第5章場面別で使える自己肯定感を下げない対処法~どんなビジネスシーンでも上手に切り抜けるには?~
仕事で書類の不備を指摘されたとき頼みごとを断られたとき約束の時間に遅れてしまったとき仕事でミスが発覚したとき配置換えが自分の思い通りにならなかったときメールの返事がこないときあいさつから不安が生まれたとき◇第5章ポイント終章1枚の紙に書くだけで自己肯定感は高められる~とても大切なのにおろそかにしてしまう「自分自身を認識する」こと~今の自分を認めるために〝過去を俯瞰〟して見てみる苦手な人を観察することで生まれるイメージの変化自分との対話に気づくことが大切〝モヤモヤを書いてすっきりする〟ことが王道◇終章ポイントおわりに
仕事で書類の不備を指摘されたとき同じ出来事を体験しても、その場面で辛く感じる人と、そうでない人がいます。
それは、その場面をどう捉えるかの考え方が大きく影響します。
その考え方を左右するのが、自己肯定感なのです。
自己肯定感が低いと、物事をありのままに捉えられず、勝手に否定的に受け止めやすく、そのために嫌な感情や気分を引き起こしやすくなります。
この章では、ご相談を受けたケースをもとに、職場で自己肯定感が低いとどのような感情になりやすいか、3つの感情のパターンを挙げて、それらの「感情をつくり出す思考パターン」を見ていきます。
最後にどのように対処すればよいかをお伝えします。
【場面】作成した書類にミスが見つかり、上司から「ここ間違っているよ。
これではダメだから直して再提出するように」と言われた。
【感情のパターン】1「こういう書類は苦手だ、自分の能力のなさを示してしまった」と、がっかりし、ひどく落ち込む。
2「わざと間違えたわけではないのだから、もっと優しく言ってくれてもいいのに」と、イライラし不備を指摘した上司に怒りを感じる。
3「上司に怒られた、上司の期待に応えられていない自分は上司に嫌われている」と、傷つき失望する。
【感情をつくり出す思考パターン】1ミスが発覚したことで、それは苦手だと決めつけ、ひとつのミスを最大の失敗と捉えて、それを自分の評価とすり替えてしまっている。
2書類の不備を指摘されただけなのに、「怒られた、厳しく注意された」と思い込み、「わざとではない」と自分を正当化し、怒りを相手に向けている。
3上司はただ書類の不備を指摘して、そこを直すようにと伝えただけなのに、「怒られた」とネガティブに受け取り、勝手に上司の期待に応えられていないと決めつけている。
ここで、このような感情を引き起こしているのは、「上司からの注意や指摘は自己価値を下げてしまうもの」、「間違いやミスはすべきではない」、「指摘や注意を受けることは恥ずかしいこと」などの否定的な考えや思い込みが原因です。
それが事実をありのままに受け止めることを阻害し、自己肯定感を低くしているのです。
【自己肯定感を下げない対処法】肯定的な捉え方に変換してみましょう。
間違いやミスがあっても、自分の価値を脅かすものではないこと、指摘や注意は、怒られたのではなく、知らせてくれた、アドバイスだと、肯定的に考えられると、ミスをしたということに対して、「しまった」と思っても、その事実を受け止め、「この段階で教えてもらえて良かった」、「これからは事前にしっかり確認して提出しよう」、「次は間違えないように気をつけよう」と、前向きに考えて次のアクションにつなげられます。
頼みごとを断られたとき【場面】職場で同僚に仕事の頼みごとをしたら、あっさりと「今はできません」と断られた。
【感情のパターン】1「断られるくらいなら最初から頼まなければ良かった、もう人には頼まない」と、断られたことを逆恨みして怒りを感じる。
2他の人の仕事の依頼は受けておいて、私は断られた、「私の仕事は手伝いたくないのだ」と、みじめさやむなしさを感じる。
3「同僚は私を嫌いなのだ、だから断ったのだ」と、勝手に決めつけ傷つく。
【感情をつくり出す思考パターン】1相手の対応に傷ついたことで、相手に対して拒絶の感情が出てしまい、すべて断った相手のせいだと考える。
一事が万事の考え方で、自分が傷つくくらいなら「人には頼まない」と結論づけている。
2自分を卑下して自虐的になり、勝手な憶測でものごとをマイナスに捉えてしまっている。
3相手が断った理由も聞かずに、感情的に自分のことを嫌いなのだと思い込む。
頼みごとというのは、受けるか受けないかは相手が選択します。
そうなると事前に相手に「断られる」こともあると想定しておく必要があります。
そうしないと、「頼みごと=自分」と捉えてしまい、断られたときに「自分への拒絶だ」と一方的に考えてしまうのです。
「頼みごとを断られたという事柄」と「自分」を別々に分けて考えられないことで、自己価値を脅かされたと感じて、引き起こされた感情と言えます。
【自己肯定感を下げない対処法】相手が頼みごとを引き受けてくれても、引き受けてくれなくても、そのどちらを選択しても、あなたの価値は左右されません。
相手が「ノー」という選択をしても、自分に対しての「ノー」ではなく、その頼みごとに対しての「ノー」であると理解することが必要です。
相手が断ったときの状況や断った理由を相手の視点、相手の立場になって考えてみると、自分もその状況だったら、快く引き受けることは難しいと思えるかもしれません。
人は感情的になると、どうしても物事を自分の見たいように見てしまいます。
人から断られることを怖がる人は、相手からの依頼を断ってはいけないと思う傾向が強くあります。
すると、ただ言われるがままなんでも「はい」と引き受けてしまい、あとで苦しくなることがあります。
そんな自分から脱却するためにも、相手の「ノー」を相手の選択として受け止められると、自分が相手に「ノー」ということも許可できるようになります。
頼みごとだけでなく、相手への提案や誘いに対しても言えることですが、決めるのは相手です。
それを理解できれば、自分の意見や考えを伝えるときも躊躇せずに伝えられるようになります。
必要であれば相手と話し合えます。
人に頼みごとをするときは、相手が「ノー」と言う可能性もあることを前もって承知していると、「ノー」と言われることを怖がらずに、お互いに気安く頼み合える関係をつくれます。
約束の時間に遅れてしまったとき【場面】打ち合わせに、電車の遅延で30分遅刻してしまった。
到着すると相手は無愛想だった。
【感情のパターン】1「これで話が進まなくなったら、すべて自分の責任だ、もうダメだ」と絶望する。
2「このことでクレームを入れられたら、必ず上司から叱責される」と不安が大きくなる。
3「わざと遅刻したわけではないのに、なんでそんなに不愛想なんだ、そんな態度を取らなくてもいいじゃないか」と、相手に腹を立てる。
【感情をつくり出す思考パターン】電車の遅延で約束の時間に間に合わないとわかった時点で、たいていは携帯電話で事情を説明して、約束の時間を遅らせてもらうか、相手の都合を聞いて再度約束を取りつける、などの対処ができます。
ここでは、相手に連絡をして時間を遅らせてもらい、打ち合わせに到着しました。
1電車の遅延という不可抗力な事態であっても「自分の責任だ」と決めつけてしまい、相手の表情から「話が進まなくなる」と憶測で考えて自分を追いつめています。
2遅刻して相手が不愛想だったことで、どんどん悪い方向に考えてしまい、そこから結論を飛躍させ、不安を大きくさせています。
3自分の怒りやイライラから、相手の表情や態度がおかしいと決めつけ、自分が遅刻したという事実からも相手に責任をすり替えています。
自分に非があると感じているときに、相手は怒っているはずだという認識でいると、相手の態度や言葉に敏感に反応してしまい、それがさらに悪い解釈につながることになってしまいます。
【自己肯定感を下げない対処法】この状況で自己肯定感が下がるのを止めるには、「遅刻をした」という事実を素直に受け止めることです。
その原因が自分以外のところにあるとしても、その状況に対して相手に誠意をもって謝れると、遅刻をしたことで、相手が不快になっていても、相手がそう感じることはしかたがないことだと真摯に受け止められます。
「遅刻をした」という事柄と「自分」とを同化せずに打ち合わせに集中できれば、自分の落ち度をいつまでも責めずに、それを引きずらなくてすみます。
仕事でミスが発覚したとき【場面】関わるプロジェクトで自分のミスが発覚。
上司から呼ばれ、「このミスはどうしたんだ、しっかりしてくれよ」とみんなの前で叱責された。
【感情のパターン】1ミスをして叱責されたことに対して「自分はなんてダメな人間なのだろう」と悲観的になりひどく落ち込む。
2上司にミスをみんなの前で注意されたことに対して、自分はひどく恥をかかされたという屈辱感から上司に対して怒りを向ける。
3自分は上司に目をつけられているから、きっとまた怒られる、上司はきっと自分を嫌いなのだ、と傷つき失望する。
【感情をつくり出す思考パターン】1自分のミスを極端にマイナスに受け取り、ミスしたことにとらわれてしまい「自分はダメな人間だ」と決めつけてしまう。
2自分がミスをしたことを棚に上げて、みんなの前で注意されて恥ずかしいという感情から目をそらすために、上司の問題にすり替え、怒りを上司に向けている。
3一度のミスを指摘されたことで、「自分は嫌われている」と勝手に決めつけ、だからまた怒られるとネガティブな妄想になっている。
仕事をしていると、ミスが起こることもあります。
そのミスを上司が指摘するのは当然です。
そこで、上司の言葉を感情的に受け止めてしまうと、このような感情を引き起こします。
【自己肯定感を下げない対処法】この状況で自己肯定感を下げないための考え方は、視点を変えてみることです。
起こってしまったミスをネガティブに受け止めて自分を萎縮させるのではなく、「今の段階で見つけてもらえて良かった」と考え「大事になる前に防げた」ことに目を向けられると気持ちが楽になります。
ミスをすることはできれば避けたいものですが、ミスが起こってしまったら、それにどう対処できるかを考えて、気持ちを切り替えられると、次から挽回できます。
配置換えが自分の思い通りにならなかったとき【場面】部署の配置換えがあり、自分が希望する仕事ではなく、全く想定外の仕事をすることになりストレスが増えた。
【感情のパターン】1「全く畑違いのこんな部署に飛ばされるなんて、ひどくみじめだ」と失望する。
2「なぜ自分を正当に評価しないのか?」と上司への怒りと不満で自暴自棄になる。
3「希望通りに移動した人もいるのに、自分はもう会社からは期待されていないのだ」と、むなしさと無力感に襲われる。
【感情をつくり出す思考パターン】1自分の希望がかなわなかったことで絶望的な気持ちになる。
2「上司は自分を評価すべき」という考えから、正当に評価しない上司に対して怒りと不満を向ける。
3「自分の思い通りでない=自分は会社から期待されていない」と、極端に解釈し、自分を落ち込ませている。
人は思い通りにならないことがあると、嫌な気分になりストレスを感じます。
会社だけに限らず、人との関わりの中では、自分の思い通りにならないことはめずらしくありません。
すべて自分の思い通りにいくものという考え方が前提としてあると、期待通りの結果を得られなかったときに、柔軟に対応できなくなります。
【自己肯定感を下げない対処法】「自分の思い通りにいかないことがあっても、それはむしろ当たり前」と考えられると、思い通りにならないことがあっても、それはもはやストレスではなくなります。
新しい環境で、「どうして自分がこんな仕事を」と不満に感じてしまうことがあっても、そこで、気分を切り替えて能動的に仕事を楽しむ工夫ができれば、自己肯定感を下げずにすみます。
新しい仕事の機会は、自分の新たな能力を伸ばし、可能性を広げる機会になると、視点を変えられると、自分の役割に目を向けられ、自分の能力をどう発揮できるかを考えられるようになります。
いろいろ試してみて、どうしても自分には不向きだと思えば、進退を考えるという選択肢も生まれます。
自分なりに期限を決めて、そこを目安に今後どうするかを考えていってもいいでしょう。
メールの返事がこないとき【場面】メールをしてこちらの用件を伝えているのに、相手からの返信が2日以上経ってもこない。
【感情のパターン】1相手が読んだかどうかが心配で、催促のメールをしたらしつこいと思われてしまうか、と不安と困惑を感じる。
2何かいけないことを書いてしまって、「相手は気分を害し、このまま話が進まなかったらどうしよう」と、おびえと恐れを感じる。
3「メールはすぐに返すのがマナーなのに、返信しないなんてひどい人だ」とイライラし、相手に怒りを感じる。
【感情をつくり出す思考パターン】1メールの返信がないことに困っているのに、相手がメールを受け取っているかを確認するのを、「催促メールと受け取られて、しつこいと思われるかもしれない」と憶測をして不安になり、問題解決の行動に移せない。
2返信がないことで、自分が書いた内容に何か問題があって、相手は気分を害してしまったのではと考え、その考えを飛躍させてまだ起こってもいないことを妄想し心配している。
3「メールはすぐに返信すべき」という考えから、〝こちらが用事があってメールをしているのに、それに返信をしないなんておかしい〟と感情的になり自分のルールから外れている相手を批判する。
【自己肯定感を下げない対処法】メールの返信が遅いと、どうしたのだろう、と不安になるものですが、相手の都合を考えると、すぐに返信がないのは「相手は忙しいのかもしれない」、「気づいていないのかもしれない」と、相手がメールにすぐに返信できない理由が想像できます。
その上で、「今、何をすべきか」と考えたときに、あと1日は待つことができる、しかし、それ以上は、となったときは電話をして確認を取ればすみます。
相手がたまたまメールを見落としているというケースもあります。
だから、再送すると同時に、「今メールをお送りさせていただきました。
ご確認いただければ幸いです」と電話をかければ、相手に確実に渡せたので安心して待つことができます。
メールを送るときに、急ぎのものであれば、何日までに回答が欲しいと相手に伝えておけば、たいていそれまでに返してくれるはずです。
たとえば、自分は「ビジネスではすぐに返事をするのが普通だ」と考えていたとしても、相手が考えている「普通」は全く違うことがよくあります。
メールであっても、コミュニケーションです。
「相手は言わなくても自分と同じように考えるはず」は通用しません。
お互いに共通認識として持っていたいことは言葉で伝える必要があります。
すると双方向の行き違いを減らすことができます。
それを意識すると勝手にマイナスの妄想をして自分を苦しめることはなくなります。
あいさつから不安が生まれたとき【場面】朝、社内で上司とすれ違い「おはようございます」と声をかけたのに、上司はあいさつをしないで歩いていってしまった。
【感情のパターン】1「上司に無視された、私なんて視界に入っていないんだ。
その程度の人間としか思われていないのはショックだ」とむなしく感じ落ち込む。
2「あの上司はあいさつもできない、マナーがなっていない人だ、同じ職場で顔を合わせるのも嫌だ」と怒りを感じイライラする。
3「上司は私を無視した。
きっと私を好ましく思っていないのだ、このままでは私は異動させられるかもしれない」と不安になる。
【感情をつくり出す思考パターン】1「あいさつを返してもらえなかったのは、相手にとって自分は意味のない人間だからだ」と、勝手に解釈して自分を卑下して落ち込んでいる。
2「無視された」と勝手に決めつけ、怒りとイライラから相手はマナーがなっていない人だと腹を立てている。
3「無視したのは嫌われているからだ」と勝手にマイナスの妄想を膨らませ、まだ起こっていないことに不安になっている。
【自己肯定感を下げない対処法】自分はあいさつをしたのに、あいさつが返ってこないと、相手に無視されたと、つい考えがちですが、相手は気づかなかっただけかもしれません。
それを、自分の勝手な妄想で傷つき、腹を立てるのは損です。
相手があいさつを返せなかったのには理由があるはずと、相手の立場になって想像してみると、そこで、自分も相手と同じ状況だったら、あいさつをされても気づかないかもしれない。
そう思えると気持ちはグッと楽になります。
自分のほうにも何か改善する点があるかもしれないと考えられると、「今度はもっと大きな声であいさつしよう」と、思えるかもしれません。
このように、相手の機嫌や言動に注目して振り回されるのではなく、その状況の中で自分は何ができるかに目を向けられると、自己肯定感を下げずにすみます。
今の自分を認めるために〝過去を俯瞰〟して見てみる根気よくトレーニングして、自分を理解し認められるようになると、自分との関係は良好になり、自己肯定感は高めることができます。
ここでは、自己肯定感を高め、コミュニケーションを良好にするために有効なノート術をご紹介します。
私たちは意識をしないと、ついつい自分のネガティブな部分に目を向けてしまいます。
それが、思考に影響して自己肯定感を下げてしまうのです。
ふとしたときによみがえってくる記憶の多くが、過去のうまくいかなかった記憶や、悔やまれる記憶だという人は、自分を否定的に見るクセがついています。
今の自分を肯定的に見る視点を持つためにも、過去の肯定的な要素に目を向けることが必要です。
人と比べてどこか秀でていないと、自分を認めることに抵抗を感じてしまう人でも、自分の歴史を振り返ると、精いっぱいやってきたことや、成し遂げてきたことが必ずあります。
そこに、目を向けてみるのです。
すぐに思い浮かばない人は、忘れているか、気づいていないだけです。
人と比べる必要はありません。
なぜなら、比べるということは、本来、条件がそろってはじめて成り立つものだからです。
年齢やこれまでの経験、すべてが同じという人はいません。
だから、人と比べることはナンセンスなのです。
自分がどう生きてきたかは、自分にしかわかりません。
たとえ、今の自分に不満があっても、あなた自身が「これまでの自分」を認めてあげることで、今の自分を支える土台ができあがります。
それが自信となり、自分の成長の糧になるのです。
あなたがこれまで生きてきた中で、自分なりに自分を認められることを書き出してみましょう。
書き出すことは次のことです。
書けるところから書いてみましょう。
1これまでの人生で、自分なりに、よくやった(努力した)と褒めてあげたいことはなんだろう?2これまでの人生で、自分なりに、イキイキと心から楽しんでいたときはいつだっただろう?3これまでの人生で、自分なりに、挫折をしても乗り越えたと思えたことはなんだろう?4これまでの人生で、自分なりに、打ち込んできたことや、挑戦してきたことはなんだろう?5これまでの人生で、自分なりに、自分の強みや趣味が役に立ったと思えたことは何があっただろう?6これまでの人生で、自分なりに、使命感を持ってやってきたことはなんだろう?7これまでの人生で、自分なりに、誇らしいと思えたことはなんだろう?8これまでの人生で、自分なりに、人から感謝されたと思えることはなんだろう?9これまでの人生で、自分なりに、自分が大切にしてきたものはなんだろう?10これまでの人生で、自分は何を学んだだろう?これらを書き出すことで、自分の過去はネガティブなものだけでなく、ポジティブなことも数多くあったことに気づくことができます。
そして、書いたものを改めて読んでみてください。
「自分はこれまで精いっぱいやってきている」と、自分を認め、自分への満足を得ることができるようになります。
余裕がある人は、次のことも書き出してみましょう。
1これまでの人生で、私が恵まれていることはなんだろう?2これまでの人生で、私が感謝できることはなんだろう?3これまでの人生で、私は誰に助けてもらっただろう?4これまでの人生で、私が一番うれしかったことはなんだろう?5これまでの人生で、ターニングポイントになったことはなんだろう?それは、今なら、なぜそう思えるのだろう?これらを書き出すと、自分の人生に対するポジティブな面に目を向けることができます。
したがって、自己肯定感を下げることなく、自然と高めていくことができるのです。
苦手な人を観察することで生まれるイメージの変化職場で、相手の嫌なところが目につくと、「あの人はそういう人だから」と決めつけて敬遠しがちです。
すると、知らず知らずのうちに、その人の嫌なところが目につくようになるので、相手との関係はぎくしゃくします。
一度、相手を否定的に見てしまうと、なかなかいいところに気づくことができなくなります。
それが、人間関係にも悪影響を与えます。
また、嫌いな相手の発言は、否定的に受け止めやすいので、感情を乱されます。
そうなると、嫌いな人や苦手な人がいるだけで、自己肯定感は下がってしまうのです。
先にお話しした「隣の席の人の言動に悩んでいたAさん」も、苦手な人のいいところを探すのはとても抵抗がありました。
しかし、視点を変えてみることで、今まで見えていなかった相手のいいところに気づくことができるようになりました。
相手を変えようとしなくても、自分の感じ方が変われば、相手に対しての感じ方が変わります。
職場で苦手な人がいたら、その人を別の視点から見てみましょう。
少しでも相手を違う視点で見られると、自分の中のネガティブな決めつけを緩めることができます。
1日にひとつだけ、どんなに小さなことでもいいので、相手のいいところを見つけていきましょう。
それを書き出します。
「いいところを探す」ということにハードルが高いと感じたら、否定的な決めつけをやめて、相手を観察してみることを意識してみてください。
そして、気づいたことを書き出します。
「Cさんは、電話の応対は丁寧だ」「Cさんは、1時間以上かけて通勤してくるようだ」「Cさんは、資料作成に必要なデータを提供してくれた」「Cさんと話していて、Bさんは笑顔になっていた」「Cさんは、愛犬の話をするときは笑顔だ」書き出した文章を、しっかりと読んでみてください。
相手に対してどんな感じを受けるでしょうか。
どんな人であっても、相手のすべてを知ることはできません。
けれど、相手のある部分が嫌になってしまうと、「すべてが嫌」になり、相手を常に否定的に見る、歪んだメガネで見てしまいがちです。
「嫌い」「苦手」という感情が生まれると、その感情を正当化する「ものの見方」が優位になるので、相手の嫌な部分ばかりが目についてしまいます。
そこで、大事なのは、相手を否定的に見てしまう歪んだメガネを外すことです。
そのために、嫌いな部分ばかりではなく、今まで見ようとしていなかった事実に目を向けてみるのです。
すると、相手の見え方が変わり、違う部分にも意識を向けていけるようになるので、苦手意識が和らぎ、コミュニケーションも変化します。
職場の人や環境などで、自分が「好き」と思える部分が増えると、職場を好意的に、肯定的に見ることができます。
それが、自分の自己肯定感を高める環境にもなっていくのです。
自分との対話に気づくことが大切知らず知らずに、頭の中で自分に投げかけている言葉があります。
それを、内的対話(セルフトーク)と言います。
その言葉から自分をどう捉えているかがわかり、何度も自分に言い聞かせることで、自分が自分をどう思うかのセルフイメージをつくります。
その言葉の傾向で、自分をどう見ているかがわかるのです。
特に、頭の中でつぶやいている言葉は、無意識に言っていることが多いので、それがダメ出しや自分を否定する言葉だと、知らぬ間に自己肯定感を下げてしまいます。
自分へのダメ出しや否定的な言葉は、マイナスのセルフトークです。
自分への鼓舞や励まし、肯定的な言葉は、プラスのセルフトークです。
自己肯定感を高めるには、できるだけマイナスのセルフトークを減らしていくことが効果的です。
人は無意識でいると、たいていマイナスの言葉のほうを自分に投げかけています。
その言葉が、自分の感情にも影響してくるのです。
人から言われたわけではないのに、頭の中で自分に否定的な言葉を投げかける頻度が高い人は、人からもそう思われていると感じやすくなるので、人間関係にも良い影響を与えません。
一度、自分がどんなセルフトークをしているのかを書き出してみると、自分のことをどう見ているかがわかります。
そこで、セルフトークの質を変えていけると、自己肯定感を高めることができるのです。
それでは、自分が普段どんな言葉を自分に投げかけているかを観察してみましょう。
仕事中やプライベートのとき、自分ひとりのとき、意識できているもの、意識できていないものも含めて、セルフトークをできるだけノートに書き出します。
◉まずは、マイナスのセルフトークを書いてみようまずは、あなたが無意識に何げなく言っているマイナスのセルフトークを書き出してみましょう。
マイナスのセルフトークには次のようなものがあります。
「なんてダメなんだ」「嫌だな~」「どうしようもないな」「また失敗した」「またうまくいかなかった」「もっと早くやれば良かった」「遅過ぎた」「また食べ過ぎた」「また飲み過ぎた」「どうせわかってもらえない」「面倒くさい」「みんなから見放される」「またダメなやつだって思われている」「いつも損な役だ」「今日も◯○できなかった」仕事中や電車の中などで、周りの誰かに対して、心の中で言っているダメ出しや否定的な言葉も、書き出してみましょう。
実は、自分以外の誰かに向けて言っている言葉であっても、脳は相手と自分の区別はせずに、自分のものとして取り込むことがわかっています。
他者に対するダメ出しや否定的な言葉も、脳は自分のものとして認識するのです。
それを減らせると、自分に対するイメージを良好に保つことができるのです。
◉プラスのセルフトークを書き出してみようそれでは、次にプラスのセルフトークを書き出してみましょう。
プラスのセルフトークには次のようなものがあります。
「やればできるはず」「私は恵まれている」「今日もいいことがたくさんある」「調子がいい」「よく頑張った」「いい仕事ができている」「いい仲間たちだ」「みんな私の味方だ」「私は私。
人は人」「私は私であって大丈夫」「良くやっているな」「えらいよ」「そのままの自分でOK」「私は信頼されている」「楽しみだ!」「やれることはやった!」いかがでしょうか。
ここで、書き出した言葉を改めて声に出して言ってみて、どんな気分になるかを感じてください。
マイナスのセルフトークは、出てきやすく、プラスのセルフトークはなかなか出てこないかもしれません。
仕事をしているときや日常生活の中で、マイナスの言葉がけをしている自分に気づいたら、そう言ってしまう自分をいったん受け止めて、それに替わる「自分を否定しない励ましや、勇気づける言葉」をかけてあげましょう。
それと同時に、意識してマイナスの言葉がけを減らしていくと効果的です。
そこで、これから意識して自分に言っていきたいプラスの言葉にはどんなものがあるかを、書き出してみましょう。
プラスの言葉がけは、意識的にしないとなかなか定着しません。
私たちは人から言われる言葉にも影響を受けますが、自分に一番影響を与えているのは自分が自分に対して言っている言葉なのです。
自分の中に、プラスの言葉が蓄積されていくと、自分を安心させられるので、良いセルフイメージを持つことができ、「自己肯定感」を高めていけます。
それが、人間関係を良好にし、職場でのコミュニケーションも良くしていけるのです。
〝モヤモヤを書いてすっきりする〟ことが王道何か言われて気になってしまったときや、言いたいことが言えなかったときに、モヤモヤして、イライラがつのります。
それをそのままにしてしまうと、気分がすぐれないばかりか、それが心を占めて仕事にも集中できません。
誰かにそんな自分の胸の内を聞いてほしい、相談したいけれど、人に相談するまでもないと思うと、どうすることもできず堂々巡りとなり、悩みは深くなります。
また、そのイライラを誰かにぶつけたいと思うこともあるかもしれません。
そんなときに使うと効果的な方法があります。
それは、そのモヤモヤやイライラの原因となっている相手に対する思いを、ただ書き出していくのです。
「相手に言えなかったこと」や「そのときに伝えられなかった自分の思い」を、相手に手紙を書くように、書いていきます。
「〇さんはこんなふうに言ったけれど、私はそうは思わない」「〇さんのあの言い方がすごく嫌だった。
それでひどく私は傷ついた」「〇さんは、一方的な見方しかしていない。
もっとこういうところも見てほしかった」このように、自分の中の伝えきれなかった未消化な思いを全部吐き出せると、誰にも迷惑をかけずに心はすっきりします。
言いたかったことを書いたら、それを眺めてみましょう。
自分は「これを相手に伝えたかったのだ」とわかります。
相手に直接言うと、口論になってしまうことも、こうして書き出すことで、イライラやモヤモヤの奥にある「自分の本当の思い」を理解することができます。
一度書き出して、相手に対する思いを自分の中で消化できると、いつまでも嫌な気持ちを引きずらずにすみます。
また、コミュニケーションの場面で、自分の気持ちを理解できていないと、それを相手に伝えることができません。
自分がどう思い、どう言いたかったのかがわかると、それをコミュニケーションの場面に活かしていくことができるのです。
ここでご紹介したノート術は、ちょっとしたスキマ時間に手軽にできるものです。
実践していただくことで、さらに自己肯定感を高めることができます。
おわりに最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本書をお読みになって、ひとつでも実践したいと思われる何かをお受け取りいただけましたでしょうか。
私が、自己肯定感という言葉に出合った25年前は、体系立てて自己肯定感を高める方法を書いた本がありませんでした。
「自己肯定感」という言葉が知られるようになって、少しずつ社会でも認知されるようになったのは、ここ3、4年です。
今では、多くの本が出版され、書店には専門のコーナーが設けられるまでになりました。
何かうまくいかない、こんなはずではない、頑張っても満たされない……。
そんな感覚を持ち、生きにくさを抱えていた方も、「自己肯定感」にたどりつけると、そこから霧が晴れるように、みるみる変化されていきます。
これまで、そのような姿を数多く見てきました。
こうして自己肯定感の本を書くことができて幸せです。
本書には、「これを25年前の自分に手渡してあげたい」と思うほどのエッセンスを詰め込みました。
人が生きていく上で、非常に大事な「自己肯定感」は、いつからでも挽回できます。
そのための方法を多くの方に知っていただくことによって、誰もが生きやすくなり、人生は好転すると信じています。
最後になりましたが、本書の編集を担当していただいた森下裕士さん、(一社)日本セルフエスティーム普及協会で、自己肯定感を広める「ラブ・マイセルフ100万人プロジェクト」に一緒に取り組んでくださっている認定講師の皆さん、そして、どんなときも支えて見守ってくれる夫と娘に心から感謝しています。
そして、本書を手に取ってくださったあなたに感謝いたします。
工藤紀子
【参考文献】書籍『自己と組織の創造学』(ウィル・シュッツ著斎藤彰悟監訳到津守男訳春秋社)『生きることと自己肯定感』(高垣忠一郎新日本出版社)『激動社会の中の自己効力』(アルバート・バンデューラ著本明寛野口京子監訳本明寛野口京子春木豊山本多喜司訳金子書房)『組織の罠』(クリス・アージリス著河野昭三監訳文眞堂)『子どもの自尊感情をどう育てるか』(近藤卓ほんの森出版)『嫌われる勇気』(岸見一郎古賀史健ダイヤモンド社)『改訂版アサーション・トレーニング』(平木典子金子書房)『リフレーミング』(リチャード・バンドラージョン・グリンダー著吉本武史越川弘吉訳星和書店)『フィーリングGoodハンドブック』(デビッド・D・バーンズ著野村総一郎監訳関沢洋一訳星和書店)『心がやすらぐ魔法のことば』(山崎房一PHP研究所)調査報告書・講演論文など・高垣忠一郎[退職記念最終講義]「私の心理臨床実践と自己肯定感」「立命館産業社会論集」第45巻第1号(2009年6月)・竹内健太「子供たちの自己肯定感を育む~教育再生実行会議第十次提言を受けて~」「立法と調査」No.392(2017年9月)参議院事務局企画調整室編・近藤卓「子どもの自尊感情─心身の健康を育てるために」「日本教育」(特集心身の健康)No.457(2016年7月)・諸富祥彦「自己肯定感と自己受容」「臨床精神医学」第45巻第7号(2016年7月)・伊藤美奈子「自尊感情は『愛され』『ほめられ』『認められ』『感謝され』ることで高まる」「総合教育技術」第72巻第5号(2017年7月)・汐見稔幸白梅学園大学長・白梅学園短期大学長「教育新聞」(2017年6月29日)・内閣府「平成25年度我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(2014年6月)・独立行政法人国立青少年教育振興機構「高校生の心と健康に関する意識調査報告書~日本・米国・中国・韓国の比較~」(2018年3月)
【著者プロフィール】工藤紀子(くどう・のりこ)一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会代表理事ヴィーナス・クリエイト代表外資系企業での勤務を経て、育児中に「自己肯定感」の大切さを知り、自らの人生を好転させる。
「心の仕組み」の理解と「セルフエスティーム向上」についての研究を続け、自己肯定感を高める独自メソッドを確立。
2005年ヴィーナス・クリエイトを立ち上げ、のべ2万人以上の自己肯定力向上プロジェクトに取り組む。
2013年、一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会を設立。
個人向け講座、企業や教育現場での研修や講演、講師の育成に力を入れている。
2019年中学校道徳の教科書(Gakken)に「自己肯定感」について執筆。
「子どもも大人も、自分らしくハッピーに!」をキャッチフレーズに、自己肯定感で職場や社会を元気にする「ラブ・マイセルフ100万人プロジェクト」に取り組んでいる。
著書に『そのままの自分を受け入れて人生を最高に幸せにしたいあなたへの33の贈り物』(三恵社)がある。
●一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会HPhttps://www.selfesteem.or.jp/
職場の人間関係は自己肯定感が9割著者工藤紀子カバーデザイン西垂水敦(Krran)発行者太田宏発行所フォレスト出版株式会社〒1620824東京都新宿区揚場町218白宝ビル5FTEL0352295750(営業)0352295757(編集)URLhttp://www.forestpub.co.jp/素材提供:DiegoSchtutman,Magenta10/Shutterstock.comNorikoKudo2019●フォレスト出版株式会社『職場の人間関係は自己肯定感が9割』(2019年11月22日初版)に基づいて制作されました。
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