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第5章短時間で仕事を終わらせる高密度仕事術

目次

仕事を高密度化する必要性とメリット

多くの方が、理想と現実のスケジュールを比較して、理想に近づけるために、働く時間を短くすることが必要になってきます。これは合理的な判断です。

なぜなら、仕事は単位時間あたりの生産性を向上させることで、短時間で済ませることができるからです。1日の時間は、24時間と決まっています。必要な睡眠時間も変わりません。

毎日を充実させつつ未来への投資時間を確保するには、働く時間の生産性をよくして短時間に凝縮する必要があります。

一般的には「時短」といわれますが、私には多少違和感があります。なぜなら、単に時間を短くすればいいというものではないからです。

会社も社員も、成果を高めつつ時間を短くすることを同時におこないたいはずです。私は、これを「時短」ではなく「高密度化」と提唱しています。高密度化とは、単位時間あたりの生産性を、極限まで高める仕事のやり方です。

高密度で仕事をおこなうためには、高い集中力、精密な優先順位づけ、最善主義思考をベースにして、「捨てる」「効率化する」「人に任せる」などの仕組みも必要になってきます。

高密度仕事術の目的は、自分で決めた時間の枠で最大の成果を出すことであり、その密度を高める活動には終わりがありません。

いってみれば、トヨタ式のカイゼンに近いイメージで、どんどん最適化を繰り返し、高密度の仕事をおこなう習慣をつくることを目指します。

では、これから高密度仕事術をおこなう方法をご紹介します。

高密度仕事術を実現させる3つの原則

高密度で仕事をするためには、単位時間あたりの集中力を高めることが重要です。メリハリのある仕事ができる人は、集中すべきときは徹底的に集中し、やめるときはきっぱりと切り上げます。

ダラダラ型は、低集中の仕事になり、結果長時間労働になります。その結果、寝不足になり、翌日も低集中になるという悪循環です。高密度仕事術は、短時間・高集中のワークスタイルです。

拙著『力の抜きどころ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に記載したラグビーの平尾誠二監督の例が「高密度化」を物語るいい例なので、抜粋します。

日本のチームは練習のしすぎだ。練習時間を週に三回、二時間にする」これは、神戸製鋼で7連覇を達成した伝説の元ラガーマン、平尾誠二さんが日本代表監督になった時の最初の方針です。

その理由を次のように語っていました。海外の強豪チームの練習時間は日本より圧倒的に短い。

日本だと五、六時間練習するところを海外だと二時間です。しかし、練習の密度が全く違います。

日本は六時間で力のすべてを使い切るように練習するので、ある意味時間あたりに発揮する集中力が低いのです。

逆に、海外の強豪チームは練習時間が二時間なので、最初から猛烈な動きで練習します。

ラグビーの試合は、四十分ハーフの合計八十分です。

海外の練習が合理的なのは、試合時間とほぼ同じで、その時間内で高い集中力を発揮するところにあります。本番と同じ緊張感でエネルギーを出し切る練習をしているのです。

平尾監督は、日本人の選手を見ていて、いざという時、集中力を最高潮に持っていく力が弱いと考え、練習時間を短くして、その分密度を高める改革をしたのです。

平尾改革のポイントは、単位時間あたりの集中力をいかに高めるかです。

試合時の集中力を最高潮に持ってくるというやり方は、そのまま私たちの仕事にも転用できるのではないでしょうか?そこで、高密度仕事術で大切な3つの原則をご紹介します。

原則❶帰る時間を徹底して死守する

第一の原則は、帰る時間を死守することです。退社時間は、激しい緊張感を持って根性で守るのがポイントです。

このコミットメントが弱いと、結局ダラダラと残業して、低い生産性からなかなか脱出できません。時間を制限するからこそ高密度化が実現するのです。これは、荷物を減らすのと同じです。荷物を減らせないのは、かばんが大きいからです。

その場合、どんなに取捨選択をしましょうといっても、「万が一使うときがあるかも」「これは必要かもしれない」と結局あれもこれも詰め込んでしまいます。

問題は、取捨選択の基準をいくら強調しても、感情面で「不安」がある限り簡単に手放せないことです。

そこで最も即効性があるのが、かばんを小さくすることです。入れられる荷物の量に制限があれば、減らさざるを得ません。

この強制力が働くと、不思議と取捨選択の基準が本人の中で明確になります。

手放す勇気が出るのです。制限を設けることで、不安感に負けて取捨選択をやめるという容易な手段に流れなくなります。時間の効率化でも、まったく同じことがいえます。

働く時間が同じだと、「今やっておきたい」「どうしても人に任せられない」「早く帰るのは難しい」という不安を手放せず、結局密度は変わりません。

なぜなら「かばんの容量」が大きいから。仕事の場合は「働く時間」が容量に当たります。ですから働く時間に制限をかけて、それを絶対ルールにすること。ここから働く時間の高密度化が始まります。

この緊張感やコミットメントが弱い中でテクニックを駆使しても、あまり改善は見込めないというのが、今までコンサルティングをしてきて得ている実感です。

最初の1週間は、仕事が終わらないまま帰らなければならない日が続きます。仕事のやり方が改善されていないからです。

でも、それでいいのです。今まで通りでは終わらないという危機感から、高密度化の工夫が始まるのです。

仕事のスタイルを変えるのであれば、過渡期の苦しみを覚悟しておく必要があります。未完了感、切迫感、不安、自己嫌悪感と共に過ごす時期も必要なのです。どうしても時間が足りない場合は、翌朝早く出社して取り戻す「朝残業」で乗り切ってください。

原則❷超集中できるエネルギーを充電する

高密度仕事術では、単位時間あたりの集中力を高めて生産性を上げます。そのためには、充分なエネルギーが必要です。精神的・身体的エネルギーに満ちていると、驚くほど集中できます。

一方、低集中・低密度の仕事術に慣れている人は、疲れていてエネルギーも低いものです。そこで、エネルギーを高めるには、充分な休息と栄養をとることです。まず充分な睡眠です。

繰り返しになりますが、睡眠負債が溜まった状態で仕事をするのは、酩酊状態で仕事をするのと同じです。

充分な睡眠が取れた状態で仕事をすると、圧倒的に集中力が違います。しかし、その集中力も持続性の問題があります。

ですから、適度に90分に1回は休憩を挟むことが大切です。そして、何よりも長時間労働を避けることです。

長時間やるより、単位時間あたりの生産性が高いことに達成感を覚え、価値を感じる自分をつくりましょう。

ダラダラ仕事する時間が10分でもあれば、罪悪感を持つ。仕事が効率的に進んだら多少、未完了の仕事があってもOKとすることです。

さらに、家に帰って好きなことをやって、精神的に満足度を高めるようにしてください。そうすると、次の日のエネルギーはとても高く、集中ができます。帰る時間を守り、充分なエネルギーが充電できると、高密度化の環境がどんどん整っていきます。

原則❸完璧主義をやめ最善主義で考える

最後の原則は、完璧主義ではなく、最善主義で考えることです。完璧主義の人は、仕事を過剰品質でおこなったり、相手が求めていないことに時間を使っていたりします。

また、人に任せられない、自分でやらないと失敗するのではないかという不安が大きい結果、仕事を手放すことができません。

完璧主義の人の仕事は、往々にして自分の理想の追求で、相手にとってはそこまで必要なかったりすることが多いのです。

たとえば、会議の資料の体裁に時間をかけたり、メールの返信1つ1つを丁寧に書きすぎて余計な時間がかかったり、電話で済ませれば5分で終わるところを報告書にまとめて30分かけたりするのは、過剰品質の仕事になります。

この完璧主義の対極にあるのが最善主義です。私は、最善主義とは「限られた時間で可能な限り最善の結果を出す思考」と定義しています。

この最善主義の思考がなければ、帰る時間に制限を設けても改善に限界がやってきます。

完璧は幻想であり、力の入れどころと抜きどころを明確にできる人が、仕事で高い成果を出す人です。

最善主義をおこなうためには、投入時間、納期、品質を考えて、限られた時間で何をどのような優先順位で、どれだけの時間をかけてやっていくのかを考え続ける必要があります。

そのためには、目的と相手の満足ラインをしっかり掴む力をつけていかなければなりません。そこがずれてしまうと、仕事の成果として認めてもらえないからです。

この最善主義思考を駆使するためには、そのタスクを完璧にこなしていくと時間が足りなくなるという状況に、自分を追い込むことです。

つまり、原則1「帰る時間は絶対に何があっても死守する」とセットで考えなければなりません。

そうなれば、どこに力を入れるべきか、妥協して切り捨てるべきか、他人に任せるべきか、というところが見えてきます。

最善主義思考を身につけるための詳しい方法は、先述の拙著『力の抜きどころ』に譲りたいと思います。

高密度仕事術を習慣化するために

高密度仕事術の3つの原則をご紹介してきました。この3つの原則を守らないと、高密度仕事術は機能しません。

さらに、仕事の成果を限られた時間で最大化するには、高密度化するテクニックが必要です。本書をお読みの方には、様々な働き方・立場の方がいらっしゃるかと思います。

職種でいえば、営業、事務、システムエンジニア、店舗販売、人事、経理など。役職でいえば、現場の方から課長、部長、取締役、会社を経営している方まで様々でしょう。

しかし、私が個人コンサルティングをするとき、仕事を高密度化するための視点は共通しています。まず、きちんと自分の仕事における低密度の原因を生んでいるパターンを知ることが大切です。

そのために、重要なことが「時間簿」をつけることです。

時間簿をつけなければ大きな改善はできない

時間簿とは、作業単位の記録を取って、時間の使い方の現状を知るためのツールです。そういうと、「面倒くさい」と敬遠されがちです。ただし、これこそが王道で、一番手っ取り早いのです。お金の話に置き換えてください。

「お金が貯まらない、無駄づかいをやめたい」という相談を受けたら、家計再生のコンサルタントは何をするでしょうか?当然、家計簿をつけてもらいます。

私が対談をした家計再生コンサルタントの横山光昭氏も、年中家計簿を見てアドバイスをしています。

なぜなら、お金が貯まらないのは、食費が派手なのかもしれないし、高いブランド物のバッグや洋服を買いすぎてお金がないのかもしれない。

あるいは、光熱費が異常にかかっているのかもしれないし、逆に支出に対して収入が少なすぎるのかもしれません。

必ず診断があってから解決策を出すのが順番です。数打てば当たる方式で節約本を読んで対策を講じようとしても、効果は限定的になります。

これは時間でもまったく同じです。

非効率的な時間や無駄な時間が多いのは、休憩時間を取りすぎているのが原因なのかもしれないし、不必要な作業をしているのが原因なのかもしれない。

1つの作業に時間をかけすぎているのかもしれないし、突発事項に振り回されて非効率になっているのかもしれない。原因は様々です。だからこそ、時間簿をつけることからスタートします。

経営学者で有名なドラッカーは著書『経営者の条件』の中で、時間について次のように語っています。

「時間に関して重要なことは、記録することである。(中略)時間の使い方は、練習によって改善できる。しかし、時間の管理に絶えず努力しない限り、仕事に流されることになる。

したがって、時間の記録の次にくる一歩は、時間の体系的な管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、できるだけ排除していくことである」

つまり、時間の記録をリアルタイムで取り、そして改善する。これが普遍的な手法です。これを習慣にして改善し続けることが、高密度化を進める鍵となります。

忙しい完璧主義者が3時間以上もダラダラしていた?

実際に、私がコンサルティングをしたケースをお話しします。

「私は完璧主義で仕事の段取りが悪く、働く時間が長い」という相談で来られた方がいます。

そこで私は、完璧主義を改善するコンサルティングではなく、まずは時間簿をつけることから始めてもらいました。

「面倒だ」と思われがちですが、すべてのクライアントさんは手間をかけずに習慣化できています。意外とつけ始めるとやみつきになるものです。

さて、時間簿をつけた結果、何がわかったでしょうか?多残業の原因は、完璧主義ではなかったのです。

もちろん非効率性の要因ではあったものの、もっと別の問題がありました。休憩・ダラダラしている時間が、なんと毎日3時間以上もあったのです。これは時間簿をつけたからこそ、わかったことです。

そこで、短時間で効果的な休憩を取る方法をアドバイスしたところ、昼食を除く総休憩時間を1時間半に短縮することができました。

それ以外にも、不要な資料の作成に30分とられていたり、一番大変な仕事を夜にやっていたりして、生産性が悪いことも明確になりました。

1つずつ対策を打った結果、毎日の残業を3時間以上削減できたのです。こういう例は枚挙にいとまがありません。ほとんどの人が、自分で認識している時間の非効率さの原因と実態には違いがあるのです。

「計測しなければ、管理できない」と言ったのもドラッカーです。

高密度化を習慣にする5つの対策

時間簿をつけて1週間もすると、時間活用の実態が見えてきます。ただし、その後も時間簿は習慣としてつけ続けてみてください。

なぜかというと、自分が講じた対策がどれだけの時間短縮に繋がったかを計測することで、さらなる高密度化への課題を見つけるためです。

たとえば、ある時期にかけて残業が増えたとしても、単純に急激に業務量が増えただけであれば、それは時間効率が下がったわけではありません。

しかし、時間簿をつけていないと、結果だけを見て、非効率的な仕事ぶりに戻ったとか、早く帰れるようになったから効率が上がったなどと勘違いしがちです。

大切なことは、単位時間あたりの生産性です。だからこそ、常に計測し続けることが必要です。それに伴って、高密度化がどんどん進んでいきます。

時間簿をつけたら、非効率的となっている原因を探り、その対策を考えるのが次のステップです。あなたの時間簿を見て、最も問題と思われる内容を探ってみてください。

具体的には、次の5つの観点からチェックしてみましょう。これが、非効率性を招く代表的な5つの原因です。

  • □多くのタスクに同時に手をつけて、どれも中途半端で終わっている
  • □いつも残業時に、最も重要で気が重たい仕事が残っている
  • □先延ばしをして、納期がいつもギリギリになってしまう
  • □上司や他部署、お客様からの突発的な依頼が入って振り回される
  • □休憩が多かったり、必ずしも必要のない仕事をしている

実践のポイントは、1週間ごとに1つの対策をおこなっていくことです。いくつも同時にやろうとすると、難易度が高くなります。1つずつ1週間集中しておこなうことで、改善を確実なものにできます。それでは、対策を1つずつ見ていきましょう。

対策❶シングルモードで徹底的に集中する

まず、低密度な仕事の原因の1つ目は、マルチタスク、マルチモードで仕事をしていることです。マルチタスクとは、同時にいくつもの仕事に手をつけることです。

このとき、仕事に同時に手をつけているだけではなく、資料作成、電話、メール送受信と、まったく異なるモードの仕事をバラバラにやっていたとすると、マルチタスクだけではなくマルチモードとなり、一番非効率的な仕事の進め方になります。

仕事には、モードがあります。

たとえば、資料作成、打ち合わせ、メールの返信、アイデア発想、細かい数字のチェック、電話、雑用は、それぞれモードが違います。

マルチモードとは、脳の働く部分や気分の違う仕事を、何度もギアチェンジしてこなすワークスタイルです。

マルチタスク、マルチモードがよくないのは、ギアチェンジのたびに時間が無駄にかかり、精神的なエネルギーを消耗するからです。

仕事は、必ず立ち上げに時間がかかるものです。1つの仕事に高い集中力が発揮されるまでには、起動時間がかかるのです。モードを何度も細かく変えることで、どんどん起動時間が増えます。

起動中は生産性が低いので、何度も切り替えることで全体として非効率になります。また、精神的なエネルギーという面でも集中力を奪っていきます。人が集中するために使う1日のエネルギーには限りがあるのです。

モードのギアチェンジをするごとにエネルギーが使われるので、本来集中したいタスクにエネルギー配分ができなくなります。

だからこそ、理想はシングルタスク、シングルモード。なるべく1つのタスクに集中すること。さらに、なるべくタスクをこなすとき、同じものに固めて同じモードでおこなうことです。

たとえば、私は執筆モードのときに、本や連載の執筆を続けておこないます。

午後に人と会う予定があるときは、打ち合わせや取材など、一気に連続してアポを取っておきます。

外交モードに入っているときに面会をするのはいいのですが、午前と午後にバラバラに入っていると、落ち着いて集中できません。

個人コンサルティングをするときも、時間の枠を決めていて、コンサルティングモードのときには、一気に連続5人の方にコンサルティングをおこないます。

そうすると、モードの立ち上げは1回で済みます。

クライアントさんにとっても、私のモードがピークに達しているときにコンサルティングを受けることで、最善のアドバイスが得られるのです。

GMOインターネットの熊谷正寿社長も、まったく同じことを仰っていました。

幻冬舎の見城徹社長との公開対談で、時間活用で工夫していることを延々と語っていましたが、集約すると「ポイント集中」という言葉で語っていました。

彼の会社には80社以上のグループ会社があり、週の会議だけでもおそろしい数になります。熊谷氏は、会議は短時間にして、さらに徹底して月曜日に固めるそうです。

そしてその間は、大切な人から電話があっても絶対に取らない。徹底的に集中し、昼食をとりながらも会議をするのです。メールも決めた時間だけで処理します。

大量のメールが来るので、チェック&返信モードに入っていないと、とてもこなせないのでしょう。ただ、ビジネスパーソンは、すべての予定をコントロールできるわけではありません。

ある程度マルチタスクにならざるを得ないこともあります。

しかし、自分で最善の努力をし、ギアチェンジを少なくしてシングルモードでタスクを処理することができれば、必ず高密度化してきます。

あなたの時間簿を見て、何度モードが変わっているか確認し、モードを固めるために何ができるか考えてみましょう。

対策❷最重要の仕事を朝一番に片づける

仕事を切り上げて早く帰れない原因の1つに、「今日やるべき重要な仕事が終わっていない」ということがあげられます。

たしかに、今日やるべき重要な仕事が終わっていないと、帰ることはできないでしょう。さらに都合が悪いことに、やるべき重要な仕事は、気が重くてエネルギーを使う仕事だったりするものです。

残業時間にもなれば、日中の仕事で疲れ果てていて、精神的なエネルギーが枯渇しています。

そんなときに一番重たい仕事が残っていると、朝やれば1時間で片づく仕事が3時間以上かかったりするものです。

論理力や創造力、構成力といった思考エネルギーのいる仕事は、朝一番に済ませることを強くおすすめします。

理由は2つあります。

1つ目は、朝は一番エネルギーがあり、最も重要なことを短時間で処理する絶好の機会だからです。ここで、雑用や急ぎでもないメールにエネルギーを消費するのは、とてももったいないのです。朝一番こそ、その日に絶対にやらなければならない重要な仕事を処理できる黄金時間なのです。

2つ目は、1日のスケジュールの主導権が握れるからです。

私のクライアントでも、朝一番のメールチェックをやめて、重要なプログラミングを1つ終わらせる、提案書作成を終わらせる、事業計画の進捗と行動を整理することなどに着手することで、その日全体のほかのスケジュールもコントロールできるようになっていきます。

まずは一番重い仕事を処理することで勢いがつき、退社時間にあとは雑用だけという状態になれば、雑用は後回しにして帰る時間を守ることができます。

とにかく、今日やるべき一番重要な仕事は何かを見定めて、朝一番で脇目も振らずその仕事に没頭するようにしてください。

おすすめは、一番重要な仕事は何かを朝から考えるのではなく、前日の夜の帰るときには考えて机の上に出しておき、すぐに取り組めるようセットアップをしておくことです。

朝から資料を探したりプリントアウトしたりしている間に、メールを見てほかのことに気が散らないようにするためです。

対策❸先延ばしをなくす

最重要の気が重たい仕事を朝一番で処理するというのは、まるで夏休みの宿題を最初の1週間で済ませようというぐらい、ハードルが高いことだという人は多いでしょう。

苦手な仕事、面倒な仕事は先延ばししたいものです。

しかし、先延ばしによってギリギリになってしまい、いつもの納期プレッシャーに追われて、いくらやっても仕事が終わらないというケースは、誰にでも思い当たるところがあると思います。

また、雑用でも先延ばしして納期が迫っていれば、朝一番の黄金時間に手をつけざるを得ず、時間配分が悪くなります。

先延ばしのケースは様々ですが、シンプルに2つの方法で問題の8割は解決します。

結局、心理的負荷が問題になってくるわけですが、ストレスを小さくして着手することがポイントです。

  • □面倒くさい
  • □失敗がこわい
  • □気が重い
  • □嫌われるかも
  • □やったことがないから不安

など、様々な心のブレーキがあります。では、対策をご紹介しましょう。

1つ目は、「チャンクダウン」です。チャンクダウン(ChunkDown)とは、物事の手順を具体化、明確化するということです。チャンクとは「塊」。ダウンは「小さくする」という意味です。

たとえば、プレゼンが不安だとします。

その場合、具体的に構成づくりか、資料づくりか、話すことか、どれが不安なのか考えます。

たとえば、話すことだとすると、それの何を恐れているのでしょうか?発表中に頭が真っ白になることが不安ならば、原稿をきっちりつくるという対策が、質疑応答で答えられなくなることを恐れているのであれば、応答問答集をつくるという対策が考えられます。

チャンクダウンにより、行動の「明確化」を実現することで、対策を立てることができ、無用な不安で動けない状態から解放されるのです。

チャンクダウンのコツは、「一口サイズまで小さくする」ことです。

一見複雑に見える作業も、具体化して15分単位の小さなタスクに分けてしまえば、行動することへの心理的な負荷は下がります。

おすすめの方法は、付箋に書くことです。頭の中を整理でき、チャンクダウンの作業も楽にできます。

2つ目は、先述のベビーステップ(小さな一歩)で始めることです。

たとえば、「1時間のランニング」をしようとして、簡単に行動に移せないとします。そこで、「15分のウォーキング」でいいということにすると、心のハードルは下がるでしょう。

人は、一度動き始めると、モチベーションが発動するものです。やる気が湧くのを待ってから行動するのではなく、まずは着手する。それからやる気が湧くのです。このように、ハードルを下げて、まずは小さな一歩で踏み出すことがベビーステップです。

①時間を短くする例

重要な資料を、15分だけタイマーをつけて作成してみる

②難易度を下げる例

まずは過去の資料で、参考になるものを探してみるこの「チャンクダウン」と「ベビーステップ」で、先延ばしを処理してみてください。

対策❹突発的な仕事をコントロールする

仕事は1人でやっているわけではありません。上司やお客様、先輩や他部署と共に動いているので、急な仕事の依頼は必ず発生します。その頻度は、職種によって異なります。

たとえば、突発的な仕事が最も多いのは、コールセンターや修理サポート窓口、個人向けの販売店、営業事務などの仕事があげられるでしょう。

これらの職種では、1日の計画を立てても、ほとんどお客様や社内の依頼者次第で見直しを迫られます。

また、新入社員、マネージャーも突発が多いものです。新入社員は、上司や先輩からどんどん仕事の依頼が来ます。彼らの手伝いをするわけですが、これらを処理するだけで精一杯になります。

マネージャーも、部下からの相談や複数のプロジェクトを管理していると、緊急対応を迫られることがあり、日中はそれらの対応に追われます。

突発的な仕事に振り回されることで生じる問題は、「集中してやるべき仕事が終わらない」ことです。

突発的な仕事への対応は、大なり小なり発生するわけですが、それに振り回されるのか、コントロールして集中すべき仕事を処理できるのかで、高密度化に大きく影響してきます。

その対策としては、集中するべき仕事をチャンクダウンして、モジュール(小さい単位)にしておくことがあげられます。

一度突発的な仕事に邪魔されて、集中すべき仕事に戻れない人は、大きなモジュールで考えていて、再スタートを切るのに時間がかかります。

一方、15分単位のモジュールに作業が分かれていれば、そのモジュールが完了するまで突発的な仕事に対応せず、キリがいいところで終わらせてから対応し、また次のモジュールからスタートすることができます。

このモジュール化が、突発的な仕事への対応をこなしながらも、重要な仕事を進行させる方法の1つです。

また、突発的な依頼を、本当にすぐにやる必要があるのか考えることも重要です。

さっさと済ませたほうが楽だからと、集中力が高い朝に突発的な雑用を処理するのは、エネルギーの観点から非常にもったいないことです。

そこでもう1つの対策は、突発的な依頼は処理する時間を決めて、ある程度そこに固めることです。対応の時間を固めて、突発の仕事を処理するモードで一気に処理できれば高密度化します。

依頼主に、「午前中は時間がないが、午後一番から着手することはできる」と交渉するのです。そうすると、意外と相手は待ってくれるケースが多いもの。

あなたが決めた最も重要な仕事を終わらせることは、クレーム対応をすることと同じぐらい最優先する意識が大切です。

他人からの依頼についても同じです。いい人になって受けすぎて、自分の仕事が回らないというケースは多々あります。

相手に対して、充分な質をもって対応することができないなら、きちんと断ることも大切なスキルです。仕事内容によって、断るか否かも変わってくると思います。

一筋縄ではいかない複雑なパターンもあるでしょうが、それも方針を決めておくことで、随分と振り回され感が減るはずです。時間簿からパターンが見えてくると、今後の方針が立てられます。

対策❺余計なことを減らす

実は、時間簿を見て一番簡単に気づくのが、この余計なこと、つまり無駄な作業です。

先の例のように、時間簿をつけると意外にも、休憩時間の総計が3時間あったり、タバコ部屋にいる時間が1回30分もあったりすることに気づくものです。

また、無駄な資料作成(口頭の説明で充分だった)に45分も使っていたり、探し物に20分も使っていたりすることがわかります。

ほかにも改善当初は、使途不明時間もたくさんあります。特に休憩時間は要注意。

ただボーっとしていただけ、あるいは、きちんとした休憩ではなく、気分転換にただ漠然とネットを見ていた、同僚とだらだら話をしていたという時間は、明らかに改善対象です。

また、メールや雑用も時間泥棒の犯人です。最善主義の発想で、徹底して最適化してください。時間を決めて、まとめて処理するのが一番です。

会議への参加にしても、無駄だと思うものは明確に参加する目的を聞き、必要性がないと思えば断る勇気を持ってみてください。

最もよい対策を見つける方法は、「もう一度その日を過ごすならば、どのようなスケジュールで仕事をするか」と振り返ることです。

計画を立てることより振り返りを重視する仕事を高密度化するために、計画が重要なのは言うまでもありません。

朝の通勤電車や前日の夜に計画を立ててください。しかし、私が計画より強調したいのが、振り返りです。

1日の時間簿を見て、効果的だったことは何でしょうか?改善点は何でしょうか?改善するために何をしますか?このように振り返ることで、翌日の仕事をどうするか、しっかりと考えるようになります。

ただ時間簿をつけているだけでは、高密度化は実現しません。その内容を分析して、どうすれば高密度化できるかを考える機会が必要です。

それを習慣化していないと結局、家計簿をつけるだけで改善しないのと同じで意味がありません。私はクライアントに、振り返りシートを用いて、時間簿と振り返りをセットでおこなってもらいます。次ページの図表は、私のあるクライアントの実例です。

このように、毎日10分間、時間に関する振り返りをおこなうことで、的確な改善を積み重ねることができます。私のコンサルティングに参加される方の生産性は、平均で30%以上アップします。

それは、私が時間簿をもとに問題と対策を指摘し、クライアントが実践して振り返る習慣が身につくと、自然と現れる結果です。

私が最も重視している変化は、継続的に高密度化が加速していく仕組みを残すことです。

あなたも、時間簿をつけ、振り返り、改善するという一連の習慣を身につけることで、生産性は高まり続けます。

徹底的に自分との約束を守ることで好転する

さて、これまで高密度仕事術の概要をお伝えしてきました。

私が高密度仕事術のコンサルティングでおこなっている内容の一部をご紹介してきましたが、あなたの状況に当てはめて実行すると、それだけで必ず生産性は高まります。

最後に、もう一度強調したいことがあります。

この高密度仕事術において、テクニック論よりも大切なことは、帰る時間をコミットし、働く時間そのものを短くすることです。

そのとき、必ず仕事はオーバーフローします。段取りが変わらなければ当然です。ここが最も取り組みの真価を問われるときです。

簡単に妥協して残業したら、そこで高密度化は終わりです。帰る時間を守って、限られた時間でどうすれば仕事が終わるのかを必死に考え、実践すること。この緊張感の中で、仕事の高密度化が加速していくのです。

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