STORY5対策を考える人たち優れた対策とは何か対策案を評価し、実行案を決める対策を実行に移す際の注意点
第5章対策を立案する優れた対策とは何か対策案を評価し、実行案を決める対策を実行に移す際の注意点■優れた対策とは何か対策には2種類ある対策を立案するうえで思い出してほしいのが「発生型」と「設定型」の二つのアプローチがあったということだ。発生型の問題解決ではWHEREで問題箇所を特定し、WHYで問題箇所の発生原因を考え、手を打つと決めた原因に対して対策を打った。この「発生型の対策」をHOW1と呼ぼう。一方、設定型の問題解決ではWHATで〈あるべき姿〉を考え、そこに至る道筋を検討していく。この「設定型の対策」をHOW2と呼ぼう。組織においては、この2種類の対策が存在することを頭に入れておこう。ストーリーでも図5‐6のように、既存のDVD‐R事業や業務用ビデオテープの原因を克服するための対策と、ブルーレイディスクに参入するという、まったく新しい対策の二つがあった。ただし、いずれの対策も、具体化していくうえで検討すべきポイントは同じなので、以下に順を追ってポイントを見ていくことにする。
意図を持って、これまでと違うことをおこなうまずはじめに考えてほしいのは、そもそも「対策とは何か?」である。そう問われたら、あなたは、いったい何と答えるだろうか?具体例で考えてみよう。たとえば、あなたが喫茶店を経営していたとする。これまで、美味しいコーヒーをお客様に提供しようと日夜がんばって経営してきた。しかし最近、売上が伸び悩んでいる。あなたはいろいろと考えた末に「もっと美味しいコーヒーを提供できるように、これまで以上にがんばろう!」と決意を新たにした。果たしてこれは対策といえるのか。あなたにも覚えがあるかもしれない。上司に「で、どうするんだ?」と問われたときに、「心を入れ替えてがんばります!」と答えたことや、逆に「どうしたらいいんですか?」と質問をしたときに「もっとがんばれ!」としか上司が言わなかったことなど。心を入れ替えてがんばることは大事かもしれないが、がんばると宣言してうまくいくなら本書などいらないのだ。「HOWは、がんばる!」では対策にならない。私たちは対策を「意図を持ってこれまでと違うことをおこなうこと」と定義している。これまでと同じことをいくら一所懸命やっても問題はいっこうに解決されないだろう。その程度で解決されるならば逆に今までの取り組みは何だったのか?という話だ。現状の原因構造のどこかを変えうる〈これまでと違うこと〉が対策には必須なのである。また、〈意図を持つ〉ことも対策の要件である。それは、HOW思考でたまたま出てきたものは対策ではないからだ。「神風が吹いて助けられた」というように、たまたまうまくいったことは再現性がない。単なる思いつきではなく、「適切に考え抜かれた、これまでと違うこと」が対策なのである。優れた対策案の三つの要件優れた対策には三つの要件がある。図5‐14を見てほしい。対処すべき問題箇所が、「営業利益が低下しているが、国内向けの新製品が売れていないところに問題がある」、解決すべき原因が「営業担当の提案スキルが低く、新製品の差別化ポイントを理解していないため、顧客に訴求できていない」場合、効果的な対策は何か?図には選択肢が四つある。この事例で、「よい対策とはどのようなものか」を考えていきたい。
(1)もっと差別化できる商品にするここまで本書を読んできた人ならすぐにわかるだろうが、これは原因に対応した打ち手になっていない。提案スキルが低いのに商品をもっと差別化しても、どのみち顧客には訴求できないだろう。よい対策という以前にそもそも対策になっておらず、成果にはつながらない。(2)営業担当を集めた勉強会をおこなう「提案スキルが低いこと」が原因であったため、勉強会をすれば少しはよくなるかもしれない。しかし勉強会で何をするのか書かれておらず、「提案スキルと差別化ポイントの理解」に触れない対策では具体化が不足でわかりづらい。(3)提案スキルが高い精鋭の営業担当をヘッドハントし、新製品の差別化ポイントを教え込むこれは、少し毛色の違う対策だ。実行すれば、たしかに一部の営業担当は提案スキルが高く、差別化ポイントを理解した状態になるだろう。しかし、それは新たに雇った営業担当だけである。既存の営業担当についてはどうすればよいのか。全員クビにするわけにもいくまい。また、この対策は本当に実行できるのか?提案スキルの高い営業担当を雇うことが簡単にできるなら、とっくにやっているはずだ。たとえば、給与体系などの問題で、提案スキルの高い人をそもそも採用できないのではないか。このように、あまりに突飛な対策は実行不可能になってしまうことも多い。対策は着実に実行できるものが求められる。(4)勉強会を新たにおこない、差別化ポイントを説明するとともに、訴求のカタログをつくる勉強会というこれまでとは違う試みがなされており、顧客に訴求するようカタログをつくるなど、何をするかがわかりやすい。また、営業担当の差別化ポイントの理解の促進にも役立つような案となっており、成果にもつながりそうだ。実施の障壁も特に見あたらず、4つの中では最良の対策といえるだろう。あと強いて言うならば「新たな勉強会」ではなく「既存の勉強会」で扱うことができれば、さらに実行性が高まるだろう。このように、よい対策案にするには、「成果につながること」「わかりやすいこと」「着実に実行できること」の3点を満たす必要がある。では、この3点について詳しく見ていこう。①成果につながること──成功要因と失敗要因を踏まえる成果につながるためには、まずはこれまでの検討の流れ、すなわちWHERE、WHYで考えた原因や、WHATで考えた〈あるべき姿〉にHOWが対応している必要がある。さらに成功と失敗を押さえることで対策には磨きがかかっていく。ストーリーでも、高橋事業部長を中心としたマルチメディア事業部が、なぜCD事業で成功してきたのか、なぜDVD事業では出遅れたのかを検討し、具体策に織り込んでいった。成功要因を押さえる際には、具体的には他社の事例などを参考に、うまくいくためのコツを可能なかぎり収集しておくことが必要だ。成功している会社は、どんなところを押さえているのか事前に知っているだけで、あなたの考えた対策が成果につながる可能性は飛躍的に高まるだろう。同様に、先行事例から失敗要因を知ることもできる。先行している他社が失敗しているなら、同じ轍は踏まないほうがいい。しっかりと他社の事例を集め、失敗を避けるようにするのが賢明だ。また他社だけでなく、自社内での成功事例、失敗事例についても考えておく必要がある。自社が苦手なのは、どのような対策なのか。得意なのは、どのような対策なのか。その特徴を事前に見きわめておけば、自社にふさわしい対策を検討できるはずだ。たとえば、会社によって「社内で完結する対策は得意」だが、「他社を巻き込む対策は苦手」な会社もある。そういった会社では、対策はできるかぎり自社で完結させるようなものにすることが望ましい。よく組織長が交代する際、「自分のやり方でやる」と宣言し、前例否定、前任者否定で過去をまったく見ないで組織運営をする場合がある。しかし前任者の取り組みには必ず、失敗した要因、成功した要因が含まれているはずだ。新しい組織長は、「自分のやり方」に固執することなく、その組織が失敗しやすい要因、成功しやすい要因は何かを考えなくてはならない。②わかりやすいこと──理想は一網打尽組織のなかで新しいことをしようとすると、抵抗を受ける場合も多い。人は往々にして、新しいことには抵抗感を持つものだ。これまでのやり方で回っているなら変える必要なんてない、といった反応である。こうした抵抗を受けないためにも、できるかぎり現状を活かした対策にすることが望ましい。現状で回っている業務は極力変更しないで、新しい部分をつけ加えていくと反感を買いにくい。また、ゼロからすべてを考えるよりは効率の観点でも有益である。ただ、その際に気をつけたいのは、これまでと違う部分はきちんと明快にすることだ。誰の業務がどう変わるのか、それによって誰がどのような影響を受けるのかを明らかにしておこう。さもないと、結局今までと同じじゃないか、と思われてしまうので注意が必要だ。さらに理想をいえば、対策を、いくつかまとめて「一網打尽」にするとよい。できるかぎり集約したほうが効率的に実行できるし、わかりやすいからだ。ストーリーでも、「事業売却」や「工場再編」といった一網打尽の対策が出てきたが、それ以外にも、一網打尽の対策としてビジネス上よくあるのが、M&Aやシステム再構築などである。M&Aは、ある会社の営業人員の不足と、基礎技術や生産設備の不足など、組織全体の多くの問題を解決するような対策である。システム再構築も、企業のなかで起こるさまざまな業務課題を改善するための対策だ。ただし、一網打尽の対策を考える際には、もともと対応すべきであった原因や、目指すべきであった〈あるべき姿〉を忘れないように、また抽象論になってしまわないように気をつけよう。③着実に実行できること──障壁を取りのぞく着実に実行できる対策を考えるうえでは、「実行に際しての障壁が大きすぎる」状況は避けなければならない。また、その対策を実行したときに何か別の副作用が起きてしまう場合は、副作用の大きさにも配慮する必要がある。大きな障壁の有無を事前に考えておけば、現実的な対策案をしっかりと検討できる。また、この新たな試みが自然と継続するようにしておく必要がある。一時的に無理をして解決するだけだと、やめたとたん、また同じ問題が出てきてしまうからだ。短期的には改善するが、長期的には同じ問題が再発することになりかねないので、取り組みが無理なくつづくような対策が望ましい。
以上の三つの要件「成果につながること」「わかりやすいこと」「着実に実行できること」を意識して、具体的な対策案を立案していただきたい。■対策案を評価し、実行案を決める持ち駒を整理する優れた対策の3要件とは何かを理解したら、次は、より効果的・効率的に対策を考える方法を説明しよう。まず、現時点でのアイデアや他社の取り組み事例を、持ち駒として整理しておこう。なぜなら対策を考えるにあたり、アイデアの種はつねに必要だからだ。何もないところからアイデアは浮かんでこない。まずは手持ちの駒をまとめて、そこからアイデアを広げていくのが効率的である。対策案というのは複数、それもできるだけたくさん考えておくことが重要だ。ある原因が存在しているとき、その原因に効く対策案は一つではない。一つ実行して効果が十分出ればそれでよしだが、対策を思いどおりにやりきることができなかったり、効果が不十分だったりする場合もある。そんなとき、すぐに代替策を打てるよう、二の矢、三の矢ともいうべき予備対策を仕込んでおく必要があるのだ。また複数案を用意しておけば、コストを優先する場合と、効果を優先する場合とで、対策案同士をきちんと比較でき、周囲の理解を得やすくなる。ここで、持ち駒を整理するための対策のツリーを紹介しよう。図5‐15を見てほしい。手元にある対策を、似ているもの同士でグルーピングして、構造的にまとめたものである。このように、ツリーでまとめておくと、あとあと、さまざまなアイデアが出しやすくなる。思いついたアイデアを片っ端から書きとめて、似たようなアイデアをまとめ、対策のツリーを書いてみてほしい。
複数の視点で評価する対策が構造的に整理されたら、それらの対策を評価し、どの対策が最もよいか結論を出す。評価する際の視点はさまざまで、一概にこれだとは決まらないが、「効果」「コスト」「時間」で評価されることが多い(図5‐16)。
その他、「実現性」や「会社方針との一致度」などいろいろな視点があるが、会社によって項目や重みが違うので興味深い。実例をいくつかあげてみよう。たとえば、JR東海で研修した際には、受講者が「安全性」という評価項目を出してきた。話を聞くと、インフラを扱う鉄道事業者として、すべての行動の基準は「安全性」であり、安全性が担保できないことはやるべきではないという価値観が強いそうだ。安全性が満たされて「初めて効果やコストを語る土壌になる」という評価観点で対策を決めるようだ。また、トヨタ自動車のある開発部門の方は、「重量」という項目をきわめて重要視していた。重量は他の開発部門や、車全体の設計部門に及ぼす影響が大きいからということらしい。このように、会社の文化や職務内容により、評価項目は異なってくるはずだ。「効果」「コスト」「時間」を基本として、あとは状況にあった評価項目を考えてみてほしい。項目が定まったら、それぞれの項目について「どれほどの効果があるか」「コストはどのくらいかかるか」などの情報を収集し、それに基づいて評価をおこなう。評価はできるかぎり数字で定量的におこなうが、難しい場合は「大」「中」「小」といった大まかな評価でもよい。その場合でも、自分が下した評価について「なぜ大なのか」「なぜ中なのか」「なぜ小なのか」という理由はしっかりと説明できるようにしておこう。整合性を確認する複数の対策案から、優先的に進めるべき対策を選んだら、その対策が「他の対策と矛盾していないか」「確実に実行できるか」を確認しよう。その際には、ストーリーにも登場した図5‐10の活動マップを書けば確認しやすい。活動マップとは、原因克服・課題解決のための大方針、それを実施する具体策などを書き並べたものである。
たとえば、WHYに対する対策、WHATに対する対策、それらの対策を裏づける支援活動などを、丸のなかに書き込む。このとき、互いに関連する活動は線でつないでいく。特に関係の強い活動同士は太線で結んでおくとわかりやすい。こうすることで、活動同士で相互に補完関係がないかどうか、他の活動と矛盾していないかどうかを確認できる。活動マップを書くなかで組織の活動に矛盾が生じたら、検討した対策には副作用があるということだ。また、互いに補完できるような活動が見つかれば、対策の実行にあたって、担当同士で打ち合わせの場を持つなど、対策をより効果的にするための活動が可能になる。このように活動マップを書くと、対策がより確実に実行でき、問題をより効果的に解決できるのだ。全体への影響を考える活動マップを書くと活動相互の関連を明らかにでき、対策を実行したときに、会社のどこに影響がでるのかがわかってくる。影響をしっかり説明できれば、関係者をスムーズに巻き込むことができるだろう。対策を実行すると、WHEREで特定した問題や、WHATで定めた〈あるべき姿〉に向かうことができ、きっと組織によい影響をもたらすはずだ。しかし、一つ注意しておきたいことがある。それは、自業務や、自部門の業務が変われば、会社のいろいろな箇所にその影響が出る可能性があることだ。たとえば、営業部門が受注手続を簡略化するために注文書を変更すると、IT部門が管理するシステムに変更が生じるかもしれない。また経理部門が、簡略化された注文書の内容をいちいち確認するため、余計に仕事をしなくてはならないかもしれない。問題解決が、自部門のなかで完結はしないのである。そうすると、自部門はよくなるかもしれないが、会社全体で見ればさほど変わらないか、むしろ悪影響が出ることも考えられる。自部門がコストカットできても、他部門でコストが増加すれば意味がない。それを防ぐには、自業務の範囲を超えた目線で、悪影響や好影響を冷静に確認する必要がある。■対策を実行に移す際の注意点HOW思考に戻るな!ここでもう一度、対策を検討する際のポイントを確認しておく。必ず、手を打とうとする原因に対応した対策を検討すること。または〈あるべき姿〉に向かう対策を検討すること。せっかくここまでWHEREとWHY、WHATを検討してきたのに、それを無視してHOW思考に戻ってしまう人が意外に多いのだ。それでは、これまでの検討が水の泡である。思いつきの対策には誰も納得してくれない。最後の最後でHOW思考に戻らないように注意してほしい。そのためには、対策のツリーを書くときに、大方針と具体策が合っているかどうかを必ず確認しよう。リソースに配慮する実行に移す際にはリソースの状況もしっかり考えておこう。研修でよく質問されるのは「いくつくらい対策を打てばよいのですか?」「どのくらい根本的な原因に手を打てばよいのですか?」といった内容である。もちろん、たくさんの対策が打てるならそれに越したことはないし、根本的な原因に手を打つことができればそれだけ抜本的に問題が解決できるだろう。しかしあなたの立場が高くなければ、あまりにも根本的な原因に手を打つのは難しいだろう。また使える資金、人材、技術、時間などのリソースが少なければ、たくさんの対策に手を広げてしまうと戦力が分散して、うまくいかないかもしれない。対策を打つと組織のリソースを消費する。そのため、最後にリソースがボトルネックとなり、実行が完了できない場合が考えられる。そうなると問題が解決しないばかりか、リソースの無駄づかいになり、さらには「結局、だめだったか」と組織の活力や自信をも低下させてしまうことになりかねない。中途半端に実行するくらいなら、実行しないほうがマシだ。そうならないように、リソースについて慎重に検討を進めてほしい。「組織変更」や「情報収集」で逃げないここで研修でよく目にする、悪い例を紹介しよう。対策として「特別編成プロジェクトチームをつくる」や「外部環境の調査をする」といった内容をあげる人がいるが、はたして、これらの対策は効果的だろうか。「組織をつくる」という対策は、多くの場合、新しくつくった組織に問題解決をゆだねているだけで、結局のところ問題をたらい回しにしているにすぎない。あなたが考え出した対策を特別対応チームが実行するならよいが、具体的な策がないままに「チームを編成する」だけなら、あなたは対策立案を丸投げしている。特別対応チームがなかったために問題が発生していたのだろうか?そんなわけはない。人を張りつけて終わりなら、世の中の多くの問題は簡単に解決するはずだ。情報を集めるという対策も同じだ。情報を集めるのは準備段階にすぎず、結局のところ、情報を集めても、それだけで物事が解決することはない。集めた情報を活用して「何か」をしなければ問題は決して解決しない。対策とは「意図を持って、これまでと違うことをおこなうこと」であるが、「おこなう」にも注目すべきだ。組織の形を変えても、情報をいくら集めても、個人やチームの行動が変わらなければ成果は上がらないことを肝に銘じてほしい。仕組みに落とし込む対策の成果を継続させるためには誰か特別な人ががんばるのではなく、誰が行動しても同じ成果が出せるよう日常業務に落とし込むことが大切だ。それができないと問題が再発し、そのたびに「できる人がやる」という、決して効率的とはいえない取り組みが繰り返されてしまう。最後は仕組みに落とせるように作り込むことが重要である。
たとえば、銀行の窓口で、お客様の待ち時間が長いという問題があったとしよう。「特に投資信託の相談窓口」での待ち時間が長く(WHERE)、「担当者が多岐にわたる商品をきちんと理解していない」ことが原因(WHY)だったため、商品を適切に理解できるように、本社の専門スタッフを招いて勉強会を開催するという対策案を実行したとする。この対策で成果は長つづきするだろうか。答えはノーだということはすぐにわかるだろう。今いるスタッフだけでなく、今後、担当になる人にもきちんと理解できるようにするためには本社のスタッフに、要点をまとめた資料をつくってもらい、講義内容はビデオに撮って再現できるようしておくなど、実施後の運用もきちんと考えた対策にすることが必要なのだ。ドミノを最後まで倒すHOWの最後の仕上げとして、対策を実行したらどうなるか考えてみよう。発生型の場合、対策を実行すると、WHYで手を打った原因が解決される。すると、その原因から伸びている矢印の先が解決しているはずだ。まるでドミノ倒しのように、WHYで検討した因果関係が「悪い原因」から「良い要素」に刷新されていく。原因のドミノがきちんと上まで倒れていくか、感覚的につながらないところはないかを必ず確認しよう。もし、つながらないところがあれば、その原因に伸びている別の矢印の先にも対策を打とう。図5‐17に「営業利益が低下しているが、国内向けの新製品が売れていないところに問題がある」という問題解決の原因追究・対策立案の一連の流れを書いた。この対策を実行すれば、本当に原因に効くのか、そして元の問題が解決されるのか。
あなたが対策を打ったあと、このドミノの倒れ方をきちんと定点観測すれば、問題がどこまで解決しているのかが見えてくる。一撃だけでは一番上の原因、そして特定した問題箇所にたどり着かないかもしれない。しかし、どこまで倒れたかを把握しておけば、そのあと適切に対応することができる。設定型の場合も同様だ。対策を実行するとWHATで検討した〈あるべき姿〉に一歩ずつ近づいていくはずである。このように問題が解決していくイメージを持たないまま対策を打つと、問題が解決されなかった場合に、原因分析を最初からやりなおすことになってしまい、きわめて非効率だ。せっかく考えた問題解決策である。とことん使い込んで、ドミノを最後まで倒していただきたい。
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