MENU

第8章マインドセットをしなやかにしよう

第8章マインドセットをしなやかにしよう「変わる」とは、どういうことか?/マインドセットをしなやかにするワークショップ/「変わる」ことを恐れない/変わろうとしない人たち/わが子のマインドセットをしなやかにしよう/マインドセットと意志力推奨図書一覧

第8章マインドセットをしなやかにしようしなやかなマインドセットの根底にあるのは、「人は変われる」という信念である。

ちなみに、マインドセットについて研究する醍醐味はなんといっても、人間が成長し変化していく様子を目の当たりにできることだと思う。

自分が価値を置くものに向かってこつこつ努力する姿ほど素晴らしいものはない。

本章では、大人・子どもを問わず、能力を最大限に発揮できるようになった人を紹介する。

それはだれにでも、できることなのだ。

「変わる」とは、どういうことか?私が小学1年生の中ごろ、うちの一家は引っ越しをした。

突然転校するはめになった私は、何から何まで新しい環境に放りこまれた。

先生も、友だちも、勉強内容も。

特に恐ろしかったのは授業だ。

前の学校よりもはるかに進んでいたから──少なくとも私にはそう思えたから──である。

字の書き方なんて私はまだ習ったことがないのに、他の子はみんな書いている。

どんなことにも決まったルールがあって、みんなはそれを知っているのに、私だけ知らない。

だから、先生に「さあ、プリントの正しい場所に自分の名前を書きましょう」と言われても、何をどうすればいいのか、私にはさっぱりわからなかった。

私は泣いた。

毎日、どうすればよいのかわからないことばかり。

そのたびに途方にくれて、すっかりまいってしまったのだ。

でも、なぜひとこと先生に「私はまだ習ってないんです。

やり方を教えてくれませんか」と言わなかったのだろう。

私はこれまでの研究の中で、自分と同じような子どもたちをたくさん見てきた。

聡明で機転が利きそうなのに、ひとたびつまずくとにっちもさっちもいかなくなる子。

ちょっとした行動に出るだけで物事がうまくいくはずなのに、何もしようとしない子。

それはみな、マインドセットが硬直した子どもたちなのである。

思い通りにいかないと、すぐに無力感や無能感にとらわれてしまうのだ。

私は今でも、何かうまくいかないことがあったり、期待どおりに事が運ばなかったりすると、一瞬、自分はもうダメだと思ってしまう。

私は昔と全然変わっていないのだろうか。

そんなことはない。

「変わる」といっても、外科手術を受けたように変わるわけではない。

たしかに変化は起きていても、摩耗した膝や腰の関節を新しいものと取り替えるように、古い信念がすぐに一掃されるわけではない。

古い信念がまだ残っているところに、新しい信念が芽生え、それがだんだんと強くなるにつれて、今までとは違った考え方や感じ方、ふるまい方ができるようになるのである。

幸福のカギは信念、不幸のカギも信念1960年代、うつ病患者を診ていた精神科医のアーロン・ベックはあるとき、問題を引き起こしているのは本人の信念であることに気づく。

不安や抑うつの波が押し寄せてくる直前に、ある考えが頭をよぎるのである。

たとえば「ベック先生は私をダメな人間だと思っている」とか、「こんなセラピーを受けてもムダに決まってる。

私は絶対に良くならない」とか。

このような信念が、セラピーの最中だけでなく、日常生活の中でも否定的な感情を引き起こしていた。

人間はふだん、そのような信念の存在に気づいていない。

けれどもベックは、それに注意を払い、耳を傾けるように導けることに気づく。

さらに、そのような信念を吟味し、改める方法を教えられることを発見する。

こうして生まれた認知療法は、これまでに考案されたさまざまな治療法の中でもっとも効果的な方法のひとつになっている。

意識しているといないとにかかわらず、人間はみな、自分の身に今何が起きているのか、それはどういうことを意味するのか、自分はこれからどうすべきなのかをつねに考え続けている。

言いかえると、私たちは絶えず心の中でモニタリングと解釈を行なっているのである。

そのおかげで自分を見失わずにいられるのだが、ときとして解釈がおかしな方向に進んでしまうことがある。

今起きていることの意味をあまりにも極端に解釈する人は、必要以上に不安や抑うつや怒りの感情をつのらせたり、誤った優越感を抱いたりするはめになる。

解釈を導くマインドセット頭の中にあるチェックシートの枠組みを形作っているのがマインドセットである。

それが解釈全体を一定の方向に導いてゆく。

マインドセットが硬直していると、内なる声は自分や他人の品定めばかりするようになる。

「これは私が敗北者だということだ」「これは私がみんなよりも優れているということだ」「これはぼくが悪い夫だということだ」「これはパートナーが身勝手な人間だということだ」といったぐあいに。

硬直マインドセットの人が、受けとった情報をどのように解釈するかを調べてみたところ、どんな情報に対しても逐一、極端な評価を下していることが明らかになった。

良いことが起こると、過度にポジティブなレッテルを貼ってしまうし、逆に、悪いことが起こると、過度にネガティブなレッテルを貼ってしまうのである。

しなやかマインドセットの人も、身に起こることを絶えずモニタリングしている点に変わりはないのだが、内なる対話で問題にするのは、そのような自分や他人の評価ではない。

情報がポジティブなものか、ネガティブなものかということも敏感にとらえてはいるが、関心の中心はあくまでも学習や建設的行動に向けられている。

この体験から何を学びとることができるか。

どうすれば自分を向上させることができるか。

どんなふうに手助けしたらパートナーがもっと良くなってくれるか、など。

ところで、認知療法の基本は、極端な判断をしないで、穏当な考え方ができるように導いていくことにある。

たとえば、試験の出来が悪かったアラナが、「私は頭が悪いんだ」と結論を下したとする。

認知療法では、もっと事実に即した見方をするように教える。

つまり、その結論に合うような出来事や、結論に反するような出来事を1つひとつ探していくのである。

以前に私はこんなこともしたっけ、あんなこともしたっけと、自分の優れた面をたくさん思い出したアラナは、「私はそれほど無能ではないのかもしれない」と思うようになるだろう。

頭が悪いわけではないのに、なぜ試験の出来が悪かったのかについても考えるように仕向けていけば、ますます前向きな考え方ができるようになる。

そして、今述べたようなことを自分でできるように指導すれば、今後、ネガティブな判断を下しそうになったとき、自分でそれを修正して、落ちこまずにすむようになる。

このように、事実に即した穏当な判断ができるように援助するのが認知療法である。

しかし、硬直マインドセットと品定めの世界に陥っているかぎり、その人を認知療法で救いだすことはできない。

なぜかと言うと、その人の根底にある大前提──人間の資質は変えようがない──が変わらないからである。

言いかえる

と、人を品定めの世界から連れだして、成長をめざす世界へと導いてゆく力は、認知療法そのものには存在しないのである。

本章では、絶えず自分を評価しにかかる内なる声を、成長せよと励ます声に変えていくためにはどうすればよいかをお話ししよう。

マインドセットの講義で変わった学生たちしなやかマインドセットとはどういうものかを知るだけで、自分自身や人生についての考え方が大きく変わることがある。

私は毎年、学部学生にマインドセットについての講義を行なっている。

学部の教育課程のテーマの一環だからということもあるが、ここに来る学生たちがどんなプレッシャーを受けているかを私はよく知っているからでもある。

毎年、学生たちから寄せられるレポートには、マインドセットについての理解を得たことによって、生活のあらゆる面で自分がどれほど変わったかが綴られている。

次に紹介するのは、作家を志しているマギーのレポートである。

私は芸術的、創造的能力について、マインドセットが硬直していたことに気づきました。

その種の才能は生まれつきのもので、努力で伸びるわけがないと信じていましたから。

それがいけなかったのです。

作家になりたいとずっと思いながら、文章講座を受けることも、書いたものを人に読んでもらうことも怖くてできずにいました。

それは私のマインドセットのせいだったんですね。

ちょっとでも批判されたら、自分には才能がないんだと思いこんでしまったでしょう。

そうなるのが怖くて、ありのままの自分を出せずにいたのです。

先生の講義を聴いて、来学期は創作文章講座を受けることに決めました。

今まで、長いことあたためてきた夢のために行動を起こそうとしなかったのはなぜか、その理由がよくわかった気がします。

お話を聴いて、心の底から力が湧いてきました!マギーの内なる声はいつもこうささやいていた。

「そんなことはやめておけ。

文章講座なんて受けるな。

人に作品を見せるな。

危険を冒すな。

夢を打ち砕かれるかもしれないぞ。

夢を守るんだ」ところが今ではこう言っている。

「いちかばちかやってみよう。

行動に出よう。

技能を磨こう。

夢を追求するんだ」次に紹介するのは、スポーツ選手のジェイソンのレポートである。

ぼくは大学でスポーツをやっていますが、これまで完全な硬直マインドセットでした。

勝つことしか頭になく、失敗から学ぼうなんて考えもしませんでしたから。

けれども、先生の講義を聴いて、それではいけないことに気づき、以来、試合の最中でも学ぶことに努めています。

競技しながらでも、絶えず技を磨いていければ、今よりもずっとうまくなれることに気づいたからです。

ジェイソンの内なる声はいつもこうささやいていた。

「勝て、勝て、とにかく勝つんだ。

自分の力を証明しろ。

すべては勝てるかどうかにかかっている」ところが今ではこう言っている。

「よく見て、学んで、技を磨け。

もっと良い選手になれ」最後に紹介するのは、トニー。

優等生の彼は、すっかり失っていた自信をようやく取り戻しつつある。

高校時代は、ほんのちょっと勉強しただけでも睡眠不足でも、トップレベルの成績が維持できました。

自分は生まれつき優れた理解力と記憶力に恵まれているから、これからもずっとそうだろうと高をくくっていたのですが、1年ちかく睡眠不足の不摂生を続けたせいか、理解力も記憶力も落ちてきました。

生まれつきの能力だけを自尊心の拠りどころにしていたので(集中力や決断力、頑張る力なんてバカにしていました)、それがあやしくなって以来ずっと、ぼくは人格の危機に陥っていました。

けれども、先日、授業でマインドセットの話を聴いてよくわかりました。

今までのぼくは、自分の頭の良さを証明することばかりにこだわり、失敗を避けていたからこうなってしまったのだと。

そう気づいたおかげで、ようやく、自滅的なパターンから抜けだすことができました。

トニーの内なる声は最初こうささやいていた。

「ぼくは生まれつき頭が良い。

勉強する必要もなければ、十分な睡眠を取る必要もない。

もともと人より優れているのだから」それが、「ああ、ぼくはもうダメ。

理解できない。

憶えられない。

今のぼくはいったい何なんだ?」と言いはじめた。

それが、「頭が良いかどうかなんて気にしなくていい。

失敗しちゃいけないなんて思わなくていい。

そんなことにこだわるから自滅的なパターンに陥るのだ。

さあ、しっかり勉強して、十分に睡眠をとって、充実した毎日を送ることを考えよう」と言うようになったのだ。

もちろん、ここに紹介した学生たちだって、やはり挫折感や失望感を味わうだろうし、マインドセットをしなやかに保つのが容易でないときもあるだろう。

けれども、マインドセットの存在に気づいたことで、別の生き方への道が開かれたのである。

偉大な作家、一流選手、天才科学者の幻想におびえることなく、のびやかな気持ちで自分なりの夢や目標を育むことができるようになった。

そして、もっと重要なことに、夢の実現をめざして一歩一歩あゆんでいくことができるようになったのだ。

マインドセットをしなやかにするワークショップすでに見てきたとおり、思春期には学校嫌いの子どもがぐんと増える。

できるだけ勉強から離れようとして、どっと逃げだす子どもたちの足音が聞こえてくるようだ。

この時期は、生徒たちが子ども時代最大の試練にさらされる時期であると同時に、自分はどうせこんなものと決めつけてしまいがちな時期でもある。

ちなみに、その原因はたいてい硬直マインドセットにある。

自分はもうダメだと思いこんで逃げだし、意欲も成績もガクンと落ちてしまうのは、硬直マインドセットの生徒たちにほかならない。

数年前から私たちは、こうした生徒たちのためのワークショップを開いてきた。

しなやかマインドセットとは何か、それをどのように勉強に活かせばよいかを教えるワークショップである。

まず、生徒たちに次のように説明する。

人間の脳はまだ神秘に包まれており、知能や脳の働きについてはわかっていないことがたくさんあります。

知能と言うと、人間には頭の良い人、普通の人、悪い人がいて、一生そのままだと思っている人が大勢いますが、最近の研究でそうではないことがわかってきました。

脳は、筋肉と同じく、使えば使うほど性能がアップするのです。

新しいことを学ぶと脳が成長して、頭が良くなっていくことが科学的に証明されています。

それから、学習や経験によって神経回路網に新たな結合が生まれ、脳が「成長」していく様子を話して聞かせる。

新しいことを学ぶと、実際に、このような脳内の微小な結合の数が増え、結びつきも強くなります。

頭を使って勉強すればするほど、脳細胞が成長するので、以前はすごく難しかったことやできるわけがないと思ったことが──外国語を話したり、数学の問題を解いたりすることが──簡単に思えてきます。

それは脳の性能がアップしたからなのです。

ここで、赤ちゃんを引き合いに出す。

「おしゃべりができないからといって、赤ちゃんをあざ笑ったり、この子はバカだなんて言う人はいませんね。

おしゃべりができないのは、まだしゃべり方を知らないからにすぎません」。

そして、生まれて間もない赤ちゃんが、ものに注意を払い、周囲を探索し、物事のやり方を習得していくにつれて、脳の神経細胞の結合が密になっていく様子を記録した写真を生徒たちに見せる。

体験学習や話しあいを含めた一連のセッションで、学習スキルを身につけさせるとともに、しなやかマインドセットの教えを学校の勉強や自宅学習にどう活かせばよいかも教えていく。

生徒たちは脳の話に大いに興味を示し、活発に意見を述べてくれる。

しかし何よりも嬉しいのは、生徒たちの自分に対する見方が変わっていくことだ。

第3章で紹介したジミーには、ワークショップの初回からびっくりさせられた。

まるでやる気のなかった彼が目に涙を浮かべながら「ぼくはバカだと決まったわけじゃないんだね」と言ったのである。

このようなやる気がないと思われている生徒でも、どうにかしたいという気持ちがないわけではないのだ。

どんな人間だって、自分をダメだなんて思いたくはない。

ワークショップではジミーにこう告げた。

「あなたは自分の脳の世話係なのよ。

正しい使い方をすれば、脳の成長を助けてやることができるわ」。

そして、ワークショップを重ねるうちに、ジミーの担任の先生からこんなコメントをいただいた。

頑張って何かをやりとげたことなどなく、宿題をちゃんと出したこともめったになかったジミーが、夜遅くまで何時間もかけて宿題を仕上げてくるようになったのです。

おかげで、私もそれにきちんと目を通して、間違っているところを直してやれるようになりました。

ジミーは今回、宿題でB+を取りました。

今まではCかそれ以下だったのですが。

先生方は、どの生徒が何のワークショップに参加したか知らされていなかった。

にもかかわらず、マインドセットのワークショップに参加しているのはどの子かがだいたいわかり、その子たちの学習意欲や向上心に変化が見られることを指摘した。

*最近、勉強ができるようになろうとして努力する生徒が出てきました。

……Rくんは水準以下の成績で、以前のテストの点数は52点、46点、49点だったのに、最近は67点と71点を取りました。

……自分でも数学を頑張ったと言っています。

*Mさんは水準をはるかに下回る成績でしたが、ここ何週間か、テストで良い成績を取ろうと、昼休みに自分から質問してくるようになりました。

見違えるほどの進歩があり、この前のテストでは84点を取りました。

*KさんとJくんは、学習意欲や実際の行動にポジティブな変化が見られます。

2人とも地道に努力するようになってきました。

*昼休みや放課後に、友だち同士で積極的に教えあうようになった生徒もいます。

NさんやSくんなどは、わからないところを聞くようになってから、合格点が取れるようになりました。

頑張ればできるんだという気持ちが、やる気を生みだしているようです。

ワークショップと生徒の成績との関係を確かめたかった私たちは、学校から許可を得て、生徒たちの学期末の成績を調べた。

特に注目したのは数学。

新しく習う概念が身についたかどうか、もっとも如実に現れるのが数学の成績だからである。

マインドセットのワークショップに参加した生徒たちは、それまでひどかった数学の成績が、ワークショップに参加するようになってから飛躍的にアップしていた。

もう一方のワークショップに参加した生徒たちよりも、明らかに成績が良くなっていたのである。

マインドセットのワークショップは、わずか8回でも、実際に効果があったと言える。

生徒の信念のひとつに修正を加えたことで、脳のパワーが解き放たれ、努力して何かをやりとげようとする意欲が湧いてきたのだろう。

もちろん、この研究に協力していただいた学校には、生徒たちの意欲に応えて労をいとわずに生徒をサポートしてくださる先生方がいらしたことも大きいと思う。

けれども、それを割り引いてもなお、この結果は、マインドセットを変えることで生まれる素晴らしいパワーを証明するものだと言えるだろう。

もう一方のワークショップに参加した生徒たちの成績は横ばい状態のままだった。

学習スキルなどを教える8回の講座を受けたにもかかわらず、まるで進歩が見られなかった。

自分の頭脳に対する考え方を改めることを教わらなかったので、せっかく習ったスキルを実践してみようという気が起こらなかったのだ。

マインドセットのワークショップは参加した生徒たちには、自分の脳は自分で作っていくものなのだという気持ちを植えつけた。

そうして、硬直マインドセットの呪縛から解き放たれたおかげで、ジミーのような子どもたちは、自分の頭脳の力をもっと自由に、そして十分に発揮できるようになったのである。

対話型プログラム「ブレイノロジー」このワークショップの難点は、スタッフにかなりの人数が必要で、多数の生徒を対象に実施するのがむずかしいことだった。

生徒の学習をサポートしていくという重要な任務のある先生方に、ワークショップまで受けもっていただくわけにはいかない。

そこで私たちは、このワークショップを対話型のコンピュータープログラムに組みこみ、それに従って先生方に授業を進めてもらってはどうかと考えた。

そして、教育、メディア、脳科学の専門家の助言を得て開発したのが「ブレイノロジー」プログラムである。

アニメ仕立てになっていて、クリスとダリアという2人の中学1年生が主人公として登場する。

2人とも学校の勉強は今ひとつだ。

ダリアの苦手科目はスペイン語で、クリスは数学。

この2人がちょっと風変わりな脳科学者、セレブラス博士の研究室を訪ねて、脳のしくみやそのケアの仕方についていろいろ教わるという設定である。

どうすれば脳の力を最大限にまで高められるか(十分な睡眠、きちんとした食事、適切な勉強方法など)、また学習によって脳がどれほど成長するかを教わる。

生徒たちは、このプログラムの全編を通して、クリスとダリアが博士の教えを学校の勉強にどう活かすかを見ていく。

また、対話型プログラムを利用して、脳の実験に参加したり、悩みや勉強法が自分と似ている生徒のビデオを見たり、クリスとダリアの学習計画を立てたり、自分の問題点や学習計画を日誌につけたりといったこともできるようになっている。

次に紹介するのは、このプログラムで自分がどれほど変わったかを語る中学1年生たちの声である。

*ブレイノロジーを受けてから、ものごとの見方が変わった。

苦手な科目でもあきらめずにチャレンジするようになった。

……時間をうまく使って、毎日机に向かい、その日に取ったノートを見直すようにしている。

このプログラムに参加したおかげで、脳についていろいろなことがわかって本当に良かった。

*脳の働きについての考え方が変わり、ものごとに取り組む姿勢が変わってきた。

努力すればそれだけ脳の働きが良くなるとわかったので、もっと頑張ろうと思う。

*ブレイノロジーのおかげで成績が上がった。

やるぜ!*ブレイノロジーを受けて、脳のしくみを知り、勉強すると脳にどんなことが起こるかがわかってから、学校の勉強の仕方がすこし変わってきた。

*前よりもよく勉強するようになった。

脳の鍛え方を教えてもらえてよかった。

ニューロンが伸びて結合を増やしている様子を思い浮かべながら勉強している。

先生方によると、以前はまるでやる気のなかった生徒たちが、ブレイノロジーで教わったことを口にするようになったという。

たとえば、短期記憶と長期記憶のこと。

しっかり勉強して何かを覚えると、一時的な記憶(短期記憶)から永久的な記憶(長期記憶)へと移されることを教わった生徒たちは、こんなふうに言いあうようになった。

「これを長期記憶に移さなくちゃ」「しまった、それはまだ長期記憶に入ってないんだ」

先生方によると、生徒たちは神経細胞の結合を確かなものにするために、反復練習したり、ノートを取ったりするようにもなったという。

ある生徒は次のように述べている。

「ブレイノロジー・プログラムにとても助けられた……勉強がいやになったらいつも、そうだ、頑張ればニューロンが成長するんだ、と思うようにしている」先生方にも変化がみられた。

先生方は、生徒たちにどのような効果が現れたかだけでなく、自分自身の考え方がどれだけ深まったかも語ってくれた。

とりわけ、次のようなことを理解する上でブレイノロジーは欠かせないという。

「どんな生徒にも学習は可能だ。

数学が苦手な子も、セルフコントロールできない子も、やればできる」「何かを学ぶには長い時間とたくさんの練習が必要なので、私はもっと忍耐強くならなければいけないと思う」「脳のメカニズムがよく理解できたし、学び方は1人ひとり異なるのだということもわかった。

さまざまな学習スタイルの生徒を相手にする上で、ブレイノロジーはたいへん参考になる」私たちは20校の生徒たちにワークショップを実施した。

生徒たちの中には、初めは何だかよくわからなかったけれど一応参加してみたという子もいる。

「休み時間に面白い漫画をやっているので行ってみた。

話を聞いているうちに、だんだん教わった通りにやるようになっていった」。

最終的には、ほとんど全員が有意義でためになったと感想を述べている。

「変わる」ことを恐れない人間は簡単に変われるものだろうか、それとも、なかなか変われないものだろうか。

今までの話を聞いた限りでは、簡単に変われそうな気がする。

しなやかマインドセットについて学べば、ただそれだけで、困難なことにも粘り強く立ち向かっていけそうに思える。

先日、以前うちの大学院生だった学生が昔の思い出を語ってくれた。

まずはその背景からお話ししよう。

私たちの研究分野の場合、提出する研究論文にはたいてい何年間もの研究成果が凝縮されている。

提出後、何か月かして審査結果を受けとるのだが、それには十数ページにわたって批判がぎっしりと書きこまれている。

しかし、その論文にまだ修正の余地があると編集委員が認めた場合には、すべての批判に応えることができるなら書き直して再提出するように勧められる。

その学生の話を聞いているうちに、私たちの研究分野のトップジャーナルに彼女が論文を提出したときのことが思い出された。

審査結果を受け取った彼女は、あまりのショックに打ちのめされてしまった。

彼女自身が酷評されていたのだ──この研究には欠陥があり、したがってその著者にも欠陥があると。

時がたっても、審査結果を読み返すことも、論文を書き直すこともできずにいた。

そこで私は、彼女のマインドセットを変えようとしてこう言った。

「ねえ、ダメだと言われたのは、あなたではなくて、論文の方よ。

論文を批判するのが編集委員の仕事なんですから。

隅々まであら探しをするのが、彼らの仕事。

批判から学んでより良い論文にするのが、あなたの仕事」。

彼女は数時間で論文を書き直し、今度はすんなり受理された。

彼女はそのときのことを思い返してこう語る。

「あれ以来、自分自身に評価が下されたとは思わなくなりました。

批判を受けたらいつも『それがあの人たちの仕事なのだから』と自分に言い聞かせて、すぐに自分の仕事に取りかかるんです」そうは言ってもやはり、自分を変えるのは容易なことではない。

硬直マインドセットにしがみついているのには、たいていそれなりの理由がある。

人生のある時点までは、それが良い意味での目標になっていたのだ。

自分はどんな人間か、どんな人間になりたいか(頭の良い子とか、才能豊かな子とか)、どうすればそうなれるか(良い成績を取るなど)を示してくれていた。

そして、その通りにすることで自尊心が満たされ、人からの愛情や尊敬が得られていたのである。

自分は価値のある人間だ、人から愛される人間だ──そう思えるのでなければ、子どもは生きてゆけない。

だから、そのことに確信が持てない子どもは、それを得るための短絡ルートを示してくれる、硬直マインドセットに頼るようになる。

1900年代半ばに活躍した心理学者、カレン・ホーナイとカール・ロジャーズは、子どもの情緒発達にかんする理論を提唱した。

彼らによると、両親に受け入れられているという確信が持てない幼児は、強い不安を体験する。

わけのわからない世界にひとりぼっちで放りだされたように感じるのだ。

生まれてまだ数年の幼児には、親を当てにせずに生きていく力などない。

何とかして安心できる方法、親を味方につけられる方法を見つけるほかない。

ホーナイもロジャーズも、子どもはそのための手立てとして、親に好かれそうな別の「自己」を作り上げるのだと考えた。

子ども心に、両親から期待されていると思っている自己、両親に受け入れてもらえると思っている自己をこしらえるのである。

このような手立てはたいてい、その時点での家庭の状況にうまく適応しており、子どもにある程度の安心感と希望を与えてくれる。

問題なのは、そのこしらえようとしている自己──全能で、強くて、良い自己──が硬直マインドセットになりがちなことだ。

だんだんと、そのような固定的な資質を本来の自分であるかのように思いこみ、それを確認することで自尊心を保とうとするようになる。

マインドセットを変えるにはまず、その自己を返上する必要がある。

想像されるとおり、長年、本来の自己だと思っていたもの、自尊心のよりどころとなっていたものを捨て去るのは容易なことではない。

特にたいへんなのは、マインドセットを切り替えることによって、それまでずっと恐れてきたもの──チャレンジ、苦闘、批判、挫折──をすべて受け入れざるをえなくなることだ。

また、自分が自分でなくなるような不安にも襲われる。

自分を野心・活力・個性にあふれる人間のように感じていたのは、硬直マインドセットのせいにすぎなかったことに気づくと、自分が他の人々と何の変わりもない凡庸な人間になってしまうような気がして恐ろしくなるかもしれない。

けれども、成長をめざして自分の可能性を開いていけば、自分が今より大きくなることはあっても、小さくなることはない。

これまで見てきたしなやかマインドセットの科学者、芸術家、アスリート、CEOたちは、完璧にできあがったロボットなどではなく、自分の個性と可能性を最大限まで伸ばした人間であった。

変わろうとしない人たち世の中が悪い硬直マインドセットの人の中には、変わるべきなのは自分ではなく、世の中の方だと思っている人が少なくない。

自分にはもっと上等なもの──上等な仕事、上等な家、上等な配偶者──が与えられていいはずなのに、私の優れた資質を認めてそれに見合った扱いをしてくれない世の中が悪いのだ、と。

次のような状況に置かれた自分を想像してみよう。

苦しい状況──「こんなくだらない仕事をさせられるなんて屈辱的だ」とあなたは憤慨する。

「私ほどの才能のある人間が、こんな仕事をやっていられるか。

私には大物たちと肩を並べて上質の人生を歩む資格があるのに」と。

上司からは態度がなってないと思われている。

責任ある仕事を任せたいとき、あなたには頼まない。

昇進を決めるとき、あなたははずされている。

硬直マインドセットの反応──「上司は私を恐れているのだ」とあなたは苦々しく思う。

硬直マインドセットがあなたにこう語っているからだ。

「私ほどの人間は、もっと高い地位に就いて当然なのに。

才能に見合ったものを与えられていいはずなのに。

そうでないのはおかしい。

なぜ私が変わらなくちゃならないのか。

当然のことを求めているだけではないか」マインドセットをしなやかにして考えてみよう。

何か新しい道が開けてくるのではないだろうか。

どんなことを心がけながら仕事し、何を学び、どのように行

動したらよいかが見えてくるのではないだろうか?たとえば、もっと熱心に働いて、職場の人たちの役に立とうとか、地位の低さを嘆いている暇があったら、自分に与えられた仕事についてもっと勉強しようとか。

しなやかマインドセットのステップ──まず最初にはっきりさせておこう。

あなたがずっと恐れてきたのは、自分が他の人たちよりも優れているとは思えなくなること。

ありきたりの凡庸な人間になんてなりたくない、あなたが見下している人たちと同レベルの人間になるなんて絶対にいやだ、そう思ってきた。

しかし、秀でた人びとというのは、惜しみない努力を傾けるからこそ秀でているのだ、ということがあなたにもわかってくる。

そして少しずつだが、頑張ってものごとに取り組み、それに見合った成果が得られるかどうかを試してみるようになる。

けれども、欲しいのはやはり成果だ。

努力しなければはじまらない、ということはだんだん認められるようになるが、その努力が報われる保証はない、というのはやはり受け入れがたい。

一生懸命に仕事に取り組んでいるのに、それでも自分の思い通りにはならないなんて、そんな屈辱的なことはもうたくさん。

あまりに理不尽だ。

こんなに頑張っているのに、昇進するのはやはり別のやつだなんて。

やってられるか。

長い時間をかけてようやく、努力することそのものを楽しめるようになり、長い時間をかけてようやく、学習という視点に立ってものごとを考えられるようになる。

会社組織の底辺で働くことが屈辱ではなくなり、下積みのうちに、上に立ったときに役立つ体験をたくさん得ておこうと思えるようになる。

現場をよく知ることは、将来、大きな強みとなるかもしれない。

それまで、自分の希望を通すためにしか仕事仲間と話しあったことのなかったあなたが、仲間との語らいを通じて、どうすれば人間関係をうまく育んでいけるか、どうすれば相手の価値観に沿って相手の成長を助けられるかを考えるようになる。

そして、そこに新たな喜びを見出せるようになる。

マインドセットがしなやかになるにつれて、意外なことが起こりはじめる。

まわりの人々があなたを助け、応援してくれるようになるのだ。

もう、まわりから敵視され、正当に評価してもらえないということはない。

ますます、共通の目標に向かって協力しあえるようになっていく。

まわりの反応を変えたいという願いが、自分自身のマインドセットをしなやかにすることでかなえられたのである。

結局、多くの硬直マインドセットの人が気づくのは、自分を特別な存在だと思っていたのはじつは単なる鎧──自分は強くて有能なのだと安心するためにこしらえた鎧──にすぎなかったのだということ。

たしかに初めのうちは、その鎧が自分を守ってくれるかもしれない。

けれども、そのうちに、鎧のせいで成長を阻まれ、自己防衛の闘いにかりだされ、喜びを分かちあう人間関係を築けなくなってしまう。

問題の否認──私の人生は完璧だ硬直マインドセットの人は、問題があっても直視せずに逃げてしまうことが多い。

生活上のトラブルは、自分自身に欠陥がある証拠。

すべて順調だと思っていれば、苦しまずにすむからである。

次のような状況に置かれた場合を考えてみよう。

苦しい状況──あなたは一見、すべてを手に入れたように見える。

やりがいのある仕事、愛情に満ちた結婚生活、優秀な子どもと温かい友人たち──しかし、そのうちのひとつは幻想だ。

あなたは気づいていないが、じつは結婚生活は破局の危機にある。

その徴候がなかったわけではないのに、目を背けてきたのだ。

「男の役割」と「女の役割」について自分の考えを通すことしか頭にないあなたは、話しあいながら分担してやっていきたいというパートナーの声に耳を貸さなかった。

やっと目が覚めて過ちに気づいたときにはもう手遅れ。

パートナーの心は離れてしまっていた。

硬直マインドセットの反応──あなたはこれまでずっと、離婚した人や相手に見放された人を哀れな人間だと思ってきた。

けれども今では自分もその一員。

自尊心がずたずたになる。

あなたのことをいちばんよく知っているパートナーからそっぽを向かれたのだから。

もう自分はやっていけそうにない。

子どもたちだって自分がいない方がいいに決まっている。

そう思いながら何か月間も悶々と過ごす。

そのうちにようやく、自分にだって何かしら取り柄があると思えるようになる。

ちょっと希望が湧いてくる。

けれども、そこからが問題。

少しばかり自信を取り戻しても、依然として硬直マインドセットのままなので、すぐにまた、ものごとを白か黒かで判断しはじめる。

ものごとが順調にいくと「やっぱり自分は間違っていない」と思い、うまくいかなくなると一転して「妻が正しかったのだ」と思いはじめる。

初対面の相手に対してもかならず、自分の味方かそうでないかで黒白をつけようとしてしまう。

結婚生活や自分自身、そして自分の人生を、しなやかマインドセットの視点から考え直すにはどうすればよいのだろう。

パートナーの声に耳を傾けるのが恐かったのはなぜだろう。

あなたはどうすればよかったのだろう。

これからどうしたらよいのだろう。

しなやかマインドセットのステップ──まずはっきりさせておきたいのだが、うまくいっていると思っていた結婚生活がいきなり破局を迎えたわけではない。

人間関係を育む努力を怠っていたために、少しずつ栄養不足に陥っていったのである。

何がいけなかったのか、自分とパートナーの両方を振り返ってみる必要があるが、特によく考えてみなければいけないのは、もっと親密にかかわって人生を共有したいというパートナーの願いに、なぜ耳を傾けられなかったのかという点である。

理由を探っているうちにだんだんとわかってくる。

硬直マインドセットのあなたは、パートナーの要求を自分に対する非難と受けとめたのだ。

だから、耳をふさぎたくなってしまった。

それからもうひとつ、相手が求めているような親密な関係を築いていく自信がなかったということもある。

それで、じっくり話しあうことを避けて、そのうち忘れてくれるだろうと期待しながら無視していたのだ。

人間関係がぎくしゃくしてきたら、とにかく、こうしたことをじっくりと検討する必要がある。

それは、うまくいかなかった自分たちを裁くためではない。

お互いの不安を克服しながら、今後、より良い関係を築き、維持していくのに必要なコミュニケーションスキルを学ぶためなのだ。

結局のところ、しなやかなマインドセットは、人を裁いて苦しめるのではなく、私たちに新たな理解とスキルをもたらしてくれる。

まわりのだれかが訴えかけていることに、あなたは耳を閉ざしていないだろうか。

マインドセットをしなやかにして、もう一度耳を傾けてみよう。

わが子のマインドセットをしなやかにしよう子どもは大事なたからもの。

なのに、マインドセットがこちこちに硬直している子どもが少なくない。

わが子のマインドセットをしなやかにするにはどうすればよいのだろうか。

いくつか例を見ていこう。

まだ幼いのに硬直マインドセットの子子どものマインドセットがこちこちになるとしても、たいていはかなり大きくなってからなのだが、中にはごく幼いうちからそうなってしまう子もいる。

困った問題──ある日、幼い息子が学校から帰ってくるなり、こんなことを言いだした。

「学校には頭のいい子と悪い子がいるんだ」。

あなたはあぜんとし、学

校に文句を言わなくてはと思いながら「だれにそんなことを教わったの」と尋ねる。

すると「自分で発見したのさ」と得意げな答え。

文字の読み書きや大きな数の足し算ができる子もいれば、できない子もいるのを見てそう思ったらしい。

もうすっかりそう信じこんでいる。

あなたの息子はどう見ても、早発性の硬直マインドセットである。

まもなくそれが全開するにちがいない。

こつこつ努力するのを嫌い、自分の切れる頭にさっさと処理させようとするようになる。

たいがい、彼の頭はそれができてしまう。

あっという間にチェスを覚えてしまった息子を見て、父親は、幼いチェス・チャンピオンの映画『ボビー・フィッシャーを探して』を借りてくる。

何か刺激になってくれればという思いからだ。

ところが、その映画を見て息子が学んだのは、「自分も負けるかもしれない。

そうしたら、もうチャンピオンではなくなる」ということ。

それでチェスを止めてしまう。

「ぼくはチェスのチャンピオンなんだ」とみんなに吹聴するばかりで、絶対にプレイしようとしないチャンピオン。

学校から帰ると、「ぼくにはできたけど、他の子にはできなかったんだ」なんてことばかり言っている。

両親が2人して「その子たちは頭が悪いわけじゃなくて、練習が足りないだけなのよ」と言っても信じようとしない。

学校でしっかり観察してきて、家で報告する。

「先生に教わったばかりのことでも、ぼくはみんなよりよくできるんだ。

練習なんてする必要ないよ」この子のもっぱらの関心は、自分の頭脳をほめそやすことで、頭脳を成長させようという気はさらさらない。

あなたがた夫婦はこれまでずっと、大切なのは頭の良し悪しではなく、練習や学習なのだと教えてきたはずなのに、まるで信じようとしない。

どうすればいいのだろう。

それをわからせる方法が何かほかにあるのだろうか。

しなやかマインドセットのステップ──硬直マインドセットになってはいけないと口で言うよりも、親みずからがしなやかマインドセットのお手本を示すことにする。

毎晩、夕食の席で、あなたがたは子どもたちに(または夫婦同士で)こんな質問をする。

「今日はどんなことを学んだ?」「何か勉強になるような失敗をした?」「今日はどんなことを努力した?」それぞれの質問に対し、あなたも含めて1人ずつ順番に話していく。

どんなやり方で、どんな努力をしたか、どんな失敗をして、そこから何を学んだか。

昨日までできなかったのに、練習して今日はできるようになったことを話して聞かせる。

失敗しても挫けずに、それを逆手にとって成功に結びつけた話をミステリー仕立てで話してみる。

今、頑張って少しずつ進歩していることがらについて、面白そうに話して聞かせる。

するとまもなく、子どもたちは毎晩、待ちきれないように自分のことをしゃべるようになる。

そうしたら「へえー、今日は昨日よりも確実に進歩したのね!」と驚いてみせる。

学校の勉強やスポーツのことに限らず、友だちと仲良くなる方法がわかったとか、相手のことを理解して助けるにはどうすればよいかが少しずつわかってきたとか、そういうこともどんどん話すようにさせる。

知的能力や運動能力だけに親の関心が向いているわけではないことを伝えたいからだ。

長いこと、マインドセットがこちこちだったあなたの息子。

自分は生まれつき特別なのだから何もしなくていいんだと思いたがる。

毎日こつこつ努力を重ねて、知識や技能を習得していかなければならないなんて、そんな厄介なことは大嫌い。

スターなんだもの。

けれども、家族の価値観がしなやかな方向に向かうにつれて、自分もそれに加わりたがるようになる。

初めは口ばかりだが、やがて(尻込みしつつ)行動するようになり、しまいにはマインドセットの見張り役になる。

家族のだれかが硬直した考え方にはまりそうになると、すかさずそれを捕らえて、やったぜという顔をする。

「油断できないわね」と夫婦で笑うことになる。

硬直マインドセットの誘惑は力強い。

今のままそこにじっとしていれば、一生、自分の価値と成功と賞賛が保証されるような錯覚を子どもに与えてしまう。

だから、硬直マインドセットが根を張っているところに、しなやかマインドセットを植えつけるのは容易なことではないのである。

がむしゃらに頑張る子ちっとも努力しない子だけが問題なのではない。

頑張りすぎる子や、間違った目的のために頑張りすぎる子もやはり問題をかかえている。

よく見かけるのが、毎晩深夜まで勉強している子や、クラスメートに差をつけたくて家庭教師についている子。

このような子どもたちは、一生懸命に勉強してはいるが、マインドセットがしなやかでない子の典型と言える。

学ぶことが好きなのではなく、自分の能力を親に証明しようとしている場合が多い。

そして、親の方も、こうしたがむしゃらな努力の成果──優秀な成績や表彰歴、トップ校への合格──に満足していたりする。

次のような場合、あなたならどうするだろうか。

困った問題──あなたの自慢の娘は、クラスのトップで、成績はオールA。

フルートも上手で、有名な先生のレッスンを受けている。

あなたは、娘が町でいちばんの名門私立高校に合格すると信じている。

ところが、毎朝登校前になると胃の調子がおかしくなり、中学を休んでしまう日も出てきた。

なるべく胃にやさしいものを食べさせるようにしているのに良くならない。

じつは、神経が参っているのだが、あなたにはそんなことは思いもよらない。

胃潰瘍と診断されたときに気づくべきだったのに、あなたもパートナーも消化器の問題だと思いこんだまま。

ところが、医者から家族カウンセリングを受けるようにと強く勧められる。

娘さんの治療にはそれがどうしても必要です、と言われて、カウンセラーの名刺を渡される。

硬直マインドセットの反応──カウンセラーから「娘さんをあまり追いつめないように。

がむしゃらに勉強しなくてもいいのだということを理解させて、十分に睡眠をとらせなさい」とアドバイスを受ける。

カウンセラーの指示に忠実なあなたは、毎晩10時には必ず床に就くようにさせる。

だが、事態はかえって悪くなるばかり。

ますます時間が足りなくなって、娘は自分に期待されていることをこなしきれずに苦しむようになる。

カウンセラーにいろいろアドバイスされるが、あなたにはどうしても吞みこめない。

クラスでいちばんじゃなくてもいい、フルートが少々へたでもいい、志望校のランクを落としてもいいのではと言われて、あなたは思う。

そんなこと、娘のためになるわけがないじゃないの。

カウンセラーは、このケースは一筋縄ではいかないことに気づく。

カウンセラーの目標は、まず第1に、問題の深刻さを親であるあなたによく理解させること。

第2に、その問題に対してあなたがどんな役割を果たしているかを理解させることだ。

何もかも完璧であってほしいという親の期待が問題を引き起こしていることに、あなたがた夫婦は気づく必要がある。

親に認めてもらえなくなるのではという不安におびえていなければ、娘はぼろぼろになるまで自分を追い込んだりはしなかっただろう。

そしてカウンセラーの第3の目標は、家族全員でこの問題にどう取り組んでいくか、今後の具体的なプランを立てることである。

娘をマインドセットのしなやかな子にするためには、そして、気持ちを楽にもって、生きることに喜びを感じられる子どもにするためには、具体的にどんな手助けをすればよいのだろう。

しなやかマインドセットのステップ──カウンセラーから、娘が自分のしていることに喜びを感じられるようになるためのプランを示される。

フルートのレッスンに通うのは一時中止にする。

娘には「純粋に音楽を楽しむためだけに、無理のない範囲で練習しなさい」と伝える。

学校の勉強も、何から何までめいっぱい頭につめこむのではなく、そこから何かを学び取ることを目標にさせる。

カウンセラーから紹介された家庭教師が、理解を深めるための勉強法を教えてくれる。

その家庭教師の先生とディスカッションしていると、学ぶことが面白く、楽しくなってくる。

勉強するってこういうことだったのか。

以前は、ひたすら良い点を取って、自分の優秀さと価値を両親に証明するために勉強していた。

けれどもしだいに、学んで得た知識をもとにして、さまざまな角度からものごとを考えるために勉強するようになってくる。

学校の先生方にも協力を求めて、娘のマインドセットをしなやかな方向に導いてもらう。

テストの結果よりも学習プロセスを話題にしてくれるように頼む(たとえば、「比喩の使い方がよくわかったようね」「インカの人々について本当によく調べたわ。

レポートを読んでいると、古代のペルーに来たみたいよ」)。

あなたもそういう語りかけ方をするように教わる。

最後に、娘の進学先を、今ねらっているところよりも楽に入れる高校にするようにと、カウンセラーから強く勧められる。

成績やテストの点数よりも、学ぶことに重きを置いている優れた学校はまだほかにもいろいろある。

娘を連れてそうした学校を1つひとつまわってみた上で、本人がもっとも興味をそそられ、いちばんなじめたのはどの学校か、カウンセラーを交えて親子で話しあう。

あなたはしだいに、自分の要望や期待と娘の希望とを切り離して考えられるようになる。

あなたはすべてにナンバーワンの娘を望んでいたかもしれない。

だが、娘が望んでいたのはもっと別のことだった。

両親に自分を受け入れてもらい、自由な成長を見守ってほしいと願っていたのだ。

そのようにしてやると、娘は本心からものごとに取り組むようになる。

自分が興味を持ったことをもっと深く学ぶために努力するようになる。

子どもは何か言いたくても、親が耳をふさぎたがっていれば口をつぐんでしまう。

こんな広告がある。

「わが子が今どこにいるかわかりますか?」わが子が──言葉や行動で──伝えようとしていることに耳を閉ざしてしまうと、わが子の居場所がわからなくなってしまう。

マインドセットをしなやかにして、しっかり耳を傾けよう。

怒りのコントロール怒りをうまくコントロールできなくて悩んでいる人も多い。

ちょっとしたことで怒りを爆発させ、言いたい放題のことを言ってしまう。

そして毎回のように、もう今度からはこんなことを言うまいと心に誓ったりする。

夫婦の間でも、子どもとの間でも、怒りをコントロールするのはなかなかむずかしい。

売り言葉に買い言葉で、怒りが怒りを呼ぶからである。

次の場合を考えてみよう。

困った問題──あなたは、根はやさしくて思いやりもある。

パートナーを愛しているし、結婚して良かったと思っている。

けれども、2人で決めたルールを守ってくれないときは別だ。

ゴミがあふれるまで相手がゴミ出しをさぼっていたりすると、裏切られたような気がして、相手をなじりはじめる。

「何度も言ってるのに」にはじまって、「何ひとつちゃんとやってくれたことがないんだから」。

それでも反省の色が見えないと、かっとなって、相手の頭を疑い(「ゴミ出しの日も覚えていられないわけ」)、人格を否定しにかかる(「まったく無責任なんだから」「自分のことしか頭にないんでしょ」)。

怒りで煮えくりかえったあなたは、思いつくことを片っ端から口にする。

「うちの父だってあなたを信用していなかったんですからね」「部長の言ったとおりだわ、あなたには限界があるって」。

相手はもう、まくしたてるあなたに言わせておくほかなくなる。

硬直マインドセットの反応──怒るのが当然だと思っていたあなたも、やがて、言い過ぎてしまったことに気づく。

ふと、これまで助けてもらった数々のことが思い出されて、ものすごく申し訳ない気持ちになる。

いつも感謝しているのに、ついかっとなって言ってしまったのだ。

「今度からは絶対に気をつけよう」とあなたは肝に銘じる。

しかし、漠然とそう心に決めただけで、今度、頭に血が上ったときにどう対処するかは何も考えていない。

だから、また同じことを繰り返してしまう。

マインドセットと意志力しなやかなマインドセットでダイエットや怒りのコントロールをしようとする人たちは、成功のツボを心得ている。

効果的な戦略を学んで、それを実行する必要があることを知っているのである。

化学履修コースのしなやかマインドセットの医学生たちもそうだった。

彼らは効果的な勉強法を工夫して、念入りに学習プランを立て、意欲の維持と向上に努めていた。

つまり、よい結果を得るためにあらゆる手を尽くしていたのだ。

しなやかマインドセットの人は、「年頭の決意」を述べてあとは成り行き任せ、なんてことはしない。

ダイエットを成功させるには、それなりの工夫が必要なことをよく知っているからだ。

家の中にお菓子を置かないようにするとか、レストランで注文するものをあらかじめ考えておくとか、週に一度だけ好きなものを食べてよいことにするとか、体をもっと動かす生活に変えるとか。

そして、成果を維持する方法もしっかり考える。

努力の成果を水の泡にしないためには、どのような生活習慣を身につけたらよいだろうか、と。

それでも、失敗するときは失敗する。

しなやかマインドセットの人はそのことを百も承知だ。

だから、失敗しても自分を責めたりせずにこう考える。

「この失敗から何を学べるだろうか。

この教訓を次のときにどう活かそうか」。

そうやって少しずつ進歩していけばいいのであって、自分を審判にかける必要はない。

最後の事例の場合、こみあげてきた怒りの感情をどうすればよかったのだろう。

まず、あなたはなぜ、あれほど憤慨したのかを考えてみよう。

自分がないがしろにされているように感じたからではないだろうか。

パートナーが約束を守らずに仕事をさぼると、「おまえなんかの言うことにいちいち煩わされてたまるか」と言われているような気がしたのだ。

そこで、あなたはまず、怒って相手の義務を思い出させ、それから、たたみかけるようにいやみを言った。

「自分の方が偉いと思ってるのね。

好きにしたらいいわ」相手は、君をないがしろになんかしてないさとは言わずに、ガミガミ攻撃に備えてじっと身構えてしまった。

それを見たあなたは、返事をしないのはやっぱり自分の方が上だと思っている証拠なのだと受け取り、怒りをますますエスカレートさせたのである。

こんなときはどうすればいいのだろう。

重要なポイントがいくつかある。

まず、相手はなぜ、あなたが怒るのかが理解できていない。

だから、何か腹の立つことがあったら、感情的にならずにその理由を説明する必要がある。

「あなたにそんなふうにされると、なぜだか、自分がないがしろにされているような気がするの。

私にとっては重要なことなのに、そんなことどうでもいいだろって言われているみたいで」そうすれば、相手も「ないがしろになんかしてないよ」と答えられるし、これからはもっと注意してくれるようになる(「冗談じゃないわ、うちの場合はそんなことしてもムダよ」という声が聞こえてきそうだが、とにかく率直に頼めばいいのだ。

「ないがしろになんかしていないと言って。

これからはもっと注意すると言って」というふうに)。

怒りが爆発しそうになったら、いったん部屋から出て、まず、言いたい放題のことを書き、それから、なるべく客観的な状況を書いてみる(「ぼくにとってこれがどれほど重要なことか、彼女は理解していないのだ」「私が怒りだしたらどうすればいいか、彼はわかっていないのだ」など)。

そして、怒りがおさまって落ち着いてから、部屋に戻るようにする。

ルールをきちんと守ってくれなくても、おおらかな気持ちでいられるようになることも大切だろう。

2人で決めたルールは、相手が自分を尊重しているかどうかを試すテストではないのだから。

気持ちにだんだんゆとりが出てくると、靴下が脱ぎっぱなしだったり、ゴミの分別がでたらめだったりしても、「これは何でしょうかね」と澄まし顔で言えるようになる。

そのうち、笑ってすませられるようになるかもしれない。

意志力が弱いからダメ、人間性に問題があるからダメ、と決めつけてしまうのは硬直マインドセットのしわざなのだ。

マインドセットをしなやかにして、セルフコントロールの方法をいろいろと工夫してみよう。

しなやかマインドセットの人は、失敗したらもうおしまい、なんて考えない。

失敗は、あなたが可能性を秘めた未完成品の証であり、これから伸びていくための手掛かりでもあるのだ。

逆戻りは禁物マインドセットを変えようとする目的は、人によってさまざまだろう。

キャリアを伸ばしたい、喪失の痛手から立ち直りたい、子どもの能力を伸ばしたい、ダ

イエットを成功させたい、怒りをコントロールしたい等々。

いずれにしても、せっかくの変化を逆戻りさせないようにすることが大切だ。

残念なことに、問題が改善されたとたんに努力を止めてしまう人が多い。

それは、薬のおかげで気分が良くなったとたんに薬を止めてしまうようなものである。

変化はそうすんなりとは進まない。

体重が減っても、悩みはいろいろ残っているし、わが子が勉強好きになっても、ずっと安心してはいられない。

パートナーとのコミュニケーションが良好になっても、諍いがなくなるわけではない。

せっかくの変化を逆戻りさせないための努力を怠れば、瞬く間に元の状態に戻ってしまう。

マインドセットを変えるには、小手先だけのテクニックではダメだ。

それどころか、根はまだ硬直マインドセットなのに、うわべだけしなやかに見せかけたりすると、かえってまずい結果を招くこともある。

硬直マインドセットの父親、ウェズは息子のミッキーに手を焼いていた。

毎晩、くたくたに疲れて仕事から帰ってくるのに、ミッキーは全然協力してくれない。

静かな時間がほしいのにミッキーは騒いでばかり。

注意してもまるで意に介さない。

なんてわがままなんだ、父さんの言うことが聞けないのか──結局、声を張り上げることになり、いつもミッキーがお仕置きされて終わる。

もう何でもやってみるしかないと思ったウェズは、しなやか流の戦略を試してみた。

ミッキーが協力してくれたときは、ミッキーの努力ややり方をほめるようにしたのだ。

すると、ミッキーの態度はみるみる変化していった。

ところが、ミッキーに変化が見られるやいなや、ウェズはその戦略を止めてしまった。

期待どおりになったので、その成果がずっと続くと思ったのである。

ミッキーが良い子にしないと、ウェズは以前にも増して激しく怒り、厳しい罰を与えた。

ミッキーはいったん良い子になれるところを見せたものの、もう絶対にそうはしなくなってしまった。

同じようなことが、コミュニケーションに気を配りはじめた硬直マインドセットの夫婦にもよく起こる。

マーレンとスコットは口論の絶えない夫婦。

「後片づけくらい自分でしたらどうなの」「きみがそんなにガミガミ言わなきゃやるさ」「あなたがやるべきことをちゃんとやってくれれば、言わなくてすむのよ」「ぼくがやるべきことを、なぜきみに決められなくちゃならないんだ」カウンセリングを受けるようになってから、2人は非難しあうのを止めて、相手がしてくれたことに感謝で報いるようになった。

愛情や心づかいを示せば報われる──2人はそう思うようになった。

ところが、いったん改めてから、またもとに戻ってしまったのである。

硬直マインドセットの2人には、努力なんて不要。

りっぱな人は、努力しなくてもりっぱにふるまえるし、相性がよければ、努力しなくてもうまくいくはずなのだから。

ふたたびはじまった口論は、期待を裏切られた分だけ、いっそう凄まじいものになった。

人のマインドセットは、小手先のテクニックで変えられるようなものではない。

マインドセットが変化するということは、ものごとの見方が根底から変化することなのだ。

マインドセットがしなやかになると、夫婦、コーチとアスリート、上司と部下、親子、教師と生徒といった人間関係のあり方が変わってくる。

評価する者と評価を下される者という関係から、学ぶ者と学びを助ける者という関係に変わってくるのである。

そして、成長という共通の目標をめざすようになるが、成長するためには十分な時間と努力と支えあいがどうしても欠かせない。

自分も学びつつ、学ぶ人を応援する自分が成長するチャンスも、大切な人の成長をうながすチャンスも日々の暮らしの中にある。

どうすればそのようなチャンスを逃さないように心がけていられるだろうか。

毎朝、1日がスタートするとき、自分にこう問いかけよう(紙に書いて鏡に貼っておくとよい)。

今日は、私にとって、周囲の人にとって、どんな学習と成長のチャンスがあるだろうか?そしてチャンスを見つけたら、それを実行する計画を立て、次のように問いかける。

いつ、どこで、どのように実行しようか?いつ、どこで、どのようにと考えることで計画が具体的なものになる。

どうすればうまく実行できるか、順を追って思い描いてみるとよい。

当然、障害には突き当たる。

失敗したら、計画を立て直して、次のように問いかけよう。

いつ、どこで、どのように新たな計画を実行しようか?どんなに落ちこんでいても、行動に移すことが肝心!(これも鏡に貼っておこう)そして、うまくいったら、次のように自問するのを忘れないこと。

逆戻りせずに進歩を続けていくためには、どんなことをする必要があるだろうか?偉大な野球選手、アレックス・ロドリゲスが言うように、「上り坂か、下り坂か、道はふたつにひとつ」。

どちらの道を行くかは、あなた次第なのだ。

未来に向かってマインドセットを変えるのは容易なことではないが、変えたのに意味がなかったと言った人はこれまでひとりもいない。

つらい目に遭った人が、それも人生のこやしになったと語るように、自分を納得させているだけなのかもしれない。

しかし、実際に変化を体験した人は、人生がどれほど素晴らしいものになったかを語って聞かせてくれる。

以前のままでいたら、こんなことは成し得なかっただろうし、このような感じ方もできなかっただろう、と。

私自身は、しなやかマインドセットに変わったことで、問題がすべて解決したのだろうか。

そんなことはない。

けれども、そのおかげで人生の質が変わったのがわかる。

以前よりも豊かな人生を送れるようになった。

失敗を恐れずに、生き生きと、素直に生きられるようになったのだ。

あなたが今、変わるべきときなのかどうか、それを判断するのはあなた自身だ。

変わるべきなのかもしれないし、そうではないのかもしれない。

いずれにしても、しなやかマインドセットのことをぜひ心に留めておいてほしい。

そして、何か障害に突き当たったときには、それを頼りにするとよい。

しなやかマインドセットはどんなときにもあなたのそばにいて、これから進むべき道を指し示してくれるはずだ。

推奨図書一覧Beck,AaronT.LoveisNeverEnough.NewYork:Harper&ROW,1988.──.PrisonersofHate.NewYork:HarperCollins,1999.Beck,JudithS.CognitiveTherapy:Basicsandbeyond.NewYork:GuilfordPress,1995.[邦訳『認知療法実践ガイド基礎から応用まで:ジュディス・ベックの認知療法テキスト』ジュディス・S・ベック著、伊藤絵美・神村栄一・藤澤大介訳(星和書店)2004]Bennis,Warren,OnBecomingaLeader,Cambridge,MA:PerseusPublishing,1989/2003.[邦訳『リーダーになる』ウォレン・ベニス著、伊東奈美子訳(海と月社)2008]Binet,Alfred(SuzanneHeisler,trans.)ModernIdeasAboutChildren.MenloPark,CA:SuzanneHeisler,1975(originalwork,1909).[邦訳『新しい児童観(世界教育学選集〈第20〉)』アルフレッド・ビネー著、波多野完治訳(明治図書出版社)1961絶版]Bloom,BenjaminS.DevelopingTalentinYoungPeople.NewYork:BallantineBooks,1985.Collins,Jim.GoodtoGreat:WhySomeCompaniesMaketheLeap…AndOthersDon’t.NewYork:HarperCollins,2001.[邦訳『ビジョナリー・カンパニー2──飛躍の法則』ジム・コリンズ著、山岡洋一訳(日経BP社)2001]Collins,Marva,andCiviaTamarkin.MarvaCollins’Way:ReturningtoExcellenceinEducation,LosAngeles:JeremyTarcher,1982/1990.Csikszentmihalyi,Mihaly.Flow:ThePsychologyofOptimalExperience.NewYork:Harper&ROW,1990.[邦訳『フロー体験喜びの現象学』M.チクセントミハイ著、今村浩明訳(世界思潮社)1996]Davis,Stan.SchoolsWhereEveryoneBelongs:PracticalStrategiesforReducingBullying.Wayne,ME:StopBullyingNow,2003.Edwards,Betty.TheNewDrawingontheRightsideoftheBrain.NewYork:Tarcher/Putnam,1979/1999.Ellis,Albert.ReasonandEmotioninPsychotherapy.Secaucus,NJ:Citadel,1962.[邦題『理性感情行動療法』アルバート・エリス著、野口京子訳(金子書房)1999]Ginott,HaimG.BetweenParent&Child.NewYork:AvonBooks,1956.[邦題『子どもの話にどんな返事をしてますか?─親がこう答えれば、子どもは自分で考えはじめる』ハイム・G・ギノット著、菅靖彦訳(草思社)2005]──.BetweenParent&Teenager.邦題『子どもに言った言葉は必ず親に返ってくる─思春期の子が素直になる話し方』ハイム・G・ギノット著、菅靖彦訳(草思社)2006──.TeacherandChild.Goleman,Daniel.EmotionalIntelligence:WhyItCanMatterMorethanIQ.NewYork:Bantam,1995.[邦題『EQこころの知能指数文庫』ダニエル・ゴールマン著、土屋京子訳(講談社+α文庫)1998]Gottman,John,withNanSilver.WhyMarriagesSucceedorFail.NewYork:Fireside/Simon&Schuster,1994.Gould,StephenJ.TheMismeasureofMan.NewYork:Norton,I981.[邦題『人間の測りまちがい─差別の科学史』スティーヴン・J.グールド著、鈴木善次・森脇靖子訳(河出書房新社)1998]Holt,John.HowChildrenFail.NewYork:AddisonWesley,1964/1982.[邦題『教室の戦略─子どもたちはどうして落ちこぼれるか』ジョン・コールドウェル・ホルト著、大沼安史訳(一光社)1987絶版]Hyatt,Carole,andLindaGottlieb.WhenSmartPeopleFail.NewYork:PenguinBooks,1987/1993.Janis,Irving.Groupthink,2nded.Boston:HoughtonMifflin,1972/1982.Lewis,Michael.Moneyball:TheArtofWinninganUnfairGame.NewYork:Norton,2005.[邦題『マネー・ボール〔完全版〕』マイケル・ルイス著、中山宥訳(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)2013]──.Coach:LessonsontheGameofLife.NewYork:Norton,2003.[邦題『コーチ』マイケル・ルイス著、中山宥訳(ランダムハウス講談社)2005絶版]McCall,MorganW.HighFlyers:DevelopingtheNextGenerationofLeaders.Boston:HarvardBusinessSchoolPress,1998.[邦題『ハイ・フライヤー─次世代リーダーの育成法』モーガン・マッコール著、金井壽宏・リクルートワークス研究所訳(プレジデント社)2002]McLean,Bethany,andPeterElkind.SmartestGuysintheRoom:TheAmazingRiseandScandalousFallofEnron.NewYork:PenguinGroup,2003.Olweus,Dan.BullyingatSchool.Malden,MA:Blackwell,1993.Reeve,Christopher,NothingIsImpossible:ReflectionsonaNewLife.NewYork,RandomHouse,2002.[邦題『あなたは生きているだけで意味がある』クリストファー・リーヴ著、東本貢司(PHP研究所)2003]Sand,BarbaraL.TeachingGenius:DorothyDeLayandtheMakingofaMusician.Portland,OR:AmadeusPress,2000.Seligman,MartinE.P.LearnedOptimism:HowtoChangeYourMindandYourLife.NewYork:Knopf,1991.[邦題『オプティミストはなぜ成功するか[新装版]』マーティン・セリグマン著、山村宣子訳(パンローリング)2013]Tharp,Twyla.TheCreativeHabit:LearnItandUseItforLife.NewYork:Simon&Schuster,2003.[邦題『クリエイティブな習慣─右脳を鍛える32のエクササイズ』トワイラ・サープ著、杉田晶子訳(白水社)2007]Wetzler,Scott.IsItYouorIsItMe?:WhyCouplesPlaytheBlameGame.NewYork:HarperCollins,1998.Wooden,John,withSteveJamison.Wooden:ALifetimeofObservationsandReflectionsOnandOfftheCourt.Lincolnwood,IL:ContemporaryBooks,1997.[邦題『元祖プロ・コーチが教える育てる技術』ジョン・ウッデン、スティーブ・ジェイミソン著、弓場隆訳(ディスカヴァー・トゥエンティワン)2014]

著者略歴────キャロル・S・ドゥエックCarolS.Dweck,Ph.D.スタンフォード大学心理学教授。

パーソナリティ、社会心理学、発達心理学における世界的な権威。

イエール大学で心理学博士号(Ph.D.)を取得後、コロンビア大学、ハーバード大学で教鞭を執り、現在に至る。

人間の思考様式への関心は30年来で、モチベーション、人間関係、メンタルヘルスにかんする研究で大きな業績をあげてきた。

訳者略歴────今西康子いまにし・やすこ神奈川県生まれ。

訳書に『ミミズの話』『ウィルス・プラネット』(いずれも飛鳥新社)、共訳書に『眼の誕生──カンブリア紀大進化の謎を解く』(草思社)などがある。

マインドセット「やればできる!」の研究2016©Soshisha2016年1月21日第1刷発行2016年5月18日電子版発行著者キャロル・S・ドゥエック訳者今西康子装幀者永井亜矢子(陽々舎)本文組版株式会社キャップス発行者藤田博発行所株式会社草思社〒1600022東京都新宿区新宿5315電話営業03(4580)7676編集03(4580)7680http://www.soshisha.com/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次