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第7章計―――成功のための第六のステップ体系的な行動計画を立てる

目次

実践的な計画作りに必要な四つの原則

人間が何かを作り出したり、成し遂げたりするのは、初めに目標や願望があったからである。

願望は抽象的なものから、想像力の働きによって次第に具体的な形に発展し、その変遷のための計画が作り出され、組み合わされて達成されるのである。

※願望は抽象的なところから始まり、徐々に想像力によって次第に具体的な形に発展し、具体的な計画が作り出され、達成されるもの。

本書の第2章(一一五ページ)()で、願望を達成するための六つのステップを紹介したが、その中で、「願望実現のための詳細な計画を立てる」という項目があったことを思い出していただきたい。

そこでこの章では、実践的な計画作りに必要な四つの原則について話そうと思う。それは、次のとおりである。

一、世のためになることや何か

事業を興すためにあなたの計画を実行するにあたって、必要な人材をできるだけ多く集め、グループを作ること。私はこれを「マスターマインド」と呼んでいる。

このことは第10章で詳しく説明するが、マスターマインドの原理を使うことになる。これは重要な条件である。無視してはならない。

二、マスターマインドを構成する前に、あなたはその人たちにどのような支払いができるのかを決めておかなければならない。

報酬の用意をしないで、他人の協力を求めてはならない。また賢明な人ならば、報酬を用意せずに人を働かせようなどとは考えないものだ。だが、この報酬は必ずしも金銭でなくてもよい。

三、これらのマスターマインドたちとは、少なくとも週に二回以上は会うように決めておくこと。

回数は多ければ多いほどよい。計画が完全に達成するまでこれを続けること。

四、あなた自身とマスターマインドの一人ひとりと完全な和を保つようにする。

お互いに心が通わないと、計画は途中で失敗する可能性がある。マスターマインドと呼ばれるための条件は、全員の心が完全に結ばれているところにある。

他人の協力をまったく借りないで、巨大な富を築くのに十分な経験や知識、才能を全部持っているなどという人は存在しない。

※他人の力を存分に使う。

だから、富を築く計画というのは自分の力と協力者たちの力がうまく組み合わされていなければならないのである。

もちろん、これらの計画はあなた一人で作ってもかまわない。だがその場合は、他の協力者から承認されたものでなければならない。

●最初の計画が失敗したら、次の計画で挑戦せよ!

ところで、もし最初に立てた計画が失敗したら、どうすればよいのだろう。答えは考えるまでもない。失敗を教訓にして練り直し、再び新たな計画を立てればよい。

それもまたうまくいかなかったら、またすぐ次の新しい計画に着手するのだ。うまくいくまで、それを繰り返せばよい。これは成功のための重要なポイントである。

この段階で多くの人が挫折するのは、願望実現のための燃えるような意欲が欠けているためである。そのような意欲が欠けているため、新しい計画を立てるための忍耐力にも欠けることになる。

※願望実現のための意欲・執念がなければ、新しい計画を立てる忍耐力がなくなってしまい、挫折する。

忍耐力は意欲が生み出すエネルギッシュな分泌物だ。そのため、失敗のままで終わってしまうのである。

どんなに頭の良い人であっても現実的な計画なしでは、豊かさ(精神的なものであれ物質的なものであれ)につながる成功は望めないものである。他のどんな事業においても成功は望めないだろう。

もしあなたの計画が失敗したとしても、一度や二度の失敗によってすべてが失敗するものではないことを、常に肝に銘じておいていただきたい。

一時的な失敗は、永久的な失敗を意味するものではない。計画を練り直し、再出発すればよいのだ。一時的な失敗というのは、ただ一つのことを意味しているにすぎない。

※失敗は改善の種。

計画のどこかが間違っていた、というだけのことだ。多くの人々が不本意な生活を送るのは、金を貯めるための完全なプランを立てなかったからである。完全なプランがない限り、成功はおぼつかない。

※再度練り直し、その時点で完全なプランを実行する。

あなたを成功させるのに、完全な計画を立てることに勝るものはないことを銘記してほしい。心の中であきらめない限り、永久に敗北はないのだ。

ジェームズ・ジェローム・ヒル(一八三八~一九一六)は、東部から西部への大陸横断鉄道建設のための資金集めで一時的な失敗を経験した。

だが、「次の新しい計画」を立てることによって、成功を手にしたものである。ヘンリー・フォードも一時的ではあるが大きな失敗を経験した人である。

※一次的な大きな失敗は種、気にすることはない。

それは創業当時のことではなく、実業家としてかなりの名を成した後のことだった。

しかしフォードは、常に新しい計画を練り直し、勝利の道を進んでいったのである。私たちは莫大な財産を築いた人々のことを見るとき、彼らの「成功」の部分だけしか見ていない。

しかしあなたは、彼らが、成功するまでに乗り越えなければならなかった数多くの一時的敗北を見落としてはならない。

この哲学を理解する人なら、一時的な敗北なしで成功する人はいないということを理解できるはずである。

※敗北がない限り成功することはない。

失敗とは、あなたの計画が完全なものでなかったということなのだ。そこで次の計画を立て、もう一度スタートすればいい。目標に到達する前にあきらめたのでは、あなたは落伍者になるしかない。

※失敗=計画が完全なものではなかったということ。

「落伍者には勝利はない。勝利者は決して途中であきらめない」この言葉をよく見えるところに貼り出しておくとよい。

毎晩寝る前に、また、朝起きたら仕事に行く前にそれを読んでいただきたい。

さて、あなたがマスターマインドの要員を集めるときは、失敗したら落ち込むような人を選ばないようにしていただきたい。

富(金銭といってもよい)だけが富をつくるのだという愚かな考えを持っている人も少なくない。しかしそれは間違った考え方だ。

あなたの願望(あるいは目標)、そして本書で解説しているノウハウだけが富をつくるのである。富そのものには、自ら動いたり考えたりしゃべったりする脳力はない。

しかし富は、人間の声を聞く脳力を持っている。だから富に対する願望を持っている人の声を聞きつけると、御用聞きのように飛んでくるものだ。

●自分を売り込む

富を築くためには、どんなことにおいてもよく考え抜かれた組織的な計画が必要である。

※富を築くためには、よく考え抜かれた「組織的で完全な」計画が必要。

そこで、自分を売り込むことによって成功したいと思っている人に、いくつかの方法を紹介することにしよう。

その前に、いかに巨大な財産といえども、一人の人間のアイデアからスタートしたものだということを知っておかなければならない。

この事実は私たちを勇気づけてくれるものだ。私たちを成功させる要素は、アイデアと努力以外にはないのである。

※成功するためには、アイデアと努力が必要。

●賢明にリーダーに仕える者こそ次のリーダーとなる

大別すると、世の中には二通りの人間がいる。

一つはリーダーである。企業でいえば会長、社長、副社長、専務、常務といったところだ。

もう一つは従属者である。つまり、従業員である。この従業員の中にもリーダーがいる。部長、課長、監督、係長、マネジャー、店長、主任などがそれである。

本書でいうリーダーは、リーダーのランキングを問わない。

どのようなレベルであっても、ともかくリーダーであれば、それは本書にいう「リーダー」そのものと考えてさしつかえない。

さて最初に、何であれ心構えというものが問われるわけだが、ここでは、あなたはリーダーになろうとしているのか、従属者のままでいいと思っているのかを決めることが大切だ。

いうまでもなく、あなたが現在課長なら、あなたの直属のリーダーは次長、副部長あるいは部長(例外はあるが)であろう。

そういう意味では、あなたも従属者である。ここに書かれていることは、そのような意味で解釈してほしい。さてリーダーになるか、従属者になるかで収入には格段の差がつくのが通例である。

従属者は当然のことながら、リーダーほどの収入は期待できない。従属者であるということ自体は、決して恥ずかしいことではない。

だが、いつまでも従属者でいることは(当たり前のことだが)名誉なことではない。どんな大企業のリーダーでも、最初は従属者だった。

その人たちは、知的であったためにトップになることができたのである。リーダーに賢明に従うことのできない部下は、ほとんど例外なしに優秀なリーダーにはなれないといってよい。

賢明にリーダーに従うことのできる部下が、最も早くリーダーに昇進することができるのだ。賢明な部下だけが、そのリーダーから知識を得る機会があるからである。

●リーダーになるための一一の重要な条件

次に、リーダーになるための重要な一一の条件を列挙しておこう。

1ゆるぎない勇気を持っていること

勇気は自分自身の知識と経験によって裏づけられるものだ。どんな部下でも、自信と勇気のないリーダーにはついていかない。賢明な部下なら、いつまでもそうしたリーダーの下にはいない。

2セルフ・コントロールの脳力を持っていること

自分をコントロールできない人が、他人をコントロールできるはずはない。もちろんリーダーとしての地位を利用して部下にセルフ・コントロールを強いることはできるが、部下はそのようなリーダーの指示をまともには受け止めない。

つまり実体は何も変わらないというわけだ。自分をコントロールできるリーダーは、いうまでもなく部下の良い手本になる。部下たちはそのようなリーダーを競って見習おうとする。

3強い正義感を持っていること

リーダーに公正な心と正義感が備わっていない限り、部下や周囲の人々の尊敬を集めることも、その尊敬を維持することもできない。

4強固な決断力を持っていること

決断を迫られたときに迷う優柔不断な人間は、自分が進むべき方向に対する信念のない証拠である。また、「責任を負いたくない」という意識的あるいは無意識的な心構えを持っている場合もある。これも一つの「信念」だ。

信念の一般的意味は「個人が奉仕し堅持している考えのこと」だからである。もっとも社会心理学上は、「望ましい──望ましくない」といった個人的な信奉は「態度」と名づけられることが多い。

いずれにせよ、「心構え」の問題である。そのような人間は優れたリーダーにはなれない。

5計画性を持っていること

成功を収めるリーダーは、仕事をきちんと計画し、その計画を実行する。現実的かつ的確な計画を持たずに、行きあたりばったりで仕事をするようなリーダーは、海図を持たない船のように座礁してしまう。目標設定がいかに大切かということは、これでも明らかであろう。

6報酬以上の仕事をする

習慣を持っていることリーダーとしての必要条件は、部下に要求する以上に、自分が仕事をするという意欲を持つことである。

この習慣を私とW・クレメント・ストーンは、「プラスアルファの魔法」と呼んでいるが、これはリーダーとしての不可欠な要素であるばかりでなく、いわゆる従属者がその〝快適かもしれないが何の目新しいことも起こらない動物園のオリ〟から抜け出る唯一のアイデアである。

7明るい性格を持っていること

だらしなく、また根が暗い人はリーダーにはなれない。リーダーは人から尊敬されなければならない。明るい性格でなければ、部下の尊敬を集めることはできない。

8思いやりと理解を持っていること

リーダーは、部下を信頼し、その部下の気持ちを理解できる人でなければならない。リーダーは部下に思いやりを持ち、部下の抱えている公的あるいは私的な問題や悩みを理解しなければならない。

理解したら、次にその問題を解消するためのマスターマインドを部下とともに組んで、問題解決をはかることも、ときには必要である。

9詳細を認知していること

優れたリーダーになるためには、リーダーとしての立場に関することを詳細にわたって知っておかなければならない。これは、当然のことである。

あなたが今、リーダーという地位にいないのなら、今から、「優れたリーダーはリーダーとしての立場に関することを詳細にわたって知っておかなければならない」のだということを頭にたたき込んでおくことだ。

そしてここに示した一一の条件も今から身につけておけばよい。完全に身についたら、あなたは現実の肩書はどうであれ、事実上、リーダーそのものになっているのだ。

10責任感を持っていること

優れたリーダーというものは、部下の失敗や欠点についても責任の取れる人でなければならない。責任から逃れようとする人は、リーダーを返上すべきである。

部下が過ちを犯しても、また能力あるいは脳力がないことがわかっても、それは自分のミスとして考える人間でなければならない。

11協調性があること

リーダーは、協調という言葉の真の意味を理解し、実践しなければならない。また、部下にもそのことを徹底させなければならない。優れたリーダーであるためには力が必要だが、その力を得るには協調が必要である。

●二種類のリーダー

リーダーにも二通りのタイプがある。

一つは、部下の尊敬と理解を集めるタイプだ。

もう一つは、尊敬や理解なしで権力を振るおうとするタイプである。

今までの歴史から見て、権力に基づいたリーダーシップが長続きした例はない。独裁者や専制君主は必ずその地位を失墜している。

これは、人々は強圧的なリーダーシップの持ち主にはついていけない、ということの証拠である。ナポレオン、ムッソリーニ、ヒトラーなどは強圧的なリーダーだった。

したがって彼らは、みな惨めな末路をたどった。長くリーダーでいるためには、部下たちの支援が必要なのである。

※部下の支援が必要。

力ずくのリーダーシップには、一時的に従う者もいるかもしれない。だが、それは喜んで従っているのではない。

今、新しいタイプのリーダーの条件を一一項目にわたって紹介したが、優れたリーダーになるためには、これ以外にも重要な条件が必要だ。このような条件を備えたリーダーだけが、チャンスに恵まれて昇進していくのである。

●リーダーが失敗する一〇大原因

次にリーダーとして失格という烙印を押してもらいたければどうすればよいか、ということを調べた結果を記しておこう。

何をしてはいけない、ということは、何をすべきかということと同じように重要なことである。

1精密な思考に欠けること

優れたリーダーなら、細かい点にいたるまで検討し、また熟知していなければならない。どんなにつまらないささいなことであっても、リーダーとしてやるべきことはやらなければならない。「忙しすぎて」と言い訳をするような人は、本当のリーダーにはまずなれない。

リーダーであっても、忙しすぎて計画の練り直しができないとか、忙しすぎて緊急事態に対処することができないと主張することは、「自分は十分な脳力を持っていない」と認めたのと同じことである。

成功するリーダーなら、その立場に関するすべてのことを把握している。言い換えれば、細かい問題はそれに対応できる部下に委任する習慣をつけておかなければならないということである。

2つまらない仕事をしたくないという気持ちを持つこと

本当に優れたリーダーになりたければ、他の人に頼んでもいいような仕事でも、自ら進んでやるようにしなければならない。

「最も優れた人は、万人の召使いにもなれる人である」という言葉は、リーダーにとって心しなければならない真理である。

半面、リーダーになりたくなければこれと逆のことを常日頃、行っていればよい。

3行動よりも知識を大切にしすぎること

世間は、その人の「知識」に対して報酬を支払っているのではない。その人が知識に基づいて何かをやってくれたとき、あるいは知識に基づいて他人に何かをやらせたときに報酬を支払うものなのだ。

単なる「知識」なら、百科事典をひもとけばすぐわかることである。さまざまなことをたくさん知っていればよいというものではない。

4部下の挑戦を恐れること

もしリーダーが部下に対して、自分の地位を奪われるのではないかという恐れを抱くなら、いずれは現実になることを覚悟しておかなければならない。

優れたリーダーは部下を訓練し、いつでも自分の代役を務められるようにしておくものだ。そうすることによってリーダーは自らの分身をつくり、同時に多くの問題点に注意を払うことができる。

また、優れたリーダーというものは、自分一人の労働によって得る収入よりも、部下に仕事をさせることによって得る収入のほうが多いことを知っている。

有能なリーダーはそのことを知っているからこそ、自分の持つ職業的知識と魅力的な性格で、部下の脳力を上手に引き出し、有効に活用しようとするのである。

また部下たちも、有能なリーダーの下で仕事をするほうが効率的であることをよく知っているものだ。

5想像力が欠如していること

想像力が欠落したリーダーは、緊急事態に対処することができない。また、部下を効率よく指導する計画を立てることもできない。

6利己主義者

部下の仕事にいちいち文句をつけるようなリーダーは嫌われる。優秀なリーダーは部下の名誉を傷つけたりはしない。本当に優れたリーダーなら、部下が名誉を得ることを願うものである。

誰でも金のためにだけ働いているのではない。有能なリーダーなら、人間は認められ、褒められたほうがよく働くという人間の心理をよく知っているはずである。

7過激な性格

気性の激しすぎるリーダーを尊敬する部下はいない。それだけではなく、ムラ気な性格は、人間の忍耐力や活力を破壊してしまうのだ。

8不誠実

これは、この一〇大特質のトップにあげなければならない問題である。自分自身に対して、同僚に対して上司に対して不誠実な人は、長くリーダーでいることはできない。

この地上では、不誠実ほどつまらないものはない。人々の軽蔑を買うのみである。誠実さの欠如は、人生での失敗の最大の原因である。

9特権の乱用

優れたリーダーは激励することによって部下を指導するものだ。決して権力によってではない。リーダーの権力で部下を抑圧しようとするようなリーダーは、力ずくでトップに立った人と同類である。

部下に対しては思いやりを持ち、理解を示し、公正でなければならない。権力で押しつけるのではなく、仕事上の知識を示すだけでよいのだ。

10地位の誇示

本当に優れたリーダーなら肩書がなくても部下から尊敬されるものだ。地位ばかりをひけらかす人は他に誇るべきものを持ち合わせていないのである。

真のリーダーになろうとする人のためには、常にドアは開かれている。仕事の場には形式や見栄などは不要だ。

今、列挙した一〇カ条は、リーダーが失敗するときよく見られる原因である。この中のどれをとってもリーダーとして失敗するには十分な理由となるものだ。

もしあなたが立派なリーダーになりたいと思うなら、この一〇大特質をもう一度注意深く読み返していただきたい。そして、どの一つをとってもあなたには当てはまらないことを祈る。

しかし当てはまるところがあったら、本書やナポレオン・ヒル・プログラムを活用して、正しい方向にあなた自身を修正すればよい。

現代では、あらゆる分野で新しいリーダーや新しいタイプのリーダーシップが必要とされているのだ。

世界は急激な早さで変化しているが、人間の習慣や考え方もこの変化に対応して自己変革を遂げていかなければならない。

●あなたに合ったビジネスがあなたを成功に導く

リーダーシップは何も仕事の中だけの問題ではない。人生全般にかかわることだ。しかしここではビジネスという観点で思考を巡らせてみよう。

まず、リーダーシップを発揮するには、その発揮する〝場〟がなければならないのはいうまでもない。その〝場〟とは、ここではあなたが選んだ仕事の場のことだ。人間は誰しも自分に合った仕事を求める。

画家の素質のある人間は絵を描く道に進もうとするし、職人になることに向いている人は手を使って物を作ることが合っている。作家の素質のある人間は書くことが好きだ。

また、とりたててこれといったスキル(技能)を持っていない人にも、産業界やビジネスの分野では、いろいろな種類の仕事があなたを待っているのだ。

工業、サービス業、農業等々その他にも数えきれないほどの専門的な仕事がある。そこで問題となるのは、あなたは今ベストの自己実現を着実にはかれるような仕事に従事しているかどうか、ということである。

あなたが真の自己実現をはかりたいと思うなら(一度しかない人生において、そう思わない人間は本来いないはずだが、大多数の人々は日常の、後から考えればどうでもいいようなことにとらわれて自己を失っている)、次に述べる七項目をあなた自身に適用してみることだ。

この七項目は、これから新しい仕事に就こうと考えている人に最もフィットする内容になっているが、しかしそれだけではない。

すでにあなたが事業家である場合でも、あるいはまたビジネスマン、セールスパーソンである場合にでも適用は可能なのだ。

  1. 1あなたが望んでいるビジネスを「はっきりと決める」こと。そのような仕事がなければ、自分で創出すればよい。
  2. 2就職しようと思う会社を決定する。
  3. 3希望する会社自体の将来性、またその会社が営んでいるビジネスの将来性について調査する。
  4. 4あなたの才能や性格を分析して、「自分は何ができるか」ということを明確にしておく。そして、直接あなた自身の成功に結びつく積極性(ヤル気)、努力、アイデアなどをどう働かせるべきかを考え、ノートにとっておくこと。
  5. 5ここまできたら、もう仕事のことなど忘れることだ。門は開かれた。「私に仕事をくれませんか」などという消極的なことを言うのもやめよう。ただ自分には「何ができるのか」ということに集中すればよい。
  6. 6自分を売り込む計画が心に浮かんだら、それを詳細にわたってわかりやすい文章にしよう。その文章は「私はこのような希望を持ち、それを達成させるための意欲と、必ず達成する自信を持っている」という内容になるだろう。
  7. 7その文章を整理したものを先方の担当者に渡して、後はすべてを任すのがいい。どの会社でもアイデアや努力によって利益をもたらしてくれる人材を求めているのだ。どの会社でも、会社を発展させてくれるような人材のための〝席〟を用意しているものだ。

したがって、あなたの自己売り込みの文章は必ず真剣に検討されるはずである。以上の項目を実行するには、人によって五、六日かあるいは数週間はかかるかもしれない。

しかし、それによって収入面や昇進面で格段の差が出てくるのだ。何年もの下積み生活をしなくてすむのだ。

それにもっと重要なことは、これによってあなたの最終目標を達成するための時間を少なくとも一年から五年も短縮できるということである。

梯子の途中から登ろうとする人には、それなりの綿密で注意深い計画が必要なのである。

●奉仕こそ成功への黄金律だ

今日のビジネス界での重要なモットーは「礼儀と奉仕」である。これは事業に成功するための黄金律といってもよい。

このモットーは、経営者にとってはむろんのこと、従業員にとっても重要な意味を持っている。というのは経営者も従業員も、最終的には消費者に雇われているからである。

※消費者に雇われているということ。

したがって消費者への奉仕に失敗することは、両者とも奉仕する権利を失うことになるのだ。またビジネスばかりではなく、人生そのものにおいても、この礼儀と奉仕は同様の役割を果たす。

※消費者に奉仕に失敗したら、

かつてアメリカでは、ガスメーターの検針員が、ガラスが割れるほどの強さでユーザーのドアを叩いていたことを思い起こす。

ドアをあけると、無遠慮に家に入ってきて、しかめっ面をしてこんなふうに言ったものだ。「なんでこんなに待たせるんだ!」。幸いなことにこんな時代はもう終わった。

現代の検針員は、「お客さまに奉仕することに心から満足しています」とでも言いたげな紳士ばかりである。

かつて、そのような無礼な検針員が嫌われていることをガス会社が気づく前に、石油ストーブを扱っている一人の礼儀正しいセールスパーソンが現れ、たちまちのうちにアメリカ中を独占してしまった。

その当時(一九三〇年前後)は、大恐慌の真っ最中であった。私はペンシルヴェニアの炭鉱地帯で、数カ月にわたって石炭産業の不振の原因を調査していた。そこでは経営者も従業員もお互いに「安売り」をやっていたのである。

つまり経営者は効率的な採掘技術など考えもせずに自分の会社を安く扱い、また従業員もダラダラと仕事をするなどして自らを安く扱っていたのだ。

その「安売り」は結局高いものについた。生産性が低かったため、すべてにコスト高となり、そのツケが石炭価格に上乗せされたのだ。このことが石油会社にこの上ないチャンスを与えたのである。

この話からもわかるように、これから事業(すべてのビジネス、すべてのセールス)をやろうとする人は、このような例を覚えておくといい。

将来どうなるかは現在の行動にかかっているのだ。ビジネス、金融、運送などあらゆる分野をコントロールする法則があるとするなら、それと同じ法則が個人をもコントロールし、経済的地位をも決定するのである。

●クイック・クイック・スロー(QQS)による評価

これまで、自分自身を社会の中で活かし、成功を収めるにはどうしたらよいか、ということを明らかにしてきた。

経営者でもビジネスマン、OL、そしてまたセールスパーソンでも、その才能を活かし、成功する原因についての学習を怠るなら、その行く手には灰色の人生が待ち構えているだけだ。すべての人は自分を売り込むセールスパーソンでなければならない。

あなたの将来がどの程度輝かしいものかは、あなたが他人に提供するサービスの質と量とサービス精神によるのである。

それが「クイック・クイック・スロー(QQS)」の公式と呼ばれているものである。といっても初めのQはクォリティ(質)、二つめのQはクォンティティ(量)、そしてSはサービス精神のことである。

この三つをうまく組み合わせれば、あなた自身を効果的に売り込むことができる。このクイック・クイック・スローを日常、習慣的に活用してほしい。必ず素晴らしい成果を生むだろう。では次に、この公式の意義を完全に理解するために、詳しく分析してみよう。

1サービスの質

クォリティのQこれは誠意に満ちたサービスのことだ。一見、こまごまとしたサービスをしているようでも、形式的で配慮に欠けているようなものであったら、相手は容易にそれを見透かしてしまうだろう。

2サービスの量

クォンティティのQより多くのサービスは、「より多くのサービスをしようとする習慣」によってもたらされる。ここではプラスアルファの魔法が活かされる。

「サービスの量」は経験と実績を積んでいく中で、もっと自分の仕事の量を増やそうと(自主的に)考えていくうちに、その考えが習慣となって生まれてくるものである。

3サービス精神

スピリットのSこれは、仕事仲間や部下たちが、あなたの考え方に賛同し積極的に努力しようという雰囲気になったときに、素晴らしいシンフォニーのような調和が自分たちばかりでなく、相手(たとえば客)との間にも生ずるものである。

質と量が十分にあっても、サービス精神に欠けていては、完全とはいえない。

あなたの収入と生き甲斐は、以上述べたQQSが最大限に発揮されることによって、初めて満足すべきものとなるのだ。

サービスというとサービス業だけのものと考えられがちだが、これはたまたま同じ言葉が使われているだけの話で、あらゆるビジネス、あらゆるプロフェッション(教師、医師、会計士など)に共通のものなのである。

アンドリュー・カーネギーは、成功を勝ち取るためにはQQSの中でも、ことにサービス精神が最も重要であるといっている。

サービス精神は人との協調によって成り立つ。カーネギーも仲間との協力が重要であることを繰り返し強調しているほどだ。

いかに仕事の量が多くても、また仕事の質がいかに良くても、人々と協力できない人間(サービス精神のない人間)をカーネギーは決して雇おうとはしなかった。

カーネギーは、常に「人は好まれる性格を持たなければならない」と主張していた。事実、彼の方針に従った人々はすべて富を築くのに成功している。

そのことによっても、私たちは彼の考え方、つまりサービス精神の重視ということの重要性を認めざるを得ない。

また気持ちよく社会の中で生きていくためには、人に好感を与える性格、協調性のある性格は大きな資産となる。

この資産は、サービスの質や量の不十分さを補って余りあるものだ。このような性格に取って代わるものはない。ここでいうサービス精神とは、したがって素直で明るい性格そのものと考えてもさしつかえない。

●あなたの脳力の本当の価値

自分の脳力(サービス)を売っている人間は、商品を売っている人間と同じように、自分の労働力を売っているセールスパーソンである。

したがって、そのような人がより豊かになりたければ、商品を売るセールスパーソンと同じ行動をとるのが道理である。これは非常に重要な意味を持っている。

というのは、自分の労働力や脳力(サービス)を売っている人のほとんどは、商品を売る仕事とはそのやり方もルールもまったく違うものだと思い込んでいるからである。

そして多くの場合、脳力(サービス)を売る人々は、効果的にセールスしようとする努力を怠っているのである。モノを売る時代は終わった。これからは才能を売る時代なのだ。

つまりサービス(あなたの脳力、あるいは才能といってもよい)を売ることによって、代価を得る時代なのである。

ところであなたの脳力の現実的な価値を決めているものは、あなたの年収である。この年収とは、要はあなたの脳力を売って手に入れた金銭である。

では、あなたの脳力(才能)の本当の価値はどのくらいのものなのだろうか。それを明らかにする計算式は、右下の囲みの中の数式のようになる。

つまり、あなたの年収は、あなたの本当の脳力のわずか六パーセント程度にしか相当していないのである。

当然のことだが金銭はあなたの脳力より価値の低いものではあるが、場合によってはあまりにもその差が開きすぎることがあるのだ。

あなたの「脳力」は、効果的に使いさえすれば、事業においては金銭よりはるかに大きな価値を生み出せるものなのだ。

なぜなら「脳力」は、不景気の影響も受けず、言い換えれば不況期を通じて恒常的に減価しえない資本の一形態であり、この資本は盗まれたり、使えばなくなってしまう心配もないからである。

そればかりでなく、金銭というものは、よく開発された脳力によって用いられれば莫大な財産にもなるが、そのような脳力によって用いられなければ不毛の砂丘と同じように、まったく価値のないものとなってしまうのである。

●失敗を招く三〇の原因

多くの人々は、真面目に真剣に努力しているにもかかわらず、失敗のうちに人生を終えてしまう。

成功している人がほんのわずかであるのに対し、大多数の人が失敗をこの世の定めだとしてあきらめてしまっているのは、残念なことである。

しかしこの世の定めといっても、この定めはあなたの意思で、どのようにも選ぶことができるのだ。なぜならこの定め、つまり運命はあなた自身に選択する権利があるからである。

したがって「成功する定め」の道を選ぶこともステップを踏んで実現していくことなのだから、あなたの心の中のスイッチを成功側に倒せば、あなたはその方向に向かっていくことになる。

私はカーネギーから委託された成功哲学の確立の一環として、かつて〝人生の敗北者〟と見なされている数えきれないほど多くの人々を調査したことがある。

その分析によってわかったことは、成功するためには一七の原則があり、失敗には三〇の原因があることだった。

そこでこの章では、三〇項目にわたる失敗の原因を紹介することにしよう。あなたはこのリストを読み、一項目ずつあなた自身をチェックしていただきたい。

それによって、あなたと成功の間に立ちはだかっているマイナス原因がいくつあるかを調べてほしい。一つでも該当するものがあったら、それと闘い、勝利を得ることだ。

本書を何度も読むなら、それは少しも難しいことではない。

1遺伝的欠陥

これは非常に数は少ないが、遺伝子上の不整合により、精神的欠陥を持って生まれてきた人である。目が見えないとか耳が聞こえないとかいったことは、ここでいう欠陥には含まれない。

それらは補助具によって補うことができるからだ。したがってここでいう欠陥とはそれ以外のことを指すのだが、この欠陥を補うには、たった一つの方法しかない。

それは「マスターマインド」の力を借りることだ。周りの人の温かい協力によって克服することができる。

ここで知っておいていただきたいのは、自分の力だけで改善できないのは、三〇項目の中ではこの問題だけだということである。

同時に、本書を読んで理解する脳力(どのような方法にせよ)があるのなら、この項目に該当する人はいないということだ。

2明確な人生目標の欠如

自分の人生に明確な目標や願望を持たない人に、成功はあり得ない。私が調査した人々のうち、一〇〇人中九八人までがこの目標を持っていなかった。多分、彼らの失敗の最大の原因は、この「明確な人生目標の欠如」にある。

3向上心の欠如

向上しようという気持ちのない人に、成功はない。向上するための努力や犠牲を惜しむ人には明日への希望はない。

4教育の不足

これは比較的容易に解決できることだ。過去の歴史からみても、真に最高の教育を身につけた人というのは、そのほとんどが〝独学〟であった。

大学を卒業したからといって、必ずしも教養があるわけではない。

真に教養のある人というのは、他人の権利を侵害することなく着々と自らの願望を達成していく人である。

人は、持っている知識によって富(物質的富であれ精神的な富であれ)を得ているのではない。身につけた知識の用い方を知っている人が富を得るのである。それを知恵と呼ぶ。

5自己訓練の欠如

自己訓練が欠けている人は、自分の心の中にあるマイナスの要因(たとえば消極的性格)をすべてコントロールできるようにならなければならない。

周りの環境や他人をコントロールする前に、自分自身をコントロールしなければならないのだ。自分で自分をコントロールすることは、他のどんなことよりも難しい。

しかし自分をコントロールすることができなければ、あなたは自分自身に負けることになる。鏡に自分を映してみるとよい。そうすれば、最良の友と最悪の敵が同時に映し出されることになる。

6病気

どんなに成功しても、病気では幸福にはなれない。病気の多くは、セルフ・コントロールの欠如が原因である。たとえば、次のようなものがある。

  1. 暴飲暴食による不摂生
  2. 否定的な考えにとらわれる習慣
  3. 性生活における不摂生
  4. 運動不足
  5. 不適切な呼吸法による新鮮な空気の不足

7幼少のころの不幸な環境による影響

「枝が曲がると木も曲がる」という諺がある。犯罪を犯す習性は、幼少時代の悪い環境や悪い仲間からの影響で身につくことが多い。しかしセルフ・コントロールでそれらの悪影響を一掃できることはいうまでもない。

8一日延ばしの傾向

これは、失敗の原因としては最も多く見られるものだ。「今日はちょっと気が乗らないから明日にするか」というこの悪しき習慣は、誰にでも見られるものだが、そのことがいつもチャンスを失わせている。

ビジネスや人生での失敗で大きな部分を占めるのは、この「時期を待ってばかりいる態度」にあるのだ。

待つ必要はない。待っていてもチャンスはやってこない。今すぐ始めることだ。そして、できることから始めるのだ。やっていくうちに、より良いアイデアは次々と浮かんでくるものだ。

9忍耐力の欠如

私たちはたいてい、立派な〝創業者〟である。だが、哀れな〝破産者〟でもある。というのも少しでも失敗すると、すぐ投げ出してしまうからだ。何かをする(つまり業をなす)とき、人は誰でも創業者だ。そのときは勇んでいるから〝立派〟に見える。

だが生み出そうとしたものを、たわいもない出来事で心をかき乱し、破り捨ててしまう破産者でもある。忍耐ほど大切なものはない。どんな失敗でも、忍耐に打ち勝つことはできない。失敗に王手をかけられるのは忍耐しかない、と心得るべきだ。

10否定的な性格

他人にむやみに文句をつけるような性格の持ち主では、成功はおぼつかない。成功とは力の活用だ。力を活用するには、他人との協力(マスターマインドの一部に含まれる)が必要である。否定的、排他的な性格では、協力を得ることはできない。

11過剰な性欲

性衝動は、人々を行動に駆り立てる刺激の中で最も強いものである。最も強い衝動であるだけにコントロールしなければならないのだ。それを性行動以外のものに転換しなければならない。

12ギャンブル好き

いうまでもなく、何もしないで何かを得ようとするのがギャンブルだ。そして大勢の人がギャンブルの失敗で泣いている。その証拠の一つは一九二九年のウォール街だ。

株式投資によって富を築こうとした何百万人もの人々が大暴落によって破産に追い込まれ、人生を滅ぼしたのである。

13優柔不断

成功する人というのは、素早く決断するものだ。そしてまたよほどのことがなければ、その決断を変えないものである。逆に、失敗する人は、最初の決断が遅く、ちょっとした心の動揺でまた変更してしまう。

優柔不断と遅延は磁石のN極とS極のようなものだ。どちらかを持っている人は他方をも持っている。この二つの性質があなたを駄目にしてしまう前に、どちらも葬ってしまおうではないか。

14六つの基本的な恐怖

六つの基本的な恐怖については、後の章で詳しく分析することにしよう。その恐怖を一つ以上持っていると、それが失敗の原因になる。あなた自身を効果的に売り込みたいなら、この六つの恐怖を完全に克服しなければならない。

15誤った配偶者の選択

人が失敗する最大の原因の一つは、配偶者選びの間違いにある。あらゆる人間関係の中でも、結婚は親密度が最も濃いものである。二人の関係がうまくいかなければ、失敗は必ずやってくる。しかも、その失敗は惨めであり、ヤル気を失わせるものだ。

16過度の用心深さ

チャンスをうまくつかむ勇気のない人は、他人の残りものに甘んじなければならない。過度の用心深さは、不用心と同程度に悪い。このような両極端はどちらも避けなければならない。チャンスは人生の中で、次から次へと訪れてくるものだ。

17マスターマインドの失敗

これは、事業で失敗する原因のうち、最も多く見られる誤りである。自分の脳力を最大限に発揮するには、知性とヤル気を備えた人と仲間にならなければならない。ことに、ヤル気のない仲間を選んだばかりに、破滅していく人は少なくない。

多くのヤル気のある人々の中に、一人でもヤル気がなく、そのうえ、否定的な言葉を他の仲間に伝染させていくような人間を選ぶことは最悪の選択といってよい。

18迷信と偏見

迷信とは恐怖の一種である。それはまた、無知の証明でもある。成功する人は、根拠のないものを恐れたりはしないものだ。

19職業選択の誤り

どんな人でも、好きでもない職業に就いて成功したためしがない。したがって自分が全身全霊を打ち込めるような職業を選択しなければならない。

20集中力の欠如

面白半分にいろいろなことに手を出すようでは、どれも成功はしない。目標を一つに絞って、すべての努力を集中することが肝要だ。

21浪費癖

浪費者は成功しない。収入がコンスタントに入ってくるうちはよいが、そうでなくなったときに対処のしようがないからである。

したがって収入の一部を確実に貯金する習慣を確立しなければならない。貯金があれば、新たに仕事を探す際にも気持ちに余裕を持つことができる。貯金がなかったら、先方の条件に無条件で従わなければならないはめになる。

22熱意の欠如

熱意のない人は説得力にも欠けている。熱意は人から人へ伝わっていくものだ。情熱が人を動かす。動かしたい人が動いてくれなければ、失敗しか残されていない。

23狭量

狭い心の持ち主は、どんな分野でもリーダーにはなれない。狭い心は、新しい知識の吸収をもやめてしまう。特に宗教や人種あるいは政治に関する意見の違いに対して持つ心の狭さは、最も悪い型のものだ。

なぜなら、この分野では、「排他性」は最もあってはならないことだからである。もし排他的になると、狂信、差別、独裁という名の最悪の毒ガスが生じることになるからである。

24不摂生

暴飲暴食と過度のセックスのことだ。これらの不摂生は、どれをとっても成功の妨げになる。

25協調性の欠如

他人と協調してやっていけないため、大切なポストから降ろされたり、またとないチャンスを逃してしまう人が多い。良識あるビジネスマンやリーダーは、そのような欠点は持っていない。

26努力なしで得た富(相続によって得た富など)

自らの努力によらないで得た富というのは、ときには破滅を招くことがある。労せずに得た富は、貧困よりも危険な要素を持っているものだ。

27虚言症

正直であることほど大切なものはない。もちろん、状況によって一時的にその場限りの嘘をつく(嘘も方便)かもしれない。

たとえば他人のためによかれと思ってつく嘘などがそれだ。これなどはあまり問題にならない。しかし、意図的な嘘は信用を失うばかりでなく、自由までも失ってしまうだろう。

28利己主義と虚栄心

この性質を持っている人は、他人から見放される。成功にとっては致命的だ。

29当て推量

的確な判断を下すためには、事実を収集する努力が必要だが、このような基本的なことすら怠る人が多すぎる。

このような人々は憶測や早合点による考えにとらわれて行動するしかないが、当て推量が的中する確率が極めて低いことは常識である。

30資金不足

これは初めて事業を興す場合に犯しやすい過ちである。十分な資金がないと、信用を得るまでの間、持ちこたえるのが難しくなるばかりでなく、人々に迷惑をかけることにもなる。

31その他(この項には、あなたが今までに経験した失敗の原因を記載していただきたい)

この三〇項目+アルファの中には、一所懸命努力はしてみたものの失敗に終わった人々の原因が発見されるはずである。

もしできたら、あなたのことをよく知っている友人に頼んでこの三〇項目+アルファのリストをチェックしながら、あなた自身を分析してもらうといい。

勇気のいることではあるが、それを実行することによって、大きな人生の改善点が発見できるだろう。これはあなたにとって貴重な宝となる。

またこのような分析は、あなたが一人でやるよりは効果的である。多くの人は、第三者ほどに自分自身を冷静に見つめることは、そうそうできるものではない。これは人間なら、普通誰でもそうなのだ。

●あなたは自分自身の価値を本当に知っているだろうか?

古い格言に「汝自身を知れ」〔訳注…アテナイの立法者ソロン(前七~六世紀)の言葉〕というのがある。

商品の販売で成功したければ、その商品について知っておかなければならない。それと同じように、自分を売り込むには自分自身を知らなければならない。人間はすべて生まれながらにしてセールスパーソンなのだ。

特に、弱点については知っておくべきである。そうすることによって、弱点をカバーしたり補ったりすることができるからだ。また、自分の長所を知っておくことも大切である。

そうすれば自分を売り込むとき、それを武器とすることができるからである。自分自身を知るには、正確に自己分析をしなければならない。

ここで、自分の無知を暴露してしまった若い男の話を紹介しよう。彼はある有名な会社に就職を希望した。そこでマネジャーに面接した。給料の話になるまでの彼は、非常に良い印象を与えていた。

しかし、どのくらいの給料を希望するかという質問に、彼は具体的な額は考えていない、と答えたのである。

これは「目標意識の欠如」そのものであった。そこでマネジャーはこう言った。「それでは一週間だけ試用期間として、それであなたの実力に見合う給料を決めましょう」「それは困ります」と、若い男はいった。

「というのは、今働いている所では結構いい給料をもらっていますから」今の会社にいて昇給の交渉をするときでも、あるいは転職する場合でも、前もって、自分は現在得ている給料以上の価値があるのだ、という確信を持っていなければならない。

お金を欲しがること──誰でもそうなのだが──と、それ以上の価値を当人が持っていることとは、まったく別の問題である。多くの人々は、この点で間違っているのだ。

だから、自分が欲しいと思う給料は、もらって当然だなどという無教養まる出しの人間が出てくるのだ。自分自身の価値と、その欲望との間にはまったく何の関係もないのである。

あなたの価値を決定するものは、果たしてあなたにどれだけ価値のある行動ができるのか、という事実にかかっているということを、十分理解しておかなければならない。

●自己分析が、あなたを正しい軌道に乗せる

もしあなたが、自分自身の脳力を売り込もうとするなら、ちょうど企業が毎年在庫の棚卸しをするのと同じように、自分自身の脳力の在庫調べ(在庫分析)をしなければならないのだ。

とはいえ人間は進歩したり、停滞したり、後退したりするものだ。もちろん、私たちの目標は進歩することである。

その意味でも、脳力在庫の棚卸しをすることによって、果たして進歩したのか、もしそうならどの程度の進歩をしたのか、ということがはっきりしてくる。

逆に、後退しているとしたら、その事実もはっきりしてくる。自分を売り込むには、たとえ少しずつであっても、進歩し続けることが大切であることはいうまでもない。

毎年、年末にこの自己分析を行っていただきたい。その結果、改善すべき点がわかったら、それを新年の決意としよう。

やむを得ないときは四月から翌年三月までを一年度として、その三月末に行い、新年度の決意とするのもよいだろう。

それでは、自己分析のために二三二~二三三ページ()の質問に答えていただきたい。おざなりに答えるのではなく、真剣に行ってほしい。質問はイエスが○、ノーが×と決めておこう。

その二八の質問に関して、公正にしかも正確にチェックしていただきたい。客観的な結果を得るために、誰か身近な人に手伝ってもらうとよい。これで、あなたの脳力を活かすための計画を立てる準備はひとまず整った。

あなたの脳力を最大限に発揮するための計画の立て方、リーダーがかくあるべき一一の条件、人生で最も多く見られる失敗の三〇プラスアルファの原因などについて説明してきた。

そして次は自己分析のための二八の質問である。

では、このような事項について、なぜことさら詳細に説明するのかというと、あなたの脳力を活かして富(精神的なもの、物質的なものを含めて)を蓄えたいと思うなら、これらの項目は絶対必要欠くべからざるものだからである。

事業に失敗して、再び社会にチャレンジしたい人、退職(定年)して再スタートを切らなければならない人、あるいはこれから巨富を築こうとする人、言い換えれば、人生の途中から割り込んでスタートしようとする人々にとって、その得たい富の見返りとして支払えるものは、自分自身の脳力以外には何もないからである。

だからこそ、このかけがえのないあなたを売り込む際には、大切にかつ慎重に行動を起こす必要があるのだ。

その意味でここに掲載したノウハウを完全に理解することは、あなたに非常に役立つものである。またここで明らかにしたノウハウは、人を評価する脳力を高めることにもなる。

したがって、このノウハウは人事部長、採用担当者、そのほか企業運営の管理者にとって、値段のつけようもないほど重要なものといってよい。

もし私の言っていることがオーバーだ、半信半疑だと思うなら、次の自己分析のための二八項目にきちんと答えてみるといい。人生を真剣に考えている人なら、必ずや私の意見を認めてくれるだろう。

●富を築く無数のチャンス

今まで、どうすればチャンスがつかめるか、について考えてきた。さて次の質問はそのチャンスをどこでどうやって見つければいいのかということである。

そこで自由主義諸国では、大小を問わず富を築くためにどのようなチャンスがあるのかを調べてみよう。

まず最初に、今日の先進諸国では、世界の多くを占める発展途上国よりも思想・行動の自由が保障されている、ということを思い起こしていただきたい。

だが、この自由がいかに私たちにとって有益なものであるかを深く考えていない人が多い。

アメリカ、日本、そしてヨーロッパの自由主義圏では、思想の自由をはじめとして、教育の選択の自由、宗教の自由、政治の自由、職業選択の自由、私有財産の自由、住居の自由、結婚の自由、機会均等と競争の自由、国内旅行の自由、食物選択の自由(有毒なものが除かれるのは当然のことだが)、国家の指導者を目指すことも含めて目標選択の自由など、数々の自由がほぼ完全に保障されている。

私たちには、まだたくさんの自由が保障されているが、ここでは重要な点だけをあげておくことにする。自由はアメリカの特典である。

国内に生まれた人にとっても、外国からやってきた人にとっても、多様な自由を平等に保障しているのだ。

そこで次に、これらの自由によって、私たちはどんなものを手に入れることができるのかを見ることにしよう。その一つの典型として、ごく平均的な家庭について自由の恩恵について調べることにする。

1食物

思想の自由、行動の自由に次いで、衣食住という人生にとって不可欠な三つの要素についての自由がある。

この普遍的な自由によって、先進諸国の平均的な家庭は家計の範囲内で世界中の食べ物を口にすることができる。

2衣服

先進諸国では、経済面で平均的なレベルの女性は、誰でも人並みの着心地の良い良質な服装を身につけることができる。男性の場合は、それ以下でも間に合うかもしれない。

3住居

先進諸国の平均的な家庭は、住み心地の良い住居に住んでいる。冷暖房、電気、ガスの設備は完全だ。朝食用のトーストは、わずかな金額で購入したトースターで焼けるし、電気掃除機が部屋をきれいにしてくれる。いつでも台所や風呂場では冷水も温水も使える。食物は電気冷蔵庫に蓄えられている。

主婦はプラグを差し込むだけで髪をカールすることができるし、洗濯をすることもアイロンをかけることもできる。

夫には電気カミソリがあるし、一日二四時間、世界の娯楽をラジオやテレビで楽しむことができる。そのほかにも家庭の中には便利なものが完備しており、自由がそれを満たしてくれているのである。

ここで述べたのは、衣食住という最低生活に必要な三要素についてだけだが、平均的な先進諸国では一日最高でも八時間普通に働くだけで、多くの恩恵にあずかっているのである。

●目に見えない素晴らしい奇跡

自由について述べたついでに、ここで一つはっきりさせておきたいことがある。それは私には〝特別な権利がある〟ということである。何の権利かというと、私には「あるもの」を分析し、それを発表するという権利である。

その「あるもの」とは、人々に恩恵を与え、富を与え、他のどの国よりも多くの自由をもたらしてくれた、目に見えない力のことである。

だが私たちはこれまで、その「あるもの」を極端に神秘化し、抽象化し、そして大きな誤解をしてきたのである。

なぜ私にその「あるもの」を分析し、発表する権利があるかといえば、私は半世紀以上にわたって、その力を手に入れ維持してきた人々を見守ってきたからである。

その謎に包まれた人類の恩人とは、「資本」のことである。資本とは、ただ金銭だけで成り立っているわけではない。

資本は公共の役に立ち、かつ自らにも利益を生み出すために金の使い方を計画する、高度に組織化された賢明な人々の特別なグループによって成り立っているのだ。

それらの人々のグループとは、科学者(を多数擁している企業)、教育者、建築家、発明家、新聞記者、広告関係者、運輸業者、会計士(税理士)、医師などのほかに各産業の分野で専門的な知識を持った人々によって構成(企業化)されているものである。

これらの人々は、常に新しい分野を開拓することによって偉大な業績を残している。

また、彼らは(その活動によって得た利益を納税という形で国家に納め、それが)大学や、病院や公立学校を維持し、道路を建設し、新聞を刊行し、行政機関が使う公共的資金ともなる。

そればかりでなく、人類の進歩に必要なあらゆるものを供給しているのである。簡単に言えば、資本とは文明の頭脳なのである。

なぜなら、彼らが教育や啓発などの文明の土壌を提供しているからである。頭脳のない資本は危険である。金銭は正しく使えば、文明にとって最も重要なものなのだ。

資本の力を借りなければ、家族にごく簡単な朝食すら与えることはできないだろう。そのことだけでも、組織立った資本の力の重要性を理解することができるだろう。

この生き物のような〝資本〟がなかったとしたらどうなるだろう。たとえばあなたが一杯の紅茶を飲みたいと思ったら、インドあたりまで行かなければならない。あなたが泳ぎの達人であったとしても、行き着く前にダウンしてしまうだろう。そればかりではない。

あなたが大海を泳ぎきったとしても、金がなかったらどうやって紅茶を手に入れるのだろうか?砂糖も同様だ。

砂糖を手に入れるには西インド諸島まで泳ぐか、あるいはユタ州のサトウキビ畑まで歩かなければならない。

それに、やっと現地に到着したとしても、あなたはたぶん砂糖を手に入れることはできないだろう。砂糖の生産には組織化された資本と労働力が必要だからだ。

ましてそれを精製し、各家庭の朝食のテーブルに届けるなどということは問題外となってしまう。卵なら近所の農家から手に入れることは簡単かもしれない。

しかし、グレープフルーツのジュースを飲むためには、フロリダまでの長い道のりを歩いて行かなければならない。

行ったら戻ってこなければならない。なんてバカげたことを、と思うかもしれない。しかし、もし資本主義制度がなければ、ほんの少しの食べ物を手に入れるために、こんなことまでしなくてはならないのである。

●人生の礎石

家庭に簡単な朝食を届けるということは、鉄道を敷設し、船を建造し、それらを維持していかなければならないのだ。そのためには巨額な資本が必要だ。そのうえ、多くの従業員も必要である。

船や鉄道は土から生えてきて勝手に動き出すものではない。これらは文明の要求によって造られたものである。

想像力を持ち、信念、情熱、判断力、忍耐力を持ち、組織化された人々の努力と工夫によって造り出されたのである。

このような人々を、私たちは資本家と呼んでいるのだ。

彼らは企画し、建設し、実現し、有益なサービスを提供し、利益を生み、富を築こうという燃えるような願望によって立ち上がった人々なのだ。

彼らは文明を築くと同時に、自らも巨大な富を築きあげていくのである。

このような大事業を成し遂げてきた人たちというのは、乱暴な言い方をすれば、街のホラ吹きと似ているところがある。

私は、特定のグループに加担したり、特定の経済思想に与みするものではない。

私が半世紀以上にわたって打ち込んできたことは、富を築きたいと思っている人々に、その願望を達成するための正確な知識と、あやふやなところやいかがわしいところのない成功ノウハウを広めることなのである。

それがこの本やナポレオン・ヒル・プログラムの目的である。そこで私は、資本主義経済の仕組みを理解するうえでの、二つの重要な側面を分析してみることにする。

一、もし富を求めるならば、その大小にかかわらず、その富への道を支配している資本主義そのものを認識し、応用していく必要がある。

二、資本主義を、あたかも有害なもののように主張する政治家や煽動家たちの偏見に惑わされてはならない。

わが国は資本主義の国である。資本力によって発展を遂げてきた国である。自由とチャンスにも恵まれている。

ここで富を追求している私たちは、組織的資本のもたらす利益について十分理解していなければならない。

富を築き、それを合法的に所有する方法は、たった一つしかない。それは、人々に有益なサービスを提供することなのである。

大衆の力で獲得した富であっても、それが国民一人ひとりに自由と利益を確保できないものなら、それは人々を幸福にはできないのだ。

●富もチャンスも満ちあふれている

今日の先進諸国は、誠実でありさえすればどんな人にも富を築くチャンスと自由を平等に配分してくれる。

人は、狩りをしたければ獲物がたっぷりいる狩場へ行くだろう。それと同じように富を求めたいのなら富がたっぷりある国へ行けばよい。

たとえばアメリカの女性は、年間に数百万ドルの金銭を口紅や化粧品のために消費している。あなたが金儲けをしたいなら、この裕福さを見逃す手はなかろう。

もしあなたが金儲けをしたいなら、高額商品に喜んで金を出す人々のいるこの国から逃げ出すことはなかろう。忘れてはならないことは、これらは金儲けのための初歩的な例にすぎないということだ。

しかもこれらはそれほど重要な産業ではない。

それにもかかわらず、その生産や輸送や販売のために数百万人の人が仕事を得て、毎月何百万ドルもの給料を得ているのである。このことを甘く見てはならない。

特に注目すべきことは、これらの産業の陰にも人々が富を築くチャンスが存在していることである。私たちの自由は、そのチャンスをつかむことを妨げはしない。

商売を止めさせようとする者はいないのだ(新しいことをして、もし失敗したら……と気づかう身内の人々や、いつでも自分の仲間であってほしいというぬるま湯につかっている友人たちを除いては、だが)。

もし優れた才能を持った人や訓練・経験を積んだ人なら、これによって富を築こうとするだろう。希望を持たない人は金を稼ぐことはできない。

普通の労働で生活費を稼ぐのが精一杯といったところだ。さあ、それではあなたはどうするか。チャンスはあなたの目の前に広がっている。

まず第一歩を踏み出して、何をしたいのかを選び、計画を立て、行動を起こし、忍耐力を持ってねばり強くやり抜くことだ。

私たちのいる世界は、有益なサービスを提供する人には機会を保証し、そのサービスの価値に応じた富を得させてくれるのだ。

資本主義体制は、誰に対しても富を得る権利を侵害しない。ただし、何の努力もしない人には富を与える保証も約束もしない。

資本主義とは、経済の法則によってコントロールされているのであって、人々に何も与えない者が利益を得る、ということをいつまでも許しておくことはしないのだ。

エッセンス⑦

▼実践的な計画作りに必要な四つの原則に沿ってマスターマインドを形成すれば、あなたの実力の何倍もの力を発揮することができる。

▼互いに刺激し合える仲間と、同じ信念を持ち、共通の目標を持つことが大切である。

▼リーダーになるための一一の重要な条件を活用し、リーダー失格の一〇大原因を参考にして、消極的な考え方に陥らないようにする。

▼失敗を招く三〇の原因を一項目ずつチェックし、該当するものがあったらそれと闘い、勝利を得ることだ。

▼自己分析のための二八の質問に正確に答えることにより、あなたは成功への正しい軌道に乗ることができる。

▼今日の先進諸国には、誠実でありさえすればどんな人にも富を築くチャンスと自由がある。繁栄は資本力の上に築かれているが、その限りない資本力はあなた自身である。

▼成功にも失敗にも言い訳はいらない。

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