くらいで、そのうち効果を感じたのは 5割という結果でした。

2018年 WORK-PJの調査では、「満足している」 12・ 2%、「やや満足している」 36・ 1%、「やや不満である」 25・ 7%、「不満である」 17・ 6%でした。

未だに半数ほどの従業員は満足しておらず、今後さらなる改良や、それぞれ取り組んでいかなければならない課題が残っているといえます。

これは「残業してはいけない」などトップダウンの施策では、従業員サイドはやらされている感が出やすくなってしまうのかもしれません。

あるいは「残業してはだめだ」と言われたが、そもそも時間内に終わる仕事量ではないため、業務が回らなくなり困ってしまった、隠れて残業をしたり休日出勤をしたりするしかないなど、実情に合っていないケースも多いのではないでしょうか。

このような現状をふまえて、働き方改革の3つのステップをみていきましょう。

1つ目は「コンプライアンスの徹底」であり、残業や休日出勤について法令で決められた最低ラインを守るなどです。

2つ目は「既存業務の効率化」で、この2つのステップはトップダウンでうまく機能することがあります。

ところが最後の3つ目のステップ「企業の成長」はそうはいきません。

1と 2のステップをふまえて、個人が満足しながら主体的に業務に取り組んで自己成長をし、企業にコミットしていくことで、企業が成長、発展していくものではないでしょうか。

「企業の成長」には、トップダウンだけではなく、ボトムアップで従業員がそれぞれ良いアイデアを出したり、自分自身が成長していったりすることが必要です。

とはいえ、その企業に個人が満足していないと貢献しようとは思いません。

トップダウンで上からやらされたのでは、抵抗が生まれたり、長く続かなかったり、社員一人ひとりのニーズに合致していなかったり、成長が促せなかったり、という課題があると思います。

働き方改革の最終ステップ「企業の成長」は、個人が変わる、自分自身が変わることで、他人も変わり、チームが変わり、会社全体が変わっていくという展開が必要です。

多少時間がかかったとしても、ボトムアップで個人も成長しながら会社も成長するからこそ、効果が長く続くのです。

働き方改革を成功させるためには、信頼して助け合う環境づくりが必要です。

信頼していなければ、テレワークを実施している部下に対して、「ちゃんと仕事をしているのかな」と上司や同僚が疑ってしまうかもしれません。

そもそも、創造性を発揮する、主体的に関わる、社会的な交流を促す、成長する、チャレンジする……等々、こういうことの基盤には心理的な安心感や安全感が必要です。

安心できる場所でないと、落ち着いた気持ちで集中して業務に取り組むことはできません。

ぐるぐると余計なことを考えてしまったり、不安定な気持ちのまま、成長することは難しいのです。

信頼し、助け合う環境づくり、さらに心理的な安心感や安全感、これを土台にして従業員の満足度向上や企業の成長につながります。

そのカギを握るのがセルフ・コンパッションなのです。

セルフ・コンパッションを取り入れるアメリカの一流企業

ではここから、セルフ・コンパッションが従業員の満足度、企業の成長実現につながるという研究結果をご紹介します。

アメリカのスタンフォード大学や、カリフォルニア大学などでは研究が盛んに行われています。

その結果、セルフ・コンパッションは、ポジティブ感情の増加、ポジティブな職場の人間関係づくり、幸福感や健康増進、ストレス軽減などの効果をもたらすことがわかっています。

セルフ・コンパッションを取り入れた事例で、真っ先に挙げられるのはアメリカの一流企業 LinkedIn(リンクトイン)です。

LinkedInの第一原則がまさにコンパッションで、リーダー育成において積極的に取り入れています。そのおかげで 2015年の全米ナンバーワンとなる従業員支持率 100%という結果が出ています。

従業員から好評であるだけでなく、対昨年比 40%を超える成長率を実現したり、年間の売り上げが約 600億円だったり、さらに 2016年にはマイクロソフト

マイクロソフトに 262億ドル、日本円にして約 2兆 7千万円という高額で売却するなど、目覚ましい成長をとげています。

LinkedInの現 CEOジェフ・ウェイナー氏は Wisdam 2. 0という国際会議で「 LinkedInにおける人材と経営の秘訣は何ですか?」と質問され、「コンパッション。思いやり」と答えています。

さらに同氏は、「コンパッションのない組織では、メンバー同士の不信とお互いの腹の探り合いにムダな労力を要して、競争社会で多大な遅れと損失を被る。リーダーシップやチームの行動指針をコンパッションとするように社内へ浸透させ、その結果、商品とサービスまでも思いやりに満ちたものにすることをめざす」 とも話しています。

これを聞いて、「なんか思い当たる節があるな」という方はいらっしゃいませんか。

たしかに、不信や腹の探りあいに費やすエネルギーというのは意外と大きいものです。そういう職場ですと、安心感や安全感とは程遠いといえるでしょう。

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