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第6章自分の妻へのほめ言葉

目次

「家事のプロとしての妻」と「女性としての妻」に分類しよう

ここまで本書を読んでこられたあなたは、もはや「ほめる達人」へのパスポートを手に入れたも同然です。

アダム式2段階ぼめを習得することによって、あなたの周りには、ほめ合う喜びに目覚めた女性たちの笑顔の輪が広がっていくことをお約束しましょう。

ただ、今までご紹介したほめ方が必ずしもベストとは言えない対象もあります。ほめてあげたほうがいいことはわかっていても、実はもっともほめにくい相手。そう、自分の妻をほめるときのテクニックです。

これまでのテクニックは、相手との関係にある程度距離があり、その距離をほめ言葉によって縮めることを目的としてきました。

一方、夫と妻という関係は一心同体とまでは言わなくとも、ある意味、運命共同体であるとは言えるでしょう。

もともと距離のない相手ですから、一般の女性をほめる場合とはテクニックやポイントがかなり違ってきます。

既婚者はぜひ、円満な夫婦関係のためにこの章を熟読してください。できるだけ具体的、実践的にご紹介していきます。

私のもとへカウンセリングを受けに来られるダンナ様に、私はいつも「奥様をいっぱいほめてあげてください」とアドバイスするのですが、ほとんどの方は「毎日、顔を突き合わせていて、性格はもちろん、持ち物やその趣味もわかりきっているのに、今さらどこを、どうほめればよいのか」と頭を抱えられます。

あまりにも近い存在であるがゆえに、さまざまな要因がないまぜになって複雑に考えてしまう。かといって、ほめる代わりに、欧米人のようにいつも愛の言葉をささやくなんてマネはとてもできない、ですよね。

ではどうすればいいか。答えは簡単です。複雑なものは単純になるまで分ければいいのです。まず、奥様を2つに分けてください。

ひとつは「家事のプロとしての妻」、もうひとつは「女性としての妻」です。

家事に精を出している妻をほめつつ、その姿から女性としての魅力を探してほめるというのは至難の業です。

もしくは相当にマニアックなほめ方になってしまいます。ここははっきりと区別してください。2つに分けた妻のそれぞれを、しっかりとほめていけばよいのです。

「家事のプロとしての妻」をほめる

奥様が専業主婦であれ、仕事を持つ主婦であれ、日本の場合、家事の大半は奥様の役目であることが多いでしょう。

私の妻は専業主婦なのですが、たまに家事を手伝ってみると、その労力の大変さ、細かさ、効率の重要さには本当に驚かされます。

こんなこと、よく毎日やっているなあと素直に頭が下がります。夫が仕事に励んでいる間、妻は妻で家事という世界で戦っているのですね。これをねぎらい、感謝し、そして上手にほめてあげようではありませんか。

夫婦間のほめ言葉のコツは「シンプル・イズ・ベスト」です。単純でストレートなほめ言葉こそ効果的。家事の種類ごとに分けると、ほめやすくなります。

料理をほめる

料理を作ってくれた人に対しての最大級の賛辞はやはり、「おいしかった」に尽きます。

妻へのほめ言葉はストレートであるほうが効果的ですので、そのひと言でも十分なのですが、ただ毎日「おいしい」「おいしい」だけでは、相手もそのうち慣れてしまい、ほめられていることを忘れてしまうもの。

そこでひとつ、いい手があります。毎回、なにがとくにおいしいのかをしっかり決めて、それをほめてください。

「この肉じゃが、おいしいなあ」「今日の味噌汁、とくにうまいなあ」「から揚げがすごくおいしかったよ」たったこれだけで、ほめ言葉にリアリティが生まれます。

気持ちの入ったほめ言葉になるのです。

料理を特定することにより、ほめてもらった妻のほうも「ちゃんと味わった上でほめてくれたのだ」と思うはずです。

今夜からは、食卓に料理が並んだら、「今日はどれをほめようか」なんてワクワクしながら箸をつけてください。

そんな気持ちでいただくと、妻の手料理も一層おいしく感じられるから不思議です。この基本テクニックになれたら、次はさらに具体的にほめていきます。

品名ではなく料理法、「おいしい」ではなくより豊かな表現にトライしてみましょう。

「この肉じゃがの煮方は5つ星だね」「この魚の焼き具合なんて、料亭に出しても通用するよ」「このパスタのゆで加減、う~ん絶妙!」「このご飯の盛りつけ、いやあ芸術的だなあ!」先ほど料理法といいましたが、なにも専門用語を使う必要はありません。

煮方、焼き具合、盛りつけ方といった程度でも十分なのです。また、多少大げさな表現でも、それだけでは冗談ぽくなってしまいますが、具体的な言葉を織り込むことでリアリティのある素敵なほめ言葉になります。

たとえちょっと焦げていたとしても、「この魚、焼き過ぎじゃないか」などと言っては、相手を傷つけるだけで事態は好転しません。あえて笑顔で、その焼き具合をほめてあげてください。

そのあとで、付け足すように「もう少し、軽めに焼いてもいいかもね」とさりげなく希望を伝える。そうすれば次に焼き魚が並んだときには、きっと美しい焼き色になっているはずです。

日本の妻はほめれば伸びる

例えば、あなたが描いた自慢の絵を知り合いの画家に見てもらったとします。するとその画家は「これは傑作だ。とても素人とは思えない」と大絶賛してくれました。

「とくにこの赤と緑の配色が素晴らしい。また描いたら、ぜひ見せてください」とまで言われて、あなたは有頂天です。

そこで、その画家がひと言付け加えるように「ただ、この背景がもう少し薄いと、もっとよくなるかもしれないなあ」とアドバイス。

どうでしょう。次に絵を描くときには、背景の濃淡に気をつけようと素直に思われるのではないでしょうか。

これが、絵を見せたときに開口一番、「もう少し背景が薄いといいかもね」なんて言われたら、そのことがショックで、いくらそのあと「でもすごくよく描けてるよ」なんてほめられても、ほめられた気がしないと思いませんか。

ほめる前に要求を言えばそれは文句となり、ほめたあとに言えばそれはアドバイスになる。そのことを忘れずに、妻を上手にほめて育てましょう。

夫婦の関係は生活に密着していますから、自分の希望、要求を上手に伝えて事態を好転させていく技術も不可欠です。

もう少し例をあげます。

前述のようにストレートな「ほめて育てる」方法が難しい場合もあるでしょう。私の場合は、イタリアンでした。

家庭料理とはつまり、田舎料理でもあるわけですが、私の妻はもともと能登半島の農家の娘だったこともあって、結婚した当初から彼女の田舎料理は実においしかった。

とくに能登の伝統的な魚醤、いしりを使ったナスや大根の煮物はもう絶品。私も「一流料亭に出しても通用する」などとほめていました。

反面、彼女は洋風の料理が苦手だったのです。それゆえにどうしても連日、田舎料理ばかりになってしまう。

私としてはイタリアンやフレンチなども食べたいのですが、一生懸命に料理をしてくれている彼女の姿を見ると、「明日はパスタがいい」なんて言えません。

そこでどうしたか。まずは彼女の得意料理である煮物をめいっぱいほめる。そのあとに「今度はこれをイタリア風でも食べてみたいな」と付け加えたのです。

和風じゃなくてイタリアン、というのではなく、和風がおいしかったからイタリアンも食べてみたいというニュアンスを出すことによって、相手を傷つけずに自分の要求を伝えたのです。

心やさしき日本女性である妻は私の希望通り、次の日にはイタリアンに挑戦してくれました。決して「しかたなく」ではなく「よろこんで」作ってくれたのです。

私がこの方法で「これはフレンチでもあうかもね」「中華風にしたら、どうなるんだろう」などとリクエストを続けた結果、妻の料理のレパートリーはその後、劇的に増えていきました。

世の中に欠点のない人などいませんが、同時に長所のない人もいません。家事をねぎらい、感謝する気持ちを込めて、妻の長所をほめ、そのあとで適切なアドバイスを加える。それが、「ほめて育てる」ことの極意と言えます。

洗たくをほめる

家事の中でも、もっとも重労働なのがこの洗たく仕事。山積みの洗たく物から色物、柄物をより分けて、洗たく機に入れる。脱水あとの重い洗たく物をベランダまで運び、ひとつひとつ干す。

乾いたら取り込んで持ち主ごとに分けて畳む。それぞれのタンスに種類ごとに分けて収納。さらに、ワイシャツなどにはアイロンがけも……。

こう書き出すだけでも、そのヘビーワークぶりにクラクラしてきませんか。あなたの妻はこれをほぼ毎日、文句も言わずに黙々とこなしているのです。

そんな重労働とは裏腹に、洗たくという家事は料理などと比べて生産的な作業ではないばかりに、あわれ、ほとんどほめられた試しがありません。

あなたは洗たく物をかごに入れさえすれば、自動的に汚れが落ちてタンスに戻るものだと思っていないでしょうか。

これを当たり前だと思ってしまった瞬間から、妻の反逆が始まるのです。さあ、ほめ言葉の出番です。

「ありがたいなあ」「きれいになって、気持ちいいなあ」「フワフワだね。うれしいなあ」「太陽の香りがまだ残ってるなあ」「新品に戻ったみたいだ」「これクリーニングに出したの?すごいなあ、自分で洗ったんだ」「ほかの奥さんがみんな君だったら、クリーニング店は軒並み潰れちゃうね」「いつもスーツにアイロンがかけられてて、奥さんえらいですねって、職場の女のコにほめられたよ」ほめるタイミングですが、やはり朝夕に着替えているときがベストです。

さわやかに目覚めて、真っ白なシャツに袖を通したとき、ちょっとでも気持ちいいと感じたら、そこで着替えを中断して妻の所まで行き、言葉で伝える。

そのくらいのサービスで、彼女の重労働が少しでも報われるなら安いものです。

間違っても、休日ゴロゴロしているときに、妻が洗たく物を抱えて大変そうだからといって、寝ながら「いつもありがとう」などと言ってはいけません。手伝いましょう。

掃除をほめる

その日にやるべき仕事が終わりそうもないとわかったとき、あなたならどうしますか。そんなときは、効率優先で処理しても問題のない案件を選び、それに対してはとりあえず最低限の労力で済ませておく。

いい仕事の仕方をしているビジネスマンとはたいてい、そのような調整の利く案件を織り交ぜているものです。家事の世界では掃除がそれにあたります。

「家事には手抜きが必要」とはよく聞きますが、限りある時間と体力の中で、すべての家事を完璧にこなすなどとても無理な相談です。

かといって、料理や洗たくは手の抜きどころが少ない。そこで世の妻たちの多くは、上手に手抜き掃除をすることによってなんとか調整を図ります。

トイレは汚れてないから、今日は玄関だけにしておくとか、掃くだけにしておいて水ぶきは後日にまわすなど。

ですから、掃除に関して言えば、手抜きは家事のテクニックと捉えてあげる思いやりも大切です。

ほとんど掃除していない部分を下手にほめてしまうと、相手にプレッシャーを与えてしまう場合もあります。

大原則として、明らかに掃除したとわかる部分をほめてください。

ひと目見てきれいになった部分をほめる。

もし手抜き部分を見つけても、そこは片目をつむって、きれいになったところだけをほめる。

そうすれば、次はこっちも手を抜かずに掃除して、いっぱいほめてもらおう、と思うようになるのです。その辺を注意すれば、あとは素直にストレートな言葉でほめてあげましょう。

「玄関が広くなったなあ」「台所、ピカピカだねえ」「本棚の整理、時間かかったでしょう。えらいねえ」「リビングの掃除、一人でやったの?すごいなあ」「トイレがきれいになって気持ちいいなあ」「風呂場がすごく清潔になってたから、いい気分で入れたよ」

子育てをほめる

便宜上、家事の部類に入れてしまいますが、子育ても大変な労力と精神力、忍耐力が必要とされる、母親の一大事業です。

とくに小さな子どもを持つ母親などは、毎日が戦いであり、毎日が正念場です。最近は夫の育児参加が進んでいますが、それでもメインは妻。

あなたが育児参加されているのであれば、その過酷さはむしろ身にしみてご存じでしょう。

妻の誕生日、結婚記念日、母の日といった特別な日ならば「いつも家事や育児をしてくれて、ありがとう」とも言えるのですが、日常生活となるとほめるタイミングが難しい。

お子さんのいるご家庭なら、なおさらその時間も取りにくいでしょう。妻をほめる前に子どもをほめることも大事だし……。

そこでアダム式メソッドの登場です。子どもをほめるときに、一緒に妻もほめてしまうのです。といっても、それぞれ別々にほめるのではありません。

第3章で紹介した公式「間接ぼめ」を応用して、子どもをほめるのです。

「よくやったなあ。お母さんのおかげだ」「やさしいなあ。お母さんと一緒だなあ」「すごいなあ。その辺はママに似たんだなあ」「かわいいなあ。ママに似てよかったなあ」

自分の子どもがほめられて、その原因が自分にあることを嫌がる母親はいません。

妻が近くにいたなら、直接ほめ言葉も聞こえているでしょうし、もし聞こえていなくても、いずれは子どもがメッセンジャーの役割を果たしてくれるものです。

なにより、子どもにとっては父と母の親しさが実感できるほめ言葉は、教育上、たいへん好ましいのですから。余談ですが、子どもはぜひ、大人になってもほめてあげてください。

10代までの子どもは自分の将来に対して、無条件に自信を持てたり、可能性を感じたりできるのですが、20代となって実社会と深く関わっていくうちに、当然のことですが、否が応でも自己否定の洗礼を受けます。

その繰り返しによって、中には自分を過小評価したり、精神的に追い詰められていく人も少なくありません。

「自分はダメな人間だ」と、自己の魂を縮小させてしまうのです。親にとっては大人になっても子どもは子ども。

いつまでも無条件にほめてあげる、唯一の存在でいてくれたらと願っております。脱線しましたが、子どもはどんどんほめましょう。

そして、それとセットにして妻もほめる習慣を身につければ、あなたのご家庭の平均気温が数度は上がることをお約束します。

「女性としての妻」をほめる

女性をほめる場合、まず容姿や行動などをほめて(表面ぼめ)、それを足がかりにその人の本質をほめる(本質ぼめ)ことをレクチャーしてきましたが、自分の妻をほめるなら、その片方で十分です。

その代わり、何度もくり返しほめてください。

いま、表面ぼめと本質ぼめのどちらか片方で十分と申し上げましたが、あなたは妻に対してどちらをほめるのが効果的だと思いますか。

妻からみれば、夫とは自分の内面をもっとも理解してくれる異性なわけですから、いまさら外見をほめられるよりも、自分の人間性をほめられたほうがうれしいはず。

そう思われたダンナ様、残念ながら、答えはその逆でした。実は、自分の妻以上に見た目をほめられて喜んでくれる女性はこの世にはいません。

相手の人間性を認め合っているから夫婦でいられるもの。程度の差こそあれ、お互いが人間として尊重し合っていることが夫婦である大前提ですよね。

そんな自分の本質的な良さをわかっている夫からであるからこそ、見た目をほめられることがなによりうれしいものなのです。

私の経験のみならず、数百人のダンナ様を相手にカウンセリングし、さまざまに実践してもらった上での結論です。

夫からこそ、見た目をほめてもらいたい。このあたりは男性と女性の間に温度差がある部分なのかもしれません。

心と体が密接につながり合っている女性ならではの感覚といってもよいでしょう。もちろん、妻の本質的な良さをほめることだって素晴らしいことです。

ただ申し上げたいのは、妻以外の女性をほめるときは「表面ぼめ→本質ぼめ」がセオリーですが、妻の場合は反対に「本質ぼめ→表面ぼめ」のほうが効果的だということです。

「その黒髪、似合ってるねえ」→「君の品の良さが出ているなあ」ではなく、「君はホントに品がいいよねえ」→「だからその黒髪も似合うんだね」という順番のほうが、相手の心に刺さるわけです。

この違い、わかっていただけましたでしょうか。

とはいえ、妻をほめる場合のポイントは「頻度と継続性」ですので、なるべくシンプルに、そしてより頻繁にほめることのほうが重要です。

ゆえに、〈本質ぼめ〉はこの際割愛して、見た目をどんどんほめてあげてください。

さて、妻の見た目をほめる重要性はわかったものの、実際問題、毎日飽きるほど見ている彼女のいったいどこをほめればよいのか。

結婚する前はあんなに見た目を絶賛していたはずなのに、いま考えてみたらほめるべき個所が思い浮かばない、どうしよう。

そういうこともあるでしょう。ドイツの物理学者、リヒテンベルクの言葉にこんな名言があります。

「恋は人を盲目にするが、結婚は視力を戻してくれる」。

確かにそうだ、うまいこと言うなあと笑ってばかりもいられません。そこはお互い様なのですから。

むしろ、両目を見開いて付き合っていかなければ、リアルな生活を乗り越えることなど不可能ですから、視力が戻って万々歳ともいえます。

しかし、ほめ言葉探しの原点は「相手が喜ぶ言葉はなんなのか」です。これは対象が妻であろうと変わりません。思い出してもみてください。

結婚前にはしきりにほめていた「かわいいね」とか「きれいだよ」という言葉、どうしてあんなことを言ったのでしょうか。

それは彼女の気を引くため、つまり、そう言うと彼女が喜ぶからだったのではありませんか。やや極端に申し上げれば、現在の彼女の容姿は重要ではありません。

現在の「彼女が喜ぶほめ言葉」を探せばいいだけなのです。あの頃と同じように。

妻をほめる技術においてあなたに必要なことは、あの頃の「あばたもえくぼ」を貫き通す覚悟と潔さなのかもしれません。

と、これで即実践できるのであれば、苦労はしませんよね。とっておきの方法をご紹介します。

髪をセットする間もなく、一生懸命に掃除機をかけている妻に向って「その髪型いいね」なんて、さすがの私も言えません。

鼻白まれるのがおちです。そこで私が実践しているのが、月に一度でも、夫婦二人きりでデートをするということです。

家庭を一歩出ないと妻は女になりにくいもの。私は妻を女性としてほめるために、外に連れ出すのです。

そのときは、外で待ち合わせをするように心がけています。平日なら仕事の帰りに待ち合わせる。休日なら先に一人で本屋にでも行って、そのあとで待ち合わせる。

こうすることで、お互いに男女のスイッチが入りやすくなります。たいていはレストランでの食事がメインなのですが、そういえば、ある友人が以前こんなことを言っていました。

「レストランで食事をしている男女を見れば、それが夫婦かどうか自分にはすぐわかる」と。

その友人いわく「会話がまったくないカップルがいたら、それは間違いなく夫婦」なのだそうです。

寂しい話ですが、確かに「妻を連れだして二人になったはいいが、話すことが浮かばない」という悩みが多いのも事実です。

だからといってせっかくのデート、子どもの話や仕事の話を持ち出すのも粋ではありません。もし話題がないのであれば、作ればよいのです。

レストランに行く前に、映画を見たりコンサートに行ったり、美術館などもいいでしょう。よく夫婦円満のための指南書には「共通の趣味や話題を持ちましょう」と書かれたものがありますが、夫婦とはいえ自由になる時間帯も違う、興味のあることも違って当たり前です。

私にはこれが実践的なアドバイスには思えません。無理にそこまでしなくとも大丈夫です。レストランで食事をしている間くらいは話題にできる、という程度のネタを直前に仕込めば十分。

期間限定の話題でOKなのです。さて、話題も用意されました。

いよいよ女性としての妻をほめる段階なのですが、ここでほめ言葉の前に外せないメソッドがあります。

それは相手の目をじっと見つめることです。妻ではなく、ひとりの女性として見つめてください。ほんの10秒くらいでもかまいません。

彼女が自分の目線に気づいて見つめ合う、もしくはなんらかのリアクションがあるまで見つめましょう。

私の妻などは、視線に気づくと決まって「なあに?なんで見てるの?」と照れるのですが、そのタイミングを逃さず、一発目のほめ言葉を投下します。

「その服、やっぱり似合うなあと思って」。真実味がまるで違ってきます。妻の目をじっと見つめる。これは間違いなく、最良のウォームアップに化けるでしょう。

「その髪型、やっぱり似合うよねえ」「その香水、好きだなあ」「いつも思うけど、笑顔がかわいいなあ」「さっきの映画で見たあの女優、君に似てたね」「コンサートに聴き入ってる横顔、かわいかったよ」「さっき見た絵じゃないけど、君がモデルだったら僕にも描ける気がする」夫にほめられて喜ぶ妻の笑顔ほど、かわいらしいものはありません。

恥ずかしいのは最初だけ。ぜひ、大切な奥様の素敵な笑顔を引き出してあげてください。話題がなかったら、話を聞いてください。

「家事って大変でしょ?」「子育てに疲れてない?」、普段なかなか言えない愚痴を無条件で聞いてあげれば、気持ちもすっきりして自然と笑顔が出るというもの。

笑顔が出たら、その笑顔をほめる。それでさらに笑顔が増える。相手もおのずと、夫を喜ばせる方法はないかと考えるようになっていく。

妻をほめるという習慣は、一見遠回りなようでも、夫婦の土壌を耕して肥沃な土地に変える力があるのです。

補足として、もう2つほど有効なテクニックをご紹介します。ひとつはメールを使ってほめる方法です。妻とは用件ばかりのメールになっていませんか。

メールのすごいところは、なんの脈絡もなしにいきなりほめ言葉を送っても、相手がすんなり受け入れてしまうところです。

送るほうも、「僕のかわいいハニーは元気かい?」なんて、とても面と向かっては言えないほめ言葉でもメールであれば送れてしまうという不思議。

「毎日、ランチの前に一本、ほめ言葉を送信する」というふうに継続すると、相手もその時間を楽しみにするようになります。

送信したときに、メールを読んでうれしがっている妻の笑顔を想像してみてください。心が温まりますよ。もうひとつの方法は「間接ぼめ」です。

「お袋が君のこと、かわいい嫁だと言ってたよ」「同僚が、おまえの奥さんはきれいでうらやましいって言ってたよ」など。

家庭にいる時間の多い主婦は、周りから評価される機会が夫にくらべて格段にありません。とくに女性としてほめられる機会は本当に少ないでしょう。

あなたが言われてうれしく思う、その何倍も喜んでくれるはずです。親から、かわいいかわいいと言われながら育った子どもは、その造作にかかわらず、人間としてのかわいらしさに満ちています。

夫から、かわいいかわいいと言われ続けることで、妻もどんどん美しくなっていくのです。

[付録]あなたのほめ言葉に知性と情緒を与える「シーズンぼめ」のすすめ

ほめるとは自分の知性が試される場所でもあります。センスのあるほめ言葉、情緒あふれる素敵なほめ言葉を言われると、相手の女性も心がやわらぎ、ほっこりとした安心感に包まれるものです。

例えば、美しさをほめるときに「すごくきれいだね」だけでは器や盛りつけを考えずに出した料理のよう。

せっかくのほめ言葉。知性と情緒を演出しながら伝えたいものです。そこでおすすめなのが、季節の情緒を取り入れながらほめるテクニック。

ぜひあなたのほめ言葉ボキャブラリーに加えてみてください。あなたへの印象がグッとアップするでしょう。ほめ言葉にはちょっとクサイくらいの表現がちょうどよいのです。

●春に添えたいほめ言葉

「桜の下で写真を撮ったら似合いそうな服だね」

「君といると元気が出るなあ。春の訪れみたいだね」

「やわらかな春の日射しみたいに、やさしい人だね」

●梅雨に添えたいほめ言葉

「しっとりとした風情があるね。雨の京都が似合いそう」

「霧雨に傘を差してる姿が絵になるなあ」

「雨に濡れたパリの小路を歩いたら、絵になりそう」

●夏に添えたいほめ言葉

「風鈴の音を聴いているように涼しげな声だね。癒されるなあ」

「夏祭りでゆかたを着て歩いたら似合いそう。和風美人だね」

「太陽に向かって咲くひまわりみたい。元気が出るなあ」

「エメラルドグリーンの海が似合いそうなさわやかさだね」

●秋に添えたいほめ言葉

「芸術の香りがするなあ。ピアノとかやってたでしょ?」

「そのしとやかさ。紅葉の秋にぴったりだね」

「詩を詠んだりしてるでしょう?人生について考えていそうだから」

「月の光が似合いそうだね。アーティスティックでセンスもいいから」

●冬に添えたいほめ言葉

「初雪の白さを感じさせる純粋さだね」

「冬のオーロラみたいに神秘的な魅力があるね」

「音もなくしんしんと降り積もる雪って、努力家の君みたいだね」

あとがき

「人類にとっては小さな一歩だけど、あなたにとっては大きな飛躍ね」もう20年以上昔の話ですが、私が初めて妻をほめたときに彼女から言われたこのひと言がいまだに忘れられません。

それまでの私は新進の画家を志していたこともあり、物事を斜に構えて見たり、世間を小馬鹿にしながら生きているような男でした。当然、他人をほめるなんて考えたことすらありませんでした。

しかし、さまざまな挫折を味わい、そのどん底の暗闇に差す一筋の光をたぐるように這い上がったとき、そこでほほ笑む妻の顔を見た瞬間、感謝とともにほめ言葉が自然と口からあふれたのです。

なんという言葉でほめたかは覚えておりませんが、本書を執筆している最中、冒頭の妻からの言葉をふっと思い出しました。

言われた当時は「なんて威丈高な奴だ」と、それまでの自分を棚に上げて思ったものですが、後々、妻が言ったことの意味が分かったのです。

それから私は人に心を開くことを覚え、相手の人間性を尊重するべく「人をほめる習慣」を実践し続けてきたのですが、あのときの一歩がなかったら、私は現在の幸福を永久に手に入れることができなかったでしょう。

まさに私にとって、ほめ言葉は人生における大きな飛躍だったのです。あれから私にも運が開け、素晴らしい人間関係にも恵まれ、文字通り人生が一変しました。

いま思えば、あのときの妻の一言も、私に対する最大級のほめ言葉だったのでしょう。本書が、あなたの人生に大きな飛躍を与えるきっかけとなっていただければ幸いです。

出版にあたりまして、PHP研究所ビジネス出版部の太田智一さん、出版プロデューサーの高橋尚さんにご尽力いただきましたことを、心より御礼申し上げます。

二〇〇八年六月アダム徳永

【著者略歴】アダム徳永(あだむとくなが)株式会社エヴァ代表取締役社長。

名古屋芸術大学を卒業後、渡米。

ワシントンD.C.の出版社に就職し、イラスト担当として従事したのち、ロサンゼルスに移り、フリーのイラストレーターとして活躍。

その傍ら、1988年、ロサンゼルス市が認定するマッサージテクニシャンの資格を取得。

“〝東洋から来た神技マッサージ師”〟との評判がクチコミで広がり、ハリウッドやビバリーヒルズに住む富豪たちの間で引っぱりだことなる。

人間の心と体の持つ神秘に魅せられ、帰国後、カウンセリング業を開始。

男女の性の問題を中心に研究を重ね、2004年、東京・六本木に、日本初、世界にも類を見ないスローセックスを教える学校「セックススクールadam」を設立。

予約3ヵ月待ちという人気に。

夫婦のありかた、円滑なコミュニケーションをサポートするべく、その啓蒙に従事。

国内はもとより、海外メディアからの取材依頼も多い。

著書『スローセックス実践入門─真実の愛を育むために』(講談社)が35万部を超えるベストセラーとなる。

また、リック西尾名義で英語教則本も執筆。

『英語で1日すごしてみる』(PHP研究所)、『右脳英語速習意外と言えない日常動作表現』(講談社)など20冊以上を上梓。

ホームページhttp://www.adamtokunaga.com/

毎日使える!ほめ言葉──女性を喜ばせる作法著者:‥アダム徳永 AdamTokunaga2011この電子書籍は『毎日使える!ほめ言葉』二〇〇八年七月七日第一版第一刷発行を底本としています。

電子書籍版発行者:‥安藤卓発行所:‥株式会社PHP研究所東京都千代田区一番町二一番地〒102-|8331http://www.php.co.jp/製作日:‥二〇一一年三月二十三日本書の無断複写(コピー)は著作権法上での例外を除き、禁じられています。

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