1─コンフリクトとは2─コンフリクトに対する一般的な反応3─コンフリクトと裁判4─合意(和解)のチャンスを逃さない5─コンフリクトを別の窓から見る(フレーミング)6─感情を自己認識する7─コンフリクトは氷山である8─人間の核心的欲求を理解する9─交渉相手に対する期待値を下げる10─裏口のドアを開けておく11─教養としての交渉学あとがき
参考文献項目索引カバー・イラスト──MichaelDBrown/Shutterstock.com
第7章対立を乗り越えて──コンフリクト・マネジメント1コンフリクトとはコンフリクトの特徴お互いが立場をぶつけ合い、相手を非難し、最終的には裁判に発展する、あるいは、国際紛争が、次第に話し合いによる解決を離れて、武力衝突、そして最後には全面戦争にまでエスカレートしてしまうような状況、すなわちコンフリクト(摩擦、対立)はいかに回避すべきでしょうか。
あるいは、発生してしまった深刻なコンフリクトの対立を、交渉によってどのように解決すればよいのでしょうか。
エスカレートするその前に、コンフリクトの特徴を理解する必要があります。
コンフリクトの特徴は、対立が簡単にエスカレートするということです。
そのため、事態が悪化すると歯止めがきかなくなります。
特に、紛争が民族や宗教そして国境を越えた国家同士の争いとなると、事態はさらに深刻になります。
文化や習慣の違いによってコミュニケーションのとり方は異なってきます。
そのような相違が、さらに相手に対する誤解と不信を助長するのです。
やめたくてもやめられないそして、対立する当事者同士は、頭の中では、紛争を解決したいと思っていてもやめられないという特徴もあります。
紛争の当事者は、このまま対立が激化すれば双方にとって何のメリットもないことはわかっているにもかからず、紛争をやめることができない、という状況に陥っているのです。
お互いが紛争や戦争を続けたいと思っているのであれば、それを解決することは不可能ですが、お互いがそろそろ紛争を解決したいと思っているにもかかわらず、なかなかやめられない。
これがコンフリクトをさらに複雑にしているのです。
このようにコンフリクトは、あっという間に最悪の事態にまで発展してしまいます。
さらに、紛争当事者は、問題解決のメリットをたいていは理解しているのです。
しかし、それでもなお、紛争をやめられないという状況に陥ってしまっています。
このコンフリクトの特徴を理解した上で適切な対応策を考える必要があるのです。
2コンフリクトに対する一般的な反応企業同士の紛争の場合はではビジネスの交渉を例に、コンフリクトの性質を分析しましょう。
たとえば、ある二つの会社が、いまから数年前に、新製品の開発のため、共同研究開発の契約交渉をしていたとします。
一般に、共同研究開発の話し合いのためにはお互いの技術についてある程度、情報を共有しなければいけません。
しかし、交渉がうまくいかないこともあります。
そこで、事前にある取り決めをするのです。
それが守秘義務契約です。
これは、お互いが交渉中に開示した情報を、交渉決裂後勝手に使わないという約束です。
この守秘義務契約を結んでおけば、法的には、交渉相手は交渉中に知り得た秘密情報を勝手に使うことができなくなります。
そしてこの交渉はうまくいかなかったとします。
交渉は物別れに終わってしまいましたが、守秘義務契約があるので、相手はまさかこのときに開示した技術を勝手に使うことはないだろう、と思っていたところ、この会社が、私たちの技術を使って新製品を開発したらしいという情報が入ってきたとします。
さて、どのように対応したらよいでしょうか。
戦うか、逃げるかこのような問題に直面すると、たいていの人は、次の二つの思考パターンのどちらかに陥ります。
ひとつは「闘争」です。
すなわち、この相手企業の契約違反を追及し、製品の差し止めや損害賠償請求のため、裁判所に訴えて、戦うことを決意します。
もう一つの反応は、回避(逃避)です。
このような問題の場合、この相手企業に対して裁判も辞さずに、文句をつけたいという気持ちは闘争と同じであるものの、やっかいな問題に巻き込まれたという意識の方が強いため、不快感の方が強くなります。
そのため、問題を早く処理したいという気持ちにかられます。
このように、「戦うか、逃げるか」という原始的な反応が、コンフリクトに対する一般的なパターンとなります。
この二つのパターンは、固定的なものではなく、闘争モードの人も、時には疲れて、回避モードになることもありますし、回避モードから一気に闘争モードになる場合もあります。
いずれにせよ、このような感情(情緒)的な反応が、実際の交渉の進め方に大きく影響することになるのです。
3コンフリクトと裁判裁判のメリット・デメリットお互いの守秘義務契約違反の話し合いは、さらに対立が激化し、裁判になったとしましょう。
私たちは、中立で公正な裁判官が適切な判断を下してくれることを期待し、法廷闘争で自分の正当性を主張しようとがんばることになります。
現実には、知的財産権の紛争、特に特許がからむような紛争では、訴訟での決着も少なくありません。
しかし日本では、仮に裁判になったとしても、最後まで争って、最高裁判所で決着がつく、といったケースはきわめてまれです。
実際は、裁判になってもその大半は和解で終わります。
これは訴訟社会と言われるアメリカも同様です。
アメリカの場合は、suefirsttalklater(訴えてから話し合う)という言葉もあるくらいで、裁判が交渉のきっかけに過ぎないと受け止められている場合も少なくありません。
和解の有効性なぜ、裁判になっても、その大半が和解で終了するのでしょうか。
その理由はいろいろとあります。
裁判を続けるにはお金がかかる、すなわち弁護士費用など訴訟費用の負担もあり、これも和解を選択する要因の一つでしょう。
ただし、訴訟と和解を比較すると、和解の場合はお互いがすべての合意案をコントロールできるのに対して、第三者である裁判官の判断は、途中から当事者のコントロールから離れ、裁判官の判決にゆだねなければならないという違いがあることも、和解を選択する大きな要因です。
裁判官は、もちろん公正さという意味では、信頼できるでしょう。
しかし、裁判官は、公正であるが故に、常に、私たちの言い分だけを聞いてくれるわけではありません。
私たちがどれほど正当な主張だと思ったとしても、裁判官がそのように受け取ってくれなければ、その主張は認められないわけです。
最後は当事者で解決しなければならない問題もあるさらに、裁判官が解決してくれるのは、法的な問題の解決です。
ビジネスの紛争では、法的なトラブルの解決はその一部にすぎません。
ビジネスのトラブルを解決するためには、裁判の結果だけではなく、判決が出た後でも、なお、当事者間で様々なビジネスの調整をする必要が出てくるのです。
このように、判決だけですべて問題解決できるような事案はともかく、多くのビジネス紛争では、最終的に全体的な解決を目指すことが多いので、裁判の最中でも、タイミングを見て、和解の交渉を始めることが合理的な選択肢になる場合が非常に多いのです。
さらに、ビジネスではスピードが大事です。
たとえば守秘義務違反の裁判で争っているうちに、大きなビジネスチャンスを逃してしまう、ということも少なくありません。
訴訟で勝っても、ビジネスで勝てなければ意味がないのですから、お互いに訴訟で勝った、負けたと一喜一憂しているだけは、済まされない場合もあります。
そこで、コンフリクトを効果的、効率的に、そしてできれば、少しでも短い期間で解決するためのコンフリクト・マネジメントのポイントを紹介しましょう。
4合意(和解)のチャンスを逃さない合意のチャンスはわずか多くのコンフリクトは、合意のチャンスを逃すことで、さらに悪化の道をたどります。
実際に多くの紛争では、最終解決への好機を見逃すことが非常に多いのです。
この好機を逃してしまうのは、自分たちが正義の戦士となってしまい、戦って勝利することを最優先に考えてしまっているからです。
コンフリクトにおいては、相手を不当だと批判し、こちらが正しいと主張したくなります。
相手は理不尽な人間で、悪意に満ちている、と思っていた方が、戦いやすいからです。
正論だけでは解決しないしかし、「他人に理を見いだそうと思わなくなるときは、すでに自分にも理はない」(『ラ・ロシュフコー箴言集』岩波文庫、1989年、156頁)という言葉に代表されるように、完全に相手が間違っていて、自分だけが正しい、という状況はあり得ません。
合意のチャンスが訪れたときは、「正しい・間違っている」という発想を超えて、「その合意にどのような利益があるのか」「あるいはリスクがあるのか」という視点に立って分析することが重要です。
コンフリクトの時は、「合意へのチャンスを逃してはいけない」(ハーバードマネジメントアップデート編集部『交渉力』ダイヤモンド社、2006年、141頁)という教訓を忘れず、交渉することが大切です。
あいつにだけは得をさせたくない次に、合意のチャンスを逃してしまうもう一つの要因は、「こんなところで和解するのは悔しい」とか、「相手に利益を与えるのは納得できない」という感覚です。
戦うことが無意味だとわかっていても、この衝動に駆られてしまうと、紛争はいつまでも続きます。
相手が完全に屈服するまで、自分の気持ちが収まらない、というこの感覚は、民族紛争などでは相当深刻であり、和解や停戦がいつも失敗する要素の一つです。
ビジネスの交渉でもこのような感覚にとらわれてしま
うことがあります。
ただし、民族紛争や、国家間のコンフリクトとは異なり、ビジネスの紛争の場合は、利益にフォーカスした問題解決に焦点を向けやすいといえます。
利益にフォーカスできるか利益にフォーカスするとは、このまま戦い続けることで失う利益と、ここで終結することで得られる利益を比較することです。
このとき、交渉相手の不愉快な態度や、尊大な言動、そして暴言といった態度を考慮しないようにします。
これは、民族紛争で対立し合う人たちの場合は、なかなか頭ではわかっていても感情的に理解することは難しいものです。
しかし、ビジネスのコンフリクトであれば、もう少し冷静に考えることができるのではないでしょうか。
紛争だからこそ利益にフォーカスすること、これを意識的に考えることが重要です。
5コンフリクトを別の窓から見る(フレーミング)問題のとらえ方は千差万別コンフリクトは、過去の事実に対する当事者の解釈の相違によって発生します。
そこで、コンフリクトの解決のためには、過去に目を向けている当事者の視点を未来へと切り替えることが大切です。
フレーミング人間は問題をある一定の視点から捉えようとします。
この問題に対する見方や解釈を、フレーミングといいます。
フレームとは窓枠のことです。
窓の位置によって物事の見え方が変わります。
このようにある物事に対する固定的な視点を変更しない限り、コンフリクトは解決できません。
「今」にフォーカス問題解決のためには、過去を見つめるフレーミングから、未来に焦点を合わせるフレーミングへの転換を図る必要があります。
たとえば、南アフリカの故ネルソン・マンデラ氏は、大統領就任に際して、報復ではなく未来に目を向けることで白人と黒人の融和を図ろうとしました。
アパルトヘイト(人種隔離政策)によって、差別されたという経験のある黒人と、差別する側だった白人との緊張を緩和するためには、過去ではなく、現在、そして未来に目を向けさせるしかないという考え方をとり、これを繰り返し唱えるだけでなく、大統領自身が、実践していきました(リチャード・ステンゲル『信念に生きるネルソン・マンデラの行動哲学』英治出版、2012年)。
私たちもコンフリクトに関しては、過去に目を向けてしまいがちです。
しかし、過去にではなく、未来に目を向けて問題解決を図る以外にコンフリクトの解決はあり得ないのです。
6感情を自己認識する感情の暴走交渉は感情によって左右されます。
コンフリクトでは、相手の発言よりも、相手の発言に対して自分がどう思ったかに焦点を合わせた方が問題解決に近づくことができます。
ここで大事なのは、自分の感情を抑圧してはいけないということなのです。
対立や摩擦に直面したとき、冷静さを失って感情的になることもあります。
その感情を押さえ込まなければならない、なんとか冷静に対処しなければ、と思えば思うほど、感情は自分の中で荒れ狂います。
このように、感情を止めることは不自然ですし、そもそも不可能なのです。
自己認識感情を押し殺そうとすればするほど、相手に対する批判につながってしまいます。
たとえば、「あの人は、性格が悪い」とか、「私のことを無能だと思っているのではないか」といった具合に、相手に対する悪い印象や不快感を評価につなげてしまうのです。
このように悲観的な認知構造に陥ってしまう思考構造から抜けだして、冷静に対処するためには、自分が、感情的になっていることを自己認識することが重要です。
感情マップたとえば、自分がいま感情のどの段階にいるのか、感情マップを使って分析することも効果があります(アン・ディクソン『それでも話し始めようアサーティブネスに学ぶ対等なコミュニケーション』クレイン、2006年、71頁)。
感情マップでは、今の自分は、不安、怒り、悲しみのどの部分にあるのかを自己認識します。
感情を自己認識すると、驚くほど冷静になるのです。
感情をコントロールするためには、感情的になっていることを認め、そしてそれを否定しないことが重要です。
自己認識がなければ、認知のバイアスから抜け出すことはできません。
「いま、交渉相手が無理な要求をしてくるので、不快な思いをしている」と素直に認めてみると、感情を相対化できるのです。
感情から偏見へ感情の自己認識を怠ると、感情から生まれた印象が次第に確信に変わり、最終的には偏見にと固定化されていきます。
「こんな無理な要求をする相手は、人間的に卑しい人間であるに違いない」というような決めつけです。
感情は自己認識することができますが、自分の中の偏見を自己認識するのは、はるかに難しいのです。
自分の感情を抑えずに、自己認識すること、そこから感情による負の側面を克服することができるのです。
7コンフリクトは氷山である最初の対立は氷山の一角コンフリクト・マネジメントでは、コンフリクトの全体像を把握することを重視します。
そこで、コンフリクトは氷山にたとえられます。
氷山で水上に現れている部分は、全体の10%程度でしかありません。
水面下に巨大な氷の塊が存在します。
コンフリクトも同じなのです。
現在、お互いに主張し合っている内容は、コンフリクトの一部でしかないのです。
実際には、コンフリクトの根は深いのです。
表面を削っても無駄しかし多くの交渉では、表面に現れた対立をコンフリクトのすべてだと勘違いします。
その結果、この「氷山の一角」を削り取ろうという安易な問題解決を図ろうとしてしまうのです。
氷山の場合、氷を削っても、下から新たな氷の山が浮かび上がるだけです。
コンフリクトも同様で、対症療法では、次々問題が浮かび上がってきます。
コンフリクトの大きさはどのくらいか?このように、解決を急ごうとするあまりコンフリクトの全体像を見誤ると、氷山に衝突して沈没したタイタニック号と同様に、コンフリクトの犠牲になってしまうのです。
そこで、対立軸を見つけた場合、解決策を考える前にまず、対立軸の根はどのくらい深いのかを探ることが重要です。
安易な対症療法に走らないこと、これがコンフリクト・マネジメントでは非常に重要となるのです。
8人間の核心的欲求を理解するコンフリクトに直面した時、ハーバード大学交渉学プログラムのダニエル・シャピロ博士が提唱する人間の核心的欲求への配慮が参考になります。
それは、相手の価値理解(Appreciation)、仲間として認められているというつながり(Affiliation)、意思決定の自由が保障されているという自律性(Autonomy)、自分
の置かれた状況(ステータス)をふさわしいと感じているか、そして、自分の役割に満足しているかという視点から交渉相手との関係性を分析しようとするものです(ロジャー・フィッシャー、ダニエル・シャピロ『新ハーバード流交渉術』講談社、2006年参照)。
コンフリクトは、人間の本質的欲求がほんのわずかでも満たされない時にその芽が生み出され、次第に大きくなっていきます。
このシャピロ博士のアプローチは、心理学の要素を取り入れた、新しいタイプの情動のマネジメントを提唱するものとして注目されています。
特に、交渉相手の価値を理解するという視点は、コンフリクトでは、非常に重要な発想となります。
そもそもコンフリクトとは、相手の価値を理解しない、無価値だと考えるか、無価値だと思い込みたい、という発想が生み出すともいえるのです。
この価値理解を、相手との対立の激しい状況で、すぐに実践することは難しいかもしれません。
しかし価値理解がない限り、相手との距離が縮まることはない、ということだけは頭の片隅に置いておく必要があるのです。
9交渉相手に対する期待値を下げる交渉相手に対する期待値コンフリクトをエスカレートさせる原因は、交渉相手ではなく、自分自身の中にもあります。
それは、私たちが抱く交渉相手に対する過剰な期待です。
交渉相手は、「誠実に交渉すべき」である、という期待がその代表例です。
それ以外にも、「時間通りに来るべきである」とか、「プレゼンテーションの資料は、ちゃんとカラーで印刷すべきである」といった些細な問題から、「私の提案は正当なのだから、受け入れるべきである」といった期待まで、私たちはいつも、交渉相手にいろいろなことを期待しています。
当然ながら、この期待を裏切られると腹が立ちます。
この相手に対する期待値がコンフリクトをいっそう複雑にする原因なのです。
期待値が高いと批判したくなる特に、「自分は、こんなにすばらしい解決策を提案しているのに交渉相手が合意しないのはおかしい」といった思いを抱くと、次第に交渉相手に対する期待は、交渉相手に対する非難に変わっていきます。
最終的には相手を否定する(「あいつは愚かだ」とか、「話が通じない」など)ことになるのです。
しかし、冷静に考えてみると、自分の提案が本当に相手にとって有益な提案となるのかどうか、という疑問もあります。
この背景には、交渉相手は合理的な内容の合意案を受け入れるべきである、という過剰な期待、思い込みがあるのです。
他にも、相手に非があるのだから、相手から謝罪すべきであるとか、交渉相手は、不合理な要求をすべきではないといった期待をしている人が多いのです。
期待値を下げるしかし、コンフリクト・マネジメントでは、このような過剰な期待を捨てましょう。
たとえば、こちらの意見に耳を貸さない、責任は明白なのに言い訳に終始する、「善処する」といっても何もしない、約束したことを守らない、批判と非難だけに終始して、建設的な解決策を拒否する、さらに、一度発言した内容について、「自分はそんなことは言っていない」とうそぶいて、同じ話を蒸し返すなど、交渉相手の不愉快な態度を列挙すればきりがありません。
人は簡単には変わらないこのような態度に直面したとき、この態度を改めさせようとしてはいけません。
また相手の態度を批判してもほとんど無駄です。
このような場合には、そのような態度をなかったことのように接して、通常の提案や質問を続けることです。
私たちは、結果だけがほしいのですから、この交渉相手を改心させるという困難なミッションを実現する義務はないのです。
あなたとの交渉だけで相手が突然誠実な人間に生まれ変わることなどあり得ません。
また相手にそこまで親切にしてあげる義務はないのです。
問題解決に目を向ける不愉快な交渉相手の態度に対しては、自分のミッションを再確認すると少し冷静になることができます。
すなわち、「この交渉で自分は何を得たいと思っているのか」というミッションを再確認するのです。
私たちの集中力を、交渉相手の不愉快な態度に振り向けてしまって疲弊するのではなく、問題解決、すなわち結果だけにフォーカスし続けることが大切です。
交渉相手に対する過度な期待は、実現不可能な完璧主義でしかありません。
交渉相手の誠実かつ礼儀正しい態度や、理想的な問題解決が実現できる合意案、さらに交渉相手との完全な和解や関係修復といったハードルの高い合意を目指す前に、相手に対する過度な期待を捨てて、現段階で最も損失の少ない解決策は何か、という結果に焦点を合わせましょう。
相手への期待値を下げると、交渉相手に対して寛容になります。
そもそも相手に期待していないのだから、少々の不快な態度や、交渉の進展を妨げる相手のミスも気にならないのです。
このような態度で接していると、問題解決の糸口を見逃すことが少なくなります。
交渉相手の表面的態度に振り回されないためには、あえて、相手への期待値を下げてみることが大切なのです。
10裏口のドアを開けておく決裂=没交渉、を避ける交渉では、お互いの意見の対立が激しくなると、途中で交渉決裂の危機に見舞われます。
ただし、そのまま交渉が決裂してしまうと、問題解決の機会を失うことになります。
このような場合であっても、お互いが話し合いによって問題解決をする機会を復活させることが重要です。
二人の弁護士紛争解決の二つのアプローチを、アメリカの弁護士のスタイルを参考に二つのアプローチに分類して理解する考え方があります。
まず最初は、法廷弁護士(Litigator)タイプです。
アメリカでは、法廷弁護士の人気は高く、そして法廷弁護士の華々しい弁論や、対立する当事者への厳しい追及、論理的な反証は、よくテレビドラマにもなっています。
この法廷弁護士は、法廷で自分の意見を堂々と主張し、徹底して相手の主張を覆していく、すなわち、闘争型の交渉スタイルを代表します。
紛争解決では、このような法廷弁護士的なアプローチもとても大切です。
和解への道そして、もう一つの弁護士のタイプが、和解交渉の弁護士(SettlementCounsel)です。
お互いに最適な和解条件をひたすら考える弁護士というイメージです。
当事者と会議室や、時には、ちょっとした雑談の機会を利用して和解を探っていくというイメージになります。
これが裏口のドアからのアプローチです。
お互いが激しく意見をぶつけ合っている表舞台から一歩引いて、水面下では和解の可能性を探っていくのです。
もちろん訴訟の状況が、和解交渉にも影響しますので、両者の関係を完全に切り離すことはできません。
しかし、表舞台での激しい議論とは距離を置いて、全体の状況を見ながら、和解を探ること、このアプローチこそ、コンフリクト・マネジメントでは非常に重要なアプローチなのです(RobertH.Mnookin,BeyondWinning:NegotiatingtoCreateValueinDealsandDisputes(BelknapPr2004)p.181)。
裏口のドアを開けておく裏口のドアを開けるという発想は一見簡単なように見えます。
しかし、お互いの感情的な対立が激しいときには、これを実践するのは難しいのです。
ビジネスの交渉でも、紛争が悪化すると、相手との交渉それ自体に消極的になる傾向が見られます。
このような時にこそ裏口のドアを開け、何らかの接触の機会を常に探るようにすべきです。
例えば、先程のキューバ危機の場合でも、ロバート・ケネディ司法長官と、ドブルイニン・ソ連大使はまさに裏口のドアを開けて交渉しました。
この交渉の場では、ミサイルを撤去するか否か、という二分法の議論というよりは、むしろ、どうすれば、ソ連がミサイルを撤去できるのか、という観点から、提案がなされています。
この会談の中では、キューバからミサイルが撤去された後、この撤去に対する交換条件としてではないという形をとることを条件に、数ヶ月後、トルコに配備しているジュピター・ミサイルを撤去してもよい、というケネディ側の提案が秘密裏に行われました(フレドリック・スタントン『歴史を変えた外交交渉』原書房、2013年、258頁)。
このように、外交交渉に限らず、ビジネス交渉でも、対立が激しい交渉の場合は、お互いが徹底的に主張を繰り広げうる状況と、冷静に和解の可能性を探る状
況の二つが交錯しながら効果的な問題解決を探っていくのです。
裏口のドアは小さくするなお裏口のドアを開け、相手と交渉する場合は、できるだけ交渉担当者の人数を制限した方がよいでしょう。
またこのような交渉の際の話し合いについては、自由な議論を喚起するため、発言内容を公表したり、公の場で問題にしたり、さらには、その際の交渉の話し合いを盾にとって強行に和解を迫るといった態度は、さらに紛争を悪化させることになります。
このように裏口のドアを開けて交渉する姿勢を見せながら、コンフリクトは、硬軟両面で解決していくものなのです。
11教養としての交渉学交渉の時代21世紀になり、世界情勢は大きく変化し続け、日本を取り巻く状況はますます混沌としています。
今までの価値観が大きく変わっていく中で、日本企業そして日本政府、そして日本人自身が、グローバルな世界に向けて、自分たちの立場や主張を正確に伝える必要性があります。
そしてグローバルな社会の中で、自分たちの主張と他の国々の主張をぶつけ合い、ときには意見が対立し論争になることを恐れず、最終的には建設的な合意に結びつける力、交渉力がまさに求められているのです。
発想の転換が必要しかし日本では、まだまだ交渉の本質が十分に理解されているとはいえません。
私たちは、交渉によって問題を解決することよりも、むしろ交渉することなく自分たちが努力すること、たとえば、「多くを語らず、黙々とやるべきことを実行する」ほうが、好ましいという発想にとらわれてしまうことがあるからです。
日本人は多くを語らないこと、言葉ではなく態度で示すことを重視するあまり、言葉を使って、自分の立場を主張したり、相手の提案に意見や質問をしたりすることそれ自体を、潔しとしない傾向があります。
しかし、このような日本人の感覚それ自体が、グローバルな交渉では、マイナスになることも少なくありません。
対立も交渉の一部であるまた、日本人の美徳として、相手の気持ちを察するというすばらしい資質があります。
これは、交渉においても重要な能力です。
ただし残念ながら、グローバルな交渉では、こちらの善意は、言葉にしなければ通用しないと考える必要があります。
そして、単に相手に言葉で伝えるだけでは足りないのです。
むしろ重要なのは、こちらの考えを伝え、相手の意見を聞き、そこで議論することなのです。
たとえば、「この提案は、交渉相手にとって利益がある、したがって、当然相手もこれは理解してくれるはずだ」と思って交渉しても、おそらく、私たちの意図したとおりに相手が理解してくれることのほうが少ないでしょう。
グローバルな交渉では、我々の立場や主張を理解してもらうためには、私たちが想像している以上に、たくさんの言葉が必要とされるのです。
そして交渉や対話の場では、時には、私たちにとって、全く理不尽としか思えない批判や反論に直面することもあります。
グローバルな交渉では、このような理不尽な批判や反論に対して、毅然と論争を挑み、相手との対話を続ける必要があります。
対立という不愉快な状況に直面しても、その場にとどまり続けることが求められるのです。
対決する勇気グローバルな交渉では、相手からの理不尽な批判や、事実に反する説明に対しては、矛盾を追及し反論するのが常識です。
これに対して、その程度のことで反論するのは「大人げない」と考えてしまう姿勢では、一方的に不利な状況に陥ります。
相手がそのような批判をやめるまで反論し続ける、対決する勇気が必要な場合も出てくるのです。
一般に、国際的な交渉では、反論しないことは認めたことになってしまう危険性があるのです。
さらに一回だけの反論では、反論している、とはみなされません。
このように自らの立場を守るためには、言葉による闘争を挑む必要があります。
誹謗中傷はしないグローバルな交渉では、相手の文化や宗教の内容をジョークにしたり、批判的なコメントをすることはタブーです。
これは皆さんもご存じだと思います。
しかし、生半可な世界史の知識があったりすると、つい口を滑らせてしまうので注意が必要になります。
交渉相手が、そのアイデンティティのよりどころとしている価値の源泉を侮辱してしまうことは、宣戦布告に等しい行為です。
このような相手の文化に配慮しない発言を平然としてしまうような交渉は、全く品位を欠く交渉スタイルなのです。
これが私たちに振り向けられたときの対応も重要です。
すなわち、私たちがこのような侮辱を受けたときは、毅然と抗議し、この不愉快な状況に正面から対峙することを忘れてはなりません。
交渉力という教養の必要性私たちは、交渉学は品格のある対話力を身につけるための教養の一つだと考えています。
単なる詭弁(レトリック)でもなく、心理戦術だけで終始するわけではないという、問題解決のための交渉学は、これから日本が、グローバル社会の中で、その強みを発揮するための不可欠な基礎教養です。
そして、日本人には「三方よし」の発想に見られるように、効果的な交渉スタイルを習得しやすいメンタリティを持っています。
問題は、グローバル社会では、その三方よしを発揮するためには、それなりの戦略性が求められるということなのです。
したがって、交渉学の方法論を身につけることができれば、交渉力が日本にとって大きな力になるはずです。
交渉力を鍛えるにはそこで交渉力とは、まず、①対立にあわてず、適切に自己主張し、相手の価値を理解する努力を継続すること、そして、②表面的な態度や、脅し、ごまかしに惑わされず、真意を見抜き、毅然と対応すること、③交渉相手の圧力に屈して安易に譲歩せず、時には、意見の対立を恐れず議論し続けることができること、最後に、④どれほど対立的な状況が深刻化したとしても、最後まで対話による問題解決をあきらめないこと、という四つの交渉姿勢をあらゆる状況下で維持することができる能力を意味します。
このような交渉力は、交渉学を体系的に学習することによって習得することができます。
では、どのような学習方法が効果的でしょうか。
もちろん、交渉学の研修や授業を受講することで効率的に習得することができると思います。
しかし、まず自分で学習したい、という場合は、本書の内容を次のように実践してみることをおすすめします。
まず、必ず交渉前の準備段階で準備の内容を簡単にメモし、それを交渉結果と照らし合わせてみてください。
このフィードバック型の学習は効果的です。
次に、たとえば、大型合併の交渉のニュースや、外交交渉の新聞記事を読み、交渉学の視点から分析してみることも効果的です。
交渉学の視点から、この交渉はどのように評価できるだろうかと考えてみたり、当事者の立場で今後の展開をシミュレーションしてみると、交渉学のポイントを整理することができます。
このように、交渉学という視点から世界を見つめ直すこと、それが交渉力という教養を強化する第一歩になるのです。
あとがき今から30年前、私はハーバード・ロースクールに留学し、日本では思いもつかない授業、しかも大変な人気授業であった交渉学を受講しました。
そして、その衝撃を今でも鮮明に覚えています。
徹底した模擬交渉中心の授業によって、私の学問に対する考え方も劇的に変わりました。
その学びを胸に刻み込み、帰国した私は、日本でこの分野の普及を考え、隅田先生と共に日本版交渉学の研究開発を進めました。
独自に開発した模擬交渉の実証実験やヒアリングによって、教育プログラムを作りました。
そして、2000年にオープンした慶應丸の内シティキャンパスで、社会人向けの交渉学教育を行う機会を得たのです。
幸い、この研修は大変好評となり、現在も続いています。
交渉学が必要とされていることを私たちは実感しました。
そして、交渉学教育の普及には、もうひとつ、大きな意味があります。
それは、交渉学とは、単なる表面的な駆け引きやだましあいの技術を教えるものではなく、創造的問題解決の方法論を研究する学問であることを紹介できたということです。
私は、交渉相手の価値を理解し、双方が満足できる合意を目指す交渉学は、新しい教養だと考えています。
慶應義塾の創始者である福澤諭吉は、「気品の泉源、智徳の模範」という言葉を残しました。
日本人は、教養といえば知識を重んじ、それは福澤の言葉でいえば「智徳」を重視する傾向があります。
しかし、教養人には、「気品」が智徳とともに必要なのです。
ちなみに、古代ギリシャの時代から、教育の原点は、リベラルアーツ(教養)教育でした。
そこでは、修辞学、弁証法等によって、論理思考、対話と議論の技法を学びます。
「気品の泉源、智徳の模範」のバランスが大切なのです。
しかし、残念ながら、知識と対話のバランスを重視した教育は、社会人向けの研修では重視されるものの、大学ではあまり重視されてきませんでした。
このことは今後の日本の高等教育を見直す際に考えるべきことかもしれません。
とはいえ、交渉学への取り組みは、次第に実を結びつつあります。
2年前から慶應義塾大学法学部では、交渉学は正式な授業になりました。
しかも受講生は2年目で約460名に増え、230組がペアになって模擬交渉を行うという壮大な授業に発展しました。
授業の運営は大変ですが、この授業を大切に育てていきたいと思っています。
このように「もう一つの教養」としての交渉学が着実に普及すること、そして本書がその一助となればと思っています。
2014年2月著者を代表して田村次朗
参考文献第1章交渉を失敗させる三つの誤解・交渉を成功させる三つの原則ロイ・バウマイスター『意志力の科学』(インターシフト2013)GettingtoYes(RogerFisher,WilliamL.Ury,BrucePatton,GettingtoYes:NegotiatingAgreementWithoutGivingIn,PenguinBooks;Revised版(2011)(翻訳として、ロジャー・フィッシャー、ウィリアム・ユーリー『ハーバード流交渉術必ず「望む結果」を引き出せる!』(三笠書房2011)、旧版の翻訳として、ロジャー・フィッシャー、ブルース・パットン、ウィリアム・ユーリー『新版ハーバード流交渉術』(阪急コミュニケーションズ1998)アブナー・グライフ『比較歴史制度分析』(NTT出版2009)ハイディ・グラント・ハルバーソン『やってのける~意志力を使わずに自分を動かす』(大和書房2013)チップ・ハース、ダン・ハース『決定力!:正解を導く4つのプロセス』(早川書房2013)印南一路『ビジネス交渉と意思決定脱“あいまいさ”の戦略思考』(日本経済新聞社2001)岡ノ谷一夫『「つながり」の進化生物学』(朝日出版社2013)ウィリアム・ユーリー『決定版ハーバード流“NO”と言わせない交渉術知的生きかた文庫』(三笠書房1995)マイケル・トマセロ『コミュニケーションの起源を探る』(勁草書房2013)一色正彦、高槻亮輔『売り言葉は買うな!ビジネス交渉の必勝法』(日本経済新聞出版社2011)一色正彦、田上正範、佐藤裕一『理系のための交渉学入門交渉の設計と実践の理論』(東京大学出版会2013)第2章感情と心理バイアス、そして合理性ポール・エクマン『顔は口ほどに嘘をつく』(河出書房新社2006)D.M.ブッシュ、M.フリースタット、P.ライト『市場における欺瞞的説得―消費者保護の心理学』(誠信書房2011)リー・コールドウェル『価格の心理学なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?』(日本実業出版社2013)フレドリック・ヘレーン『スウェーデン式アイデア・ブック』(ダイヤモンド社2005)池谷裕二『自分では気づかない、ココロの盲点』(朝日出版社2013)ダニエル・カーネマン『ファスト・アンド・スロー(上・下)』(早川書房2012)加藤昌治『考具─考えるための道具、持っていますか?』(TBSブリタニカ2003)香西秀信『反論の技術―その意義と訓練方法』(明治図書出版1995)香西秀信『論より詭弁反論理的思考のすすめ』(光文社新書2007)香西秀信『論理病をなおす!―処方箋としての詭弁』(ちくま新書2009)香西秀信『レトリックと詭弁禁断の議論術講座』(ちくま文庫2010)パオロ・マッツァリーノ『反社会学講座』(イースト・プレス2004)ドミニク・J・ミシーノ『NYPDNo.1ネゴシエーター最強の交渉術』(フォレスト出版2005)野矢茂樹『新版論理トレーニング』(産業図書2006)スティーヴン・トゥールミン『議論の技法トゥールミンモデルの原点』(東京図書2011)SusanWeinschenk『インタフェースデザインの心理学―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針』(オライリージャパン2012)第3章パワープレーを打ち破るにはアラン・ダーショウィッツ『ハーバード・ロースクールアラン・ダーショウィッツ教授のロイヤーメンタリング』(日本評論社2008)ガイ・ドイッチャー『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』(インターシフト2012)アン・ディクソン『それでも話し始めようアサーティブネスに学ぶ対等なコミュニケーション』(クレイン2006)ジャニーン・ドライヴァー、マリスカ・ヴァン・アールスト『FBIトレーナーが教える相手の嘘を99%見抜く方法』(宝島社2012)スーザン・フォワード『となりの脅迫者』(パンローリング2012)レイ・ハーバート『思い違いの法則:じぶんの脳にだまされない20の法則』(インターシフト2012)クリストファー・ハドナジー『ソーシャル・エンジニアリング』(日経BP社2012)平田オリザ『演劇入門』(講談社現代新書1998)平田オリザ『わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か』(講談社現代新書2012)A.R.ホックシールド『管理される心―感情が商品になるとき』(世界思想社2000)サム・サマーズ『考えてるつもり──「状況」に流されまくる人たちの心理学』(ダイヤモンド社2013)ダグラス・ストーン,ブルース・パットン,シーラ・ヒーン,ロジャー・フィッシャー『話す技術・聞く技術―交渉で最高の成果を引き出す「3つの会話」』(日本経済新聞出版社2012)第4章交渉戦略を立案する──事前準備の方法論ジム・キャンプ『交渉は「ノー!」から始めよ─狡猾なトラに
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部編『「交渉」からビジネスは始まるHBRアンソロジーシリーズ』(ダイヤモンド社2005)ハーバードビジネススクールプレス『ハーバード・ビジネス・エッセンシャルズ〈5〉交渉力』(講談社2003)樋口範雄『はじめてのアメリカ法補訂版』(有斐閣2013)マイルズ・L・パターソン『言葉にできない想いを伝える非言語コミュニケーションの心理学』(誠信書房2013)HowardRaiffa,JohnRichardson,DavidMetcalfe,NegotiationAnalysis:TheScienceandArtofCollaborativeDecisionMaking(BelknapPress2003)ポール・シューメーカー『ウォートン流シナリオ・プランニング』(翔泳社2003)ウッディー・ウェイド『シナリオ・プランニング──未来を描き、創造する』(英治出版2013)第5章交渉をマネジメントするロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器なぜ人は動かされるのか』(誠信書房2007)ロバート・B・チャルディーニ他『影響力の武器コミック版』(誠信書房2013)N.J.ゴールドスタイン,S.J.マーティン,R.B.チャルディーニ『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣』(誠信書房2009)ジョン・S・ハモンド、ラルフ・L・キーニー、ハワード・ライファ『意思決定アプローチ分析と決断』(ダイヤモンド社1999)スティーブン・P・ロビンズ『もう決断力しかない─意思決定の質を高める37の思考法』(ソフトバンククリエイティブ2004)スティーブン・P・ロビンズ『【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ』(ダイヤモンド社2009)スティーブン・P・ロビンズ『マネジメントとは何か』(ソフトバンククリエイティブ2013)フランク・ローズ『のめりこませる技術─誰が物語を操るのか』(フィルムアート社2012)ゲーリー・スペンス『議論に絶対負けない法─全米ナンバーワン弁護士が書いた人生勝ち抜きのセオリー知的生きかた文庫』(三笠書房1998)ジェームズ・スロウィッキー『「みんなの意見」は案外正しい』(角川書店2006)クリストファー・ボグラー,デイビッド・マッケナ『物語の法則強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術』(アスキー・メディアワークス2013)第6章最高の合意を作り出す交渉の進め方マックス・H.ベイザーマン,ドン・A.ムーア『行動意思決定論―バイアスの罠』(白桃書房2011)マックスH.ベイザーマン,マイケルD.ワトキンス『予測できた危機をなぜ防げなかったのか?―組織・リーダーが克服すべき3つの障壁』(東洋経済新報社2011)ギュスターヴ・ル・ボン『群集心理』(講談社学術文庫1993)IrvingL.Janis,Groupthink:PsychologicalStudiesofPolicyDecisionsandFiascoes(HoughtonMifflinSchool1982)ロバート・キーガン,リサ・ラスコウ・レイヒー『なぜ人と組織は変われないのか―ハーバード流自己変革の理論と実践』(英治出版2013)スタンレー・ミルグラム『服従の心理』(河出文庫2012)A・オズボーン『創造力を生かすアイデアを得る38の方法新装版』(創元社2008)マイケル・A・ロベルト『決断の本質プロセス志向の意思決定マネジメント』(英治出版2006)マイケル・A・ロベルト『なぜ危機に気づけなかったのか―組織を救うリーダーの問題発見力』(英治出版2010)トーマス・シーリー『ミツバチの会議なぜ常に最良の意思決定ができるのか』(築地書館2013)ウィリアム・L・ユーリ、ステファン・B・ゴールドバーグ、ジーン・M・ブレット『「話し合い」の技術─交渉と紛争解決のデザイン』(白桃書房2002)第7章対立を乗り越えて──コンフリクト・マネジメントマックス・H・ベイザーマン、マーガレット・A・ニール『マネジャーのための交渉の認知心理学─戦略的思考の処方箋』(白桃書房1997)ケヴィン・ダットン『サイコパス秘められた能力』(NHK出版2013)ロジャー・フィッシャー、ダニエル・シャピロ『新ハーバード流交渉術』(講談社2006)ディーパック・マルホトラ,マックス・H・ベイザーマン『交渉の達人』(日本経済新聞出版社2010)ヘールトホフステード,ヘルトヤンホフステード,マイケルミンコフ『多文化世界違いを学び未来への道を探る原書第3版』(有斐閣2013)RobertH.Mnookin,ScottR.Peppet,AndrewS.Tulumello,BeyondWinning:NegotiatingtoCreateValueinDealsandDisputes(BelknapPress2004)RobertH.Mnookin,BargainingwiththeDevil:WhentoNegotiate,WhentoFight(Simon&Schuster2010)マーサ・ヌスバウム『感情と法現代アメリカ社会の政治的リベラリズム』(慶應義塾大学出版会2010)フレドリック・スタントン『歴史を変えた外交交渉』(原書房2013)リチャード・ステンゲル『信念に生きるネルソン・マンデラの行動哲学』(英治出版2012)
項目索引アルファベットBATNAWin-Win交渉ZOPAあ行悪魔の代理人当て推量アンカリング裏口のドアおねだり戦術オプションか行核心的欲求感情感情マップ詭弁協議事項教養としての交渉学グループダイナミックス賢明な合意合意合意(和解)のチャンス合意のバイアス合意への過度な期待交換条件交渉相手に対する期待値交渉戦術への対応策交渉の基本構造交渉のマネジメント合理性コンフリクトさ行再交渉最後通牒戦術(タイム・プレッシャー)裁判のメリット・デメリット三方よし自己正当化(事前)準備質問力集団極性化
集団的浅慮状況(の)把握譲歩心理バイアス選択肢た行・な行ターゲティング退路を作る対話強み提示金額ディフェンス(守り)デフォルト化ドア・イン・ザ・フェイス戦術二分法は行はぐらかしパワープレーパワープレーヤーヒューリスティクスファイブ・ステップ・アプローチフット・イン・ザ・ドア戦術フレーミングま行・や行ミッション物語モンスター(化)約束のマネジメント揺さぶりよい警官・悪い警官戦術(グッド・コップ、バッド・コップ)ら行・わ行ラベリング利益にフォーカス利害の一致立証責任留保価格ロジック論理の構造和解の有効性
田村次朗(たむら・じろう)慶応義塾大学法学部卒、ハーバード・ロースクール修士課程修了、慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程。
ブルッキングス研究所、アメリカ上院議員事務所客員研究員、ジョージタウン大学ロースクール兼任教授を経て、現在、慶応義塾大学法学部教授、弁護士。
ハーバード大学国際交渉学プログラム・インターナショナル・アカデミック・アドバイザー。
ホワイト&ケース法律事務所特別顧問。
<著書>『交渉の戦略』(ダイヤモンド社)、『ビジュアル解説交渉学入門』(共著、日本経済新聞出版社)、『独占禁止法』(共著、弘文堂)、『ハーバード&慶應流交渉学入門』(中公新書ラクレ)ほか。
隅田浩司(すみだ・こうじ)慶應義塾大学法学部法律学科卒、同大学院法学研究科修士課程、後期博士課程修了(博士〈法学〉)。
東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を経て、現在、東京富士大学経営学部経営学科(大学院経営学研究科)教授。
金沢工業大学大学院工学研究科知的創造システム専攻客員教授。
慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所(GSEC)客員研究員。
専門は、経済法、国際経済法、交渉学。
<著書>『プロフェッショナルの戦略交渉術―合意の質を高めるための31ポイント』(日本経団連出版)、『ビジュアル解説交渉学入門』(共著、日本経済新聞出版社)ほか。
戦略的交渉入門電子書籍データ作成日2018年1月25日第1版著者田村次朗隅田浩司発行者金子豊発行所日本経済新聞出版社東京都千代田区大手町1‐3‐7〒100‐8066電話(03)3270‐0251(代)http://www.nikkeibook.com/《この電子書籍について》●おことわりこの電子書籍は、2017年3月14日に印刷物として発行された『戦略的交渉入門』(1版3刷)を底本として制作しました。
この電子書籍では、技術上の制約により一部の漢字を簡易慣用字体やカタカナで表記している場合があります。
ご覧になる端末機器や、著作権などの制約上、写真や図表など底本の一部の項目をやむなく割愛していることがあります。
また、端末機器の機種や搭載フォントの違いにより、表示に差が認められることがあります。
この電子書籍は、縦書きでレイアウトしています。
あらかじめご了承ください。
●禁止事項この電子書籍は著作権法などによって著作物として保護されています。
著作権者または日本経済新聞出版社から許諾を得ずに利用できるのは、私的使用、引用など、著作権法上の例外規定の範囲に限られます。
著作権者らの許諾を得ずに、複製、公衆送信、翻訳・翻案などを行うことは禁じられています。
コメント