第5章期待に応える笑い難易度★★★★あなたの言動で、笑わせたい相手の期待に応え、満足させて笑いを生む技術(1)「期待に応える笑い」では、相手をどういう感情にさせることによって、どういう理屈で、笑いを取れるのだろうか?相手を満足させる笑わせたい相手が期待している言動を取ることで、「よく言ってくれた!」「待ってました」「見られて良かった」「聞けて良かった」などと思わせることができたら、あなたは相手を満足させたと言えるでしょう。
人は、満足できたら嬉しくて笑顔になりますよね?逆に期待していたものと違った時、笑顔はなくなります。
満足させることができれば、基本的に笑いは取れます。
この笑いのことを、本書では「期待に応える笑い」と呼びます。
人間は、どうして満足すると笑顔になるのか?それは、満足すると……嬉しいから、幸せだからです。
これを利用しましょう。
笑いを起こすために相手の期待に応えて満足させる。
人は「こうだったらいいな」「こうしてほしいな」という欲求が満たされた時、自然と笑っているのです。
(2)「期待に応える笑い」は、どういう相手や場に適しているのだろうか?まずは、自分に期待してもらわないといけません。
ですので、笑いを起こせるのは、自分に期待をしてくれる相手のみです。
逆に言うと、初対面の人や、薄めの人間関係の相手には、使えない可能性があります。
場については、相手が期待している内容によって変わってきます。
(3)「期待に応える笑い」を取る方法相手の期待を感じ取り、実行では、どうすれば「期待に応える笑い」を取ることができるのでしょうか?それには、今、相手が期待していること(こんなことを言ってほしい、こんなことをやってほしいという欲求)を感じ取り、もしくは聞き、それを実行することが必要です。
具体例を見ていきましょう。
【例1】雪の日、男性2人が歩いている状況男性1「雪、すごいねー」男性2「すごい足元滑るな」男性1「確かに」男性2「お前って、こういう時、コケそうだよな~」男性1「いや、いや、大丈夫だよ」男性2「いや、お前、絶対にコケそうだよ」(←コケてほしいという期待)男性1「(その期待を感じ取り)いやいや、俺は注意して歩いてるから絶対コケないよ」(コケる)男性2「ほらー(笑)」【例2】女子高生2人が絵を描いているが、描いている途中では互いに絵を見せない状況女子高生1「久しぶりに絵描くな~」女子高生2「幸子ってめちゃくちゃ、下手な絵、描きそうだね」女子高生1「そうかな~」女子高生2「いや、書きそうだよ~」(←下手な絵だったら面白いのになという期待)女子高生1「別に普通だと思うよ~」(実際は、もっと上手い絵を描けたとしても、期待を感じ取り、わざと下手に描く)女子高生2「じゃあ、せーので見せ合おう!せーの」(お互い、絵を見せる)女子高生2「めちゃくちゃ下手じゃん(笑)」【例3】男性2人・女性2人の合コンでの自己紹介という状況男性1「じゃあ、女子から自己紹介お願いします」女性1「名前は○○です。
特技は水泳です」女性2「名前は△△です。
特技は耳元でエッチな言葉を囁くことです」男性1「マジで」男性2「おい、お前、変な気分になってるんじゃないだろうな?」男性1「なってないよ」男性2「本当か?」(←なってたら面白いのに、という期待)男性1「(その期待を感じ取り)ちょっとトイレ行ってくる」男性2「なってんじゃねーか(笑)」このように、相手の期待に応えれば、それだけで笑いが起こるのです。
笑いの種類が変化する元々は、違う笑いの種類だったのが、いつの間にか、「期待に応える笑い」に変化しているものがあります。
その典型例は、お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」のギャグ、「どうぞどうぞ」です。
◆「どうぞどうぞ」ダチョウ倶楽部(引用)【例】食事後のレストラン上島「いや~美味しかったね」肥後「美味しかったね」寺門「美味しかったね。
ジャンケンで負けた奴がココの飲食代、全員分払おうか?」肥後「いや、今日は、俺が全員分払うよ」寺門「だったら、俺が払うよ!」上島「だったら、俺が払うよ!」肥後・寺門「どうぞどうぞ!」上島「なんでだよ!」このギャグは、本来は「裏切りの笑い」です。
肥後・寺門(裏切る人たち)上島(裏切られる人)視聴者(優越感を覚える人)突然裏切られた上島さんを見て、視聴者が優越感を覚えて笑うという構図です。
ただ、テレビなどでこのギャグを見る時、上島さんが裏切られることは、ほとんどの人が知っています。
なぜなら、このギャグをもう何十回と日本中の視聴者は見てきたからです。
また、上島さんも裏切られることを知っているため(共同作業の「裏切りの笑い」であるため)、やらせ感が出てしまい、本来なら笑いが起きない可能性すらあります。
しかし実際には、数十年ずっとウケ続けているのです。
それは何故でしょうか?視聴者が、上島さんに裏切られてほしいと期待し出した――つまり、このギャグが、時間の経過によって、いつの間にか「裏切りの笑い」から「期待に応える笑い」に変化したからです。
その場の会話の流れの中で、笑いの種類が変化することもあります。
◆会話の流れの中での変化【例】男性2人・女性2人の合コン(男性2人と女性1人が元々知り合い)の次の日、元々知り合いだった3人が集まっての会話男性1「ねぇ、昨日、合コンに来た、お前の知り合いの○○ちゃん、俺のこと何か言ってた?」女性「なんかすごく素敵だって」男性1「え?本当に?」女性「ウソだけど」男性1「ウソかい!」男性2「(笑)」(←「裏切りの笑い」)男性1「お前は○○ちゃん、どう思う?」男性2「俺、○○ちゃんと連絡先交換して、今度デートに行くことになった」男性1「え?本当に?」男性2「ウソだけど」男性1「ウソかい!」女性「(笑)」(←「裏切りの笑い」)男性1「なー、お前は俺のことどう思う?」女性「普通にイケてると思うよ」(←本心)男性1「本当に?」(←「ウソだけど」を期待して)女性「(その期待を感じ取り)ウソだけど」男性1「ウソかい!(笑)」(←「期待に応える笑い」)男性2「(笑)」(←「裏切りの笑い」)初めはシンプルな「裏切りの笑い」だったものが、途中から男性1が「ウソだけど」を期待するようになって生まれた「期待に応える笑い」です。
(4)「期待に応える笑い」で、できるだけ大きな笑いを取るには?「期待に応える笑い」は、相手に満足感を与えることで笑いが生まれます。
ですので、次のような図式になります。
相手が少し満足する→微笑相手が一気に大きく満足する→爆笑
大きく満足するというのは、どういうことか?期待している人が「この期待には応えられないだろうな」「これは無理だろうな」と思っていればいるほど、その期待に応えた時、満足感を大きく与えられます。
逆に、「これは、さすがにやってくれるだろう」「まぁ俺でもやれるけど」というような期待に応えても、大きな満足感は生まれません。
【例1】会社帰りに先輩と後輩が居酒屋で飲んでいる時の会話先輩「お前ってすごい毒舌だよね?」後輩「そうですかね」先輩「ねー、同期の岩下のこと、どう思う?」(←毒づいてほしいという期待)後輩「(その期待を感じ取り)キライです!」先輩「出た(笑)」先輩の期待通りの返事をしているので、笑いが起きます。
ただ、毒づく対象が同期の人間なので、そこまで難しくなく、先輩の満足感もそれほど大きくないでしょう。
次のようにすると先輩の満足感がより高まり、笑いが大きくなります。
【例2】会社帰りに先輩と後輩が居酒屋で飲んでいる時の会話先輩「お前ってすごい毒舌だよね?」後輩「そうですかね」先輩「ねー、社長のこと、どう思う?」(←毒づいてほしいという期待)後輩「(その期待を感じ取り)殺したいです!」先輩「(爆笑)」毒づく対象が社長なので、「この期待には応えられないだろうな」という気持ちが先輩にはあったでしょう。
ところが、その期待に応えてくれ、さらに毒舌の表現方法も強めにしたので、先輩が爆笑する可能性は高いでしょう。
(5)「期待に応える笑い」を取る時の注意点大人数の前で「期待に応える笑い」を取る時に気をつけるべきは、一部ではなく「全体が何を求めているか?」を感じ取って判断することです。
有名人であれば、大人数でも相手が期待するものが一致しやすく、大きな笑いを取ることができますが、一般の方の場合、その判断はかなり難しいでしょう。
(6)まとめ「期待に応える笑い」は、笑わせたい相手の欲求に応える笑いです。
求められていなければ生まれない笑いなので、自分では場やタイミングをコントロールできません。
また期待に応えられないと、相手に不満が生じるので、大きなリスクを背負います。
しかし、あなたなら期待に応えてくれるだろうという、相手の気持ちも忘れてはいけません。
「今、自分に何が期待されているか?」を感じ取り実行する力は、笑いだけでなく他の様々な場面でも役立ちます。
まずは、身近な人の言葉に耳を傾けてみましょう。
もし、あなたに〝何か〟を期待している人がいたなら、あなたはすでに面白い人と認められている証拠です。
コラム9つの「笑わせる技術」とダジャレ、下ネタ「笑い」と聞くと、一般的にはダジャレや下ネタを思い浮かべる人が多いでしょう。
ところが本書には「ダジャレ」「下ネタ」といったジャンル分けは出てきません。
そのことを不思議に感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか?一つ気をつけていただきたいのは、本書の「9つの笑いの種類」というのは、ダジャレ・下ネタといった「笑いのジャンル」ではなく、「笑いの取り方の種類」を指しています。
ですので、ダジャレ・下ネタも、使い方によって「9つの笑いの種類」に分けられます。
ダジャレについてかつて、「ボキャブラ天国」という人気番組がありました。
時期によって番組構成は異なるのですが、特に絶大な人気を誇ったのが、若手お笑い芸人がダジャレ的なネタを披露するものです。
それはこういうネタの見せ方をしていました。
画面のテロップは、普通の文章を表示しますが、芸人はその文章と同じ文字数、同じ響きで違うことを言います。
そこには「裏切りの笑い」が生まれています。
これがベースで、そこに「共感の笑い」や「自虐の笑い」を織り交ぜているケースもよくありました。
【例】「ボキャブラ天国」での爆笑問題のネタ(引用)田中「俺、バンドやめようと思って」太田「何言ってるんだよ!」田中「なかなか売れないし。
俺、才能ないし」太田「そんなことないよ!2人でいつも話してたろ!俺たちいつか絶対ビッグになって」テロップ〈武道館一杯にしようって〉太田「ぶどうパンいっぱい食おうって」これは「裏切りの笑い」です。
視聴者をテロップの内容に誘導させておいて、裏切るからです。
また、ここには「安心の笑い」も含まれています。
バンドの解散という緊張感のある設定なのに、夢がしょぼい(「ぶどうパンいっぱい食おうって」)ということで、緊張が緩和されています。
ナイツのネタも、基本は「裏切りの笑い」と「自虐の笑い」からなっています。
【例1】ナイツのネタ(引用)塙「昨日、TATSUYA(タツヤ)に行って調べてきたんだけど」土屋「TSUTAYA(ツタヤ)だろ!」ツタヤをタツヤと読み間違えている(言い間違えている)塙さんを見て、優越感を刺激される「自虐の笑い」、さらに、人によっては、「TSUTAYA(ツタヤ)とTATSUYA(タツヤ)って、見間違えやすいよね」という「共感の笑い」もあるでしょう。
【例2】ナイツのネタ(引用)塙「漫画家で、手塚治虫(テヅカオサムムシ)さんという人がいるんですけど」土屋「オサムさん!ごめんね、あの虫(ムシ)って読まないの!」こちらには、「裏切りの笑い」「自虐の笑い」「共感の笑い」が含まれています。
下ネタについてやはり、ナイツのネタを使って解説しましょう。
【例1】ナイツのネタ(引用)塙「スタジオしゃぶりは、どんどん勢いをもっていくんですよ」土屋「ジブリね。
スタジオジブリ。
それじゃあ、ただの風俗店だろ」塙「痴女の宅急便とか」土屋「魔女の宅急便だよ。
そうゆうお店もありそうだけど」塙「紅のメスブタとか」土屋「メスいらないから。
紅の豚ね」塙「事を済ませば」土屋「耳をすませば!全部いやらしく聞こえるね」これも、覚え間違いという「自虐の笑い」、「人前でそれを言う?」という、羞恥心を超えた言動を取る「無茶の笑い」(第6章で後述)も入っています。
さらに、「『痴女の宅急便』や『事を済ませば』とは、いったいどんなアニメだろう?」という「発想の笑い」(第7章で後述)も含まれます。
途中から、ジブリをもっと下ネタでいじってほしいという期待が生まれている人に対しては、「期待に応える笑い」も入ってきます。
このように、ダジャレ・下ネタも、使い方によって9つの種類に分けられるのです。
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