MENU

第4章育成編利益を生み出すパート社員を育てる仕組み

目次

1 OFFJTの仕組み

パート社員の採用に日数とコストをかけたのですから、入社したらすぐにでも仕事を覚えてもらいたいところですが、私たちは、ここでまたパート社員に育成のための日数をかけています。

配属前に約2週間にわたり、新人研修をOFFJT(OFFtheJobTrainingオフジェイティ。職場外教育。職場を離れて行われる人材教育のこと)で行うのです。これは、一見遠回りのようですが、私たちが、パート社員の戦力化に成功した要因のひとつなのです。

私たちは毎年企業の新入社員研修のお手伝いをしています。大手の企業に伺うと、新入社員の研修期間が3カ月、半年というところもあります。おおむね、配属前に1~2週間研修期間を取り、その間に徹底的に会社の業務、知識、ルールなどを新人に教えています。

わが社では、この仕組みをパート社員の育成に取り入れたのです。この仕組みを話すと、多くの人が、「パート社員の研修を2週間もやるの?」と驚きます。

私たちから、「パート社員への指導はどのようにやられているのですか」と尋ねると、「特にやっていない」「現場に任せている」という返事が大半です。

私たちも以前はそうだったのでよくわかるのですが、パート社員への指導を成り行き任せにすると、期待通りに育つ確率は、2割弱なのです。採用の段階で、今回はいい人が取れたと思っていても、現場に行ったらそうでもなかったということはないでしょうか。

採用当初は、パート社員の意欲も高く、積極的に仕事をしてくれるのですが、仕事に慣れてくると、以下のような問題行動がおきてくるということをよく耳にします。

  • 時間にルーズ、決められたことを守らない
  • 指示した仕事が終わるとボーっとしている
  • 言い訳が多い。できないことがあると人のせいにする
  • ミスをかくして、報告をしない
  • 「やったことがない」「わかりません」という発言が多くなる

これらは、仕事をしていくうえで、障害となることばかりです。パート社員は、自分のこのような行動が、問題であるということに気づいていません。

職場で通用しているので、それでいいと思っています。そして、このような状況を放置しておくと、問題行動があっという間に職場に蔓延してしまいます。私たちは、こういったことを未然に防ぐために、配属前に新人研修を行っています。

会社の業務内容やルール、マナー、期待していることなどの「会社のものさし」をパート社員にしっかりと理解してもらうのです。「会社のものさし」を理解していないと、「自分のものさし」で行動してしまい、そこに問題が発生するからです。

2週間の新人研修の流れは次のとおりです。総務担当者から、入社時に必要な提出書類や就業規則、会社のルール、福利厚生等について、約15分の説明をします。

終了後、2週間の研修がスタートします。新人指導にあてる時間は、1日に約3時間です。私たちは、新人指導の仕事の他にも、いくつかの仕事を担当しています。それらの仕事の調整を図りながら、指導を行うので、1日3時間程度になります。

また、パート社員は週4日勤務のため、4日間×3時間=12時間が、前半の研修時間となります。私たちの都合で時間がとれないときや、パート社員が休んだときには、研修が2週間で終了できない場合があります。そのようなときは、上司に中間報告を入れ、了解を得たうえで研修期間を延長します。

2週間はおおよその目安で、そのときの状況によって判断しています。困ったことやトラブルが発生したとき、誰に相談すればよいのかということが明確になっているので、私たちも安心して新人を指導することができています。

2週間の研修が終了後、上司に報告し、さらにトップに終了の報告を行います。所長面接の日程調整を済ませ、無事面接が終了すると、すべてのOFFJTの研修が終了となります。

2なぜ、パート社員にここまで行うのか

「○○さん、よく連絡くれたね。本当に助かったよ。ありがとう」上司が、1週間前に入社したパート社員に感謝の言葉をかけていました。実は前の日にこんなことがあったのです。

このパート社員が、事務所に1人のときに、お客様から上司宛に電話が入りました。彼女は、上司が外出していること、戻り時刻が5時ごろになるということ、戻ったら折り返し電話することを伝えました。すると、「そうですか。ちょっと、相談したいことがあったんだけど、5時か……」という返事だったそうです。

そこで、「お急ぎですか」と聞きましたが、「特に急がないけど……。そうだね。帰ったら、一応電話をもらおうかな」と電話が終わりました。このあと、彼女は、相手の声の調子や電話の雰囲気を察し、すぐに上司に連絡をとったほうがよいと判断しました。

「○○様ですが、相談したい件があるようなので、一度ご連絡してもらえますか。急がないとはおっしゃっていましたが、念のためご連絡しました」早速、上司が先方に連絡を取ったところ、幹部の教育を考えていて相談したいということでした。

そこで、その日のうちに先方に伺い、話を進め、企画書を提出することになったのです。これは、パート社員が、その場の状況を判断し、機転を利かせ、ビジネスにつなげた一例です。外部の研修を含め、数百名のパート社員の育成に関わってきた私たちは、このような事例をたくさん持っているのです。

2週間の研修の中で、基本を教えたあとに応用として、機転を利かすことについて、たくさんの情報提供をしています。なぜなら、この機転を利かすことが、そのまま利益を生み出すパート社員に結びつくからです。

利益を生み出すパート社員にするためにどんなことを伝えたらいいのか、ということを私たちはずっと悩んでいました。当初は、現場ですぐに役立つビジネスマナーを中心に教えていましたが、ビジネスマナーができるようになっても、こちらの期待する機転を利かすというところまでには、なかなか到達しません。

そこで、ある日、新入社員研修で教えている会社の目的や組織形態など、組織人としての基本をパート社員に、話してみました。すると、今まで働いていた経験もあるので、当然こちらとしては知っていると思っていたのですが、ほとんどの人が忘れている、あるいは知らなかったということを目の当たりにしたのです。

「10年以上前に初めて就職した時と同じくらい〝一〟からの研修を行っていただき、目からうろこでした」というような感想を聞き、基本からしっかりと伝えなければいけないと思った私たちは、グループの各会社の業務内容と相互関係を説明し、さらに、組織の利益と私たちの給料がどのように発生するのか、正しく把握してもらうよう説明しました。

これらをしっかりと教えないと、非常に視野の狭い、断片的な仕事の仕方になると気づいたからです。ビジネスマナー研修のみ(電話の出方、受け方、お茶の出し方)をやっていた当時は、研修後もこんな困ったことが起こっていました。

  • 以前の会社のやり方にいつまでもこだわる
  • 仕事の選り好みをする
  • 自分の都合で仕事を進める
  • 仕事は正確だが、報告がない。報告が遅い
  • 自分の勝手な判断で、報告を省くことがある
  • 不明な点があっても「多分こうだろう」と思い、確認をしないで、仕事を進めてしまう
  • すぐに電話にでない
  • 来客よりも自分の仕事を優先させている
  • 来客への対応が遅い
  • クライアントに対して、友達に話すような馴れ馴れしい言葉づかいをしている
  • 空き時間になると、勝手におしゃべりをはじめてしまう

会社の目的や業務内容、組織形態、利益を生み出すということ、会社がパート社員に期待していることを教えていく中で、困ったことは次第に少なくなりました。

私たちも、組織人としての基本を理解してはじめて、応用にあたる機転を利かすための情報が活きてくるのだと再確認したのです。多くの会社が、利益を生み出すパート社員を育てたいと考えていますが、以前の私たちのように、一番大事なことを伝えていないのではないかと思います。

手を抜かずにパート社員にきちんと教育していくことで、会社の利益を意識し、自ら考え行動できる、そんなパート社員にできるのだと、私たちは実感しています。

3主婦のパート社員に見られる傾向

私たちが、お客様のところで、パート社員を指導していて気づいたことを話すと、うちでもそうだよ、似たようなことがあったよ、ということがよくあります。とくに家庭に入って、仕事を再開するまでの間、ブランクがあるという主婦によく見られる傾向があります。

ある会社から、採用したパート社員の研修依頼を受けました。私たちは、研修前に必ず、相手企業の担当者に、受講生にどんなことを教えてほしいのか、今困っていることは何かを確認するのですが、そこで聞いた内容は、次のようなことでした。

「家庭にいた期間が長い人なので、いろいろとわからないことも多いと思うから、自分からどんどん聞いてほしいのに、なかなかそうしてくれないんですよ。聞かないで仕事を進めるから、ミスも多くなって困っている。仕事を教えている先輩社員も気を使っているんだけれど、うまくいっていない様子でね……。仕事なんだから何でも教わるつもりできちんと聞いてほしい

実際に研修をして、パート社員に話を聞いてみると、双方の思いは違っていました。パート社員は、「確認したいけど、何度も聞くと、先輩に悪いんじゃないかな」「こんなこと聞くと、嫌がられないかな」「嫌な顔されたらどうしよう」と思っていて、聞くことに躊躇していたのでした。

専業主婦として、いろいろ周りに気を使いながら過ごしてきたこともあり、仕事をするようになっても、自然とそのような気遣いをしていたのです。

そこで私たちが、「仕事ですから聞くことは当たり前です。悪いことではないですよ。むしろ会社としては、わからないことをそのままにしないで、どんどん聞いてきちんと理解してほしいと期待しているんですよ」と言うと、ほっとした表情で、「そうでしたか。てっきり迷惑になるかと思っていました」と話してくれました。

研修後、再度会社を訪問した時には、担当者から次のような話がありました。「今は積極的に質問してくれるようになり、仕事のミスも少なくなりました。明るくがんばってくれていますよ。ありがとうございました。次にパート社員を採用したら、今回のようなことがないように、どのように仕事をしてもらいたいのか、最初にきちんと伝えておかなければいけませんね。

そうしないと、お互いの思い込みでうまくいくものもいかなくなりますから」また、私たちの会社では、こんなことがありました。新人パート社員に、「○○市役所に書類を提出してきてください」と仕事の指示を出したときに、2通りの対応がみられました。

Aさん「まだ越してきたばかりで、場所がちょっとわからないんですが……」

Bさん「はい、わかりました。実は、越してきたばかりで、まだ地理がよくわからないので、簡単な地図をかいていただけますか」

これは、仕事の心構えを教えるときにとてもいい事例になっています。つまり、Aさんのようでは困る、Bさんのように、行くにはどうしたらいいか、自ら考えて行動できる人になってほしい。

簡単に「できない、わからない」と言わない。その前に、どうしたらできるか、自ら考えることが大事だと伝えているのです。家庭に長くいると、自分なりの価値基準ができていて、職場の中でも家庭の延長上で行動してしまい、会社の価値基準になかなか合わせることのできない人もいます。

パート社員だから難しいことはできない、パート社員だから無理はできない、できないといえば誰かがやってくれるだろう、こういった本人の思い込みを放置しておくと、他のメンバーにも悪影響が及びます。

以上2つの事例のように、主婦のパート社員にはこういったことが傾向として見られることがあります。このようなことを未然に防ぎ、パート社員が、職場のメンバーと気持ちよく働くために研修期間があります。

家庭に長くいた主婦は、どうしてもビジネス感覚が鈍ります。しかし、期待することをはっきりと伝え、どうすればできるのかを正確に伝えていけば、すぐにビジネス感覚を身につけることができます。

私たちは、お客様の話や日頃の指導を通じて、改めて新人研修の大切さを実感しています。

4この研修で期待されていること

この研修で、新人のパート社員が期待されていることは、「経営者の思い」を正確に理解し、実行に移し、早期戦力として活躍してもらうことです。

具体的には次の9項目です。

  1. 会社の目的・組織形態
  2. 会社の組織風土(どんなことを大事にしているか)
  3. 身だしなみ
  4. 職場のエチケットルール
  5. どんなことが評価されるのか
  6. 仕事の心構え・取り組み方
  7. 仕事の進め方
  8. 報告・連絡・相談
  9. ビジネスマナー(あいさつ・言葉づかい・電話応対・来客応対)

私たちは、この9項目をビジネスの基本としていますが、これがすなわち「経営者の思い」であり、「会社のものさし」なのです。

研修では、できるだけ具体的に「経営者の思い」を話しています。具体的に嚙み砕いて伝えないと、人の思いというものは、他人にはわからないものです。

私たちは、「経営者の思い」をトップに近いレベルで伝えられるように、多くの時間をトップとの打ち合わせに費やしました。途中、教えている内容に変更や追加があった場合や、さらに強化してほしい項目が出てきた場合は、「なぜ変更になるのか」、「なぜさらに強化してほしいのか」など、それらの背景をしっかり理解するためにトップから情報を得ます。

まず自分自身がトップの意向を正確に理解し、そのあと、変更事項については、新人だけでなく、会社全体に伝え、行動の修正を促しています。2週間の研修で、「経営者の思い」を、新人が、「理解し、実践できる」ようにしていくのが、私たちの仕事です。

ここでは、一切会社の実務には触れません。実務はこの基本が身についてから配属先で教わります。それでは、私たちがどのように2週間の研修を行っているか、具体的に説明していきます。

5 1週間目に教えること

まず新人へ指導員の自己紹介を行います。そのあと、新人への期待と、何かわからないことや不安なことがあれば、いつでも聞いてほしい、私たちはいつでも援助していくことを伝え、新人にとって大事な研修であり、真剣に取り組むことをお願いします。研修を始めるにあたり、会社が準備するものは、新人に渡すテキストやレポート用紙、電話応対マニュアル、座席表の4点セットです。

1日目に教えていることで注意をしている点は、会社の組織風土や身だしなみ、職場のエチケットルールは、自己流にならないよう会社の基準に合わせることを明確にします。

これらは、会社によって違いがあります。私たちにとっては、当たり前のことであっても、新人にとっては説明がないとわかりません。新人が戸惑うことのないように情報提供をします。会社の組織風土(この会社が大事にしていること)わが社で大事にしていることは、次の2点です。

  • 気持ちのいいあいさつ
  • 気配り

これは、常々、トップが折に触れ、私たちに話していることです。

「あいさつは、ただするのではなく、『相手が気持ちいい』と感じるあいさつをしてほしい」あいさつひとつで、相手との距離も近くなり、気持ちよく仕事ができます。また、職場の雰囲気も明るくなります。

私たちは、こちらが期待するレベルであいさつができるように、実習を行っています。

「気配り」は、自分の仕事だけ、自分のことだけに集中せず、周りに配慮することを求めています。依頼された仕事が終わったら、周囲に声をかけ、忙しい人の手伝いをする。コピー機の紙が切れたら、そのままにせず補充をする。当たり前のことですが、職場のメンバーが協力し合いながら、気持ちよく働いていくために、次の人のことを考えて行動することをお願いしています。

会社によって、大事にしていることは違います。これは、トップが違うのですから当然です。しかし、新人と接していると、この大事にしていることが、会社によって違うということに、意外と気がついていないと感じます。そのため、以前の会社のやり方をひきずってしまう人がいます。

こういうことを防ぐため、新人にはできるだけ早い段階で、会社の組織風土や職場のエチケットルールをしっかり伝える必要があるのです。身だしなみ身だしなみについては必ず初日に行い、できるだけ早い段階で指導に入ります。

初日の身だしなみを見ると、なかには、これだと困るなという人もいます。これはまだ何も教えていないのですから、仕方のないことだと思います。

そこで初日に、「会社の求める身だしなみ」を具体的に話します。その場で直せるものは直してもらい、翌日にはきちんと対応してもらうようお願いします。

わが社は制服がありますので、着崩したりしないよう、細かく項目をあげて説明しています。服装については、会社によって伝えたい内容は様々でしょう。ある会社の人事の方から、うちの会社では、暗黙のうちに就業時間内はピアス禁止となっているはずなのに、支店によっては、許可しているところもあり、統一ができずに困っているという話を、聞いたことがあります。

やはり、会社の一定のルールとなる、「ここまではしっかり守ってください」というラインを明確にして、早い段階で伝える必要性を感じます。入社してすぐだと、「この会社では、こうしないといけないんだな」と素直に受け止めることができます。

身だしなみやしつけの部分は、時間が経てば経つほど修正がしにくくなります。素直に受け止めることができる初日に指導するのが、一番よいタイミングです。職場のルール一般事務のパート社員として就職した友人が、入社早々、注意を受けた話を聞きました。

自宅で昼食を済ませて、会社に戻ってくると、時刻は午後の仕事が始まる3分前。「よかった、間に合った」とほっとしていたら、先輩パート社員から「○○さん、遅くても5分前には、戻ってくれないと困るのよ。それくらい常識でしょ!」と注意されてしまったとのことです。

「初日から注意されてしまって、ここでやっていけるかなってすごく落ち込んだわ。お昼に行くときに、5分前には戻ってきてねって、言ってくれればいいのに……」と友人は話していました。

その職場で当たり前になっているルール、例えば休憩時間のとり方や、事務用品・備品の取り扱い、廃棄物の取り扱い、携帯電話のマナーなどを最初に伝えておくことは、新人がスムーズに職場に慣れるために大事なことなのです。

また、私たちは、みんなで協力し合いながら仕事をしているので、よりよい人間関係を築いていくための最低限のあいさつとして、「ありがとう」「ごめんなさい」をしっかり言うことも教えています。

2日目に教える4項目

●評価されるポイント
●仕事の心構え
●仕事の進め方
●報告・連絡・相談

これらを伝える目的は、仕事をする上で、会社が期待するレベルを明確にするということです。プラン‐ドゥ‐チェックといった、仕事を進める上での基本は説明しますが、ここでは過去に職場内で発生した事例を多く用いています。困った出来事や上司から注意を受けたことなどを盛り込むことで、単なる情報提供に終わらず、会社が求める基準がより明確になります。

3日目、4日目のビジネスマナーわが社では、こちらが期待するビジネスマナーを、新人ができるようになるまで、電話応対も来客応対もさせません。

それは、お客様にビジネスマナーを指導しているということもあり、スタッフの誰もが、気持ちのいいビジネスマナーを実践できるということが、私たちのブランドになっていると思うからです。

当社に限らず、一人ひとりの応対が、会社のイメージを左右します。自分ひとりぐらい、適当にやっても大丈夫などと思われたら大変です。皆さんの会社では、電話の応対はしっかりできていますか。

●「お電話ありがとうございます。○○でございます」など、電話の出方は統一されていますか。電話に出る人によって、違っていませんか
●電話の第一声は、明るくしっかり言えていますか
●言葉づかいは、ていねいですか
●かかってきた電話には、3回コール以内に出ていますか
●保留にして30秒以上待たせていませんか
●相手の名前をしっかり聞き取り、取次ぎができていますか
●名指し人が不在のときに、「いません」の一言だけで、済ませていませんか

入社して電話機の説明だけして、「じゃあ電話に出てくれる」では、新人も心構えができませんし、なにより、電話をかけてきたお客様に迷惑がかかってしまいます。

感じのよい電話応対は、会社の利益を生み出していくための、大事なビジネスの手段のひとつです。新人がスムーズに電話に出られるように、内線番号を明記した座席表や、電話のかかってくる先のリストなどをあらかじめ作成し、電話に出る前に練習をさせることをおすすめします。

1週間目で身につけさせる4つの行動入社から1週間の間に、新人に必ずやってもらう4つの行動があります。

①しっかり反応(返事やうなずき)を示す
②伝えたことを必ずメモに取る
③その日に伝えたことを、必ず家でまとめてくる
④不明な点は、できるだけ早い段階で質問し、必ず解決する

これらは、すべて仕事に取り組む姿勢に通じることです。これが身についていると、実務を教わるときに、スムーズに習得することができます。「なんだ、そんなこと?簡単じゃないか」と思うかも知れません。

しかし、これを徹底することで、弊社では、格段に研修効果を上げることができるようになりました。このことは最初から徹底していたわけではありません。新人研修を始めてから10数年になりますが、始めたころは私たちも不慣れだったこともあり、各々の新人のレベルに任せていたところがありました。例えば、

●私たちの話に、しっかりとうなずきや返事をして聞いている人と、反応が弱く、こちらが聞いて確認しなければいけない人
●しっかりメモを取りながら説明を聞く人と、「メモを取らなくて大丈夫?」と言わないとメモがとれない人
●教わった内容を自主的にまとめて整理してくる人と、あちらこちらに書きとめたままで整理をしない人

研修をしながら、困った新人の行動が気になりましたが、「入社したばかりだから、あまりあれこれ細かく言うといやになってしまうかも」という気持ちもあり、「わかった?」「メモはちゃんと取ってね」「教えたことは忘れないようにしておいてね」と、言葉をかけただけで終わっていました。

私たちは、この時点で研修の本来の意味を理解できていなかったのです。真の目的である、「新人が、経営者の思いを正確に理解し、実行に移し、早期戦力となるための研修」が、ただの「新人に仕事の基本を教える研修」になっていたのです。

そして、案の定、困ったことが起きました。それは、新人同士の習得度の差です。以前教えた内容を振り返ってみると、1人はノートに整理しているので、すぐに対応できます。しかし、もう1人は、教えたことが記憶にも記録にも残っていないため、対応できないのです。

2名がほぼ同時期に研修を始めても、数日間の研修で、すでに習得の差が生じていたのです。研修を同時に始め、同じ情報を伝えていても習得に差が出てしまう。私たちは正直困りました。

同じ時間を割いて指導するのであれば、効率よくできるだけ同レベルで理解させるようにしたい、そのためにはどうしたらいいか。このことを真剣に考えました。

そして、悩んだ末、ある共通点を見つけました。それは、習得の速い新人が、みんな似たような行動をとっていたのです。実は、それが先にも挙げた4点だったのです。これを新人全員にやってもらおう。そう考えた私たちは、早速実行に移しました。

①しっかり反応(返事やうなずき)を示す

「反応を示す」など今更言うことでもないのでは、と思うかもしれませんが、これは大変重要です。「聞かれたら返事をする」こんなことは、ごくごく当たり前のことです。しかし、この当たり前のことができない人が多いのです。

私たちは、毎年多くの企業の新入社員研修をしていますが、ここ数年この反応が弱くなっているように感じます。新入社員は多くの知識を身に付けていて、資格や高い能力を持っているのですが、ごく当たり前と思われる反応(返事、うなずき)が弱いのです。

これは、新卒の新人に限らず、採用したパート社員にも見られることです。そこで、私たちの研修では、意識して返事やうなずきをするように教え、反応を示すことのメリットや、反応が弱いことのデメリットを明確に説明します。

②伝えたことを必ずメモに取る

研修中に私たちが何も言わなくても、メモを取りながら話を聞くことのできる人は、全体のおよそ1~2割です。前半の1週間は、言葉での情報提供が主になるので、何が大事か、どのようなことが求められているのか、教わったことを後になって見直すことができるように、メモを取ることを促します。これも訓練なので、言われなくてもメモが取れるようになるまで、「メモを取ってください」と指導員が繰り返し指導をします。

③その日に伝えたことを、必ず家でまとめてくる

これは、本人の実力をつけるうえでも大変効果的な方法です。研修中に書き留めたメモを、その日のうちに自宅でノートに整理するのです。整理をする過程で、自分自身の理解度を確認することができます。これを行うことが、研修の中でも、ひとつのハードルとなっています。以前このようなことがありました。

指導員「その日に伝えたことは必ず家でまとめてきてくださいね」

新人「はい」

次の日、ノートを見ると整理していません。

指導員「まとめてくるようお願いしましたが、忘れていましたか?」

新人「はい、すみません」

指導員「では、今日は忘れずにまとめてきてくださいね」

新人「はい。わかりました」

多くの場合1~2回注意すると、まとめてきてくれるのですが、それでもやってこない人がいます。

理由を聞くとこのように答えます。「やろうと思っても、家に帰るといろいろやることがあって、まとめる時間がないんです」ここで、私たちは、次のように話します。

「この研修は、あなたのための研修です。あなた自身が、この会社で期待に応えて、評価されるように情報提供をしています。しっかり自分のものにするために、まとめながら復習をしてほしいのです。ノートにまとめることは、入社した方全員にやってもらっています。ぜひあなたも真剣に取り組んでください」ここでは、よほどのことがない限り、例外を認めていません。

この会社では妥協は許されない、言われたことは確実にやらなければならない、「やれなかった」と言ってしまえばそれが通る会社ではない、ということをしっかり認識してもらっています。

④不明な点は、できるだけ早い段階で質問し、必ず解決する

これは、実務を習得するときに大変重要なポイントになります。わからないことは、できるだけ早く解決するという姿勢を、ここで身につけてもらうのです。

私たちは、新人に「わからないところがあれば、必ず次の朝に質問してください」と伝えています。教える内容も大切ですが、まずその前に、新人の教わる姿勢を整えることも重要だと実感しています。

62週間目に行うこと

前半の1週間の研修が終了後、いよいよここから実践に移ります。場所も会議室から、私たちの席の隣に移ります。この2週間目は、自動車学校で言えば路上検定になります。

研修方法は、情報提供から一転し、実際の日常業務を私たちと一緒に行いながら、確認や修正をしていく、「業務並行指導」となります。ここで、新人が整理したノートが活躍することになります。コピー取りや書類整理、簡単な文書作成などの指示を受けながら、電話の応対や来客応対などを実践していきます。

電話応対は、次のように進めます。私たちは、他のメンバーへ、新人が優先的に電話に出られるように協力をお願いします。というのも、全員電話に出るのが早いため、新人が電話に出る機会が少なくなってしまうからです。私たちは、新人の電話応対を横で聞きながら、フォローをします。

「今の応対でいいですよ。気持ちの良い応対ができていましたね」「メモが取れて、復唱確認も落ち着いてできていましたね。それでいいですよ」「昨日より内線への取次ぎがスムーズにできましたね。お客様を待たせなくなりましたね」と、できていることは具体的にほめるようにしています。

改善してほしい点についても「○○さん。今の電話応対だと困るわ」では、何が困るのか、新人はわかりません。何がどのように困るのかを具体的に伝えます。「昨日より、電話に出るのが早くなりましたね。あと説明が早口になっていたので、お客様が聞き取りづらかったかもしれないですね。もう少しゆっくり話すと、お客様も聞きやすいですよ。この次は、そこを意識してやってみましょう」と、まず良いところをほめたあと、改善点を伝えます。

教わったことを実践したあとは、「今のやり方でよかっただろうか」と不安になるものです。そこをきちんとフォローすると自信につながり、電話にも積極的に出られるようになります。電話にまつわることをもうひとつ紹介します。

これは、私たちの会社で発生した、トップが会議中のときの失敗談です。会議中の場合の対応は、様々です。「重要な会議なので、一切電話は取次がないように」「○○社から電話があったら、すぐにまわして」「電話があったら内線でまわしていいよ」こういったことも、一定のルールを決めて対応しないと、トラブルが発生します。

その日は、トップから「重要な会議なので電話は取次がないこと」と言われていました。そこに、トップへ顧客のS氏から電話が入りました。新人パート社員のAさんは、ただいま会議中で、終わり次第連絡を入れるということを伝えましたが、「急いでるんだよ。ちょっとでいいから代わってくれ。すぐ終わるから」と言われ、トップに電話をつなぎました。

そのあと、また同じS氏から電話が入りました。次に、電話を受けたのは、ベテランパート社員のBさんです。Bさんは、先ほどS氏から電話があったことを知りません。今、重要な会議をやっているから電話には出られないと判断し、機転を利かし、ただいま外出中と伝えました。

そんなちぐはぐな対応に、S氏は激怒しました。「今、いたじゃないか。電話で話したばっかりだ!」と、クレームになってしまったのです。実際問題このように、出る人によって、応対が変わってしまったら、信用問題になります。

そこで私たちは、全員が同じ対応ができるように、電話応対のオリジナルマニュアルを作成し、周知徹底を図ったのです。そのあとは、スタッフ全員戸惑うこともなく、安心して電話応対ができるようになりました。

それまでは、「何てお答えしたらいいかしら」と受話器を持ったまま、困っていたこともありましたが、そういうこともなくなりました。会社でよく起こりがちなことについては、簡単なものでもいいので、マニュアルを作成しておくことをおすすめします。

2週間目で、特に私たちが気をつけているのが、報告・連絡・相談の「報連相」です。これに関しては、確実にできるレベルまで指導します。「報連相」は大事、ということは誰でも知っています。

しかし、いつ・どのタイミングで行えばよいのかを、理解している人は多くありません。頭では理解していても、どのように行動すればよいのかわかっていないので、結局できないのです。

私たちが、講師を担当した企業研修で、「上司に『頼んだアレ、どうなってる?』と言われたことのある人」と問いかけると、ほぼ100%の人が手を挙げます。今度は部下のいる人に、「部下に『頼んだアレ、どうなってる?』と聞いたことのある人」と問いかけると、こちらもほぼ100%の人が手を挙げます。

上司が「きちんと報告してほしい」と思っているのに対し、部下は「これぐらい報告しなくてもいいか」と思っているのが、よくわかります。現在、当社では、「あれ、どうなっている?」と聞かれたら、それは報告不足ということ、言われたら「シマッタ!!」と思ってくださいと明確に教えています。また、依頼された仕事は、必ず「できました」という報告を入れる。上司がいなければメモを書く。仕事は報告ができたところで終了となり、ここまでがあなたの仕事であるということを伝え、この2週間目で、徹底して実行させています。

新人指導をする中で、トップからこういったことも、ちゃんと報告するようにと依頼された案件があります。

①「今日休んでいるAさんにもスケジュール変更の件、しっかり伝えといて」とスタッフに頼んだときに、「Aさんに伝えました」という報告があったためしがない。大事なことだと、ちゃんと伝えてくれたか気になる。報告をあげてほしい。

②出かけるときに「今日、もしかしたら○○工業さんから、打ち合わせの連絡が入るかもしれません。そのときは内容を聞いておいてください」とスタッフに声をかけると、連絡があった場合はメモがあるが、連絡がないと何も報告がない。「本日は連絡がありませんでした」という報告をあげてほしい。確かに言われてみると、この2つの事例について、報告がしっかりできるという人は、非常に少ないのが現実です。

上司の立場から見ると、こういった報告がしっかりできていると、状況がわかるので安心です。報告をこまめにあげてくれる部下には、安心して仕事を任せられます。そしてそれは、部下との信頼関係につながります。

そのため、パート社員に「報連相」に手を抜かないことと、繰り返し教えています。また、とくに「伝えておいてね」ということは、働く時間帯の違うパート社員を多く抱えている会社では、注意が必要です。

連絡事項がきちんと伝わっていないと、「私は聞いていません」ということになり、パート社員のモラルダウンにつながるからです。限られた時間の中で円滑に働くためには、「報連相」をまめに行うことが大切です。

勤務時間が短いパート社員ですと、上司と顔をあわせる時間も少なく、確認が遅れ、仕事に支障をきたすこともあります。パート社員というと、どうしても現場での作業が中心になってしまうのですが、作業以外にも、このようなことをきちんとやってほしいと、最初に情報提供をすることで、行動できるようになります。

またこのようにパート社員が行動することで、パート社員自身の評価が高まり、モチベーションを高めることができるのです。

7なぜ、2週間の指導が効果的なのか

「電話応対」や「報連相」の具体例を話しましたが、2週間の研修を行うメリットは、情報提供だけで終わらずに、理解したことをしっかり実践できるか確認し、行動を修正できることです。頭で理解したことを行動に移せる人は、残念ながら少数です。

しかし、2週間という時間があることで、確実に行動できるようにしていくことができるのです。私たちは、企業研修や公開セミナーを行っていますが、研修だとその場で終わりになります。そのあとのことは、それぞれの会社にお願いすることになり、受講者の様子を見ることもなかなかできません。

しかし、この2週間の研修では、直接、指導する私たちが、できているかどうかをきちんと見極めることができます。さらに、できていないことに関しては、行動の修正もでき、確実に成果に結びつけることができます。そうはいうものの、私たちも指導を行う中で、たくさんの失敗をしてきました。当初にやってしまった失敗をひとつ紹介します。

新人のCさんに、お茶出しの指導をしているときのことです。関「Cさんは以前の会社でも、よくお茶は出していたほう?」Cさん「はい、お客様も多かったので、毎日出していました。お客様からもおいしいお茶ありがとうって言われたこともあります。結構得意なほうですね」そんな自信たっぷりの口調につい油断してしまい、細かな注意点の説明を省いてしまいました。

数日たったある日、お客様へのお茶出しをCさんにお願いしました。きちんと出せたかどうか、後方から確認すると、お客様の書類の上に茶たくが置かれていました。「まずい!」と思ったと同時に、接客中の上司から、「ちょっとフキンを持ってきて!」と厳しい声がかかりました。

慌てて持っていくと、お客様の書類が濡れていました。書類の上に茶たくが置かれているばかりでなく、茶たくの底も濡れていたのです。お客様が帰ったあと、すぐさま上司に呼ばれました。

「関さん。Cさんに何を教えてるの!今のようなことをされると困るよ」私は返す言葉もありませんでした。Cさんが、お茶出しは得意だと言っていたので……など言えるはずもありません。「申し訳ございません。もう一度指導します」と、すぐに会議室で指導を始めました。

このことから、相手の言うことを鵜呑みにしない、指導をするときに手を抜かないということを肝に銘じました。現在は、新人が以前経験があるということでも、教えるべきことはしっかり教え、再確認をしてもらうように徹底しています。

新人の「知っている」「できる」のレベルと、会社側の求めるレベルと一致しているか、すり合わせをすることが大切です。

2週間という時間があると、指導する側の情報提供が、不十分だった場合に起こる問題にも対処することができるのです。この2週間の研修を通じて、新人は利益を生み出していくための、基本的姿勢を身につけることができます。

これを身につけておくと、実務に入ったときに、実務の指導者が大変助かります。以前は、現場から、研修を早く終わらせてほしいとよく言われていました。

しかし、今では、研修を中途半端で終わらせると、実務指導が、かえって大変になるということで、期間が延びてもいいので、しっかり研修をやってほしいと言われています。

8新人が、スムーズに会社に溶け込めるようにするには

小さな子供のいるパート社員が、入社してきたときには、2週間の研修期間の間に休みを取るということが多くあります。これはどういうことかというと、パート社員として働くことにより、本人の環境や生活パターンは大きく変化します。

今までは子供中心であった生活が、しばらくの間、仕事中心になります。この影響は、家族にも及びます。特に小さな子供は、その変化を敏感に感じとり、急に熱を出したり、病気になったりすることがあります。

子供にとっては、自分中心であってほしいのです。私たちは、このことを当然のことと捉えているので、パート社員には、無理をしないようにアドバイスをしています。

新人にとっては、子供の病気は思いもよらないことです。入社して間もない状態で、「休みをください」とは誰もが言いにくいことです。

しかし、ここで無理をしてしまうと、子供の病気が長引いたり、短期間の間に何度も病気を繰り返すことになります。このようなことが続くと、最悪の場合、会社を辞めることにもなりかねません。

そこで、私たちは、積極的に休んでくださいと声をかけています。しっかりと休んで、子供に関わり、子供を安心させることでこの問題は解決できます。

ここではきちんと休むことが大事なのです。「パート社員はあてにならない」「パート社員は忙しいときに休む」ということをよく耳にします。

仕事が忙しくなり、子供に対する配慮が行き届かなくなると、小さな子供は熱を出して、母親の関心をひこうとすることがあります。

あらかじめこういうことを想定して、仕組みを作ることが、パート社員育成のベースになっているのです。このほかにも私たちは、新人がスムーズに会社に溶け込めるように、いくつか心配りをしています。

まず、研修当初は、新人の様子に気を配るようにしています。新人にとっては、慣れない環境の中で、不安も緊張もあるので、少しでも雰囲気に慣れさせるよう、こちらからいろいろ声をかけます。

「昨日はゆっくり眠れましたか?」「不安なことがあったら、なんでも聞いてくださいね」「緊張や気遣いで、最初は疲れると思うけれど、じきに慣れますよ。私もそうでしたから」私たちも同じように新人時代がありました。慣れない環境の中で随分疲れてしまい、入社して2日間ぐらいは、食事がのどを通らなかったことを今でも覚えています。

そのようなときには、周りから少し声をかけられることで、緊張がほぐれ、雰囲気に慣れたりするものです。それと同時に、プラスの言葉がけを多くするよう心がけています。

教えたことがやれていれば、「しっかり報告ができていますね」「そのやりかたでいいですよ」、とできたことをほめます。気になるところがあり、注意するときには、新人がどこを直したらよいのか、具体的に伝え、必ずそのあとの様子に目を配ります。

そして、直すことができていたら、「できるようになったね」とほめています。新人は、ほめられていくことで、自信を持ち、やる気をアップさせていきます。指導というと、上からものを言うイメージがありますが、私たちは、新人の立場に立って、配慮していくことが大切だと感じています。

9困ったパート社員への対応

私たちが研修をする中で、今までに「ちょっと困ったな」と思う人もいました。過去の例で言えば、こんな人たちです。

  • 「こんなことは知っています」と発言し、研修に対して真剣ではない態度が目につく人
  • 人の話を最後まで聞かず、おおかたわかったと判断すると、「はいはい、わかりました、わかりました」と途中で話を切り上げようとする人
  • 相手によって態度を変える人研修をしていて、このように「おや?」と感じたら、まず私たちのほうで、注意やアドバイスをします。このことは、上司に必ず報告します。

「○○さんですが、研修内容に対して、軽く受け流すような態度が目につきましたので、昨日注意をしました。しばらく様子を見たいと思います」また、報告と同時に相談ももちかけます。

「○○さんですが、相手によって態度を変えるところがあるように見えます。私の気のせいかもしれませんので、少し様子を見ていただけますか」このように、研修中に私たちが新人の様子を見て、「まずいな」と感じたことは、そのままにせず、早めに手を打ち、上司に報告をします。

状況に応じて、上司にも様子を見てもらえるように相談し、情報を上司と共有化できるように対応しています。この仕組みがあり、上司の協力を得られていることで、私たちも安心して指導ができています。

状況が改善されない場合は、上司から個人面接で指導をしてもらいます。人の問題は、ほうっておくと大きなトラブルに発展します。「おや?」と感じたことをそのままにせず、なぜそう感じたのか、その原因を確認し、早い段階で手を打つことが大切です。

10トップとの最終面接

2週間の新人研修が終了すると、新人は、トップとの最終面接があります。私たちは、トップへ新人の様子について報告し、最終面接の日程を確認します。

トップは、期待どおりの育成ができたか確認し、状況や様子を聞いたうえで、面接を行います。最終面接は、時間にして約10~20分程度です。

面接の内容は、会計事務所へ配属する前に、新人に「どのように働いてほしいのか」を改めて説明し、仕事の取り組み姿勢・考え方を再確認します。

トップからは、「勤務時間は5時間と短いですが、仕事への期待は正社員と同じと考えています。常に物事には二面性があるので、プラス思考で考えてもらいたい。困難と思われることでも、できない理由をあげる前に、どうしたら実現できるのか、どんな方法があるかを考えられる姿勢で、仕事に取り組んでほしい。そして○○さんにも、この会計事務所を少しでも良くしようという気持ちで、長く働いてほしいと思っています。期待しています」と伝えられています。

また、同時に仕事の要になる守秘義務・法令順守についても、トップが直接説明します。この最終面接は、どんなに忙しくても必ず時間を作って行っています。

その理由は、たった10~20分の面接でも、その効果は大変大きいからです。面接を受けた新人の多くは、このように話しています。

「研修の卒業面接のようで緊張しましたが、期待されていることやがんばってほしい点などを聞くことができ、気持ちを新たにしました」「パート社員なので、まさか最後にもう一度、トップと面接するとは思いませんでした。期待されていることを感じました」

パート社員にとって、トップと1対1で話せる機会はあまりありません。最後にトップとの面接をすることで、新人の気持ちもぐっと引き締まり、パート社員にやる気と責任感が生まれてくるのだと思います。

11新人研修を終えて

2週間の研修で、私たちが新人に対し、指導していることを話してきました。新人が、仕事の基本を身につけ、現場で成長していく姿を見るのが、私たちにとっても一番うれしく、また仕事の動機付けになっています。新人研修の最後に行った、スタッフへのアンケート「入社後の指導教育についての印象は?」への回答を見ていただきたいと思います。

●パートとしての採用で研修があるのには驚きましたが、改めてマナー等の指導を受けることができて勉強になりました。お客様や社内での応対がスムーズにできると思いました。

●自分に不足している、社会人としてのマナーを厳しく指導してもらえ、ありがたく、また、一生の財産になると思っています。

●初めは覚えなくてはいけないことがあって、大変だな、大丈夫かなと不安でした。でもレベルと質の高さに驚き、お給料をいただきながら、この研修を受けられるのはラッキーだと思うようになりました。

●入社の時に1人だったため、マンツーマンの教育にとても緊張しました。今まで事務職を10年以上してきましたが、自分の仕事に対する姿勢の甘さや、マナーの悪さを痛感した期間でした。

●今までに入社教育をここまできちんと受けた経験がなく、ありがたく思いました。「パート」というのは、「就業時間の短い社員」ということを日々実感しています。厳しく大変なこともありますが、充実しています。

●職業人として、土台作りが重要なことが十分わかりました。皆さん、その土台がしっかりできているから、今の社内のいい雰囲気ができたのだと思います。

●指導の根底にあるものが、とてもしっかりしていて、ぶれていないのでわかりやすかったです。自分の良い点、悪い点を的確にアドバイスしてもらえ、とてもよかったです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次