25相手にわかる用件名にする 件名は具体的に
上司や関係者にホウレンソウする際には「○○の件で相談があります」という具合に、自分がこれから話す内容の件名ともいうべきものをまず伝えたほうがよいと前述しました。Eメールにおいてもまったく同様で、伝えたい内容がひと目でわかる適切な件名をつけることが必要です。差出人の名前はわかっても、適切な件名がないと、急いで読むこともないだろうと後まわしにされてしまう恐れがあります。急ぎの連絡の場合は、件名に「至急」の文字を入れると効果的です。件名を具体的に記述してあると、急いで取り組むべき案件か否かが判断できて、受け取ったほうとしてはありがたいものです。「お知らせ」「ご連絡」「先日の件」といった内容を表してない件名では、内容がわからないのでメールを開けるべきかどうか迷います。迷惑メールと間違われてしまう恐れもあります。「旅行のお知らせ」だけでなく「9月5日の社内旅行の集合場所の件」、「セミナーの件」だけでなく「10月1日開催の問題解決力強化研修のお知らせ」といった具合に、相手に用件と重要性が判断できるような適切な件名をつけましょう。日付を明記することで、連絡が間に合わなかったというトラブルも防ぐことができます。また、以前、新聞の記事で、アンケートの結果、困ったビジネスメールのNo.1は、何度もやりとりが続いているのに、「Re」がついたままで、最初の件名が残っているものだと紹介されていました。ご存じの通り、「Re」は返信機能を使うと件名の最初に表示されます。通常、「Re」がついたまま返信しても問題ありませんが、メールソフトによっては返信が続くと「Re」がいくつも連なることになり、用件がわかりにくくなってしまうことがあります。また、メールをやりとりしている間に、件名と内容が合わなくなってくることもあるでしょう。そういう場合は、新しい件名に書き換えて、メールの内容がひと目でわかるように配慮する必要があります。名前と所属先で相手は安心する名前を見ただけで、相手にどこの誰から来たかがすぐわかるようであれば発信者の名前だけでよい場合もありますが、件名も不明確、名前も馴染みがないとなると相手は不安になります。コンピュータートラブルに発展しないかと警戒してメールを開けてくれない人もいるでしょう。ビジネスの場合はとくに、メールの送信元がはっきりわかるように、件名には所属先も必ず入れるようにするべきです。何の件なのかがすぐわかる件名と、件名の最後に自分の名前と会社名(所属先)を入れてあると、相手は安心してメールを開けてくれるでしょう。
26送信内容は読みやすいものにする 文章は簡潔に
上司や関係者に報告をする前に、その内容をある程度整理したほうがいいと前述しました。Eメールも同じで、ダラダラ書いてあって、いったい何を伝えたいのかわからないような調子では、相手を困惑させ、貴重な時間を浪費させてしまいます。まとまりのない内容の報告を聞いているとイライラしてくるように、Eメールにおいても、改行や段落変更もなく、長々と続く文章は、相手を疲れさせてしまいます。全体のレイアウトを考えて、適度な空白を入れながら文章を書きましょう。見ただけで読むのが億劫になってしまうような文章ではなく、すっと読む気にさせるような文章でなければなりません。読みやすいメール文を書くコツ誰もが読みやすいメールを書くためには、次のことを心がけるとよいと思います。本文は1行30字以内におさめ、適度に改行しましょう。また、だいたい3~4行を目安に、内容が変わったところで1行空けるようにすると、グッと読みやすくなります。伝えたい内容が多い時には箇条書きにしたり、大事な部分に色や下線をつけて目立たせたり、読む人が理解しやすいように工夫しましょう。また、1回のメールの長さは、1スクロールで読める長さがベストです。あまり長すぎると、重要な点を読み飛ばしてしまう恐れもあります。自分が見ても読みにくいものは、相手にとってさらに読みにくいものです。送信する前に、必ず一度読み返して、読みづらくないかをチェックする習慣をつけましょう。親しき仲にも礼儀ありEメールも手紙のひとつなので、丁寧な言葉遣いが必要です。非常に親しい上司や関係先の方とでも、仕事上の報告・連絡の際は、けじめをつけた言葉遣いをするように、Eメールにおいても「親しき仲にも礼儀あり」を守らなければいけません。たとえ親しい関係であっても、仕事上で発信する場合は、適度な敬語を使って、決して友人間で気軽に交わすような言葉を使わないようにしましょう。メールを送る側は、相手と親しい関係だから、あまり堅いことを言わないほうがよいと思い込んでいても、そのくだけた言葉遣いが、時として相手を不快にさせて、誤解を招くこともあります。丁寧な文章を心がけておけば、そんな失敗はありません。プライベートな連絡事項であればハートマークもニコニコマークもいっこうに構いません。しかし、ビジネスを通じた間柄の場合、親しい関係にあっても誰が見るかわからないということもあるので、軽い調子のメールにしないほうがよいでしょう。
27返信は速やかにする 「受け取りました」をまず知らせる
受信したEメールに最低限しなければならないことが「返信」です。手紙でも、いただいたら折り返し返事を書くのが望ましいように、Eメールでも返事をできるだけ早く出すのがビジネスのマナーです。いただいたというだけで特別に返事の内容を考慮する必要がない時は、簡単に「メール確かにいただきました。ありがとうございました」だけでもいっこうに構いません。少々複雑な依頼事項で、少し考えてから返事をしたほうがよい場合は、「メールは確かにいただきました。後ほど改めてご返事申し上げます」という連絡をひとまずしておきましょう。その後、落ち着いたところで忘れることなく必要な返事をすればよいのです。メールの返信が遅いと、あなたの評価は下がりますし、相手に不信感を与えてしまいます。反対に返信が早ければ、「仕事が早い」「仕事ができる」といった評価につながります。また、速やかな返信は、相手を安心させます。Eメールも送信したからといって、必ず先方に正しく届くという保証はありません。何かの間違いで肝心の相手に届いていないことも稀にはあります。だからこそ、「確かにいただきました」という返信があると安心するのです。なるべく早く返信することは、誰でもすぐにできます。自分のためにも、相手のためにも、早い返信を心がけましょう。外出から戻った時など、いくつものメールが届いていたら、その返信の順番にも気を使いたいものです。社内メールよりもお客様や取引先のメールを優先するのが基本で、その他、緊急性や重要性を考慮して、早く返事を出したほうがよいものから返信するようにしましょう。メールが届いているか確認する方法送信したメールを確かに見てくれたかどうかを確認するのに、開封通知機能を使うという方法があります。開封通知とは、メールを受け取った相手が開封したという通知を送信者に届ける機能です。重要かつ緊急のものであれば使ってもよいですが、それほど重要でなく、急いでいないメールまで、開封通知機能を使うと、返信を強制されているようで気分を害するという人もいます。乱用せず、本当に必要なメールだけに限定したほうがよいでしょう。開封通知を使わず、送信先に届いたかどうかをメールで問い合わせる場合は、「まだ、お返事をいただいておりませんが」と相手を責めるような書き方はマナー違反です。「先般、××の件でメールを送信いたしましたが、こちらの不手際で届いていないのではないかと心配になり、念のため再度メールを送信させていただきます」といった、へりくだった調子で問い合わせるほうがよいでしょう。
28言葉足らずにならないよう気をつける 用件だけを伝えればいいか
メールを送る際、会議の案内とか日時の打ち合わせといった簡単な用件であれば特別に言葉を選んで送信する必要はありません。しかし、微妙なニュアンスを伝えなければならないような事柄をメールする時は、こちらの真意が正確に伝わるように言葉遣いには注意が必要です。私と同業の研修講師をしているKさんの元に、研修の打診があったN社の研修担当者からEメールが届きました。そこには「貴社の研修は不採用とさせていただきました。悪しからずご了承ください」という極めて事務的な文面がつづられていました。KさんはN社から説明に来てほしいと言われ、何度もN社に足を運んだそうです。その結果が、このようなそっけないメールでは、がっかりしてN社に対する印象は悪くなるだけでしょう。Eメールなので用件を簡潔に記述するというのは一応うなずけますが、もう少し表現に工夫があってしかるべきではないかと思います。丁寧な表現で印象アップこの場合、「不採用とさせていただきました」という表現は伝えたい用向きを明確にしているので相手に誤解を与えることはありません。そういった点で間違っているということはありませんが、何か配慮が足りない、礼を失した感じがしてしまいます。Eメールで返事をするとしても、「不採用」というストレートな表現でなく、多少オブラートに包んだ表現のほうがいいのではないかと思います。口頭で伝えるのと同様に、「見積書を検討させていただきましたが、予算の関係もあり、今回は残念ながら貴社に依頼することができなくなりました。お手数をおかけして申し訳ございませんでした」といった丁重な言葉遣いであれば、Eメールでの結果連絡でも、受け取ったほうの印象はかなり違います。直接話すよりも気遣いが必要口頭で話していれば、表情、声の強弱、言葉のニュアンス、言葉の追加・言い換えなどによってこちらの思いをある程度正確に伝えることができます。しかし、Eメールとなると言葉だけがひとり歩きするので、相手に誤解を与えたり、不快な思いをさせたりする危険があることを知っておきましょう。一般的に、Eメールの文章は、そっけなく、冷たい印象を与えがちです。私用メールであれば、顔文字やマークなどを入れて、印象を変えることもできますが、ビジネスメールではそういうわけにもいきません。ビジネスメールで相手に不快な思いをさせないようにするには、慎重に言葉を選んで文章を作成する必要があります。とくに、Eメールで何かをお願いする時、断る時、残念な事柄を伝える時などは、丁寧な表現、感情のこもった言葉で、こちらの誠意が伝わるような文章を心がけましょう。
29正しい文章を心がける 漢字や言葉遣いの間違いに注意
Eメール上で間違った言葉遣いをしたり、誤った漢字を使用したりすると、相手の失笑を買うだけでなく、送信内容さえも疑われることがあります。送信する前に、一度読み直して、正しい文章になっているかをチェックする習慣をつけましょう。そういった意味で、Eメールの普及に伴って、これまで以上に文章力、漢字力が試されることになったともいえます。文章表現や漢字が苦手な人は改めて勉強しなければならないことになるでしょう。パソコンが職場で使われるようになり、直接文字を書くことが少なくなった関係で、漢字を忘れてしまったという人が増えています。とくに目立つのは誤変換で、たとえば「改定」と「改訂」、「既成」と「既製」など、読みが同じ熟語を間違って変換してしまうことがあります。もっと問題なのは、敬語や言葉遣いの間違いで相手に不快な思いをさせてしまうことです。よく間違って使われるのが「了解いたしました」という言葉で、この言葉は目上の人に使うと失礼に当たります。正しくは「承知いたしました」「かしこまりました」といった尊敬の意味が含まれる言葉を使うべきです。間違った言葉遣いをしたり、誤った漢字を使用したりしても、受け取った人はそのミスを指摘してくれません。ただ、あなたの評価や印象が悪くなるだけです。Eメールの場合、通常の社外送信文書と違い、上司が文章や文字が正しいかどうかをいちいちチェックすることが少ないので、送信者のより一層の注意が必要となります。改めて敬語について勉強したり、辞書を調べる習慣をつけたりして、間違った言葉遣い、誤った漢字を使わないように心がけましょう。「挨拶」を必ず入れる挨拶は仕事の潤滑油であるといわれますが、Eメールでも同じです。ひと言挨拶をつけておくだけで、メールの印象が違います。逆に、挨拶もなしにいきなり用件から始まるメールは、相手を不快にさせ、あなたの印象を悪くするでしょう。通常のビジネスの手紙であれば「拝啓ー敬具」「前略ー草々」といった頭語、それと気候の挨拶が必要ですが、Eメールは通常の手紙と異なり、それらを省いてもいっこうに構いません。社内の同僚や部下、目下の相手であれば「こんにちは」という言葉を用件の頭につけるだけでも十分です。これまで仕事の上でおつき合いのある相手であれば「いつもお世話になっております」という言葉をつけ、はじめてメールを送る相手なら「はじめまして、突然のメールで失礼いたします」という言葉をつけます。また、挨拶の後には、自分の所属と名前を名乗ることも大切です。ラストには「どうぞよろしくお願いします」といった挨拶があるだけでも相手の心証をよくするので、ぜひつけ加えたいものです。
30手段の使い分けをする Eメールは確かに便利
仕事の関係者への連絡の手段として、電話よりもEメールが頻繁に使われるようになりました。しかし、なんでもかんでもEメールで報告・連絡するのが本当によいのかというと、そんなことはありません。Eメールはホウレンソウの相手が目の前にいなくても、送信しておけば相手が自分の都合のよい時間に見ることができるので、ホウレンソウの時間や場所を限定されないというメリットはあります。何よりも用件がスピーディに伝達されるのが強みです。さらに多くの人に同時一斉に伝えることができます。そんな利便性のせいか、隣の席にいる同僚に会議の連絡をするのに、口頭で伝えず、Eメールを使う人までいます。Eメールのデメリットは?口頭の報告・連絡では、相手がメモをとらない限り、話したことはすぐに消えてしまいますが、Eメールであれば記録に残るというメリットもあります。しかし、メリットばかりかというと必ずしもそうではありません。リコーの会長である桜井正光さんは、新聞紙上で、記者からの「最近の若い人はEメールで自分の気持ちを伝えることが多いがどうでしょうか」という問いに対して次のように語っています。「人と対話する時、拒否反応が出るのは怖いものです。メールだと、それがすーっと通り抜けてしまう。これは拒否ではなく無反応。送るほうには怖さがなく、受け取るほうは反応しなくてもいいやという気持ちになってしまいます。それと情報量を比べるとメールは直接会うことには全然かなわない。声の大きさ、イントネーション、表情………。これらすべてが情報です。フェース・トゥー・フェースのコミュニケーションを改めて大事にすべきです」桜井さんが言うように、直接会って話したり、電話をしたりと時間を共有できれば、顔の表情、身振り手振り、声の強弱、イントネーション、言葉の追加、言い換えなどで、相手の気持ちもよくわかりますし、こちらの思いもある程度正確に伝えることができます。一方、Eメールはというと、直接相手の反応を受け取れないので、本当に相手が読んでくれているかわからないというデメリットがあります。読んでくれていたとしても、文章だけのEメールでは、微妙なニュアンスが伝わりづらく、誤解を与えてしまう恐れもあります。この場合、「記録として残る」というEメールの特徴が、デメリットになってしまうのです。メールの作成・送信は慎重に行なう必要があります。また、用件を簡潔に伝えることがEメールのおもな役割ですが、その分無機質なやりとりになってしまいがちです。相手との信頼関係を深めていくためには、Eメールのやりとりだけでは不十分でしょう。ホウレンソウの手段としてEメールを多用するのは決して悪いことではありませんが、Eメール一辺倒になるのは危険です。Eメールに合ったもの、そうでないものを見極め、状況に応じて連絡手段を使い分けましょう。
ホウレンソウを受ける立場の留意事項③「よくない報告にも怒らない」部下の報告で怒りの感情がわいてきたら、「私が今感じていることはどうにもならない。しかし、私がどう考え、どう行動するかは自分で決めることができる」という言葉で抑えて、冷静に対処する。ホウレンソウを受ける立場の留意事項④「考えた上でホウレンソウさせる」部下の相談に、答えがすぐ出たとしても、それをすぐ言わずに、「君の考えは?」と部下に考えさせるようにする。常にそのような対応をして、部下に考える習慣を身につけさせよう。ホウレンソウを受ける立場の留意事項⑤「ねぎらいの言葉を忘れない」部下から報告があった際、「あっ、そう」「わかった」だけでなく、ひと言ねぎらいの言葉をつけ加えること。たとえ、好ましくない報告であっても、「早く報告してくれて助かった」と感謝を伝える。ホウレンソウを受ける立場の留意事項⑥「クイックレスポンスを心がける」日ごろ、適宜・適切なホウレンソウの励行を部下に強調しておきながら、相談があった際、肝心の返事(レスポンス)が遅れるようでは、部下は不満を持つ。クイックレスポンスを心がけて。ホウレンソウを受ける立場の留意事項⑦「部下の報告を鵜呑みにしない」部下の主張に多少でも疑問があったら、問いかけをして、部下の主張の根拠となる事実を確認する。部下が思い込みで言っている場合や、意図的に真実を隠している場合もあるので注意。ホウレンソウを受ける立場の留意事項⑧「上司自らホウレンソウする」ホウレンソウは部下からされるものと思い込んでいてはダメ。部下の性格や様子、仕事の状況によっては、上司が自ら「何か困っていることはないか?」と声をかけるべきである。
コラム4言葉がひとり歩きする
●相手の立場に立って言葉を選ぶあいまいな言葉を使うと、その言葉がひとり歩きして、相手に誤解を与えてしまうことがあります。Aさんが、仕事の上でお世話になっているBさんに電話をかけた時のこと。電話口に出たBさんの同僚から、「Bは体調不調のため入院しており、しばらく出社いたしません」と言われました。これを聞いてAさんはとても驚き、ショックを受けました。「体調不調」「しばらく出社しません」という言葉から、Bさんは相当重い病で入院されているのだろうと思ったからです。そして「お見舞いにおうかがいしてもよろしければ、入院先を教えていただけませんか」とお願いしました。すると「体調不調と申し上げましたが、実は、Bが入院している理由は、休日にサッカーの試合で転倒して足を骨折したのが原因です。入院先で元気に仕事をしており、もうしばらくしたらギプスもとれて松葉杖で出社するようになるかと思いますので、ご心配はいりません」と言います。それを聞いてAさんはひと安心したということです。「体調不調」「入院」という言葉が厄介な病気を連想させたように、言った本人にはそんな意識はなくても、言葉が相手に想像以上のインパクトを与えることがあります。言葉選びは慎重に行なわなければなりません。
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