FocusonWhatYouWillDo,NotWhatYouWon’tDo
「成功したい」「職場で昇進したい」「禁煙をしたい」「すぐに感情的になるくせを直したい」こうした目標を達成したいなら、上手な計画を立てる必要があります。
〝上手な計画〟のポイントは、マイナスとなる行動や状況を避けるだけではなく、それらを建設的で効率的な行動に置き換えることにあります。
シロクマのことだけは考えてはいけない!?
たいていの場合、人は「やめるべきこと」ばかり考えてしまいます。反対に「やりたいこと」「やるべきこと」を具体的に考える時間が少なすぎるのです。
「シロクマのことだけは考えてはいけない」こう言われると、それまでシロクマのことなんか考えたことがなかったとしても、シロクマが頭から離れなくなってしまいます。
ある思考をしないように努力すると、逆に頭の中はその思考でいっぱいになる─これは心理学の実験でも明らかです。
このことは「思考」だけではなく「行動」にも当てはまります。ある行動を「やめよう」と思うことは、その行動に対する衝動を強めることはあっても、弱めることにはなりません。
ではどうしたらよいかといえば、行動を変えたいのなら「やめたいこと」を考えるのではなく「やりたいこと」「やるべきこと」を考えるのです。
これは「何かをやめたい」ではなく「何をするか」を考えるということです。
例えば、あなたが短気を起こしがちで、すぐにカッとなるくせを直したいと思っているのなら、「カッとしないようにする」ではだめです。「(if)怒りがこみあげたら、(then)まずは3回深呼吸をする」といったように具体的な行動を目標にしましょう。
この場合「3回の深呼吸」という具体的な行動が、怒りに任せた行動という「好ましくないこと」を防ぐ代替行動となっています。
目標を「どう表現するか」で結果は変わる
目標についてifthenプランニングをしたら、次にやるべきことは「それをどう言葉に移し換えていくか」を考えるということです。
目標を見つけることと同じくらい、それを「どう表現するか」が重要であることが、最近の研究成果からもわかっています。
表現の仕方によっては、目標がまったくの逆効果になって、避けたい行動を誘発してしまうということもあるのです。
オランダのユトレヒト大学の研究者が、3パターンのifthenプランニングについて調査をしています。
第1のパターンは「代替if thenプラン」。これは言葉通り、好ましくない行動をより好ましい行動に替えることです。
例を挙げましょう。
いつも、仕事を断れずに引き受けてしまって、身動きが取れない状態になる傾向があるとします。
そんなときの「代替ifthenプラン」は、①(if)もし、次に仕事のオファーが来たら、②(then)引き受ける前に、1日は考えることにする。これで「1日考える」という行動が「断れずにすぐ引き受ける」という行動の代替になります。今まで自分を追い込む結果になっていた行動を、より好ましい行動に代替させるということです。
第2のパターンは「無視ift henプラン」です。
好ましくない思いや衝動(例えば緊張や不安)を無視するということです。例えば「たばこを吸いたい衝動が起きてきても、それを無視する」というのがこのパターンです。
感じたくない衝動や思いを、自分の心から遮断することで、望ましくない行動をしないようにします。
そして、第3のパターンは「否定的if thenプラン」と呼ばれます。
このパターンでは、今後やりたくない行動を、そのまま「やらない」とします。何らかの好ましくない行動をやめたいのであれば、シンプルに「もうそれはしない」とするのです。
「ショッピングモールに行って、買い物がしたいと思っても、私は何も買わない」というようなプランで、最も直接的に自分の衝動と対峙することになります。
この第3のパターンが、多くの人が普段から最もよく使う方法です。これら3パターンの効果を調査したところ、驚くべきことが実証されました。
3つ目の「否定的ifthenプラン」は、他のパターンと比べて効果がかなり小さいことがわかりました。さらには、まったくの逆効果となることがあることもわかったのです。
つまり、「否定的if─thenプラン」によって、避けようとしていた行動を、以前よりも多く取ってしまう結果になることが明らかにされたのです。
「シロクマのことは考えるな!」と言われると逆に頭から離れなくなる─これと同じことが、思考だけでなく行動の場合にも起きるということです。
ある行動を否定すればするほど、逆にその行動のことを考えてしまい、その結果、否定したい行動を強化してしまうのです。
衝動的な行動をしないようにプランを立てたのに、それが反対に「強化」されてしまうのですから皮肉な結果です。
「ショッピングモールに行って、買い物がしたいと思っても、私は何も買わない」というプランを立てたのに、実際にはこれまで以上に買い物をしてしまう、という結果になるのも無理はないことだったのです。
次にifthenプランを立てるときには「やめたいこと」に焦点を合わせるのではなくて「自分が望む行動を起こす」ように代替プランを立てることを心がけてください。
ifthenプランで大切なことは「あなたが何をしないのか」ではなく「何をするか」なのです。
第9章のまとめ
1「~しない」という目標を「~する」に変える。
「食べすぎない」「だらだらと働かない」「夜更かししない」「話をするときに構えない」など、目標の多くは「~しない」という形のものになりがちです。
こうした目標は、反対にその行動への衝動を高めてしまいます「~しない」ではなく「~する」という表現方法を考えてください。
2「~する」という目標をifthenプランにする。
(例):①(if)もし、次に~をしたいと思ったら、②(then)代わりに~をするようにする。
おわりに
成功した起業家やスポーツ選手、人気の作家や音楽家……こうしたそれぞれの分野での成功者を見て、「天才」だとか「才能に恵まれた人」などと考えてはいないでしょうか。
「才能とは、努力や経験によって誰にでも得られる能力だ」と正しく理解した上で言っているのなら問題はないのですが、たいていの場合はそうではありません。
成功とは「正しい選択」「正しい戦略」「正しい行動」によってつかむものです。決して生まれつきのDNAで決まるものではありません。
知能指数のように、これまで「生まれついてのもの」と考えられてきた指標は数多くあります。
しかし、これらの指標では「誰が成功し、誰が成功しないのか」をまったく予測できないことが、多くの研究によって証明されてきています。
誰が将来成功するかを予測しようと思ったら、知能指数を見るよりも、その人の戦略性や持続性を見る方がよほど的確です。
本書で紹介してきたように、目標を達成できる人には、9つの共通する習慣があります。
1明確な目標を持っている。
2ifthenプランの形で「いついつになったらやる」と計画している。
3現状と目標までの距離に目を向けて「目標に近づくために何をすべきか」に焦点を当て、モチベーションを維持している。
4成功できると信じている。同時に、成功は簡単には手に入らないと考えて、努力をおこたらない。
5最初から完璧を目指さない。失敗を恐れることなく、少しずつでも進歩することを考えている。
6どんな能力でも努力で身につけられると信じている。どんな困難でも「やり抜く力」を持って当たることができる。
7意志力も鍛えれば強くなることを知っていて、習慣的に鍛えている。筋力と同じように、意志力も使いすぎれば消耗することを知っている。
8誘惑をできるだけ近づけないようにしている。意志力で誘惑に打ち勝とうとはしない。
9「やらないこと」でなく「やること」に焦点を置く。
この9つのことをいつも心に置いてください。
達成できない目標などない─私は、心理学者としてのこれまでの研究から、そう信じています。
参考文献[はじめに]GordonB.MoskowitzandHeidiGrant,“ThePsychologyofGoals”ゴードン・B・モスコビッツ、ハイディ・グラント『目標達成の心理学』[第1章]EdwinA.LockeandGaryP.Latham,“BuildingaPracticallyUsefulTheoryofGoalSettingandTaskMotivation:A35–YearOdyssey”エドウィン・A・ロック、ゲリー・P・レイザム『目標設定と動機づけの実践的方法論:35年に渡る探究』AngelaLeeDuckworth,HeidiGrant,BenjaminLoew,GabrieleOettingen,andPeterM.Gollwitzer,“SelfRegulationStrategiesImproveSelf–DisciplineinAdolescents:BenefitsofMentalContrastingandImplementationIntentions”アンジェラ・リー・ダックワース、ハイディ・グラント、ベンジャミン・ロウ、ガブリエル・エッティンゲン、ペーター・M・ゴルヴィッツァー『感情コントロールの習慣が青年期自己鍛錬に与える影響:メンタル・コントラストとifthenプランニング』[第2章]PeterM.GollwitzerandPaschalSheeran,“ImplementationIntentionsandGoalAchievement:AmetaAnalysisofEffectsandProcesses”ペーター・M・ゴルヴィッツァー、パスカル・シーラン『ifthenプランニングと目標達成:その効果と進行プロセスのメタ分析』SarahMilne,SheinaOrbell,andPaschalSheeran,“CombiningMotivationalandVolitionalInterventionstoPromoteExerciseParticipation:ProtectionMotivationTheoryandImplementationIntentions”サラ・ミルン、シェイナ・オーベル、パスカル・シーラン『意欲と意志力を通して運動習慣を作る:防御的動機づけ理論とifthenプランニング』[第3章]ChakFuLam,D.ScottDeRue,ElizabethP.Karam,andJohnR.Hollenbeck,“TheImpactofFeedbackFrequencyonLearningandTaskPerformance:Challengingthe‘MoreisBetter’Assumption”チャクフラム、D・スコット・デルー、エリザベス・P・ケイラム、ジョン・R・ホレンバック『学習と業務遂行におけるフィードバック頻度の影響:それが多い程良しとされる常識への反論』MinjungKooandAyeletFishbach,“DynamicsofSelfRegulation:How(Un)AccomplishedGoalActionsAffectMotivation”ミンジョン・クー、アエレット・フィッシュバック『感情コントロールのダイナミクス:目標の進展がやる気に与える影響について』[第4章]GabrieleOettingenandThomasA.Wadden,“Expectation,Fantasy,andWeightLoss:IstheImpactofPositiveThinkingAlwaysPositive?”ガブリエル・エッティンゲン、トーマス・A・ワッデン『期待と幻想とダイエット:ポジティブ思考はいつもポジティブな結果を生むのか?』GabrieleOettingenandDorisMayer,“TheMotivatingFunctionofThinkingAbouttheFuture:ExpectationsVersusFantasies”ガブリエル・エッティンゲン、ドリス・メイヤー『未来を考える事の動機づけに与える効果:期待と幻想』AnjaAchtziger,PeterM.Gollwitzer,andPaschalSheeran,“ImplementationIntentionsandShieldingGoalStrivingFromUnwantedThoughtsandFeelings”アンジャ・アクツィガー、ぺーター・M・ゴルヴィッツァー、パスカル・シーラン『Ifthenプランニング:目標の邪魔になる要因を如何に排除するか』[第5章]GordonB.MoskowitzandHeidiGrant,“ThePsychologyofGoals”ゴードン・B・モスコビッツ、ハイディ・グラント『目標達成の心理学』DustinB.Thoman,JessiL.Smith,andPaulJ.Silvia,“TheResourceReplenishmentFunctionofInterest”ダスティン・B・トーマン、ジェシー・L・スミス、ポール・J・シルビア『興味が心の活性促進を促す側面に関する研究』[第6章]CarolS.Dweck,“Mindset:TheNewPsychologyofSuccess”キャロル・S・ドゥエック『マインドセット「やればできる!」の研究』[第7章]MichelleR.vanDellenandRickH.Hoyle,”RegulatoryAccessibilityandSocialInfluencesonStateSelfControl”ミシェル・R・ヴァンデレン、リック・H・ホイル『自己コントロールのアクセス調整と社会的影響の研究』MeganOatenandKenCheng,“LongitudinalGainsinSelfRegulationfromRegularPhysicalExercise”ミーガン・オウトン、ケン・チャン『運動習慣が自己抑制力に長期にわたり及ぼす好影響について』RoyF.Baumeister,MatthewGailliot,C.NathanDeWall,andMeganOaten,“SelfRegulationandPersonality:HowInterventionsIncreaseRegulatorySuccess,andHowDepletionModeratestheEffectsofTraitsonBehavior”ロイ・F・バウマイスター、マシュー・ゲイリオット、C・ネイサン・デバール、ミーガン・オウトン『自己抑制力と性格:介入が自己抑制を成功させ、消耗が行動に与えるメカニズムの研究』[第8章]LoranF.Nordgren,FrenkvanHarreveld,andJoopvanderPligt,“TheRestraintBias:HowtheIllusionofSelfRestraintPromotesImpulsiveBehavior”ローラン・F・ノードグレン、フレンク・ヴァン・ハレベルド、ヨープ・ヴァンデア・プリット『自己コントロール・バイアス:コントロールの錯覚が如何に衝動的行動を生むか』[第9章]MariekeA.Adriaanse,JohannaM.F.vanOosten,DeniseT.D.deRidder,JohnB.F.deWit,andCatharineEvers,“PlanningWhatNottoEat:IronicEffectsofImplementationIntentionsNegatingUnhealthyHabits”マリアケ・A・アドリアーンセ、ヨハンナ・M・F・ヴァン・ウーステン、デニース・T・D・デリダー、ジョン・B・F・デヴィット、キャサリン・エヴァーズ『否定的ifthenプランニングについて』[おわりに]AngelaL.DuckworthandMartinE.P.Seligman,“SelfDisciplineOutdoesIQinPredictingAcademicPerformanceofAdolescents”アンジェラ・L・ダックワース、マーティン・E・P・セリグマン『学生の学業成績を決めるのはIQではなく日々の修養である』
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