「5S」と「改善」との関係について考え てみましょう。
「5S」は「くり返す」ことで効果が出ま す。
「改善」の手法を使つて、ムリなく 「5Sをくり返す」方法を考えましょう。
「整頓のくふう」 「清掃のくふう」などは、 「5S改善」と呼ばれています。
「 5S改 善 」 に つ い て
「5S」をくふうする それが「5S改善」
「5S」と「改善」そして「5S改善」 との関係について考えてみましよう。
「棚が乱れていたので整頓をした」 「床が汚れていたのでモップで掃除を した」 これらは「5S」をしたことになり ますが、「改善」をしたことには、な りせん。
「改善」とは、今までのやり 方や方法を「変える」ことです。
今ま で通りの掃除の仕方は「5S」ですが、 「改善」にはなりません。
もちろん「整理」「整頓」「清掃」を 手を抜くことなく、キチンとやること は大事なことです。
しかし「5S」は、「くり返し」続けることで効果を発揮 します。
くり返すためにやり方や方法 を「くふう」しましよう。
「くふう」 して無理なく続けられるようにしま す。
その「くふう」が「5S改善」と 呼ばれているものです。
この本の中で、すでに、たくさんの 「5S改善」を紹介してきました。
「定品管理」の項で「元に戻しやす いくふう」として「番号や色」をつけ たり「写真」を活用したもの。
また 「掃除のくふう」として「前始末」が あります。
これらはすべて「5S改善」です。
小さく変えるのが「改善」
「改善とはやり方や方法を変える」

ことです。
大きく変えるのではなく、 「小さく変える」ことです。
変えるこ とで、コストダウンになったり、品質 向上になったり、危険な作業が安全に なったり、正確に作業ができるように なったり、効率が上がったりします。
これらはすべて改善です。
改善の中のひとつに「5S改善」が あります。
「番号をつけた」 「写真を利用した」 「前始末をした」 などです。
小さく変えるので、すぐに 実施できます。
大きく変えようとする と費用も時間もかかります。
お金をかけず、時間をかけず、知恵 を出して「手っとり早く」実施する。
それが改善です。
上図の「5S改善」が、そんな例で す。
お金をかければ根本的な解決はで きます。
そうではなく、お金をかけず、 とりあえず「手っとり早く」実施した 改善事例です。
2 「改善・3つの定義」

ここでは「改善」について、知って おきたい「3つの定義」を説明します。
「改善とは何か」そう質問されたとき、 つぎの「3つの定義」で説明すること ができます。
① 手段の選択、方法の変更 ② 小さく変える ③ 現実的制約との対応 ① 手段の選択、方法の変更 何事にも「目的」があります。
その 目的を達成させるために、より良い方 法に変更します。
また手段を選択しま す。
それが改善です。
② 小さく変える 大きく変えようとすると、まとまっ たお金が必要、時間がかかることにも なります。
改善とは、小さく変えるこ とです。
お金をかけず、時間をかけず、 知恵を出すことです。
③ 現実的制約との対応 「良いアイデアですが、実施できま せん」という言葉は改善では通用しま せん。
「実施できるのが良いアイデア」 です。
現実には、さまざまな制約がありま す。
「お金がない」「時間がない」「人 手が足りない」そんな中でも何とか実 施できる方法を考えて実施するのが改 善です。
たとえ百パーセントの解決にならな くても、「10」の問題を「9」や「8」 にすれば、改善です。
・改善のステップ 着眼←着想←着手

「改善のステツプ」
一5S改善」に限らず、改善を実施 するときは、着眼←着想←着手の3つ の手順があります。
着眼←着想←着手の手順を、 「改善のステツプ」とも呼んでいます。
◇ どんな小さな改善でも、少し大き目 の改善でも、また「5S」に限らず、 ・コストダウンでも、安全でも、改善は、 必ずこの3つのステツプを踏んでいま す。
3 「5S改善」の一畢例研究 「探す」をヤメル。
今、カギがどこにあるのかわかる

●改善事例/ 円盤タイプのカギ管理表の作成 【改善前】 12階倉庫のカギが、誰かが持ち出し たままで、管理してあるところにない ことがあります。
カギの行き先の、あ りそうなところに何力所か電話をし て、カギのありかを探します。
しかし 毎回こんなことをしていては効率が悪 【改善後】 円盤タイプのカギ管理表を作成しま した。
カギを持ち出した者は、円盤を 回してカギのあるところを示す。
カギを戻すと同時に、円盤を所定の 位置に戻します。
カギのありかが、ひと目でわかりま す。

着眼点は、「カギが、今、どこにあ るのか、わからない」です。
着想は、「カギのありかを、わかる ようにする」となります。
ここで採用された着想案は、 「円盤タイプのカギ管理表の作成」で す。
そして実際に作りました。
(着手)
その他の着想案
ほかに、つぎのような着想案が出ま した。
◎カギを持ち出した者は、「ボードに 名前を書く。
戻したら名前を消す」 ◎カギを持ち出した者は、「自分の名 フダを所定の場所にかける」 戻した時点で名フダを戻します。
しかし「円盤を回す」といヽつ万法が、 いちばんラクで、カンタンな方法とい うことになり、この案が採用となりま した。
4 「修復・修繕」と「改善」について
「現象対策」それが 「修復・修繕」
「床の一部にヘコミがある。
水が溜 まったり、足をとられたりする。
ヘコ ミを直した」 これは「改善」ではなくて「修復」。
たんに元の状態に戻しただけのこと。
改善ではありませんが、大切なこと です。
何もしないで放置しておくより、 「修復」するべきです。
「水道管の古いパツキンを新しいも のと交換して、ポタポタの水漏れを直 した」――これは「修繕」。
「修復・修繕」は「改善」ではあり ませんが、5Sでは大事なことです。
「修復・修繕」とは、日の前の問題に対して手を打つことです。
つまり、 「現象対策」になります。
同じ問題が再び起こることになりま す。

「原因対策」それが 「改善」
それに対して、「原因」に手を打つ のが「改善」です。
「水浸しの床をきれいにした」 水浸しになった床を掃除することは とても大事なことです。
しかし、再び 掃除しなくてもよいように「改善」す ることも必要ですQ まず、水浸しの床をきれいにします。
その後で、 「なぜ床が水浸しになるのか」 原因を探り、原因に対して手を打ちま す。
しっかり手を打っておけば、再び 同じ問題がおこることはないでしょ う。

●改善事例/水道栓の止め忘れ防止策 【改善前】 水タンクを洗浄した後、再び水を溜 めるが時間がかかる。
そこで栓を開い て水を出した後、水が溜まるまで別の 仕事をすることがあった。
ところが仕事に夢中になり、ウッカ リ水道栓を止め忘れることがあった。
すると水タンクから水があふれ出し、 床が水浸しになってしまう。
【改善後】 水タンクの内側に金属板を取りつけ た。
水が、金属板のところまで溜まっ たら、水面が金属板に触れてブザーが 鳴るようにした。
ほかの仕事をしていても、ブザーが 知らせてくれるので、水道栓の止め忘 れがなくなった。
床が水浸しになるこ とがなくなった。
5 「5S改善」から始めよう

「5S改善」は 「改善」の第一歩
多くの会社で取り組んでいるのが 「改善活動」です。
初めて「改善」に取り組む人たちに 対しては、まず「5Sをテーマ」とし た改善に取り組んでもらうのがよいで ―)よヽつ。
「改善能力」とは、たんなる知識で はなく、現場で「改善を実施する能力」 のことです。
「お金と時間があれば」 たいていのことはできます。
しかし 「お金がない、時間がない」のが現実 です。
その中で現場で実際に改善をお こない、経験を重ねていってこそ実力 がつくのです。
その点から見て「5Sをテーマ」と した改善は最適です。
身近にあって、 取り組みやすく、実施しやすく、効果 もすぐに出ます。
良い結果が出れば、 意欲も自然と沸いてきます。
「5S改善」は、「改善の基礎体力」 をつけるのに適しています。
「5S改善」から 次のステツプヘ
初心者は、まず「5S改善」で基礎 体力をつけて、やがて「コストダウン」 や「作業の効率化」といったテーマの 改善に取り組むのが良いでしょう。
「5S改善」で改善の定石やノウハウ を身につけておけば、それらはほかの 改善を実施する上でも役に立ちます。

ベテランになっても 「5S改善」を
「5S改善」を実施することは、作 業の効率化になり、またコストダウン の第一歩にもなります。
「コストダウンをしよう」 「作業の効率化をはかろう」 そう掛け声をかけても、「必要な道 具がすぐに見つからない、探し回る」 「設備や機械がホコリをかぶつて、す ぐに故障する」。
これでは困ります。
まず「5S改善」 から。
ベテランになって、ほかのテー マの改善を取り組むことになっても続 けて欲しいのが「5S改善」です。
「5S」における改善のタネ
改善のタネは、毎日の仕事の中にた くさんあります。
たとえば、 ◎手間のかかること
◎やりにくいこと、メンドウなこと ◎手が痛くなる、だるくなる ◎腰が痛い、足が疲れる ◎まちがいやすい作業 ◎見まちがいやすい部品や道具 ◇ ここに上げた改善のタネは、整理、 整頓、清掃をする中でも感じたら、そ れは「5S改善」をする上でのタネと しても通用します。
こんなふうに感じたら、「5S改善」 のチャンスです。
タネを取り除く方法
これらのタネを取り除く方法は、今 まで見てきた「番号や色」をつけたり、 「オープン管理」といった手法、また 「キャスター」を活用したり「前始末」 といった手法などが役立ちます。
ほか にも、いろいろあるでしょう。
社内で 実施された「5S改善」をおおいに参 考にしましよう。
・5S改善事例①


5S改善事例②

5S改善事例③


「5Sと改善」のまとめ
「棚が乱れていたので整頓をした」 「床が汚れていたのでモップで掃除をした」 これらは「5S」であって、「改善」ではありません。
「整頓の方法」や「掃除のやり方」をラクに、カンタンに、 できる方法に変えることが「改善」です。
とくに「5S改善」と呼ばれています。
身近かにあって、取り組みやすいのが「5S改善」です。
まずは「5S改善」から始めましょう。
「改善」は、ほかに「コストダウンの改善」「品質向上の改 善」「安全作業の改善」などがあります。
改善とは、① 方法の変更、手段の選択 ② 大きく変えるのではなく、 小さく変えること ③ 現実の制約の中で実施すること 修復・修繕は、「現象対策」です。
改善は、「原因対策」です。
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