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第8章P/Aワークスケジュールの作り方P/Aの共感を得て生産性を上げる仕組みを作ろう

目次

8-1日別売上計画の作り方

日別売上計画がなくてはワークスケジュールは作れない

稼働時間をデイリー(毎日)チェックし管理するには、後述する標準労働時間の活用と月間売上計画を日別売上高ごとに適正に配分する必要があります。

日別売上計画がなくては、適正なワークスケジュールが組めず、稼働時間のコントロールに結びつかないからです。日別売上計画を作成する方法は各種ありますが、分かりやすく実用的な前年度の曜日別売上高を基礎とした手法を紹介しましょう。

①前年度の月間売上高を曜日別に分類します(月曜日から日曜日までの各曜日別とすることもできますが、ここでは平日、土曜、日・祭日の3分類とします)。

②月間の各曜日の売上高合計を前年度の月間の曜日別合計日数で割ります。

③前年度の各曜日(ここでは平日、土曜、日・祭日)ごとの1日平均売上高が算出されます。

④今年度売上高予算の月間の前年対比目標伸び率を前年度の各曜日1日平均売上高③に掛けます。

⑤今年度の各曜日別(ここでは平日、土曜、日・祭日)計画売上高が算出されます。

⑥前年度と今年度との曜日のずれを確認し、売上高を曜日別に割り振ります。

⑦上旬、中旬、下旬や曜日別の特性(毎月中旬に落ち込むとか水曜日がいつも悪いなど)や給料日、ボーナス支給日、祭日、連休、地域催事などを考慮し日別売上高の微調整を行います。また、前年に異常に売上高が悪い日があれば、日報などにより天候などの原因を探って確認し、今年の売上高をより確率の高いものとします。

⑧今年度日別売上計画の合計額が月間売上計画に等しくなっているか再確認します。

※図表❽-1の具体例は①→⑧の作業を示しています。

この曜日別売上高による手法のほかに、単純に伸び率を前年同日(同曜日)に掛け配分する方法もありますが、いずれにしても⑥、⑦にある曜日を初めとした微調整を行うことが重要です(図表❽-2)。

本部からコンピュータでこれらのデータが送信される店が増えています。しかし、最新の傾向や状況は店でしか分からないのです。

ノートブック型のパソコンを用いれば、中小店でも店長が前年データを基に簡単に最新情報を入れた日別売上高などの各種データを自分用に加工できます。操作の簡単なソフトも多く、自己啓発とキャリアアップのためにも、ぜひ、挑戦してみましょう。

8-2ワークスケジュールの作り方

週間部門別人時数の把握ワークスケジュールはお客さまに満足していただき、しかも適正な人件費の範囲で組む必要があります(作成手順は図表❽-3参照)。

そのためワークスケジュール作成の基本となるのは週間部門別売上高です。週間部門別売上高は日別売上計画を基に部門別に配分し予測します。

スーパーマーケットや複合化したブックセンター(本・CD・AVレンタル・文具品販売)などでは、各部門別に週間売上高を予測し、それらを部門別・品種別作業の時間数に換算する必要があります。

そのためには標準作業ガイドラインを作成しておく必要があります。これは、週間売上高に対する標準作業量を、部門別・品種別に換算する(割り出す)際に基準となるものです。

次に、原則として各曜日時間帯別に毎週定期的に発生する発注、検品、値付け、棚卸しといった各定例作業を加味し、曜日時間帯別に作業割当てを行います。

このときにポイントとなるのが、後述する[ミニマムスタンダード(最低必要労働時間)+α時間の適正化=標準労働時間数]の考え方です。

この結果、すでに換算した部門別・品種別作業量が週間部門別・曜日時間帯別必要人時数として把握されるわけです。フードサービス業の場合には部門ではなく、ホールサービスと厨房というように2つに分けて換算すると有効です。

各店の店舗規模や業態、売上規模、調理システム、サービスシステムにもよりますが、曜日時間帯別売上高に合わせて仕込みなどの作業量、サービスレベルの維持などを考慮してホールサービスと厨房とに分け、適正に労働時間数を配分するわけです。

P/A個人別能力と勤務可能時間の掌握ワークスケジュールの線(稼働時間)を実際に引くには、週間部門別・曜日時間帯別必要人時数に対しP/Aの誰をいつ、誰と組み合わせて配置するかということが重要なポイントとなります。

ただ頭数をそろえても(必要人時数を埋めても)店舗オペレーションは回りません。それはP/A各自の持っている職務遂行能力と勤務可能時間がそれぞれ異なるからです。

このためワークスケジュール作成に当たっては、P/A一人ひとりの個人別能力と勤務可能時間をしっかりと掌握する必要があるのです。

まず、職務遂行能力の基準となるのは各自のトレーニングの進行度とその評価です。また、各職務に対するチェックも併せて必要となります。

次に各P/Aの動務可能日と月間希望月額(給与)も考慮し、できるだけ公平にワークスケジュールの線を曜日時間帯別に引いていきます。

このときに注意が必要なことは、P/A間のコンビネーションです。能力だけでなく人間関係などにも配慮する必要があるからです。

リーダーシップのある人ばかりそろえてもチームワークが取れませんし、そのようなタイプの人が1人もいなければ、いざというときに間に合わせることもできません。

ワークスケジュール作成は店長業務の中でも最重要なものの1つといわれるのは、これらのことを多面的にとらえ、しかも人件費管理をして生産性を上げる必要があるからです。

店長が独断的であったり、ワークスケジュールに不公平感があると、店内の人間関係はギクシャクし、おのずとP/Aの定着率は下がります。従って、P/A定着率は店長の実力のバロメータということもできます。

8-3標準労働時間の設定法

売上別標準労働時間の設定プラン→ドゥ→チェック→アクション→プランというマネジメント・サイクルで、店長は自店の稼働時間数をコントロールする必要がありますが、このプランに当たるものが標準労働時間です。

店舗でお客さまの満足を獲得するためには、売上高(接客数)が変動しても、毎日繰り返す基本的な作業をベースとして、商品やサービスを均一に提供する必要があります。

しかも、店長は人件費管理のために稼働時間数を適正にコントロールしなければなりません。従って、売上高の変動に合わせた標準のワークスケジュール(作業割り当て)と、その作業をするための標準労働時間数の設定が不可欠となります。

それでは、売上高に合わせ標準労働時間数を設定する1つの方法を提案しましょう。

●最低必要労働時間数の設定店舗オペレーションは売上高(利用客数)にかかわりなく、オープンからクローズまでに準備、清掃、待機と接客サービスなど最低限でも必要なワークスケジュール(作業割り当てによる稼働時間数)があります。

これを最低必要労働時間数(ミニマムスタンダード)と呼ぶことにします。

通常、売上高は平日が低く、土、日・祭日が高くなりますが、日別売上高がいくら低くても最低必要労働時間数は営業上確保しなければなりません。

従って、この最低必要労働時間数を算定基準とし、日別売上高の伸び(客数の増加)に合わせて、標準労働時間数(稼働時間計画)を設定することが可能となります。

ここで留意する必要があるのが、人時売上高と標準労働時間数およびサービスレベルの維持に関する適正なバランスです。

●標準労働時間の設定曜日別売上高の中で最も多い日数は平日(月~金曜日)ですから、平日の目標人時売上高と標準労働時間数との適正な設定が最重要となります。

例えば、月間の目標人時売上高を12千円と設定した場合、売上高の絶対額の多い土、日・祭日にこれをクリアすることは比較的容易です。

しかし、平日で人時売上高10千円以上を達成できていないと、月間でのクリアは原則として難しくなります。

基本的な考え方としては、最低必要労働時間数をベースとして、売上高の伸びに合わせ目標人時売上高と対比させながらバランスを取り、標準労働時間数を設定することです。

また、店舗面積やオペレーションのシステムにより若干の差はありますが、ある一定レベル以上の売上高を超えると、売上高に対し労働時間数を正比例的に増加させる必要はなくなります。

従って、売上高が確実に一定レベル以上となる土、日・祭日は、目標人時売上高を高めに設定した標準労働時間数とします。

図表❽-4は、これらの考え方を基本に標準労働時間を設定しグラフ化したものです。

標準労働時間数と生産性労働基準法の改正に伴い、規模の大小にかかわらず労働時間数を短縮しながら生産性を上げることが急務となっています。

生産性とは労働生産性を示しますが、労働分配率とならび経営戦略上の課題として着実に改善していく必要があります。

人時生産性(人時荒利益)を指標として管理することもできますが、店長レベルでは人時売上高の方がなじみやすく、分かりやすいでしょう。

従って、標準労働時間数は多少きつめに目標値として自店用に作成することです。

次に、その目標値(標準労働時間数)となるように各作業の適正人員や実施方法、実施時間帯や頻度などの見直しを行い、ワークスケジュールを作り直してみましょう。

初めは従業員から愚痴や苦情が出ても、トレーニングなど真剣に店長自ら率先垂範で取り組み3カ月続ければ、お客さまの満足を損なわず少数精鋭を生むことが実体験として理解できるようになります。

8-4P/A労働時間のコントロール法

日別売上計画と標準労働時間による月間計画P/A人件費=時給×労働時間数となります。

この内、主にコントロールできるのは労働時間数です。なぜなら、時給は競合店との関係もあり地域や世間相場などで、自店だけ低く設定することは不可能だからです。

従って、お客さまの満足を高めながら、P/Aの労働時間数をいかにコントロールできるかが人件費管理の決め手となります。すでに、日別売上計画の作成法と売上別標準労働時間の設定を学びました。

この項ではこの2つを使い、マネジメント・サイクルにより月間計画を作成し、実際に人件費をコントロールする手法を提案してみます。それでは、この手法の考え方の具体的な手順をまず説明してみましょう。

①店長は日別売上計画と標準労働時間により週間ワークスケジュール=計画(プラン)を作成し1~2週間前に提示します

②それに沿って毎日、オペレーション=実施(ドゥ)した後、実働時間を集計し、評価(チェック)します③計画と実際との差異が基準値の範囲を超えた場合、店長は翌週以降の週間ワークスケジュールを当初の計画から修正(アクション)=P/A労働時間数を増減し人件費をコントロールしますこの手法の優れているところは、計画と実際との差異が基準値の範囲を超えた場合にコントロール(増減)すべき実際の労働時間数が、実数で明確となる点です。

現在、大多数の店舗で行われているP/Aの労働時間数コントロールは標準化されておらず、店長各自の経験や勘に頼っています。

多店舗化している本部でも、人件費管理に関しては結果のみの評価となりがちであり、人件費コントロールに意識のある店長とない店長では店舗間で格差が生じ、大きなロスにつながっています。

この手法により標準化されれば、コントロール(増減)すべき実際の労働時間が実数で明確となるため、店長がどのように修正行動(アクション)をとったかという過程がポイントとなります。

また、若手でやる気はあるが人件費管理の具体的な手法が分からず困惑していた店長や店長候補も短期間で育成でき、人件費コントロールが可能となります。

人件費デイリーチェックの実際日別売上計画と実績売上高により、累計売上達成率を算出することは通常行われています。

同様に標準労働時間(計画)を算定してあれば、実働時間(実際)により累計労働時間達成率の算出も可能となります。

この手法のノウハウとも言える部分は、この2つの達成率を対比し計画に対する実績売上げと実働時間との達成率の差異率を求めることにより、コントロール(増減)すべき実際の労働時間数を実数で算出することにあります。

●人件費デイリーコントロール表と各数値の算出方法累計売上達成率=実績売上累計÷日別売上累計×100累計労働時間達成率=実働時間累計÷計画(標準)労働時間累計×100達成率差異=累計売上達成率-累計労働時間達成率±3%以内(コントロール不要)±3.1%以上(要コントロール)コントロール時間数=(累計売上達成率-累計労働時間達成率)×その日までの計画(標準)労働時間累計※-コントロール時間数→減少させるべき労働時間数+コントロール時間数→増加できる労働時間数2つの達成率の差異の基準値は±3%以内とします。

基準値を超えたら翌週以降のワークスケジュールで調整することになります。

実働時間の減少が必要な場合(累計売上達成率<累計労働時間達成率)にコントロールしやすいのは、土、日・祭日といった標準労働時間を多く設定してある曜日となります。

逆に実働時間の増加が必要な場合(累計売上達成率>累計労働時間達成率)は、サービスを強化したい時間帯や新人のトレーニングにそれらの時間数を有効利用します。

さらに人件費をデイリー(毎日)でチェックする際に必要な指標が、人時売上高(売上高÷総労働時間数)と人時接客数(来店客数÷総労働時間数)です。

人時売上高は客単価の高いほうが有利になるため、本部などで客単価の異なる店を何店か評価するには、人時接客数も同時にチェックすることが必要となります。

店長が自店をデイリーチェックするなら、どちらか一方で十分です。ただし、毎日の実績と当日までの累計実績は常に把握する必要があります。

人件費をコントロールするということは、月末での累計実績を結果として目標値の人時売上高(または人時接客数)に近づけることをいいます。

このシステムにも問題はあります。

それは売上規模の低い店やP/A比率の低い店(正社員比率の高い店)では、このシステムを活用しようにも最低労働時間数が多く、調整できる時間数に限界が生じるからです。

業種・業態にもよりますが、このシステムが活用できる一応の目安は、売上規模で月間700万円以上、全体の労働時間数に占めるP/A時間比率が40%以上の店となります。

P/A月間計画労働時間数により作成されたワークスケジュール(週間)通りに全員が勤務し、しかも月間での計画売上高を達成すれば、おのずと人時売上高(人時接客数)の目標値は達成できます。

しかし、実際には売上高の伸び悩みや残業、遅刻、欠勤などが発生するため、毎日、実績をチェックし翌週以降のワークスケジュールで調整しなければなりません。

いくら良い仕組みがあっても店長が意識してコントロールしない限り、目標値は達成できないものです。

8-5ワークスケジュールの基本ルール10カ条

P/A活用の基本対策は企業側が勤務日、勤務時間をフレキシブルに設定できるような仕組みをつくることです。

また、店長が各自の働く目的を的確につかみ、月間で各自が望む給与額(=勤務時間数)に合わせてワークスケジュールを組むことも必要となります。

ただし、ここで忘れてならないのは、あくまでも店側の都合に合わせてワークスケジュールを組むという点です。

そのためには第1章でもすでに触れましたが①曜日別(売上高の大きい店の場合には、売上高に合わせて)に標準的なワークスケジュールがパターン化(定型化)できている。

②各時間帯の基本作業が標準化、単純化、システム化できている。これらのことが必要となります。この結果、1日の作業が分業され、その時間帯に入ったP/A各自が責任を果たすことにより、全体として一体化(1日の運営)が可能となるわけです。

具体的には2、3時間といった短い時間でも勤務できるような態勢を店側がつくり、その各時間帯をP/Aに選ばせることにします。

また、主な勤務時間が人により決まってきますが、同一時間帯を受け持つ仲の良い人同士を3、4人組み合わせ、グループとすることも良い方法です。

「3人組」「4人組」と呼ばれるもので、同一グループの1~数人が必ずその時間を埋めて分業責任を果たすものです。主婦パートは生活費のためだけでなく、生活のゆとりのために働いていることが多いものです。

そのため家事の都合や子供の学校行事、家族や友人たちとの旅行などですぐ休みを取りたがります。また、子供が小さい場合には急病のため欠勤となることもあります。

この制度を使えばグループ内で互いに都合をつけ、連絡を取り合って店側が要望するワークスケジュールを埋めてくれることになります。結果として、パート側に連帯感が生まれ定着率も向上します。

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