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第6章一流は好かれるために何をやっているのか

第6章一流は好かれるために何をやっているのか

布袋尊の最後の授業会社に着いても深田の興奮は冷めなかった。川谷部長の席に報告に行くときは、いつも足取りが重い。鉛でも入っているのか、と自分でも笑ってしまうほどだ。でも、今日は違った。足取り軽く駆け足で報告に向かった。「部長、今日、行った会社が良くてもう興奮していて、いや、なんか受注というか、もういやー。すごいです!」自分でも何を言っているか分からないほど焦って報告してしまった。「申し訳ないけど、今の報告、後半モザイクかかってた?もう一度、報告してもらえる?」いつもなら「いや、何言ってるか分からん!」とピシャンと突き放されるのにしっかりとつっこみを入れてから促された。「あ、すみません」改めて丁寧に報告した。「深田、よくやった!先方からの吉報を待とう」「ありがとうございます!」続いて手伝ってもらった石野のもとへ行った。「石野、今日行ってきたんだけど」「深田さん、おかえりなさい!どうでしたか?」「お前のおかげで、いい提案ができたよ」「すごい!さすがです。本当にすごいです!」こいつ……布袋さんから聞いたわけでもないのに天然で「すごい」を使ってやがる。嫌味なほどできたやつめ。やっぱり後輩だけど尊敬できるやつなんだよな。「お前にそう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとう」「とんでもないです。また何でも言ってください!」「あと、もし良かったら、今度、一杯飲みに行こう。お礼するよ!」「はい!喜んで」石野に素直に感謝できる自分がいた。今日の報告は、布袋尊も喜んでくれるに違いない。コンビニに寄り布袋尊のために、チョコを買った。一番最初に布袋尊に渡したお供え物だ。布袋さん昨日、甘味がいいって言ってたしな。家に着き「ただいま」と玄関を開けた。布袋尊の「お帰り」の声がなかった。あれ?布袋さん?布袋さん!?どこにいるの?そんな、まさか……ちゃんとお礼も言えないうちに布袋尊は去っていった。僕は何をやっているんだ。うなだれて布団に転がった。枕の上にずっと布袋尊がいたこともあってか、ひどい加齢臭がした。「クサ!」と跳び起きた。思わず笑ってしまったが頬を涙が伝った。枕元に目をやると手紙が置いてあった。元気か?急に俺がおらへんようになってどうせ、お前は泣いてるやろ?ここ数日お前はほんまに頑張った。そして成長した。お前の周りには素敵な人がいっぱいや。感謝して生きていくんやで。神セブン布袋尊「布袋さん、本当にありがとうございました」。自然と涙が溢れた。「プッハハハハハ!お前は、ええやつやな~」と突然枕の下から声がした。深田は急いで枕をどけた。「布袋さん!?」「おう!枕のにおい嗅いで、『クサ!』はひどすぎるやろ!」「す、すみません。思わず……」「やっぱりドッキリは面白いな~」「勘弁してくださいよ!」「ごめん、ごめん。別れの悲しみを少しでも軽減してあげようと思ってな。ほんまに今日で最後なんや。袋もスカスカになってしまったわ」布袋尊が持っていた袋が萎みきっていた。「お供え物買ってきましたよ!たくさん入れればいいじゃないですか!」「いや、これはな、人の徳が詰まってるんや。だから食べ物ではほんの少ししかたまらへんのや」「人の徳?」「そうや。神様はな、人の徳をためるとこっちの世界に遊びに来れるんや。今まで何十年もかけてためてきたものやからな」「そんな大事なものを僕に使ってくれたんですね……」「かまへん!かまへん!見どころがあるやつがおったら使おうと思ってて、お前に使えて良かったわ!」。布袋尊は続けた。

「さて、最後の授業いこうか!今日はどうやったんや?達成感が顔に溢れとるけどな」。布袋尊がいつものようにニコニコとこちらを見た。自然と言葉が漏れた。営業先でアイスブレイクができたこと。提案がうまくいったこと。質問で相手の気持ちを尊重できたこと。丁寧に一つずつ話を伝えた。「うんうん、上出来や!」「ありがとうございます!これも布袋さんのおかげです」「でもな、詰めが甘いで。お礼のメールを送るんや」「お礼はいつも送ってますよ」「ちょっと俺のはレベルちゃうで」。布袋尊はにやっと笑った。売れている芸人に学ぶメール術そう言うと、布袋尊は慣れた手つきで紙に描き出した(図21)。「これはな、いろんな一流のビジネスパーソンや芸人さんと俺がメールでやりとりしてきたんやけど、そこから割り出した超実践型のフォーマットなんや。ビジネスのお礼・飲み会後のお礼でも全部に使えるんや」①相手の名前を入れるビジネスでは当たり前やけど、一緒に場をともにした人全員の名前を入れるんや。②その場にいた人しか分からない具体的なエピソード商談や飲み会で具体的に話した中で、自分が共感した内容や相手が熱を帯びた部分を抜粋して載せるんや。商談の場合やと議事録の代わりに軽く残しておくのも後日ズレがなくていいわな。③相手への配慮「お忙しい中」や「明日の仕事があるにもかかわらず」などの相手への配慮を入れるんや。④相手への期待・次回の会への予告「今後、ご一緒したい」など自分が相手のことをどのように感じているのか、期待を込めて伝える。遠慮して言わへんやつもおるけどそれはいらん遠慮や。⑤感謝で締める時間をもらったこと、場をご一緒させてもらったことの感謝を伝えるんやで。これは当たり前やな。「必ずこの5つの内容を入れて送ることが重要なんや。しかもや、その一流の人たちは、どんな方に対しても『部下』『後輩』『年齢』に関係なく何十年も送り続けてるんや」「継続することが重要ということですね」「そうや!継続が難しいんや。お前も今まで学んだことはいろいろある。今は、俺もおるからできてるけど、いなくなったら気が抜ける。継続していくんやで」「分かりました!あのときの自分にはもう戻りたくありません」「ええ心がけや!お前は、成功体験を積んだ。このまま走れ!ほんで、今度部長と飲みに行くやろ?せっかくやから俺が持っているスキルを全部託してくわ。接待でも何でも使えるから覚えときや!」「ぜひ、お願いします!」飲み会で相手の心はつかめるのか「七福神のみんなもな、ほんまに酒好きやねん。昔、俺が七福神に入る前に恵比寿さんによく飲みに連れていってもらったんや。漢気ある神様やで!今も手伝

ってくれてるし」「手伝ってくれてる……?」布袋尊が大きく咳払いをした。深田の言葉を遮るように。「ほんでや!具体的に何やってるかというと3つの無敵のスキルなんや。これには『言い方』が重要なんや!バカにしてるような人にやったらあかんで。それは何やっても見透かされるからな。俺も神様になる前は、よく『軽い、軽い』って怒られてたわ」と布袋尊は続けた。①連れてきてもらったお店を褒める・言い方:ここに妻(夫)・彼女(彼氏)を連れてきていいですか?・理由:これはな「また来たい!」って直接的に言うといやらしく伝わってしまうときがあるから間接的に、「大事な人を連れてきたいほどいい店ですね!」と褒めることが重要なんや。②時計を見て時間経過に驚く・言い方:えっ!?もう3時間も経ってるんですか?・理由:「楽しい」ということを時間経過で伝えるんや。ちゃんと腕時計つけとくんやぞ。携帯電話やと先輩・上司の前で見ると尊重されてないと感じる人も中にはいるからな。③たまに反論されて丸め込まれる・言い方:僕が思うのは……など相手の意見に対して自分の意見をぶつける・理由:イエスマンと飲んでいても面白くない。だから、たまに反論して自分の意見をぶつけるんや。頃合いで、先輩・上司の意見にうまく丸め込まれるんや。酔ってる席での論破は、先輩・上司からしたらどんな酒よりもうまいんや。先輩や上司の太鼓持ちをしている人を見たことがあるが、しっかりと説明されるとこまやかな配慮が多く驚いた。布袋尊は続けた。「でもな、こんな話をすると先輩・上司にただ媚を売っているだけだと思われてしまうこともあるんや」「そうですね。そう思う人もいるかもしれません」「だから重要なのは『好ましく思う人』『尊敬している人』に対してやることなんや。だから本質は、媚ではなくいかにこの場で相手に楽しんでもらうかという『配慮』なんや」「『媚』ではなく『配慮』なんですね。確かに、好きな人が楽しんでくれたら嬉しいです」「ええことや!素敵な『配慮』を心がけるんやで」布袋尊は、「ふ~っ」と息を吐いた。「俺は、ここまでや。ほんまお前と会えて楽しかったわ」「なんか、寂しいですね」「そう言うな。俺もお前に頼られて嬉しかったんや。やっぱり七福神は、恵比寿さんとか大黒さんとかが有名やろ?それでも、そんな俺を好きでいてくれたから、祠に来たときにいつかお前にこうして会いに来たいなと思ってたんや」「本当に、嬉しいです」涙がこぼれた。「泣くなや。なんか照れるやんけ……。面白い人生を自分で作れよ」すると急に部屋が強い光に包まれ、深田は目を閉じた。気がつくと枕の上には、祠で手に入れた土の人形が落ちていた。明日は、営業会議だ。入社して初めて笑顔で行けそうだ。

「またご飯を一緒に食べたい」と思わせる後輩スキル「社内営業」はなぜ重要なのかコンサルタントという仕事柄、新入社員をはじめ若手社員向けの研修を企画することも多くあります。研修内で受講者の方からあがる声で「上司・先輩に可愛がってもらえない」「可愛がられるキャラは持って生まれた才能だ」など、職場のコミュニケーションに対して悩んでいる方が多くいらっしゃいます。自分は可愛がられなくても別に構わないと思っている方も中にはいらっしゃると思います。ですので、前提としてお伝えしますが、可愛がられると多大なメリットがあります。会社で成果を出すためには、まずは社内の上司・先輩に認めてもらってからでないと、お客様の前に出るチャンスや、やりたい仕事がもらえないからです。これは、お笑い芸人も全く一緒です。事務所のマネジャーさんに面白いと言われない限り、事務所のライブやテレビのオーディションなどは受けることさえできません。売れる以前の問題です。まずやるべきは、「社内営業」だということです。社内で自分の得意分野や実績をアピールすることで、成長機会を多くもらえます。そして機会が増えれば増えるほど成長が必然的に加速します。ここまで言うと、自分は可愛がられないから向いていない、と思う方もいると思います。ご安心ください。可愛がられる「後輩スキル」は誰でも磨けるものです。まずは一つ、極めて実用的なスキルをご紹介します。私がお笑い芸人をしていた頃、「若手を飲みに連れていっても、お礼メールがこない」とぼやく先輩の声をよく耳にしました。縦社会のお笑いの世界では、礼儀をわきまえることは芸を磨く以前の問題です。もちろん、ビジネスの世界でも、ごちそうになった方へのお礼がきちんとできるかどうかは、最初の一歩として大きく影響すると思います。できるお笑い芸人は、先輩にごちそうになったとき、お礼を4回します。それぞれのお礼には全て意味があります。図22をご覧ください。1回目:レジの前でお礼をする先輩にごちそうになったことを店内の方々に伝える2回目:店を出てお礼をする先輩に感謝を伝える3回目:メールでお礼をする先輩が家族に見せられるように伝える4回目:会社で会ったときにお礼をする先輩からごちそうになったことを職場の人に伝えるこの4回のお礼をすると、最後のお礼のときに「また飯行こうな」と誘われるので、その場で日程を決めましょう。前のめりの姿勢は、可愛がられる後輩スキルの重要なポイントです。飲み会で相手の心をつかむ5つのスキル

さて、ここからは具体的にどのように飲み会の場で、先輩・上司の心をつかむための行動を取っているのかに触れていきたいと思います。布袋尊が紹介したのは、3つですが、実は5つあるんです!お笑い芸人の世界では先輩に気に入られる行動のことを「いれる」と言います。ちょっと〇〇先輩に「いれてくるわ」のように使われています。ただあくまでもバカにしているのではなく、「相手のことが好きで、尊敬している人」であるからこそ楽しんでもらうために実践しています。上辺だけでなく気持ちも込めていただけると効果も大幅に向上します。さて、ここからは具体的に心をつかむ残りの2つのスキルをご紹介します。このスキルを使いこなすために重要なのは「言い方」の部分です。①先輩・上司が飲んでいるのと同じ飲み物を飲む・言い方:〇〇さんが飲まれているお酒、いかせてもらっていいですか?・理由:一緒のものを飲むことで心理的距離が近くなる。さらに「いかせてもらっていいですか?」の単語に兄貴(姉御)肌の先輩は喜びを感じる。②自分がトイレに行く場合・言い方:話が面白くてずっとトイレを我慢してました。僕がいないときに面白い話をしないでくださいね。・理由:生理的な行為をも凌駕するほど面白いと遠回しに伝える。また、「すみません」という単語を使わない。すみませんと言うだけで気持ちが盛り下がる可能性がある。このスキルを使う芸人さんの中には、自動車が買えるほど先輩から食事をごちそうになっている人もいます。ただ、媚を売っているわけではなく、本当に相手を楽しませるためにやっています。中には、媚を売りまくっている人もいるようですが心が見え透いてしまうとうまくいかないですよね。会社の中で「気に入られないと!」「可愛がられないと!」と自分を追い込んでしまっている若手の方もいらっしゃると思います。プレッシャーを感じる必要は全くありません。「今日も上司・先輩にいれるか!」「どうやっていれようかな?」と楽しんでもらえたらと思います。人生を楽しくするABC理論念のため、楽しむにはどんな考えでいれば良いのかをお伝えさせていただきます。「ABC理論」という考え方をご存じでしょうか?アルバート・エリスが1955年に提唱した「論理療法」の中心概念です。・Activatingevent(出来事)・Belief(捉え方)・Consequence(結果)この3つの単語の頭文字を取ってABC理論と呼んでいます。さて、どんな理論かというと、ある出来事(A)に対して、こういう結果(C)が発生しているとしましょう。その結果(C)は、捉え方(B)が招いているものであるということです。つまり、捉え方(B)次第で、結果(C)が変わります。お笑い芸人がなぜ、貧乏で不幸な出来事が起こっても楽しんでいられるかというと、捉え方(B)として「面白い」という物差しを使い物事を判断しているからです。何が起きても面白いと捉えられるのであれば、相当タフな人材ですよね。例えば、相手が怒ってきたとします。自分が悪ければ反省して改善する必要があるかと思いますが、理不尽で受け入れられない場合は、捉え方(B)を変えて、面白く捉え直してみてはいかがでしょうか。

 

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