❹例外パターンをつくるステップ
理想の生活習慣を描く理由
理想のスケジュールを描くことには、3つの目的があります。
- 1つ目は、自分の理想の生活習慣を明確にする
- 2つ目は、センターピンとボトルネックを特定する
- 3つ目は、イレギュラーが起きても柔軟に軌道修正できるようにする
すでにお伝えしたように、起きる時間と寝る時間は生活習慣によって決定されます。
よって、全体を「見える化」して、何をどのように変えていくのかを明確にしない限り、いつもの生活習慣に逆戻りしてしまうのです。では、理想のスケジュールを描くコツをご紹介します。
理想の生活習慣は感情からスタートする
ここで、早起きの究極の目的を確認したいと思います。それは、「充実した毎日」を送ることです。
人それぞれ「余裕のある生活をしたい」「自己投資の時間をつくりたい」「家族との時間が欲しい」「仕事を効率化して成果をあげたい」など動機は異なります。
刺激が欲しい人、リラックスしたい人、繋がりが欲しい人、成長感を覚えたい人、静けさが欲しい人など、その理由によってバラバラでしょう。
ただ、いずれにしろ充実の基準は、前日を振り返って「昨日はいい1日だったなー」と言えるかどうかです。
ただし、仕事のある日は充実していなくて、休日は遊んで充実していたということでは、充実した毎日を送っているとはいえません。
平日に充実感を得ていないと、1年のうち60%以上は不満足ということになります。さらに、この充実感を考える上で、短期と中長期の両方の視点が必要です。
たとえば、夜に友だちとワイワイ盛り上がって楽しかったという一時的なことだけではなく、「その生活を3年続けたら未来の自分が輝くだろう!」という中長期の視点も重要なのです。
つまり「今日とても楽しい」という満足感と、将来の自分への期待感を合わせて、はじめて充実感と呼べるのです。この充実感は、感情を細かく見ていくことが鍵となります。
あなたはどのような感情生活を送りたいですか?まず、負の生活習慣から想像してみましょう。
〈負の生活習慣から受ける感情〉
- □バタバタ準備をして「焦る」
- □遅刻しないかどうか「不安」
- □駅まで走って汗びっしょりで「不快感」
- □電車が遅れて「イライラ」
- □会社にギリギリに到着して「疲労感」
- □朝一番に準備するまもなく突発業務で「振り回され感」
- □寝不足で集中力がなく「倦怠感」
- □人よりも長く残業して「劣等感」
- □家に帰って甘いものを食べてしまい「自己嫌悪感」
このような感情を味わっていないでしょうか?ともすれば、私たちは日々の感情に鈍くなって、苦痛だけれどそれを麻痺させてしまい、なんとなく毎日を送りがちです。
しかし、生活の悪循環を断ち切れば、感情は次のように変わります。
〈よい生活習慣で得る感情〉
- □朝30分余裕を持って家を出る「ゆとり」
- □朝勉強する時間が持てる「成長感」
- □駅までゆっくりリラックスして太陽の光を浴びて歩く「爽快感」
- □電車が遅れても吸収できる「余裕」
- □会社に30分前に到着して準備ができる「自己肯定感」
- □充分寝ているのでみなぎるエネルギーがある「活力感」
- □人より早く仕事を終わらせて帰る「優越感」
- □早く帰って好きなことをする「ワクワク感」
- □寝るまでにヨガをして「リラックス感」
このような感情を味わう生活ができます。
この充実感は人によって構成要素が違うので、自分なりにどのような感情を味わいたいのかを考えながら生活習慣を描くと満足いくものが描けます。
あなたも次の図のような感情ポートフォリオを描いてみましょう。この感情ポートフォリオが理想の生活習慣を描く上での土台になります。

朝、得たい感情は何でしょうか?夜、得たい感情は何でしょうか?感情生活という観点から習慣を考えていきましょう。感情を分析するのが難しい人は、行動から逆算してもいいでしょう。
何をしているときに充実感を覚えるでしょうか?どのような感情を避けて、どのような感情で満たされたいですか?主な感情は次のようなものです。
1日で避けたい感情焦り・不安・イライラ・不快感・疲労感・振り回され感・倦怠感・劣等感・自己嫌悪感・孤独感・退屈・つまらなさ・不自由感・絶望感・停滞感1日で得たい感情ゆとり・余裕・達成感・静けさ・リラックス・楽しさ・繋がり・成長感・ワクワク感・爽快感・刺激・驚き・自己肯定感・笑い・希望・安心感・多幸感・優越感・充足感いずれにしろ、「何をしているときに充実感を覚えられるか」が重要です。
たとえば、知らないことを学んでいるとき、英語の学習をしているとき、朝早起きして自分のやりたいことをやったとき、ジョギングしたときなど。
そして、この行動から、どんな感情を味わって満足しているのかを感じてみてください。おそらく中には、感情よりも行動が充実していればいいだろう、という方もいることでしょう。
それでも私は、感情に目を向けることを強くおすすめします。充実感という感情は、複合的な感情の結果なのです。
たとえば「最近、充実感がない」と相談されても、どの感情が満たされていないのかよくわからないことが多いのです。
私はこれを「感情の因数分解」と言っていますが、どんな感情が満たされていないのかということに敏感になると、結果「充実感」に辿りつけるようになります。
感情のポートフォリオを描き、理想の1日を設計して実践し、また修正する。この繰り返しによって、自分の感情と理想の生活について敏感になっていけるのです。
それでは、以上のことを踏まえて、これから、理想の生活習慣を描き、自分にとって最適な生活習慣と、それに移行する方法を5つのステップで見ていきましょう。
具体的には次のステップになります。
- ステップ1.理想の生活習慣を描く
- ステップ2.現状の生活習慣を把握する
- ステップ3.ギャップを明確にする
- ステップ4.例外パターンをつくる
- ステップ5.ベビーステップで始める
それでは、1つずつ見ていきます。
ステップ❶理想の生活習慣を描く
理想の生活習慣とは、次のような内容を描くことです。

これを見ると、「こんな機械みたいな生活できないよ」「」「」などと思うかもしれません。しかしそれは、「このスケジュールを完璧に守らなければいけない」と思っているからでしょう。
私自身も、理想のスケジュール通りに生活していない日はたくさんあります。また、その必要もありません。
ただ、生活リズムを最高の状態に維持するために、絶対に守らなければならない時間と、そうでない時間があります。それをきちんと押さえておくために書くのです。
何度も描き直して最適化することで理想が磨かれ、充実感のある毎日の理想図ができ上がります。そもそも理想が不明確だと、自分の生活をどのように変えていいかわかりません。
それでは実際に、理想のスケジュールを描いていきましょう。
理想の生活習慣を考えるためには、3つのポイントがあります。
ポイント1.現状を一旦脇に置いて理想を描くこと
現状、仕事の終了時間が23時でも、本当の理想が19時退社なら、そのスケジュールで描いてみてください。どうすればいいかは後で考えていきます。
理想を低い充実感のものに設定すると、がんばって実現しても得られる満足感が低くなってしまいます。
ポイント2.緊急ではないが重要なことから埋めること
ここで大切なのは、早起きはあくまで手段なので、どのような行動を盛り込めば充実感が得られるかを考えることです。
そこで、時間がなくて先延ばしにしていること、緊急性はないけれど重要なことを先に埋めていってください。
自分が大切にしたいけど、できていないことです。たとえば、ジョギング、英語の学習、リラックスタイム、自己対話、日記などです。
これが習慣として回り続ければ、「1日を振り返ったときに満足できる」「1年後、3年後に自分が輝けるという期待感が持てる!」そんな理想のために必要なものをまず埋めていきましょう。
順番は、寝る時間、起きる時間から描き始め、朝と夜の時間の使い方(自分にとって重要なこと)を描き、最後に出社と退社時間を決めます。
仕事の時間を最後に描くのは、仕事は最適化して短縮できるからです。
何かを効率化しなければ、最終的に24時間というコップの中に多くのものを注ぎ込むことはできません。
第5章で、成果を高め、同時により短く働く「高密度仕事術」をご紹介しますので、ここでは理想の退社時間を最後に設定してください。
まずは理想を広げることが大切です。
ポイント3.充実感を得られるか検証すること
先ほど、朝に得たい感情、夜に得たい感情を明確にしたので、それをベースに理想的かどうか検証してください。実際にやってみると、必ず感情を味わえるはずです。
充実感が高いと思った日にヒントがあり、まったく充実感を覚えない日にもヒントがあるのです。行動してみないと、わからないことはたくさんあります。まずは仮説だと思って気軽に楽しみながら描いてみてください。
〈準備するもの〉
・A4のシート(スケジュールをエクセルで作成するか、弊社のホームページからダウンロード。詳しくは「おわりに」をご覧ください)
・鉛筆か消せるボールペン
・3色以上のマーカー
それでは、イメージを明確にするために、「はじめに」でご紹介した3人の理想のスケジュールをご紹介しましょう。
なお、ここでは、複数の新習慣が入っていて構いません。習慣化のプロセスで強弱をつけて扱っていきます。残業が多いAさんの理想のスケジュール

普段、残業の多いAさんは、なんとか仕事時間を短くし、充分な睡眠と、入浴後のリラックスのためにストレッチ・瞑想をする時間を確保しています。
いつもギリギリに出社して時間に追われているので、感情ニーズとしては、リラックス・余裕をもつことがキーワード。これで理想のスケジュールをつくりました。
朝食・身支度も以前は30分でバタバタだったのが、1時間確保することで、朝は余裕をもって出発できます。スマホ・ネット依存のB子さんの理想のスケジュール

B子さんは、学びと爽快感をテーマに理想のスケジュールをつくりました。
スマホ・ネットサーフィンをしてしまう生活から抜け出して、有意義な生活を送るというスケジュールです。
朝は、起きてから野菜ソムリエの資格試験の勉強をしたいとのこと。夜は爽快感を得るために、ジョギングや読書を楽しみます。
また、しっかり眠くなるように夕涼みをしながら、彼氏と電話をするというのが理想です。飲み会や家族の予定が多いCさんの理想のスケジュール

Cさんは家族がいるので、テーマは愛と繋がり。そのために、家族との団らんの時間をつくるように描きました。子どもはまだ小学生。この可愛い時期に、一緒に話をするという時間を取ることは絶対に優先したい。
また、妻と平日にゆっくりと話をする時間もないので、子どもを寝かしつけた後、妻の話を聞くことで夫婦間の関係をよくし、すれ違いをなくすようにしたいと思っています。このように、理想の生活習慣を描くことで、自分が何を求めているのかが明確になります。
多くの場合は、この理想が不明確なために、うまく生活習慣を変えられないというのが実態です。理想が明確になれば、少しずつそこに合わせていけばいいのです。まずは夢いっぱいの理想の生活習慣を描いてみましょう。
ステップ❷現状の生活習慣を把握する
次におこなうのは、現状の生活習慣を描くことです。もちろん日によって異なりますが、ここではシンプルに考えるために、平均的な平日の生活リズムを書くことにしましょう。
目的は理想との比較にあるので、あまり細かい部分はこだわらないようにします。
- □現状、何時に寝て、何時に起きているでしょうか?
- □仕事を始める時間、終える時間は何時でしょうか?
- □朝起きてやっていること、夜帰ってやっていることは何ですか?
このような問いをもとに描いてください。
ステップ❸ギャップを明確にする
理想と現状が明確になったところで、比較をしたいと思います。
ここで色分けをして、何が理想との大きなズレのポイントなのか、センターピンとボトルネックを改めて明確にしていきます。
センターピンとは、好循環を生み出すための守るべき行動やルール、ボトルネックとは、悪循環に引き戻す要因です。
理想と現実のスケジュールを比較することで、真のポイントが見えてきます。3人のケースをもとに見ていきましょう。
AさんのケースAさんのギャップは、明らかに働く時間です。現状、会社に14時間半いるのを11時間半に縮める。
つまり、3時間をどのように短くするかがテーマです。単純に「がんばる!」ではダメです。
現状の仕事を明らかにして、何が生産性を悪くしているのかを知り、それに応じて対策を講じていく必要があります。
そのためには、仕事の高密度化が必要です。これは第5章の「高密度仕事術」で詳しく扱っていきます。
よって、Aさんのセンターピンは「帰宅時間を守ること」です。19時半で仕事を終えるためにどうするかを、徹底して工夫することが理想のスケジュールに移行するための鍵です。
それを実現するために対処すべきボトルネックは、「緊急対応の仕事」「無計画に仕事をすること」「部下からの長い相談」です。
対策としては、「依頼されるがままにすぐ手をつけず、待てる納期を確認する」「計画を朝一番で立てる」「部下の相談が短くなるよう工夫する」ことを考えています。

B子さんのケースB子さんの場合は、1時間の早起きをすること、夜のネット・スマホをやめることがポイントです。悪い習慣にも精神的なベネフィットがあります。
1人暮らしのB子さんは、寂しさを紛らわせるために、ついネットサーフィンをしてしまいます。無意味な時間を過ごしてしまったという自己嫌悪感から解放されたい。
そのため、朝の野菜ソムリエの勉強と夜のジョギング、読書、夕涼みをしながら彼氏と電話をすることを理想としました。
B子さんのセンターピンは、帰ってすぐ充実感のあるジョギングや読書に取りかかることです。ボトルネックは、感情面の「寂しさ」「刺激のなさ」を紛らわせるためのネットサーフィン。
悪い習慣をやめるには、その代わりとなる行動が有益でないといけません。そこで、彼氏との電話で愛情を得ることにしています。
ここで、一度に1つの習慣の法則を思い出してください。まず、ネット・スマホから離れること。これがB子さんの最初の習慣目標です。
ですから、それができれば、まず寝る時間も起きる時間も無視して構いません。詳しくは、第6章で見ていきましょう。

CさんのケースCさんのポイントは、仕事時間を2時間半短くすること、そのために朝1時間早く出社して生産性を高めます。
よって、センターピンはAさんと同様に「退社時間を守る」ことです。ボトルネックは「出張」「接待」です。
これらへの対策は例外パターンをつくることで上手に吸収しますが、仮にイレギュラーが起きても、寝る時間をあまり変えなくていいように設計しています。それは、次のステップ4で詳しく見ていきましょう。

ステップ❹例外パターンをつくる
さて、ここまでで理想のスケジュールと現状とのギャップが明確になり、対策が見えてきました。しかし、ボトルネックで見てきたように、生活は一定パターンで統一されているわけではありません。
たとえば、次のようなケースが考えられます。
□土日の予定
□突発的な予定が入る
□飲み会が入る
□体調を崩す
いざ実践しようとしても、理想のスケジュール通りにはいきません。また、理想のスケジュールを守ることが目的になってしまうと、充実感を得るという本当の目的が蔑ろにされます。
たとえば、子持ちのお父さんが、寝る時間を22時と決めているので、土曜日、子どもをディズニーランドに連れていってもパレードを見ずに帰ってくるというのでは本末転倒です。
朝型の生活リズムに移行できている人でも、実は多くのイレギュラーがあり、柔軟に寝る時間と起きる時間は変動しているものです。
しかし、イレギュラーを受け入れすぎてしまうと、理想の生活習慣のリズムは実現しません。イレギュラーだらけの毎日では、生活習慣を変えることはできません。
また、寝る時間が守れない場合、睡眠時間を優先するのか、起きる時間を優先するのか、どちらがいいのか迷うでしょう。
柔軟性を持ちつつも、規律を失わないことが重要です。ここが早起きの習慣化で、一番難しい部分です。
そこで、例外パターンをあらかじめ作っておけば、柔軟性を持たせることができます。では、まず例外パターンを設定する上での基本方針を示しておきます。
これは私が早起きのコンサルティングをしてきた経験から、最も成功率が高かったものです。迷った方は、この5つの指針で進めていくことをおすすめします。
基本指針1.例外パターンを3日以上連続で続けない
基本指針2.最初の3週間は睡眠時間の確保を優先する
基本指針3.4週間目を過ぎたら起床時間を優先的に守る
基本指針4.多少守れなくても自分を責めない
基本指針5.センターピンだけは徹底して守る
生活習慣に一度リズムができれば、多少のイレギュラーも問題なくなります。脳が「いつも通り」と認識すれば、イレギュラーが生じても理想の生活習慣に戻してくれます。
脳がいつも通りの生活習慣と認識するまで続ける!繰り返しになりますが、これが習慣化のポイントです。
では、3人の例外パターンを見ていきましょう。ちなみに、例外は2~3つまでにしてください。それ以上増やすと、非常に複雑になり、混乱してしまいます。
Aさんのケース〈例外1〉平日の例外事項は、つき合いの飲み会や突発的な残業です。0時以降に寝る場合は朝8時出社を9時出社に変えるということにしました。
〈例外2〉次に土日のスケジュールです。
土日は多少睡眠を多めに取りたい、金曜日の夜は「多少夜更かしして友だちと飲みたい!」ということがあるでしょう。
よって、1時間遅めの起床にしています。英語の学習という自己投資の時間を朝入れて、それから外出。
土曜日は多少遅めの睡眠になったとしても、日曜日は通常のリズムを取り戻すようにしないと、月曜日からのリズムに影響が出るので注意が必要です。

B子さんのケース〈〉、。
、。
週に2回ぐらいは予定を入れたいということです。
この日は1時間ぐらい寝る時間は遅れますが、いつもと同じように夕涼みをして、彼氏との会話を楽しむ時間も取っています。
朝起きてからの資格勉強は、あくまでWANT行動です。できない日は一切気にしないようにします。ただし起きる時間は固定化して、リズムをつくっていきたいと考えています。
〈例外2〉次に土日のスケジュールですが、メインは彼氏と過ごす時間になります。当然、自分の寝る時間に完全に合わせるのは不可能です。
ゆっくり過ごしたいので、寝る時間は遅くなります。起きる時間も、土日はゆっくりめにしています。

Cさんのケース〈〉、。
、。
、。
Cさんの場合、理想のスケジュールではもっと早く寝ることは可能ですが、あえて0時就寝にしました。たくさん発生する接待や出張の日と、生活リズムをあまり大きく変えないようにしたいからです。
ズレが2時間以上あると、やはり一定のリズムをつくることは難しいでしょう。
〈例外2〉
土日は、家族がいる関係上、遠出の旅行や子どもを遊園地に連れていくなど多少遅めの就寝と起床にしています。
また平日は、自己投資の時間がなかなか取れないので、読みたい本を読む時間、つまり1人の時間も取るようにしています。
ただし、これまでの2人と同様、日曜日は理想の寝る時間に戻すことがポイントです。以上のように、ボトルネックに対する例外ルールを設定してみてください。

ステップ❺ベビーステップで始める
理想と現実のギャップを埋めるためには、センターピンを守り、寝る時間を早めることがスタートラインです。
しかし、それも徐々に移行していかないと、成功率が下がります。
たとえば、Aさんが起床時間を守れなかったとしても、現状2時就寝だったのを1時就寝に早めることができれば、睡眠時間が1時間増えるのです。
これだけでも、大きな結果だと思いませんか?もちろん、その場合、早起きという観点からすれば、早く起きられてはいません。
しかし、それは結果に向かうためのステップであり、確実に前進しているのです。最初は、変化への抵抗力が大きいものです。
徐々に小さな1歩からスタートしていくと、きちんと好循環が生まれ、いずれ早く起きられるようになります。
その小さな1歩を「ベビーステップ」と呼んでいます。結果を急がず、原因から集中して解消していくことが大切です。
毎日守れないからといって、決して落ち込まないでください。焦らず、寝る時間は約30分ずつ移行していくのがおすすめです。
1週間で30分ずつ、4週間かけて2時間早く寝るようになっていけばいいのです。最初の3週間は、とても抵抗力が大きい時期なので、今週はここまででOKというベビーステップを決めてみてください。
たとえば、Aさんなら、「帰る時間が30分早くなるだけ」でOKBさんなら、「帰ってすぐにテレビをつけない」でOKCさんなら、「家族団らんの時間が30分でも取れれば」OKといった具合です。
小さく好転していく自分に、どれだけ承認を与えられるかが、理想の生活習慣を手に入れるための大切なポイントです。ベビーステップで始めていきましょう。
早起きはどれぐらいで習慣化するのか?
私は、早起きのリズムをつくるために必要な期間は、3ヶ月と提唱しています。先ほどの通り、寝る時間、起きる時間は、いきなり2時間前倒そうとしても簡単に実現しません。
体内時計にセットされていた寝る時間と起きる時間を維持しようとしているからです。だからこそ、30分ずつ寝る時間と起きる時間をずらしていくのが効果的です。
3ヶ月のプロセスは、4つのフェーズに分けられます。
反発期(やめたくなる)第1週〜第3週不安定期(振り回される)第4週〜第7週安定期(快適になる)第8週〜第10週倦怠期(飽きてくる)第11週〜第13週では、4つのフェーズを具体的に見ていきましょう反発期(やめたくなる)第1週〜第3週
寝る時間が早くなればOK!まず、反発期は寝る時間を1週30分ずつ早めていくだけでOKとし、起きる時間が変わらなくても気にしないことです。
いずれ睡眠時間が足りていれば起きられるようになります。この段階で、早く起きるという結果を求めすぎないことです。
1週30分ずつ早く寝て、反発期の終わりに1時間半早く寝られていればとても理想的です。しかし、飲み会があったり、寝られない日があったりと変動もあります。
そんな日でもベビーステップで、以前より10分でも早く寝られた日があればOKを出すことです。繰り返しになりますが、自己肯定を積み重ねるか、自己否定を繰り返すのかで習慣化のモチベーションは変わります。
小さな変化に自己肯定ができれば、行動している自分と共に歩んでいけます。しかし、「今日もできなかった」と厳しすぎる判定を下すと、人は習慣化の行動そのものをやめたくなります。
この反発期は、最も現状維持の引力が激しく強い時期なので、小さく進んでいくことが重要です。さらに、この時期にやっていただきたいことは、日々の記録です。
できるだけシンプルに記録していただきたいので、無料ダウンロードできる理想のスケジュールの隣には、実践記録を記入する枠を設けています。
なぜ記録を取るのかというと、自分の生活リズムが何に邪魔されやすいのかを把握するためと、徐々に進歩している自分の行動を自覚するためです。
感覚値だとどうしても「サボっている日が多い」となりがちですが、記録シートを見れば「この時期は20分早く寝られていたからいい調子!」と自分に承認を出せるポイントがわかります。
3ヶ月かけて生活習慣を変えていくのは長い道のりです。
記録をつけることを基本軸に、この時期はベビーステップで寝る時間を早めること、この1点に集中してみてください。また、理想のスケジュールは実記録をもとに、どんどん最適化して書き直してください。
最後に、反発期は寝る時間が遅くなるときは、起きる時間もずらしてください。睡眠負債を溜めないようにしつつ、寝る時間を少しずつ早めていくことに集中しましょう。
不安定期(振り回される)第4週〜第7週本格的に起きる時間にこだわる!この時期は寝る時間を理想に合わせつつ、起きる時間も守っていきます。
そして、徐々に理想のスケジュールに移行していきます。もし反発期に、徐々に30分ずつずらしていくことができていれば、この時期に理想の就寝時間が実現している方もいるでしょう。
不安定期は起きる時間を重視します。原則、寝る時間が遅くなったときも、起きる時間を守ります。当然、睡眠負債は溜まるわけですが、その分は、翌日早めに寝て返済するということを基本にします。
寝る時間と起きる時間を決めても、飲み会、残業、土日の予定などの突発的な予定に振り回され、悩むことになるでしょう。
このとき、理想のスケジュールで決めた例外ルールを発動してください。しかし、先述の通り、この例外ルールはあくまで3日以上は続けないことが前提です。3日以上続けるとリズムがどんどん崩れていきます。
飲み会には、流されるがまま、誘われるがまま参加せず、断るべきときははっきり断ることも重要です。
また仕事についても、残務があっても早く帰って、翌朝早起きしてその残務を片づけるという習慣に移行してもらいたいと思います。
このように、イレギュラーへの対応を柔軟にすることで、振り回される現象を乗り切ってください。ここでは、寝る時間、起きる時間の成功率は60%くらいであればとてもいいペースです。
安定期(快適になる)第8週〜第10週理想に限りなく近づく!さて、不安定期を乗り越えたら、生活習慣が随分と安定してきます。
しかし、まだ習慣化できたわけではありません。安定期は、成功率を80%以上に持っていくことがテーマです。
そのためには生活習慣の記録を見て、何をすれば80%以上の確率で起きられるようになるかを分析します。
いいパターンと悪いパターンの日を比べてみてください。そして、挫折に導く要因をなるべく減らす、回避する方法を改めて考えてみましょう。
倦怠期(飽きてくる)第11週〜第13週生活イベントに変化を持たせる!最後は、飽きてくる時期を乗り越える対策です。
早寝早起きに飽きてくることはありませんが、理想のスケジュールに沿って過ごしていると、同じパターンの生活に飽きてきます。倦怠期は、週の中で過ごし方に変化をつけてください。
ここで大切なことは、寝る時間と起きる時間は固定したままにすることです。
たとえば、リラックスタイムにヨガをやっていた人はジョギングしたり、本を読む時間にしていた人はセミナーに参加したりなどです。
また、水曜日はセミナーデーとか、木曜日は飲み会デーなど、1週間のリズムに変化をつけるのもおすすめです。
ここまで来れば、かなり生活リズムが安定してくるので、変化をつけることでマンネリ化を避けることができます。
これで生活習慣が理想的になっていくでしょう。最後のページに、整理のためにここまでの早起きの技術を図解でご紹介します。振り返りに読んでみてください。

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