1「朝の脳」は最高の状態!
◆どんな難問もスイスイこなせる!
朝は最も脳の生産性が高く、最小のエネルギーで多くを生み出すことができる時間です。高い集中力を発揮できるため、思考力を必要とするタスクに取り組むことをお勧めします。
大学受験時は、朝のうちに現代文や古文の文章題や、英語の長文問題などとくに集中力が求められる問題に取り組みました。ケンブリッジを受験したときも同様です。
緻密に考え、高い論理力を求められる英文小論文を書いたり、難解な問題集を解く時間に充てました。ぜひ、集中力を要する勉強や仕事に取り組みたいときは、朝の脳を徹底活用することをお勧めします。

2「朝の脳」をフル活用する方法
◆集中力を求められる勉強やタスクに取り組もう
最も効率よく脳が働く時間帯は起きてから2、3時間といわれています。脳の活動は朝をピークにしてお昼頃にかけて低下していきます。
脳がフル回転している朝のうちに、思考力を必要とするものや、負荷のかかるタスクをこなすとよいでしょう。
取り組む内容を思考系と作業系に分けて、まとまった時間と集中力を要する「思考系のタスク」に朝の時間を割り当てるのは最も効率のいい計画の立て方です。
例えば、・まとまった時間が必要で集中力が求められる勉強や仕事・苦手意識を持っており、もう一度チャレンジしてみたいものこうしたタスクであっても、朝ならスピーディーにこなせる可能性が高いのです。
実際に、『WHATTHEMOSTSUCCESSFULPEOPLEDOBEFOREBREAKFAST(成功者は朝食をとる前に何をしているのか)』の著者である、LauraVanderkamさんは「早朝は〈意思の力の供給〉が一番高まる時間」だという研究結果を示しています。
少々難しい問題にぶつかっても乗り越えられるだけの意思力があるので、諦めずに取り組めるのです。
一方、夜は意思力が低下しているので、難しい問題にぶつかると諦めてしまいやすくなるので、やはり朝を有効に活用しましょう。
私の場合、朝の脳を活用することでケンブリッジでの学びを確かなものにすることができました。
◆「朝の徹底活用」で道が開けた!
それにしても、ケンブリッジ大学の大学院に入学後、あれほど苦しい日々が待っているとは思ってもみませんでした。何度も挫折感を味わい、その都度、卒業を諦めざるを得ないかどうか、真剣に悩みました。
今振り返ってみると、ケンブリッジを卒業できたのは、「朝の取り組みが功を奏し、日々の学びにはずみをつけてくれたから」といっても過言ではありません。
◆難解な課題に圧倒される日々……
大学院の授業は1コマ2、3時間くらいのものが週に3つあるだけで、一見、時間がたっぷりあるように思えました。
とはいえ、初日のオリエンテーションでいきなり130ページ以上はある英語の文献を渡され、「来週までに読んできてね」とのこと。
さらに課題まで出されて愕然としました。内容もスラスラと読めるものではなく非常に難解なものです。
ある程度、覚悟はしていましたが、やはり相当ハイレベルなことを求められるなと戦々恐々としました。
その後、イギリス人のクラスメイトに聞いた話では、彼らも理解するのが非常に難しくて毎回課題をこなすのに四苦八苦していたとのこと。確かに、言語の意味はわかったとしても理解できるかどうかは話が別です。
難解な専門書ともなれば、その背景にある知識がなければ、内容がスッと頭に入ってくることはまれです。
とはいえ泣き言ばかりも言っていられません。修士号を取るためには論文を書かなければならないからです。英語の論文を2本と、ラスボスである修士論文はA4、150枚くらいの長さです。
イギリスの大学院は通常1年なので、毎週難解な課題をこなしながら、論文を書く毎日でした。
◆授業についていくために編み出した方法とは?
じゃあ、大学院の授業についていけたのかというと、全く、でした。最初の数週間はカオスでしかなく、全く何を言っているのかがわからない。
これは大変な衝撃で、修士号は諦めて日本に帰ったほうがいいのではないかと本気で思ったほどでした。
でも簡単に諦めたくはありません。そこで思いついたのが、ICレコーダーをすべての講義に持ち込み録音するということ。
英語を母国語とするクラスメイトが8割を占めるコースで、語学のハンデを負っているならば、努力量でカバーするしかありません。
◆授業内容を録音し、ひたすら聞く
講義は全て録音し、部屋に帰るとパソコンに取り込み、その日のうちにまず1回聞いて講義資料を自分なりにまとめ直しました。
週末には難しかった講義を何度もオーディオブックのように聞き流し、内容を覚えてしまうのではないかというくらい聞きました。
そんな作業を繰り返しているうちに、だんだん英語を聞き取れるようになってきて、授業にも積極的に参加できるようになりました。
理解できないと発言もできません。発言ができないと授業への積極性が欠けていると思われ、どんどん置いていかれます。毎日が真剣勝負で、とにかく全力投球したのです。
◆朝は、こんな取り組みが功を奏した
大学院生活において、やるべきことは至ってシンプルではありました。
課題文献を読むこと、毎週の課題レポート、授業の復習、論文、アルバイトの5つをどうこなしていくかということです。
「難解な英語を読んで自分の意見をまとめる」「課題や文献をたくさん読んで論文を書く」といった作業は、集中力と意思力を必要とするので朝、取り組むには最適でした。
つまり朝は、「読む」というインプットと「書く」というアウトプットに集中して取り組んだのです。
1日の中で最も脳がアクティブなときに、難解な学びに取り組んで、午後から夜にかけては授業の復習をしたり、文献の流し読みをしたりして、なるべく負荷をかけないように過ごしていました。
朝と夜の脳の特性を知り、上手に使い分けることで、取り組み結果に大きな差が出るのです。
◆朝の活用で、英語試験のスコアがグンと伸びた!
次に私の生徒で大学生のBくんのケースもご紹介しておきます。英語に苦手意識を持っていたBくんは、大学1年のとき「留学する」という目標を立てました。
当初は、夜9時ぐらいから留学に向けた勉強を始めて、深夜まで勉強していたのですが、なかなか集中できず、効率が悪いと感じていたそうです。そこで私が提案したのが「朝時間の活用」でした。
朝は脳もスッキリしていて、意思力も高いうえに誘惑も少ないので、勉強に取り組みやすいという点と、私も朝型に変えたことで勉強効率が大きく改善したという経験についてもお話ししました。
この話を聞いたBくんはすぐに朝時間に勉強を始めました。
結果的にBくんは英語の勉強に効果的に取り組むことができ、今では強みの1つとなり留学に必要とされる英語試験のスコアを楽勝でクリアすることができました。
勉強の内容は「思考系」と「作業系」に分けることができます。「思考系」とは「参考書や本を読んでインプットする」「英作文や小論文を書いたり文章問題を解いたりすること」が該当し、まとまった時間を必要とします。
「作業系」とは「単語を覚えたり」「一問一答式のような短い問題をこなすこと」などで、これらはスキマ時間にいくらでもこなせます。実際にBくんが朝時間にした勉強は次の通りです。
朝6時過ぎから、リーディングやライティングなど、集中力と思考力が必要とされる勉強に取り組みました。
一方で、英単語の暗記はスキマ時間でも十分できるので、朝の貴重な時間ではなく、電車の中で覚えるなど、空いた時間を見つけて取り組んでいました。
このように朝時間を上手に使うことで、Bくんの成績は劇的に伸びたのです。私は1日の中で、脳の生産性を意識してタスクをこなすようにしています。脳にパワーがないときはいくら頑張っても非効率です。
疲労感が積み重なり、ストレスの原因となるからです。脳の特性を考慮した取り組みをすることで、1日の成果はケタ違いに変わるはずです。
3脳のスイッチをオンにしよう
◆こんな働きかけで、交感神経に切り替わる
朝の脳の生産性が高いといっても、起きた直後は覚醒しておらず、しばらくぼんやりとしています。副交感神経が優位になっているからです。適切な方法で交感神経に切り替わるよう働きかけてみましょう。すぐにできて効果的なのは次の3つの方法です。
①日光を浴びる
私が朝起きて最初にすることは全ての部屋のカーテンを全開にして日光が差し込んでくる環境をつくることです。たとえ雨が降っていても窓を開けて空気の入れ替えをします。
窓を開ければ日が入って、日光を浴びることができるからです。朝日は脳をスッキリと覚醒させてくれるうえに、良質な睡眠をもたらすセロトニンの分泌をも促してくれます。ぜひ、朝起きたらカーテンと窓を開けてみましょう。
②シャワーを浴びる
お勧めなのが日光を浴びた後に、シャワーを浴びること。これも、私が長年続けているルーティンの一つです。
シャワーを浴びると、副交感神経から交感神経への切り替えがスムーズに行われるので、心身共にスッキリします。なお、シャワーを浴びる目的はあくまでも脳を覚醒させることです。
長い時間、熱いシャワーを浴びていると、体がリラックスモードに入ってしまうので注意しましょう。少しぬるいかなと感じるくらいの温度のシャワーをサッと浴びることをお勧めします。
③香りをかいだり、好きなものを飲む
先述していますが、起床後、私は大好きな紅茶を飲むようにしています。
紅茶やコーヒーなどの香りの強いものは鼻腔を通って脳に刺激を与えてくれるのでスイッチが入りやすいのです。
脳を覚醒させるためにも、良い香りをかいだり、好きなものを飲む習慣をもってみましょう。あなたにとって、脳のスイッチがオンになるものは何ですか。ぜひ、ワクワクするものを探してみてください。
4「5つの方法」で集中力がケタ違いに!
◆「集中できない……」から脱するために
「朝の脳なら、生産性が飛躍的に高まるはず。でも、途中で集中力がとぎれてしまい、だらけてしまうことがある。
どうすれば、こんな状態から抜け出せるのだろう……」こうした悩みを持っている方は少なくありません。
朝の脳が万能といっても、集中力を妨げるような状況や環境があると、集中力はとぎれてしまいます。そこで高い集中力を発揮するためのコツを具体的に紹介していきます。
【コツ①】タイムリミットを設ける
◆時間を区切ると、集中力を持続できる
私は大学受験のときからストップウォッチや砂時計を愛用しています。より時間を意識することで、集中力が飛躍的に高まるからです。
今では、手元にストップウォッチを置くだけで、自然と自分にスイッチが入ります。長時間集中するときに大事なのが、「できるだけ時間を短く区切り、集中力をとぎらせないこと」です。
フルマラソンでは42・195キロを走るわけですが、このときも一気に長距離を走ろうとするのではなく、走る距離を短く区切り、それぞれの区間をどのぐらいのタイムで走ればよいのかを考えるなど、時間を意識することが大事です。
例えば、A区間は5分以内で走り、B区間7分以内で走る、というように、走る区間を短く区切って目標タイムを設定することで、どの区間も集中力をとぎらせずに最速のスピードで走れるようになります。
このように、小さな締め切りをどんどんつくって、短距離走を繰り返すようなイメージを持つと集中力が高まります。問題集の1ページを解くときであっても、この考え方は有効です。
「この問題は10分以内に解こう」というように時間を決めておき、ストップウォッチやタイマーで計って取り組むと、集中力はグンと高まり、学びの密度も増すはずです。
【コツ②】毎朝、予定をチェックする
◆これで時間への意識が増す
私の場合、「翌日のスケジュール確認」と「やることリストの整理」は前日の夜にやります。翌日の流れをシミュレーションできるうえに、「早起きする理由を明確にできる」からです。なお、翌朝は再度、スケジュールを見直して微修正を加えるとよいでしょう。
何度も見直すことで意識が高まり、「1秒でも無駄にできないな」という気持ちを持てるのです。
◆やることを明確にし、英語力を劇的に伸ばしたBくん
大学2年生のBくんは〈遅寝遅起き〉という不規則な生活習慣が身についていました。そんなBくんは、あるきっかけで「留学したい」と考えるようになります。でも、不規則な生活習慣を変えられず、なかなか勉強が進みません。
困り切って私のところにみえたのです。まずは、生活習慣を見直して勉強に取り組める状況をつくり、英語の成績を上げなくてはなりません。
そこで朝時間を活用して、英語の勉強に取り組むようにアドバイスしました。なお、英語の勉強といっても、学ぶ分野は多岐に渡ります。
どの分野が苦手で、何を重点的に学ぶ必要があるのかを突き止めるために、英語の勉強を分解することから始めました。
Bくんが受験する英語試験IELTS(世界で年間300万人が受験する留学や海外移住のための英語試験)は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能の試験で、これら全ての技能でバランスよくスコアを取らないといけません。
その上、単語や文法の勉強も基礎力をつけるうえで欠かせません。「英語の勉強をする」というざっくりした認識のままでは、目標がはっきりしません。
そこで一つひとつを丁寧に分解して考えることで、「6分野の勉強が必要だ」という具体的な目標が定まったのです。
早速、バーチカルタイプのウィークリー手帳をコピーして、Bくんの1週間の予定に6つの分野を適切に振り分けていきました。
勉強の計画を立てるときに大事なことは、学ぶ内容をできるだけ最小単位に落とし込み、バランス良く配置することです。6ヶ月後の試験で目標スコアを達成できないと留学を断念せざるを得ないBくん。
スケジュールを明確にすることで、いかに時間が足りないかを実感したとのこと。毎朝、スケジュールをチェックし、全体の進み具合を確認しながら、朝時間を使って猛勉強に取り組んでいます。
苦手分野を克服しつつあるBくんは、日増しに自信を深めています。夢だった留学も現実のものになりつつあると確信していると言います。とにかくやることが決まったら、1週間単位でスケジュールを組んでみましょう。
それを毎朝見直すことで、「なぜ、今これをやる必要があるのか」という指令を脳にはっきりと伝えることができます。
その結果、目の前の取り組みにグンとと集中できるようになるのです。ぜひ、お試しください。
【コツ③】家を出る時間を決める
◆締め切り効果&環境の変化で、集中力が増す
今はフレキシブルに働くことが可能になって、出社時間も柔軟になったり、フリーランスとして仕事をする人も増えてきました。
アメリカでは二〇二七年、フリーランスが8650万人となり、企業で働く人の8340万人を上回ると予想されており、日本でもますますフレキシブルな働き方が増えていくことと思います(FreelancinginAmerica2017)。
固定化した時間労働の枠組みから離れ、自由な時間を持ちやすくなってきました。これからは、出社時間に縛られすぎず、自分が良しとする生活リズムに合わせて、家を出る時間を決めるのも一策です。
自分の中で「始業時間を決めてしまう」というわけです。かつて、私も「家を出る時間」を決めることで、朝の勉強の生産性を上げることができました。
ケンブリッジ時代、日々大量の課題や論文に取り組んでいました。つねに自分との戦いです。
朝早く起きて、誰とも会話せずひたすら机に向かうわけですが、ずっと自分の部屋にこもり、机に向かっていると疲れを感じ、集中力がとぎれてきます。
ダラダラ勉強していても成果は得られません。そこで私は「8時半に家を出る」と決めていました。ケンブリッジ大学図書館に通って、再び勉強に取り組むためです。
このように終わりの時間を決めることで、「時間内にここまでやろう」という締め切り効果が働いて集中力を維持することができます。
私がアドバイスしている社会人の方々にも、出社時間の1、2時間ぐらい前に家を出て、会社の最寄駅近くのカフェで勉強や読書をする時間を持つことをお勧めしています。
締め切り効果のみならず、環境を変えることで、意思力に頼らなくても集中できるようになるからです。その効果は体験してみれば必ずわかるはずです。
【コツ④】環境を変える
◆カフェは集中力が増す
理想的な場所家は集中力を妨げるもので溢れています。集中できる朝にバタバタして余計なエネルギーを使わなくていいように部屋や机を片付けてから寝ることは重要です。
持ち物を整理してから寝る、といった基本を大事にしましょう。必要なもの以外は、ないのが理想です。
意思の力で誘惑に打ち勝つのではなく、意思の力を使わなくてもいい環境に身を置きましょう。最適なのがカフェです。
テーブルの上には持参した物のみを置けばよく、他に手を伸ばしたくなるような誘惑物はありません。また、カフェのざわざわした環境のほうが、静まり返った場所よりも集中できます。
静かすぎる場所だと眠くなることもありますし、人によっては小さな物音でも気になってしまって集中できないことがあるからです。
◆同じ思いを持って頑張っている人がいる場所に行こう
ケンブリッジ時代、8時半には家を出て図書館へ足を運んでいました。図書館というみんなが文献や論文と向き合う環境に身を置けば、自然と集中して取り組めるからです。
環境の力を利用することが最大の目的でした。テレビもないので気が散ることもありませんし、自分以外の人たちが学んでいる姿を目にするとやっぱり「自分も頑張らないと」という気持ちが湧いてきます。
自己効力感を高める一つの方法に、「代理強化」があります。
やりたいと望んでいることを他人が達成している姿を目にすることで「自分にもできるのではないか」という気持ちになるのです。
図書館に行くことで、この代理強化がなされたわけです。もちろん気分が乗らないときもありました。
そんなときは、論文や課題のことは考えず、「サイクリングでもしよう」といった軽い気持ちで図書館に向かいました。図書館に着くと自然とやらざるを得ない環境に身を投じることになるので集中できてしまうのです。無理に集中力を高めようとするのではなくて環境を変えてみてください。
特に自分と同じような目標を持って頑張っている人がいる環境がベストです。私の場合、新しいことにチャレンジしたくなったら、同じ思いを持った人が集まる場所を探すようにしています。
年配の方がのんびりとエクササイズしているジムよりも、自分と同年代の人が頑張ってトレーニングしているジムを選びます。
本を書いてみたいと思ったときは、高い志を持って本を書きたい人が集まってくる勉強会に参加しました。周りが頑張っていると「自分も頑張ってみよう」という気持ちになるものです。
大都市に住んでいる方なら朝活に参加してみるのも効果的だと思いますし、そうでない方はSNSで同じ目標を持っている人と繋がりを持ってみるのも効果的です。大事なのは意思や精神力に頼らなくても自分を変えられるということ。ぜひ、環境を選ぶことにエネルギーを傾けたいですね。
【コツ⑤】夜は充電時間にあてる
◆メリハリが生まれ、朝時間の生産性が高まる
Nさんは夜の時間帯に英語の勉強をしたいと考えていました。でも毎日、終業時間がバラバラで勉強が思うようにはかどらず、ジレンマを感じていました。そこで朝時間を活用することにしたのです。
Nさんは毎朝5時半に起床し、朝食をとり仕事に行く準備をして、6時から1時間、英語の勉強にあてています。
疲れて頭が働かない夜は自分メンテナンスの時間にすると決めました。こうして、朝の時間を使うように生活様式を変えることで生産性も高まったのです。
このように朝時間にしかやらないと決めてしまえば、「その時間にやり切ろう」という意識が働きます。制限があることで「今やらないとダメだ」と感じて、より集中力を高めることができるのです。
これまで大勢の方々に英語の勉強等のアドバイスをしてきましたが、とりわけ大きな成長を遂げた方々の多くが、朝の取り組みを大事にしています。
平日の朝時間は、気がゆるみがちな土日よりも圧倒的に集中でき、生産性の高い取り組みができるそうです。
夜の時間はメンテナンスにあて、朝時間を有効に使うといった、時間の制約を設けることで、良い意味でのプレッシャーが生まれ、より生産性の高い過ごし方ができるのです。
5「朝の読書」がスゴい理由
◆日中の仕事に「気づき」を与えてくれる!
朝時間はインプットに最適な時間帯です。とくにお勧めなのが読書です。朝の読書は良いことずくめですが、なかでも「カクテルパーティ効果」を期待できる点が大きいのです。
大勢が雑談しているガヤガヤとした場面でも、自分の名前や興味のある人の会話は、自然と耳に入ってくることがありますよね。私たちは必要な情報を選択的に認知するようにできているのです。これを心理学ではカクテルパーティ効果と言います。
例えば接客術についての本を読んだ後、実際に接客の仕事をするとしましょう。すると、「先ほど読んだ本の内容が、今まさに目の前で起きているな」とか、「そうか、この場面では、あの本に載っていたアドバイス通りにやればいいんだ」というように、本の内容を現実に投影しやすくなります。
このように朝の読書は、日中の仕事にさまざまな気づきを与えてくれるのです。なお、電車通勤している方々にぜひお勧めしたいことがあります。
それは「1日1冊本を読む」という習慣を電車の中、限定で行うことです。
「電車に乗る」というトリガーがあると、「あ、今日も本を読もう」というふうにスイッチを入れることができるからです。
スマホの電子書籍だと、ネットニュースやSNSが気になってしまうので、私は手に取れる本を持参して読むことをお勧めします。ときには気持ちが乗らないような日もあるでしょう。
そんなときは気になった箇所や関心のある箇所から読むなどして、心理的ハードルを下げることで、スッと取り組みやすくなるはずです。
6英語がメキメキ上達する「3つの方法」
◆英語力がアップする「3つの取り組み」とは?
朝時間は、集中力が必要な勉強やタスクをするのにもってこいの時間帯です。ここでは私が受講生にアドバイスしている「英語上達法」をご紹介しましょう。
とくに英語勉強の初心者にお勧めしたいのは、次の3つの取り組みです。
- オンライン英会話をする
- シャドーイングをする
- 「英語ストックノート」を作る
では、それぞれについて具体的に見ていきましょう。
【上達法①】オンライン英会話をする
◆「英語力の向上」以外にもメリットがある!
残業が多いAさんは、毎日、学習計画を立ててはいますが、夜はほとんど計画通りに進みません。「いっそのこと早く寝て、朝の時間を活用しましょう」とアドバイスしました。
早起きを習慣化するために私がお勧めしたのは、「オンライン英会話の受講」です。6時30分に予約を入れ、6時に起床することにしたのです。オンライン英会話をするメリットは英語力の向上以外にもいくつかあります。
その一つが、誰かと約束することで、モチベーションが高まるという点です。このように自分以外の力を上手に借りてみるのも賢い方法です。また、快適なコミュニケーションをとることは心理学的にもポジティブな効果を期待できます。オンライン英会話を朝することで、前向きな1日をデザインすることができるのです。
◆まずは朝30分、レッスンしよう
なお、絶対に英語力をつけたい方は、オンライン英会話を90日は続けてください。90日後には、相当英語が話せるようになっていることを実感できるはずです。とはいえ上達を意識しすぎると、息切れするので注意してください。
90日が終わるまでは〈前だけを向いてひたすら走る〉ようなイメージを持ってみるとよいでしょう。振り返ったら、とても大きな違いを感じることができるはずです。
オンライン英会話はたいてい1レッスンが30分程度ですから、早起きもこの30分を確保するところからスタートすればいいのです。
90日後には、英語を話すことに対して抵抗感がなくなり、早起きも完全に定着していることでしょう。良い生活習慣を身につけ、大いに自信を深めている自分に出会えるはずです。
◆復習すると10倍、英語力がつく
なお、時間の余裕がある人は、オンライン英会話の直後に復習しましょう。「どうしても英語で表現できなかった(あるいは、しにくかった)」という場面があったはずです。そうした言い回しを復習すれば、表現力を磨くこともできます。継続することが大事なので10分ほどの復習でかまいません。ぜひ続けてみてください。
◆この復習方法なら上達が早く、モチベーションも高まる!
経験上、復習している人はしていない人よりも上達のスピードが10倍くらい早いです。
しかも、レッスンの直後に復習している人のほうが上達のスピードが早く、やりっ放しで次のレッスン、次のレッスンと取り組んでいる人は最も上達が遅いです。復習の仕方は簡単です。
レッスン中に英語で話したかったけれど、表現できなかった言い方を調べて、翌日のレッスンで早速使ってみましょう。
知りたい表現はネットで検索すればすぐに出てきますので、上手に活用してください。
これまで表現できなかった言い方がわかるようになり、しかも相手と意思疎通できたら、とても嬉しいですよね。
「学んだことが通じた」という体験に変わるとモチベーションは飛躍的に高まり、次の取り組みにプラスの影響をもたらします。
私の場合、言いたかったけれどわからなかった単語や文を調べたら、エクセルにまとめています。
日本語の横に英語表現を記すという、実にシンプルな表で、A4用紙1枚程度にまとめてプリントしています。
これをカバンやポケットに入れておけば、外出先でも隙間時間に見直すことができて便利です。まずはオンライン英会話を始めてみましょう。
できるかできないか、効果があるかないかは考えずにやってみましょう。続けた人はきっと違う世界が開けるはずです。
【上達法②】シャドーイングをする
◆コレで脳が活性化する!
英語の試験勉強をしている人であれば、本来、朝はリーディングやライティングの問題に取り組むとよいでしょう。でも、「朝はエンジンがかかりにくい」と感じるときがあります。そんなときのお勧めは「シャドーイング」です。
シャドーイングとは聞こえている音声に0・5秒くらい遅れながら、影のようについていくトレーニングです。音に対する理解を深め、英語の音を自分のものとして習得するために極めて有効なトレーニングなのです。
聞き流しているだけではBGMにしかなりませんが、耳からインプットした音を声に出そうとするだけで短期記憶が刺激されて脳が活性化します。
5分間シャドーイングをして、脳を活性化させてから、リーディングや英作文などに取り組むと、より脳がテキパキと仕事をしてくれるようになるのです。
◆この練習方法で、リスニング力もスピーキング力も身につく!
シャドーイングをすると英語の音、リズム、抑揚を体得することができるので、リスニング力が向上することはもちろん、スピーキング力も向上するのでとても効果的です。
私が考える練習方法はカラオケで歌を覚えるときのプロセスと一緒です。最初は音を聴いてみて、歌詞カードを見ながらブツブツと練習します。
それを何度も繰り返しているうちに、だんだん歌を口ずさめるようになりますよね。その後、リズムや抑揚を意識しながら声に出して歌を覚えていきます。
この一連の流れを真似るのです。英語が苦手な人はこんな感じでTOEICのPart2の短文を練習してもよいでしょう。
ある程度慣れてきたら、Part3や4の少し長めのものに取り組んだり、もう少し速いものでチャレンジしたかったら、英語ニュースサイトVOAやBBCの動画を使ってもよいと思います。
◆「文の意味を考えてしまう人」にお勧めのやり方とは?
大切なのは、英語の音の感覚を体得することなので、いきなり難しいものから取り組まないで、意味がわかる簡単なものにチャレンジしましょう。
なお、これまでに読解や文法の学習を中心に取り組んできた人は、どうしても文の意味を考えることに意識がいきやすいのです。
これでは、トレーニングの目的である「英語の音、リズム、抑揚に耳を慣らすこと」ができないので効果が上がりません。
ぜひ、音に意識を向けるようにしてください。どうしても、意味を考えてしまうという方は、まずは意味を考えることだけに集中して聴いてみましょう。
その後、音を取ることに集中する、というふうに2段階にすると、音に意識を向けやすくなります。このように、同じ文を繰り返し聴いていくうちに、音を味わえるようになってきます。
音を味わえるようになってきたら、英語はとても楽しくなります。発音も間違いなく上手くなりますから、英語が伝わりやすくなることも期待できますよ。
【上達法③】「英語ストックノート」を作る
◆良質な表現に触れることで、ひとつ上の表現力が身につく
ビジネスシーンでより良いレベルの英語を使ったり、留学を目指している人など、英語の総合力を高めたい人は、「英語ストックノート」を作ることをお勧めします。このノートは書けば書くほど、英語で読む力、語彙力、表現力が伸びていきます。
あまりにも効果が出るので、日経ウーマンなどの雑誌でも取り上げていただいたほどです。
これは私がケンブリッジの大学院に入る前から取り組んでいたもので、ある程度、英語は扱えるけど、いつも同じ言い回しばかりなので、そこからワンステップ高みを目指したいという人にもお勧めです。
英語に限らず、言語を習得する上で最も大切なことの一つが「良い文章や表現に触れてマネをする」ことです。
良いアウトプットができるようになるためには、良いインプットが欠かせません。
◆タイマーをセットして、ザッと読むクセをつけよう
まずはBBCなどのニュースサイトで気になる文章を読みましょう。関心がある分野の気になるニュースだけでもかまいません。ニュースだと時事的な単語が頻出するため、そのまま会話で使える単語の習得ができて便利です。読みながら、まずは全体の意味をとらえます。
このときに大切なのは、一文一文を訳そうとするのではなく、何を伝えようとしているのかを把握しながら読むこと。
これまでの英語学習の習慣から、訳しながら読むクセがついている人は、タイマーを1分にセットして、ザッと読むクセをつけるといいかもしれません。
丁寧に訳しながら読む習慣が染みついてしまうと、情報処理スピードが遅くなり、リスニング力が伸びなくなってしまうのです。
リスニング時は順番に入ってきた情報を連続的に処理します。英語を返り読みするクセを早々に取ることで、リスニング力も上がっていきます。
◆表現の幅が広がる「検索のコツ」
一通り読んで理解できたら、次に気になる表現を探してみましょう。例えば、BBCの記事の中に、次の文章を見つけたとします。
AnalystssaidashortperiodoffallingpriceswoulddonothingtodamagetheUSeconomy.この中の「woulddonothingto」に注目しましょう。
自分で使える表現として習得したいと思ったら、この部分をノートに書き出します。
次に、〈woulddonothingto〉をGoogleで検索します。そのときに、このフレーズをコーテーションで囲って検索することがポイントです。
そうすると、このwoulddonothingtoがひとかたまりで使われている文章のみが検索結果に並びます。
コーテーションを使わずに検索すると、関係のない検索結果もたくさん表示されるので、必ずコーテーションを入れて検索しましょう。
検索結果には次のような例文が並びます。
Acarbontaxwoulddonothingtohelptheenvironment.(炭素税は、環境の保全には役に立たないだろう)Itwoulddonothingtoeliminatethepoverty.(それは貧困の撲滅には役に立たないだろう)Thepolicywoulddonothingtocurbemissionsgrowth.(その政策は、排出量の増加防止には役に立たないだろう)表現の幅を広げるために、検索結果の文をノートに書き出してみましょう。
その後、自分でも「woulddonothingto」を使って、オリジナルの文を作ってみましょう。
このように、良い文章に触れながらさまざまな表現の仕方を学び、吸収し、自分でも使える表現へと発展させる仕組みを作れば、表現力がどんどん身につくので、日々上達していく喜びを実感することができます。
英文を作るときに不安が生じたら、電子辞書ではなくWeblioやアルクが提供している英辞郎などを利用しましょう。
これらのツールは用例が豊富なうえに、スピーディーかつ柔軟に調べることができるからです。
7朝の〈勝ちパターン〉を決める
◆脳が活性化されるなど、いいことずくめ
朝の20~30分程度の軽い運動はとても効果的で、良いことずくめです。私は5時半に起床し、7時になると有酸素運動をするために30分ほどウォーキングしています。
ケンブリッジ時代にびっくりしたのが、早朝のジムにたくさんの人がいることでした。現地のジムでは24時間営業が一般的で、早朝4時半ぐらいから賑わっています。
朝の運動がもたらす良い効果を知っていて、積極的に生活に取り入れているのでしょう。軽い運動、とりわけ有酸素運動をするメリットはたくさんあります。
第一のメリットとしては脳の活性化につながるということです。特に有酸素運動をすると、血流がアップして脳へ酸素がたっぷりと供給されます。その結果、集中力を発揮しやすくなります。
お勧めしたいのがグリーンエクササイズ、すなわち緑や水を感じられる場所を歩くことです。朝日を浴びることで、セロトニンが分泌されるため、ストレスからくるイライラを抑えることができ心も安定しやすくなるはずです。
グリーンエクササイズがベストだとは思いますが、その環境が身近にないようであれば、室内でラジオ体操やストレッチ、ヨガなどにチャレンジしてみましょう。
脳と心がすっきりして、1日を前向きに過ごす良いスタートを切れるはずです。
◆「朝の勝ちパターン」を決めておこう
朝起きてすぐにエンジンがかからない場合は、とにかく外に出ることをお勧めします。軽い運動をすることで交感神経が優位になり、身体が活動モードになるからです。
ケンブリッジの大学図書館は朝9時に開くので、当時はその時間に着くように家を出ていました。自転車で片道約20分の旅です。この有酸素運動が脳にきくのです。
新鮮な空気をどんどん脳に送り込むことができるので、スッキリした状態で難解な論文を読んだり、論文を書いたりすることができました。
なお、私の生徒さんの中には、毎朝NHKのラジオ体操を自分をアクティベートするためのトリガーとして使っている人もいます。朝6時に起きてシャワーを浴びて、身支度をします。
「身支度はラジオ体操の時間までに終える」と決めることでテキパキと行動することができます。
ラジオ体操が終わったら、「1時間集中して、資格の勉強に取り組む」といった朝の行動パターンを決めており、これが集中力を生む勝ちパターンとなっているのです。
このように朝の行動を決め、自分なりの勝ちパターンをつくり上げておくことで、脳も体も自動的にスイッチが入るようになり、その日の気分に左右されにくくなるはずです。
8気乗りしないときの対処法
◆取りかかるまでは、心が揺らぐもの
「早起きしても、やる気が出ないときがあります。どうしたらいいですか?」これは朝時間を使って勉強しはじめた人が、必ずといっていいほどぶつかる壁の一つです。
こんなとき、くれぐれも「やらないといけないのに、できなかった」「意思力が弱いからダメなんだ」と追い込まないでください。
誰にでも起こりうることですし、取り組むまでは誰でも心が不安定になりやすいのです。私は週に2回ジムに行っていますが、ジムに行く前が最も心が揺らぎます。
やる気がみなぎっているときもあれば、「今日は行かなくてもいいんじゃないか」という思いが頭をよぎることもあります。
ジムに行ってしまえば、やる気は自然と出てきます。「せっかく来たのだから」と思ってエンジンがかかるからです。
◆環境を変えたり、簡単なタスクに取り組もう
気分が乗らないときは無理に自分を動かそうとせず、やりたくなる環境に身を置きましょう。あるいは、計画していたタスクのハードルを落とし、サッとできるタスクに取り組んでみるなど、気持ちを上手に乗せるといいのです。
ケンブリッジ時代、どうしても論文が書けない日は、とにかく図書館に行くということだけを決めていました。朝、9時に図書館が開くと同時に入り、とにかく席に座ります。
それでも気分が乗らないときは、それと関連する別のことをしてみます。
例えば、論文を書くのではなくて、今まで書いたものを読み返してみるのです。そうすると「せっかくだから少しでもやろうか」という気になれるのです。
朝、エンジンをかけるのが、どうしてもしんどいと感じるときは誰にでもあります。自転車と同じで、漕ぎ始めが一番力がいりますよね。
すぐに軽快なスタートを切れればいいのですが、そうならない日だってあります。そこをなんとか乗り切るすべを身につければ、あとはうまく回っていきます。
◆インスタは活用次第で、やる気を生む!
早起きして「今日も頑張るぞ」という気持ちと「今日はあまり気持ちが乗らないな」という気持ちが綱引きを始めたら、とにかく簡単なものに手をつけるようにしましょう。
また気分を高揚させるために、同じ目標を持っている人の行動をチェックするのも一策です。SNSなら、同じような目標や趣味趣向を持っている人を簡単に見つけることができます。なかでもインスタグラムは便利ですね。
ハッシュタグで「早起き」と検索したら、早起きを習慣にしている人の写真やアカウントを見つけることができます。
読書なら「読書」、勉強ならば「勉強」、ダイエットならば「ダイエット」などと入力して検索すれば、自分と同じような目標を持っている人をたくさん見つけることができます。
先述したように、「代理強化」といって、他人が頑張っている姿を見ると、自分も頑張ろうと思えるものです。
とはいえ、ずっとインスタグラムばかり見ていると本末転倒なので、見る時間を決めるなど自分なりのルールをつくり、上手にモチベーションを高めていってください。
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