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第6章 翌日のパフォーマンスに直結!「快眠」のための環境づくり

目次

1快眠を呼ぶ「温度・湿度の設定ポイント」

いい睡眠を得るためには、言うまでもなく寝室の環境は大事です。今ある条件の中で工夫を凝らし、最適な環境に整えてください。

先ほどこちらでも書きましたが、まず、寝室には、スマホを持ち込まないようにしましょう。そばにあればつい、手に取ってブルーライトを目にしてしまいます。またスマホの充電は寝室とは離れた場所で行うのがベスト。

眠くならないうちに別室に充電器を移動させておいてください。スマホを目覚まし時計代わりにしている人は、代わりの目覚まし時計も用意しておきましょう。

私の場合は、充電器をキッチンに移動させてベッドでスマホを見ないようにした途端、大きな変化が感じられるようになりました。

朝起きたときに「眼球、脳、首・肩などの変な疲れ」がなく、「何かハッピー」と感じられるようになったのです。実際に行ってみると、ぐっすり眠れた実感が生まれ、どこか穏やかで、満たされた気持ちになるはずです。

次に、温度と湿度も、睡眠に非常に大きな影響を与えます。

快眠のための寝室の温度は、冬は温度16℃以上、夏は26℃以下が最適と考えられますが、あくまで目安であり、人によってかなり違いが出るところです。湿度については冬・夏ともに50~60%と言われています。

冬場は前もって好みの温度に寝室を暖めておき、加湿器も併用して快適な空間をつくっておきましょう。

わが家では、とくに寒い夜は加湿器に加え、布団乾燥機で布団の中を暖めています。そうすると、足先が冷えて眠れないということがなくなるからです。

ただし寝る直前まで暖めると、布団の中が熱くなりすぎて体温を下げる際に邪魔になるので、寝る30分くらい前までにスイッチを切っておくといいでしょう。

夏場はためらわずにエアコンを使うことをおすすめします。エアコンの風が直接肌にあたらないように、羽根を上向きにしておくといいでしょう。

首が天井に向く扇風機を併用すると、室内の空気が循環してなお快適な温度が保てます。私は2台使っています。また除湿機で湿度も調整できると理想的です。

今、目覚まし時計のような形をしたコンパクトな温度・湿度計がありますから(1000円前後で購入可)、一つ持っておくことをおすすめします。

なお、温度20℃以上で湿度が50~60%という状態が、一番インフルエンザにかかりにくいという報告があります(図6-1参照)。

あなたも、目が覚めたら喉が痛くて、「あれ、風邪ひいたかな?」と感じることがあるでしょう。インフルエンザや風邪は、寝ているときこそ要注意なのです。

というのは、日中は意識して口を閉じることができますし、細菌やウイルスが口に入ってしまったとしても、唾液とともに胃に落ちて、強い胃酸の力でおおかた殺されます。

ところが、睡眠中はどうしても口を開けたままになっていることがあり、かつ唾液も少なく乾いているために、細菌やウイルスが喉の粘膜にくっついて繁殖しやすいのです。

快眠のためにも、風邪予防のためにも、温度と湿度の設定は重要です。音が気になって眠れないときの対策さらには、音も気になりますね。睡眠中は40デシベル(図書館内の音のイメージ)以下の静かさが欲しいところ。

生活音が届くと、なかなか寝付けなかったり、中途覚醒してしまいます。また、パートナーのイビキが気になって眠れないという人も多いでしょう。いずれにしても、音が気になったら、まずはこちらで紹介した耳栓を試してみてください。

夜の睡眠には②フォーム(スポンジ)タイプや、③シリコン(粘土)タイプがおすすめです。耳穴のサイズや好みの感触は人によって違いますから、いろいろ試して自分に合うものを見つけましょう。なお、耳栓をしても聞こえる音量に目覚まし時計を設定すれば、安心して眠ることができます。

2リラックス効果のある「香り」も快眠の味方

快眠を得るための環境づくりとして、香りに凝るのもいいでしょう。

「この香りを嗅げばぐっすり」という眠り薬のようなものはありませんが、好きな香りに包まれていれば幸せな気持ちになります。

「ああ、いい香り」と感じて眠りにつくことができるのは、とても豊かなことです。

そして、その香りを嗅ぐことで、脳が「もうすぐ寝るのね」と察し、眠くなってくるくらい習慣化できたらしめたものです。

具体的には、リラックスして落ち着く鎮静効果のある香りがいいでしょう。

ラベンダー、ベルガモット、レモングラス、ジャスミン、ゼラニウム、カモミール、サンダルウッド、フランキンセンス、イランイランなどがおすすめです。

また、スギやヒノキは交感神経の働きを抑制するデータが出ています。アロマオイルで楽しむだけでなく、寝室の床をこれらの木材に変更できたら最高です。

とはいえ、好きでもない香りを無理に寝室に持ち込めば、かえって安眠を妨げます。あくまで自分の好みを優先してください。

以前ストレスで寝付きが悪かったとき、私はラベンダーとベルガモットのアロマオイルを枕カバーの裏側に数滴ずつ垂らして眠っていました。

これらはとてもリラックスできるお守りのような香りです。アロマディフューザーは、いくら洗っても香りが残ってしまうのであえて使いません。

専門の器具を用意しなくても、アロマオイルを枕カバーに垂らすだけなら、男性でも十分に楽しめます(精油の種類によってはシミがつくことが予想されますので、枕カバーの裏側に垂らす、使用しなくなった布帛のハンカチに垂らして枕元に置くなど工夫をしてください)。

香りは女性だけのものと決め込まず、ぜひ寝室環境を工夫してみましょう。

このように、快眠のためにできることはいろいろありますが、いずれにしても大切なのは、「寝室は眠るだけの場所」という認識を持ち、脳にすり込むことです。

ワンルームマンションで、とくに寝室としての部屋はないという場合でも、ベッド周りは「聖域」と考えてください。ベッドにゴロンと横になるのは快適ですが、そこは遊び場ではありません。

疲れて帰っても、ベッドの上に脱いだ上着を放り投げたりしないでください。ベッドにあぐらをかいて、カップラーメンをすするなんてもってのほかです。眠る場を大切にするだけでも、睡眠の質は確実に変わってきます。

3「深く眠れるパジャマ」の黄金ルールとは?

あなたはふだん、パジャマを着て寝ているでしょうか。もしかしたら、スウェットなどの部屋着やスポーツウェアで代用しているかもしれませんね。男性だと、Tシャツにトランクスという人も多いでしょう。しかし、睡眠の質を考えたら、やはりパジャマに軍配が上がります。

ただ、どんなパジャマでもいいというわけではなくて、いくつかの要件があります。

私は以前、パジャマやルームウェアのブランドをディレクションしていたことがあり、その際に国内とヨーロッパのパジャマを徹底的に試しました。

それを踏まえた上で行き着いた「快眠のためのパジャマ」は、次の二つのポイントが重要だということです。

①伸縮性が高い(生地がよく伸びる)

私たちは就寝中に何度も寝返りを打ちます。伸縮性がないと、そのたびに体が引っ張られて、眠りが浅くなります。

たとえば綿ガーゼは、多くの人に「気持ちのいい素材」と認識されているため、いろいろなメーカーがパジャマの素材にしています。

しかし、ガーゼはもともと傷や骨折などを「固定」するための素材なので、逆に、伸縮しないようにできています。就寝時には寝返りが打ちにくいという弱点があるので、快眠の観点から、ガーゼ素材のものは部屋着にとどめておいたほうがいいでしょう。

②吸湿発散性が高い(汗をよく吸う)

冬場であっても就寝中にはかなり汗をかくので、それを吸い取り発散してくれる素材であることも重要です。さもないと、汗が肌にまとわりついて、不快で眠りが浅くなります。

「ベストなパジャマ」を探すべく、日本とヨーロッパのさまざまなパジャマ40~50着ほど試して出した結論をお伝えします。

伸縮性と吸湿発散性を考えると、「綿95%・ポリウレタン5%」程度の、綿がメインの混合素材がおすすめです。ポリウレタンが少し入ることで、ストレッチ性が出てきます。

また、少々値段は高くなりますが、ヨーロッパからのインポートでモダール50%以上のものは、薄くて肌触りがいい上にストレッチ性に富んでおり、寝心地は最高。

快眠度も高くなります(モダールはブナの木からつくるレーヨンの一種で、シルクに似た性質を持つ合成繊維です)。なお、ポリウレタンの度合いが高いものなど、合繊メインのパジャマはおすすめできません。

吸湿発散性が低いので、体が蒸れ、起きたときにあたかも「こたつ」で寝てしまったときのようなだるさ、疲労感が残ります。

シルクも根強い人気がありますが、平織りのシルクは滑りが良いので、寝ているうちにトップスもパンツも裾がめくれてしまい、露出度が高くなり、風邪をひきやすくなります。

理想は「モダール50%以上」、次いで「綿95%・ポリウレタン5%」程度の素材で、長袖長ズボン、かつワンサイズ大きめのパジャマです。

暑がりの男性には、「夏に、長袖長ズボンで寝るなど考えられない」という反応を示す人もいますが、布地は薄めのものにした上で、夏でも長袖長ズボンがいいのです。

というのは、就寝中にかいた汗を素早く吸い取ってくれるからです。

半袖半ズボンで腕や脚にかいた汗を放置しておくと、ベタベタして不快なので眠りが浅くなりやすいのに加え、汗が蒸発する際には必要以上に体温を下げてしまい、風邪をひきやすくなります。

また、ジャストサイズよりもワンサイズ上を選ぶことで、寝返りがよりスムーズになります。「最近お腹が出てきた」という人は、ゴムも緩めましょう。とにかく締め付けのないようにしてください。

肌触りも無視できません。つるつる、さらさら、ふわふわ……好みは人それぞれですが、肌触りに不快感を抱いてはリラックスが得られません。

実際に触って、気持ちのいいものを選びましょう。こうした条件を満たすパジャマには、実は簡単には出合えません。

私も一年に1枚あるかどうかです。そのため、「これだ」というものがあったときには、多少高くても買っておくことをおすすめします。

私は、ビジネスの出張にも、パフォーマンスを考えて「マイパジャマ」を持っていきます。朝起きたときの疲れのとれ方が、ホテルのパジャマと比べて格段に違います。そうしたくなるくらいのパジャマを探してください。

4睡眠の質を左右する「マットレス」選び三つのポイント

料理をするときに、いい材料を揃えさえすれば、とくに手間をかけなくともおいしく仕上がりますよね。それと同じで、優れた寝具を用意すれば、それだけで快眠度はぐっとアップします。

寝具は食材のような「消え物」ではなく、長く使用できる「よきパートナー」です。

バーゲン価格などに踊らされずに、いいものを選んでください。寝具の中で、多くの人がこだわるのが枕です。

「枕が変わると眠れない」という声はよく聞きます。でも、枕以上に大事なのがマットレスや敷布団なのです。

一般的なケースだと、私たちの体重のうち、頭部が8%、頭部を除いた上半身が33%、おしりが44%、太ももからの下半身が15%くらいの割合を占めています。

そして、就寝時の全身を支えているのはマットレスや敷布団。

だから、合わないものを使っていると睡眠の質を下げるだけでなく、ひどい場合は腰痛や肩こりを引き起こす場合もあるでしょう。理想は、寝ているときも起立時のような美しい姿勢が保てること。

図6-2にあるように、私たちが理想の起立姿勢をとると、腰のところに4~6cmくらいの「へこみ」ができます。

就寝時には、重力によってこの「へこみ」が半分の2~3cmになるのが自然です。これが、骨、筋肉、内臓、血行、リンパの流れなど体の全てに負担が少ない姿勢で、快眠につながります。

マットレスや敷布団、および枕は、この姿勢が保てるものを選ぶことが重要です。いずれも靴選びと同じで、実際に「フィッティング」してみる必要があります。

マットレスや敷布団のフィッティングは、仰向けに寝て、次のポイントをチェックしましょう(図6-3参照)。

①全身の力がスーッと抜けるか(抜けないとしたら、硬すぎることが考えられる)

②マットレスが背中から腰にかけてぴったりとフィットし、腰に違和感はないか

③横になったとき、よい姿勢で立ったときと同じ姿勢になっているか(腰が沈みすぎると柔らかすぎ、反っていると硬すぎと考えられる)

③については、誰かに横から見てもらうといいでしょう。加えて、寝返りの打ちやすさをチェックします。両膝を少し曲げ、右に左にと寝返りを打ってみましょう。柔らかすぎると寝返りが打ちにくくなります。

なお、瘦せ型の女性は多少柔らかめが向いていますが、男性の場合は、筋肉質、ぽっちゃりなどの体型にかかわらず体重があるので、硬めが向いています。

ちなみに、「低反発」のマットレスは、その名の通り反発が弱くて体が沈み込むため、寝返りが打ちにくいですし、きれいな姿勢が崩れてしまいます。

反面、包み込んでくれるような心地よさがあるため、つかの間のくつろぎ目的にはいいでしょう。ただ、実際に寝付いた後、深い眠りが得られにくいので、マットレスや敷布団としての使用はおすすめできません。

マットレスや敷布団を選ぶときに、多くの人は短時間だけゴロンと横になって、その感触で決めるはず。しかし、一瞬の心地よさで選ぶと、長い睡眠には適さないということになりがちなので注意が必要です。

5枕選びは「素材」「高さ」「幅」がポイント

本来、枕はマットレスや敷布団と一緒に選ぶのが理想です。というのも、それらの固さによって枕に頭をのせたときの高さも違ってくるからです。

無理な場合は、現在使っているマットレスのメーカー名や硬さなどをスタッフに伝えたうえで枕を選ぶようにしてください。

枕は、まず自分の好きな素材を選びましょう。たとえば、「そば殻でないと嫌だ」といったこだわりを持っている場合。「そうでないと眠りにくい」というなら、そのこだわりを大事にしていいでしょう。

ただし、ホテルで使用されているような羽毛のものは、よほど工夫のあるものでなければあまりおすすめしません。

見た目がいかにも気持ちよさそうで、かつ一瞬の肌触りがいいですが、頭が深く沈み込んで首が安定せず、寝返りが打ちにくくなります。

基本的には、頭と首をしっかり支えてくれるウレタン製で、ある程度硬さのあるものがおすすめです。

次に、高さが合うものを選びます。

前項で説明した理想の姿勢を思い出してください。枕を使った段階でも、あの姿勢が保たれていることが重要です。

女性は、男性よりも低めがフィットする傾向にあります。ただ、首が長い女性は高めが、首が太くて短い男性は低めが合います。

目安としては、いろいろな高さの枕をいくつか試してみて、呼吸がしやすいこと、横顔が美しいことを判断材料にするといいでしょう。

横顔は誰かに見てもらうか、スタッフにスマホで撮影してもらって判断してもいいでしょう。

図6-4にあるように、高すぎる枕だと首が前に折れて、イビキをかきやすくなります。横から見て二重顎になっていたら、完全にアウトでしょう。

逆に低すぎると口が開いた状態になり、風邪をひきやすくなります。また高すぎても低すぎても呼吸はしにくく、肩や首もこりやすくなります。

くり返しますが、横になっているときでも立っているときと同じ姿勢が保てるのが一番です。続いて、実際に寝返りが打ちやすいかどうかをチェックします。寝返りチェックはこちらで説明した方法をとってください。

寝返りをすることを考えると、頭の大きさの2・5~3倍くらいの横幅があるのが理想です。横幅がないと、寝返りしたときに、頭が枕からずり落ちてしまうのが心配だからです。

6快眠に欠かせない「羽毛布団」の選び方とメンテナンス

掛け布団の素材には、綿、ポリエステル、羽毛などがあります。昔は重い綿布団が主流でしたが、今は快適に眠るために、羽毛布団を使う人が増えています。

羽毛の素晴らしさは、「天然のエアコン」と言われるように、温度と湿度の調整を「自動」で行ってくれるところにあります。

眠っている最中に汗ばめば羽毛(に生えている細かい小羽枝)が閉じて湿気を抜く通路をつくって湿気を排出し、寒いときには羽毛(に生えている細かい小羽枝)が開いて空気の断熱層を増やし、熱を逃がさないようにしてくれるのです。

私たちが快適な睡眠をとるための掛け布団の素材として、羽毛は「これ以上はない」と断言できるものです。私も一年中愛用しています。

ちなみに、ポリエステル素材のものは直接体の上にかけるとこたつで寝ているときのように蒸れる傾向にあるので、羽毛布団など、天然素材の布団の上にかけるのがおすすめです。

いい羽毛布団は、10年に1度くらい買ったお店に戻し、クリーニングとメンテナンスをしてもらえば、100年はもちます。快眠を考えたら、高価でも羽毛布団を買いましょう。そして高価な買い物だからこそ、いいものを選んでください。

ここで、羽毛について詳しく説明しましょう。

羽毛はダウンジャケットにも用いられているので、「羽毛=ダウン」と認識している人も多いかもしれません。

しかし、図6-5にあるように、実際にはダウンとフェザーの2種類があり、それらを採取する生体にもグースとダックの2種類があります。

グースは「ガチョウ」。その肝臓がフォアグラとして食されるので有名です。ダックは「アヒル」。こちらは北京ダックで有名です。このように、羽毛は元はと言えば、食用に育てられた水鳥の副産物なのです。ダックよりもグースの羽毛のほうが高価です。

というのも、グースはダックに比べ飼育期間が長いので、エサ代、人件費などのコストがより高くなるからです。またグースのダウンはダックのダウンよりも、軽くて柔らかいです。

ダックは雑食ですが、グースは草食なのでにおいが強くないのも利点です。これらどちらの生体からも、ダウンとフェザーがとれます。

フェザーは羽軸があり弾力が強く、一見して鳥の羽根の形をしています。一方、ダウンは、タンポポの綿毛のようにフワフワしたもので胸に生えています。

水鳥は、川や池の冷たい水の中で長時間過ごします。そのため冷たい水から内臓を守るために胸から腹の部分の羽毛が進化して、保温性の高いダウンになったのです。

しかも、水鳥は暑い季節も過ごさねばなりませんから、ダウンは保温性に富むだけでなく、熱を逃がすこともできるようになっています。

かつ、長時間飛ぶことができるように、とても軽いのです。ですから、掛け布団としてもダウンが多く含まれるほうが使い心地はよくなります。

最高級品は、グースの羽毛を使用したもので、ダウン95%以上のもの。少なくともダウン85%以上のもの、できればダウン90%以上のものがおすすめです。

また、そもそも使われている羽毛の量によっても暖かさは違ってきます。ダックもグースも動物ですから多少のにおいはあります。とくに、安い商品の中に、においが強いものが見受けられます。

においの強い商品は羽毛の洗浄が不十分で、汚れが十分に落とせていない可能性がありますので、アレルギーのある人はとくに避けたほうがよいでしょう。

信頼のおけるメーカーのものを実際に触って、においを嗅いでから購入することをおすすめします。価格は最低でも、数万円以上するものを選んでください。

羽毛の産地としてはハンガリーやポーランドが有名ですが、フランス、デンマーク、ロシア、そして中国などもあります。北緯50度あたりの寒い地域のものが有名です。

安くない買い物だからこそ、そして、大事な毎日の睡眠を預けるパートナーだからこそ、妥協せずに選んでください。

7羽毛布団は「季節ごとに使い分ける」のが正解

一口に「羽毛布団」と言ってもいろいろありますが、最も暖かいのが「羽毛掛け布団」です。シングルサイズで羽毛が1・1キロ以上入っており、とても暖かいので、冬に使うのに向いています。

一方、春夏など暖かい時期には、「肌掛け布団」や「ダウンケット」と呼ばれるものが使いやすく、こちらは羽毛が0・25~0・4キロです。これら二つの中間に「合掛け布団」があり、羽毛は0・6~0・8キロ。少し冷えてきた秋や春先に向いています。

また、肌掛け布団と合掛け布団を2枚合わせて使用することを前提にした「デュエットタイプ」もしくは「フォーシーズンタイプ」と呼ばれる商品もあります。

季節に応じて別々に使えますし、合わせれば羽毛掛け布団のようになりますから、これがあれば一年中、対応できます。

ただし2枚重ねて使った場合、生地の重さも2枚分になります。その分重くなるので、予算や収納の場所が限られている人向きではあります。

暮らしている場所や住居形態によって違いはありますが、基本的に四季のある日本では、季節に合わせて2枚持っていると便利です。

たとえば東京の気温を基準とした場合、鉄筋マンション暮らしの人は春夏は「肌掛け布団」、秋冬は「合掛け布団」。一軒家や木造アパート住まいの人は、春夏は「肌掛け布団」、秋冬は「羽毛掛け布団」がおすすめです。

8湯たんぽや電気毛布は「寝る前」まで

第5章で、深部体温が下がることで私たちはスムーズに入眠できるという話をしました。言い方を換えれば、深部体温が下がらないとうまく寝付けないということになります。

ここで気を付けてもらいたいのが、電気毛布などの保温器具の使い方です。真冬の寒い時期はベッドの中も冷えていますから、電気毛布で寝具を温めておきたいというのはわかります。

でも、実際にベッドに入る前にはスイッチを切りましょう。電気毛布で温めたままだと、深部体温が下がらずに寝付きが悪くなるし、就寝中に蒸れた状態となり睡眠の質を下げます。

目覚めたときに、こたつでうっかり寝てしまったときのような疲労感やだるさが残ります。湯たんぽなど自然に温度が下がる器具であっても、ベッド内にあること自体が邪魔です。

寝返りをしにくくなるので、取り除きましょう。

なお、靴下を履いたまま寝るのはNG。かなりのNGです。私たちが体温を下げるときに、どこから放熱するかといったら、手のひらと足の甲です。

靴下を履いていたら、足の甲からの放熱が妨げられ、体温は下がりにくくなります。靴下やレッグウォーマーを履いておき、温まってきたらベッドの中で脱ぐのもやめましょう。

湯たんぽ同様、そうしたものがベッド内にあること自体が寝返りの邪魔になります。

一番いいのは、こちらでお伝えした通り、布団乾燥機を用いてあらかじめ布団を温めておくことです。

もしくは、ウールの敷きパッドを敷いておくのもおすすめ。

背中など体の表面の温かさは保ちつつ、足の甲や手のひらからの放熱を妨げることもないため、深部体温が下がり、快眠が得られます。

一方で、暑さ対応はどうしましょう。部屋の温度については、エアコンを積極的に使っていいと私は思います。

汗だくになりながら裸で寝るよりも、適温の部屋で長袖長ズボンのパジャマを着て寝るほうが吸湿発散性の面でずっとよく、より深い眠りが期待できます。

また、保冷剤を入れたような敷きパッドが通販などで売られています。すごく暑がりな人にはそうした製品が向いていますし、それほどでもない人はシーツを綿から麻に替えるだけでも涼しさが得られます。

COLUMN6パートナーとは「別寝」がベスト

より快適な睡眠を得るには、家族などの同居人との話し合いが欠かせません。愛し合っているパートナーであれば、同じベッドで眠りたいと考えるのが自然です。

ところが、それによって熟睡が妨げられてしまうことがあるのも事実です。たとえば、イビキや歯ぎしりといった相手が出す音。耳元で聞かされるのですから大変でしょう。

また、寝返りも二人が同じタイミングで打つわけではありません。相手の寝返りによって目が覚めてしまうこともあります。こうしたことは、どちらが悪いのでもありません。

また、男女では体温が違うので「冷暖房戦争」が起こりがち。とくに夏場は、冷房のスイッチを入れる男性と、切る女性の戦いが一晩中くり返されることもあるでしょう。

これもまた、どちらが悪いわけでもありません。ですから、ケンカになるくらいなら、冷静に話し合ってみるのも一つの方法です。

さらに言うと、男女では筋肉の量や身長、体重といった体格が違うので、合うマットレスの硬さも違ってきます。

同室で眠るとしても、マットレスは別々に選ぶほうがいいでしょう。もちろん、パートナーシップは快眠と同じくらい大事ですから、それを壊してしまっては本末転倒ですね。

大事なのは、「どちらが悪いわけでもない」ことに振り回されて、イライラしないこと。イライラすれば、それだけで眠りの質が下がります。

パートナーのイビキや歯ぎしりには耳栓を使う、どうしようもない場合は寝室を分けるなど、現実的かつ効率的な対応策をとりましょう。

おわりに

最後に、叫ばせてください。

「一生使える健康メソッド」が、ついにできました!睡眠を仕事にして11年。その間に学び、自ら実践して効果の高かったことだけを本書に集めました。

このメソッドを実践する中で、私は「自分の健康は、自分でつくることができる」という確信を得ました。

実際にどんどん体調がよくなっていき、今では自分で自分の脳をコントロールし、体調はもちろん、毎日の「心の有り様」までハンドリングできている自覚があります。

そして効果が数値化して見える、最もわかりやすい事例が、「基礎体温の変化」です。一般的に、36℃台後半の体温が、最も免疫力が高く働いて健康だと言いますよね。

ここ数年分の私の人間ドックの結果表を見てみると、メソッドの実践を開始した2016年に36・1℃だったのが、ジリジリ上がり、2019年には36・8℃になったのです。

今もだいたいそれくらいです。0・7℃も上昇したことに主治医もビックリ。本文にも書いたように、ここ3年風邪をひいていないことからも、このメソッドの絶大なる効果が証明されたと言えます。

ここで、いま一度強調させてください。「毎日の積み重ね」は裏切りません。皆さんもぜひ、自分の力で「最高の体調」と「ベストパフォーマンス」を手に入れてください。

本書を執筆するにあたり大変お世話になりました、東邦大学名誉教授でセロトニンDojo代表の有田秀穂先生、睡眠評価研究機構の松浦倫子先生、サウンドヒーリング協会の喜田圭一郎理事長、いわさ泌尿器科クリニックの岩佐英祐院長、河田フェザーの河田敏勝社長に感謝の言葉を述べさせてください。

それから、本書を刊行するきっかけをつくったのは間違いなく東洋経済オンラインの連載なので、私の編集担当である倉沢美左副編集長、ありがとうございます。

そしてあらゆる場面で支えてくださった全ての方々に心からお礼を申し上げます。

最後に、昭和西川の皆さん、そしていつも惜しみない愛情とサポートをくれている私の母にこの本を贈ります。

2020年春西川ユカコ

参考文献

  • 日本睡眠改善協議会編『基礎講座睡眠改善学』(ゆまに書房)白川修一郎著
  • 『「睡眠力」を上げる方法』(永岡書店)白川修一郎著
  • 『ビジネスパーソンのための快眠読本』(ウェッジ)白川修一郎著
  • 『命を縮める「睡眠負債」を解消する』(祥伝社)上里一郎監修、白川修一郎編
  • 『睡眠とメンタルヘルス』(ゆまに書房)三島和夫著
  • 『睡眠と覚醒最強の習慣』(青春出版社)三島和夫、川端裕人著
  • 『8時間睡眠のウソ』(日経BP社)内山真著
  • 『睡眠のはなし』(中公新書)スティーヴン・J・ボック、マイケル・ボイエット著、内田好一訳
  • 『新発見!奇跡の秘薬メラトニン』(騎虎書房)ラッセル・J・ライター、ジョー・ロビンソン著、服部淳彦監修、小川敏子訳
  • 『奇跡のホルモンメラトニン』(講談社)シャスティン・ウヴネース・モベリ著、瀬尾智子・谷垣暁美訳
  • 『オキシトシン』(晶文社)有田秀穂著
  • 『睡眠ホルモン脳内メラトニン・トレーニング』(かんき出版)有田秀穂著
  • 『ストレス脳が幸せ脳に変わる朝5分の習慣』(日本文芸社)有田秀穂著
  • 『ひらめく!ひとり散歩ミーティング』(きこ書房)有田秀穂監修
  • 『心のストレスが消える処方箋』(宝島社)有田秀穂監修
  • 『幸せになる!心に効く処方箋』(宝島社)有田秀穂著
  • 『自律神経をリセットする太陽の浴び方』(山と渓谷社)有田秀穂、中川一郎著
  • 『「セロトニン脳」健康法』(講談社)藤川徳美著
  • 『うつ消しごはん』(方丈社)古谷彰子著、柴田重信監修
  • 『食べる時間を変えれば健康になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)三石巌著
  • 『健康常識100のウソ』(幻冬舎)南雲吉則著
  • 『病気が逃げていく!紫外線のすごい力』(主婦の友社)

西川ユカコYukakoNishikawa昭和西川株式会社代表取締役副社長睡眠改善インストラクター/温泉入浴指導員/セロトニントレーナー学習院大学卒業後、「ヴァンテーヌ」「25ans」「婦人画報」の編集者としてハースト婦人画報社に10年間勤務。

現在は家業である昭和西川の代表取締役副社長を務め、また睡眠研究家として「東洋経済オンライン」で睡眠記事を連載、「ミス日本」ファイナリスト勉強会や「NHK文化センター」青山教室などで睡眠講義を行うほか、各種メディアへの寄稿や企業での講演活動も行っている。

科学的データを参考にしながら、自身の身体を実験台に、日中にパフォーマンスUPするための快眠法を日々研究中。

2020年3月より、睡眠を切り口に事業者・仲介者・ユーザー・アカデミアなど業界を横断する企業・団体で設立した「睡眠サービスコンソーシアム」の理事も務める。

▼昭和西川〈ホームページ〉https://www.showanishikawa.co.jp▼西川ユカコ〈Instagram〉https://www.instagram.com/yukako_showanishikawa本書のご感想・ご意見をQRコード、URLよりお寄せください。

https://isbn2.sbcr.jp/02673/

世界の最新論文と450年企業経営者による実践でついにわかった最強の睡眠2020年4月7日初版第1刷発行2020年5月1日電子第1版発行著者:西川ユカコ発行者:小川淳発行所:SBクリエイティブ株式会社〒1060032東京都港区六本木245電話:0355491201(営業部)カバーデザイン:小口翔平+喜來詩織(tobufune)本文デザイン・図表:藤塚尚子(etokumi)イラスト:坂木浩子(ぽるか)DTP:株式会社キャップス編集:坂口惣一、水早將(SBクリエイティブ)編集協力:大島永理乃執筆協力:中村富美枝印刷・製本:中央精版印刷株式会社本書の内容に関するご質問等は、小社学芸書籍編集部まで必ず書面にてご連絡いただきますようお願いいたします。

©YukakoNishikawa2020ISBN9784815602673

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