1 「清掃」のくふう・そのポイント
掃除をするメリット
掃除をするのは、職場をきれいにす るためだけではありません。
危険やトラブルの回避のためでもあ ります。
掃除が行き届いていないと、 床に油がこぼれていても、そのまま。
足を滑らせて危険です。
ボルトやナットが落ちていても放置 されていると、踏みつけて足が痛い。
壁や天丼のホコリやゴミが落ちてき て、製品箱に混入する。
といったこと が、清掃することで回避できます。
また、機械や設備を外観だけでなく 内部までキチンと清掃すると、破損や 油モレなど、事前に不具合箇所が発見 でき、故障したり停止したりする前に 対策が打てます。
もちろん、キレイな職場で仕事をす るほうが気持ちが良いことも確かです。
2つの「目のつけどころ」
このように清掃は大事なことです が、仕事そのものではありません。
仕 事が終わつたあとの後始末です。
なる べく手間をかけず、効率良く、ラクに したいものです。
また清掃は、毎日、毎週、毎月くり 返しおこなうものです。
その点から考 えても、カンタンに、ラクにできる方 法を考えましょう。
そうすれば、くり 返すことも、むずかしくありません。
◇ そのときの「目のつけどころ」は、 2つありますc ●汚れやゴミの発生源に着目 「この汚れは、なぜ出るのか」 「このゴミは、どこからくるのか」 その発生源に対策を打つ。
ゴミや汚れの元を断つ。
あるいは、完全になくすことはでき ないにしても、より少なくすることは できます。
●清掃方法に着目 今の清掃方法より、もっとラクに、 カンタンに、効率良くできないか。
◇ この2 つのポイントで、清掃の「く ふう」をおこないます。

汚れやゴミの発生源に着目

汚れやゴミがどこから来るのか、そ の発生源に手を打つて、汚れやゴミが 出ない「くふう」をします。
●投入口を狭くする 【どヽヽふう一剛】 材料を容器に移し替える際、投入口 が容器と合わず、容器に入らないもの は床にこぼれていました。
後始末が大 変でした。
【くふう後】 投入口を狭くしました。
ほとんど容器に入り、床にこぼれる ことが少なく、後始末がラクになりま した。
●受け皿の幅を2倍にする 【′ヽヽ小う一刷】 機械から油が垂れたとき、受け皿が 狭いため、受けきれず、床にこぼれて いました。
床にこぼれた油は毎日掃除 をしていました

【くふう後】 受け皿の幅を2倍にしました。
すべ て受けることができ、床にこぼれなく なりました。
床掃除もしなくてよくな りましたc ●直角のところを、ななめにする 【′ヽヽ小う一則】 壁と床が合わさる直角のところはゴ ミが溜まりやすかった。
掃除機の筒の 先やブラシの先が届きにくく、大量の 水道水を飛ばして、そぎ落としていま した。
【くふう後】 そこで、その直角のところをセメン トで埋め込み、「ななめの斜面」をつ けました。
斜面にすると、ブラシの先 を使って少ない水道水でラクに掃除が できるようになりました。
前始末(あらかじめ)①

掃除というのは、多くの場合、後始 末です。
汚れたから雑巾で拭く。
散ら かつたゴミやホコリをホウキで掃く。
集めてチリトリで取ります。
このとき、ここの場所が、ゴミやホ コリで散らかると確実にわかっていれ ば、「あらかじめ」その場所にビニー ルシートを敷いておきます。
その上に ゴミが散らかつてもシートを寄せるだ けで、ゴミは一箇所に集まります。
こ れが「あらかじめ」「前もって」「事前 に」という先手の方法です。
言わば、 「前始末」です。
ゴミが散らかつてから、ホウキやチ リトリを持ち出して掃除をするのは、 「後始末」です。
手間と時間がかかり、 しかもゴミが残ります。
これに対して「前始末」は、ラクで 簡単です。
短時間に終わって、しかも 仕上がりがキレイです。

●機械の周囲に「かこい」を立てる 【くふう前】 機械から飛び散る油が、周囲の壁を 汚していた。
いつも壁の掃除が大変で したc 【くふう後】 機械の周囲に「かこい」を立てた。
「かこい」が汚れたら、その「かこい」 を持ち出して、洗い場でキレイにして、 また元の機械の周囲に置いた。
掃除道具を持ちこんで壁を掃除する より、「かこい」を洗い場に持って 行つてキレイに洗うほうがラクです。
油汚れがする、とわかっているのな ら「あらかじめ」かこいを立てます。
「前始末」のくふうです。
「機械から出る油汚れの発生源」を 完全に断つことはできませんが、「前 始末」をすることで、掃除の方法をラ クにすることはできますc
前始末(あらかじめ)②

「前始末」は、ゴミや汚れの発生源 対策だけでなく、ほかの場面でも役に 立ちます。
たとえば、つぎのような 「くふう」が考えられます。
●「あらかじめ」棚の上に布を置く 【くふう前】 棚の上のホコリを掃除するときは、 台にあがって掃除をしなければならな かった。
しかし、危ない上に手間と時 間がかかります。
【くふう後】 棚の上に、「あらかじめ」布を置い ておきました。
ホコリが溜まると、布 を取って振り落とします。
ホコリの落 ちた布は、ふたたび棚の上にのせます。
台の上にあがるのは、布を取るときと、 棚の上に布を戻すときだけです。

●「あらかじめ」ファンに フェルトを巻く 【どヽヽふう一則】 モーターのファンが汚れたとき、掃 除が大変だった。
棒の先に布切れを巻 きつけたものを、フアンの隙間に入れ て掃除をしていました。
【くふう後】 家庭用の換気扇にヒントを得て、 一あらかじめ」フアンにフェルトを巻 きつけました。
掃除はフェルトの交換 だけで済みます。
掃除のための準備をラクに

「じか置き」しない 掃除のための準備に、手間や時間が かかっていないか。
ちょっと点検してみましょう。
●キャスター付き台車で保管 【′ヽヽ小う一則】 容器など、床に「じか置き」してい たのでは、掃除のたびに、その容器を 置き替えなければなりません。
いちいち移動させるのは大変。
【くふう後】 容器をキャスター付きの台車にのせ て保管します。
掃除のときは台車を移 動させるだけ。
キャスター付きの台車にのせるの は、掃除のためだけでなく、整頓をす る上でも、作業効率をより良くする上 でも、大切なことです。

掃除用具を手許に 小さな掃除用具は、手許に置いてお くと便利です。
●清掃用ブラシはマグネットで吸着 機械の清掃用ブラシにマグネットを つけて、機械本体に吸着しておきます。
汚れに気づいたら、スグに使えるので、 マメに掃除ができます。
(「手許に置く」=これは「整頓のくふ う」でもあります) ●ゴミ箱をキャスター付き台車に のせる ゴミ箱をキャスター付き台車にのせ ておけば、ゴミが出たときに、サツと 引き寄せて、すぐに入れることができ るので便利です。
分割清掃

掃除個所によっては「くふう」のでき ない所もあります。
そんなときは、キッ チリと隅々まできれいにしましょう。
狭い範囲の清掃なら5分か10分で終 わります。
しかし、広い倉庫になると、 そうはいきません。
全員参加でかかっ たとしても、「2〜3時間」でも終わ らないかもしれません。
要するに、時間がかかりすぎるのは、 広い倉庫の掃除を「一度に」「全部」 やろうとするからです。
こんなときは 「分割清掃」をします。
まず広い倉庫を、いくつかの区分に 分けます。
1 つの区分だけの掃除を15 分程度で済むようにします。
1日に1 区画の掃除を15 分かけてします。
翌日 は、その隣りの1区画を15 分間掃除を します。
これをくり返していくと、何 日間かで倉庫のすべての掃除ができた ことになります。
共用部分は当番制に

トイレや階段、通路といった共用で 使う場所の掃除を外部業者に委託して いる企業もありますが、当番制にして 社員自身が掃除をしている会社もあり ます。
当番制にした場合、困るのは掃除の 仕方が人によってマチマチになること です。
ある人は5分ぐらいで終わった り、また1時間かけて丁寧にゆっくり 掃除をする人などです。
誰が掃除をし てもある程度、同じレベルで仕上がる ようにします。
簡単なマニュアルを作って、それに 沿って掃除をするようにします。
その会社の、5Sが出来ているか、 出来ていないか、それを判断するひと つの目安としては、共用場所に掃除責 任者の名札がかかっているか、掃除の チェックリストが貼ってあるかを見る ことです。
「清掃」のまとめ
職場を掃除するのは、危険防止のためでもあります。
また、 機械や設備の掃除を徹底的にすると、不具合箇所を事前に 発見でき、故障する前に対策が打てます。
清掃は、毎日、毎週、毎月、くり返しおこなうものです。
ラクに、カンタンにできる「やり方」をくふうして、続け られるようにします。
そのときの「目のつけどころ」は、2つあります。
◆汚れやゴミの発生源に着目 元を断って、ゴミや汚れを出ないようにする。
あるいは、少なくする。
◆清掃方法に着目 カンタンで、ラクな清掃方法に改める。
◎「前始末」でカンタンにする ◎「じか置き」をやめて、ラクにする ◎ 分割清掃をする 掃除方法のマニュアルを作って、誰が掃除をしても、同 じ仕上がりになるようにします。
コメント