MENU

第4章女性がぐんぐん伸びる関係づくり

目次

第4章女性がぐんぐん伸びる関係づくり

1女性部下を伸ばすには〝関係性〟を攻略しよう2関係性を育てるコミュニケーション3「女性だから」の思い込みをはずそう~DiSCを知る

●Column●ダイバーシティ=女性の活用?〝関係性〟の大切さよい偶然を引き寄せる共感で人を動かすワークとライフはバランスをとらなくてもよい●参考文献/サイト●

第4章女性がぐんぐん伸びる関係づくり

「仕事に必要なコミュニケーションはとれていると思うのに、理解し合えていないように感じる」「部下から不満を言われるのだが、解決不可能なことを言われても困る」「部下の要望に応えているのに何が不満なのだろう」これらは関係性が構築されていない例で、非常によくあることです。

人の意識には3つの層があるといわれています。

図をみてください。

一番下のエッセンスの層は「価値観」。

これは心の奥底にあるものが共有される層です。

言葉にならない何かが相手と共通していると感じることがある場合があります。

その上のドリーミングの層は「願い、感情など」です。

ビジョン、夢などもこの層に入ります。

このドリーミングやエッセンスを共有することがなく食い違っていくと関係性は壊れていきます。

夫婦を例にあげて説明します。

①男性と女性が運命の出会いをします。

何かがピンときたり、ちょっとしたことに共通点を見いだしたりしています。

→エッセンスの層で共有ポイントが見つかっている。

②恋に落ちた2人はいろいろなことを語り合います。

お互いの夢、2人での将来などです。

ドリーミングの層を共有し、違う部分についても理解をしていきます。

③さて、2人は結婚することになりました。

こうなると、夢物語ばかり語るわけにはいきません。

結婚式のもろもろ(時期、式場、食事、引き出物など)やこれから住む場所、現実のことなどを話し合って決める必要があります。

これがコンセンサスリアリティのやりとりです。

両家の事情もありますので、すべてが一致するわけではありません。

ここでもめ事が発生します。

しかし、そこで、ドリーミングの層(こんな家庭をつくりたいという願い)やエッセンスの層(一致している価値観など)を確認する瞬間があればよいのですが、それがまったくないままだと関係性は壊れていきます。

また、結婚した後の生活も現実(コンセンサスリアリティ)が大部分を占めます。

この層だけで日々を過ごしていると、何十年も経って、「表面的には大きな諍いがないのに関係が壊れている」ということで熟年離婚などが起こります。

職場においても同様です。

いちばん上のコンセンサスリアリティ(合理的現実)の層は「現実のこと」で、職場における通常の会話などはこの層の内容のことがやりとりされています。

業務についてのやりとりはこの内容をそのまま受け取ってよい場合が多いのですが、そこに感情(ドリーミングの層)が含まれているにもかかわらずダイレクトに表現されていなかったりして食い違っているケースがあります。

たとえば、仕事が大変そうな部下に声をかけたとき、「大丈夫です」と答えた部下。

言葉どおり受け取り、そのままにしておいたら実はそうでなかったことはないでしょうか。

「大丈夫です」という言葉はそうであっても、「助けてほしい」「もっと大切にしてほしい」願いが込められている場合があります。

また、会議でネガティブな発言をする傾向にある部下。

「やる気がないのか」ととらえてしまいがちですが、実際は「成果のことを本当に真剣に考え職場をよくしたいと願っている」場合や、「結果を出すためにもチームメンバーのなかにある不満を伝えたい」と思っている場合もあります。

銀行に勤務していた頃のこと、上司が趣味の社交ダンスに私たち部下を誘ってくれたことがありました。

若かった私たちはしぶしぶ上司に付き合って参加していて、なぜ仕事以外にも上司と時間を一緒に過ごさなければならないのかと疑問でしたが、いま思えば上司はコンセンサスリアリティ以外の部分、ドリーミングやエッセンスの共有を考えていたのでしょう。

たしかに、この上司とは仕事をするうえでも安心感があり、「不満と受け取られるのではないか」というおそれがなく、改善提案などを相談できたことを覚えています。

以前よく行われていた「飲みにケーション」もこの部類です。

最近の組織開発や組織変革においても、「対話」が必要といわれていますが、その意味は感情や価値観、つまりドリーミング、エッセンスの部分の共有です。

昨今は職場の仲間とのドリーミング、エッセンスの共有の機会が非常に少なくなっています。

特に男性の管理職は女性の部下とは難しさを感じるかもしれません。

しかし、この部分の共有は育成を含めたマネジメントには不可欠です。

特に女性は心のつながりに敏感です。

関係性に目を向けたマネジメントを意識しておきたいものです。

Column●共感で人を動かす●あるTV番組で某社の商品開発部門のマネージャー(男性)が取り上げられていました。

いくつかのエピソードが紹介されていたのですが、そのなかに女性部下が育つ場面が出てきました。

部下がある新商品の開発を担当し、企画を上司にプレゼンするのですが、それが却下されます。

会議で上司にNGを出され、彼女は涙します。

しかし、上司はまったく動じません。

その後、女性部下はよりいっそう奮起し、最後には提案が通ります。

上司がその間どのように関わったかは描かれていなかったのですが、部下が不十分な提案を出してきた際の堂々とした姿勢や部下を信じる気持ちは画面からもしっかり伝わってきました。

それをみながら、私自身が銀行員時代職場で悔し泣きをしたときの周囲の対応を思い出しました。

「自分がダメだ」と思うことがあり歯がゆくて涙が出てきたのでした。

しかし、残念ながらそんな私に関わってきてくれる上司や先輩はおらず、見て見ぬ振りをされました。

1人で泣いて1人で完結した記憶のみ残っています。

当時の私がいま私の部下であったら、声をかけ、悔しい気持ちを聞いたうえで今後の成長目標設定につなげられたのにと思います。

前述のマネージャーが最後に述べた言葉が印象に残りました。

「リーダーは共感で人を動かす」という内容でした。

第3章で上司の想いで部下を育てると述べました。

共感によっても人は動き育ちます。

そして、これも左右の脳を両方活性化し共感力が高い女性が得意なことではないでしょうか。

たしかに部下の気持ちに寄り添いながらリーダーシップを発揮している女性は知人だけで何人もいます。

共感によって人を動かす優れたリーダーがたくさん出てきてほしいものです。

(1)まずは3分間相手の話を聴いてみよう「傾聴?重要ですよね」と誰もが言う時代になりました。

相手の話を聴くことが大事と、ほとんどの人が頭ではわかっています。

しかし、「知っている」と「できる」は大違いです。

研修で傾聴のトレーニングをする機会がよくあるのですが、「私は話を聴くのが得意」という人に限って実際は聴けていないことが多いのです。

まず最後まで相手の話を聴くことができるかどうかが課題です。

つまり相手の話を遮ってしまうことはないでしょうか。

うなずきとあいづちだけで3分間相手の話を聴こうとすると、意外に大変なものです。

相手の話を聴きながらも心のなかにさまざまなものが浮かんできます。

話を聴いているうちにこんなことが心に浮かび、話したくなったりすることはないでしょうか?

現実の会話では、前出の表の左欄のように心で浮かんだことを、右欄のように口に出し、結果的に相手の話を遮ってしまっていることも多いのではないでしょうか。

遮られた相手が「ちょっと待って」と言えるケースはまれです。

特に上位者に遮られてしまった会話はもうその

まま消滅……となってしまいます。

2つ目は表面的には相手の話を聴いているようで、実際は聴いていない状況です。

「ふーん」「なるほど」と言ったりうなずいたりしていても、心ここにあらずという相手に出会った経験は誰しもあるのではないでしょうか。

聴き手の心が話し手に向いているのではなく、自分自身に向いてしまっている状態です。

これも話し手にはしっかり伝わり、「聴いてくれていない」と気づかれてしまいます。

さて、話を最後まで聴かないことは関係性へ影響します。

話を遮られたほうは当然不満が残ります。

そして、話を聴いてくれなかったことで「大切にされていない」「興味をもってもらえない」という気持ちも芽生えてしまいます。

「相手の話を最後まで聴く」というスイッチのON/OFFができること、これがよい関係づくりの第一歩なのです。

(2)「上から目線」は心も口も閉ざしてしまう関係性を難しくするもう1つの要素は「上から目線」です。

女子サッカー日本代表チームの佐々木則夫監督は、著書『なでしこ力』(講談社)のなかで「横から目線」という言葉を使っています。

「監督がいちいち指示して選手を動かすのではなく、自分たちの判断で動けるように、ボスとしてではなく父親役として対等な人間関係を築くことを心がけている」と。

皆さんの目線は上からでしょうか?それとも横からでしょうか?「上から目線」には左脳とともに右脳が働きやすい女性は、より反応しやすいと考えられます。

上から目線というのは、上下のランクがある関係であると相手に強く認識させることです。

当然上が〇で下は△か×。

その目線でみられるだけで、「自分は下と思われている」「私のことをダメだと思っているんだろう」と受け取ります。

特に男女では個人的な意識に加え、組織(社会)全体の「男性は優れていて女性はその下」という雰囲気がありますので、普通にしていても上下のランクがある状況です。

そんな状況で人はよいパフォーマンスができるでしょうか。

話を聴く際も同じです。

「傾聴が大切」と気づいた上司がぶつかるのがこの壁です。

コーチングのフォロー研修で「話を聴こうとするのですが、部下が話してくれません」というお悩みを耳にすることがよくあります。

ここで考えなければならないのが上司と部下の関係性です。

初対面であればよいのですが、上司と部下ではすでになんらかの関係性がつくられています。

そこに上下のランク、特に上司が上から目線の発言をしていたり、部下の発言をいつも遮って否定していたりしていたとしたら、部下は何を言われるかわからない恐怖を感じているはずです。

そうなると口ばかりではなく心も閉じてしまっていますので、話せるわけはありません。

それでは、このような上下のランクがすでにできてしまっている場合はどうしたらよいのでしょうか。

①まず上司自身のメタスキル(心の姿勢)をしっかりと第3章の1「上司の〝想い〟がなければ部下は育たない」で取り上げたメタスキルがここでも重要な意味をもちます。

上司が部下に対してどういう「心の姿勢」で向き合うかは相手に伝わり、関係性に影響を与えます。

「上から目線」もその1つといえます。

相手の話を聴くための工夫(うなずき、あいづちなど)は効果的ではありますが、このメタスキルによってもうまくいったりいかなかったりするのです。

「上から目線」の関係を解消するには「対等」「尊重」「認める」といったメタスキルを強く意識するすることが必要です。

②部下のよいところを見つけよう「上から目線」の場合、相手に対してはポジティブな印象よりもネガティブな印象のほうが勝っています。

自分と比べて相手が下と思えるわけです。

経験面で上司より部下が劣っているのは仕方のないことですし、それに伴い知識も同様でしょう。

しかし、すべてが上司より劣っているわけではありません。

能力、人間性、スキル等、これはよいと思うところも必ずあるはずです。

それをできるだけたくさん見つけておくとよいでしょう。

③関係性は変化する関係性は生き物のようなもので、日々変化しています。

一度「上から目線」の関係ができあがってしまったとしても人が対応を変えていけば変化します。

「うなずきを大きくしたから一気に関係が変わる」というほど単純なものではありませんが、上司がほんの少しずつでも何か対応を変えることで徐々に変わっていきます。

関係性は向き合って面談するときだけでつくられるわけではありません。

「話をしてもらいたい」という部下がいるなら、「話したい」と部下が思う関係性づくりをしていきましょう。

次項から取り上げていく聴き方のコツを1つひとつ実践し相手との間によい関係を積み上げていくことが大事です。

(3)表情、うなずき、あいづちは聴き上手の3点セット人はもともと自分の話を誰かに聞いてもらいたいものです。

それなのに話してもらえないというケースがあります。

「部下があまり話してくれないんです」あるいは「お客様との話がすぐ途切れるのですが……」という人の聴き方をみてみると、反応の薄さが気になります。

人は「話をよく聴いてくれている」と感じなければ話し続けられません。

表情が変わらないポーカーフェイス、うなずきやあいづちも少なめか浅めなのです。

コミュニケーションの研修で体験したことがある人もいるかもしれませんが、これでは人は話し続けられません。

なぜなら、「話を聴いてもらっていない」ということは「自分が尊重されていない」と感じられるからです。

誰しもそんな気持ちになることは避けたいですから、話すのをやめてしまいます。

一方で「なんだかわからないけれどこの人の前に座るとどんどん話してしまう」という人がいます。

こういう人は表情、うなずき、あいづちが大きいようです。

表情は豊かなほうが相手が話しやすいものです。

楽しい話題には楽しい顔、悲しい話題には悲しい顔と表情を変化させていきます。

うなずきは大きめにしていくとよいでしょう。

お客様と話す際、上位者と話す際、自然に大きなうなずきになっていないでしょうか。

これは「あなたの話に大いに興味があります」「あなたとよい関係をつくりたいんです」というサインでもあります。

あいづちは、「そうですね」「そうなんですか」「そうですか」「なるほど」などさまざまな言い方があります。

「それで?」といった話の先を促すものもあります。

この3点セットの組合せで「あなたの話に興味があります」「あなたの話を聴きたい」という意思を話し手に伝えます。

そうすれば、相手は自然と話し続けてくれるものです。

いわゆる「偉い人」という人に対しては、ポーカーフェイスで話を聴く人はいないでしょう。

誰しも大きくうなずき、あいづちをうち、そして表情豊かに反応しているはず。

それを部下に対してもやってみましょう。

(4)部下の心を聴いていますか傾聴というのは言葉だけを聴いていては不十分です。

本章の1「女性部下を伸ばすには〝関係性〟を攻略しよう」で、人は言葉どおりに感じているとは限らないということを述べました。

傾聴はその「心」つまり感情も聴きとっていくもので、マネジメントや育成にはそれがとても重要です。

そして、もっといえば、チーム全体の声になっていない感情まで目を向けていかなければなりません。

①「大丈夫です」は「全然大丈夫ではない」と言っていることもある

よくあるやりとりですが、ここでは注意が必要です。

まず、思っていることをそのままきちんと率直に言葉にすることはとても難しいことです。

それ以前に、事実などの事柄を相手にわかりやすく伝えることは、簡単ではありません。

さらに感情を伝えるとなると難易度はぐっと上がります。

それに加えて、上司に対して思いどおりに話せる人というのはそうそういません。

人はなんらかの関係性があると、その後の影響などを考え、心理的なブレーキがかかり慎重に言葉を発します。

「つらい」「きつい」「大変」などのネガティブなことはもちろんですが、「うれしい」などのポジティブなことについても、それを聞いた相手がどのように受け取るか、それによって何か嫌な気持ちにならないかなど、あらゆることを考えます。

上司は上位者であるというだけでなく、時には評価者であるわけですから、部下は慎重になります。

したがって、部下の心が言葉で表現されるということは皆無と思っていたほうがよいでしょう。

「大丈夫です」はもしかしたら100%逆のこと、「全然大丈夫ではありません」と言っているかもしれません。

また、「管理職なんかになりたくないんですが……」という言葉の奥底には「実は頑張りたい。

助けてほしい」という気持ちが隠されている場合もあります。

チームの誰かに対する苦情を訴えている部下は、もしかしたら組織の仕組みに対する不満を述べているのかもしれません。

言葉そのものだけを受け取り、判断するのはリスクが大きいのです。

②「何かヘンだな」を放置しない部下と話していて「何かおかしいな」「本心ではないな」と感じることはないでしょうか。

ここで見逃してはいけないのは上司の直感です。

この直感は当たっていることが多いものです。

人のセンサーは非常に敏感です。

相手のちょっとした表情の変化、呼吸の変化、声のトーンの違いなど、何かがあるとキャッチします。

また、「空気を読む」という言葉があるように、「場の雰囲気が急にピリッとした」ということもキャッチできます。

これは相手が緊張したりして場全体に影響を及ぼしているのかもしれません。

そんなときにはそのまま放置することは避けましょう。

「〇〇さんの表情がちょっと気になるんだけど、本当にそれでいいの?」「実は大変だなと思っているんじゃないの?」などと、「あなたの心の変化に気づいている」「心を聴きとろうとしている」という姿勢をみせていくことが必要なのです。

③共感することで関係性ができていく心を聴きとった後、次にやるべきことが「共感」です。

「部下の言い分にすべて同意するわけにはいかない」という気持ちが上司側にはあります。

これは上司として当然のことです。

しかし、ここで、「そういう考えはやめておいたほうがいいね」などと否定してしまったらこれまでの努力が水の泡。

部下の心は天岩戸のように閉じてしまうでしょう。

「共感する」ということは、「同意」でも「同調」でもありません。

共感は「違う立場の人の気持ちをおもんぱかって理解すること」です。

ですから、「そのとおり」「それは正しい」というように同調したり意見を同じくしたりする必要はまったくありません。

「なるほど、そういうふうに感じているんですね」「たしかに、〇〇さんの立場だとそのように考えるのはよくわかる」異論があれば、その後伝えていけばよいのです。

「共感が関係性をつくる」ことを肝に銘じておきましょう。

(5)話が途切れたら質問しよう話をしているとどちらともなく途切れる瞬間があります。

そこで質問をしていくことになります。

このときの質問には2つの効果があります。

1点目は、部下が自分自身の深い部分にアクセスして考えることができ、自分の気持ちに向き合うチャンスになります。

これをきっかけに、合意的現実(コンセンサスリアリティ)レベルの会話からドリーミングやエッセンスのレベルの会話へ深まることになるかもしれません(第4章1の図参照)。

その結果、お互いのことをよく理解し合うことにつながるでしょう。

たとえば、部下が何か相談をしてきたとします。

そんなとき、すぐに解決策を提示しなければと思ってしまいがちなのですが、ここでまずやっていきたいのは本人に話させヒントを顕在化させることです。

「〇〇さんはどのように考えているの?」「〇〇さんはどうしたいの?」と質問しましょう。

すると、部下は答えるために考えます。

潜在意識(記憶、体験など)に自分で問いかけて答えを出そうとします。

そして思いついた答えを話しながらまた潜在意識に問いかけ続けます。

そのプロセスが、行動してみようという気持ちを促したり、「こうすればいいんだ」という答えを自ら導きだすことにつながるのです。

「」、ドリーミング、。

2点目の効果は、関係性へのものです。

質問されること自体が「相手に信頼されている」「相手に期待されている」という思いを生みます。

①クローズドクェスチョンとオープンクェスチョン育休から復帰して1カ月、新しい仕事に頑張っている部下がいたとしましょう。

声をかけるとき、どのように言いますか?「仕事、慣れましたか?」こういう声かけではないでしょうか。

もちろん、部下のことを気遣うことはとてもよいことです。

しかし、この声かけに工夫してほしい点があるのです。

この質問は「クローズドクェスチョン」といわれるものです。

部下はこの質問には「Yes」「No」で答えることで会話が成立します。

「はい……」と答えるだけでも、「いいえ、まだです」と答えるだけでも一応成立です。

そのほかに言いたいことがあるかもしれませんが、それを聞き出すにはさらなる問いかけを新たにしなければなりません。

それでは「仕事はどうですか?」という質問はいかがでしょうか。

これは、「Yes」「No」だけでは会話は成立しませんので何かしらの文章や言葉を考えて答えなければなりません。

「この仕事はなかなか大変ですね。

〇〇の部分はかなり慣れてきましたが、△△には苦労しています。

先日こんなことがあったのですが……」や「まず働くペースをつかむのが大変です。

子育てや家事との両立がまだうまくいっていないようなのです」というような返答があるでしょう。

それに対して、「どんなところが?」「それはなぜ?」と掘り下げていくと、その人のことがよくわかるだけでなく、部下は現状について自分自身で振り返りをすることができるでしょう。

このような、相手が答えるためにたくさんの言葉を必要とする質問、「Yes」「No」以外の言葉で答えなければならない質問を「オープンクェスチョン」といいます。

「部下と会話が続かない」という方の状況を聞くと、クローズドクェスチョンばかりしているというケースがあります。

それですと、相手はあまり話さなくても会話が成立してしまうのです。

また、「質問する人」「答える人」と役割が決まってしまうのもこの質問です。

時にはまるで取り調べのようになってしまうこともあります。

質問の仕方を工夫することで、会話の流れをまったく変えることができるのです。

②オープンクェスチョンで関係づくりをしようオープンクェスチョンはいわゆる5W1Hの質問です。

「What(何が?)」「Why(なぜ?)」「When(いつ?)」「Who(誰が?)」「Where(どこ?)」「How(どんな?どのような?)」で、相手の言葉を引き出していきます。

相手の話を掘り下げていくのにもこのオープンクェスチョンを使うとスムーズで、関係づくりを助ける質問になります。

オープンクェスチョンのなかで、比較的取り入れやすいのは「How」の質問でしょう。

いつもの質問をこんなふうに変えてみてはいかがでしょうか。

「仕事忙しいの?」→「仕事はどう?」「子育てとの両立は大変なの?」→「子育てと仕事、やってみてどう?」「引っ越しの準備はできた?」→「引っ越しの準備はいかが?どのくらい進んだの?」「お子さんの風邪よくなった?」→「お子さんの風邪の具合はその後どう?」これらの質問からは、いろいろな答えが出てきそうです。

「How」の質問は、相手のドリーミングのレベル、つまり心に比較的アクセスしやすいものです。

この質問をきっかけに相手の心とつながる瞬間をつくりだす可能性が広がります。

③クローズドクェスチョンで会話を引き締めるクローズドクェスチョンばかりで会話を進めることはできません。

また、クローズドクェスチョンを多様することは相手に自由に考えて答える幅をもたせないことになるので、相手に不快な気持ちを起こさせることもあり、関係づくりにも向いていません。

しかし、クローズドクェスチョンには役目があります。

オープンクェスチョンは話を広げていきますが、それだけだと焦点が定まりません。

クローズドクェスチョンで話の方向性や相手の意図を確認したり、キーポイントを確認していきましょう。

焦点を絞り会話を引き締めるのがこの質問の役目です。

「いまの話はパートさんに伝わっている?」「ちょっと確認させてね。

あなたは出納係は〇〇さんのほうがよいと考えているんだね?」「このトラブルの原因は業務分担にあるの?」コミュニケーションの内容の決定権は聞き手にあります。

時には内容を確認しないと、関係性以前に、情報伝達が不正確になります。

「~というふうに私は理解しているけれど、それでいいのですか?」「いま~というふうに聞こえたけれど、それでいいよね?」という内容確認、「あなたの言いたいことは~ということなんだよね?」「これから話を~という方向に進めるけれど、それでいいよね?」という意思確認が必要です。

オープンクェスチョンとクローズドクェスチョン、バランスよく使って、お互いの理解を深め、よい関係性をつくっていきましょう。

(6)「詰問」は部下との関係を危うくするオープンクェスチョンは関係性をつくっていきますが、気をつけなければならないのが「Why」です。

仕事上でトラブルが発生したときは原因を分析し、再発防止に努めなければなりません。

再発を防ぐためには、そのトラブルを起こした本人が自分で原因を分析していくためには、上司から問いかけて部下のほうから話してもらうのが効果的です。

しかし、そこには落とし穴があります。

相手に「なぜ~できなかったのか?」「なぜ~やらなかったの?」と質問をしていないでしょうか。

そんなとき、部下の言葉はなぜか言い訳モードのはず。

「状況を聞きたいだけなのに……」「責めているわけではないのに……」と思ったことはありませんか。

「なぜ~できなかったの?」「なぜ~やらなかったの?」という質問には問題があります。

この質問には「あなたは」という言葉が省かれています。

「なぜあなたはできなかったの?」「なぜあなたはやらなかったの?」と聞いていることになるのです。

部下は「自分に矢が向けられている」つまり「責められている」「詰問されている」と受け取ります。

トラブルを起こした本人ですからそういう自覚が当然あり、よりいっそうこの質問はグサッと心に刺さります。

これは次項で述べる「非難の毒素」でもあります。

そうなると、冷静に原因を分析したりすることはまず不可能でしょう。

「人」に焦点が当たっているこの質問を、「事」への焦点へと変えていきます。

「どうしてそうなったの?」「どういう経緯だったの?」「原因は?」トラブルを客観的にみられるように相手をトラブルからいったん離し、原因を分析させるのがコツです。

(7)部下との関係をダメにする4つの毒素上司と部下の関係だけでなく、近しい人との関係がちょっとしたコミュニケーションで悪くなった経験は誰にでもあるものです。

知り合ったばかりのときはないのですが、関係が深まっていくと出てくるもの、それが「毒素」といわれるものです。

ワシントン大学の心理学者ジョン・ゴッドマン博士は4つの毒素が関係性を悪化させると言っています。

……「あなたが悪い!」「あなた、おかしいんじゃないですか?」と相手が悪いと批判、攻撃するものです。

……相手より高い位置に立ち、見下すものです。

「どうせあなたにはできないよね」「あなたはダメな人」などです。

……言い訳。

これは「非難」「侮辱」をされたときに起こりやすい反応でもあり、「私は悪くありません、なぜなら……」という言い訳になって現れます。

相手に誠実に謝罪をしたりしません。

……「見ないふり」「聞かないふり」です。

「はいはい、わかりました(あー、また言ってるのね)」と適当に「Yes」とやり過ごしたり、「忙しいので後でいいですか」とその場からいなくなったり、あるいは無言、沈黙と、何も言わなかったりします。

「非難」「侮辱」は直接相手に言葉に出すことだけが関係性を悪くするのではありません。

相手に「こうしてほしい」という気持ちをもちつつ我慢していると、それが徐々に「非難」や「侮辱」になります。

毒素が自分のなかで熟成されてしまうイメージです。

そうなると、「〇〇さんはなぜああするのだろう?」「もしかしてこんな気持ちがあるのではないか?」「私に対して……という気持ちなんだろう、きっと」などと、どんどん妄想がふくらんできます。

そして、1人がそういう気持ちをもつと相手にもなんらかのかたちで必ず伝わり、関係がギクシャクしてきます。

「部下に注意や要望をしたいのだけど言いにくい」とためらっているうちに上司側にこういう気持ちが芽生えることはよくあります。

特に女性のリーダーのなかにはこの「毒素」になったものを抱えてしまっているケースが多いのです。

こうなると、相手に対する皮肉や嫌みも出てきて、よりいっそう関係が悪くなっていくでしょう。

「毒素」に育ててしまう前に、伝えるべきことは率直に伝えていくことを、まず、上司が心がけたいのと同時に、女性のリーダーシップを育てるうえでも指導していきたいものです。

加えて、ここでは、「非難」「侮辱」のように発信側だけでなく、「防御」「逃避」という受信側も関係性を悪くする要因になっていることが重要なポイントです。

発信する仕方も気をつけなければなりませんが、受信側も気遣いが必要になります。

(8)承認で部下を伸ばそう人が成長しようとしたり、何かに挑戦しようとしたりする際に必要なのは自己肯定感、つまり「I’mOK.」の感情です。

自信と言い換えてもよいでしょう。

人は誰かに背中を押してもらえると、頑張ろうと思えるものです。

特に女性の場合はまだロールモデルがないことにもチャレンジしなければならないときがあります。

何度も触れているように、女性は右脳と左脳を同時に両方働かせることもできますので、承認は非常に効果的と考えられています。

承認というのは一般的にはあまり使われていない言葉ですが、「存在そのものを認める」、つまり「相手の存在を否定しない」ということを意味しています。

部下が自分と違うものの考え方や行動、仕事の仕方などをするケースは多々あります。

そして、誰しも自分の価値観、行動が「正しい」「常識」と考えがちで、相手のことは「間違っている」と×をつけがちです。

これが「相手を否定している」「相手を受け入れていない」状況です。

「自分は〇、相手は×」という評価は相手を承認しているとはいえません。

「自分は〇、相手も〇」という見方、それを示すコミュニケーションが「承認」です。

相手と違う意見に対しても「この人はそう考えているんだ」とそのまま(ニュートラルに)認識する感覚です。

アメリカの心理学者アブラハム・H・マズロー(19081970)は「欲求段階説」を提唱しました。

その説では、「人間の欲求は5段階になっていてそれを①→⑤の順に満たそうとする」と言っています(次図参照)。

人が、「何かに挑戦しよう」というやる気を出している状態とは、「⑤自己実現欲求を満たそう」という段階にあることと近いです。

そして、その段階にあるということは、その下の4階層の欲求は満たされている状況です。

そのなかの1つの欲求でも欠けているとやる気が出ないということになります。

①生理的欲求と②安全欲求は通常満たされていることと思われますが、職場で満たされていないケースがあるのが③社会的欲求と④承認欲求です。

周囲との人間関係がうまくつくれていなくて孤独感がある(社会的欲求が満たされていない)、周りから自尊心を大切にされていないと感じている(承認欲求が満たされていない)といった状況では⑤自己実現欲求を満たすことができないのです。

職場で承認されるということは、③社会的欲求と④承認欲求を満たしていきます。

周りの人(上司も含め)と信頼関係ができていて、尊重もされているという状況は「I’mOK.」の気持ちをしっかりと起こさせることができるのです。

日本の文化はもともと相手にポジティブなことをあまり伝えません。

以心伝心という言葉があるように、「一緒にいればわかるだろう」と思ってしまいがちです。

しかし、実際は言葉や行動で伝えなければ相手にはわからないのです。

第3章でも触れましたが、研修での参加者のモチベーションアップをする目的で、上司にサプライズレターを書いてもらうことがあります。

「日頃本人に伝えられない感謝や応援メッセージを書いてください」とお願いします。

当日にそれを手渡すのですが、喜びを通り越して

感動する人がとても多いのです。

「上司がこんなふうに思ってくれていたなんて知らなかった」と。

研修後の感想文でもそのサプライズレターに対する感謝を書く人はたくさんいます。

そして、ねらいどおり、「いままで以上に頑張ろう」という気持ちが芽生えます。

このような研修課題としてではなく、日頃から「ここ」というところで承認のメッセージを伝えて頂きたいと思う瞬間です。

私は15年以上プロコーチとしてクライアントの方をサポートする仕事をしています。

人が一歩を踏みだすとき、ちょっと自信を失って動けなくなっているとき、承認のメッセージを意図的に伝えています。

すると、モチベーションが上がって行動につながり、なんらかの結果を出すのです。

私自身も自信を失ってもうダメと思った経験は何度もあります。

そんなとき、周りの人(もちろん上司も含まれます)の承認の一言に救われたことは数知れません。

〇承認のメッセージメッセージの使い方にはちょっとしたコツがあります。

まず、メッセージには「Youメッセージ」「Iメッセージ」「Weメッセージ」があります。

「○○さん、今日のお客様への提案よかったよ」「△△さんは相続の手続詳しく知ってるね」といった「あなたは~ですね」という言い方です。

「あなた」つまり「You」が主語となっていて語尾は「~ですね」「~だね」というふうに言いきるもので、「Youメッセージ」といわれます。

これはとても強いメッセージです。

この伝え方をすると相手に「うれしい!」「よかった!」というインパクトを与えることができます。

しかし一方で、メッセージが強いため相手が恥ずかしかったり、謙遜してしまったりすることもあります。

また、言う側にとっても、あまりにストレートなため、照れくささを感じたりするものです。

加えて、このYouメッセージは「あなたは~だ」といきなりレッテルを貼ることになりますので、使うにあたり注意したいことがあります。

・あなたと相手との信頼関係これは「この人が言うことには嘘がない」とあなたが相手に思われているかどうかということです。

信頼関係がないと、「あなたには言われたくない」「お世辞ではないのか」「何か裏があるのでは」などという感情が起こり、自信をつけるどころか、信頼関係が危うくなるかもしれません。

・相手がその内容に同意できるかどうか仕事で大きなミスをして自分はダメだと深く落ち込んでいる相手に対して、「○○さんはできる人だね」と言っても受け入れられません。

「同情されている」と、かえって自信を失ってしまったり落ち込んでしまったりするかもしれません。

逆に、自分自身は頑張って結果が出ると思っている人に対し「あなたは本当に頑張る人だね」と言われれば受け入れられてもっと頑張ろうと思う可能性が高まります。

つまり、このYouメッセージは、リスクはあるけれど、当たれば効き目がある承認のメッセージなのです。

Iメッセージとは、「私は○○さんが~と思う」という「私」つまり「I」を主語にしたメッセージです。

「私は○○さんが提案上手だと思います」「私は△△さんの稟議は的確だと思います」Youメッセージが「○○さんは……」というレッテルを貼っているのに対し、Iメッセージは「感想」です。

ですから、Youメッセージのような、相手との信頼関係や本人が同意するかしないかということはまったく関係ありません。

あくまでも主語である人(私)がどう思ったかということを1つの情報として伝えるだけなのです。

Youメッセージはいきなり強いボールを投げつけるイメージですが、Iメッセージは「ボールをころころと転がし相手の目の前で停止したものを拾うか拾わないかは相手次第」というイメージです。

IメッセージはYouメッセージのような強さやインパクトはありませんので、たとえヒットした(つまり受け入れた)としても相手はそんなにうれしそうな顔はしないかもしれません。

しかし、これは時間が経過するに従いじわじわと効き目が出てきます。

「上司はわかってくれていたんだ」という感じです。

たとえ本人が同じように思っていなかったことに対してもYouメッセージのように拒否をするのではなく、「私はダメだと思っているけれど、上司は大丈夫だと思ってくれていたんだ」と客観的意見として受け入れられます。

これらは別のとき思い出されたりして、徐々に自信がついていきます。

加えて、信頼関係が崩れるリスクもありません。

このIメッセージは落ち込んでいる人を励ますのにも有効です。

銀行に勤務していたとき、ミスをして自信を失っていたときのことでした。

その当時の上司がこう言ってくれました。

「私は、前田さんが必ず頑張って結果を出す人だと思っているよ」。

この一言はそのときだけでなく、その後の課題に立ち向かううえで大きな支えになりました。

このメッセージはYouメッセージよりも口に出しやすいものです。

まずは、Iメッセージを使ってみてもよいでしょう。

これはIメッセージの変形版です。

「私たち」が主語になりWeメッセージといいます。

「○○さんがこんなところまでやってくれることで、私たちはとても助かっています」「△△さんが明るく挨拶をしてくれるから、私たちも朝から気持ちよくいられるよ」「□□さんが入社してからチームワークがよくなったと、私たちは思っているんだよ」Iメッセージはあくまでも1人が感じていることですが、こちらは複数の人が感じていることを伝えます。

「情報」「感想」である面はIメッセージと同じなのですが、主語が集団になるので、Iメッセージよりはインパクトがあります。

人にはもともと「誰かに喜んでもらいたい」「人の役に立ちたい」という気持ちがあるものです。

ですから、Weメッセージで褒められると、人の役に立ったという喜びとともに自己肯定感に結びつきます。

Weメッセージで褒められると、もっとみんなの役に立ちたいと感じるかもしれませんし、YouメッセージやIメッセージとは意味が違う自信もつくはずです。

チームのなかでの存在感があるということで自発性が促されたり、コミットメントが高まったりするケースもあります。

(9)「感謝」は成長のサプリメント「ありがとう」が多い職場は活気があり関係性もよいものです。

感謝は相手に「やってよかった」という幸せな気持ち、そして自己肯定感を生みだすのと同時に承認欲求を満たします。

また人は誰しも「人のために役立ちたい」とも思っています。

ですから、相手のやる気を刺激するためには「感謝」はとても効果的なのです。

私が外資系の銀行に勤務していたときのこと、最も印象的だったのが「ありがとう」がとても多かったことでした。

上司に電話を取り次ぐと「ありがとう」、書類を渡すと「ありがとう」、サインをもらうために書類を差し出してもサインの後は「ありがとう」でした。

上司は日本人でしたが、欧米の生活が長い人でした。

欧米人は「Thankyou」を職場でも頻繁に使いますので、そのまま「ありがとう」を言っていたのだと思います。

その前に勤務していた日本の企業では、上司の印鑑をもらったり電話を取り次いで「ありがとう」と言われたことはありませんでした。

「はい」「わかった」という受け答えがあればいいほうで、うんともすんとも反応がない場合もありました。

「仕事なのだからやって当然」と上司も思っていたでしょうし、私も同じように考えていました。

しかし、実際に「ありがとう」を言われると、そのたびに「やってよかった」と感じるのが不思議です。

その積重ねで、上司と私の信頼関係は非常によかったですし、コミュニケーションもきわめてスムーズでした。

仕事にも意欲的に取り組みました。

せっかくやってあげたのに感謝されないということであれば次回はやりたくないと思うでしょう。

そういう気持ちがチームに蔓延したらどうなるでしょうか。

雰囲気は暗くなるでしょうし、お互いの人間関係に問題が発生しそうです。

「ありがとう」を日常会話にたくさん入れていきましょう。

加えて、部下に他者からの「ありがとう」、特にお客様からの感謝を頂くという成功体験をつけさせていくことも大事です。

いろいろな金融機関で女性の育成を支援する機会があるのですが、そこで意識しているのがこのことです。

ある営業部隊の育成に関わったときのことです。

その育成プログラムはほぼ通年にわたり行うもので、今後活躍が期待される女性が選抜されてきます。

最初は「私には無理です」「預かり担当なんてできません」という人たちがほとんど。

そこで、さまざまな仕掛けをして、少しずつチャレンジを促し、お客様からの感謝を頂けるようにしていきます。

すると、最初はお客様からの「ありがとう」をもらえたことに感激することから始まり、成功体験を積み重ねていきます。

そうなると、並行して成約という結果もついてくるようになり、プログラムが終了する頃には自信をつけ営業担当者として自立をしていくのです。

「ありがとう」だけで人を育てることはできませんが、これは成長を助ける強力なサプリメントです。

特に女性は「誰かの役に立ちたい」という気持ちをもっている人が多いようです。

マネジメントには「感謝の気持ちを伝えること」を取り入れていきましょう。

(10)「みていてくれる」が部下の行動を促す前述の上司からの手紙についてですが、もらった部下が感激する理由に「みていてくれたんだ」というものもあります。

収益目標が厳しい日常にあって、金融機関の職員は「すべての評価は数字でしか行われない」と感じる傾向にあります。

表彰なども、数字での実績を上げている人に対してが中心となっており、頑張っているのに結果が出ていない職員や、営業担当でない場合は頑張っても評価はされないと認識してしまいがちです。

しかし、実際のところは収益が上がるまでにはその職員1人が短期的に貢献しているケースばかりではありません。

もしかしたらチーム全体でお客様との信頼関係を長い期間をかけて構築してきたのかもしれませんし、事務処理をしてくれる人たちのバックアップがあってスムーズな営業ができているのかもしれません。

また、先輩の育成や励ましがよかったのかもしれません。

それなのに、評価されるのは最終的に成約にこぎつけた職員……となると、他の職員は「頑張っても結果が出なければまったく評価されない」と感じがちです。

昨今はどの金融機関も結果に出てこない能力やプロセスを評価すべくさまざまな仕組みを導入しており、数字のみの評価を行っているわけではありませんが、表面に現れない部分を評価するのは大変難しいのです。

その結果、必ずしもすべての職員が100%納得する評価制度になっているわけではありません。

そんなとき、「頑張っていることをみてくれている人がいる」「自分のことを気にかけてくれている人がいる」というのは大変勇気づけられることなのです。

日頃から「みているよ」「気にかけているよ」ということを伝えるのに効果があるのが「声かけ」です。

以前銀行に勤務していたときのこと、管理職ではありませんでしたがキャリアを重ねてきていて職場のリーダー的存在になっており、マナー運動の責任者になりました。

そうなると、マナー改善のためのプランを立てたり勉強会を開催しなければならないのですが、その役目についているのは自分1人。

直属の役席は「前田さんよろしく」と特にサポートしてくれるわけではなく、心細さを感じていました。

金融機関の営業店の仕事というのは業務には精通していくのですが、企画力やリーダーシップなどを鍛える場面が少なかったので私にとっては初めての経験で、何をやってよいのかわからないというのが本当のところでした。

そんなときに声をかけてくれたのが支店長でした。

もともと時間を見つけては現場を見回って「最近どうだ?」「困っていることはないか?」と声をかけてくれていたのですが、私が困り果てている様子に気づいたのでしょう。

あるとき、あいている隣の席に座り、「何か困ってるだろう?」と言われたのでした。

直属の上司を通り越して言うのはどうか……とは思ったのですが、背に腹はかえられません。

とうとう「実は……」と不安を話してしまいました。

結局は支店長が何かしてくれるわけではなく、自分で相談する人を見つけ解決しました。

それまで、相談者を自ら探すこともせず1人で孤独感とともに仕事も抱え込んでいたのです。

そのときの気持ちは「1人じゃない」ということ。

問題解決に動くきっかけをもらったのです。

女性活躍推進の流れで職場ではこれまで以上にいろいろな役割を担う女性が増えてきました。

そんなとき必要なのが「みているよ」「1人じゃないよ」という他者からのメッセージです。

必要あれば自ら訴えてくるはずと思いがちですが、金融機関の女性たちには業務の特性上、まじめで我慢強い人が多いです。

また、アピールが苦手という人も少なくありません。

そのような女性にチャレンジさせていくには「みているよ」が大変重要なのです。

(11)アドバイスとフィードバックで背中を押そう女性を育てるのに活用して頂きたいのがアドバイスとフィードバックです。

両方とも心を刺激しながら主体性を促す効果的なアプローチです。

「アドバイス」と比較されるのが「指示/命令」です。

「指示/命令で部下は動く」とお考えの方も多いことと思います。

実際、うまく部下を動かした成功体験をもつ方も多いことでしょう。

では、その部下は継続的にあなたの意図どおりに動くようになったでしょうか。

「何度言っても同じ間違いをする」「この前同じことを言ったのに。

何度言ってもわからないのだから」こういう悩みをもったことはないでしょうか。

なぜあなたの部下は何度言っても指示どおりに動かないのでしょうか。

その理由は、部下の行動が部下自身の意思ではないからです。

1度目にそのとおりに動いたとしても、それは指示命令にただ従っただけなのです。

人は自分でやると決めたことしか行動(継続)しません。

ですから、「ああしろ」「こうしろ」という指示・命令をされても決して長続きはしません。

結果として上司は指示し続けなければならなくなります。

人は自分で納得して「やる」と決めたことを行動に移すほうを好むものです。

人が最も意欲をなくすのが「やらされる」こと。

つまり「強制」です。

やらされ感が心に生まれると仕事がつまらないものになってしまいます。

アドバイスは相手の決定権を促し、やらされ感が生ま

れるリスクを少なくすることができるのです。

「フィードバック」は自分の感じたことを伝えることです。

上司が部下の話を聞いた感想を「私は~と感じた」と伝えます。

ミスをして上司から叱られたときのことです。

上司から足りなかった点を指摘されながらも私は「全部私が悪いわけではないのに……」と納得できず話を聞いていました。

ひとしきり話された後、最後に上司が「僕は今回のあなたの対応について残念に感じたんだ」と言いました。

それまで、「上司、部下」という構造のなかで話されていたことが、心の扉を開かれたような気がして、一気に「人同士」になったのでした。

「上司をそんな気持ちにしてしまった」「期待してくれていたんだ」いろいろな感情が溢れ、これからはもっと注意して仕事を進めようと思った記憶があります。

心からの一言は相手の心に響きます。

コーチングセッションでも、最後に1人の人間として「フィードバック」を伝えることがあります。

クライアントさんからは、「最後の『感想』が印象的でした」と言われることが多いのも同じ理由でしょう。

職場では「上司として」ではなく「人として」のフィードバックで心と心の会話、つまりドリーミングレベルの会話をしていくことができるのです。

(12)部下を伸ばす叱り方「部下を叱るのが苦手」という人は自分自身や相手の性別にかかわらず多くいます。

ネガティブなことを相手に伝えるということは誰しもうれしいものではないですし、たとえ「上司」という役割があったとしてもエネルギーが要るものです。

「女性部下だから注意しにくい」と感じる上司も多いようですが、女性だからこそ言うべきことは言い、厳しさも含めた信頼関係をつくっていきたいものです。

ただし、注意しなければならない点がいくつかあります。

①触れていいのは「事実」と「行動」のみここまでの部下とのやりとりについては、適切に「ドリーミングレベル」や「感情」、つまりココロにアクセスしながら話していくということを述べてきました。

しかし、叱る/注意などは異なります。

叱るときの鉄則は「事実、行動に対してのみ」ということです。

たとえば、整理整頓が苦手でお客様の大事な書類を紛失しそうになった部下に対し、「今回、整理整頓ができていないこと」を注意することはよいのですが、「いつもできていない」「そもそもルーズ」などと今回の事実以外のことや性格、考え方に踏み込むことはその人自体の否定につながりますので絶対に避けなければなりません。

②簡潔に伝える言いにくいことを伝えるとき、「相手を傷つけたくない」という気持ちや「自分が悪く思われたくない」という気持ちが芽生えるのは至極当然のことです。

そんなときについやってしまいがちなのが、言葉に「飾り」をつけてしまうこと。

それでインパクトを和らげようとしてしまうのです。

「〇〇さんのことを傷つけようと思っているわけではないんだけどね……」「そんなに気にしすぎないでほしいんだけど……」「いつもそう思っているわけではなくて今回たまたま気になったんだけど……」といったものです。

こういう言葉を入れることで、本当に伝えなければならないことが薄まってしまい、結果的に伝わらない可能性があります。

そして、ネガティブなことを言うリスクも負わない上司を部下は信頼するでしょうか?「〇〇したことは間違いだと思う」「あなたの考え方には〇〇という問題点がある」と、率直かつ簡潔に伝えるほうがよほどインパクトがありますし、信頼関係も壊れません。

③言うべきことを絞る1つのことを注意しているうちに、ついほかのことにも触れ、結局あれもこれも注意してしまうことはないでしょうか。

また、ここぞとばかりに複数のことについて注意してしまうこともあります。

まず、部下はあれもこれもをいっぺんに受け止められません。

ネガティブなことを言われてうれしくなる人はいないでしょう。

それをいくつも言われてはさすがに傷ついてしまい、要点がぼけてしまいます。

「あれもこれも」は避けましょう。

④言い終わったらダラダラ続けない注意し終わって部下が納得したらそこで終了しましょう。

「では、この話題はここまで」とします。

「傷つけてしまったかもしれないフォロー」などは必要ありません。

やればやるほど墓穴を掘ることになります。

・終わったらさっと席を立つ・お互いの座っている体勢を変える・場所を移すなどが必要です。

「叱り/注意の場」をそこでクローズすることが必要です。

⑤深呼吸をして臨む①~④を実行するために最も大切なことは、自分自身の感情のコントロールです。

怒りでいっぱいの状況では、性格や価値観に触れてしまったり、あれもこれも芋づる式に続けてしまったり、不必要なことを言ってしまったりするものです。

怒るのと叱るのとは違います。

感情をぶつけても信頼関係が壊れるリスクが増すだけですし、相手の行動変容には結びつきにくいものです。

もし怒りの感情があるのであれば、まずそれを収めて冷静になりましょう。

そのために深呼吸が必要なのです。

(1)DiSCとは昨今は人の性格や行動を分析したりタイプ分けしたりする考え方が数多くあります。

性格心理学や人間学を基にしているエニアグラム、精神分析を基にしたMBTIやエゴグラム、脳科学がベースのハンマーモデルなどがあり、組織開発や人材育成のために導入している組織も多いようです。

ここでは行動心理学をベースにした「DiSC理論」を紹介します。

これは、アメリカの心理学者ウィリアム・ムートン・マーストン博士(18931947)が1920年代に提唱した理論を元にしたもので、人の行動傾向をD(主導傾向)、i(感化傾向)、S(安定傾向)、C(慎重傾向)の4つの行動スタイルに分類し、そのバランスをみていくというものです。

人にはその人独自の内面にある動機や欲求から発生する行動のパターンがあります。

会議の参加の仕方1つとってもその人の行動傾向が現れます。

その会議にいかなる権威がある人がいようとも自分の意見を堂々と主張し会議をリードしていく人(D:主導傾向)もいれば、場の雰囲気が明るくなるように盛り上げる人(i:感化傾向)もいます。

また、発言よりもよい聞き手となり、中立的に存在して場を安定させてくれる人(S:安定傾向)もいれば、物事の根拠やリスクについて細かい分析を要求する人(C:慎重傾向)もいます。

女性部下のマネジメントといわれると、つい「女性だから……」「女性は……」という枕詞をつけて解釈しがちです。

「女性だから積極性が足りない」「女性だから経営者にひるんでしまうだろう」と。

しかし、男性にも消極的な人や偉い人にひるんでしまう傾向の人はいます。

性差は1つの分類でしかありません。

人間の違いという点では、DiSCのような理論的なものも指針として取り入れていくことで、女性活躍推進の流れにおける「性差」を必要以上に気にせずにマネジメントをすることができます。

「女性だから」と考えるより「D(主導傾向)だから」と育成方法を考えたほうが結果は出やすいのです。

図のマトリックスをみてみましょう。

仕事や活動のスピード(縦軸)と人志向か仕事志向(横軸)でできています。

縦軸でみると上部に位置しているD(主導傾向)、i(感化傾向)は、意思決定や行動が速く周りの環境に対して能動的に働きかけます。

自己肯定感が高いです。

一方下部に位置するS(安定傾向)、C(慎重傾向)は意思決定、行動がゆっくりで、周りの環境に対して受動的です。

自己肯定感が低めです。

横軸の「仕事志向←→人志向」でみてみると、左側にある仕事志向のD(主導傾向)、C(慎重傾向)は、「人との関わり」よりも「仕事、活動そのもの」に神経がいきがちです。

それに対し、右側のi(感化傾向)、S(安定傾向)は人との関わりを重視します。

行動傾向は1人に1つというわけではありません。

「Dとi」とか「Sとi」、「CとS」といったように複数を兼ね備えているものです。

しかし、この傾向が強そうだという仮説をもつことでマネジメント、育成の助けになるのです。

(2)DiSCの特徴と育成ポイント■こんな部下はD(主導傾向)・業務の改善や営業の方法を自分で考え、思いつくとすぐに動く・大きな数値目標があると意欲が出るが目標がないものや途中のプロセスにはあまり興味がない・支店長など上位者にも物おじせず自分の意見をはっきりと言う・周りの雰囲気に合わせて愛想笑いしたりすることはなく、迫力があったり、時には怖い印象だったりする・短い言葉で要点をズバッと言う・集団になるとすぐにリーダーシップを発揮し周囲はフォロワーになりがち

■リーダーへの道……周囲との協働を育てよう

D(主導傾向)の高い部下は行動力があるうえ意思決定が速いのでぐずぐずしません。

また、プレッシャーにも強いという傾向があります。

こういう部下に「女性だから」と無用な気遣いをしたりするとイライラされてしまうことでしょう。

高い期待を単刀直入に伝えていくことがモチベーションを上げていきます。

自己評価が高い人が多いので、承認についても短く「さすが〇〇さんだね」と伝えることがよいでしょう。

この行動傾向にある人は高い目標に向かってエネルギーを出せる人です。

仕事でも人間関係でもプロセスよりも結果を求めていきます。

注意しておきたいのは、周囲との協働です。

もともと傾聴は苦手ですし、時に自分勝手にグングン進んでいってしまいますので、周囲がストレスを感じる場合があります。

リーダーに育てるにはチーム全体の調和に気を配らせることも必要です。

言いたいことをズバズバ言われるので上司自身がおそれをなしてしまわないように注意をしましょう。

■こんな部下はi(感化傾向)・みんなで頑張ろうと呼びかける・仕事中でも雰囲気を和ませるような発言をする・誰にでも笑顔で感じよく応対する・後輩の育成も気持ちよく引き受ける・周りの人に明るく前向きな印象を与えムードメーカーになっている

■リーダーへの道……感情に流されない判断力を育てよう

i(感化傾向)が高い人の特徴は「社交性」があります。

表情が豊かで朗らかだったり、自分から話しかけて人間関係をつくっていったりする部下はiが高いと考えられます。

人とのつながりを大切にし物事を楽観的に考え肯定的に受け止める傾向があります。

「感じがいい人」「明るい人」といった評価をされていることが多いようです。

しかし、この人は1人で細かいことをやるのが得意ではありません。

また、能動的に行動するものの、まとまりがつかなくなってしまうこともあります。

話しているうちに感じるままに話が進み、本題からズレてしまうこともあります。

iが高い人は周囲の評価を気にしているので、「承認」がやる気の源です。

チームにはこういう人がいると安心してしまいがちですが、チーム全体がこの部下とうまくまとまっているのか、盛り上がりについていっていない人がいないかをみていく必要があります。

周囲の雰囲気や自分の気持ちに流されず、仕事を進め判断していく力をつけていくことができれば、特性をより生かせることになります。

■こんな部下はS(安定傾向)・コツコツ決まった仕事をきっちりやる・新しいシステムについての話には乗ってこない。

不安そうな表情になる・マニュアルをつくるのが得意・自信がなさそうで謙虚な印象・目立つよりも一歩下がって周囲に合わせる・YesなのかNoなのかはっきりしない・聴き上手。

飲み会などでもニコニコしながら皆の話を聴いている

■リーダーへの道……「行動」を促そう

S(安定傾向)はD(主導傾向)やi(感化傾向)に比べ、受動的かつ消極的な印象を与えます。

自分で行動を起こしたり変革したりするより、慣例や周りの動きに合わせることが多いのです。

金融機関は規定や法律など従わなければならない業務が多い業界で、ミスがないことが当たり前とされる面もあります。

また、周囲との和を大切にしている業界でもありますので、金融機関には立場にかかわらずS(安定傾向)の人が比較的多く見受けられます。

またS(安定傾向)の人にとっても居心地は悪くないはずです。

職場や人の役に立ちたいという気持ちが強く、目立とうとはせずにメンバーとしての役割を地道に果たします。

意見を聞こうとしても「特にありません」「それで結構です」と言う部下、仕事のやり方を変えようというアイデアに心配そうにする部下はいないでしょうか。

「管理職にチャレンジしてみない?」と言っても「私なんてとてもとても……」とまず答えるでしょう。

自己評価が低めなのでなかなか一歩を踏みだせませんから、行動に向けて背中を押してあげる必要があります。

小さな成功体験を積み重ねさせ、そのたびに承認と感謝をしっかりしていく。

その人がいることがどれほど皆の役に立っているかを伝えていくことがその後の成長を促す結果になるでしょう。

「大丈夫」「見守っているよ」が育成のポイントです。

「行動」が将来をつくっていきます。

■こんな部下はC(慎重傾向)・軽い世間話が苦手・無表情で何を考えているのかわからない・細かいことに非常にこだわる・Whyの質問が多く理屈っぽい・データの矛盾に気づく・現金や数字を徹底的に合わせる。

何度もいろいろな方向からチェックする・おもしろくないことには笑わない

■リーダーへの道……心の交流の仕方を指導しよう

C(慎重傾向)が高い人は、理論分析派ですのでデータなどの根拠を重視し、曖昧な話に付き合うのはあまり好みません。

分析的に考える傾向があるため、綿密なレポートなどをつくるのが得意です。

正しいことを重視するので、ルール違反をする人に対しては厳しいです。

ニコニコすることはないのでとっつきにくいと思われがちです。

こんな部下に、曖昧な指示を出したり、思いつきで指示を出したりするのは避けましょう。

根拠を追及されたり、先週と今週の指示がどのように違っているか、そしてそのためにどのような影響が出ているか反論されることもあるでしょう。

また「いい加減な上司」として信頼関係も損なわれます。

「承認」は効果がありますが、必ず根拠を伝えることが大事です。

Iメッセージで情報としてじっくり伝えると受け取りやすいでしょう。

女性だからとやたら感情にアクセスするようなアプローチはあまりよくないかもしれません。

本人に盛り上がることを期待するのも酷です。

論理性を大事にして接していきましょう。

チームにおいては、この部下が周囲にとけこめるように優れている面を上司として伝えておく必要があります。

盛り上げ役になる人との協働の仕方、特に周囲との心の交流が必要と指導をしていくとともに、他者へ求める完璧さを手放すことをアドバイスしていくとよいでしょう。

*DiSC理論に関しては、Wiley社が著作権を保有し、日本における総販売代理権はHRD株式会社が所有しています。

Column●ワークとライフはバランスをとらなくてもよい●「ワークライフバランス(WLB)」という言葉が浸透していますが、これによってプレッシャーを感じている人は少なくないようです。

「『ワーク』と『ライフ』はバランスをとらなければならないのでしょうか?」という質問をいただくことがあります。

この間、ある外資系企業のエグゼクティブの女性のお話を聞く機会がありました。

彼女は2人のお子さんを育てながら要職に就いています。

彼女の考え方はこうです。

「私のキャリアの要素には『仕事』『家庭』『社会』の3つの輪があり、時期によってそれぞれの輪が大きくなったり小さくなったりする。

子どもが小さいときはどうしても『家庭』の輪が大きくなり『仕事』の輪は小さくなる。

しかし成長してくれば『仕事』の輪をまた大きくすることができる」と。

そして、2人の子どもと夫がいるいまの生活が幸せ、とも。

仕事と家庭のバランスをとるというのではなく、もっと大きな視点、つまりトータルコーディネイトの視点でみていくものなのだと腹落ちしたのでした。

女性職員のなかには子育てをしていることで、仕事を思いっきりすることができないと悶々とするケースも多いようです。

しかしそれは永久に続くわけではありません。

また思いっきり仕事ができる時期というのはくるのです。

たしかに、ずっと仕事に打ち込むことができている人よりは少し後れをとったような気がするかもしれません。

しかし、それよりも、長い目でみれば子どもがいることや子育てを通じて得る経験は仕事の厚みへのプラス要因です。

現状は仕組みやその運用面でデメリットを多く感じることが多いのは事実です。

しかし、このことも徐々に改善してきています。

今後、活躍する女性職員の母数が増えることで、改善の速度は上がっていきます。

大きな視点、長い目で人生全体をみていきたいものです。

■参考文献■『ダイバシティ・マネジメント』谷口真美(2005年、白桃書房)『[新版]グロービスMBAリーダーシップ』グロービス経営大学院(2014年、ダイヤモンド社)『「育休世代」のジレンマ』中野円佳(2014年、光文社)『なでしこ力』佐々木則夫(2011年、講談社)『強い営業店をつくる今日からやろうコーチング!』前田典子(2005年、近代セールス社)■サイト■NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会http://www.servantleader.jp/日本労働組合総連合会https://www.jtucrengo.or.jp/AFPBBNews2013年12月5日付「脳内神経細胞の接続、男女間で違い」http://www.afpbb.com/articles//3004391

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次