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第5章ダイエッターこそ筋トレすべき本当の理由

──巷にはいろんなダイエット情報があふれています。リンゴダイエット、コーヒーダイエット、置き換えダイエット、レコーディングダイエット…。とにかくあまりにも種類が多いので、何をやっていいかわからない、という人が多いと思います。

ダイエットをするには筋トレをした方がいいのか、やっぱり食事に気を付けた方がいいのか、ランニングなどの有酸素運動がいいのか。

結局のところどうなんでしょう?

ダイエットを「体重や体脂肪を減らすこと」と定義するならば、「摂取カロリーを消費カロリー未満に抑える」ことが大前提です。そのためには、摂取カロリーをコントロールするための「食事」とカロリーを消費するための「運動」がカギになってきます。

Willisら(2012)は被験者を筋トレのみ(RT=ResistanceTraining)、有酸素運動のみ(AT=AerobicTraining)、有酸素運動&筋トレ(AT/RT)の3つのグループに分け、それぞれ体重、体脂肪率、体脂肪量、筋肉量、太もも周囲径、ウエスト周囲径に及ぼす影響を検討しました。

その結果、①体重減少はAT及びAT/RTがRTよりも大きい②体脂肪率、体脂肪量及びウエスト周囲径の減少はAT/RTが一番大きい③筋肉量の増加はRTが一番大きい④太ももの周囲径はATよりもRT及びAT/RTで増加が大きく、二群とも同様の増加が観察された──という結果が得られました。

ここから言えることは、次の通りです。

①単純に体重減少を目的としているのであれば、有酸素運動及び有酸素運動&筋トレの組み合わせが効果的②体脂肪率や体脂肪量を減らしつつ、ウエストを引き締めたいのであれば有酸素運動と筋トレの組み合わせが効果的③筋肥大が目的であれば、筋トレ単体で行うのが効果的④筋肉をつけずに体重を落としたい、という人には有酸素運動が効果的自分がどんな体を理想としているかによって、どのアプローチを選択するかを決めるのがよいと思います。

ここで一旦落ち着いて考えてみてほしい。ダイエットの目的は「体重計のメモリを減らすこと」ではなく「理想の体型を手に入れること」であるはずだ。体重だけを気にしていては理想の体型は手に入らない。体重は指針の一つに過ぎないからだ。

体脂肪率や筋肉量、ウエストのサイズ等、体重からは見えてこない理想の体型に近づくための指針はたくさんある。アメリカにスキニーファットという言葉がある。スキニーファットとは、体重だけ見ると痩せているにも関わらず実際に身体を見てみると体脂肪が多く筋肉量が少なくだらしのない体型を指す言葉だ。

ギクッとした読者の方も多いのではないだろうか?「理想の体重には到達したけど、鏡に映る自分の身体が全然イカしてないぞ?あれれ?」ってなってる人は十中八九このスキニーファット状態に陥っている。

健康的に美しく体重を落とすには、筋肉量の維持はマストだ。筋肉が落ちてしまうとボディラインが崩れ、皮膚がたるみ、代謝が落ち、結果だらしがない体になってしまう。栄養失調と呼べるレベルでカロリー制限をし、長時間有酸素運動をすればそりゃ体重は落ちる。落ちるが、それではスキニーファットになる可能性大だ。

美しく痩せたい人は②の有酸素&筋トレ一択、筋肉ゴリラを目指したい君は③の筋トレ単体一択だ!有酸素だけで体重を落とすにしても、なるべく筋肉が犠牲にならないようにせめて高タンパク食だけは心がけような!別の研究では筋トレと有酸素を組み合わせることで消費カロリーが増えることもわかっています。

Benitoら(2016)の報告によると、筋トレ単体では1分あたり10・4kcal(女性は6・4kcal)だった消費カロリーが、筋トレと有酸素運動を組み合わせると約13kcal(女性は8・4kcal)になったそうです。

Testosteroneさんの言う通り筋肉をキープすることを前提に効率的に体重を減らしたければ筋トレ+有酸素が良さそうです。

──なるほど!いわゆる「ガリガリ」ではなくて、メリハリのあるボディーを作りたかったらただ体脂肪を減らすだけでなく、ある程度の筋肉のキープが大事なんですね。

食事のとり方については何かコツがありますか?例えば「夜食べると太りやすくなる」とか「朝ご飯を食べると痩せる」というようなセンセーショナルなうたい文句には気を付けた方がいいと思います。

以前、「遅い時間に食べると特定の時計遺伝子の働きによって太りやすくなる」という説がまことしやかにささやかれていたことがありますが、最近の研究では疑問符がつけられています。

また、「ゴールデンタイム」といって、筋トレ後30分以内にタンパク質(プラス炭水化物)を摂取することが筋肉の成長には不可欠である、なんてことも言われていましたが、近年では、必ずしも運動直後に栄養素を補給する必要はなく、1日トータルで見て、必要量が守られていれば大丈夫なのではないか?という意見が主流になりつつあります。

──夜9時以降食べなければ太らない、とか、朝ご飯を食べると代謝スイッチオン!みたいな言葉にはあまり根拠がないということですね…。

そうですね。

ただ、栄養に関して「1日の総量を守ること」という考え方はコンセンサスがとれています。例えばタンパク質なら体重1kgあたり0・8gから2・0gのタンパク質を摂取することが推奨されています。

──筋トレという言葉を聞くとプロテインという言葉が自然と連想されるぐらい、筋トレとプロテインには深いつながりがあるイメージです。

実際にそうなのでしょうか?そして、日本人の一般的な食事にはタンパク質が不足しているという話も聞いたことがありますがどうなんでしょう?筋トレをしている人間が普段からプロテインプロテイン言っていると思ったら大間違いです。

我々はそんな単細胞みたいな人種ではありません(あ、そろそろプロテイン飲む時間だ)。それにしてもお兄さん、良いところつきますね。タンパク質、ずばり日本のダイエットに足りていないのはコレです。筋トレを趣味とする人間にとって最もゆかりの深い栄養素となります。

皆さんタンパク質=プロテインの語源をご存知でしょうか?古代ギリシャの言葉で「最も重要なもの」を意味するプロティオスが語源とされているそうです。古代ギリシャの偉い人が「最も重要なもの」って言ってるんですよ。もうメチャメチャ大事ってことで間違いないでしょう。

その証拠に、人間の身体はほとんど水とタンパク質でできているのですが、筋肉、内臓、皮膚、髪の毛、爪に至るまでありとあらゆるものがタンパク質で構成されています。

つまり、タンパク質が足りなくなると体のどこかしらに不調が現れます。そしてさらにさらに!タンパク質には一般の人があまり知らないもう一つの大きな秘密があるのです。

皆さん、食事誘発性熱産生という言葉をご存知でしょうか?食事誘発性熱産生を知ったが最後、あなたは高タンパク食の魅力に抗えなくなります。

はぁ…食事誘発性熱産生をわかりやすく説明したい。皆がわかるようにメッチャわかりやすく丁寧に説明したい…(もったいぶる)。

クボチュウ!キミにきめた!ポケモンみたいに呼び出さないでください。

サトシは無視して、食事誘発性熱産生の解説をします。

私たちは食事から栄養を摂取する際にもカロリーを消費します。

カロリーを摂取すると同時に消化吸収自体にもエネルギーを使うわけですが、これを「食事誘発性熱産生」と言い、タンパク質が約30%、脂質と糖質では約7%と報告されています。

例えば、同じ100kcalを摂取したとしても、タンパク質をとった場合はそのうち30kcalがエネルギーとして消費されますが、脂質と糖質に関しては7kcalほどしか消費されません。

ちなみにタンパク質、脂質、糖質のバランスが取れた食事の場合、食事誘発性熱産生は約10%であると言われていますが、タンパク質を多めに摂取することによって食事誘発性熱産生を高めることができると予想されます。

特に普段から糖質や脂質ばかり摂っている人の場合、食事の内容を見直してタンパク質を多めにすることによって、食事誘発性熱産生による消費カロリーを高めることができるといえるでしょう。

──夕飯が独身男性によくあるカレーとラーメンと唐揚げとチャーハンのローテーションとかだとヤバそうですね…。

食事誘発性熱産生について、一つ例をあげてみましょう。

1日約2000kcal摂取するAさんとBさんがいて、Aさんは1日のタンパク質摂取量が200g(+炭水化物200g脂質45g)、Bさんはタンパク質摂取量が50g(+炭水化物350g脂質45g)だとしましょう。

前提として、タンパク質と炭水化物は1gあたりのカロリーが4kcal、脂質は9kcalです。

1日の食事誘発性熱産生を次のような計算で算出すると、Aさん324kcal、Bさん186kcalです。

これと同じ食事を1週間続けたとするとAさんは2268kcal、Bさんは1302kcalとなります。

さらにこれを1年続けるとAさんは118260kcal、Bさんは67890kcalとなり、二人の食事誘発性熱産生の差は約50000kcalになります。

体脂肪は1kgあたり7200kcalなので、総摂取カロリーは変えずタンパク質の割合を多くするだけで、実に体脂肪約7kg分もカロリーを節約することができるのです。

──食事誘発性熱産生は要するに「摂取したカロリーが一部なかったことになる」みたいなことですよね?ささみとかむね肉とかブロッコリーとか高タンパクのいわゆるダイエットフードにはちゃんと根拠があったんですね!ちなみに筋トレ自体に減量効果はあるのですか?筋トレは運動なのでカロリーを消費しますが、その消費カロリー自体はそれほど大きなものではありません。

アメリカスポーツ医学会(ACSM)の公式見解によると、筋トレは活動代謝を高めたりするという意味では体脂肪減少に効果はあるかもしれないが、それ単体で行うことに臨床的な体脂肪減少効果は少ない、と発表されています。

なので筋トレ単体で痩せるというよりは、適宜有酸素運動を取り入れるのがいいということになるでしょう。

──筋肉量を維持するために筋トレしつつ有酸素運動をやって体脂肪を減らし、かつ高タンパク食で食事誘発性熱産生も利用する、というのが効率的ということですね。

結構王道ですね!簡単に痩せたがる人が多いんだけど、簡単なダイエットなんてないんだよね。

やっぱり王道はしっかり食べて、運動して、寝るっていう人間の基礎に立ち返った生活習慣を身につけること。そんな中でも、食事誘発性熱産生はチート(ズル)に近いです。

自分でやるべきことは意識的にタンパク質中心の食事に切り替えることだけで、後は無意識下で体が勝手に余分にカロリーを消費してくれるわけだから。

しかも、高タンパク食は筋肉の維持にも役立つっていう。こういう超お得情報、利用しない手はないですよ。

ダイエット関連の情報には本当に都市伝説が多いんです。

例えば、「急に体重を減らすとリバウンドしやすくなる」ということが昔から言われてきましたが、2016年にObesity誌に掲載された論文によると、「食事制限後の体重増加は体重減少の期間に依らない」ということが明らかになりました。

──あまり急に痩せるのはよくない、とか言ってなかなかダイエットしない人とかもいますね(笑)。

もちろん無理な食事制限の後の解放感によってドカ食いをしたり、急に好きなものを食べまくっていたりしたら体重が増えてしまうのは自明なので、そこには気を付けましょう。

健康科学的な視点を持ちつつ、健全にダイエットに取り組む人が増えることを祈ってます!

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