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第5章早起きで人生を変えた人たち

目次

会社での評価が上がった人

朝型の生活を送る人と、送らない人の間には、大きな「行動格差」が生まれると私は確信しています。

一日は誰にでも等しく24時間ありますが、朝に重点を置く人は、そうでない人に比べ、抜きん出て多くの行動を起こしているからです。

この章では、早起きによって「行動格差」を生み出し、生き方を変えていった人たちの事例を紹介します。すべて私の身近にいる方々のケースです。

まずご紹介するのは、Mさん(20代後半、女性)です。彼女は早起きをすることで、自分のもつ真の特性に気付きました。

それがきっかけとなって会社の中で部署を変え、社内での評価を大きく上げたという経験の持ち主です。MさんはIT企業で働くエンジニアでした。

毎日のように夜遅くまで残業し、帰宅は真夜中の0時過ぎ。就寝時間は深夜の2時で朝は8時過ぎに起床し、いつも遅刻ギリギリで出社するという生活を送っていました。

たまに、限られた友人との会食を楽しもうと予定を入れても、当日になって緊急のプログラミングや不具合調整の要請が入ることもしばしばです。

友人には申し訳なく思いながらも、直前に約束をキャンセルすることが何回もありました。エンジニアという仕事柄、オフィスでも人と会話をする機会は多くありません。またMさん自身も仕事に追われて、自分から積極的に人に話しかけることをしませんでした。

職場では十数時間もパソコンの前に座っているような生活で、会社と家との往復で一日が終わる単調な毎日です。

人との交流がなくなればなくなるほど、自分の思考はマイナスになっていったといいます。Mさんは、徐々に行き詰まりを感じるようになりました。

新しい出会いがほしい。いろいろな人と話をしたい。そう思うMさんでしたが、平日の夜に飲み会などの予定を入れることは、仕事柄難しいことでした。

そんなとき、他人と一緒に行う朝活があると知りました。しかも英語の勉強やランニングなど、内容はさまざまです。

朝早くから始まる読書会などに参加すれば、閉塞感のある今の生活を変えられるだろうと期待し、Mさんも参加するようになったのです。

すると、朝早く起きて人と接し、気軽にいろいろな話をすることがとても楽しいことであり、大いに気分転換になるのだと実感するようになりました。

さらにMさんは、自分自身が人と知り合いになって話をすることが、実はとても好きなのだということに気付いたのでした。

勤務先には、キャリアを大きく変えられる人事制度があり、彼女はそれを利用することにしました。ITエンジニアからWEBディレクターへ仕事の内容を変えたのです。

WEBディレクターは、多くの人の話を聞き、意見を出し、それをWEB上にコンテンツとして展開するのが主な業務です。

人と接することに生きがいを見出したMさんは、見違えるようにいきいきと新しい仕事をするようになりました。

朝型の生活はそのまま維持して、早朝からWEB制作に使うデザインツールの習得にも励みました。これらの行動が実を結び、Mさんが制作・運営した新卒採用サイトは、例年と比べて10倍ものエントリー数を得ることとなりました。

彼女の努力は会社からも大きく評価され、会社から優秀作品賞を授与されるにいたりました。今でもMさんは早寝早起きの生活を送っています。

社内ではWEBコンテンツのアイデアを発想するための早朝ブレスト会議を、彼女が主催しています。他のメンバーも巻き込んで、社内で早起きのムーブメントをつくろうとしているのです。

そんな彼女は、今では朝活の人として社内で知られるようになり、「モーニング」にちなんで「モニ子」というニックネームで、職場で呼ばれるようになっているそうです。

転職して希望を叶えた人

次は、Wさん(20代後半、男性)です。会社員のWさんは、家事代行を行う企業で企画や管理などのバックオフィスの業務に就いていました。

しかしWさんは、実はこのような管理業務には興味がありませんでした。本当になりたかったのは、エンジニアでした。学生の頃からの夢は、システムの開発者になることです。

しかし就職活動で思うような結果が出ず、残念ながら志望とは違う道に進みました。就職はしたものの、やりたいことを仕事にしているわけではないので、会社での業務に面白みを感じません。

「他人からは、やる気も覇気もない、ただの若者に見えていたと思います」とWさんはいいます。

エンジニアになりたいとずっと思っていても、具体的に何かの行動を起こすことはありませんでした。

お金のために会社に行って仕事をし、家に帰ってもボーッとして寝るだけという生活を続けていたそうです。具体的な目的や目標が定まらずに、毎日をただ漫然と過ごしました。帰宅後も深夜まで起きており、朝は遅刻ギリギリで出社するような日常です。

会社からの評価は芳しくありません。生活習慣の乱れで、前から気になっていた体重はさらに5キロ増えました。また、大学卒業までは関西にいたので、就職のために東京に住むようになっても、まわりに友人がいません。

週末は、ひとりでマンションにこもることが多かったそうです。

しかし、20代も半ばになり、このような生活をしていたら、本当に何もないままの人生で終わってしまうと、Wさんは真剣にこれからの生き方を考えるようになりました。

エンジニアになりたいという思いがあったWさん。しかし、そのためには勉強をしなければなりません。けれども、帰宅後に勉強しようとしても疲れていて、はかどりません。どうすればいいのかと考えた結果、出てきた答えは早起きをして人生を変えることでした。

Wさんは毎日朝の4時半に起きて、エンジニアになるための勉強を始めました。会社員をやりながら、早朝3時間ほど勉強し、それから職場へ出勤する生活を続けました。

努力の甲斐があり、エンジニアとして必要な、各種のプログラム言語を習得するにいたりました。そして、IT系開発会社に念願のエンジニアとして転職することになりました。

またエンジニアへの転職を果たしたのと同時にダイエットも開始し、13キロの減量にも成功しました。早起きをすることで生活に無駄がなくなり、ダラダラとする時間がなくなったことで、ダイエットもすんなりと行えたといいます。

Wさんは転職後の今でも早起きの生活を続け、他の人と一緒に朝活もしています。

最近では、朝型の生活で出会った人たちから実際に開発案件を受注して、自分の仕事の幅を広げることにも成功しているということです。

副業で仕事の幅を広げた人

続けて紹介したいのは、Nさん(20代後半、女性)です。Nさんは、スポーツ業界の会社員としてスポーツ指導員をしながら、その傍らで、グラフィックレコーディングを独学で習得した人です。

グラフィックレコーディングとは、会議や人との対話で出てきた論点を可視化するために、絵や図などを用いて内容を整理していく技術のことをいいます。

Nさんは一度転職をしています。1社目で働いていた頃の生活習慣は、完全に夜型でした。

深夜の2時に寝て、朝の8時半から9時に起床、10時に出社するというのが毎日の生活パターンです。常にバタバタしており、日中に自分の時間はいっさいありません。

その分、夜にプライベートのひと時を確保していたため、就寝時間はいつも深夜になっていました。2社目で現在のスポーツ指導員の仕事に就きました。

健康を扱う職業に就いたので、2社目に入ってからは深夜に就寝する習慣を改めました。毎朝5時に起床、おそくなっても7時には起きるという生活に切り替えたのです。

ただし、当時のNさんには早起きをする目的がありませんでした。朝早く起きてもやることがなく、ダラダラとスマホで動画などを見ていました。

また夜も、帰宅してから寝るまでのあいだは、テレビでスポーツを見たり晩酌をしたりして過ごす日々です。

早寝早起きの生活はしていたものの、なんのためにそうするのかという目的意識はありません。

また自分の人生についても、日々の仕事をこなして、いつか誰かと結婚して家庭を築ければそれでいいとしか思っていませんでした。

しかし、Nさんも他の人と同様に、朝の時間帯に活動するようになったことをきっかけにして変わりました。

せっかく早起きをしているのだからと思い、読書会や、いろいろな趣味を語りながら朝食を取るような活動に参加してみました。

会社以外の人たちと話をする機会を初めてもちました。

すると、世間の人たちは、仕事以外でもいろいろなことに興味をもち、それを楽しんでいることを知りました。

家にいて、スマホやテレビの画面ばかり見ている自分の毎日が、ひどく単調なものに見えてきました。もっと自分も、何かに挑戦してみようという気持ちが湧いてきたのでした。すでに早起き自体は習慣になっていました。

早く起きて得られる朝の数時間を使って、以前より興味をもっていたグラフィックレコーディングを本格的に勉強してみることにしました。

毎朝4時に起床し、出勤前の時間をグラフィックレコーディングの練習にあてます。以降10か月間で、350枚以上の習作を完成させることが出来ました。

またNさんは、自分が早起きをしてグラフィックレコーディングを勉強している様子をSNSで発信しました。

「自分をブランディング化する意図があった」といいます。これが見事に奏功しました。

彼女は、「早起きをして、グラフィックレコーディングを行っている、スポーツ指導員」として徐々に注目をされるようになっていきます。

さらに彼女は、学生時代に勉強した「パーソナルトレーナー」の手法を再び勉強しました。パーソナルトレーナーとは、ジムで運動する人に対して、一対一で向き合うトレーナーやコーチのことをいいます。

Nさんは会社ではスポーツ指導員をしながら、朝の時間にこのような勉強を続けていきました。その努力が実り、今ではスポーツ指導の仕事と並行して、副業もするようになりました。

グラフィックレコーディングが描けるパーソナルトレーナーとして、ジムでの個人コーチなどの仕事を依頼されるようになりました。とても充実した、多忙な日々を過ごしているそうです。

心身が健康になった人

会社での評価が上がった人、転職をして希望の職業に就いた人、副業を始めた人をここまでに見てきました。今度は仕事の面だけでなく、早起きによって健康になった人の例も見てみましょう。

Cさん(20代後半、女性)は、Eコマース系の事業会社で人事や広報を担当する会社員でした。

交友関係は少ないほうで、あまり積極的に人付き合いを好む性格ではありません。現在の仕事が自分に向いているとも思えず、だからといって自分が将来何をやっていけばいいのかわからないまま、毎日を淡々と会社で過ごすことに悩んでいました。

仕事中にパソコンの画面を見ながら、涙が出てくることもあったそうです。悩みと虚しさを紛らわせるために、一週間に3日から5日を飲み会に費やしました。

同僚や旧友を誘っては、お酒で憂さを晴らしていました。当時の生活ぶりは、かなりの夜型です。朝は8時半に起床し、10時に出社、20時から22時のあいだのどこかで退社し、そのまま飲みにいきます。

帰宅後は、スマホでずっと動画を見ながら夜更かしし、寝るのは深夜の2時過ぎです。こんな生活習慣であったために、毎朝会社には、アルコールでむくんだ顔をして出勤していました。

食生活に気を配ることもありません。コンビニの食材や外食ばかりで、体重は増え続けました。

体重が増え、自分自身の姿に自信をもてなくなると、ファッションや髪形にも気を使うことがなくなっていったといいます。

身も心もどんどんと不調になっていくことを、はっきり感じました。このままでは心身ともに健康を害する可能性が高いと思ったCさんは、生活を大きく変える決心をしました。

まず自分に出来ることは何かを考えて、飲み会の数をとにかく減らすことにしました。そのために、早寝早起きを生活の基本とすることにしたのです。

朝型の生活をすれば夜飲み会に行く機会が減るだろうと思ったからです。さらに彼女は、朝の時間を使って、自己分析をするようになりました。

自分は一体何がしたいのだろうか、何が出来るのだろうかと真剣に考えるようになりました。出てきた答えは、以前から憧れていたライターという仕事です。

フリーライターになって雑誌やWEBなどの媒体に記事を書き、取材した写真を掲載するような仕事をしたいと思うようになりました。

早起きをして執筆業の勉強をし、飲み会をやめたことで浮いたお金を投資して、写真の勉強も本格的にするようになりました。

そして、手応えを感じてきたところでCさんは決断し、会社を辞めました。現在は希望が叶って、フリーライターとして活躍しています。生活習慣も完全に改善されました。

朝型の生活を維持しながら、食事に気を配り、定期的にジョギングなどの運動も取り入れるようになりました。

そのおかげで、7キロ減のダイエットにも成功しました。さらに、積極的ではなかった人との付き合い方にも変化が現れました。

会社員であった頃から、早起きをすることで朝の活動にも参加するようになり、人との出会いが増えました。

これによって、会社という狭い世界で生じるストレスが、緩和されていくことを感じたとCさんは語っています。

フリーライターになった現在でも、朝の活動を通して知り合いになった人たちとのコミュニケーションは続いています。

プロのスタイリストにカラー診断をしてもらったり、似合う服装やメイクの仕方を教えてもらったりすることもあります。

このようにCさんは朝型の生活をすることで、心身の健康を取り戻せたと実感しています。今はフリーランスの仕事に、かつてないやりがいを感じているとのことです。

友人が増えて交友関係が広がった人

Cさんは早起きによって健康を取り戻し、人付き合いも良好になりました。続くYさん(20代後半、男性)も、朝型の生活によって友人が増え、人付き合いの範囲が大きく変わった人です。

Yさんは、野球に特化したWEBメディアの運営会社に勤める会社員でした。野球に関する動画の制作や記事の執筆、また野球関連商品のWEB広告の制作などが仕事です。

社員数が4人という少人数のベンチャー企業であるため、職場でコミュニケーションを取る範囲には限りがあります。

またひとりの社員が多くの仕事を兼務しているので、同僚とゆっくり語り合う余裕がありません。普段は、会社と自宅を往復するだけの日々です。

週末には、地元の旧友たちと草野球を楽しんだり遊びにいったりしますが、それも限られた交際範囲内での話です。

Yさんは、職場でもプライベートでも新しい友人や知人は出来ず、狭い世界で暮らしていると感じるようになっていきました。

今まで見てきた人々と同様に、Yさんも現状を大きく変えるために、朝型の生活をすることにしました。とくにYさんの場合は、新しく人に出会って自分の交際範囲を広げたいという明確な目的があります。

そのため、早朝から人々が集まって活動する場所に積極的に参加しました。

運動が好きなYさんは、各種のスポーツや体を動かす遊びをするグループを見つけては、顔を出すようになりました。

仕事を調整しながら、平日は朝7時半から9時までのあいだに、そして土曜日は午前中を使って、スポーツをしたり野外活動を楽しんだりしました。

これらの集まりに参加しているうちに、Yさんも自分で何かのスポーツイベントを主催してみたいと考えるようになりました。

朝の活動で知り合いになった人たちに声をかけると、Yさんの主催するスポーツイベントに人を誘って集まってくれるようになったといいます。

それ以降もイベントを繰り返し開催することで、Yさんには多くのスポーツ好きの仲間が出来ました。

Yさんのまわりに運動好きの人々が集うようになると、そこからスポーツのイベントに関連したいくつかのアイデアが出るようになります。

その中で、やりたいスポーツをSNSでつぶやくと、すぐにそのイベントが実現するサービスがあったら面白いという案が浮かび、これを「ソクスポ」と名付けて、Yさんが実際にサービスを運営するようになりました。

ハッシュタグ(#)をつけて「ソクスポ」のメッセージをSNSに流します。すると、参加希望者が集まって、スポーツイベントを開催することが出来るという仕組みです。

さらにYさんには「ソクスポ」の運営が縁となって、スポーツに関連する仕事の依頼がくるようになりました。

例えば、「子ども向け体操教室のインストラクター」や、「企業の部活動やスポーツイベントのアドバイザー」といった具合です。このような経験を経て、Yさんは勤めていたWEB運営会社を辞めて独立しました。

今では「ソクスポのスポーツイベントプロデューサー」や前述の仕事を軸にしながら、WEB会社で培った技術も活かして事業を展開しています。

例えば「野球独立リーグを応援するアプリ内動画の企画・制作」や「スポーツコーチのマッチングサイトの企画・PR」といった、Yさんの得意領域でも仕事を進めています。

朝のイベントに参加することで、Yさんは友人を増やしました。そして、彼らの協力を得て独立起業をするに至ったのです。

ミドルエイジになってから変化した人たち

ここまで20代の若者を中心に、5人の様子を見てきました。早起きをすることによって、彼らの生活ぶりは大きく変わり、人生が好転していっていることがわかると思います。

ただ読者の方の中には、生活習慣を変えて早起きが出来るようになったのは、年齢が若いからだと思われた方がいるかもしれません。

長年にわたりしみついた生活習慣を、ある程度の年齢になってから改めるのは難しいという意見もあるでしょう。

しかし、そうではありません。人は、いくつになっても生活習慣を変えることが出来ると私は思っています。私のまわりには、30代後半や40代になってから生活習慣を変えていった人がたくさんいます。

ここでは、そんなミドルエイジの方たちの事例を紹介します。Iさん(30代半ば、男性)は、マーケティング支援会社でコンサルタントとして働いていました。

多忙であり、また夜の付き合いも、仕事柄多くありました。必然的に夜型の生活習慣となります。休日は昼まで寝ているのが当たり前でした。

他の人たちと同様、習慣を改めたいと考えるようになったIさんは、早寝早起きの生活をするようにしました。すると明らかに生産性が上がり、仕事のアウトプットが増えたと実感したそうです。

この経験から、時間は有限であり貴重だという意識を、Iさんはもつようになりました。今までのように、時間の感覚に無頓着でダラダラと仕事するのが嫌になったといいます。

また自分の生産性をもっと高めたいと望むようになり、自らの能力を高めるための運動法やリラックス法を研究し、実践するようにもなりました。

ところが、Iさんが大きく変化したのは、実はこの後なのです。長年勤めていた会社を30代半ばにして退職し、独立起業しました。

20代の若者であれば、まだ若いという理由で、転職や起業も比較的容易に決断できるのかもしれません。しかしIさんは、すでに社会の中堅として活躍している年齢です。

会社の仕事を通じて、長年積み上げてきたキャリアもあります。Iさんがそれらを追わずに、独立したのには理由がありました。

それは、「自分に決裁権を取り戻すためだった」と彼はいいます。つまり自分の人生は自分で決めて、責任をもって生きていくと決めたということです。

朝型の生活に変え、仕事の生産性を大きく高める経験をしました。それによってIさんは、自分の人生のアウトプットもさらに高めるために、独立の道を選びました。

現在は、企業や個人のお客様を対象にした、オウンドメディア(企業自らが所有し、消費者などに発信するメディア)の企画・編集・制作を職業としています。

ブランドエディターという肩書で、充実した毎日を過ごしています。

早起きで独立の準備を行った人

Iさんと同じく30代で独立起業をした人に、Kさん(30代前半、男性)がいます。Kさんは当初、少人数のベンチャー企業に在籍しており、多忙な日々を過ごしていました。

飲み会は、なんと週に6日です。起業家たちとの情報交換のためでした。寝るのは深夜の2時です。休日は、日ごろの疲労が出てしまい、ゴロゴロとして一日が終わるという、典型的な多忙かつ夜型のビジネスパーソンです。

ただしKさんには、忙しい合間を縫って、以前から勉強を積んできた分野があります。それは、コーチングです。

コーチングとは、コーチ役が相手の話を聞きながら、その人の強みや魅力を引き出す技術のことをいいます。

主にビジネスパーソンが、コーチとの対話によって、自らの強みに気付くことを目的にして使われる手法です。

Kさんは、コーチングを自らの生業にして、独立したいという気持ちをもっていました。ただし、そのためにはコーチとしての経験を積む必要があります。

考えた末に思い付いたのが、早起きをして朝の活動をしている集まりに参加することでした。コーチングに興味のあるグループを見つけだして、そこで実践を重ねます。

さらに、コーチングを受けてくれた人たちからフィードバックを受けます。このようにしてKさんは、ベンチャー企業の仕事とは別に、早起きをして自ら興味のある分野を強化しました。

その結果、プロのコーチとして30代で独立するにいたったのです。彼は、コーチングの実践を重ねる機会を、朝の時間帯にしたことが成功の秘訣だったといいます。

朝の時間であれば、人との出会いを簡単に増やすことが出来ます。かつ、コーチングを受けてもらうための予定も、夜に比べ格段に調整しやすくなると話しています。

朝活がきっかけでボードゲームをつくった人

30代で変化を遂げた人の中で、さらに紹介したいのがTさん(30代後半、男性)です。Tさんはフリーランスを支援するIT企業で、WEBエンジニアをしています。

また2歳とゼロ歳のお子さんの、お父さんでもあります。Tさんは、もともと20代の頃から早起きの生活を実践していました。

会社には毎日7時半に出勤するという生活を送っています。ただそんな「早起き優等生」のTさんにも、気がかりなことがありました。

家と会社を往復するだけの父親になっているのではないかと思うようになったのです。このままでは、子どもが成長したときに、会社に通っている姿と家でゴロゴロしている姿しか見せることが出来ません。

何かやろう、仕事以外にも何かやりたいことをやって、子どもたちに「やりたいことを大いにやろう」と伝えたいと思いました。

ところが、これといって趣味のないTさんは、何かをやろうと思ってもうまい案が浮かびません。ひとりで考えていてもよいアイデアは出てこないので、まずは横のつながりをつくることにしました。

仕事のスケジュールを調整しながら、朝の活動をしているグループを探し出し、頻繁に顔を出すようにしました。

いろいろな人が集まっている場所に行けば、何か面白いことがあるだろうと思ったのです。結果は、予想以上でした。人と出会い話をすることで、多方面の趣味が見つかりました。

また、新しく出会った人たちと、もともと好きだったボードゲームの話をするうちに、新しいボードゲームのアイデアを思い付きました。

朝活仲間からもそのアイデアは高く評価されたのです。ついにはこのゲームを企画・制作することになりました。このゲームは「ちょい知る」という商品名で、実際に市販されました。

さらにTさんは、ウクレレを使って作詞・作曲に挑戦し、レコーディングも行いました。その楽曲は、正式な音楽商品として配信されたそうです。これらの活動はマスメディアの目にも留まりました。

会社員でありながら、副業でボードゲームを開発し、作詞作曲もするWEBエンジニアとして、テレビ出演も果たしたのです。

またこれらの活動は本業にもよい影響を与えました。勤務している会社が、社員の新しい働き方を提案した際に、Tさんの活動をよい見本として取り上げたのです。

それによって社内での評価も高まったそうです。このように、仕事と趣味の両立によって、Tさん自身の人生はとても充実するようになりました。

また毎日を上機嫌で過ごしているので、自然とTさんの家族もみんな楽しく過ごせているということです。

世代を超えて交流を深めた人

Tさんと同様に、もともとの早起きの習慣に加えて、積極的に朝の活動もするようになったことで、生活ぶりが大きく変わった人がいます。

それがUさん(40代半ば、男性)です。

40代のUさんは、朝の活動をするようになってから、20代を中心に世代を超えた多くの友人が出来るようになったといいます。Uさんは、WEBやスマートフォンのアプリを開発しているフリーランスのエンジニアです。

以前は朝の7時に起床するという日常でしたが、40代になるとともに、5時に起きてすぐに仕事を始めるという朝型の生活になりました。

Uさんが早起きをするようになったきっかけは、実はお子さんの入院にありました。

奥様と交代でお子さんに付き添うために、Uさんは早朝から仕事をしてその日のやるべきことを昼までに終わらせるようにしました。

午後から夕方にかけては、奥様に代わってUさんが病院でお子さんに付き添うという日々を送ります。

しばらくの入院を経て、お子さんは元気に退院しました。しかしUさんは、ふたたび7時に起床する生活には戻りません。5時に起きてすぐに仕事を始めるというスタイルを続けるようになりました。

早く仕事を始めて早く終えれば、家族と一緒に過ごす時間が増えます。みんなで晩ご飯を食べたり、お子さんとお風呂に入ったり、勉強を見てあげたりすることが出来ます。

お子さんと同じ時間に寝て、朝早く起きる生活がすっかりUさんの習慣となりました。ところが、Uさんは徐々にただ早起きするだけの生活に物足りなさを感じるようになります。

朝型の生活で早く仕事を片づけられるのは大きなメリットであるものの、フリーランスである以上、いつも早朝からひとりで仕事をすることになります。

誰かとコミュニケーションを取り、「おはよう」といい合う早起きの仲間が欲しいと思うようになったのです。

考えた結果、朝の活動をしている集まりを探して、そこに思い切って飛び込んでみることにしました。

仕事の都合をつけながら、朝の活動をする場に頻繁に顔を出すようにしたのです。すると予想外のことが起きました。

朝の活動に集まる人たちは圧倒的に若者が多かったのですが、40代のUさんもグループに自然に溶け込むことが出来たのです。

Uさんはなんの利害関係もない仲間として、朝の活動の場で知り合った20代の若者と本音で話をしました。こうすることでお互いの信頼関係が出来上がったとUさんはいいます。

会社員を経て独立起業をしたので、同じような道を志望する若者に、起業の仕方や仕事の取り方をアドバイスすることもあります。

一方Uさんは、20代の若い仲間達がどんどん新しいことに挑戦している姿を見て、大いに刺激を受けているようです。

守りに入らない20代の仲間の生き方に接して、Uさん自身もまだまだ思い切ったことをやっていきたいと感じています。Uさんは40代になってから早起きの生活をするようになりました。

それによって、家族と一緒に過ごす時間が増え、さらに世代を超えた仲間たちから大きなエネルギーを得る日々を過ごすようになったのです。

以上、最終章では9人の事例を見てきました。早起きによって「行動格差」を生み出し、生き方を変えていった人たちの様子を、うまくお伝え出来ていればうれしい限りです。

この9人には共通していることがふたつあります。ひとつは、早起きをする前は、皆さんなんらかの悩みや問題を抱えていたということです。

そしてもうひとつは、朝型の生活をすると決心したことが、それらの悩みや問題の解決につながったということです。

つまり、生き方は自分自身の意思によって、いくらでも変えていくことが出来るということです。よし、早起きをしようと決心すれば、人生はそこから好転していくことになるでしょう。

おわりに

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。この本で伝えたかったことは「早起きのTips」ではありません。早起きをすると、どう人生が好循環に回っていくかということです。

人生を好循環で回すように努めることを、この本では「自分の人生を経営すること」と書きました。自分の人生を経営する。大げさな表現かもしれませんが、人生はちょっとした「きっかけ」で好転していくと信じています。

私の場合、そのきっかけは、「早寝早起き」という、毎日の自分との約束でした。そんな私も、「早寝早起き」に出合うまでは、自分に自信の無いサラリーマンでした。

社会人1年目の春のことを思い出すことがあります。小さい頃から早寝早起きの生活をしていましたが、入社してからは夜型の生活になっていました。

出社ギリギリに起き、余裕のない中で満員電車に乗る日々。10時に出社。ミーティングとメール返信で午前中が終わり、ランチを食べて、仕事モードになるのが、14時過ぎ。

定時の19時を過ぎてからその日終わらせなければいけない重要なタスクに取り掛かる。集中力散漫の中、なんとか仕事を終わらせ、その後、惰性で飲み会に行き、現実逃避で2次会、終電帰り。

花金を待ちわび、土日は昼過ぎまで寝る日々。日曜の夕方、翌日からの一週間の始まりに楽しみを持てなかった。こんな生活の中で、社会人生活をどう充実させていくか、日々不安の中で仕事をする。

そんな新卒1年目でした。なんとかこの日々から脱却したい。そう思っていたときに、ある見出しを目にしました。

「スターバックスCEOが毎朝4:30に起きる理由」という記事です。ナイキのCEO、マーク・パーカー氏は5時に起き、1時間の運動をする。4時半に起きたアップルのCEO、ティム・クック氏は6時までに部下に送るメールを済ませる。

スターバックス元CEO、ハワード・シュルツ氏も6時までには会社に出社している(肩書きは、いずれも当時)。

「成功者は皆早起きなんだ!」強い衝撃を受けました。「仕事、プライベートで紆余曲折があろうとも、早寝早起きだけはぶれずに徹底しよう。そうしたら、世界のCEOのような器をもった人間になれる!」そんなアホらしい思いからスタートしました。

その生活をぶれずに5年間続けました。少しずつ応援してくれる人が増えました。その後、本の出版も決まりました。

誰から強制されたものでもなく、自発的に始めたこの習慣ですが、その素晴らしさを今は多くの人に伝えたいと思い、「朝渋」という早起きコミュニティを始めました。

たくさんの人の前向きに生きる「きっかけ」をつくっていることに、毎日うれしさを嚙み締めています。

「朝渋」は現在、全国300人のメンバーで活動しています。目指すは1万人。全国で早起き仲間を募集しています。

この本を読んで「朝渋」に興味をもった方は「朝渋オンライン」で検索してみてください。この本のおわりに、本の出版までにターニングポイントとなった7人の方々に感謝をしたいと思います。

入社1年目の、自分のわがままを許してくれた株式会社インディバルの西前勇人さん。早起きに興味をもって、一緒に朝活をしてくれた株式会社divの真子就有さん。

「早起きの活動をもっと世の中に広げていくべきだ!」と今の道を作ってくれた朝渋共同創業者の西村創一朗さん。

「使命を見つけたからにはその道を止めることはできない」と独立の背中を押してくれた株式会社トピカの麓俊介さん。

毎日、「朝渋」の可能性を信じて一緒に突き進んでくれるパートナーの井上朝紗子。そして早寝早起きの土台をつくってくれた両親。

今いきいきと自分らしく過ごせているのは、7人の方々のおかげです。本当にありがとうございます。きっかけを与えてくれた7人の方々には感謝しきれないと思っています。

それと同時に、これからはたくさんの人に「きっかけ」を与えていく側として、早起きを日本のスタンダードにしていく活動をしていきたいと思います。

最後にもう一度。「早く寝て早く起きてみるだけで、人生が変わりますよ」二〇二〇年三月井上皓史

井上皓史KojiInoue1992年、東京都生まれ。

朝活コミュニティ「朝渋」代表。

株式会社MorningLabo取締役。

幼少期より22時に寝て朝5時に起きる生活を続けていたが、社会人となって、夜型の生活を送るビジネスパーソンの多さに驚愕。

朝活コミュニティ「朝渋」を東京・渋谷で立ち上げ、会員とともに、読書や英会話などさまざまな活動を行う。

また、本の著者を招いたトークイベント「著者と語る朝渋」は年間5000人を動員する規模に成長した。2018年、勤務先の企業を退職し、ライフワークだった「朝渋」に本格コミット。

早起きを日本のスタンダードにすることを目指す。

Twitter:@kojijico朝渋URL:http://asashibu.tokyo/

小学館eBooks昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です明日が変わる大人の早起き術2020年3月27日電子書籍版発行著者井上皓史発行人小川美奈子発行所株式会社小学館〒101‐8001東京都千代田区一ツ橋2‐3‐1sebook@shogakukan.co.jpブックデザインalbireo装画・カット山崎真理子構成大前俊一協力西浦孝次(一般社団法人かぎろい出版マーケティング)白木賀南子(一般社団法人かぎろい出版マーケティング)編集園田健也校閲玄冬書林底本2020年4月1日初版第1刷発行ⒸKojiInoue2020ISBN9784093106450※ご注意本作品の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。

個人利用の目的以外での複製など違法行為、もしくは第三者への譲渡をしますと著作権法、その他関連法によって処罰されます。

 

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