1─交渉の基本構造2─協議事項のマネジメント3─利益に焦点を合わせる4─交渉戦術への対応策5─約束のマネジメント
第5章交渉をマネジメントする交渉は流動的でとらえどころがないと考えがちです。
しかし私たちはいくつかのポイントに注意して交渉を進めることで、全体を効果的にマネジメントすることができるようになります。
ここでは交渉のマネジメントという視点から基本的な概念をいくつか整理してみたいと思います。
1交渉の基本構造まず交渉では、交渉するプレーヤーである自分と交渉相手がいます。
この二人の背景にはもちろん所属する組織や利害関係者が存在するわけです。
さらに、私たちの交渉は社会とは無縁ではありません。
社会情勢や経済環境からも大きな影響を受けることになります。
協議事項の重要性ただし、交渉自体は自分と交渉相手との間での言葉のやり取りの中で生み出されていきます。
基本的な構造は協議事項と、その中で取り交わされるお互いの主張、そして最終的な合意案の形成ということになるわけです。
交渉のプロセスは、いろいろな話題が行ったり来たりします。
しかし、交渉は雑談ではありません。
交渉は、何らかの利益の実現を目指しお互いの利害を調整するプロセスですから、お互いが合意したいと思われる協議事項を中心に議論が整理されることになります。
したがって、交渉では協議事項中心に、交渉のプロセスを管理することが、最も効果的なマネジメント手法になるわけです。
利益にフォーカスそして、交渉では協議事項の中で必ず交渉相手の利益にフォーカスしたアプローチが必要になります。
なんらかの利益が感じられない限り、交渉相手にとって合意を選択するメリットはありません。
したがって交渉では、交渉相手に対して何らかの利益を提供するスタイルが重視されるのです。
しかし、交渉相手がそのような発想を持っていない場合もあります。
一方的な譲歩を迫り、交渉相手には何ら利益を与えないというスタイルでこちらにアプローチしてくることも少なくありません。
パワープレーには、パワープレーで対抗しないしかし、相手がそうだからといって、こちらもそのスタイルを採用するならば、パワープレーの応酬に終わるだけです。
こちらは、相手のパワープレーには譲歩することなく、「そのやり方では、あなたは結果を出すことができませんよ」という姿勢を貫くことが重要なのです。
利益を中心とする交渉は、自分だけが利益を提供して相手の譲歩を待つ、というものではありません。
利益を中心とした交渉を選択しない限り、こちらも利益を提供しない、しかし、一方的な譲歩を要求するわけでもない、というスタイルなのです。
このような冷静な交渉を妨げるのは、交渉相手による交渉戦術に、まんまと引っかかってしまう心理状態です。
戦術に対処するためには、その交渉戦術について理解を深める必要があります。
賢明な合意を目指すからこそ、戦術を知るべきなのです。
2協議事項のマネジメント協議事項とはクリティカルな協議事項を見つける交渉学では、協議事項の整理を重視します。
協議事項の適切な管理こそ、交渉のマネジメントの第一歩なのです。
協議事項には様々なものがあります。
合併・買収といった、最も大きな交渉では、数百、あるいは数千項目近い協議事項が存在します。
一般的なビジネスの交渉でも、協議事項が数十個あるいは、数百になることも珍しくありません。
ただし協議事項は、交渉相手との間で時間をかけて協議しなければならない協議事項(クリティカルな〔重要な〕協議事項)と、比較的事務的な交渉の中で、適宜決まっていく協議事項に分けることができます。
クリティカルな協議事項は少ないクリティカルな協議事項は、協議事項全体の10から20%程度だと考えられます。
その中でも重要な争点は、通常は10個以下、特に重要なものになれば2から3個くらいに絞り込まれることになります。
交渉学では、交渉によって議論しなければならない最も重要な協議事項に、お互いのリソースを最大限、集中させることを重視します。
そのために協議事項をマネジメントする必要があるのです。
協議事項の抽出大型のM&Aの交渉の場合や複雑な事業提携の場合は、投資銀行や法律事務所がアドバイザーとして適切な助言をしてくれます。
比較的定型的な協議事項については彼らが用意し、提案してくれることも多いでしょう。
しかしその取引において、ビジネス上、最もクリティカルな協議事項となるものは、当事者間で準備することになります。
協議事項を抽出する第一段階は、協議事項の抽出です。
事前準備におけるターゲティングで実施することになります。
もちろん、交渉中に新たな協議事項が生まれることもありますので、すべて準備だけで協議事項が決まるわけではありません。
まず書き出してみる協議事項の抽出作業を行っていくとき、最初の段階では、協議事項が重複しているかどうかについては、あまり考えず、協議事項をできるだけたくさん、出すことに着目すべきです。
紙を一枚取り出して、協議事項となり得る事柄を、とにかく書き出してみることをおすすめします。
もちろんパソコンに打ち込みながらでも結構です。
この段階では、協議事項の中身、たとえば金額はいくらくらいの提案をしようかといったことは考えず、協議事項だけを考えます。
もれがないことが大切一通り協議事項を抽出してから、重複しているものを整理し、似たようなものを同じグループに分けたりという作業を行います。
このような整理の仕方を、MECE(MutuallyExclusive&CollectivelyExhaustiveもれなく、だぶりなく)と呼びますが、交渉学では、もれがないことが重要です。
たとえば、営業の戦略を立てるときに、地域ごとの営業成績の相違に着目し、これを改善するための社内会議を行ったところ、実際の争点は、顧客の属性に応じた営業成績のばらつきの方が重要だったことがわかったとします。
しかしそのデータが不足していたため、十分な検討ができなかったということになれば、大きな問題になってしまいます。
合意にもれがあることは許されません。
協議事項は、多少の重複は調整可能ですが、もれがあれば致命的となる危険性があると認識しておくとよいでしょう。
自分たちの利害に直結する協議事項はどれかクリティカルな協議事項にフォーカスした交渉を行うためには、まず自分たちにとって、何がクリティカルな協議事項かを明確化する必要があります。
ここで注意しなければいけないのは、一見すると、事務的な協議事項だと思われているものが、交渉の性質上、きわめてクリティカルな協議事項に変わることもありますし、その逆もありえます。
なにがクリティカルかという判断は、あくまでも自分たちにとってどうかという視点で分析しましょう。
たとえば、合弁会社を競合他社が設立するという交渉であれば、通常お互いがいくら出資するのかという出資比率が、もっともクリティカルな協議事項だと考えられます。
しかし、世間一般で出資比率が最も重要だからといって、自分たちの交渉でも必然的に重要になるのだと考えるのではなく、自分たちにとってこの
出資比率は、どのような意味づけになるのか、を考える必要があるのです。
協議事項に関する交渉(アジェンダ交渉)話し合いにより、協議事項とその順序を決定していく交渉のプロセスを、私たちは「アジェンダ交渉」(協議事項に関する交渉)と呼んでいます。
この協議事項に関する交渉はきわめて重要です。
何を協議事項として取り上げたいか、ということについて双方が話し合っていくこの段階で、すでにその交渉の行く末が大体予想できます。
協議事項をお互いが提示しあっているだけではなく、その提示の仕方、もしくは協議すべき事項の文言の書き方にも、お互いの思惑が見えてくるからです。
外交交渉では、協議事項の文章の書き方や表現方法それ自体が、国益を左右しかねない重要な問題になります。
たとえば、「合意を目指す」という表現と「協議する」という表現の違いは、国際交渉ではかなり重要な違いになります。
かつて、WTO(世界貿易機関)において、2000年以降、ドーハ開発アジェンダという包括的な交渉が行われた際、投資、貿易と競争政策、労働問題、貿易の円滑化及び政府調達の透明性といった協議事項(シンガポール・イシュー)をWTOの議題にすべきか否かで、先進国と途上国が激しく対立し、決裂しました。
このように協議事項をコントロールすることは、往々にして交渉の主導権を握ること以上に必要です。
そのため、この協議事項を中心に交渉を整理することがきわめて重要なのです。
協議事項は最初に提案積極的に提案するこのアジェンダ交渉では、協議事項の提案は自分から積極的に行い主導権を確保する必要があります。
また、交渉相手から協議事項の提案があった場合は、その提案について、交渉相手に詳しい説明を求める必要があります。
なお、交渉相手からの協議事項の提案がおおむね妥当であって、それほど異論がない場合であっても、協議事項の決定に自分が関与したことを、交渉相手に理解させる必要があります。
協議事項のなかの一言一言にも油断してはいけません。
検討し、少しでも自分が納得できない協議事項があれば、修正や場合によっては撤回を求める必要があります。
主導権を確保せよ交渉では協議事項の主導権を確保しなければなりません。
協議事項の段階で、主導権を交渉相手に渡してしまうことは、事実上交渉全体の主導権を譲り渡すに等しい行為です。
なぜなら交渉をマネジメントする最大のツールを失うことになるからです。
合意しやすいところから話し合う協議する順序の重要性交渉は、「協議事項をどの順序で話し合うか」によって、その合意内容に大きな差が生じることがあります。
同じ話でも、話す順序によって、相手に与える印象がずいぶんと異なるからです。
交渉では、文脈効果というものがあって、話の順番によって、話の内容に対する受け取り方がかなり変わってしまいます。
交渉の初期段階でお互いに立場が激しくぶつかりあう論点を取り上げると、その論点について厳しいやりとりが続きます。
交渉の初期段階ですので、交渉相手をお互いよく知らない状態で、議論だけが先行してしまうのです。
その場合、心理的な対立や反発が次第に強くなってしまいます。
そのような状況で、次の協議事項が、仮に比較的お互いにとって歩み寄りが可能なものであったとしても、最初の印象が大きく影響してしまうのです。
そのため、本来であれば建設的な合意が可能であったにもかからず、冒頭での激しい議論のやりとりが最後まで尾を引くことが少なくありません(ウィリアム・ユーリー『ハーバード流NOと言わせない交渉術』三笠書房、1995年、229頁参照)。
話しやすいところはどこかそこで、交渉では、このようなリスクを避けるために、まず話しやすいものから話し合うことが基本原則になります。
双方にとって優先順位が高いからといって、込み入った話題から交渉し始めるのはできるだけ避けた方がよいでしょう。
お互いが比較的合意しやすく、しかもお互いが意見交換しやすいもの、すなわち情報の共有や交換が比較的容易な協議事項から話し合うことによって、合意の可能性を広げていくことが重要となるのです。
協議事項は目次協議事項に関する交渉は、交渉に目次をつけていくようなものだとも言われます。
本に目次がなければ読みにくいのと同様に、交渉でも今現在、何について話をしているのかについてお互いが十分理解した状態で話をすべきことが重要となるのです。
・脱線への対処法交渉中に話題が脱線してしまうことも、よくあります。
一つの協議事項について話をしているうちに、いろいろなアイデアが浮かんで、次第に協議事項が脱線していくことはよくある話です。
ただし、このような協議事項の脱線を問題視しすぎる必要はありません。
交渉において、多少の脱線や協議事項の間を行ったり来たりすることに神経質になりすぎる必要はありません。
しかし、この協議事項からの逸脱が交渉全体に悪影響を及ぼす場合には、これに対して適切な対応が必要となります。
・協議事項を意識させる
具体的には、もし協議事項からの逸脱が交渉に悪影響を及ぼすと判断した場合、交渉相手に対して、「今、ご提案いただいたお話も非常に興味深いと思います。
ただし、現在の協議事項とは少し異なる視点ですので、後ほど協議しませんか」という形で、脱線してしまった状態から、元の状態に戻す必要があります。
協議事項の逸脱を、すぐに直すことができる状態を作ることが必要です。
すなわち、交渉全体が協議事項を中心として運営されていることを、交渉相手にあらかじめ理解してもらう必要があります。
そうでないと、交渉相手は自分の話したいと思っていることを、さえぎられたと受け取ってしまうかもしれないからです。
しかし、協議事項にこだわって、交渉をマネジメントしている姿勢を見せ続けることができれば、そのような誤解を招くことはなくなります。
先ほどのような言い方であれば、交渉相手も話をさえぎられたことに対する不満よりもむしろ、自分の話したいことを、きちんと協議事項として取り扱ってくれることがはっきりしたので、安心して元の協議事項に復帰できるのです。
協議事項を中心にマネジメントするということは、「木を見て森を見ず」といった事態をできるだけ回避するということになります。
3利益に焦点を合わせる利益に訴える交渉では、相互理解や信頼感を醸成することが大切です。
交渉学では、信頼関係とはお互いが交わした約束を守り合う関係のことを意味します。
したがって、個人的にその人間のことを好ましいと思う感情や、交渉相手に対する友人のような感覚といった要素はすべて取り去ってしまいます。
交渉では、信頼関係を、お互いが約束を守り合っているかどうかという点にのみ注視し、それ以外のあらゆる要素はそぎ落とした非常にドライな視点で捉えます。
まずこの信頼関係が醸成されていない限り、賢明な合意に到達することは不可能だと考えます。
ではこの信頼関係を作り出すためには、どのようにすればよいのでしょうか。
それは、双方の立場の相違に着目するのではなく、お互いの利益の一致するところを見つけ出すという作業から始める必要があります。
利害の一致私たちは、相互理解のためには、お互いに何らかの一致が必要だと考えています。
交渉では、お互いの立場が異なるため、双方があらゆる論点について立場の相違が解消される、ということはあり得ません。
そこで、立場の相違の解消を目指すのではなく、利害の一致に焦点を合わせていく必要があるのです。
立場から利害へ転換するためには、関係者の利害の本質に着目することが重要です。
たとえば、水力発電所を建設するためのダムの建設工事を例に考えてみましょう(ジェームズ・K・セベニウス「交渉に失敗する6つの悪癖」『交渉からビジネスは始まる』ダイヤモンド社、2005年、64頁の例を元にしている)。
ダム建設には、賛成派と反対派の対立が必ずと言ってよいほど発生します。
電力会社を中心とする推進(賛成)派と、反対派の対立は、二分法です。
ダム建設に賛成か、反対か、という議論が延々と続くことになります。
このような対立をさらに悪化させてしまうパワープレーも横行します。
「この建設計画は、法的な問題は何もないのですよ、いつでも工事を始めてもよいのですよ」という賛成派に対して、「どんな手段を講じても阻止してやるぞ」と反対派は気勢を上げます。
このままでは、何も生産的な議論は生まれません。
最後は、裁判に発展する危険性もあるのです。
しかし、お互いの利害の本質に目を向けるとどうでしょうか。
たとえば、ダム建設反対派の中にも、下流の農家は、「ダムができると、川の水が少なくなるって聞いているので、うちの田んぼに水が張れなくなると困る」と思っているかもしれません。
また、環境保護団体は、「ダムの下流にある水鳥の生息地が心配だ」というのが反対の理由かもしれません。
「反対派」とひとくくりにしてしまうと、その利害の本質は見えてきません。
しかし、それぞれの人たちの立場を超えた利害に着目すると、電力会社としては、より利害の本質に配慮した交渉や説得が可能になるのです。
4交渉戦術への対応策交渉においては、相手の心理戦術に惑わされないようにすることが重要です。
そのためには心理戦術の基本的なメカニズムを知っておくことが重要になります。
心理戦術とは、一言で言えば、交渉相手を合理的な思考から遠ざけ、短絡的な結論に陥るように誘導するテクニックです。
交渉中、安易な譲歩をしてしまう原因として気をつけなければいけない相手の発言があります。
それが、「今後のおつきあい」というフレーズです。
これについて、説明しておきましょう。
「今後のおつきあい」に惑わされないたとえば、「今回の取引で、譲歩していただければ、今後の良好なつきあいも可能になります」とか、「今回は御社に損をしてもらうことになりますが、きっと将来この借りはお返ししますので今回はぜひ譲歩して下さい」といった形で、将来の不確実な取引を匂わせることによって現在の取引の譲歩を迫るような説得に、人は簡単に引っかかります。
交渉では、合意バイアスの影響を受けます。
将来的な取引の可能性をちらつかせられただけで、簡単に譲歩してしまうのです。
しかし単なる口約束だけで、将来の取引の可能性を匂わされたとしても、それが実現するかどうかは、全く分かりません。
むしろほとんどの場合、取引は実現しないと考えた方がよいでしょう。
「今後のおつきあい」という言葉に条件反射して譲歩してはいけません。
私たちはこのようなあいまいな約束につい引っかかってしまい、安易な譲歩をしてしまいます。
そして譲歩の見返りは、交渉相手の善意に期待してしまうのです。
しかしこのような発想は非常に危険なことです。
交渉では、相手を信用できるかどうか、常に判断を迫られます。
しかし将来の取引の可能性について、そのリスクを説明せずに、可能性だけを声高に説明する
人間は、まず信用すべきではありません。
交渉相手から、信用に足る何らかの約束を担保として受け取らない限り、簡単に信用してはいけないのです。
よい警官・悪い警官戦術──日本人は要注意では、簡単に交渉戦術の代表例を紹介しましょう。
まず、最も有名な交渉戦術として、グッド・コップ、バッド・コップ(GoodCopBadCop)というものがあります。
これは二人の交渉者が、悪意に満ちた意地悪な人物と、交渉相手に好意的な人物を演じます。
バッド・コップが相手を脅し、怒りをぶちまけて動揺を誘う一方、グッド・コップが相手に同情し、時には相手を擁護するそぶりを見せつつ譲歩を迫るという戦術です。
ちなみにコップとは警官のことです。
これは取調室で容疑者に自白させる戦術として有名なので、このような名称がついています。
この戦術は一人でもできます。
「私はこの条件で納得していますが、上司がどうしてもだめだといっているのです」とか、「私は、あなたの言い分もよくわかっているつもりなのですが、前例がないので、難しいですね」というように、この場にいない上司や、制度や組織を悪役にして相手を説得しようとするのです。
日本人はこの戦術に弱いと言われています。
それは、怒り出した相手を目の前にすると、つい自分に非があるのでは、と考えてしまいがちであること、そして、グッド・コップを「味方」であると勘違いしてしまう傾向があるからです。
では、どうすれば、この戦術に立ち向かうことができるのでしょうか。
まず、このような戦術を使われるかもしれないと警戒することです。
その上で、この戦術が疑われる場合は、相手の表面的な態度よりもむしろ「何を要求しているか」をしっかり見据えることが重要です。
特に、ここではグッド・コップの提案に要注意です。
グッド・コップは本来、味方ではありません。
グッド・コップの提案を好意的な提案であると見せかけることがこの戦術の最大のポイントですから、油断しないことが肝心です。
ドア・イン・ザ・フェイス戦術たとえば、金額の交渉に際して、交渉相手から最初にこちらが受け入れられないような高額な要求を提案したとしましょう。
この金額を要求された交渉相手は、もちろんその提案を断ります。
しかし、かなり動揺しているのも事実です。
そしてその直後、交渉相手は、最初の要求をすぐに引っ込めて、次に、譲歩案を提示します。
この戦術を使うと、かなりの確率で、譲歩案がそのまま受け入れられてしまうのです。
これがドア・イン・ザ・フェイス戦術です。
たとえば、このような例になります。
弁護士「私の依頼人は、今回の損害について、1億円の損害賠償を請求するといっていますよ。
いざとなれば訴えてもよいそうです。
」企業A「えっ!そんな。
1億円ですか。
確かに、我が社の製品の欠陥でご迷惑をおかけしたことは事実です。
しかし、1億というのは、ちょっと高すぎませんか?」弁護士「この件では、御社の事情もよくわかっているつもりです。
私たちも、裁判で争うよりも、御社の誠意ある対応次第では和解で終わらせたいと思っています。
そこで、7000万円でどうでしょう。
依頼人は、かなり怒っているのですが、早く決着したいという気持ちもあります。
そこで、いま、この金額で合意していただけるなら、私も依頼人を説得できると思います。
」企業A「仕方ありませんね、ではその金額で結構です。
」この戦術は、人間の返報性のルールを悪用しています。
返報性のルールとは、相手が譲歩したら、自分も譲歩しなければならないと無意識に感じてしまう心理傾向のことです(ロバート・B・チャルディーニ他『影響力の武器なぜ人は動かされるのか』誠信書房、2007年、56頁参照)。
この戦術への対処法は、法外な提案が出たときには、この戦術を疑ってみることと、法外な提案の後の譲歩案に注意することです。
この譲歩案を見たとき、少しでも心の中で「断ったら悪いな」と思ったら、この戦術に引っかかっていることになります。
フット・イン・ザ・ドア戦術次のような例を見てください。
業者「こんにちは、いま、ご近所で工事をやっておりますので、ご挨拶にうかがいました。
」Bさん「それは、どうも。
」業者「ご迷惑をおかけしないように工事しますのでよろしくお願いします。
実は、いまやっている工事は、耐震補強工事なんですよ、地震は怖いですよね。
」Bさん「そうですね。
」業者「そういえばお宅の壁のひびが気になりますね。
ちょうど検査器具を持っていまして、無料で検査だけやってみませんか?」Bさん「そうですね、検査だけなら…」業者「このひびは大丈夫そうですね。
でも、その横にある窓枠の下のひび割れは、気になります。
これは今のうちに直した方が良いかもしれませんね。
簡単にできますよ。
費用も格安です…」最初に小さな要求を相手に提示してこれを受け入れてもらう、その後、徐々にその要求を引き上げていく戦術、これがフット・イン・ザ・ドアという戦術です。
たとえば、最初は無料でサービスを提供し、次第に少額の商品を勧め、最後に高額商品を購入させるという催眠商法もこの戦術の応用例です。
この戦術は人間の中にある「一貫性の原理」(ロバート・B・チャルディーニ他『影響力の武器なぜ人は動かされるのか』誠信書房、2007年、121頁以下参照)、すなわち、人は、自分自身が首尾一貫した意思決定をしたい、最初の判断をそのまま維持したい、という心理傾向を悪用したものです。
・対処法この戦術に対する一つの対処法として、交渉がとんとん拍子に進んでいって、話が早く終わりそうなとき、ちょっと立ち止まって冷静に合意内容を見つめ直してください。
まさに「うまい話は要注意」なのです。
交渉では、相手の提案の一つ一つを検討して、その提案を受け入れると、自分にどのようなメリット・デメリットがあるかを分析する必要があります。
簡単にイエスといえるような話がばかりが続いていくと、警戒心が薄れます。
そして、そのチェック機能が弱まってしまい、相手の要求が次第に自分に不利な要求になっていることに気づかなくなってしまうのです。
最後通牒戦術?・今日が最後!「今回、この条件で、合意していただけないのであれば、この交渉はここで打ち切りにします」とか、「今日中にお返事ください」というように、交渉相手に期日を決めて、合意を迫るやり方を最後通牒戦術といいます。
締め切り時間を設定して、交渉相手を追い詰める戦術ですので、タイム・プレッシャーと呼ぶこともあります。
この戦術の特徴は、決裂の可能性を明確にし、自分の提示した条件を最終条件だと主張することで、交渉相手に、譲歩するか、決裂するか、という二分法を迫ります。
当然、交渉相手は、決裂は避けたいと考えるのが一般的です。
そこで、この最後通牒に対して、譲歩を選択することになるのです。
・合意を逃したくない今日中に返事をしないといけない、あるいは、今この場で決断しないといけない、と思うと、この機会を逃してはいけないと焦ります。
その結果、冷静な判断をするというよりも、合意のメリットを何とかして見つけ出して、合意しようと必死になるのです。
このような最後通牒戦術は、頻繁に見られるものです。
「本日限り」とか、「あと30分で電話申し込み締め切りです」といった通販広告も、このような効果を狙っています。
人間は、今この場で決断しないと取り逃してしまうと考えると、さして価値のないものでも、希少価値があるように錯覚してしまうのです。
・使うときは慎重にでは、ビジネスの交渉でこの戦術は有効でしょうか。
たとえば、「今日中に決断してくれなければ契約は締結できません」という最後通牒を突きつけたとしましょう。
しかし、本音は相手への譲歩を迫りたいとは思っているものの、本気で今日で交渉を打ち切るつもりがなかったとします。
・逆に最後通牒を突きつけられるこのようなとき最も困るのが、交渉相手から「では、この交渉は終わりにしましょう」と切り返されたときです。
「いや、ちょっと待ってください、もう少し考えてみませんか」といってしまえば、自分の最後通牒が単なるブラフ(はったり)であったことがばれてしまいます。
また交渉相手にパワープレーを仕掛けて、最後通牒を切り出したとしましょう。
逆に交渉相手から、「では、今日中に返事をしましょう。
その代わり、価格をさらに10%引き下げてくれますか。
もしこちらの要求を受け入れていただけないのであれば、私たちもこの交渉は終わりにしたいと思います」と切り返されると、今度はこちらが最後通牒を突きつけられた形になります。
このように、本来、合意を目指したいと思っているにもかかわらず、安易に最後通牒戦術を使ってしまうと、逆にこちらが不利になることもあるのです。
・対処法なお最後通牒を突きつけられたとき、私たちはどうすればよいでしょうか。
ひとつには、最後通牒を、最後通牒だと受け止めない、すなわち最後通牒を真に受けないという選択肢です(マックス・ベイザーマン、ディーバック・マルホトラ『交渉の達人』日本経済新聞出版社、2010年、283頁参照)。
最後通牒を突きつけられたとしても、とくに何事もなかったかのように、相手との交渉を継続するという手もあります。
交渉相手も、本気で最後通牒を突きつけているわけではないことがよくありますので、このような手法もかなり効果があるのです。
交渉相手も、最後通牒を真に受けられてしまうと、引っ込みがつかなくなります。
この最後通牒を聞きながらも、それに過度に意識を振り向けず、そのまま交渉を続ける姿勢をとることができれば、この戦術を事実上、無効化しうるのです。
・ミッションを確認せよ次に、相手の最後通牒が本気である場合は、再度、ミッションを確認しましょう。
合意のバイアスによって、相手の提示条件を十分検討せずに即答するリスクを避ける必要があるのです。
そして最後に、どうしても判断に迷うのであれば、この合意のリスクに目を向けてください。
最後通牒を突きつけられると、何とか合意しようと考え、その合意のメリットばかりに目を向けてしまいます。
そこで、リスクに目を向けるのです。
このように、最後までミッションを中心とした交渉スタイルを維持するように努力することが重要です。
おねだり戦術次の例を見てみましょう。
Cさん「このたびは、ご成約いただき、ありがとうございます。
」Dさん「はい、御社の製品は、当社もがんばって売り込みたいと思っているのですよ。
そういえば、製品を入れる化粧箱は、パールホワイトでしたよね。
」Cさん「え、そうですね(あれ、あの高い方の化粧箱だっけ?)」Dさん「あの箱はすてきですね。
あと、ちょっとお願いがあって、いやたいしたことではないのですが、一部、銀座の本店に直接運んでもらえますか?」Cさん「は、はい、なんとかしましょう。
(困ったな、配送担当者に連絡しよう。
)」Dさん「さすがCさん、話が早くて助かります。
それとですね……」Cさん「(まだ、あるのか、困ったな……)」これは、「おねだり戦術」です。
この戦術は、合意の直前や直後をねらって、相手に追加条件を提示して、その条件を相手にのませてしまう戦術です。
合意寸前、あるいは合意してすぐという状態は、最も緊張感がなくなる危険な時間だと言えます。
このような、「ちょっとしたおねだり」に対して私たちは無防備なのです。
この例では、Cさんは、自分が想定していない化粧箱への変更を当然のように受け入れ、さらに全て一カ所に運ぶ予定がその一部を銀座に運ぶことになってしまいました。
冷静に考えると、これは、すべて「追加費用」が発生する可能性があります。
簡単にOKといってよいものかどうか疑問があるのです。
「おねだり戦術」とは、「もうある程度、合意は決まっている」という安心感と、できるだけ合意できる状態を維持したいという、心理を利用しています。
この戦術の特徴は、相手の不意をつくことにあります。
いかにも話のついでのように、不意に提示されると、つい引っかかってしまうのです。
・油断大敵さらに、交渉相手を油断させるため、交渉相手をほめたり、おだてたりします。
たとえば、「○○さんは本当に何でもよくご存じですよね」「○○さんのように、いろいろ気の回る人と交渉することができて本当に助かりました」といった形で、特に相手の交渉手腕を評価すると交渉相手が、このおねだりに引っかかりやすくなります。
また、この戦術では、おねだりする条件が、「とるに足らない条件」であることを、さりげなく強調します。
・対処法この戦術の切り返し方としては、相手の追加の要求に対して、一度質問することです。
即答を避けるというだけで、この戦術の効果は半減してしまいます。
さ
らに合意の直前で、こちらから合意内容を確認することで、これ以上の要望は、再度、交渉することになるということを間接的に交渉相手に伝えることになるのです。
戦術はディフェンス(守り)戦術から身を守るパワープレイヤーとの交渉に限らず、国際交渉や、敵対的な関係にある当事者同士の交渉では、交渉戦術が頻繁に登場します。
私たちが思っている以上に、交渉は、感情や情動に左右されるため、戦術にさらされると、つい引っかかってしまうのです。
したがって、戦術に対する理解は極めて重要なのです。
また、この交渉戦術は、使われた側は、意外とこれに気がつかない、とも言われています。
そうであれば、積極的に、この戦術を駆使した方がよいのではないかと思う人も多いと思います。
使うときは慎重にしかし、この戦術が効果的であることは否定しないものの、その効果がはっきりと出てくることを示している例の多くは、お店での接客や販売といった場面や、マーケティングの場面での実証例であることに注意が必要です。
比較的短時間で合意が形成されるような店舗などでのセールスでは、かなりの効果があります。
たとえば、洋服を買おうかなと思ってお店を訪れる消費者は、自分のミッションや留保価格を用意しているとは思えません。
予算の制約はあるでしょうが、それでもかなり留保価格は流動的な状態でしょう。
そのため、もともと戦術に引っかかりやすい状態だということに注意が必要です。
時間をかけて交渉条件を検討するような交渉の場合、この種の戦術の効果よりも、デメリットも見えてきます。
たとえば、本来であればお互いに情報を共有しながら、建設的な合意ができるはずの交渉であったにもかかわらず、交渉戦術の応酬が続き、結局、賢明な合意ではなく、最低ラインの合意に終わってしまうこともあります。
また、ビジネス交渉では、この種の交渉戦術は有名です。
交渉相手もこの戦術を知っている場合、戦術を使われたことに気がつく可能性が高いといえます。
引っかからないことが重要そこでビジネス交渉では、交渉戦術はディフェンスとして、すなわち、このような戦術には引っかからないことの方がはるかに重要なのです。
こちらが戦術に引っかからないことがわかれば、交渉相手も戦術を使う意味がなくなります。
このように戦術を使わせない交渉を目指す方が合理的です。
ただし、交渉戦術は、お互いの合意を深めるための手段として使うこともできます。
小さな合意を積み重ねるフット・イン・ザ・ドア戦術は、小さなコンセンサスの積み重ねによる信頼関係の醸成という形であれば、むしろ望ましい戦術になるでしょう。
また最後通牒戦術も、議論が平行線になっている時には、「このままだと合意が難しくなってしまいます。
お互いもう一度、それぞれの提案を整理してみませんか」といった形で、決裂のリスクを相手に伝え、それでもなお話し合いを継続したいというポジティブな形で交渉における合理のメリットを強調するということであれば、建設的な合意形成によい影響を与える可能性もあります。
交渉戦術を一切使うべきではないとは考えませんが、戦術を使うのであれば、交渉の成功確率を引き上げ、賢明な合意の形成に寄与するかどうか、大きな戦略の中で、使うべきタイミングを決める必要があるのです。
物語に注意物語という強力な説得技法人間は、どんなに難しい話でも物語になっていると記憶しやすいといわれます。
これは、人間が、どんな物事にも原因と結果、因果関係を見つけて説明しようという強い欲求があるからです。
原因と結果の一連の流れを見せられると、人間はそれを記憶しやすくなるだけでなく、その話を信じやすくなるという傾向も見られます。
夢物語も信じてしまうこれは、交渉では非常に効果があります。
たとえば、事業提携の交渉をしているとき、「提携したらこんなにすばらしい新薬が開発できます」という物語を見せられると、その話を記憶しやすいだけでなく、その話を好ましいと感じてしまうのです。
もちろん物語ですから、多少の誇張や、時には嘘も混じっているでしょう。
しかし、それよりも大きな話の流れに人間は心を動かされてしまいます。
注意しなければならないのは、交渉相手が物語を作って説明し始めたときです。
このとき、私たちは安易にこの話を信じてしまいがちになります。
感情を喚起する物語の怖さは、感情に直接影響を与えるというところにあります。
物語によって、人は論理的に考えることよりも、むしろ感情的に好きか嫌いか、そして将来に希望が持てるか、といったところに焦点を向ける傾向があります。
交渉相手の語る物語には要注意です。
これも感情に支配されず、感情とうまくつきあう上で重要な要素なのです。
5約束のマネジメントナポレオンの知恵ナポレオンは、「約束を守る最上の手段はけして約束をしないこと」である(オクターブ・オブリ編『ナポレオン言行録』岩波文庫、1983年、264頁)という皮肉な言葉を残しました。
たしかに、約束を守るのは大変なことです。
交渉では、果たして、この約束は本当に守れるのかどうか、一度、冷静に考える必要があります。
これが約束のマネジメントです。
安請け合い交渉において約束の遵守は、相手との信頼関係を調整する上で最も効果的な手法です。
しかし、私たちは合意したいという気持ちが強くなるあまりに、現時点で約束できるかどうかわからないことについてまで約束しようとして、簡単に安請け合いをします。
特に一般に仕事ができる人ほど注意が必要です。
「自分はここで約束したとしても、必ず守ることができる。
なぜなら社内で調整する能力があるからだ」というふうに考えてしまいます。
このように交渉相手との約束を守るために、社内で奔走することになるのです。
約束のマネジメント私たちは、どんなに些細な約束であっても注意して、約束する必要があります。
というのも、小さな約束でも、それが守られないことによって、あなたの信頼は失われていくのです。
交渉相手が感じる小さな期待はずれは、次第にあなたへの強い不信感につながっていきます。
そこで、約束をマネジメントするための三つの手法を活用して、自分の安請け合いの癖を直しておくとよいでしょう。
約束に留保をつけるビジネス交渉では、情勢の変化によって、約束を守ることが自分にとって大きな損失になることがあります。
このような事態を想定して、自分の約束に一定の留保をつけておくと、仮に情勢が変化したとしても、厳密には約束を守れなかったのではなく、状況の変化によって従来の交渉内容に変化が生じたと相手に理解してもらうことができます。
例えば、契約条件の一部について、原材料の価格が高騰した場合には、現在の合意内容を変更する可能性があるということをあらかじめ交渉相手に説明して了解を得た上で仮合意をするというような場合です。
状況の変化次第で、契約条件の変更を申し出ることができるようにしておくことは、双方にとってメリットがあることを相手に伝えておくとより効果があるでしょう。
中身ではなく、プロセスについて約束する交渉内容次第では、現時点で全てを約束することはできないものの、時間の経過によって約束可能になる場合があります。
例えば、現在係争中の訴訟の決着が出た段階で、取引相手と新しい契約を締結することができるような場合です。
このような場合は、「決着がつくまで待ってほしい」と伝えるよりは、「決着がついた段階で新しい契約を締結するのだが、その前の段階で現時点から話し合えることについては毎月一回、会議の場を持ちましょう」といった形で、合意内容ではなくてどのように合意するかというプロセスについて約束することも効果的です。
なんでも持ち帰らない約束の重さを感じることが大切であるとはいえ、その場での決断の全てを回避して、一度社内に帰ってから決断する、つまり持ち帰ろうとするという姿勢にも
問題があります。
特に日本人は明確な理由を示さず交渉相手に、協議事項について持ち帰りを行いたいと提案する場合があります。
これは欧米人からみると、非常に不愉快な交渉のやり方だと受け止められます。
通常グローバルな交渉では、交渉人には一定の権限が与えられています。
その権限の範囲では交渉人自らが意思決定することができるわけです。
しかし日本の交渉者が、特に理由を示さず協議事項を持ち帰ろうとする場合、「権限が与えられているにもかかわらず、なぜ、この場で意思決定ができないのか」という疑問をぶつけられることがあります。
単なるメッセンジャーとして交渉の現場にいるのか、権限のあるネゴシエーターとして交渉しているのかわからないという批判なのです。
では、自分に権限が与えられている場合、協議事項は一切持ち帰らず、すべてその場で意思決定しなければいけないのでしょうか。
そうではありません。
実は外国人でも、協議事項を社内で検討するために、一度決断を留保したいと申し出てくる場合があります。
ただし日本人との大きな違いは明確な理由を説明した上で、持ち帰りを主張するはずです。
すなわち、協議事項を持ち帰ることそれ自体は問題ないのです。
問題なのは、明確な理由を示すか示さないかという点なのです。
たとえば「今、あなたから提案された提案は、初めて我々が聞いた提案であり、その提案を受け入れるか否かについては一度、社内で協議した上でお答えしたい。
なぜなら、その提案には新しいビジネスモデルが含まれているので現在の私たちの交渉している取引全体に影響するからである。
もう一度私たちで協議をして建設的な提案をさせていただきたい」というように、なぜ持ち帰るのかを説明すれば交渉相手は納得するでしょう。
理由を明確に説明することなく、「ちょっとその件は、社内で調整してからお答えします」というスタイルは、グローバル交渉では通用しないので注意が必要です。
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