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第 2章 クソ嫁事件簿実例に学べ!まさかに備える離婚術

目次

嫁の「不倫」が原因なら証拠をつかんで間男に慰謝料を請求せよ

不倫即バレ時代

突然ですが、質問です。「不倫の相談」が 1年のなかでいちばん多いのは何月でしょうか? 正解は8月。

しかし、 5年前は「 10月」でした。この 5年間で何が変わったのでしょうか? 不倫の相談者の大半は「バレたとき」にやって来るというのがヒントです。

例えば、暑さの厳しい8月。人妻が誘惑に負けて、ちょっとハメをはずし、夫以外の男に身体を許してしまったとします。

そんな夏休みのアバンチュール、不倫お忍び旅行、そして一夜限りの関係などは夏の風物詩。かつて、そんな8月の不倫が夫にバレるのは、せいぜい 2か月先の話でした。

「探偵に頼んでおいた証拠をようやく入手」「クレジットカードの明細に 2人分の旅行代金を発見」「久々の性交渉で避妊に失敗し、妊娠が発覚」などは秋の季節もの。

そう、今までは「ヤッた日」と「バレる日」に必ずといっていいほど、「時間差」があったのです。まるで種をまいて、芽が出て、花が咲くかのように。

真夏の夜の夢が即、覚めることはなく、夏の風が秋の風に変わるころまでは思い出の余韻に浸ることができたのです。

しかし、最近はどうでしょうか? いかんせん、ここ 5年の間で I T技術が進歩しすぎました。前述の時間差などは存在せず、「ヤッた日」 =「バレる日」というケースも珍しくありません。

誰しも Facebook、 LINE、 Twitterなど、 SNSのひとつくらいアカウントを持っているでしょう。

今のご時勢、リアル世界の友達のほとんどはネット社会でも友達。不倫関係だって SNSを通せば「丸見え」です。

さらに、スマートフォンやタブレット、クラウドサービスの普及により会話の中身はありのままに保存されており、不倫相手とのやりとりは「筒抜け」も同然。これが動かぬ証拠になりうるのです。

リアル世界の目撃情報は、 SNSという「拡声器」を通して知人から知人へ、まるで数珠つなぎのように広まっていきます。

ネット上で伝言ゲームを繰り返していれば、いずれ、いちばん知られたくない相手(配偶者)の耳に入るのは、もはや時間の問題。

それなのに「不倫デート」を Twitterで実況中継したり、 LINEのグループに写真を投稿したり、 Facebookで居場所をチェックインしたら、あっという間に「特定」されてしまうのは当然です。

写真の同期機能、スマートフォン紛失時の GPS機能、 SNSのタグ付け(写真に映っているのは誰かを投稿できる)機能、テレビ電話の機能、ソーシャルゲームのチャット機能、データのバックアップ機能、誰でも友達申請できる機能、パスワードの管理アプリ、既婚でも利用可能な婚活サイト、そしてアバターやピグの匿名性などにより、不倫がバレるスピードは加速度的に向上しています。

ただでさえ、窮屈で落ち着かない世の中ですが、もはや不倫の余韻に浸るような余裕はなく、季節の移り変わりを感じる前に尻尾をつかまれるという「即バレ」の時代に突入したのです。

そんな不倫の最前線について相談実例を交えながらお話ししましょう。

事例 I嫁のデート現場に乗り込み制裁!

登場人物夫:対馬孝治( 37歳・地方公務員・年収 600万円)妻:対馬絵里香( 39歳・看護師・年収 100万円・ハンドルネーム『エリリン』)子:対馬颯太( 6歳)妻の不倫相手:赤井剛(年齢、職業、住所不明・ハンドルネーム『つよぽん 1975』)

「もっと早く気がついていれば……家内が誰とでも『ヤル』なんて、まさか夢にも思いませんでした」 孝治さんは今になって後悔の念をそう口にします。

妻が Facebookを始めたのは今から 5年前。最初は中学や高校の旧友との久々の再会を喜ぶという SNS本来の楽しみ方をしていました。

当時、孝治さんの妻は育児に神経質になっていた。

毎日イライラしている様子で、孝治さんが気を遣って家事を手伝おうにも「いい人ぶってんじゃないわよ!」と逆ギレするありさま……。

とにかく事あるごとに癇癪を起こすので、話しかけることすらままならなくなっていきました。

そんな矢先、妻が「日帰りで出かけたい。神社参りに行きたい」と切り出してきたのです。

どうやら Facebookのなかに『パワースポットサークル』という集まりがあるようで、 30人ほどの男女が参加し、神社仏閣や登山、滝、湖などのパワースポットを一緒に巡るとのこと。

孝治さんは「気晴らしになれば」と妻を快く送り出し、代わりに子供の面倒をみることにしたのです。

「そのときは何とも思わなかったんです。でも、今思えば確かにおかしかった」 孝治さんが Facebook上のイベントページを覗いてみると、参加者と妻の間に「共通の友人」がいませんでした。

イベントの参加者同士はほとんど初対面。見ず知らずの男女が行動をともにするのだから、「間違い」が起こっても全く不思議ではないでしょう。

「共通の友人」がいないからこそ、後腐れなく付き合うにはちょうどよかったと穿った見方もできるでしょうが……。

「本当はこんなこと……したくなかった。でも、どうしても気が気じゃなくて」 孝治さんは当時の心境をそんなふうに吐露してくれました。

確かに、妻がサークルに参加すると 1週間ほどは機嫌がよく、子どもにも優しい。急に癇癪を起こすようなこともなくなりました。

孝治さんも「パワースポットのエネルギーはすごいな。こんなに人が変わるとは!?」と本気で思っていたようですが、妻はますます調子に乗って外出回数が増えていったのです。

最初は 2か月に 1度のペースだったのに、今や毎週のように出かけるので、家事や育児もおろそかに。結局、土日はほとんど孝治さんが子どもの世話をせざるをえなくなり、不信感が募りました。

「一体、僕は何をやっているんだろう。家内ばかり遊び歩いて、こんなのはおかしいのではないか。そもそもちゃんとサークルに参加しているのだろうか。精神的に安定しているのは本当にパワースポットのおかげなのか? 毎週毎週、一体どこの誰と会っているんだ」

【ミッション ①】動かぬ証拠を収集

孝治さんは居ても立ってもいられなくなり、どうしても事の真偽を確かめずにはいられなくなりました。

とはいえ、妻を直接問い詰めたところで、どうせ癇癪を起こして、逆ギレするに決まっています。

そこで、妻がパソコンに保存している『 iPhoneのデータ』を探ることにしました。万が一、 iPhoneのバックアップをとらずに故障して買い替えを余儀なくされると、再度、各種設定をするのはかなり大変。

だから、パソコン上にダウンロードした iTunesを通じてバックアップをとるのは決して珍しいことではなく、孝治さんの妻の場合、隔週で行っていました。

バックアップの対象は、電話帳や音楽、写真などのデータ、アプリ、 SMSメールの送受信や LINEトーク、 Facebookのメッセージなど。

自宅のパソコンは夫婦共用で、夫のアカウントと妻のアカウントを使い分けていたのですが、孝治さんは妻のパスワードを知っていました。

なぜなら、妻の手の動きを横目でこっそり観察したところ、パスワードは「誕生日の 4桁」だろうと推測できたからです。おそるおそるパソコンを開き、パスワードを入力。

「妻のアカウント」でログインすることに成功し、そのまま iTunesを開いてみたのですが……。

「愛している」「早く一緒になりたいね」「同時にベッドに入ろうよ。眠りにつこうよ」 そんなふうに孝治さんとは別の男とスタンプを交えながら甘い言葉をかけあう様子が LINEトークに保存されていたのです。

ハンドルネームは「つよぽん 1975」。

Facebookの『パワースポットサークル』の参加者一覧を見てみると「赤井剛 1975年生まれ」という輩がおり、 LINEの IDときわめて似ていたため、おそらく同一人物と察しがつきました。

しかし、それだけではありませんでした。iPhoneには FaceTimeというテレビ電話のアプリが標準で入っています。これは相手の姿形を画面で見ながら会話を楽しむことができる便利なツール。妻と男はこれを使ってやりとりをしていたようで、その中身は完全に常軌を逸していました。

つよぽん「おっぱい見た ~い!」「いくところ、ちゃんと見せろよ」 エリリン「気持ちいい? 大きくなってる? 一緒になれてうれしい」 そんなふうに卑猥な言葉を交わしていたのですが、卑猥なのは言葉だけではありませんでした。

FaceTimeに映っていた男はもちろん、妻も裸の状態で、どちらも自慰行為をしながら、互いにその淫らな様子を見せ合っていたのです。

確かに不倫の場合、普通の恋愛と比べ、会いたいときに会えないことが多く、直接会って性交渉する機会は限られるのですが、それにしても……です。

「とにかく屈辱的でした。今までの結婚生活が全否定されたような気がして、もうプライドはズタズタですよ」 孝治さんは受け入れがたい妻の姿を運悪く目にしてしまったときの心境について、そう振り返ってくれました。

FaceTimeでの一部始終が、あろうことかパソコン上に同期され、動画データとして保存されていたため、発覚した悲劇。

夫婦は長男が生まれてから現在までほとんど夜の生活がなかったようで、まるで自分への「あてつけ」のように感じられ、怒りを通り越して虚しい気持ちに……。さらに、直近の LINEトークでは、こんなやりとりが行われていました。

「エリリンはいつもどういう感じ? デートしてから、そういうところ、でしょうか? それとも食事してから、でしょうか?」「つよぽんに任せるよ。食事やデートはどっちでもいいよ」 ここでいう『エリリン』とは妻の呼び名。

そして『そういうこと』が性交渉を指していることが行間のニュアンスから読み取れます。夫の目を盗んで 2人が肉体関係を結ぼうと企んでいることが発覚したのです。

孝治さんが引き続き LINEのトークを追っていると、どうやら Xデーは次の木曜日。

デートも食事もせず、いきなり本番行為に及ぶべく、ラブホテル街のコンビニで待ち合わせをする約束を取りつけたところまで追跡できました。

孝治さんは有給をとり、その場所へ急行しようとしたのですが、いかんせん、ラブホテル街には同じ系列のコンビニが複数存在し、 LINEのトークだけでは待ち合わせ場所をピンポイントで特定するには至らなかったのです。

そこで奥の手をひねり出しました。『 iPhoneを探す』です。これは iPhoneを誤って紛失したとき、パソコンから iPhoneの GPSへアクセスし、どこにあるのかを特定できる機能。

当日、妻は iPhoneを持ち歩くでしょうから、 iPhoneの在り処 =妻の居場所 =不倫デートの待ち合わせ場所だと言えます。

本来、これは不倫デートの調査を目的としたツールではありませんが、孝治さんも背に腹はかえられないので、当日、パソコンを持参し、この機能を使うことにしました。

【ミッション ②】不倫相手に慰謝料を請求

そして当日。前もって入念に準備を重ねたおかげで、孝治さんは現場(男と妻がコンビニの前で待ち合わせをしている瞬間)をおさえることができたのです。

妻と男がまるで恋人のようにイチャイチャする姿を目の当たりにし、見つけてしまった写真や動画のやりとりを思い出すと、もう感情を抑えることができません。

2人に向かって飛びかかり、妻の手を力ずくでつかむと、「ふざけるな! ここで何やってるんだ!!」と詰め寄ったのです。

「こっちは LINEのトークや FaceTimeの動画を保存しているんだ! これって客観的な証拠だし、言い逃れの余地はないはずだ! 悪いと思っているんだったら慰謝料を払うべきでしょう!」 孝治さんは事実関係に焦点を当てたうえで「 100万円の慰謝料」という条件を突きつけましたが、男は全く怯むことなく、別の切り口で言い返してきました。

「彼女から聞いているよ。『バレたら離婚でもしょうがない』って。とっくの昔に結婚生活は破綻していたでしょ? だって、夜の生活もなかったみたいだし。離婚はあんたの責任なんだから、こっちに押しつけるのは筋違いなんじゃないか!?」

慰謝料とは「離婚する場合、払わなくてもよい」「離婚しない場合、払う」というものではありません。

確かに離婚するかどうかで、孝治さんがこうむった精神的苦痛の大小は変わってくるかもしれませんが、金額の高低はともかく、根本的には「離婚しようと、しまいと」払わなければならないのです。

「離婚の件と慰謝料の件を混同しているのではないか? 離婚はこちらの問題でそっちとは関係がないから、くれぐれも勘違いしないでくれ!!」 孝治さんはそうやって声を振り絞りました。

心中を察すると私も心が痛みます。

「離婚」という違和感ありありの二文字を連呼すればするほど、孝治さんは自分の存在意義、夫としてのプライド、男としての自信をズタズタに切り刻まれているだろうことは想像に難くなかったからです。

「わかった、わかった。でも、もう少し待ってほしい」 男はとうとう目の前の相手を丸め込むことができないと観念したのか、今度は「泣き落としの策」に切り替えてきました。

女々しくも、「 100万円を分割で払わせてほしい」と支払いの猶予を求めてきたのです。

しかし、これを許せばどうなるでしょうか。

孝治さんの通帳には毎月「アカイツヨシ」と悪名が印字されることになり、嫌でも目に入りますし、期日に返済されなければ督促をしなければなりません。

いずれにしても、不倫男との接点が残るようでは、現時点で根本的に解決したとは言えないでしょう。

「これ以上、あなたがゴネるなら、僕は裁判も考えていますが、そうすると長期化は避けられない。考えてみてください。僕が今、あなたを前にして、こうして話をすること自体、苦痛以外の何ものでもないんです。長引けば長引くほど、あなたは僕たち家族を傷つけることになるんです。僕だって、必ずしも裁判を望んでいるわけではないんですよ!」

孝治さんは分割ではなく一括での返済を求めました。男に 100万円を一括で弁済できるほどの収入や資力があるかどうか、確信があるわけではありませんでしたが。直談判の日から 1週間後、孝治さんの口座には 100万円が振り込まれていました。

オトコが身銭を切ったのか、両親や勤務先、銀行やカード会社から借り入れなどの方法で用立てたのかは不明ですが、裁判ざたにはせず、示談で解決できたのは不幸中の幸いと言えるかもしれません。

【ミッション ③】嫁が拒んでも離婚に同意させる

ところで孝治さん夫婦は、その後どうなったのでしょうか? 男の件が片づいた後、今度は妻に対して「話がある」と切り出し、次の週末に話し合いの場をもうけたそうです。

「ここまでバカにされ、コケにされ、人格を否定されたんだから、覚悟できているだろうな!」 孝治さんは強い口調で妻に言い放ちました。

実は「妻の不貞」を疑ったのは今回が初めてではなく、 PC上の『 iCloud』に保存されている怪しげな写真をほかにも発見していたのです。

当時は、妻が見知らぬ男と肩を寄せ合う写真を「見なかったこと」にして水に流したのですが、さすがに 2回目となると我慢の限界。

今回ばかりは、と離婚を決断していました。

もちろん、妻が男に『バレたら離婚でもしょうがない』と口走っていたことも一因でしたが。

「心から反省しているわ。許してもらえるなら、これからも一緒にやっていきたいの」 妻は孝治さんの心境など露知らずという感じで、涙ながらに懇願してきました。

過去の経緯を振り返ると、妻の反省や改心、贖罪の気持ちは信じるに足りないのが当然でしょう。

妻は不倫の加害者であり、家庭、夫婦関係を壊した張本人なのに「離婚するか、しないか」の決定権を持っていると思いますか? 当然、「女だから無罪放免」ではなく、決定権は不倫の被害者が持っているのです。

なぜなら、不倫(法律上は「不貞行為」)は法律の条文のなかで「婚姻を継続しがたい事由」とされ、裁判所で争えば裁判官が離婚を認める可能性が高いのだから。

つまり、今の時点で妻が離婚を拒んだとしても、孝治さんが妻を許さず、裁判を起こせば、妻の反対を押し切って離婚が成立するのです。

(参考)民法第 770条夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき(以下、省略)「遅かれ早かれ『離婚』という結果は変わらないよ。でも長引けば長引くほど、お互いに傷つけあってしまうんじゃないかな? 例えば、慰謝料とか……同じ結末が待っているなら、なるべく円満に終わらせるのがお互いのためでしょ?」 孝治さんはそう投げかけましたが、妻の年収は 100万円。

どうせ慰謝料を払えないことはわかったうえで、あえて「慰謝料」という言葉を使いました。妻は数日後、署名ずみの離婚届を自宅リビングに置いて家を出ました。

「慰謝料を請求されたらどうしよう」と恐れおののいたのか、間男 3号、 4号がいて、夫にこれ以上、秘密を知られるのが耐えられなかったのか。

それとも離婚をさらに先延ばしするのは無理だと観念したのか、今となっては定かではありませんが。

このように SNSの普及やソーシャルゲームのチャット機能、誰でも友達申請できる機能、アバターやピグの匿名性などのおかげで、今までよりも男女の出会いの場が増えたのは確かです。

しかも見ず知らずの男女が直接会ったり、性交渉に及んだりすることに対する心理的なハードルは下がっているようですが、このことは未婚同士に限らず、既婚の場合も同じなので、今までよりも不倫しやすい世の中になったと言えるでしょう。

一方で写真の同期機能、スマートフォン紛失時の GPS機能、 SNSのタグ付け機能(写真に映っているのは誰かを投稿できる)、テレビ電話の機能、データのバックアップ機能、パスワードの管理アプリなどにより、今まで以上に不倫の足取りがネット上に残りやすくなり、足跡をたどって不倫の証拠を手に入れるのがたやすくなったのも、また事実なのです。

これだけはおさえておこう!「証拠集め」のポイント

ネット上の証拠は即保存「不倫デート」を Twitterで実況中継したり、 LINEのグループに写真を投稿したり、 Facebookで居場所をチェックインしたり……ネット上に残された不倫の足跡はいつ消されるかわからないので、妻の裏切りを目の当たりにしてショックでしょうが、それらの画面は即、写真に撮っておくことが大事。

機種変更のタイミングが狙い目 パソコンにスマートフォンのバックアップ(電話帳や写真などのデータ、アプリ、 SMSメールの送受信や LINEのトーク、 Facebookのメッセージなど)を取っている場合、ログインさえできればバックアップの中身は見放題。

特に機種変更のタイミングは、最新のデータをバックアップするので狙い目。

同期機能で妻の写真を共有 オンラインストレージ( iCloud、 Yahoo!ボックス、 Dropboxなど)に写真を同期している場合、同期先に夫の端末を追加すれば、妻の撮った写真はタダ漏れに。

動画の背景から浮気現場を特定 テレビ電話のアプリ( LINE、 FaceTime、 Skypeなど)で愛を育んでいる場合、ご丁寧に一部始終をパソコンやスマートフォンに動画形式で保存していることも。

妻側の背景をチェックし、撮影場所(トイレの個室、マイカーの車中、実家の自室など)を特定すれば、次回以降に現場を突き止めることができる可能性もある。

証拠写真を選別する 素人(探偵以外)が撮影した写真をもとに間男を問いただす場合、撮影の日時、屋外なら背景の景色、屋内なら周囲に置かれたものが映っている写真を選ぼう。

身に覚えがあれば間男は動揺する。

また、髪型や帽子、上下の服装がはっきりとわかる写真を使うことも効果的で、間男の持ち物と一致すれば一気に青ざめる。

車はナンバーをおさえる 夫が不在の間、妻が間男を呼び寄せる可能性があるなら、自宅内や駐車場に隠しカメラを設置し、動画を撮影しよう。

特に駐車場の場合、間男の車のナンバープレートが映るようにカメラのアングルを工夫することが大事。後日、間男を問い詰めるとき、ナンバーが一致すれば、「人違いだ」と開き直ることはできない。

探偵との契約交渉

過去の裁判例(東京地方裁判所・平成 19年5月 31日判決)によると、妻と間男が一緒にホテルに入る瞬間の写真、そして一緒にホテルから出てくる瞬間の写真があれば、ホテルの部屋で「不貞行為(肉体関係)があった」と認められる。

探偵(興信所)に依頼する場合、このような写真を撮影できた場合に限り、成功報酬が発生するような契約内容にしておくとよい。

不倫相手の目星

不倫相手の素性に全く見当がつかない場合、相談相手 不倫相手へ発展することが多いので「元彼」「職場の上司」「旧友(高校の同級生)」などに目星をつけよう。

妻の機嫌が突然、よくなったり、子どもにも優しくなったり、癇癪癖が直ったりしたら要注意。

これだけはおさえておこう!不倫相手に「慰謝料請求」のポイント

離婚と慰謝料の因果関係 夫婦が離婚する、しないに関係なく、間男は夫に対して慰謝料を払わなければならないので「離婚するかどうか」を間男に伝える必要はないし、「彼女と別れたからといって、彼女の気持ちがあんた(夫)のところに戻るわけないだろ!」と言いがかりをつけてきても「余計なお世話だ!」と言い返しておけばいい。

婚姻関係破綻の有無

間男が「彼女と知り合う前に、すでに夫婦関係は破綻していたのだから自分のせいではない」と言い出したら、破綻の有無を決めるのは男性ではなく裁判所で、過去の裁判例によると破綻の認定には「別居 6年以上」という要件が必要だから、別居 6年以下なら「破綻していないから慰謝料は発生する」と言い返せばいい。

慰謝料は一括? 分割?

間男に慰謝料を分割で払わせると、間男との接点が続いてしまい、不倫の悪夢を思い出してしまうので多少、慰謝料の額を下げてでも一括で払わせることが大事。

間男の手持ち(貯金)が少なくて慰謝料の総額が「一括 <分割」になっても甘受するほうがいい。

慰謝料支払い時期の相違 間男が「彼女だって自分の夫、子がいるのに積極的についてきたんだから慰謝料の一部を彼女に請求したらどうなんだ」と反論してきたら、婚姻期間中に起こったトラブルについて慰謝料は「離婚時にまとめて清算する」のが原則なので、今回の場合、夫婦が離婚しないのだから、「妻は今のタイミングで慰謝料を支払う必要がない」とやりこめればいい。

ほかの間男の活用 間男が「彼女にはほかにも男がいたはず。なぜ自分だけなんだ」と言い訳をしてきたら、「すでに別の男にも請求し、しかるべき責任をとらせた」と釘を刺しておけば、「ほかの男も同じ目に遭っているのならしかたがない」と観念しやすくなる。

既婚者の認識 間男が「彼女に家庭があるなんて知らなかった」と言い逃れをしてきた場合、 2人が知り合ったきっかけが不明なら、妻は間男に対して家庭の愚痴や不満、悪口をこぼしているはずなので「全く何も言ってなかったのか」と追及すればシラを切ることは難しい。

時効の不成立

間男が「今さら慰謝料を請求されても困る。もう終わったこと」と言い出しても不倫が現在進行形なら法律上、慰謝料の時効は「関係を知ってから 3年」(民法 724条)でも、 3年前から現在までの不貞行為はまだ時効に達しておらず、慰謝料の対象なので大丈夫。

妻に白状させる

今現在、間男に不倫を認めさせるだけの証拠がそろっていなくても、すでに妻が白状していれば、ほかの証拠をそろえる必要はありません。双方ではなく片方(妻)の証言(不倫を認める)があれば十分。

「間男は不倫を否定できない」という前提で話を進めてもかまいません。

これだけはおさえておこう!「離婚に同意させる」ポイント裁判所の公式見解

不貞は法律上の「婚姻を継続しがたい事由」に該当する。

夫が裁判を起こせば、妻が反対していても、裁判官が離婚を認める可能性があるのだから、離婚するかどうかはもちろん、「協議離婚か、裁判離婚か」の選択権も自分が持っていることを声高に伝えよう。

「協議離婚」より「裁判離婚」のほうが妻の評価が下がるのは第 1章 4に書いたとおり。

遅かれ早かれ離婚という結論が変わらないのだから、長引かせて傷つけあうのは互いのためにならないと強調することが大事。

慰謝料放棄の代償

安定した収入と一定の財産を持ち合わせていない妻は、常に「慰謝料を請求されたらどうしよう」とビクビクしているので、慰謝料を払えそうもないから不問に付すわけではなく、「離婚に応じれば慰謝料は請求しない」「離婚に応じなければ慰謝料を請求する」という二択を提示すれば、前者を選ぶ可能性が高い。

守秘義務を引き換えに

今まで集めてきた証拠は妻に不倫を白状させたい場面ではもちろん、妻に離婚を同意させたい場合でも有利な材料になりうる。

夫の手元にある写真や日記、手紙、録音データはもちろん、メールや LINE、メッセンジャーのなかには、デートの約束や甘い言葉の交換、口説き文句が含まれており、妻を赤面させるには十分、恥ずかしい内容です。

これらの証拠を破棄することと引き換えに「離婚に同意するよう」求めれば、妻が「離婚したくないから証拠はそのままでいい」と口が裂けても言うことはできません。

子どもへの被害

離婚は子どものことを最優先に考えた結果だということを強調するのが大事です。

不倫の加害者(妻)と被害者(夫)がひとつ屋根の下で暮らしているせいで、不倫に伴う夫婦ゲンカが再発することを常に心配しながら、子どもが日々、生活せざるをえないのは最低最悪の家庭環境。

できるだけ早く助け出さなければならないと訴えかけましょう。

予見能力の欠如を指摘

妻は誰にどのような迷惑がかかるのか、どのくらいの損害を与えるのか、そして人生を狂わせるのか、前もって予見できないのだから、「不倫は何度でも繰り返される =離婚しかない」という方向へもっていくのが効果的。

不倫の原状回復は不可能 妻が「全部、私が悪い。自分がしたことに対しては責任をとる」と涙ながらに訴えてきても、夫や子にも迷惑をかけ、苦痛を与え、人生を狂わせており、「(不倫をする前に戻す)原状回復は不可能」と言い切る。

責任の取りようがないことを示し、妻を絶望の淵に叩き落すのが先決。

「許す」選択をしても証拠は保管

今回の不倫では妻を許し、離婚せず、やり直す道を選んだなら、手に入れた証拠は破棄せずに大事に保管しておくこと。

なぜなら、不倫によって生じた夫婦間の亀裂を埋めることがかなわず、数年後に「性格の不一致」で離婚せざるをえなくなった場合にも当時の証拠が役立つから。

嫁の「とんでも育児(放棄)」が原因なら話し合いで親権を勝ち取れ!

「子育て法」の相違は十分な離婚理由に

家庭の環境、両親の性格、実家の資力……妻の生まれ育った家と夫のそれが全く同じなら、私から何も言うことはありません。

もし夫と妻のバックグラウンドが完全に一致していれば、子どもの躾や教育、進路などについて意見が食い違うことはないでしょうし、「暗黙の了解」という名のもとに安心して妻に任せることができるでしょう。

しかし、目の前の現実はどうでしょうか? お互いが生まれ育った下地は大なり小なり異なり、妻にとっての「当たり前」が夫にとって当たり前ではない。

そんなふうに首をかしげる場面に遭遇したことは誰でも 1度はあるはずです。

例えば、夫は一汁三菜を中心に栄養バランスに気を配った料理を食べて育ってきたのに、妻は冷凍食品ばかりの家庭環境で育っていたら……。

妻は自分の子どもにも手作りの料理を食べさせようとせず夫婦間で「食育」をめぐって価値観の相違が生じて亀裂につながります。

円満で平和な家庭で育った夫と、険悪でケンカばかりの家庭で育った妻。

いつも母親が遊び相手をしてくれて十分な愛情を注がれた夫と、母親が自分の趣味に没頭するあまり、ほったらかしにされ続けた妻。

夫が叱ったり注意したり、諭したりしても、夫婦の間には「埋められない出自の壁」が立ちはだかり、妻は「何のこっちゃ!?」という感じでちんぷんかんぷん。

むしろ「旦那がおかしなことを言っているわ」と一笑に付されてしまうのです。

いずれにしても平々凡々の家に育った夫が、感情の起伏が激しい母と折り合いをつけるため「いい子」を演じてきた妻と出会い、「僕と違うタイプだなぁ」と惹かれ、惚れて、結婚する。

しかしいざ共同生活が始まると、「子育ての仕方の違い」という思わぬところでつまずき、最終的には離婚せざるをえない状況に追い込まれる……。

そんな相談は聞き飽きるくらい多いのです。

父親の 8割が子どもと離別

夫婦が離婚するためには、どちらが子どもを引き取るのかを決め、その結論を離婚届に記入しなければなりません。

父親(夫)と母親(妻)、どちらが引き取るのがよいのでしょうか? その判断を下すためには、子どもを夫が育てた場合、妻が育てた場合をそれぞれシミュレーションし、どちらが親権者にふさわしいのか比較検討しなければなりません。

2つのパターンを客観的に「可視化」しないと、離婚の場合、夫婦が互いにいがみ合い、罵り合っているので、いっこうに落としどころが見つかりません。

ここでいう「親権者」とは離婚後、子どもを引き取って面倒をみる親のことですが、男性陣にはなかなか厳しい統計があります。

「妻が全児の親権を行う場合」 84・ 2%「夫が全児の親権を行う場合」 12・ 2%(平成 25年、総務省統計局) このように、父親の 8割が子どもと離ればなれになるのが現実なのです。

とはいえ、前述の統計によると、父親が親権を持つ確率はゼロではなく、全体の 2割。では、父親が子どもを引き取ることに成功したケースでは何が決め手となったのでしょうか。

母親が親権をあきらめ、父親が親権を持つことになった実例をひとつ紹介しましょう。

事例 J「母性」より「自己愛」の嫁から親権を勝ち取りたい!

登場人物夫:田中亮さん( 36歳・会社員・年収 595万円)妻:田中香織さん( 34歳・会社員・年収 409万円)娘:田中結愛ちゃん( 4歳・保育園児) 亮さんは妻と結婚 6年目。

子どもが生まれてから現在までケンカが絶えず、家庭には不穏な空気が流れていました。子どものことを除いては夫婦間に会話がないような冷めきった関係で、もはや離婚は秒読み段階。

亮さんは「ただ離婚するだけ」ではなく、自分が娘の親権を持って育てていきたいと考えていました。

「嫁には娘のことを任せられないんです!」 確かに「妻として不適格」ならただ離婚すればすむ話ですが、さらに「母として不適格」なら親権を譲りたくないと思うのは当然のこと。

そこで、亮さんが親権を持つことができるよう「母として不適格な部分」「何がどのように不適格なのか」を妻に対して提示しながら、説得を試みることにしました。

【ミッション ①】嫁と子を隔離する

ある日の朝、保育園に行く時間が迫るなか、娘が朝食をなかなか食べ終わらないのに腹を立てた妻が、こうまくしたてました。

「早くご飯食え! これじゃ、みんなと一緒に行けないよ! 保育園やめるか? ご飯食べないなら、もう帰ってこなくていい。結愛! どこかへ捨ててこようか?」

亮さんは「やめろ!」と娘さんをかばおうとしたのですが、誤って手が滑り、料理の盛られた皿を落としてしまいました。

これが妻の怒りに油を注いでしまったのでしょう。

刃物の鋭利な部分が木と木の間を伝うときのシューッという嫌な音がかすかに聞こえた直後、「早く食べないと殺すぞ!」という妻の怒号が鳴り響いたのです。

妻は台所から包丁を取り出し、手に持ったまま、ダイニングテーブルに突き刺そうとしていました。当然のように娘は激しく泣き出します。

わなわなと震える右手と刃こぼれした包丁を目の当たりにして、ようやくわれに返った妻は、悲惨すぎる目の前の現実に耐えかね、玄関から飛び出しました。

亮さんの妻のように自宅で暴れたり、子どもに手を上げたり、家財を壊したりしたあげく、勝手に家を出ていくケースは世の中に一定数、存在するのですが、どのように対処するのが正解なのでしょうか?

経緯はともかく、妻を追い出すことに成功したのだから「癇癪持ちの暴力妻」と縁を切るのなら、今がまたとない絶好機と前向きに考え、ここで別れ話を切り出すのも一考です。

考えようによっては妻の家出は「渡りに船」なのだから。

3日後、実家に匿ってもらっていた妻から亮さんへメールが届き、「 2度と同じことをしません。今回は信用してください」と懇願してきました。

妻のことを許して自宅に戻し、夫婦としてやり直すか否か……。亮さんは人生の岐路に立たされており、緊迫した様子で私のところへ相談しに来たのです。またいつ妻が声を荒らげて怒り出すか、娘はビクビク怯えていることでしょう。

亮さんは「離婚は子どものことを最優先に考えた結果だ」と前置きしたうえで、「今の最低最悪な家庭環境から、結愛をできるだけ早く助け出したいんだ」と訴えかけようと考えていました。

そこで、亮さんと私は何度もやりとりを繰り返し、親権をあきらめてもらうよう妻を説得するための「想定問答」を用意することにしました。

【ミッション ②】「母親失格」エピソードを4つの争点に整理

結婚から現在までの 6年間に何が起こったのか、亮さんの話を聞いてみると、過去のエピソードは子どもの「何に」悪影響を与えるのかという観点で以下の4つの争点に分類することができました。

争点 1.人格形成や情緒(きちんと子どものことを考えようとしない)争点 2.生活環境(まんべんなく家事をしようという気がない)争点 3.教育環境(まともに育児をしようとしない)争点 4.成長(最低限の躾をしようとしない) では、争点ごとに亮さんの話を整理して、細かくみていきましょう。

争点 1.人格形成や情緒(きちんと子どものことを考えようとしない)

「娘のことを何だと思っているのか!もう耐えられません!」 亮さんは目にうっすら涙を浮かべ、つらい心のうちを聞かせてくれました。

ほとんどの家庭では、夫婦の痴話ゲンカは子どもがいないところで聞こえないよう、互いが大なり小なり気を遣うもの。

父親が母親を、母親が父親を貶めるような場面に子どもは遭遇したくないのだから。

しかし、妻は娘の気持ちなどおかまいなしで、いつでもどこでもケンカを吹っかけてくるため夫婦ゲンカは日常茶飯事。

しかも、そばで怯える娘に対しても「そこで何やっているんだよ!」と暴言を吐くことが珍しくないようです。

私は亮さんに「母親という存在は『子どものため』をいの一番に考え、なるべく子どもが傷つかないように自分の一挙手一投足に気を遣わなければならないものでしょう?」と前置きしたうえで、妻と「親権」の協議をする場では、次のような手順で話を進めるようアドバイスをしました。

①エピソードを挙げる ②娘への影響を指摘 ③妻の欠点を自覚させる想定問答 ①エピソード 娘がタオルをうまく掛けられなかったとき、妻が「そんなこともできないの!? 何してんの!」と怒鳴りつけ、さらに怯えている娘に向かって「そこで何やっているんだよ!」と暴言を吐いたことがある。

②娘への影響 最近、娘が恐怖心で妻の顔色を窺い、日に日に言いたいことが言えなくなっている。

それは「誰のせいなのか」を問い詰め、娘が傷つくことは前もって予見できたはずだから「子どものため」という視点が抜け落ちている、と結論づける。

③妻の欠点 妻には「自分で自分を律することができない」ということを自覚してもらい、もし妻が娘を引き取った場合、今までのように「やりたいようにやる」に決まっているので、娘に不憫な思いをさせるのは確実だと念押しする。

争点 2.生活環境(まんべんなく家事をしようという気がない)

「汚い部屋で生活するのは、もう我慢できません!」 亮さんは頭にきた様子で、私に対して不満をぶちまけました。妻の「清潔の基準」が低すぎるせいで、いつも掃除や洗濯がいい加減。汚い部屋での生活を余儀なくされていました。

亮さんのシーツや枕カバーを洗おうとしない。仕事で着るワイシャツの襟や袖の汚れがとれていなくてもおかまいなし……。

亮さん自身の不満もありましたが、文句を言っても「それなら自分でやれ!」と逆ギレされるだけ。何度同じことを注意しても、妻の態度はいっこうに変わりませんでした。

「家事の仕方について夫が注意しても妻が無視したり、逆ギレしたり、難癖をつけてきた過去のエピソードを使えば、今後も同じことが繰り返されることは確実で、子育てする環境には適さない、という結論にもっていけるのでは?」 私はそんなふうに亮さんへアドバイスをしました。

想定問答 ①エピソード 布団を干したり、シーツや枕カバーを洗ったり、モップで部屋の床をふいたりするのは妻の担当だったが、いずれの家事も 1か月に 1回やればいいほうだった。

亮さんは「もう少しちゃんとしてほしい」と注意したが、妻は「それなら自分でやれ!」と逆上するだけだった。

②娘への影響 父親(亮さん)のシーツや枕カバー、ワイシャツに娘が触れることもあるのだから、それらの衣服類をきれいにしておくのは亮さんだけでなく、娘のためでもあるのではないか? と主張する。

③妻の欠点「子どもを清潔な環境で育てることより、掃除や洗濯の手間を省いて楽をすることを優先する考え方はおかしい!」と指摘したうえで、この件は一例で「同じようなことは何度もあったのに、今後は絶対に起こらないと信じることはできない」と亮さんのほうから妻を突き放す。

そもそも妻が洗濯や掃除をやらず、亮さんが代わりにやるのなら、はじめから亮さんがすべてやったほうがいいが、これでは結婚生活を続ける意味がない、というのが最後の決め手。

争点 3.教育環境(まともに育児をしようとしない)

「嫁には子どもの目線に立って物事を考えるという発想がないんです!」 亮さんは顔を真っ赤にして心情を吐露します。

夫婦は娘をお風呂に入れるのを順番に担当していましたが、そのやり方は正反対。

亮さんは娘の髪を洗うとき、目にお湯やシャンプーが入らないようにシャンプーハットをかぶせたり、シャワーの角度を調節したり、首を後ろに傾けたりして工夫をしていました。

一方、妻はすごい水量で一気に短時間ですませようとするため、娘の目にお湯やシャンプーが入ります。

「目に染みて痛い!」と娘が訴えても妻は知らん顔。

やむをえず、亮さんが「何をやっているんだ!」と注意しても悪びれることなく「それならあんたが洗え!」と怒り出す始末。

結局、髪の洗い方を頑として変えようとしませんでした。

「嫁には『子どものために何かをしよう』という気がないんです」と亮さんは嘆きます。

「娘さんはまだ 4歳。外で走り回りたい年ごろの子どもにとって亮さんと妻、どちらのほうが親権者に向いているのか、過去のエピソードで比較しながら伝えてみてはどうでしょうか?」 今回のケースでは、亮さんと妻の娘への接し方が正反対だったので、私はそう助言しました。

想定問答 ①エピソード 亮さんと妻はどちらもサービス業で、夫婦の休みが合わないこともありました。

亮さんが休みの日、自分が家にいるときはなるべく娘を公園や海岸、運動場などに連れ出して遊んであげた。

一方、妻は自宅でテレビを見るばかりで、一緒に外へ出かけたり、遊び相手になってあげようとはせず、娘にはアニメを見せたり、ゲームをやらせたり、絵本を読ませたりとひとりで遊ばせていた。

②娘への影響 妻は育児を放棄し、好き勝手に振る舞ってきた。

そのせいで、娘が亮さんに「ママが一緒に遊んでくれないの! テレビやパソコンばかりしている!!」と泣きついてきたことがあった。

幼子が涙ながらに訴えかけてきたのだから、よほど寂しかったに違いない。そのときも、亮さんは妻を叱りつけたが、「あんたが休みをとって遊んであげたらいい!」と逆上してきた。

③妻の欠点 私は亮さんに「『育児放棄するような母親に子どもを任せられない』と躊躇なく断罪してください」と言い添えました。

争点 4.成長(最低限の躾をしようとしない)

「嫁は人任せで自分では何も教えようとしないんです!」 亮さんが妻の分も含め、娘への躾を全面的に担当すれば問題はないでしょう。

しかし、妻は何もしないだけでなく、あろうことか亮さんの躾の邪魔をするというのです。

例えば、亮さんが娘に「靴を脱いだらそろえて置くこと」を教えたときのこと。

娘はそれ以降、玄関で靴を脱ぐときはきちんとそろえてから家にあがるようになりました。

ところが妻はどうでしょうか? 大の大人なのに靴を脱いだら脱ぎっぱなしでそろえようともせず、そのまま放置……。

運悪く、娘がその悪態を目にしてしまったのです。

父(亮さん)と母(妻)の言っていること、やっていることが 180度異なり、両親の板ばさみにあえば、娘もどちらを信用していいのか混乱し、あらゆる面で成長が遅れるのは間違いないでしょう。

でも、エピソードを使えば、「どちらが正しくて、どちらが間違っているのか」を明らかにすることは可能だと私は亮さんへ助け船を出したのです。

想定問答 ①エピソード 亮さんが娘に箸の持ち方を教え、ようやく補助がついた子ども用の箸を使えるようになったときのこと。

妻は娘に向かって「そんなことをしないでいい! スプーンを使ったらいい!」「箸で突き刺したらいい!」などと言い放った。

②娘への影響「箸を上手な使い方を教えること」が娘にとって善か悪かを妻に投げかける。

③妻の欠点 離婚後、もし妻が娘を引き取れば、あらゆる面で成長を阻害することになるという結論にもっていく。

【ミッション ③】嫁との話し合いで「親権交渉」

このように亮さんの相談をもとに、私のほうで娘さんに与える影響(争点)ごとに「人格形成や情緒」「生活環境」「教育環境」「成長」の4つに分類し、想定問答を考えてきました。

しかし、実際の妻との離婚協議では、特に妻が罪悪感や後ろめたさを持つような、そして言い逃れができないようなエピソードに絞り込んだうえで、妻の性格に合わせてどのように伝えるのが効果的か、臨機応変に話し合いを進める必要があります。

そこで、最後にこんなアドバイスを託しました。

亮さんによれば、妻はとにかくプライドが高いので、自分への批判を素直に受け止めることはできず、衝動的に癇癪を起こす傾向がある。

プライドを捨ててまで子どもを守ろうとする様子はなく、プライドを守るために子育てを怠るということを繰り返してきた。

ならば、子どもより自分のプライドを優先するエピソードを挙げることで、子育てへの責任感の欠如を露呈させてください、と。

こうして準備を終えた亮さんは娘のために勝利をつかみ取るべく、離婚協議の場に臨みました。

当日、4つの争点にひと通り触れたあと、亮さんは娘が 2歳のときに起こったトラブルをとどめの話に選んだといいます。

「自宅で 3人そろって夕食を楽しんでいたとき、娘がうっかり椅子から滑り落ちて、椅子の角に自分の頭や背中を打ちつけたことがあった。大人だって相当痛いはずで、 2歳児が大声で泣き出すのは当然だろう。

あのとき『どうということはない!』と吐き捨てたのを覚えているか?(娘に)触れたり、手をのばしたり、心配したりする素振りはなく、『椅子から落ちたのは私のせいではないでしょ!』と食ってかかってきただろう」

結局、亮さんが急いで娘のところへ駆け寄り、打ちどころを見たり、外傷の有無を確かめたり、傷口をさすったりして介抱してあげたそうです。

これらのことを踏まえたうえで亮さんは妻へ怒りの鉄槌を下したのです。

「『私がやらなくても、まぁ大丈夫。どうせ僕が代わりにやってくれるだろう』と思っているんじゃないか?『もし、僕がやってなかったら、結愛はどうなるのだろう』って考えたことがあるのか? 子どもより自分がかわいいやつに任せられるわけがないだろう! 6年間一緒にやってきて、お前の本質の部分は変わらないんだろうと悟ったよ」 とにかく妻は人に物事を教えるのが大嫌い。

それは他人だけでなくわが子に対しても変わらなかったようで「躾放棄」も同然の状態でした。

トイレの使い方、排便後のお尻のふき方、衣服の着脱の仕方、たたみ方、食事の仕方、箸やお椀の持ち方、顔の洗い方、歯磨きのやり方、平仮名の読み書き、絵の描き方、時計の見方、数字の数え方など。

今まで妻は娘さんに最低限のことすら教えようとしなかったことに焦点を当てて、亮さんは妻に対して唾を吹き出さんばかりの勢いで言い放ったのです。

「前にも言ったよな。『少しは自分でやったらどうなんだ』って。でも、お前は「そんなことは保育園で教えてもらったらいい!」って逆ギレして、ちゃんと聞こうとしなかっただろう。

僕は保育園や学校よりも、まずは家で親が基本的なことを教えるべきだと思っているけれど、お前は違うんだよな。そこらへんの亀裂はもう埋めようがないよ」 今まで亮さんが妻の代わりに娘への躾を行ってきたなら、今後も妻ではなく亮さんが続けたほうがいいでしょう。

妻の「躾放棄」の事実を白紙に戻すことはできないので、亮さんは過去の出来事を既成事実として強調したのです。

「結愛はまだ 4歳なので、性格も素直で教えられたことは吸収しやすい年ごろ。どうせ教えるのなら今がいいのに、お前に任せるわけにはいかないよ」

夫婦関係を修復するには当然、片方だけでなく両方が歩み寄る必要がありますが、亮さんがいくら歩み寄っても、妻が何もしなければ、 2人の関係はせいぜい現状維持が関の山。

悪化の一途をたどるでしょう。妻は今さら白々しく「もう 1度、チャンスを与えてほしい」と泣きついてきたようですが、亮さんは一蹴しました。

「もう信用するなんて無理だ! 今まで以上に結愛を傷つけ、悩ませ困らせることは目に見えているじゃないか! 今までの自分の行いを振り返ってみてよ。結愛に十分な愛情を注いできたって自信をもって言えるのか? 言えないだろう!」

妻はようやく観念したようで、離婚に同意し、親権を断念しました。こうして離婚後は亮さんが娘さんを引き取ることが正式に決まったのです。

夫婦が結婚している限りは、夫と妻がどちらも親権を持っており( =共同親権)離婚することではじめて、どちらかが親権を失い、どちらかに統一されます。

そのため、夫が親権を得るには、前もって妻から離婚の同意を取りつける必要があり、「離婚の同意」と「親権の放棄」を同時に実現しなければなりません。

でも、構える必要はありません。

「夫が子どもを引き取り、育てたほうがいい理由」「これ以上、妻とは結婚生活を続けることができない理由」は重複していてもいいのですから。

これだけはおさえておこう!「嫁と子を隔離する」ポイント

家出を許さない覚悟をもつ

1度、妻を自宅から追い出すことに成功したら、 2度と自宅に入れてはいけません。

例えば、妻が自宅で暴れたり、子どもに手を上げたり、家財を壊したりしたあげく、目の前の惨状に耐えかねて家を出ていくことは珍しくありません。

そして時がたって頭を冷やし、われに返ると平気な顔で「 2度と同じことをしません。今回は信用してほしい」と懇願してきた場合、情に流されて妻を家に招き入れるのは DVの被害者が加害者に対して子どもを引き渡すのと同じです。

過去にも大なり小なり、妻は約束を反故にして夫を裏切ってきたという経緯があるでしょうから、「世の中に 100%はない。今までのことを考えると再発の可能性が 0%だとは思えない」と言い、子の親として子を DVの被害から守りましょう。

これだけはおさえておこう!「親権を交渉する」ポイント

育児放棄による子どもへの影響を提示

「妻として不適格だと思うエピソード」と「母として不適格だと思うエピソード」を過去の言動から思い出したうえで親権を決める場面では後者に焦点を当てつつ、妻の存在が子どもの「何に」悪影響を与えるのかを整理。

「きちんと子どものことを考えようとせず、子どもの人格形成や情緒に支障を及ぼす」、「家事をきちんとしようという気がなく、子どもの生活環境を悪化させる」、「まともに育児をしようとせず、子どもの教育に遅れが生じている」、「最低限の躾をしようとせず、子どもの成長を阻害する」などの過去の出来事を提示しましょう。

良心の呵責に訴える

妻が極悪人でない限り、もし、子どもの成長や教育の遅れ、情緒の不安定、人格形成の歪みが生じているのなら「誰のせいなのか」そして「自分こそが親権者にふわさしい」と自信をもって言えるほど十分な愛情を注いできたのかを主張すれば、罪悪感や劣等感を芽生えさせることができ、話を有利にもっていくことができます。

再出発の負担

現在の住居が賃貸の場合は夫が賃貸の契約者、持ち家の場合は夫が不動産の所有者という形なら最初の段階で「妻より先に夫が出ていくつもりも、現在の住居に妻を住まわせるつもりもないので離婚したら出ていってほしい」と言い切っておくことが大事。

万が一、妻が子どもを引き取り、実家や別のアパートで暮らし、ほかの学校に転校させられた場合、両親の都合で子どもの生活、住居、教育環境をころころと変更すれば、情緒の安定、人格の形成、そして学力の向上に悪影響を与えるでしょう。

逆に夫が子どもを引き取れば、現在の住居で暮らし、自分の部屋や今の学校、友達や地域生活は何も変わりません。

さらに育児の半分以上を夫が担っているのなら、妻がいなくなるより夫がいなくなるほうが影響大です。このように夫が引き取ったほうが「子どものため」だと妻を言いくるめましょう。

親権と監護権の取引

監護権は親権のなかに含まれる権利です。

監護権とは子どもを引き取り、育てる権利のことで監護権さえ得られれば、子どもを監護養育するのに支障はありません。

ただし、親権全体ではなく監護権だけにとどまった場合、子どもを監護権者の戸籍に移動できないなどの制約があるのは致し方ありません。

子どもをできるだけ早く助け出さなければなりませんが、親権にこだわることで長期化するのは得策ではありません。今すぐ離婚することを条件に、妻に親権を譲り、夫は監護権だけで我慢することで妻の顔を立てるという手もあります。

※【監護権とは?】子どもを監護養育することができる権利でもあり、監護養育しなければならない「義務」でもあります(民法 820条)具体的には子どもが住む場所を決める権利(同 821条)子どもを躾け育てる権利(同 822条)などで、戸籍の移動など一部の権利については認められておらず、親権者に残ります。

利他的精神の欠如

法律上、子に対して扶養義務を負っているのは夫だけでなく、妻も同じですが、もし、妻が今まで一切働こうとせず、全く収入を得ておらず、お金の面で子のために貢献していないのなら、離婚しても何も変わらないでしょう。

このような妻が子どもを引き取っても子どもが金銭的に困窮するのは目に見えていますし、もし離婚をきっかけに心機一転し、働き始めても、「私が稼いだ金よ! 私の自由に使って何が悪いの!!」と利己的な態度をとるに決まっているので、子どもにお金が行き渡らないことは目に見えている。

結局のところ、結婚生活のなかで自分の稼ぎを子どもに捧げるという利他的な経験をしていないのは致命的なのです。

子どもより母親優先!

過去のエピソードから「妻が自分の子どもより実家の親を優先したせいで夫にしわ寄せがきて負担を強いられた出来事」を抽出しましょう。

例えば、妻が子どもとの先約をキャンセルして親との約束を入れようとする、子どものためにお金を出し渋るのに親のためなら出し惜しまない、子どもの育児より親の世話のほうに時間を使おうとするなど。

子も親も妻にとってどちらも血のつながった家族ですが、大人(親)と子どものどちらを優先すべきか言うまでもないでしょう。

根本的に人間の性根は離婚しても変わりません。

「わが子より生みの親を大事にしたい」と思っているような妻は、親に優しくする反面、子をないがしろにし、最終的には子どもを不幸にするに決まっているので、親 >子のエピソードを突きつけたうえで育児不適格者に任せるのは無理だと断罪しましょう。

実家間の経済格差

夫の実家がよく(会社の経営者、寺院の住職、地元の名士など)夫が長男なら(長男でなくても実家を継ぐ約束をしている場合)夫婦の子が実家の跡取りとして唯一無二の存在です。

親権には子どもを非親権者から親権者の戸籍へ移動させる権利が含まれているので、もし妻が子どもの親権を持った場合、今現在、夫の戸籍に入っている子どもを離婚後、妻の戸籍に移動させることも可能といえば可能です。

妻は夫の両親が跡取りとして孫の存在を大事にしていることを重々承知しているでしょうから、子どもを夫の戸籍に残しておくため、妻に親権を譲るわけにはいかないことを念押ししましょう。

これだけはおさえておこう!「離婚に同意させる」ポイント

仏の顔も〇度まで

育児の仕方について夫が注意しても妻は聞こうとしない……過去に同じことを繰り返してきたのなら、回数を数えたうえで妻の言い訳をメモしておくことが大事。

そして「もう 1度チャンスを!」と妻に言わせないようトラブルの回数が多すぎること、そしてトラブルの内容もひどすぎること、そしてトラブルの加害者(妻)が被害者(夫)と婚姻関係を続ければ再度トラブルが起こるのは確実なので、妻が何を言おうと離婚を撤回する気はなく、妻には離婚以外の選択肢は残されていないことを念押ししたうえで離婚の可否についてその場で即答を求める。

躾という名の虐待

離婚は子どものことを最優先に考えた結果だということを強調するのが大事です。

夫と妻がひとつ屋根の下で暮らしているせいで、夫婦ゲンカが再発することを常に心配しながら、子どもが日々、生活せざるをえないのは最低最悪の家庭環境だから、できるだけ早く助け出さなければならないと訴えかけましょう。

妻の言動が躾の域を超え、虐待に当たるのなら、警察へ被害届を提出したうえで裁判所に接近禁止命令の申し立てをすることが可能で、裁判所が妻に対して命令を出せば、妻は自宅に住むことは許されません。

このように遅かれ早かれ、「妻が退去する」という結果は、裁判による強制退去にせよ、示談による自主退去にせよ変わらないのです。

わざわざ裁判ざた、警察ざたに発展させたあげく、前科者扱いされるよりは自主的に退去したほうが妻のためです。

嫁との「性格の不一致」が原因なら賢く離婚条件を交渉せよ

キレやすい嫁との離婚は甘くない

妻の特徴は理想もプライドも高く、負けず嫌いであること。

離婚においてきまじめで誠実で几帳面な夫( =草食系夫)との相性は最悪で、せっかく別れを切り出しても、いつまでも妻を説得できず、最終的に話がまとまるまでに 3 ~ 5年を要するケースも少なくありません。

キレやすい妻は、理想が高いために現実とのギャップに悩んだり、プライドの高さからほかの家庭と比べて劣っているのが許せなかったり……負けず嫌いなのに基本スペック(知識や経験、技量)が低いことを棚に上げて「お前が悪い!」と被害妄想に陥りがち。

だから、年がら年中ストレスをため込んでおり、些細なきっかけでキレるのですが、体育会系でオラオラ系の夫なら、それほど心配する必要はありません。

売り言葉に買い言葉という感じで「別れてやるわ!」「勝手にしろ!!」と勢いに任せて、離婚できる可能性は十分にあるからです。

しかし、本書の読者の大半は草食系夫でしょう。

離婚の可否や条件(親権、養育費、財産分与など)に対して法律的な根拠や理由、相場などを用意するという当たり前のやり方がキレやすい妻に対しては裏目に出ることもあります。

法律的な根拠を妻は知らないので「夫に馬鹿にされた」と感じ、「夫が屁理屈で丸め込もうとしている」と疑うだけでなく、そもそも「めんどくさそうだから考えたくない」と、まともに話を聞こうとしないからです。

せっかく相場の数字を挙げても、あくまでほかの家庭(夫婦)の平均値なので「うちとほかは違う」と言い切ったうえで「とにかく何も言わずに払え!」と声の大きさに任せて押し切ろうとするケースだってあります。

両親の不仲が子どもに与える影響

私は「離婚相談」を開業してから今年で 11年目を迎えます。ほかでは専門家が引き受けたがらないような特殊案件でもなるべく引き受けるようにしてきました。

中でも特にひどいと感じたのは、子どもが問題を抱えていても、妻がキレやすかったり、性格が合わなかったり、などの理由で両親が不仲であるために、長く放置してしまったケース。

「子どもが学校になじめず、不登校の状態。自分の部屋で引きこもっているのに、父親と母親が助け合わないなんて……」 初めてこの手の相談を受けたとき、そんなふうにひどくショックを受けました。

でも、現実問題として世の中にはそのような事情を抱えた人が一定数、存在します。

今回はキレやすい妻に加え、学校に通えなくなった娘さんについて同じような悩みを抱えていたケースを紹介しましょう。

事例 K嫁の無茶な要求をかわして離婚交渉!

登場人物夫:藤崎実( 58歳・会社員・年収 1000万円)妻:藤崎加奈子( 53歳・専業主婦)娘:藤崎彩子( 18歳・会社員)

「娘がひとり立ちするまであと少しです。娘が親の手を離れれば、妻とは今までとは違った形でやっていけるかなぁ……と甘く考えていた時期もありました」 そう今後の夫婦生活について語ってくれたのは、今回の相談者・藤崎実さん( 58歳)。

実さんいわく、妻との間に「男女の愛情」を感じることは、今では難しいそう。しかし、今までは子育てのパートナー。

「これからは老後のパートナーとして一緒に暮らしていくことができるだろう。お互いに多少、我慢をすれば……」と思いのほか楽観視していたようです。

しかし、「多少の我慢」ではすまされず、とうとう堪忍袋の緒が切れてしまいました。

【ミッション ①】離婚前の子どもの心のケア

「妻はとにかく『自己愛』が強すぎるんです」 実さんはそう声を荒らげます。

何があったのでしょう。「結婚から 20年間ずっと些細な夫婦ゲンカが絶えなかったのは確かです。例えば僕が『もっと皿をきれいにふいてほしい』と頼むと、妻は『あんただって音を立てて洗うじゃないか!』と以前、皿洗いを手伝ったときのことを蒸し返したり」 それ以外にも、妻が夜中までスマートフォンを見ているので「いい加減にしろよ」と指摘すると、「そんな時間があるなら(セックスに)応じろということなの!?」と勝手に誤解する。

実さんが妻のことを気遣って「何か悩み事でもあるのか?」と尋ねたところ、「そんなこと相談するな、と前に言われたのに何を今さら」と言ってもいないことをでっち上げることもありました。

まともな話すら難しい……そんなエピソードを挙げればキリがありません。

「この程度なら僕だって我慢します。しかし、今回ばかりは許せなかったんです」 娘の進路を台無しにしかねない、取り返しのつかない事態を妻が引き起こしたというのです。

娘は小さいころから手のかかる子どもだったようで、苦労を重ねてきました。

実さんの献身のかいもあって娘は小学校から高校までの間、休み休みですが、何とか進学することができたのです。しかし、これから社会に出るというプレッシャーを感じたのでしょうか。

娘は高校 3年生になると情緒が不安定になり、学友との関係もうまくいかなくなり、登校と不登校を繰り返すようになりました。

「本人をひとりにしておくと危険だ。自殺するかもしれない」 実さんが主治医である児童精神科の医師に相談したところ、そんなふうにアドバイスされました。

そこで実さんは、娘さんが完全な引きこもりにならないよう、なるべくリビングで朝、夕食を一緒にとるように努めていました。

それでも娘さんは食事の最中、まだ食べかけなのに何も言わずに外出することもあり、悩みは尽きませんでした。離婚の引き金となる致命的な出来事が起こったのは、そんな矢先のこと。

娘さんは当時 18歳。ちょうど今後の進路を決めなければならない時期に差しかかっていました。

以前から地元のスーパーでアルバイトをしており、進学せずにアルバイトを続ける(フリーターになる)という道もありましたが、最終的には専門学校に進学することに。

その選択を実さんもわがことのように喜びました。それもそのはず。

「これ以上、休んだら卒業させることができない。落第だ」 実さんは進路決定の直前、学校から呼び出され、そうやって釘を刺されていたからです。

娘は専門学校への進学という目標ができたことで、ようやく自覚が芽生えたのでしょうか。今まで登校と不登校を繰り返していたのに、それ以降は休まずに登校するようになったそうです。

このように娘の学校の手続き、進路の相談、心理面の後押しなどは主に実さんが行っており、妻はほとんど介入しません。

母と娘、 2人の間には長年にわたって積もり積もった鬱積があるため、ほとんど会話はなく、とにかく少しでも接点を持とうとすればいがみ合いが始まります。だからひとつ屋根の下で暮らしているにもかかわらず、なるべく顔を合わせないようにしているそう。

「僕が間に入って代弁するのではなく娘が直接、妻へ報告したほうがいいだろう」「実の娘の進路」という人生を左右する大事な問題。

娘に母親ともきちんと話し合うよう促しました。ところが、それが失敗でした。

ふさぎこんでいた娘がせっかく前向きな気持ちを持つことができるようになったというのに、妻はあろうことか水を差すような暴言を吐いたのです。

「ちゃんと高校を卒業すると誓約書を書け!」 確かに娘の不登校に悩まされていたという点では妻も僕も同じです。

しかし、卒業の可否の信憑性については、高校が発行してくれる卒業見込み証明書で保証してくれるし、進学予定の専門学校に対して示せば十分でしょう。

なのに、なぜ「母親」に対して「誓約書」で示す必要があるのか……。何より娘が傷ついたのは「母親から信用されていない」という点です。

赤の他人ならともかく、実の母と娘なのに「ちゃんと卒業する」という言葉だけでは信じてもらえず、「誓約書」まで書かなければならないのは、あまりにもひどい仕打ちでした。

今までの不登校ぎみという事情を踏まえても、です。娘は妻の暴言を目の当たりにしたせいで顔を真っ赤にして玄関を飛び出し、駆け足で外へ逃げてしまいました。

無理もないでしょう。数時間後、この件の一部始終を、実さんは娘の LINEで知ることになりました。仕事を終えて帰宅するや否や、妻にこの件を問いただしたそうです。

しかし、妻の第一声はなぜか「謝れ!」でした。

専門学校への進学を娘と実さんの話し合いだけで決めてしまったので、事後報告になってしまったことに妻は激怒していました。

蔑ろにされたことへの「謝罪」を求めたのでしょうか。

「こっちで決めてしまって悪かったけれど、しょうがなかったんだ」と申し開きをしても妻の癇癪はおさまりません。

「お前たちの発言はすべて整合性がとれていないのよ! お前は頭がおかしい!あいつ(娘)を病院に連れて行け!」 妻はそんなふうに当たり散らすばかり。

結局のところ、なぜ娘の進学を祝ってあげないのか、卒業の見込みを疑ってかかるのか、娘のことを信じてあげられないのか、に言及しないまま意味不明なことを怒鳴り続けたそうです。

「あの日は本当におかしくなりそうでした。結局、 3か月がたとうとしているのに、いまだ娘の弁当も、僕の夕食も用意せず、自分だけ外で贅沢なランチをしているようで……」

実さんは妻のキレやすさを回顧してくれましたが、やはり、いちばんショックだったのは自分だけでなく娘さんにも危害が及んだこと。

ここに至っては、実さんはとうとう「結婚生活」に見切りをつけざるをえなかったのです。

「今は無理でも将来的には妻とやり直せる可能性を残しておきたいと考えてきましたが、こんな調子では……。将来に向けた建設的な話し合いができないのではもう無理です。今後は淡々と事務的に処理(離婚)に入っていこうと決めました」

実さんは、友人宅に逃げ込んでいた娘に LINEでメッセージを送り続け、何とか家に戻すことに成功。離婚の話を切り出すタイミングを窺っていました。

【ミッション ②】親権の獲得(子への意思確認)

両親が離婚するとなれば、娘が父と母のどちらについていくのかを決めなければなりません。

とはいえ父が娘の左手、母が娘の右手を握って引っ張り合うような幼子ではなく、すでに物事の分別は十分につく年ごろ。

娘さんにとっても人生を左右しかねない大事な岐路ですが、だからこそ自分で決めるべきでしょう。実さんは娘さんに離婚の事実を伝えたうえで、どちらについていくのかを尋ねました。娘さんはどんな反応をしたのでしょう。

最初のうち、娘は「できれば仲直りしてほしい」と離婚自体に反対していましたが、実さんの離婚の意思が固いことを念押しすると、両親の離婚を受け入れつつ、こんなダダをこねました。

「お母さんとは住みたくない。でも、お父さんとも住みたくない。ここでひとり で暮らすんだから!」

担当医からは「娘をひとりにしないように」と言われています。娘さんが 18歳だからといってひとり暮らしを認めるわけにはいきません。

そもそも父親と母親を追い出して娘さんが自宅を乗っ取るような顚末を、ただでさえ娘さんに対して嫌悪感や不信感丸出しの妻が認めるとは思えません。

「とにかくお母さんと一緒は嫌! だからお父さんとここで暮らす!」 娘さんは父親を積極的に選んだり、父親と母親を天秤にかけて父親に傾いたりしたわけではなく、母親は嫌だから父親しかいないという消去法で結論を出したようです。

もちろん、娘さんにとって両親の離婚に伴って生活環境が変化することは人一倍、大きな負担になります。

だから、父親を選べば、このまま今の家に住み続けることができるという目論見もあったかもしれません。

実さんは、最初から「妻が家を出て行くこと」ありきで他の条件(娘の引き取り手、妻の転居先や生活設計など)を検討したようですが、なぜでしょうか? 新しいもの好きの妻はきっと新しい家に住みたいに決まっており、今の家に執着するとは考えられない。

また体裁第一の妻は「夫と子どもを追い出した悪妻」と周囲に誤解されたくないはず。だから実さんは「妻はどうせ出て行くだろう」と決めつけていたようです。

私が実さんの話を聞いて首をかしげたのは、妻が娘の親権をあっさりと実さんに譲った点です。

子の母親なのだから娘を守ろうとする母性本能が働くのは当然ですし、妻の性格を考えれば、いくら娘との仲が悪くても、とにかく「夫の言いなり」になりたくない気持ちから、夫が「娘を引き取りたい」と言えば、こんなふうに対抗心をむき出しにしてくるだろうと思っていました。「何言っているの! 私が引き取るんだから!!」

しかし、妻は娘の親権について、ほとんどひと言も発しなかったそう。実さんには思い当たる節があるようです。

「娘の心配より自分の心配(離婚後、どうやって暮らしていくのか)のほうが先立っていたのか」と。

【ミッション ③】離婚条件の交渉で折り合いをつける

さて、実さんは妻との離婚協議に臨んだのですが、案の定、一筋縄ではいきませんでした。

最初のうちは「もう人生終わりだわ!」とワンワン嗚咽したり、泣き叫んだりして全く話し合いにならなかったのですが、話を進めていくうえでわかってきた妻の要求は 2点、「離婚後の住まい」と「手切れ金 1000万円」でした。

①「離婚後の住まい」を用意してほしい

1つ目は離婚後の住まい。前述のとおり、「妻が出て行くこと」は早々に決まっていたのですが、問題は出て行く先です。

真っ先に思いつくのは「実家」で、いわゆる「出戻り」できれば話は早いのですが、いかんせん、妻は癇癪持ちでキレやすい性格。そして被害妄想の塊なので親戚中から総スカンを食らっており、両親や兄弟姉妹とは長らく縁切り状態。引き取り手を探すのは難しい状況でした。

同じ理由で妻にはほとんど友人がいませんでした。

自分の名前でアパートを借りようにも専業主婦ですから、保証人なしに賃貸契約を交わすことは難しい状況。保証人を頼める先が見つからず、妻は自力で出て行く先を見つけられずにいたのです。

「離婚したいなら住むところを用意しなさいよ!」 だから妻はそうやって詰め寄ってきました。当初、実さんは自分の名前でアパートを借りようとしたそうです。

しかし、妻は「途中で勝手に解約されたら困る」と、お得意の被害妄想に陥ったのか、なかなか納得しません。実さんは妻のあまりの手ごわさに弱っていました。そこで、私はこうアドバイスしたのです。

実さんの名前で中古のマンションを購入し、住宅ローンを組んでください。そして定年を迎えるタイミングで住宅ローンを退職金で完済し、マンションの名義(所有権)を妻へ移す。そうすれば住宅ローンの債務者は実さんなので滞る可能性は低い。最終的にマンションは妻の財産になるので定年退職後も、妻の住むところは確保されます。

結局、妻が 1000万円の物件を探してきたので、実さんの名前で不動産の売買契約、住宅ローンの消費貸借契約、そして「 2年後、夫から妻へ名義変更する」という誓約書を交わすことになりました。

②「手切れ金」が欲しい

2つ目は手切れ金ですが、妻は具体的にいくらを要求してきたのでしょうか? 「1000万円くれるなら別れてやってもいいわ!」 妻はそんなふうに豪語していました。

夫はどうせ払えないのだから、 1000万円という大金を突きつけておけば静かになるだろう、離婚の話は立ち消えて、また元の生活に戻るだろうと軽んじていたのかもしれません。

実際、実さんの懐具合はどうだったのでしょうか? すぐに現金化できる財産は 500万円だそうですが、残りの 500万円はどのように工面したのでしょうか? 妻がどういうつもりで「 1000万円くれるなら」と言ったのか……言葉尻の解釈はいろいろと分かれるところですが、文字どおりに受け取るのなら、必ずしも「即金」ではなく「分割」でもよさそうです。

実さんは当時 58歳。

あと 2年で定年を迎えますが、勤務先には「再雇用の制度」があり、年収は 2 ~ 3割減るものの、とりあえず 65歳まで引き続き勤めることができるそう。

そこで私は 58歳から 65歳までの間、毎月約 6万円を 7年間、払い続けるよう助言しました。そうすれば計 500万円に達します。

現状働いていない妻は、年金が出るまでの生活費を欲しているのでしょうから、月額 6万円を生活費に充当すればちょうどいいし、実さんも念願の離婚を実現できます。

妻も妻で「 1000万円で離婚」と自分から言い出した手前、それが半分、冗談だったとしても、「あれは冗談だったの」と撤回することもできず、最終的には渋々、離婚に応じざるをえなくなったようです。

実さんの手持ちのお金はすっからかん。

離婚したせいで一文無しに陥ったのですが、娘を守るため、そして妻との縁を切るために多少高い買い物( 1000万円)を強いられたと割り切るしかないでしょう。

これだけはおさえておこう!「離婚前の子どもの心のケア」のポイント

あらかじめ家出の兆候を察知「子嫌い」な妻は、たとえわが子でも順調に成長するのが気に入らないため、子どもの邪魔をしようとする傾向があることを知りましょう。

親に愛情を求めても母親が応じようとしない場合、「子どもより自分のほうが大事」なんだと悟り、やがて子どもは親に頼ろうとしなくなります。

また、「母親から信用されていない」と子どもが感じ取れば、母の気を引こうとしなくなる。このような「家出の前触れ」をつかむことが大事です。

離婚協議中は妻が精神的に不安定になるので、ストレスのはけ口として子どもに八つ当たりをしたり、家事や育児を丸投げしたり、学業に必要な手続きを怠ったりすることが珍しくありません。

しかし、思春期の子どもはナイーブです。そのせいで子どもが我慢の限界を超えて家を飛び出し、行方知らずになるのは困ります。

子どもの家出によって夫婦の話し合いが中断し、解決が遅れたり、最悪の場合、離婚が取りやめになったりするケースも過去にありました。

ですから、わが子の心のケアに気を配り、前もって家出は食い止めなければなりません。

親子間の「家庭内別居」を実現

離婚前に妻を家から追い出すという手もありますが、夫が家事や育児をすべて担うのは難しいので現実的なやり方ではありません。

妻と子どもの関係性がぎくしゃくしている場合、「家庭内別居」が賢い方法です。

具体的には、子どもが妻へ直接話すのをやめて、子ども 夫 妻という具合に、仲介役になったり、家のなかで妻と子がすれ違いそうな共用スペース(リビングや洗面所、玄関)に立ち入る場合、子どもには妻がいないことを前もって確認させたり、食事や風呂、外出などの時間をずらしたりするなどの工夫を施すことで、母親から子どもへの悪影響を最小限にとどめるよう心がけましょう。

離婚の話を始める前に「守秘義務」を約束

離婚の話がうまくいかないことに腹を立て、妻が夫への不満や愚痴、悪口を見境なく第三者に吹き込んで困らせるケースは 20 ~ 50代の夫婦で一定数、存在します。

特に多いのは 50代。更年期に差しかかった妻は非常に不安定な状態。妻が言いふらした話が虚言であっても、取り返しのつかない事態に陥るので前もって防ぎたいところです。

夫または妻の愚痴や不満、悪口は、家庭内で夫または妻に向けて発しても法律上、問題ありません。

しかし、家庭の外で夫婦以外の第三者(親戚や友人、職場の上司や部下、同僚など)に向けて発せられた場合、当人の評価は下がり、信用を失い、不利益をこうむることになりかねないので、法律上、名誉棄損罪に抵触する可能性があります。

夫が妻へ離婚条件を提示する最初の段階で万が一、妻が嫌がらせを行動に移した場合、夫は妻を名誉棄損罪で刑事告訴することが可能です。

同罪の罰則は 3年以下の懲役や禁錮、もしくは 50万円以下の罰金、夫は妻の行為によりこうむった損害を夫に賠償するよう求めることも可能だということを伝えましょう。

離婚協議中はもちろん、離婚後も互いに守秘義務を課すことを念押ししておくことが大事。

これだけはおさえておこう!「親権獲得」のポイント

自己中妻にとって子どもは「再出発への足かせ」だと気づかせる『自己愛』が強すぎて子どもより自分を優先する妻でも「私が育てるんだから!」と親権を譲ろうとしないことがあります。

ただ、私の経験上、妻が親権を求めてくる理由は「子どものため」ではなく、大嫌いな夫に親権を取られるのは気に食わないからである場合が多いです。

子どもを手放したほうが妻は金銭的にも、精神的にも楽になることを強調してみましょう。

「子どもの意思に反して親権を決めることはできない」と断言する

離婚後、どちらが子どもを引き取って「監護養育」すべきかを決めるとき、子どもの年齢が 15歳以下の場合と 15歳以上の場合で決定の過程が変わってきます。

裁判所内で親権を決める場合、子どもが 15歳以上なら必ず本人の気持ちを聞かなければなりませんが(人事訴訟法 32条)、これは裁判所外で決める場合も同じです。

子どもがまだ幼子で物心がついていないなら、わざわざ「パパとママはサヨナラするの」と伝える必要もないかもしれません。

しかし、子どもがある程度、大きいと離婚に伴って自室を失ったり、学校を変えたり、友達と別れたりするため、離婚の事実を隠し通すことは難しいでしょう。

だからこそ「離婚したら父親と母親、どちらと一緒に暮らしたいか」を本人に決めさせるのは自然な流れです。

後々、子どもが後悔しないよう、離婚後の住居や地域、学校や進路、経済力などについて、親権を父親が持った場合、母親が持った場合を比較検討したうえで本人に判断させることが大事です。

何より子どもの意思を無視して妻が親権を取ろうにも、幼子と違って力ずくで手を引くことは難しいので、もし子どもが「父親がいい」と言えば、妻も本人の意思に従わざるをえません。

大学下宿、海外留学の場合の親権には注意しましょう

妻が「子どものため」という理由で離婚を拒んでいる場合、子どもが手元から離れるタイミングでようやく観念して離婚に応じることも多いです。

例えば、大学に合格して学生寮に下宿する場合、海外への留学やホームステイする場合など。

たとえ妻が生活費の仕送りや学校の手続き、学費の納付、進学やアルバイトなど子どもの世話をするにしても、妻には親権を持たせず、「監護権」にとどめるほうが賢明でしょう。

海外留学やホームステイが終わり、大学を中退して地元へ戻ってくる場合、それがたとえ離婚後であっても子どもにとって婚姻期間中に住んでいた家が「実家」です。

実家に母ではなく父が住んでいるのなら、今後は父と一緒に暮らす可能性がありますが、親権の変更には裁判所の許可が必要です。

一方、当事者同士で決めた監護権を変更する場合、裁判所の許可は不要で、当事者同士の同意だけで変更することができます。

このように離婚時、妻に親権を付与した場合、後日、事情が変わっても親権を変更するのは大変なので親権は夫、監護権は妻にしておくほうが後々のためです。

これだけはおさえておこう!「離婚に同意させる」ポイント

分割ではなく一括の条件を提示 癇癪持ちの妻は長期スパンで物事を考えることが苦手な傾向にあります。

「離婚して手切れ金で暮らすパターン(一括)」と「離婚せず夫の給料で暮らすパターン(分割)」の二択を提示しましょう。合計額は前者 <後者ですが、目先の一時金に目がくらんで前者を選ぶ可能性が高いでしょう。

ある程度インパクトのある金額を提示し、一括で払うことを約束するのが正解です。合計額を計算することすら億劫に感じるのがヒステリー妻の欠点です。

まるで鼻先のニンジンに目がくらむ馬のごとく、ニンジンをつかみ取ろうとするのですが、お腹が減っている(手持ちのお金がない)ので、とにかく今すぐ欲しいのです。

もちろん、離婚時に一括で支払うだけのお金を用意するのは難しく、両親からの援助、職場の社内融資、銀行の離婚ローンなどを利用せざるをえないかもしれませんが、少し無理のある金額でも検討には値するので、実現の可能性を探りましょう。

「妻に逃げられたダメ夫」を演出 妻は「私は何も悪くない! すべて夫のせい!!」と思っているので、「夫に捨てられた妻」という形で離婚を切り出しても、妻の感情を逆なでするだけでうまくいきません。

現実からかけ離れていても「妻に逃げられたダメ夫」という形を演出したほうが効果的です。

ヒステリー妻の場合、妻に家を明け渡すのではなく、妻に出て行ってもらうのが正解で、妻の自尊心を傷つけずに話を進めることができます。

ただし、妻は「私の金は私の金。夫の金も私の金」というジャイアン思考の持ち主なので、妻の転居費用(引っ越し代、家財等の購入費、転居先の敷金礼金など)を夫が負担するのはやむをえません。

厳しい条件でも実現の可能性を探る 妻に対して「どうしたら別れてくれるんだ?」と投げかけたとき、思慮深くない妻はその場の勢いで根拠のない条件を提示してくるかもしれません。

妻の希望する条件が多少、夫にとって不利でも、条件を受け入れると妻も引くに引けなくなるので、「あれは冗談よ。

本気で離婚するわけじゃないんだから!」と前言を撤回することは難しく、そのまま離婚する方向でもっていくことができます。

遅かれ早かれ離婚は不可避だとわからせる 裁判所が有責配偶者からの離婚請求を認めた裁判例は存在します。

(最高裁・平成 5年 11月 2日判決など)「有責配偶者の離婚請求」とは自ら離婚の原因を作ったにもかかわらず、自ら離婚を切り出す行為。

ヒステリー妻は夫が「有責配偶者」だと思っているでしょう。

もちろん、夫婦間のモメ事の責任は片方が 10割、片方が 0ということはなく、実際にはどちらにも一定の責任があるはずで、責任の所在を特定するのは容易ではありません。

百歩譲って夫が「有責配偶者」だとしても前述の裁判例では「未成熟の子がいない」「 7年以上の別居」「経済的過酷状態ではない」などの要件を満たせば、裁判離婚(妻の同意は不要)が成立する可能性があるのです。

まず夫婦間の子がすでに成人、就職、結婚していたり、そもそも子どもがいなければ問題ありません。

次に「経済的過酷状態」とは、離婚したら妻の生活が金銭的に成り立たないことを言いますが、最低限の生活を送れるよう夫が援助すればいいのです。このように考えると今現在、夫婦が同居していても、妻は最長でも 7年しか時間を稼ぐことができません。

すでに別居している場合はもっと短いのですが、遅かれ早かれ、離婚が避けられないことを伝えるのが大事です。

裁判離婚が可能になるまで粘るのではなく、今のタイミングで協議離婚に応じたほうが苦痛から早く解放されるのだから、お互いのためでしょう。

偽装復縁で「修復不可能」だと悟らせる

妻に「心の準備」ができていない場合、「わざと関係を修復しようとする」ことで準備が整うように仕向けましょう。今までの結婚生活のなかでどのような問題があったのか、具体的な言葉や態度、行動をお互いに挙げていきます。

そして互いが互いに謝り、心から反省し、悔い改めたうえで前述の言葉、態度、行動をどのように直していくのかを検討するのです。

これは「いくら頑張っても修復できないこと」を妻にわかってもらうための作業です。そのため「やり直し案」は本当に効果があるかどうか真剣に考える必要はありません。実際、 2人は離婚直前まで行った夫婦。

やり直そうとしても、再度、すれ違いが起こり、確執が生まれ、ケンカは再開するでしょう。すると「復縁できないなら離婚するしかない」という結論にもっていくことができます。

「離婚してくれ!」と言われ続ける苦痛を強調する 妻が離婚を断っても、夫から定期的に「離婚の話はどうなった?」と言われ続ける……そんな修復不可能な相手と同じ屋根の下で暮らし、衣食住をともにしなければならないのは苦痛以外の何ものでもありません。

このような「地獄絵図」から抜け出すには離婚するしかないことを訴えかけましょう。

嫁の「浪費癖」が原因なら財産分与を回避せよ

離婚にかかるお金はおいくら?

突然ですが、これは何の数字か、わかりますか?

  • 1年未満 140万円
  • 1 ~ 5年 199万円
  • 5 ~ 10年 304万円
  • 10 ~ 15年 438万円
  • 20年以上 699万円

離婚する夫婦全体のうち約 48%は慰謝料や財産分与などお金の条件を取り決めます。前述の数字は結婚期間別の離婚にかかるお金の平均値です。

しかも、夫が妻へ支払ったのが全体の 91%、逆に妻が夫へ支払ったのはわずか 9%にすぎません(平成 10年の司法統計年報。

『離婚離縁事件実務マニュアル』ぎょうせい・東京弁護士会法友全期会家族法研究会・編から引用)。

仮にあなたが既婚者で結婚 5年目。

手持ちの貯金がたったの 300万円だとします。万が一、離婚せざるをえなくなった場合、身ぐるみはがされ、全財産を失い、無一文になることを意味します。

この数字を目の当りにしてどう思いますか? 結婚 10年目なら 438万円、 15年目なら 534万円です。痛くも痒くもないのなら別ですが、よほどの高給取りでない限り、天国から地獄へ突き落とされるようなものです。

もちろん、この数字には財産分与だけでなく慰謝料も含まれていますが、本書の読者には「慰謝料を払わなければならないほど悪さ(不倫、借金、暴力など)をするような夫」は含まれていないと信じたいので、今回は「財産分与」に絞って話を進めましょう。

納得できない財産分与

財産分与の根拠は〝内助の功〟です。百歩譲って、妻が専業主婦で家事や育児の大半を担っているのなら、妻は夫の財産形成に十分、貢献したと言えるでしょう。

もし、彼(夫)が妻と結婚せず独身のままなら、夫は少なくとも自分の洗濯、掃除、料理をしなければならないので、「妻がいなければ」仕事に専念することができず、これだけのお金を貯めることができません。

また、「妻がいたから」子どもが生まれ、その存在のおかげで責任感や使命感、癒しなどを得て、仕事でますます活躍できたのだから。さすがに今は平成の世。

「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」と、まるでジャイアンのように振る舞って、強引に財産をひとり占めしようとする「昭和の男」は少数派。

だから妻が専業主婦なら、夫は財産を渡すことに心理的な抵抗は少ないでしょう。今回、焦点を当てたいのは、共働きで子どもがいない夫婦です。

日々の家事は夫婦半々で担当し、家計費(食費、水道光熱費、家賃など)は双方の収入割合に応じて按分。

そして収入から家計費を差し引いて余ったお金は、夫と妻がそれぞれで管理し、お互いに口を出さないという暗黙の了解のもと、結婚生活を送ってきたとします。

そんな夫婦が万が一、離婚という道を選ぶことになった場合、夫婦の財産はどうなるのでしょうか? やはり夫が妻へ手持ちの財産を渡さなければならないのでしょうか? 例えば、家事を半々で担当しているのなら、夫が妻の、妻が夫の財産形成にどのくらい貢献したのか不明ですし、お互いに倹約家ならいいですが、夫が倹約家、妻が浪費家だとしたら、妻の「使ったもの勝ち」になってしまいそうです。

さらに、今まで秘密主義を貫いてきたのに、離婚するからといってお互いに手持ちの財産を知られたくないでしょう。

かといって分与額をできるだけ少なくするため、全結婚期間におけるお金の使い道を明らかにするのはほぼ不可能。それでも妻に財産を渡さなければならないのでしょうか。

今回紹介する宮本純一さん( 45歳)も、そんなふうに「離婚財産分与の不合理」に疑問を持っている男性陣のなかのひとりです。

純一さんは「夫婦の財産を明らかにしたうえ、双方で分け合う」という財産分与を行わずに離婚しようとしていました。

つまり、夫名義の財産は夫のもの、妻名義の財産は妻のものという具合に財産分与(離婚時に財産を分け合う)を行わないことを望んでいました。

純一さんの話に耳を傾けてみましょう。

事例 Lさんざん浪費してきた嫁と「財産分与」せずに別れたい!

登場人物夫:宮本純一( 45歳・会社員・年収 900万円・貯金 800万円)妻:宮本久美子( 42歳・会社員・年収 600万円・貯金額不明)

純一さんが私のところへ相談に来た当時、妻はすでにひとりでアパートを借りて家を出ており、純一さんは 8年間一緒に暮らした部屋にひとり取り残された状態でした。

なんとか妻を連れ戻そうとしたようですが、頑なに拒まれたため、そのまま別居生活に至ったというのです。

【ミッション ①】カード回収と引き落としの停止

純一さんは最初のうち、あわよくば妻とやり直したいと考えていたので必要以上に疑うこともしませんでした。

だからこそ、妻に預けていた「家族カード」を別居時、取り上げなかったのですが、どうやら妻は別居先のアパートを借りるにあたって敷金や礼金の支払い、家電等の購入に家族カードを使うだけでなく、今後の家賃支払いまで家族カードを指定していたことが後日、明らかになったのです。

家族カードは本人以外も利用することが可能ですが、あくまで利用額の引き落としは契約者である純一さんの口座。

そのため、別居の翌月には約 40万円という莫大な金額の引き落としがかかり、口座の残高が減ってしまったのです。

純一さんは銀行に駆け込み、家族カードを解約しましたが、窓口の担当者に「すでに引き落とされた 40万円を口座に戻すことはできない」と言われ、怒りのあまり手の震えが止まらなかったといいます。

ほとんどの場合、 1度別居した夫婦が元の鞘に戻ることはなく、最終的には離婚に至るので純一さんにある程度の知識があれば、「出ていった妻に家族カードを預けておく」のが危険すぎることは前もってわかるのですが、残念ながら、当時の純一さんはまだ妻に対して未練があったので危険を察知することができなかったのです。

中途半端な状態で放置されると困るので、妻への未練を断ち切って離婚を切り出したのですが、妻は「財産を渡さないと別れてあげない」と逆上。純一さんは頭を抱えていたのです。

確かに条件次第で離婚する、条件次第では離婚しないと言い、できるだけ条件を引き上げようと企むような強引な妻は決して珍しくありません。

純一さん夫婦は共働きで、日々の生活費はお互いの収入割合に応じて按分しており、夫 6:妻 4という具合で月末に 1か月分を清算するのがルールでした。

結婚当初は妻に気を遣って、約束の 6割ではなく、少し多めの 7割、 8割出してあげたりしていたのですが「ありがとう」の言葉はありませんでした。

そして、いざ離婚の話し合いになると、「あんたの貯金の半分をくれたら別れてやってもいいわ!」 そんなふうに言い出したそうです。

ちなみに、財産分与における按分割合は、『平成 26年の司法統計年報』によると、全体の 9割以上が「夫 5割、妻 5割」。

すると、妻の言い分は正しそうに見えますが、本当にそうなのでしょうか?「何を言っているんだ!」 純一さんは妻の守銭奴ぶりに驚きを隠せませんでした。それもそのはず。

夫婦は日常の家事をほとんど平等にやってきたので、「夫のために家事の一部をやってあげたのだから、相応の見返りが欲しい」という理由には無理があります。

純一さんの貯金はおおよそ 800万円でしたが、妻のおかげで夫の貯金が増えたのかどうかは定かでありません。特に共働きの場合、専業主婦の場合に比べて「妻の貢献度」はつかみどころがなく曖昧です。それなのになぜ、「夫の貯金の 2分の 1」を渡さなければならないのか。

首をかしげざるをえなかったのです。財産分与の対象になるのは、「結婚後の財産」だけ。

もし、純一さんが結婚時の残高を覚えていたり、結婚を境に口座を変更していたりすればいいのですが、まさか結婚するときに「離婚のこと」を視野に入れるような人は少ないでしょう。

純一さんは結婚前も後も同じ口座を使っており、その口座にお金を貯めていたので、前述の 800万円のうち、いくらが結婚前に貯めた分なのか、わかりません。

結局、結婚前の財産まで請求されるハメになったのです。なお、財産分与の対象は夫だけでなく、妻の財産も含まれます。

本来、純一さんだけでなく、妻の財産も合計して、合計額を夫 5割、妻 5割という具合に分け合うのが原則です。

しかし、純一さん夫婦の場合、夫婦の家計は独立採算性。

夫は夫で、妻は妻で自分の財産を管理しており、純一さんは結婚から現在まで、妻の通帳や証書、証券、インターネットバンキングを目にしたことはありません。

妻がいくら貯めこんでいるのか見当もつかず、途方に暮れるしかなかったのです。いくら隠し持っているのか、多少でも察しがつけば純一さんが妻へ渡すお金を減らすことができるのに。

【ミッション ②】婚姻中の貢献度と金銭感覚の違いを整理

「貯金は妻より僕のほうが多いのは当然じゃないですか!」 純一さんはそう嘆きますが、もともと純一さん(年収 900万円)は妻(年収 600万円)より収入が多いので、日々の生活費を収入割合で按分しても、手元に残るお金は夫 >妻でしょう。

純一さんいわく、自分が買い物をするときは事前にネットで値段を確認するそう。また、コンビニの利用はなるべく控え、値段の安いスーパーを探して買うなど倹約に努めてきたといいます。

一方で妻はどうでしょうか? 「友達と会うから」と言っては豪華なランチやエステに興じたり、「パワースポットだから」と言っては年に 3回も伊勢神宮まで参拝しに行ったり、目にあまるような出費を繰り返していました。

もちろん、離婚が視野に入っていれば、財産分与で不利にならないよう「お金を使いすぎじゃないか」と妻をたしなめたり、「どのくらい持っているのかな?」と妻に探りを入れたり、結婚時点での口座の残高を確認しておけばいいのですが、純一さんは妻が出て行くまでの間、離婚の 2文字が頭になかったのだから、前もって財産分与の対策を講じることなどできなかったのです。

離婚しないという前提で夫婦の財産は「独立採算制」でお互いに口を出さずに今日に至ったのですが、そのことが裏目に出た形です。

「妻の言い分は常軌を逸していますよ! まったく話になりません!!」 純一さんはそんなふうに憤りを隠しきれない様子でした。

財産分与の原則は夫と妻の財産を合計し、合計額を夫 5割、妻 5割という形です。

もし、夫の財産額と妻の財産額がほとんど同じなら「財産分与」したところで、お互いに損得はありません。

例えば、夫の財産が 500万円、妻が 500万円なら、合計額は 1000万円ですが、原則どおりに財産分与を行ったところで、夫の財産は 500万円( 1000万円 × 2分の 1)、妻の財産も 500万円( 1000万円 × 2分の 1)なので夫から妻へ財産が流れることはありません。

しかし、今回の場合はどうでしょうか? もう 1度、妻の要望を振り返ってみてください。

妻は「あんた(夫)の貯金の半分をくれたら別れてやってもいいわ!」と言っているのです。

これは「夫 +妻の合計額を夫婦で折半」ではなく「夫だけの財産を夫婦で折半」という意味です。

なぜ、妻の財産を加えようとしないのでしょうか? おそらく妻は今まで贅沢や浪費、散財を繰り返し、貯金を使い果たし、もはや手元にお金が残っていなかったのでしょう。

それなら「夫 +妻の合計額」も「夫の合計額」も同じですが、それにしても……です。

これでは妻は自分のお金をさんざん使い込んで「いい思い」をしたうえ、さらに夫の財産の 2分の 1である 400万円(純一さんの貯金は 800万円。

結婚前か後か不明ですが、 800万円の 2分の 1は 400万円)を手に入れることができるのだから、まさに「使った者勝ち」です。

しかも、妻とは違い、純一さんは質素倹約に努めてきたのに「正直者が馬鹿を見る」という何の救いもない結末を迎えてしまうのですが、最悪の結果を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?

【ミッション ③】財産分与しない交渉で折り合いをつける

もともと純一さんは夫名義の財産は夫のもの、妻名義の財産は妻のものという具合に、あえて財産分与(離婚時に財産を分け合う)を行わないことを望んでいましたが、どのように実現すればいいのでしょうか? 私は4つの切り口を用意し、純一さんに授けました。

そして妻との直談判に臨んだのです。

●財産形成への貢献度

まず1つ目ですが「財産形成への貢献度」です。純一さんは妻に対して「貢献」という目に見えない部分に焦点を当てて、こんなふうに投げかけたのです。

想定問答「僕の貯金に久美子がどのくらい貢献したのか、僕にはよくわからないよ。でも、それは逆だって同じことでしょ? 久美子の貯金に僕がどのくらい貢献したのか、僕だって何とも言えないよ。(妻には貯金がないことを知りつつも、あえて指摘せずに)久美子は貢献していて、僕は貢献していないというのは、おかしいじゃないか」

●金銭感覚の違い

次に2つ目ですが「金銭感覚の違い」です。

まだ妻の浪費癖が明らかになったわけではないので、「仮に」という前提で、純一さんはこうやって夫婦間の違いに言及したのです。

想定問答「節約家が損をして、浪費家が得をするなんて、おかしいんじゃないかな? 夫婦の金銭感覚がぴったり一緒なんてことはありえないでしょ? 僕は年収の 1割以上を貯蓄に回しているけれど、久美子に同じことを押しつけるつもりもないし、お互い干渉しない約束で今までやってきたじゃないか」

●財産の不開示

そして3つ目、「財産の不開示」です。

夫婦が共働きの場合、夫が妻の、妻は夫の財産の全容を把握しないケースが大半で、純一さん夫婦も例外ではありません。

そこで純一さんはこんなふうに妻の「痛いところ」を突こうとしたのです。

想定問答「離婚するからといって、今まで知られないようにしてきた財産の中身を明らかにしなければならないのは苦痛以外の何ものでもないでしょ? 僕だけじゃなく、久美子だって同じじゃないかな」 ところで 2人は離婚直前の夫婦ですが、お互いの間に信頼関係は存在するのでしょうか? いや、信頼関係が少しでも残っていたら離婚したりはしないでしょう。

2人の間に「信頼」という 2文字が存在しないのに、片方が自分の財産を正直に開示したところで、もう片方はそれで気がすむでしょうか? いや、そんなことはありません。

2人の関係が険悪であればあるほど疑心暗鬼に拍車がかかるので、財産の内容を真に受けるのは難しいでしょう。

「『なぜ、これしか残っていないの?』『ほかに隠しているのでは?』『家を出て行く前に使ってしまったに違いない!』僕は久美子にそんなことを言われたくないし、僕だって言いたくはないよ」 そうやって純一さんは「 1度、疑い始めると収拾がつかなくなり、出口は見えなくなること」を強調して、むしろ財産分与「しないこと」が妻のためなのだと説き伏せようとしたのです。

なぜなら、妻は自分だけ金遣いが荒く、貯金しておらず、お金がないという秘密を隠し通したうえで苦痛から解放されるのだから。

●お金の使い道

最後に4つ目、「お金の使い道」です。

元妻にとっての秘密事項は「現時点の残高」だけでなく、結婚から別居までの間、何にいくら使ったのか……具体的な使途も同じくらい隠し通したいはず。

なぜなら、ひとつひとつの使い道が本当に必要不可欠なのか、贅沢ではないか、もっと節約できたのではないかなどと、今さら夫に指摘されるのは耐え難い苦痛に違いありません。

例えば、ミシュランで星を獲得した高級店で優雅にランチを満喫した、豪華客船に乗って伊勢神宮で停泊する憧れのプランに申し込んだ、 1年分のエステのチケットを買い込んだ、などと口が裂けても言えないでしょう。

想定問答 だから純一さんは、「僕が納得するまで仕分けの作業をやってもらうつもりだよ」と暗にプレッシャーをかけ、さらに「きちんと説明できないのなら、

今まで使ったお金は『使わなかったもの。残っているもの』と解釈して財産分与の計算をし直そうじゃないか」と、たたみかけたのです。

前述のとおり、妻の財産が多ければ多いほど、純一さんが妻に渡すお金は減るのだから好都合です。

そもそも妻が過去の使途を口座の履歴、クレジットカードの明細、領収書やレシートなどですべて調べることは現実的には不可能ですが、「どうせできないこと」を承知のうえで、純一さんは意図的に無理な提案をしたのです。

そして万が一、妻が多少なり、使途の明細を明らかにしても純一さんは最初から「本当なのか」「信じられない」「きちんと裏をとってほしい」と突っぱねるつもりだったのです。

このように純一さんは4つの切り口を伝えたうえで「もう離婚が決定的なのに、これ以上、財産分与をめぐって傷つけあうのはお互いのためにならないだろう。

だから、財産分与をしないかわりに、これ以上、詮索しないのが賢明なのではないか?」と提案したのです。

純一さんが用意していった4つの切り口が妻に対して効果を発揮したのか、それとも「これ以上、傷つけたくない」という気持ちが伝わったのか、はたまた離婚して赤の他人になり、 2度と顔を合わせることもないだろう相手(純一さん)とこれ以上、話を続けることが馬鹿馬鹿しくなったのか、今となっては定かではありません。

しかし最終的に、妻は財産分与の件を取り下げ、純一さん夫婦は「お金の取り決め」をせず、傍から見れば円満に離婚することができたのです。

「婚前契約書」でトラブル予防できる?

海外では結婚する前に 2人の間で「婚前契約書」を交わし、お互いの財産をどのように扱うのかを前もって決めておくのが一般的です。

純一さん夫婦の場合、この婚前契約書を交わしていなかったことが諸悪の原因です。

例えば、結婚の段階で夫名義の財産は夫のもの、妻名義の財産は妻のものという具合に、あえて財産分与(離婚時に財産を分け合う)を行わないことを約束していれば、離婚の段階でこんなにモメることもなかったはず。

白紙の状態から話を始めたせいで妻が財産分与の原則(夫と妻の財産を合計し、合計額を夫 5割、妻 5割という形で分け合う)を持ち出してきて余計に紛糾したのです。

とはいえ、今の日本で結婚するときに「婚前契約」の話を切り出すのは相当な勇気が必要でしょう。

なぜなら、婚前契約は離婚の 2文字を連想させるので、相手に「もう別れたときのことを考えているの? 信じられない!」と不信感を抱かせる危険が高く、そのせいで、せっかくのハネムーン気分も萎えてしまうようでは本末転倒です。

またすでに結婚してしまった男性陣が今さら妻と婚前契約を結ぶのは、ほぼ不可能でしょう。

だから婚前契約がないならないなりに、離婚の場面でどのように立ち振る舞えば、圧倒的に不利な財産分与の条件をのまなくてもすむのかを今回、紹介しました。

参考にしてみてください。

これだけはおさえておこう!「浪費癖の嫁と離婚協議の準備」ポイント

カードの回収と引き落としの停止 離婚前提で別居するときに大事なのは妻に渡していた夫名義のカード類(クレジットカード、カードローン、キャッシュカード)を回収すること。

そして夫の口座からの引き落とし分のうち、妻名義のものは停止することです。

妻がカードを返してくれない場合は、銀行やカード会社に「紛失した」と申し入れて旧カードを無効にし、新カードを再発行すれば問題ありません。

妻にまとまった収入がない場合、離婚協議中であっても夫は妻に対して生活費(婚姻費用)を払わなければなりませんが、生活費の金額の「相場」は家庭裁判所がインターネット上で公表している『婚姻費用算定表(※)』を参考に、支払い方法は「現金の振り込み」にしてください。

例えば、「夫のカードを使わせる」という形で生活費を渡そうとすると、金銭感覚のおかしい妻は相場以上の金額を散財する可能性があります。

そして夫が家を出るという形で別居状態に至った場合でも、夫の口座から妻が住んでいる家の家賃、水道光熱費、携帯料金、保険料などが引き落とされていることが多いですが、特に携帯料金はゲームやアプリなどの課金によって膨れ上がっていくので危険です。

このようにカードや引き落としでは生活費が妻の使い方次第で相場以上の負担を強いられるだけでなく、妻が「離婚しなければ夫の金を使い放題」だと勘違いすると、ますます解決は遠のくので厄介です。

※『婚姻費用算定表』 http:// www. courts. go. jp/ tokyo-f/ saiban/ tetuzuki/ youikuhi_ santei_ hyou/ 賃貸解約のタイミング 妻が家から出ていく形で離婚協議に発展した場合、現在の住居が賃貸なら、夫はすぐに荷物をまとめて部屋を引き払い、賃貸を解約したほうがいいでしょう。

妻の承諾は必要ありません。

妻にまとまった収入がない場合、離婚協議中であっても夫は妻に対して生活費を払わなければなりませんが、別居前の住居の家賃を生活費から差し引くことは認められていないので、さっさと解約しないと夫は「妻の生活費 +家賃」を負担しなければなりません。

しかも、賃貸の契約者 =家賃の支払い義務者なので、別居中に支払った家賃を離婚時、妻に請求することはできません。

手遅れにならないよう、善は急げ! です。

結婚前後の貯金額を線引き 結婚前も後も同じ口座を使っている場合、口座残高のうち、結婚前の分と結婚後の分が混在していると離婚の財産分与として独身時代の財産を請求されるリスクがあります。

もちろん、結婚するタイミングで別の口座を作っておけば安心ですが、現実的には結婚の段階で離婚対策を講じるのは難しいところ。

遅くとも離婚を考え始めた時点で給与の振込口座や貯蓄用の口座をほかに用意しておきたいところです。

これだけはおさえておこう!「浪費妻との離婚条件の交渉」ポイント

散財金の放棄と早期の離婚 今のご時世、残業代カットや会社の都合によるリストラ、うつ病による休職などで突然、収入が下がることは珍しくありません。

夫が減給の憂き目にあって家計が赤字に陥った場合、専業主婦の妻に対して「働きに出てほしい」と頼んでも、妻が怠けてばかりで仕事を見つけようとせず、家にお金を入れてくれないと夫は独身時代の貯金や両親からの援助で急場をしのがなければなりません。

それなら、夫婦なのに「助け合おうとしない妻」に見切りをつけてもいいでしょう。

妻の浪費癖が原因で財産が失われたケースでは、毀損した財産が「夫婦の共有財産」であれば夫が 2分の 1、妻が 2分の 1の権利を持っているため、妻が夫に対して補償するのは毀損した財産の 2分の 1に限られます。

一方、毀損したのが「夫の特有財産」なら、妻は一切の権利を持っていないので、夫に対して毀損した財産の全額を補償しなければなりません。

妻に就業意欲や支払い能力が皆無で独身時代の財産や両親からの援助金を全額回収するのに時間を要して、離婚が遅れるようでは困るので、「独身時代にどのような気持ちでお金を貯めてきたのか」「両親がどのような気持ちでお金を持たせてくれたのか」を前置きしたうえで妻が離婚に応じれば、これらの請求権を放棄すると伝えるのが正解です。

最初に提示すべき6つの正論 キレやすい妻に向かって最初から妻が嫌がること(財産分与における妻側のデメリットなど)を伝えると、妻は馬鹿にされたと勘違いし、見境もなく暴走して、話が頓挫するリスクがあります。

そのため、最初は「財産分与の根拠」「夫婦間の収入差」「貢献の有無」「金銭感覚の違い」の 4点に焦点を当て、妻を攻撃せずに財産分与を断念させる道を探るのが上策。

例えば、共働きで家事を半々で担当している場合、内助の功を理由に財産を求めるのはおかしいということ、年収が夫 >妻なら、財産も夫 >妻なのに、夫婦の財産合計を折半するのは無理だということ、妻は財産形成に貢献していて夫は貢献していないと言い切ることは難しいこと、節約家が損をして、浪費家が得をするのは倫理的に問題があるということなどですが、妻の神経を逆なでしないほうが無難です。

浪費を認めたほうがお得! いくら問い詰めても妻が過去の浪費を白状しないのなら、「浪費していない場合、いくら貯められたのか」を計算し、合計額を提示しましょう。

妻の財産が多ければ多いほど妻の取り分(夫 妻)が減ることを知らしめることが大事。

毎月の妻の収入から支出を差し引き、差額 ×結婚の月数で合計額を算出しましょう。

財産分与の対象は夫だけでなく妻の財産も含まれます。

例えば、夫の財産が 500万円、妻が 100万円、夫婦の合計が 600万円の場合、按分割合は折半なら、妻の取り分は 300万円なので、夫が妻へ 200万円を支払うことになります。

一方、妻の財産がない場合、妻の取り分は 250万円で、夫が妻に支払うのも 250万円。

このように「財産をすべて使ってしまった」と認めたほうが、妻は夫から受け取ることができる金額は増えるのだから、白状したほうが得だと促すのが効果的。

妻がシラを切るのなら、不明金は「まだ残っている」という前提で財産の合計額に加算されると、やはり妻の取り分は減ります。

妻に浪費分の補塡を求め、財産分与の按分割合を変更する(妻の取り分を 50%以下にする)のは、この後でかまいません。

財産開示の苦痛は夫 <妻 結婚期間中、独立採算制というルールを守ってきたのは、お互いに干渉されたくないからでしょう。

それなのに結婚生活を終わりにして離婚するからといって前述のルールを撤回し、お金の使い道や増減、そして現在の金額を明らかにするのを強いられるのは双方にとって苦痛でしかありません。

特に今まで浪費を繰り返し、「やましいこと」を抱える妻のほうが苦痛は大きいでしょう。

だから「細々と詮索されたくなければ、無理に財産を分与しないほうがいい」という落としどころにもっていくのが妙案。

実際のところ、妻の通帳や証書、証券、インターネットバンキングを発見できないという絶望的な状況でも、妻の財産を把握できないという弱みを見せなければ、妻に財産を渡さず離婚できる可能性が高まります。

財産開示はモメ事を増やすだけ 虚言癖の妻が財産目録(財産の詳細を記した書類)を用意しても、すべてを正直に開示しているとは限りません。

疑心暗鬼の状態で財産の真偽について結論を出すのは不可能。

「妻が財産を小出しにする 夫が目録の信憑性を疑う」というやりとりを繰り返すのは無駄です。

嘘つきの妻に嘘をつかせるのは得策ではないので、「(妻が)何を言おうと『信じられない!』と突っぱねるつもりだ」を最初の段階で念押ししておき、妻が自分の財産を開示しない方向へ促しましょう。

不毛な応酬は避けたほうが賢明です。

両親からの援助金の回収 夫の両親が妻に直接お金を渡している場合、夫はその都度、把握していなくても金銭授受の事実は両親の預金口座の履歴や残高、そして何より両親の証言があるので隠蔽しようがありません。

しかし、法律上、贈与なのか借用なのかが曖昧なことを悪用して、離婚時、子どもを人質に取って「孫(夫婦の子)がもらったのだから贈与だ。

返す必要はない」と持ち逃げを企むケースがあります。

しかし、お金の使い道が子どもではなく妻の使途なら、贈与金を孫が受け取ったと解釈するのは無理ですし、両親が妻に渡したのなら「もらいます」ではなく「お借りします」と口にしているはずなので、『妻への借用』と結論づけることが可能。

妻に返済能力がなくても、せめて手元に残っているお金は取り立てて両親に返しましょう。

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