第5章クレーム対応に組織で取り組む
23クレーム対応が遅れ「二次クレーム」が生じたら●事例●電話連絡が遅れてクレームに「頼んだのと違う商品が送られてきた」とお客さまから電話が入りました。
その商品の担当者が不在だったので、「のちほどすぐにお電話を差し上げます」と申し上げて電話を切りました。
1時間後、「担当者からの連絡がない!」とお客さまが激怒して電話をかけてこられました〈通販会社〉。
誠心誠意、謝罪したあと経緯を説明このケースのように、お客さまからのクレームへの対応が遅れると、必ず、二次クレームが発生してしまいます。
こうなった以上、お客さまに対する誠意を込めた謝罪が最優先です。
余計な言い訳はつつしみましょう。
「お待たせして誠に申し訳ございません」と、心を込めて申し上げ、「○○の状況にあり、お電話を差し上げることができませんでした」と、なぜこのような事態になったのかを説明します。
お客さまに対応の経緯を伝えることは、謝罪のあとにすべきです。
「」、クレームを申し立てたお客さまはずっと電話をお待ちになっています。
電話の折り返しに5分以上待たされると、「遅い」と感じてしまいます。
担当者が不在であった場合や、対応ができなかった場合には、いったん5分以内にお電話し、現在の状況をお知らせするのが適切です。
クレームにかかわらず、お客さまの時間感覚は、おおよそ次のように感じられます。
この時間以内に対応すべきです。
●「すぐに」「ただちに」=5分以内●「のちほど」=30分以内●「後日」=2日(48時間)以内「あとで」「すぐに」という表現は人によって長さの感じ方が違います。
お客さまにお電話をかけ直す際には、誤解を避けるために、「○分後におかけ直しいたします」「○日後にご連絡させていただきます」
など、対応にかかる時間を具体的にお伝えすべきです。
迅速に対応して二次クレームを避ける対応の遅れは「お客さま軽視」「クレーム軽視」を表します。
お客さまからのクレームを聞きっぱなしにしていると、二次クレームに発展します。
対応が迅速であるほど、お客さまは誠意を感じるものです。
クレームをさらに大きくしないためにも、クレーム対応は自部署の最優先事項とすべきです。
また、電話での対応に限らず、クレームが起こったらすぐに現場に駆けつけることも検討しましょう。
24一定時間対応したら連携プレーで解決しよう2030クレームを受けたら、できる範囲の対応は自分で行い、安易に上司や先輩に丸投げしたり、バトンタッチしないようにしましょう。
クレーム対応をうまくこなすと、それが自分の自信になり、成長にもつながります。
ただし、自分である程度対応しても、一向に解決の糸口が見いだせない場合は、上司や経験豊富な人に交代します。
交代の目安は会社や仕事内容によっても違いますが、20~30分ほど対応してもダメな場合は代わるというように、時間を基準にするとよいでしょう。
あるいは、クレームの内容で代わる場合もあります。
業務知識もあり経験豊富な人が対応するとお客さまも安心ですし、時間コストの節約にもなります。
また、立場が上の社員に代わることで、「立場が上の人がお詫びしてくれた」「ベテランの人に言ってダメなら、本当にどうしようもないようだ」「少しでも力のある人に言うことができた。
しかたない。
あきらめよう」と、お客さまにクレームをおさめる「理由」が生まれ、怒りをしずめていただけることもあります。
二次応対者に「引き継ぎメモ」を渡すクレームをほかの人に引き継ぐ際は、お客さまからのクレームの内容をメモに残して二次応対者に渡し、お客さまに二度、三度と同じことを聞くことがないようにしましょう。
二次応対者が同じことを聞いたら、「何度同じことを言わせるんだ!」ということになり、クレームが大きくなってしまいます。
二次応対者は、一次応対者とお客さまとのやり取りを聞きながら、引き継ぎメモを読み込んでおきます。
それでもクレームの内容がよくわからなければ、一次応対者に短時間で事情を聞いた上で、対応を代わるようにします。
対応で困っている人をバックアップするほかの人がクレーム対応をしているときには、「私じゃなくてよかった」と他人事のように思ってはいけません。
クレームは特定の個人に向けられたものではなく、会社全体に向けられたものであり、誰もが会社の一員として無関係ではありません。
クレーム対応で困っている人がいたら、周りでも資料を用意したり、クレームの類例を調べたりするなど、積極的に協力することが必要です。
クレーム応対者を孤立させないようにしましょう。
クレームを一人に押しつけると、当事者がクレームを一身に背負い込んで、精神的に追い込まれたり、モラルダウンを引き起こしたりして、ほかの仕事に支障が出ることもあります。
最近、「心」の問題が深刻化しています。
メンタル面への影響にも十分に配慮しましょう。
25長期間、同じクレームを受け続けていたら●事例●1年間も対応し続けたケース「以前修理した外壁から漏水する」とのことで、あるお客さまから1年にわたって、雨が降るたびに過去の修理不具合に関するクレームが出されています。
担当者がいくら調査をしても、原因や被害の程度がはっきりしません。
担当者は責任感の強いタイプで、お客さまの都合に合わせて、何度も深夜作業をした結果、「もう限界」と言い残して入院してしまいました〈工務店〉。
担当者レベルでがんばりすぎないことこのケースでは、たび重なる夜間の訪問要求や急な呼び出しに対し、担当者が一人で最大限、誠意をもって対応していました。
しかし、現場担当者の対応だけでは、限界がある場合もあります。
あまりにも長期間に及ぶクレームには一人で対応しようとせず、上司などに支援要請することが必要です。
同時に、周りも気づいて支援すべきです。
組織対応で徹底した調査とクレーム情報の共有を住宅や家電など、耐久消費財の商品を扱う場合には、一定期間がたってからクレームを受けたり、クレーム期間が長引いたりするケースが多く見られます。
クレームを長引かせないためにも、早期に調査を実施します。
クレームの原因はどこにあるのか、修理の必要性はあるのか、修理の責任はどこにあるのか、などをはっきりさせることが必要です。
その際は社内の専門家(場合によっては社外の専門家)を交え、原因究明を徹底して実施しましょう。
さらにクレームへの対応は、クレーム対策会議(コラム4〔*〕参照)の中で、「ケーススタディー」として組織全体で共有すべきです。
組織として同じ轍は踏まないこと。
長引くクレーム事例をつくらないことを目指しましょう。
コラム5クレーム対策会議の効果は3カ月で出るクレーム対策会議の中でクレームの内容やその対策などの情報を共有することが、組織的な対応としてもっとも取り組みやすい方法の一つです。
クレーム対策会議を行って3カ月もたつと、職場のクレーム対応スキルは相当上がってきます。
1年も続ければ、組織でのクレームの全体像が見えてきます。
●どのクレームの発生が一番多いか●どのクレームの対応がむずかしいか●どう対応すればご納得いただけるのかなど、クレームに関する重要な情報が、職場のメンバー共通の認識になります。
その結果、クレーム対応スキルが向上し、製品や業務フローの改善もなされて、結果的にクレームを大幅に削減することが可能となるのです。
加えて、クレーム件数を数えてみると、クレーム対策の効果を実感することができます。
中には実際にクレーム対策会議を開催するようになってから、クレーム件数が10分の1に減った会社もあります。
ポイントクレーム件数を数えること!二次クレーム後の対応は?誠心誠意、謝罪したあとお約束したことを確実かつ迅速に実施すること。
対応は他人任せにしない。
こまめなご連絡を心がける謝罪後の迅速な行動とともにお客さまにこまめなご連絡をするように心がける。
途中経過についても、きちんとお客さまにお知らせする。
クレーム確認のための5W①誰が(Who)、②いつ(When)③どこで(Where)
④何があったのか(What’shappened)⑤何をしてほしいのか(Whatdoyouwanttodo)応援を頼むときの合図を決めておく周りに応援を頼みたいときの合図を決めておくのもよい手。
クレームの電話が入ったとき、参照したい資料がある場合には手を挙げるなどの合図をする。
カルテと対策会議でクレーム情報を共有クレームの内容やその対応策を記した「カルテ」をつくり、情報を蓄積する。
毎月1回、1時間のクレーム対策会議を定期的に開催することが効果的。
クレーム情報を職場全体で共有する
26クレームの隠れたリスクを認識する●事例●一人の担当者に負担がかかってしまったケース当社の受注管理部門は、お客さまからのお問い合わせ総合窓口としてクレームに対応しています。
A主任は、とてもまじめで、通常業務を忙しくこなすだけでなく、クレーム対応の主担当者として、一生懸命に取り組んでいます。
お客さまの話に耳を傾ける姿勢が評価され、部門内でも、「クレーム対応なら、Aさんに任せておけば安心」という雰囲気でした。
しかし1カ月前、突然Aさんはメンタル不調を訴え、休職してしまいました。
現在、あらためて部門全体でクレームに対応していますが、全員でその大変さを痛感しています〈食品卸業〉。
「」クレーム対応の応対者にかかるストレスはかなり高いものがあります。
それは、心がクレームを自分に対する攻撃と感じてしまうからです。
クレーム対応の仕事をずっと続けることになったり、お客さまから対応がむずかしいクレームを受けて、その対応を完了するまで、たった一人で担当したりすると、その人はストレス過多に陥ってしまいます。
その結果、精神的に追い込まれ、健康状態が悪化し、最悪の場合には休職や退職に至るケースも少なくありません。
こうした事態が職場内で起こると、メンバーが欠けることによる仕事の遅れや、職場全体のモチベーション低下など、さまざまなデメリットが発生します。
そこで、組織全体で取り組むべきことはまず、「クレーム対応は、上手な人がやればよい」という意識を変えることです。
クレーム応対者のローテーション、エスカレーションフローを整える先述した通り、クレームは、特定の個人にではなく、会社全体に向けられたものです。
誰もが会社の一員として無関係ではありません。
応対者にだけ押しつけるのではなく、周りも積極的に協力し、バックアップしていくことが欠かせません。
そこで、クレーム対応の精神的負担を軽減するために、複数のメンバーでクレームに対応できる体制をつくっておく必要があります。
具体的には、クレーム応対者のローテーション、およびエスカレーション(別担当者や
上位者へのバトンタッチ)のフローを確立させることが不可欠です。
そうした体制が整っていることで、クレーム応対者が孤立してしまうのを避けることができます。
さらに、組織に属する一人ひとりが、「クレーム対応は、重要だが高ストレスな仕事だ」と認識し、応対者への労いの気持ちを互いにもち、かつそれを伝えていくことも肝心です。
27クレーム対応でのストレスを軽くするコツ─〈セルフケア〉●事例●クレームを店舗改善に活かしているケース店長のBさんはたびたびお客さまのクレーム対応をしています。
販売スタッフの接客ミス、時にはブランドに対するご意見など、クレームの内容は多岐にわたりますが、Bさんはその都度お客さまに共感しながら対応しています。
Bさんは「お客さまのおっしゃる通りなのよね」と言い、クレーム対応メモをつくり、会社の本部に報告したり、朝礼や会議でクレームについて共有したりしています。
「クレームを受けたらどんどんお店がよくなるわ。
クレームをチャンスに変えないと」とたくましく笑っています〈アパレル販売業〉。
クレームは自分に向けられたものではないお客さまからクレームを受けると、自分の人格が否定されていると感じてしまいます。
そのため、心が沈んでしまい、一日中ぼんやりしたり、ひどいときには一週間ずっと気分がすぐれなくなる、ということもあります。
経験を重ねると慣れてくることもありますが、大変つらいものです。
ここではセルフケアで、クレーム対応でのストレスを自ら乗り切る方法をご紹介します。
まずしっかりと意識してほしいことは、クレームは「会社や商品・サービス」に対して向けられたものだ、ということです。
つまり、あなた自身に向けられたものではないのです。
クレームを受けたら「これは自分への攻撃ではない」と認識することが、ストレスを軽減させるスタートです。
改善の糸口にする、という思いで聞くクレーム対応においては、「どうしたら、お客さまからのこの意見を、サービス改善に活かせるか?」に思いを巡らせながら、お客さまの話に耳を傾けます。
クレームを受けたときは、「商品の改善につなげられないか」「スタッフの教育に活かせないか」など、改善点を頭に巡らせながら聞きましょう。
クレーム原因の犯人捜しを続けていても何も変わりません。
自分の負担が大きく感じられるだけです。
クレームをいただいたときには、「お客さまから、改善のためのきっかけを教えていただいた」と考えるようにしましょう。
「」受けたクレームに対して、できる限り対応をし終えたら、簡単でいいので、紙に書くなど記録をし、部内で共有したり、本社へ報告したりします。
そこで、あなたのクレーム対応は完了です。
クレーム対応後は、ゆっくり息を吐いて力を抜き、身体をほぐしてリラックスしましょう。
別の仕事に集中するなど、心の向く方向を意識的に切り替えるようにします。
これで気持ちは楽になります。
28クレーム対応における管理職の役割─〈ラインケア〉●事例●メンバー同士でのサポート体制ができているケース大手電機メーカーの「お客さま相談室」に勤務するCさん。
お客さま相談とはいうものの、実際の業務はクレーム対応で、メンバー全員が一日の大半をクレーム対応に費やす毎日です。
当然、メンバーにかかるストレスは決して軽くありませんが、Cさんの勤務するお客さま相談室ではメンタル不調を訴えるメンバーもおらず、むしろお互いが笑顔で「ありがとう」と言い合える職場です〈大手電機メーカー〉。
個人の責任にせず、組織でのサポート体制を整えるクレーム対応にあたる部門の管理職は、クレーム対応の最終応対者であると同時に、メンバー全員の統括者であり、かつサポーターです。
管理職は、状況に応じてクレームをエスカレーション(別担当者や上位者へのバトンタッチ)がすぐできる体制をつくることが重要です。
「困ったら、同僚や上司がすぐに支援してくれる」という安心感が、メンバーのストレスを軽減します。
具体的には、たとえば「一人のお客様に20分対応したら交代する」など、エスカレーションルールを策定する、などです。
日常業務においては、メンバーをこまめに観察し、エスカレーションのタイミングを逃さないことも大切です。
メンバーの中には、クレームが集中しがちな人もいます。
「その人の対応能力が低いせいだ」と考えて放置するのではなく、ベテラン担当者を横に座らせサポートさせたり、クレーム対応教育の仕組みをつくったりして、組織力を向上させます。
「」日常的にメンバーの言動・行動には注意しましょう。
メンバー本人に異変の自覚がない場合もあるため、まず周囲が気づくことが大事です。
●遅刻や欠勤が増える●イライラしてキレやすくなる(対人トラブルが増える)●喜怒哀楽が乏しくなる、または無表情になる●注意力欠如によるケアレスミスが増える……など「何かおかしいかも?」「いつもと違う気がする」といった直感を大切にして、異変を見逃さないようにします。
週に一度は1対1の面談や、少人数でのミーティングを行うことでメンバーのストレス
レベルを把握し、必要に応じて対処していきます。
管理職は、一日中、自分の席にどっかり座っていてはいけません。
個々のメンバーの仕事に関心をもち、自分のチーム内をマメに歩きまわりながら、メンバーそれぞれが具体的に何をしているかを把握し、何か困っていることはないか、などを見つけ出していくことはきわめて重要です。
つまり、ラインケアの第一歩は、管理職の「見回り」で、メンバーの状況を把握できるようにしていくことなのです。
コラム6クレーム対応のロールプレイングをやってみようたとえば、「ロールプレイング例(想定練習用)」として「開店時間を知らずに来てクレームに」〔*〕の事例を使ってみましょう。
お客さまが11時開店のお店に10時に来てクレームになった事例です。
ロールプレイングは、設定を細かくしたほうが進めやすいので、応対者とお客さまを次のようにしてみます。
■応対者:ゲームソフト販売店勤務。
入社3年目。
仕事にもだいぶ慣れてきた。
上司である店長から、毎日のように、CS(CustomerSatisfaction:顧客満足)を重視するよう教育されている。
■お客さま:70代くらいの男性のお客さま。
いま人気のゲームソフト『○○の冒険』をお孫さんの誕生日プレゼントとして買いに来た。
8歳になるお孫さんは、このゲームソフトを2カ月も前からほしがっていた。
お誕生会は11時から始まる。
■進め方:①~③までで5分を目安に行う。
①応対者役とお客さま役に分かれ、その設定になりきる。
②お客さま役は応対者役にクレームを申し立てる。
*全力で怒ること。
③応対者役は、クレーム対応の手順に従って対応する。
(対応例は「4つの基本手順に従って対応を進める」〔*〕以降を参照)*お客さまがお怒りになるのには理由があるので、お客さまの話を聞いて背景まで読み取ることが重要。
④5分たったら、役割を入れ替えてもう一度行う。
「エスカレーション」とはクレーム対応が難航する場合などに、上席者に指示を仰ぎ、応対を交代してもらうこと。
「一定時間をすぎたら交代」などのルールを定めると、スムーズにエスカレーションができる。
エスカレーションフローを構築するには連携してクレーム対応するには、情報共有が不可欠。
「どんな内容のクレームが発生したら」
「誰に」「どのような方法で連絡をするか」を明らかにしよう。
クレームはメモする、記録するクレームを記録したら改善できる。
別のクレームが生まれにくくなる。
逆に、クレームを心に溜め続けたら、心の負担になる。
心身の健康は「質の良い睡眠」から!適度な睡眠時間が、疲労の回復、集中力の維持には欠かせない。
リフレッシュのために、休憩時間などに仮眠をとるのも効果的。
質問を装った「叱責」はNGメンバーのストレスケアには、適切なアプローチの仕方がある。
以下のような発言は、相手を萎縮させてしまうので注意。
×「なんで相談してくれなかったの?」×「どうしてできないの?」×「時間がないんだから、早く話して」人を動かす「マジックフレーズ」「いつもありがとう」「おかげで助かりました」「さすが○○さんですね!」など、些細な声かけを欠かさないことが、互いに気持ちよく働ける職場づくりの第一歩。
29クレーム対応を文書で行うときの注意点クレーム文書への対応は電話・訪問が基本対面や電話のほかに、手紙やファクスなどの文書によるクレームもあります。
文書によるクレームは、メールや電話ほどの手軽さがないため、お客さまの思いが強いケースもあります。
一方、その内容が文字として書かれているので、お客さまの主張が汲み取りやすいという特徴もあります。
しかし、文面からお客さまのお怒りの原因とお怒りの大きさを正しくつかむことはむずかしいものです。
最初の「読み取り」が甘いと、そのあとの「解決策」や「代替案」が的外れになってしまい、クレーム対応どころか、お客さまのお怒りを増大させる原因になります。
そのため、文書によるクレームを受けた場合は、一度、お客さまのところに直接電話をし、その後、必要に応じて訪問し、クレームを出された心情や内容の確認を行った上で対応することが基本です。
それでも文書での対応が必要な場合しかし、最終的にお客さまから「書面で回答してほしい」という強いご要望があるときや、クレームがメールで寄せられて、お客さまの連絡先がわからないときには、やはり文書で回答する必要があります。
文書の場合、対面や電話でのクレームと違い、即座の対応ではなく、時間をかけて対応を検討できます。
同僚や上司、時にはほかの部署の関係者と十分協議して内容を決めていきます。
文書の形式や文字の間違いなどがないように推敲を重ね、準備万端に整えて対応しましょう。
内容や文書が稚拙な場合、クレームが激化することも少なくありません。
自分の判断だけで作成し、お客さまに送付することはつつしんでください。
クレームが文書で寄せられた場合、とくにメール対応で悩まれる方が多いので、本章ではクレームeメールの対応を中心に紹介していきます。
30eメールでクレーム対応をするときのポイントはとくに4つのポイントに気をつけるeメールでのクレーム対応には接客能力だけでは対応できない文書読解力やビジネス文書作成能力も要求されます。
対面や電話でのクレーム対応とは別の、特有なビジネススキルです。
メールでの対応ポイントは次の4つです。
①対応は早く。
メールボックス内で埋もれさせない(返信は24時間以内)②冷静に対応する(感情的に返信しない)③対面のクレーム対応以上によく調べてから返信する(うかつに判断しない)④ひな型に頼りすぎない(頼りすぎると、手を抜いていると思われる)返信は遅くとも24時間以内にトラブル発生後、何日も音沙汰なしでは、お客さまの不満は倍増していきます。
お客さまから寄せられたクレームに対して迅速に対応している、という態度を示すことが大切です。
とくにメールでクレームが寄せられた場合は、お客さまが要求する対応速度が速いため、遅くとも24時間以内、できれば数時間以内に、最新のレスポンスを返すことが望ましいでしょう。
お客さまからのクレームeメールがメールボックス内で埋もれてしまうと、さらなるクレーム・トラブルを招きます。
組織対応も含め、メールの対応漏れがないことを確認することが必要です。
お客さまからのクレームに対してすぐに解決策を提示できない場合でも、まずは、「承りました。
回答は後日させていただきます」というようなメールを1通、必ず返すようにしましょう。
それだけでも、お客さまはメール(苦情)がこちらに届いていることがわかるので、とても安心されます。
また、別の担当者から回答をする場合には、お客さまに対して「メールを受信したことの確認」とともに、「別の担当者から返答すること」をご連絡します。
その際に、返答期限の目安もお伝えするとなお親切です。
メールは常にチェックしている人もいれば、1日に数回という人もいます。
あるいは出張などで見られない場合もあります。
相手の利用頻度を踏まえた対応を心がけ、必要に応じて到着確認(電話)も行いましょう。
ひと呼吸を置いて冷静に対応しよう
メールでクレームが寄せられる場合、面と向かってはおっしゃらないような激しい文章を書いてくるお客さまがいます。
文字だけを読むと、口頭や対面のときよりも内容が厳しく感じられることがあります。
そういうときは「大変お困りになられたんだな」ととらえて、ひと呼吸を置きます。
万一、ムッとしてしまったら、すぐに返信をせず、しばらく時間を置いて気分を落ち着かせてから電話を差し上げましょう。
激しい文章を書いていらっしゃるお客さまでも、実際に電話を差し上げてみると、実はとても穏やかな方の場合があるので、手順通り対応することが基本です。
31eメール対応でクレームを激化させないためにはクレームを激化させてしまう3つのパターンeメールでのクレーム対応も、対面の場合と原則は同じです。
その点を理解していないと、クレームは拡大してしまいます。
クレームを激化させてしまう人のパターンとして、次の3つが挙げられます。
①相手への感謝の念がない「いつもご利用いただきまして、ありがとうございます」などのお客さまへの感謝の念を示す挨拶なしに、いきなり説明から入ってしまうパターンです。
②相手の困っている事実がつかめていない相手が何に困っているかを理解できていない、もしくはきちんとわかっていることが文章で示せていないパターンです。
③相手の期待を超えていない「申し訳ございません」のひと言もない、自社の事情やできない理由ばかりを書き連ねている、調査し尽くしていない、など誠意を尽くしていることが感じられない文章になっているパターンです。
心情理解と誠意を伝えつつ、事実を書くメールでの文章は、冷たかったり、ともすれば激しく怒っていたりするように感じられるものです。
対面やお電話の場合より、感謝の気持ちや誠意も伝わりにくくなります。
eメールでクレーム対応をする場合には、お客さまの心情を理解しているか、こちらの誠意が伝わるように言葉を尽くしているかを確認しましょう。
少し過剰と思われるぐらいがちょうどいいのです。
もちろんお客さまに事実は事実として確実に伝える必要があります。
事実については、「こういう理由で○○が発生いたしました」「現在、弊社ではこういう対応になっております」など、合理的・客観的に表現し、個人の解釈が入らない表現にします。
送信する前に必ずチェックしようメールを出す前に、自分の書いた文章で本当に読み手が誤解しないかどうか、必ずチェックするよう心がけます。
一度は声に出して読むようにしましょう。
声に出して聞いてみて、一方的な内容になっていないか、こちらの主張が強すぎないか、責任を回避するような文章になっていないかをチェックします。
また、書いた文章を印刷して自分で文面を読み、さらに「このお客さまに、この文面を送るのでチェックしてほしい」と上司などにダブルチェックをお願いすることが基本です。
当然、書面で出すことを重く受け止めなければなりません。
安易に出さずに、法務担当部署にも書面・内容のチェックを受けてから出すようにしましょう。
32クレーム対応eメールの書き方を知っておこう4つの手順で書こうクレーム対応eメールも、手順を守れば、上手に書くことができます。
メールの文面は、対面時の対応と、ほぼ同じ順に書いていきます。
①組織を代表し、取引のお礼とお詫びを、お客さまの心情を踏まえた言葉で書く→②事実の確認→③可能であれば解決策のご提案→④重ねてのお詫びとお礼、です。
この場合も、機械的に手順通りに書けばよいのではなく、お伝えしたいことが正しく伝わっているかをよく確認しながら書きます。
お客さまを心配していることや、申し訳なく思っている気持ち、くわしく調査した結果などが正しく伝わるように書くことが重要です。
33当方に責任があるとき、ない・わからないときの書き方「」「当方に責任がある」場合には、次の点に気をつけて文章を書きます。
①日ごろの取引へのお礼と、本件に関するお詫びまず、件名に「お詫び」と書きます。
冒頭で組織を代表して日ごろの取引へのお礼を伝え、文章の冒頭ではっきりと謝罪します。
その際、お客さまがどんなお気持ちで、どれだけ時間をかけてeメールを書いたのか、などの情景を思い浮かべながら誠意を込めて書きます(文例は「「当方に責任がある」場合のeメールの書き方例(本文)」〔*〕参照)。
②当方の落ち度・責任について書くお客さまからのクレームを受けて全力で調べた結果について、事の経緯を含めて書き、判明した落ち度・責任について重ねてお詫びの気持ちを伝えます。
③解決策の提示最大限、お客さまのご不便を早期に解消できるように、ご提案・解決策として、真剣に検討した内容を書きます。
④再発防止の決意と重ねてのお詫び二度と同じミスを犯さないため、社内体制の整備やチェック体制など、今後の対処方法や再発防止策を盛り込み、重ねてお詫びの言葉を書きます。
*ご参考までに、書面での「お詫び状」の文例を「納期遅延についてのお詫び状(書面)の文例」〔*〕に掲載。
「」eメールでのクレームに多いのが、「当方に責任がない・わからない」場合です。
この場合は、対応に非常に苦労します。
お客さまの心情を踏まえ、お困りの点の解消を最優先で考えて書きます(文例は「「当方に責任があるかわからない」場合のeメールの書き方例(本文)」〔*〕参照)。
①「ご心配」「お手間」をおかけしたことへのお詫び組織を代表して日ごろの取引のお礼を述べ、「ご心配をおかけしたこと」、「お手間をおかけしたこと」に対してお詫びします。
その際は当方に責任がある場合と同様に、お客さまのお困りの様子を思い浮かべながら書きます。
②事実確認とお客さまの正当性を疑っていないことをあらためて表明まず、お客さまがお困りの事実を当方が正しく認識していることをお伝えします(「○○が壊れており、××ができなくてお困りとのことでございますね」)。
また、こ
ちらが全力を尽くして調べた内容を書きます(「調査の結果、△△でございました」)。
その際、こちらがお客さまのお申し出を不当であると考えていることが伝わってしまう文章ではいけません。
③でき得る解決策のご提案をするこちらに責任があるかどうかを判断できない場合、積極的に解決に動きにくいものです。
しかし、お客さまがお困りである事実は変わりません。
よって、お客さまのご不便の解消を最優先にし、でき得る解決策を提案します。
自分一人で判断せず、上司にも相談しましょう。
懸命に検討したことが文面からわかるように書きます。
④重ねてのお礼、お詫び、お願い最後にお礼、お詫び、お願いなどを重ねて述べて、メールを終えます。
文書対応でクレームを招かないために①お名前、肩書などを、絶対に間違えない②件名はこちらの意図がわかるように書く③報告の場合は「ご報告」、当方のミスがあって釈明する場合は「お詫び」と書く④誤字・脱字がないようしっかり確認する日本語を正しく使えているか?日本語がおかしいと、お客さまが軽く扱われていると感じ、クレームが大きくなる。
[よくある間違い]×了解しました。
○承知いたしました。
ひな型を使うときは、思い込みに気をつける「このお話ならこのひな型でOK!」という思い込みで使うと、お客さまの言っていることと返信の文面がかみ合わなくなり、クレームが大きくなることがある。
ひな型の使用には注意しよう。
メールで誠意を見せるには「自分たちで調べられることはとことん調べ尽くして書いた」という文章からは、熱意がにじみ出る。
こちらの熱意が伝わる文章になっているとクレームは解決しやすくなる。
「フォルダ」分けをして管理するお客さまとの「対応履歴」の管理にはメールソフトの受信トレイの中を「対応済み」「対応中」「未対応」などに大分類し、その中にさらに個人別の小さなフォルダをつくるのも手。
「書面」のお詫び状の「件名」は本文より大きめに書面のお詫びの件名は、本文より大きい字ではっきりと「○○のお詫び」と書く。
さまざまな人に回覧されることも想定し本件に関係ない人にも内容がひと目でわかるような表題にしよう。
手書きの「お詫び状」で誠意を伝える何十通と簡単に複製でき、文例集から簡単に
つくることができるパソコンのお詫び状を好意的に受け取らない方もいる。
手書きで一文字ずつ丁寧に書いたお詫び状は誠意が伝わり、読んだあとの印象もよくなる。
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