BuildYourWillpowerMuscle
意志力は筋力と似ています。筋肉は使わなければ衰えますが、意志力も使わなければ段々と弱くなっていきます。逆に、意志力を、定期的に正しい方法で使えば、少しずつ強くすることができます。これも筋力と同じです。
さらに、鍛えられた意志力は、目標をつかむための心強い味方になってくれます。
気の進まないことをして、意志力を鍛える
意志力を強くするためには、これまでにはやったことのない、気の進まないことを、自らの意志でやってみることです。
- ・間食でカロリーの高いスイーツを食べるのをやめる。
- ・毎日、腹筋運動を100回する。
- ・猫背になっていると気づくたびに、背筋を伸ばす。
- ・これまでやろうと思ってできなかったことに挑戦する。
要は何でもいいのです。大きな挑戦である必要はありません。
とにかく取り組む価値があると思うことを続けることです。何か新しいことに取り組むと、必ずやめたくなる瞬間があるはずです。サボりたくなったり、忘れたふりをしたくなったとしても、その衝動に負けずに、取り組み続けるのです。
まずひとつ新たに挑戦することを決めてください。
それをif thenプランニングしてみましょう。
例えば次のようにです。
①(if)もし、スイーツを食べたくなったら、②(then)ドライフルーツを最高3つまで食べる。最初はつらいはずです。でも問題ありません。すぐに慣れてくるからです。この「慣れ」がポイントです。
そして、新たな挑戦を1つから2つ、そして3つへと次第に増やし、その挑戦の難易度も上げてみてください。
すべての挑戦の共通点―それは「誘惑に打ち勝つ」必要があるということです。
禁煙しようと思ったら、喫煙の誘惑に打ち勝たなければなりません。ダイエットをしようと思うなら、大好きなドーナッツの魅力に打ち勝たなければなりません。部屋から物を減らそうと思うなら、ついつい買いたくなってしまう物の誘惑に打ち勝たなければいけません。
私たちの日常は、さまざまな誘惑でいっぱいです。職場での会議中には、自分のフェイスブックやメールをチェックしたり、携帯ゲームをしたい誘惑に駆られます。人によっては、無能な上司や同僚、部下に対して、怒りを爆発させたい誘惑に駆られているかもしれません。
こうした日常のちょっとした誘惑に対処するためには、その都度、意志力が必要になるのです。
意志力の科学
ここまでの話で不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
日常のさまざまなことすべてに意志力が必要だとすると「成功者とは、とてつもない意志力がある人」なのでしょうか。彼らは「鉄のように強い意志で、なにごとにも屈することなく努力し続ける人」なのでしょうか。必ずしも、そうとは言えません。
成功者というのは、あることでは成功した半面、普通の人以上に誘惑に弱い面もあるからです。
あなたが知っている成功者について考えてみてください。
その人は、何らかの弱さを抱えてはいないでしょうか。買い物中毒だったり、何回もダイエットに失敗したりしてはいないでしょうか。
国をリードするほどの意志力を持った人物が、たばこ一本の誘惑に打ち勝つことができない……こうした事実に大きな矛盾を感じるかもしれません。
しかし、心理学的には、なんの矛盾もありません。前述の通り、意志力には、筋力と似た性質があります。筋肉には、上腕二頭筋や上腕三頭筋といったようにいくつもの部位がありますが、意志力にもさまざまなものがあります。
さらに、もうひとつ注目すべきことは、筋力と同じように、意志力もその時々で発揮される力が変わるということです。
例えば、鍛え上げた上腕二頭筋の持ち主でも、激しいワークアウトをした後には、消耗して力を入れることができなくなります。意志力にも、まったく同じことが起きるのです。
職場や家庭でストレスにさらされたり、多くの意思決定が必要だったり、自分の印象を良くしようと思ったりすると、意志力は少しずつすり減ってきます。
意志力にも、重い負荷がかかったり、長時間負荷がかけ続けられたりすると、その力は疲弊します。
ドーナッツの誘惑が勝利を収めるのはそんなときです。ただし、こうした消耗は一時的なものです。
休ませれば筋肉が力を取り戻すのと同じように、意志力も、時間が経てば回復し、ドーナッツの誘惑に打ち勝てるようになるのです。
今すぐ意志力を回復させる方法
意志力が消耗したのに、ゆっくりと休んでいる時間がない─そんなときにも、良い方法があります。
「意志力が強い人」を思い浮かべると、それだけで意志力をパワーアップさせたり、回復を早めることができるということが、実験で証明されたのです。
例えば、私は、意志力が弱まったと感じたときには、どんなときにも取り乱すことのない冷静な母を思い浮かべることにしています。
そうすることで、他人に八つ当たりしたいようなときでも、大きな助けになってくれているのです。あるいは、意志力が弱まったと感じたら、自分へのごほうびに〝景気づけの一杯〟をあげる方法も有効です。
これは比喩的表現であって、本当にお酒を勧めているのではありません。実際、お酒が意志力を盛り上げてくれることはありません。
例えば、好きな音楽を聴いたり、お笑いのビデオを観たり、友人に電話をしたり、過去の成功体験を思い出したりなど、気分を盛り上げてくれることなら何でもいいのです。ゆっくり意志力が回復するのを待てないときには、こういった特効薬をぜひ試してみてください。
定期的な刺激で意志力を強くする
もうひとつの「意志力と筋力の共通点」は、どちらも定期的に刺激を与えることで、どんどん強くなるということです。
例えば、決めた時間にジムに行くこと。家計簿をつけたり、今日何を食べたかの記録をつけること。気がついたときに、背筋を伸ばす、といった簡単なことでも、続けることで自己抑制の力を高めることができます。
こんな研究結果があります。
ジムに入会し、2ヶ月間ジムに通い続けられた人は、健康を手に入れるだけではありません。同時に、喫煙者は喫煙本数を減らし、お酒を飲む人はその量を減らし、ファストフードが好きな人はそれを食べる量を減らしていました。
彼らは体を鍛えると同時に意志力を鍛えていて、その結果、衝動をコントロールすることが、前よりうまくできるようになっていたのです。
家庭でも、洗い物をそのままにすることが減り、面倒なことを後回しにすることも減り、約束をドタキャンすることも少なくなったのです。
意志力が関係するあらゆるところで、彼らの生活はドラマチックに向上しました。自分が達成したい目標に取り組むことで、同時に意志力も鍛えることができるのです。
研究によると、特に意志力を高める効果があったのは、次の例のようなものです。
・好きなスイーツを食べるのをやめる。
・汚い言葉を使うことをやめる。
・利き手ではない方の手を使って生活する。
・「私は」で話すことをなるべく避ける。
要は何でもいいのです。
誘惑に打ち勝って続ける価値のあるものなら、何でも試してみましょう。
「毎朝、ベッドを整える」とか「フェイスブック、ツイッターをする時間を決める」といったことでよいのです。
最初は大きな意志力が必要に感じても、いつしか楽々できるようになっている自分に気づいて、驚くことでしょう。
それほど意志力は訓練で高めることができるのです。
第7章のまとめ
1意志力は有限であることを意識する。
意志力は、使うと消耗するものです。意志力が尽きたと感じたら、少し休んでから、新たなことに取り組みましょう。
2〝特効薬〟で意志力の回復を早める。
・気分が上がることをする。
・自分をほめる。
・自分の周りの「鉄の意志」を持つ人を思い浮かべる。
3意志力を鍛える。
意志の力は日々の訓練で強くなります。まずは日常的な小さな目標に取り組んで、意志力を鍛えてください。
いつしか、大きな目標(例えば禁煙とかダイエットとか)に取り組む意志力が身につくはずです。
・毎朝、ベッドを整える。
・猫背になっていると気づいたときに背筋を伸ばす。
・エレベーターの代わりに階段を使う。
最初は、小さなことから始めてみましょう。
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