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第5章学習—課題を見つけて次の抜擢につなげる

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第5章学習—課題を見つけて次の抜擢につなげる

なぜ学習が必要なのか「言語化」は成長に欠かせないもの面談は「相手の話を9割聞く」でちょうどいい成長を促すパワー質問「経験の意味づけ」学習の総決算「1年前の自分への指導」良い面談には次の「抜擢」がある「大化けイメトレ」で未来の活躍を共有する高い目線を持ち目標をスケールアップする

「抜擢カルチャー」を社内に浸透させる巻末特典『若手育成の教科書』まとめ&ワークシート

第5章学習—課題を見つけて次の抜擢につなげる

なぜ学習が必要なのか「自走サイクル」の最後は「学習」です。

学習は、抜擢、決断、失敗から続く流れを受け止める役割を果たすだけでなく、次の新しい抜擢へつなげるための重要なつなぎ役も担っています。

学習でおこなうことは至ってシンプルです。

「自身の得たものを確認する」ことと、「次の課題を見つけること」。

第3、4章でお伝えした「決断サイクル」と「失敗サイクル」にも通じるものです。

「学習」をおこなうための手法も、いくつか紹介したいと思います。

第4章で再三「失敗はしてもいい」と繰り返したのは、失敗そのものに得るものがあるからなのと、学習をおこなうことで次に取り組むべき課題が見つかるからです。

課題が見つかれば、その解決のための「次の抜擢」につなげることができます。

逆にここで課題を見つけられないまま、新しい抜擢をおこなっても、同じことの繰り返しになってしまうおそれがあります。

これでは成長も成果も得られません。

課題とは言うまでもなく、次の新しい抜擢における課題です。

今回の抜擢と決断で、何がよかったのか、どのような失敗をしたのか。

そういったことを振り返りながら課題を見つけ出し、それに対応するための準備を進めます。

「言語化」は成長に欠かせないもの学習するには、何か「教材」のようなものがあると便利です。

実は、抜擢、決断、失敗のステップを丁寧に踏んできた皆さんの中に、たくさんの「教材」のための「材料」があるはずです。

それらを、さまざまなやり方で集めていき、教材にしていくのです。

すでに、第3章の「決断」で、・週1の「決断の振り返り面談」第4章の「失敗」では、・「ねぎらい面談」といった形で、振り返りの方法を紹介しました。

これらも学習教材と言えます。

この章で紹介したいのは、・「失敗経験」の振り返り・1年前の自分への指導です。

本書を通じて再三お伝えしていますが、成長には、自身の経験を言葉にして伝えるという「言語化」という作業が欠かせません。

自らの経験を次に活かすためには、自己分析をおこなうだけでなく、次の行動につなげることが大切です。

それも、ただ「ああダメだった」と感情的に落ち込むだけでは、成長につながりません。

そこで、面談をおこない、対話を通じて学習効果を高めることをおすすめします。

詳しくは後述しますが、「明るい未来につなげる」発想を持つことが、「学習」の肝です。

また、「自らが得た学習」を、周囲の人たちに役立つよう共有できれば、「チーム全体の学習」にもなります。

例えば、入社1年目の人は、まだ「教材」が足りません。

抜擢・決断・失敗のサイクルをまだそれほど多く回せていないからです。

彼らにとって、先輩方の「教材」を共有してもらうことは、効率の良い学習法になります。

「教材」はたくさんあればあるほど失敗が減り、より速く成果を上げやすくなるでしょう。

結果として、チームは飛躍的に成長し、組織にイノベーションを起こしていくのです。

これが、「学習」の醍醐味であると私は考えます。

面談は「相手の話を9割聞く」でちょうどいい面談をおこなうときに、特に気をつけてほしいことは、相手の話を聞き切ることです。

相手の話は9割聞くくらいでちょうどいいと考え、部下の話にしっかり耳を傾けましょう。

理由は明白です。

「自分で育つ、自走人間をつくる」ことが目的だからです。

上司である自分のほうが経験は豊富だからと、ついアドバイスしたくなってしまう。

気持ちはわかりますが、「学習」の基本は「内省」です。

そのために上司がおこなうのは、質問を投げかけることだけです。

「今回の失敗で、一番記憶に残ったことはなんですか?」「クライアントから『納期を1週間早めてほしい』と言われて、すぐに『無理です』と答えてしまったことです」「なぜそう答えてしまったのですか?」「これまでクライアントと要件を詰めて、スケジュールに落とし込み、ようやく『これで行ける』と思った矢先の変更だったので、反射的に『無理』と言ってしまったのです。

本来なら、『無理』と言う前に『なぜ納期を1週間早める必要があるのですか?』と先方の事情を聞くべきでした。

ちゃんと理由を聞いていれば、向こうが望む『8割くらいの仕上がりでとりあえずOK』というゴールはクリアできたはずです。

なのに『10割の仕上がりで予定どおり』を目指そうとしてしまい、最終的に決裂してしまったのです」本人の口から失敗の理由が語られ、「こうすべきだった」という反省もある。

ここまで理解していれば、次に同じ失敗を繰り返す可能性が低いことは、話を聞いただけで十分わかったと思います。

上司が先回りして「先方に理由を確認すべきだったね」などと言う必要はないのです。

答えは本人の中に必ずあるからです。

学習とは、自ら答えを導き出す過程そのもの。

そこにアドバイスなどいりません。

また、面談では、本人が素直に自分のことを語ることに意味があります。

そういう場をつくることが先です。

3つの「ない」がそろうと、人は素直に話ができなくなります。

次のとおりです。

1.「聞かない」上司が話を「聞かない」

2.「場がない」物理的に話す「場(機会)がない」3.「肯定しない」すべて「否定される(肯定しない)」

人を素直にさせるための3つの要素は次のとおりです。

1.「9割聞く」相手の話をとにかく聞く2.「定例化する」安心して話せる場を提供する3.「YESから始める」とにかく肯定。

否定はその後この3つがそろってはじめて、相手は「話を聞いてもらった」と実感するのです。

本書で紹介している、ほかの面談についても同様です。

自走してもらうために、聞き役に徹する。

常に心がけてください。

成長を促すパワー質問「経験の意味づけ」対話を通じて学習効果を高めるための最強ツールが面談です。

上司は相手の話を聞き切ることで、本人の中から答えを引き出していきます。

その際に、絶大な効果を発揮するパワー質問をご紹介します。

例えば失敗を振り返る際に、成長を促すパワー質問、それは、「今回の失敗は、Aさんにとって、どんな意味があると思いますか?」と、今回の失敗(や経験)の意味を聞くことです。

Aさん「今まで独りよがりでやっていたことに気づきました。

独りよがりではチームはまとまらないので、ダメだと思いました」Bさん「ユーザーが真に求めるものは何か、ちゃんと見ていませんでした。

プロダクトアウトの発想で、結局、自分たちがやりたいことをやろうとしていただけで、ユーザーと真摯に向き合っていませんでした」AさんもBさんも「自分本位で仕事を進めていたことが失敗の原因だと気づいた」という大きな学びがありました。

意味づけは、2つの要素で構成されています。

1.結果に対する原因:自分本位では、仕事はうまくいかない2.次にどうすればいいか:周囲の力を借りたり、ユーザーの意見に耳を傾けたりする意味づけができれば、自然と次に活かすための「学び」が得られます。

失敗に限らず、決断についても、同様の「意味づけ」を問うことは有効です。

ぜひやってみてください。

学習の総決算「1年前の自分への指導」例えば1年前に開発が始まり、満を持して先日スタートしたあるサービスで、思うようにユーザーが集まらなかったとします。

振り返り面談(ねぎらい面談)で、私はこのように質問します。

「今の自分が、1年前に戻るとしたら、何をやりますか?」「たくさんの先輩に、アドバイスをもらいにいきます」「ユーザーのことを考える時間を、もっとたくさん取ったと思います」「チームの仲間の意見を、積極的に聞くようにしたと思います」経験し、学習して、成長した自分が、タイムマシンに乗って1年前に戻ったら、どのような決断をおこなっただろうか。

このようにタイムマシンに乗って考えることは、二度と同じ失敗を繰り返さないために何をすべきか、次への改善策を考えることであり、次に同じようなことをおこなう際にはどうするのか、未来の経験をシミュレーションすることでもあります。

これこそが、学習の総決算です。

タイムマシンに乗っても、また同じじゃないか。

自分の成長を感じることができない。

そんなふうに思っているメンバーがいれば、ビフォー・アフターを比較し、その差分を実感することも必要かもしれません。

「何も知らなかった、何も学んでいない自分はAとB、どっちを選ぶか→A」「失敗の経験をした自分は、AとB、どっちを選ぶか→B」このように比較することで、「自身の成長(変化)」を感じることができます。

特に、何か失敗したときは、その結果にとらわれすぎてしまい、自身の成長や得たものといった「プラス」の側面に目を向けることが難しいもの。

だからこそ、タイムマシンに乗って考え、今の自分が「得たもの」に気づくことが大切なのです。

良い面談には次の「抜擢」がある「学習」の助けとして、「面談」は有効であることを、この章では説明してきました。

私が企業の人事担当者の方たちに「面談をしていますか?」と聞くと、ほとんどの方は「しています」と答えます。

「年度末や半期ごとに、評価面談という形で、メンバーと1対1で話す機会を設けています」「プロジェクトが終わった後には、必ず振り返りの面談をおこなっています」ところが、「育成のための面談をおこなっていますか?」と聞くと、ほぼ9割以上の方が「やっていません」と首を横に振ります。

「そもそも、人材育成を意識して面談をしたことがありません」「はたして、面談で人は成長するのでしょうか?」こう考える担当者が多いようです。

ただ、ここまでお読みくださった皆さんは、もうおわかりだと思います。

若手は自ら学習することで成長していきます。

面談は、彼らの学習を助ける場として活用できるのです。

本書ではさまざまな面談のやり方を紹介しました。

そこで陥りがちな罠は、面談で過去ばかり話してしまうことです。

例えば面談が30分あったとしたら、「この半年、何をやってきましたか?」「先々月はこうで、先月はこうで……」などと、過去だけを話し、そこから「良かった・悪かった」と評価します。

もちろん、「良かった・悪かった」を見ることは、問題ありません。

けれど、それ以上に大事なのは、未来を話すことです。

この「未来を話す」という視点が完全に抜け落ちてしまっているケースが非常に多く、実にもったいないことになっていると感じています。

明るい未来が見えてくれば、自然と期待感は高まります。

ですので、面談では期待をセットで伝えていく。

あるいは期待がセットになるよう、一緒に未来を考える。

「未来」を話すこと、すなわち「期待」を話すことで、面談は一気に前向きなものになるのです。

人は期待されると、前向きになり、がんばれます。

がんばると、結果を出せるようになり、成長していきます。

このサイクルで、人はどんどん成長していきます。

育て上手な上司は、「期待」を使うのが上手です。

面談の最後で、こんなふうに部下に言います。

「次はこんなことに期待しているよ」「これらの経験を、次はこんなことに活かしてもらいたい」プロジェクトが失敗に終わったとしても、「今回の経験を次のプロジェクトで活かしてほしい」このように「未来のあなたが楽しみだ」と明確に「期待」を伝えるのです。

「次は、こんなことに挑戦してみたいです」「今度こそ、周囲の力を借りて、プロジェクトを成功させたいです」部下が自ら宣言し、上司が承認の「いいね!」を返す。

「言わせて、やらせる。

」で面談が終われば、自走サイクルは回り続けます。

「大化けイメトレ」で未来の活躍を共有する次の抜擢を考える際に、ぜひやっていただきたいのが「大化けイメトレ」です。

・10年後にどんな人になっているか・大成功しているとしたらどうなっているか・世界で有名になっているとしたら、どう紹介されるかこうした質問を面談で投げかけるのです。

いわば、未来の自分、あるいは部下に期待をかけること。

未来の大きな可能性を、面談を通じて部下と一緒に探るというものです。

この質問は、局長が部長におこなうのも効果的です。

例えば、50人の部下を率いる事業部長との面談。

部長に質問します。

「今、チームで活躍している若手は誰ですか?」「山田さんと石川さんと久保田さんですかねえ」さらに質問します。

「その3人の中で一番伸びそうなのは誰ですか?」「うーん、山田花子さんだと思います」「なるほど、山田さんですね。

彼女がすごく大化けしたら、どのくらいまでいくと思いますか?」こんなふうに具体的に聞くと、たいていの部長は次のように答えます。

「そうですね、マネジャーには今すぐにでもなれると思いますよ」悪くはありませんが、「大化け」ではありません。

これは、事業部長が彼女をマネジャーまでしかイメージできていないという言い方もできます。

つまり、現時点では、それ以上の彼女の姿をイメージできていない、そういう発想がないのです。

これでは上司である事業部長が、山田花子さんに対し、未来の大きな抜擢ができません。

そこで私はさらに問いかけます。

「率直に言って、山田さんはそこまでしかいかないかな?」実のところ、事業部長は「マネジャーの先」まで考えてくれているもの。

「今すぐにマネジャーまでいけます」という意味で答えただけなのです。

なので、私の「ぶっちゃけ、そこまでかな?」という畳みかけに、

「彼女は、将来的にはこの部署の事業部長になれると思います」とか、「新規事業を立ち上げて、取材とか受けそうですよね」などと、大化けのイメージを語ってくれます。

この「大化けのリミッター外し」が肝で、事業部長は「大化けイメトレ」ができた時点で、山田さんに対する次の抜擢は必ず変わります。

「もっと大きなプロジェクトを任せてみようかな」「山田さんの可能性を部長である自分が狭めていたのかもしれない。

もっと彼女にアイデアを出してもらおう」などと、大化けイメトレをおこなうだけで、彼女への見方と行動が変わるのです。

この「どこまで大化けするか」というイメージを持つことは、とても大切です。

「いや、彼女は会社の歴史を変えるかもしれませんね」といったセリフが出てきたら、それだけで大きな収穫です。

大化けイメトレをやると、その人のキャリアの選択肢が広がります。

問いかけによって、上司も気づく。

上司のマインドセットが変わると、自然と抜擢の方法が変わっていきます。

そう、「大化けイメトレ」は、当の本人が不在の状態でも、このように部下の成長角度が変わっていくのがすごいところなのです。

もちろん、実際に大化けしてほしい部下との面談でも、この「大化けイメトレ」は有効です。

私は、学生の新卒採用面接でこの「大化けイメトレ」をおこなうことがあります。

「あなたの才能が大化けしたら、どういうところまでいけそうですか?」基本的に、この質問を投げかけるのは、伸びそうな人に対してです。

人事の私から見て、明らかに伸びそうだ。

でも、本人の言っていることや狙っていることがどうも小さい。

「まずは学びたいですね」「入って仕事を覚えたいです」このように言う学生に対して、「本当にそれしかできないかな?」と聞いてみるのです。

相手の可能性に期待しているからこそ、する質問です。

学生は、本人のプライドが邪魔をしていたり、ビッグマウスだと思われたらどうしようと心配したりして、どうしても発言がおとなしくなりがちです。

しかし、謙虚さと、自分の可能性を大きくとらえることは別物です。

「早く仕事を覚えて、新たな事業をつくりたいです」「まだ世の中にない、こんなサービスを提供したいです」「こんな挑戦をするグループ会社の社長になりたいです」少しずつ、自分の可能性を口にしていくことで、学生の目線は上がります。

「大化けイメトレ」は楽しいディスカッションの場でもあります。

その人の未来を一緒に語り合うことは、本人の目線を上げるだけでなく、急成長をもたらす「きっかけ」にもなるのです。

例えば、入社2年目くらいの女性社員との面談で「大化けイメトレ」をおこなうときに、こういう答えを耳にすることがあります。

「あなたの才能が大化けしたら、どういうところまでいけそうですか?」「結婚して子供が生まれても、バリバリ働いていたいです」そこで私は質問します。

「『バリバリ働く』のイメージをより具体的に言うと、どんな感じですか?」最初は戸惑う女性がほとんどです。

そこで、「実際に将来はやりたいことが変わってもいいから、妄想を教えて」と、「好きに話をしていいんだよ」と心理的安全性を高める一言を添えます。

あくまでイメトレなのですから、妄想でいいのです。

すると女性社員は、

「そうですね、事業部長になってチームをまとめていっているイメージですかね」とか、「子育てをしながら新規事業を立ち上げて、メディアにも取り上げてもらえたらうれしいですよね」などと、「バリバリ働く」の解像度を高めることができます。

優秀な若手が、自分の中にリミッターをつくっていたとしたら、これほどもったいないことはありません。

そして、リミッターの理由の大半は、上司や組織の中にも知らずしらずのうちにリミッターがあるから。

これを外す作業という意味でも、「大化けイメトレ」は効果的なのです。

年に1回の面談などで、「大化けイメトレ」をおこなってみてください。

面談をおこなうだけで、部下の急成長とその後の大活躍を促すことができます。

未来の抜擢をより大きなものにするためにも、ぜひともやってみましょう。

彼らの大化けする姿を一緒にイメージして、「それはいいね!」と肯定することもお忘れなく。

高い目線を持ち目標をスケールアップする先ほどの「大化けイメトレ」をおこなう狙いとして、上司や本人の目線を上げることがあります。

目線を上げるというのは、視座を高く持つ、志を高くといった意味合いの言葉です。

社長の藤田は「目線は放っておくと下がるもの」とよく話しています。

社会人1年目の人たち(毎年約90万人といわれる)の間では、1年間で〝目線下げ下げ競争〟が起きています。

・5月病で仕事がなんとなく面倒・先輩や上司がイヤだ・毎日の業務がつまらない・学生時代の友達も、みんな辞めたいと言っているこんなふうに、新入社員同士で目線を下げ合ってしまうのです。

就活では「こんなことに挑戦したい」と明るい表情で未来を語っていたのに、たった1年でどうして目線が下がってしまうのでしょうか。

そもそも、社会人1年生を含め、目線が下がっている人は、そのことに気づいていないことがほとんどです。

しかし、就活をしている学生だけは気づいています。

例えばOBOG訪問で、学生時代に部活ですごく活躍していた憧れの先輩に久しぶりに会ったけれども、つまらなそうに仕事をしている姿を見て「私はそういう働き方はしたくない」と失望したりするケースです。

これは社会人1年生のせいではありません。

先ほどの藤田の「目線は放っておくと下がるもの」という言葉のとおり、組織風土がそうさせてしまっているのです。

責任は私たちにあります。

職場でグチを言い続けたら、どんな人も不満ばかり言う人になってしまいます。

放っておくと目線が下がるというのは、そういうことです。

そこで藤田は「ポジティブをマジョリティにしよう」とも話しています。

「全員がポジティブ」はさすがに気持ち悪いけれど、目線の高い人が大多数の組織にしていこう。

そのためには、会社が未来に向いていないと目線は上がりません。

だから未来志向で話をすることで、常に目線を上げていこう、黙っていれば下がる一方なので、下げないようにしていこう、ということなのです。

それゆえサイバーエージェントは「目線の高い人をマジョリティにしよう」と言っているのです。

不満は「過去の話」ですが、その「不満」を「課題」に変え、課題解決するにはどうすればいいかと考えると「未来の話」に変わります。

このように、普段から未来を語れる人になることで、目線を高く持つことができます。

先ほどの「大化けイメトレ」も、未来を語る習慣の一つとして有効です。

ほかにも目線を上げる方法は、目線の高い人と付き合い続けることです。

目線の高い人を見つけて、その人たちをロールモデルにするのです。

ロールモデルの人たちと直接付き合うことがベストですが、付き合う機会がなくても、その人たちの考え方や行動を観察し、良い部分を取り入れていくことはできるでしょう。

ロールモデルがいないのであれば、本などから探すのもいいでしょう。

一般社員の人がリーダーや経営者の本を読むのは、目線を上げるために大変効果的です。

目線を上げることと同じく大切なのが、目標をスケールアップすることです。

ただ高い目標を掲げるのではなく、良い目標を立てることがポイント。

ちなみに、良い目標とは本人が自走するものです。

上司があれこれ言わずとも、本人が自ら「やりたい」と思い、ワクワクして挑戦できる目標を立てられるよう、次のような質問をしてみましょう。

「その目標は、明るい未来につながっていますか?」「目標金額は1億円」だとして、その先にある自分の成長、お客様の成功、仲間の喜ぶ姿が見えるのであれば、1億円はその人にとって、決して高すぎる目標ではないはずです。

私はよく「他の人に話したくなる目標は、達成したも同然」とお話ししています。

ワクワクするというのは自分だけでなく周囲の人たちも同様で、彼らからの賛同や応援も得られるような目標であればあるほど、達成率は高まります。

「この事業が成功したら、○○業界全体が大きく変わる」「私たちのチームが、会社の牽引役になるかもしれない」「この部署が、会社にとって新しい柱になる」とりわけリモートワークでチームのベクトル合わせが難しくなっています。

そういうときこそ、みんなの明るい未来につながる組織目標が重要な役割を果たします。

リーダーが未来を語り、メンバーの目線を上げ、チーム全員の明るい未来につながるスケールアップした目標を立てる。

そのことでチーム全体が自走し、より大きな目標に向けて走り出すことができたら、人だけでなく組織全体も急成長していきます。

おわりに「」サイバーエージェントの役員会では、最近「ポスト・チョイス・ドゥ」について話をすることが多くなりました。

これはまさに「抜擢する場所」をつくるという発想からきていて、伸びるポストをみんなで探して、そこにもっと人を充てたらいいんじゃないかといった議論をしていくというものです。

私たちは「ポスチョイ」という言い方をしています。

「はじめに」で、私は人材育成の目的を「成果を上げるため」と明言しました。

もっと言えば、次のような方程式で人材育成を考えています。

本人の強み×伸びる仕事=大きな成果「ポスチョイ」はまさにこの方程式をもとに、人と場所を当てはめていくものです。

例えば、スタートアップ(子会社)を4人で立ち上げたけれど、経営管理ができるナンバー2がいたほうがいいんじゃないかなど、ポスト(抜擢場所)をまず考えて、そこに人材をチョイスして、異動(ドゥ)させていくという考え方です。

ポジションありきで、人をリストアップして、動かしていく。

これが「ポスチョイ」の肝です。

なぜなら、人ありきで抜擢を考えすぎてしまうと、どうしても、「(今ある)伸びないポストに人を充ててしまう」というリスクがあるからです。

私たちは「抜擢は足りているか」を常に気にしていますが、人の成長だけに気を取られてしまうと、会社の成長・成果がおろそかになってしまうおそれもあります。

それでは本末転倒なので、とにかく経営インパクトのあるポジションはどこか、サイバーエージェントにとって重要なポジションはどこかという視点で抜擢をおこなうのが「ポスチョイ」です。

通常の抜擢は、それぞれの部門の現場で実施していくことが多いのですが、そうではなく、経営視点で「会社として必要な人材を抜擢する」という意味合いが大きく、そういう意味ではダイナミックな「大抜擢」とも言えるでしょう。

まだ始まったばかりの「ポスチョイ」ですが、すでに成果も出てきています。

ある程度重要なポジションで仕事をしている人、例えば子会社社長などの中には、実はまだまだ余力がある、という人が埋もれていることがあります。

そういう人には早く後進を育ててバトンタッチしてもらい、より大きなステージに抜擢する。

そうすることで優秀な人材がさらに成長し、より大きな成果を上げる。

「抜擢」が組織に活力を与え、人材育成の可能性をさらに高め、経営にも「大きな成果」という形でインパクトを与えるものであると、強く実感しています。

また、「ポスチョイ」とは逆に、最近私は「抜擢カルチャー」という言葉もよく使っています。

「抜擢」を全社員に浸透させたい、「言わせて、やらせる。

」を個々人でも実践してほしいという願いから、「抜擢のしくみ」ではなく、あえて「抜擢カルチャー」という言い方をして、普段から自然と誰もが取り入れていくものとして話しています。

例えば、入社2年目のAさんが、新入社員Bさんのトレーナーになる。

これはよくあることだと思います。

トレーナーAさんが「新入社員のBさんに何の業務を任せようか」と考えるのも、立派な「抜擢」です。

このように、若手が若手を抜擢することもあって当然。

「言わせて、やらせる。

」が社内はもちろんですが、日本中の企業に浸透していくことを、強く願っています。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

「言わせて、やらせる。

」「抜擢する」こうした言葉が皆さんの「日常語」になれば、これほどの喜びはありません。

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