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第4章「どう(How)」すり合わせるか──フィードバックするスキル

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第4章「どう(How)」すり合わせるか──フィードバックするスキル

フィードバックの目的2種類のフィードバックポジティブ・フィードバック──「認める」と「ほめる」の違いと構造認め上手は「見つける力」、ほめ上手は「表現する力」を養うチェンジ・フィードバック──「指摘」で終わるのではなく、「指摘」から始まるチェンジ・フィードバック4つのステップ部下を支援するという「あり方」が土台

第4章「どう(How)」すり合わせるか──フィードバックするスキル

フィードバックの目的対話すべきテーマについて「どう(How)」したら認識をすり合わせられるのか──そのためのスキルのうち、第4章では「フィードバックするスキル」について紹介していきます。

フィードバックとは、本書では「上司が、部下の成果創出や成長にとって有益になる部下自身に関する情報を伝えること」と定義します。

これは、フィードバックの諸説ある語源の中でも「フィード(栄養)をバックする(与える)」という意味に準拠しています。

もう少し具体的に考えると、部下の成果創出や成長は、上司や組織がその部下に「期待していること」を前提としています。

本書のテーマである、対話によって諸認識をすり合わせるということは、上司や組織の期待と部下の意向をすり合わせるということでもあります。

ですから、フィードバックをすることは、部下と組織をつないでいくことにもなるのです。

しかし、いくら一方的に上司が有益だと思うことを伝えたとしても、1回で部下に伝わらないこともあるでしょう。

その際には、部下にどこまで伝わったのかをしゃべってもらうことで、認識のすり合わせができます。

つまり、対話において、フィードバックするスキルが機能するためには、しゃべってもらうスキルとセットであることが不可欠です。

フィードバックをする目的は、フィードバックから始まる対話によって、その後の部下の行動が強化または修正されて成果につながっていくことです。

これにより、部下の不安の解消やモチベーション向上、成長促進が行われていきます。

本章では部下の成果につながるフィードバックについて具体的に見ていきます。

2種類のフィードバック部下にとって有益なフィードバックは2種類あります。

1つは、部下の行動強化をもたらす「ポジティブ・フィードバック」。

もう1つは部下の行動修正につながる「チェンジ・フィードバック」です。

ポジティブ・フィードバックは、部下の行動が上司の期待に合致しているときに「合っているよ」と伝えることです。

具体的には、まず、一見当たり前に見える部下のがんばりを「認める」こと。

そして、部下のすごいところを「ほめる」ことで、その行動を強化していきます。

一方、チェンジ・フィードバックは、部下の行動が上司の期待とずれているときに「ずれているよ」と伝えることです。

具体的には、部下のずれた行動を指摘して、確認、修正をしていきます。

この2つのフィードバックにおける、「認める」「ほめる」「指摘・確認・修正する」という行為を理解するために、上司と部下が車に乗っている場面を想像してみてくださ

い。

部下が運転する車の助手席に上司が乗っています。

上司が目的地を告げて、部下が運転し始めました。

このとき、上司が部下に期待することは、安全運転で事故がなく、かつ最短距離で目的地に到着することです。

この状況下でいえば、「認める」とは、部下が上司の期待通りに道を間違えず運転しているときに、「いいね」「順調だね」と肯定的な言葉がけをすることです。

上司からすると、わざわざ口にするまでもないことと感じるかもしれませんが、部下は内心「これでいいのかな?」と不安になっていることもあります。

上司からの「これで合っているよ」というメッセージがないと余計な迷いが生じて、成長速度やパフォーマンスが下がる可能性があるのです。

ですから、当たり前のことと軽視せずに、言葉に出して伝えることが非常に大切です。

次に「ほめる」とは、すごいこと、つまり期待を上回る部下の行動についてそれを言葉で伝えることです。

この状況のすごいこととは、たとえば、注意深い運転によって小さな障害物を発見し、瞬時に華麗なドライビングテクニックでかわしたり、上司も気がつかなかった最短ルートを見出して運転することです。

それに対して「障害物に引っかからずに済んで○○さんの運転で本当に助かったよ」「こんなルートを見つけるなんてさすがだね!」と言葉がけするのがほめることです。

これにより、部下は自分の能力やスキルにさらに自信を深めて成長が促進されたり、モチベーションが上がって成果につながりやすくなります。

最後に、「指摘・確認・修正する」とは、期待とのずれを伝えて認識を修正してすり合わせることです。

この状況では、たとえば部下が時速40㎞で走っているとします。

道路の制限速度は60㎞で、上司も60㎞を期待しています。

上司の期待から考えると、安全運転ではありますが効率的ではないと感じ、上司は「スピード遅いよ」と指摘します。

そこで部下は45㎞にアップします。

指摘が曖昧だと認識が一度ですり合わないこともあります。

指摘する際は、期待を明確にして対話することが不可欠です。

また、部下は上司が60㎞を期待しているとわかっていてもどうしても出せない、ということも考えられます。

それは、60㎞である必要性や背景を理解しておらず、納得していないのかもしれません。

あるいは、どうしても60㎞を出せない理由が部下の背景にあるにもかかわらず上司にそれを伝えられていないのかもしれません。

このように、お互いの認識のずれを修正して行動につなげていくために、まだすり合っていない情報や思い、意見をすり合わせていく必要があります。

そうしてきちんと認識がすり合うと、部下は最大限のパフォーマンスを発揮できるのです。

このように、「認める」も「ほめる」も「指摘・確認・修正する」も、それぞれ表面上の行為は異なりますが、目的は上司と部下の認識をすり合わせて、その方向に向けて行動していくことを促すという、同じことをしています。

さらに、それぞれの行為について詳しく見ていきたいと思います。

ポジティブ・フィードバック──「認める」と「ほめる」の違いと構造まず、ポジティブ・フィードバックから見ていきたいと思います。

上司がポジティブ・フィードバックをする目的は、先述の通り部下の行動を良い方向に強化していくことです。

具体的には認めるとほめるの2つがあります。

まず、認めるとは、期待に沿っている行動を口に出して伝えることです。

着目すべきは、一見当たり前のように見えるけれども、部下なりにがんばって取り組み、少し変化したことです。

たとえば、メッセンジャーの返信が以前より少し速くなった、処理件数が少し上がったなど、がんばっていることに少しでも変化が出てきて、それを上司が認めてくれれば、もっとがんばろうと行動が強化されます。

次に、ほめるとは、期待通り、もしくはそれを超える優れた言動や結果について良く言及することです。

たとえば目標を超過達成するなど、誰が見てもすごいというケースです。

一般的に、期待を超えたものはほめやすいと思いますが、気をつけるべきは、ほめなかったときのリスクです。

つまり期待以上のことをしていてほめられなければ、「努力の方向性が間違っていたかな」と不安や迷いが生じます。

ですから、ほめる意識以上にほめなかった場合のリスクを考えて、忘れずに言葉にすることです。

そうしてほめられた部下は、「自分は必要な行動をうまく遂行できる」という自己効力感を持てるでしょう。

認め上手は「見つける力」、ほめ上手は「表現する力」を養うそれでは、これら認めることとほめることを、うまくコミュニケーションに取り入れるためのポイントについて、見ていきたいと思います。

まず、認め上手になるためのポイントは、「見つける力」を養うことです。

なぜなら、着目する対象が、ごく些細なことや少しの変化だからです。

具体的な鍛錬方法としては、認める用のメモを取ることをおすすめしています。

たとえば、会議の場面では「会議が始まる前に、参加者のイスの数が足りなかったので率先してほかから持ってきてくれた」「周りに同調するのではなく、自分だけの意見を言っていた」などとメモを取ります。

こうして記録メモを書く習慣をつけることで、少しの変化に気づく力を養えるのです。

これを「イス、助かったよ」「あの発言いいね」と伝えられた部下は、「そんなところまで見ていてくれたんだ。

もっと意識してやっていこう」と思い、その言動が強化されていきます。

これは非常に価値のあることなのですが、実際には、上司は部下のできていることよりもできていない問題に焦点を当て、そこをアドバイスしたり解決していくことだけにマネジメントの価値を感じてしまいがちです。

たとえば、先週の進捗が50%で、今週が70%だと

したら、未達の30%に意識が向きます。

現場ではそれでいいのですが、対話時には進捗した20%についてまず触れたり、70%まで全体が進捗した成長を伝えたりすることで、部下もさらにやる気になって、期待されている進捗を伸ばしていこうと思うのです。

そのうえで、未達部分について話していくようにしましょう。

一方、ほめる場合は、もともとすごい結果やプロセスを残しているので、見つけることは容易です。

ですから、ほめ上手になるポイントはその結果やプロセスを「表現する力」にあります。

なぜなら、認める場合は「見つけてもらえた」こと自体に価値があり、上司の実際の言葉としては「いいね」「順調だね」などシンプルな言葉でも、十分にそれが伝わりました。

しかし、ほめる場合は少し工夫が必要です。

どうすごいのかを表現する必要があるからです。

そのためには、そのすごいことがもたらした影響を表現するといいでしょう。

とくに効果的なのは、Iメッセージと呼ばれ、自分の「気持ち」や「影響」を、自分を主語にして相手に伝える方法です。

これは、相手が行ったことが、私にどういう影響を与えたかを説明することで、相手に自己効力感を与えます。

つまり、相手は「私は上司に影響を与えることができるほどの存在なんだ」と受け取り、自己効力感が増して、行動がさらに強化されていくのです。

YOUメッセージ(主語が相手)「鈴木さんは、いつも一生懸命接客しててすごいね!」Iメッセージ(主語が私+気持ち・影響)「私は、鈴木さんのいつも一生懸命な接客に感動して考え方変わったんだよね」そのほかにも、ポジティブ・フィードバック全般のポイントとして、5つあります。

1具体的に伝える説得力が増して、相手が受け取りやすくなります。

具体性がないと聞いた相手はおべっかを使われているのではないかと不安になる場合もあります。

2心から伝えるやり方や型に依存して自分の言葉で伝えられていないと、気持ちがこもらず、相手を動かすメッセージになりづらくなってしまいます。

3結果ではなくプロセスに注目する結果は誰もが知るところですので、上司だからわかる身近で部下が試行錯誤していた仕事の工夫など、そのプロセスに着目します。

4変化に着目する過去の本人と比べての変化に着目します。

本人自身も気づかなかったような以前との違いや成長について伝えることで、さらに成長への意欲が高まります。

5メールや手紙も効果的に使う書いて渡してあげることで、後からも見返すことができて、ほめられたことを何度も思い出すことができます。

ここぞという場面では、手書きのメッセージも、上司と部下の深い関係づくりを後押しするでしょう。

このように、まずは部下の普段の様子から、良い行動を見つけ出します。

そこから「認める」「ほめる」というポジティブ・フィードバックを行い、部下のパフォーマンスを強化していきましょう。

チェンジ・フィードバック──「指摘」で終わ

るのではなく、「指摘」から始まる次にチェンジ・フィードバックを見ていきます。

上司がチェンジ・フィードバックをする目的は、先述の通り、期待とずれた部下の行動を修正していくことです。

ポジティブ・フィードバックは、伝えさえすればよかったですが、チェンジ・フィードバックの場合は、指摘で終わるのではなく、指摘から対話が始まり、確認、修正へとつながるすり合わせのプロセス全体までを含みます。

その対話を通じて、指摘した行動の奥にある思い込みや思考パターンをすり合わせていくのです。

つまり、指摘はチェンジ・フィードバックの入口です。

なお、このチェンジ・フィードバックと同じような意味合いで、「ネガティブ・フィードバック」という言葉を使う人もいます。

ただ、ときに「ネガティブ」という言葉が「部下にとって耳の痛い、嫌なこと」という認識を生み、「どのように(厳しく、または傷つけずに)言うか?」という「言い方」や「伝え方」に焦点が当てられることがあります。

しかし、どういう言い方をしたとしても、一方的に伝えられるだけでは、受け手は「怒られた」「叱られた」「詰められた」「説教された」という印象しか残りません。

これらは、伝え手から受け手への一方向のベクトル・コミュニケーションです。

一方、第4章冒頭でも述べた通り、チェンジ・フィードバックは「しゃべってもらうスキル」とセットで成立するものです。

上司がフィードバックしたことに、部下が応えてしゃべってくれるからこそ、一方通行で終わらず、双方向の対話が成り立ちます。

つまり、ベクトル(一方向)ではなくループ(円環的)のコミュニケーションを意識することにより、認識のずれが修正されやすくなるのです。

おそらく多くの上司が、部下の行動に問題を感じる場合、「嫌われてもいいから厳しいことを言わなければならない」といった責任感のような重い感覚を持っているのだと思います。

そして、その重い感覚によって怒ったり叱ったりして部下の感情に訴えかけて、部下が落ち込んでいれば機能したと感じ、平気な顔をしていれば伝わっていないと判断するのです。

しかし私は、機能するフィードバックとは、怒りや正論を一方的に伝えて相手の感情に訴えることではなく、部下の行動について客観的な視点でまず指摘をすること、そして部下に「なぜ自分はこの行動をしたのだろうか?」と自分の思考や思い込みについて、考えてもらうプロセスだと思っています。

これにより、自発性を持った行動修正が行われていくのです。

チェンジ・フィードバック4つのステップチェンジ・フィードバックには、大きく分けて4つのステップがあります。

それぞれのステップですり合わせるべき認識があり、対話によってその認識がすり合ったら、次のステップに進んでいきます。

ここでは、各段階において何を行うかを詳しく紹介していきます。

ステップ1事実のすり合わせ①指摘するまず、行動修正を求めたい事柄について、具体的事実をもとに指摘していきます。

人間は事実について自分固有のフィルターを通して解釈をしています。

その解釈をそのまま伝えると、認識にずれが生じやすく、うまくすり合いません。

そのため、何の事実に基づいてそう思ったかを明確にして伝え、同じ事実を2人ですり合わせることが大前提として大切です。

相手にその事実を身構えずに受け取ってもらうために、具体的事実とともに、「Iメッセージ」を活用して伝えます。

そうすることで相手は受け入れやすくなります。

具体的事実のみ「〇〇さん、先日決めたことやってないよね」具体的事実+Iメッセージ「〇〇さん、先日決めたことやってないので、(私は)ちょっと心配になったんだよね」②反応を観察する次に上司は、指摘した後の部下の反応をよく観察します。

指摘する側に責める意図がないとしても、指摘を受ける側はやはり身構えてしまうものです。

反応を観察するうえで重要なのは、部下のネガティブな反応を想定しておくということです。

そうしないと、たとえば部下が感情的に反論してきたときに、上司もついそれを受けて感情的に反応してしまうことがあります。

すると、その後の部下の話が聞けなくなり、対話が成り立ちません。

ですから、事前にネガティブな反応を想定し、反論があっても、心の中で「そう思う気持ちはわかる」と共感しながら、当然のこととして受け止めます。

それが、部下の話をじっくりと聞ける土台となる「あり方」をつくっていきます。

③相手の事実を確認する自分が投げかけた後に、相手が認識している事実を確認してすり合わせを行っていきます。

この前提がそろわなければ前に進めません。

ここでは、新人Dさんの育成サポートを任された部下Aさんの対話例を見ていきます。

対話例1上司「頼んでいたDさんの育成サポートだけど、定期的なミーティングはしてないみたいだから気になっちゃって」───(具体的事実+Iメッセージ)

部下A「してますよ。

基本は週1回やってます。

逆になぜしていないと思ったんですか?」上司「そうなんだ、してるんだね。

Dさんと話したときに、最近あまり話せていないって言ってたからさ」部下A「あぁ、たしかに今月はお互いの予定が合わなくて、2週くらいリスケが続いてしまっています」───(部下Aの事実)上司「なるほど。

定期的なミーティングは設けているけれど、今月はあまり話せていないというのが現状なんだね」───部下Aとの事実のすり合わせ完了ステップ2意味のすり合わせここまでで事実のすり合わせができたら、次は意味のすり合わせの段階に進みます。

意味とはお互いに合意した事実に対する認識(良い悪いなど)のことで、お互いにとっての意味だけではなく、会社にとっての意味や、周囲の人にとっての意味なども含めます。

④現状認識の確認すり合わせた事実に対して、「相手がどう思っているのか?」「どう考えているのか?」を聞いていきます。

つまり事実に対して、お互いが持つ意味や解釈についてすり合わせを行うのです。

このときのポイントは、相手の話を何であれ、いったん受け入れることです。

話を共感してもらえないと、相手は次のステップに進めません。

対話例2※対話例1の続き上司「この状況は、AさんとしてはOKという認識?想定通りなのかな?」───(認識を確認)部下A「想定はしていませんでしたが、正直、仕方ないと思います。

私も忙しいですし……」上司「たしかに、それぞれ忙しいし多少間が空くくらい仕方ないってところかな」───(いったん話を受け止める)このとき、上司は心の中で、最近あまり話せていないと言っていたDさんに合わせてミーティングを実施してほしいと思っています。

このように事実に対するお互いの意味や認識が違うときは、さらに対話を重ねていく必要があります。

⑤関係者の意味を確認する指摘した事実に対して、影響を受ける関係者の意味を確認することで、全体最適の解を模索していきます。

ここでいう関係者とは、基本的には「会社(組織)」「自分」「相手」「その他の関係者」です。

対話例3※対話例2の続き

上司「じゃあ、Dさんの立場に立ったときに、育成担当とあまり話せていないこの1ヵ月ってどう考えると思う?」───(部下の立場に立たせる)部下A「そうですね。

もう少し頻度があった方がいいとは思ってるかもしれませんね」上司「ふーん。

どんなところからそう思うの?」───(具体化質問)部下A「うーん、まぁ、話したいことはいろいろあるんだと思いますよ。

仕事上のこととか、いろいろ不安もあるかもしれないし……」上司「なるほど。

Dさんの立場に立つと話す時間がほしいだろうとは思ってくれているんだね」───(整理の返し)部下A「そうですね」上司「いいね。

改めて、定期ミーティングの場って、AさんとDさんにとってどんな意味があると思う?」部下A「お互いにとっての成長の場だと思います」上司「なるほど」───意味のすり合わせ完了ステップ3期待のすり合わせここまでで意味のすり合わせができたら、次は期待のすり合わせの段階に進みます。

期待とはお互いの目指すものです。

ここでは、上司と部下お互いにとっての期待だけではなく、必要に応じて組織にとっての期待もすり合わせます。

⑥期待を伝える意味のすり合わせによって部下の考えを理解できたら、それを踏まえたうえで期待をすり合わせます。

従わせるスタンスではなく、期待をまずは意見として伝えてどう思うか確認をしながら、すり合わせていきます。

対話例4※対話例3の続き上司「これは僕の意見なんだけど、Dさんと話してて思ったのは、ひとりで仕事を進めている状況に少し不安を感じているみたいなんだよね。

そんな風に見えたかな?」部下A「まぁ、少しは。

さっきのお話にもあったように、彼は求めているんだろうな、とは思いました」上司「そうなんだよね。

でも自分では、なかなか声をかけるタイミングが難しいみたいなんだよね」部下A「まぁ、たしかにそんな感じですね」上司「そう、だからやっぱりそこは、お互いの成長のためにも多少日にちがずれたとしても週に1回はミーティングを行ってほしいんだよね。

それについてはどうかな?」───(上司の期待を伝える)

部下A「はい、その頻度は保てるように注意していきます」⑦伝えた内容と気持ちを確認する伝えた期待について改めて「自分の意図通りに理解してくれているか?」「気持ちに引っかかるところがなく、納得感を持っているか?」を確認します。

この条件が満たされていなければ行動修正につながりません。

対話例5※対話例4の続き上司「いいね。

では、改めてだけど、Dさんとの週1回の定期ミーティングを行っていくうえで、何か問題になることとか気持ち的に引っかかることはない?」部下A「大丈夫です」上司「継続できそうかな?」部下A「うーん、例外はあるかもしれませんが、意識してやっていきます」───(気持ちの確認)上司「OK、ありがとう」───期待のすり合わせ完了ステップ4行動のすり合わせ新たな行動が実際に行われるように、イメージづけや上司ができるサポートを確認していきます。

⑧具体的行動イメージ最終的に、具体的なアクションプランをイメージできていないと、実行確率が下がります。

しかし気をつけなければならないのは、アクションプラン作成に強制感を覚えると、部下は詰められている感覚に陥ります。

あくまでサポートしているスタンスで臨むことがポイントです。

対話例6※対話例5の続き上司「じゃあ最後に、具体的にどうしていくかイメージ共有したいんだけど、ミーティングの日時っていつ頃とか決めているのかな?」───(詰めっぽくならないように、言い方に配慮)部下A「そうですね。

月曜の17時半がいいと思います。

今までもその時間が多かったので」上司「いいね。

あと、もし今までみたいにできなかった場合はどうしようか?」部下A「そうですね。

その週のうちに必ず補填を行うことにします」上司「いいね、そのルール。

あと、もしどうしても忙しそうだったら、候補日を2つつくっておくというのもありかもね」部下A「それ、いいかもしれませんね。

一応、火曜の17時もセットで押さえるように

しておきます」───行動のすり合わせ完了⑨支援できることを探す最後は、上司ができる支援の仕方を模索します。

部下からのリクエストを求める、上司自身が考えつく支援を伝えるなどして確認します。

対話例7※対話例6の続き上司「実施していくうえで、何か私にできることはあるかな?」───(支援の申し出をする)部下A「大丈夫だと思います。

でも、何が起こるかわからないので、また次回のタイミングで報告しますので相談に乗ってください」上司「OK、わかった」このように、チェンジ・フィードバックとは、「伝えること」単体ではなく、指摘から始まる対話の一連の流れを指します。

部下を支援するという「あり方」が土台紹介してきた具体的な「やり方(ステップ)」を覚えることも大事ですが、これを効果的にしてくれるのは何よりも「あり方」です。

チェンジ・フィードバックのステップは「支援できることを探す」で終わっています。

つまり、上司は部下の支援者であるということです。

これは、非常に大切な考え方です。

部下が自分の考えを変えて新たな行動にチャレンジするときに必要なのは、変化することを応援してくれる支援者の存在です。

しかし、たいてい私たちは、ミスを(何度も)した相手、言ったことをやってくれない相手に対して厳しい見方をしてしまいます。

「気がたるんでいるんじゃないか」「仕事を一生懸命やっていないんじゃないか」……そんな考えが脳裏をよぎります。

そうすると、相手をダメな人と見なし、上司である自分はそれを正すべき立場と位置づけてしまいます。

このスタンスから発せられる言葉はすべて、いくら表現を変えたとしても、相手にとっては責められていると受け取られてしまいます。

そして、部下は、上司は自分を変えようとする敵と捉え、身構えて自分を守ろうとするため変化は起こりません。

ですから、部下の行動修正を起こしたければ、前提として「部下の一番の支援者であり味方だ」と思ってもらわなければなりません。

そうなるために上司に必要なものは「すべての行動には肯定的な意図がある」という見方です。

つまり、ミスをしたという否定的な行動の裏にも、部下にとっては肯定的な意図があったと考えるのです。

ミスをしようと思ってしたのではなく、良かれと思って、そのときできる最善を尽くした結果ミスになった、と見立てるのです。

そうすると、相手に対して責める気持ちは芽生えず、否定的な行動も受け入れられて、支援する気持ちが湧いてきま

す。

このような「あり方」でいることが、最も重要なのです。

このように、責める気持ちのある状態では、どんなスキルを駆使して相手にフィードバックしても、心を開いてくれることはありません。

ですから、チェンジ・フィードバックの対話を始めるときには、部下の発言の裏には肯定的な意図があるという見方を持ち、そのうえで、前述の4つのステップを進めていきましょう。

さて、第5章~第7章にかけては、「すり合わせ9ボックス」の各ボックスについて対話を進めるうえで、大切にすべき考え方やポイントを、各レベルごとに紹介していきます。

まずは、業務レベルの対話について見ていきましょう。

 

 

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