第3章1日5分の「朗読」で、話し方は劇的に上達する
★何が人の心を動かすのかスティーブ・ジョブズ氏、オバマ大統領、南アフリカのマンデラ元大統領、アウン・サン・スー・チーさん……。「スピーチの達人」「スピーチの天才」といわれる人たちはたくさんいます。この人たちはなぜ「スピーチ上手」といわれるのでしょうか。その理由は「感動を呼ぶ話し方」「人の心を動かす話し方」にあると私は思います。スピーチにしても、会話にしても、思わず引き込まれ、「なるほどそうだ!」「自分もやってみよう」など、同調・共感を呼ぶ話ができる人が「達人」「名人」と呼ばれるのです。では、その人たちの共通項は何か。もちろん内容的なこともありますが、やはりここは「はじめに」で書いたように「何を話すかより、どう話すか」の原則に則って考えてみましょう。それは大きく「強調」「抑揚」「メリハリ」の3つに集約されると思います。つまり、「いいたい部分が上手に強調されている」、そして「ほどよい抑揚がある」、さらに「全体像をつかんでメリハリがついている」ということ。この3つが揃っていることが、人の心を動かす話し方の秘訣なのです。★「朗読」こそが話し方がうまくなる最短コース★「朗読」こそが話し方がうまくなる最短コースでは、この3つのスキルは、どうすれば身につくのでしょうか。そのための最適なトレーニングが「朗読」です。第1章で「話す」ことは「歌う」あるいは「音楽を奏でる」ことと似ていると述べましたが、私は原稿を「楽譜」のようにとらえています。音楽において楽譜を読み、解釈し、演奏プランを立てて実際に練習し(ときには解釈に変更を加えつつ)、そうして晴れて人前での演奏に至るという過程は、私の中では「話すこと」と同じです。「音楽のように歌うように読む」ことを意識するようになってから、アナウンス技術がめきめき向上していきました。そこから発案したのが、このオリジナルの「朗読」練習法です。私が25年にわたって培ってきた経験からこのテクニックを生み出しました。ここでいう「朗読」は、ただの「音読」とは違います。ただ書かれた文章を読む音読ではなく、伝えて感動させるためにさまざまな色、音をつけていくのが「朗読」です。「音読の先に朗読がある」と理解していただきたいと思います。そしてナレーションのテクニックをそのまま抑揚のついた「話し方」に応用するのです。原稿に書いてある言葉に集中して正確に発音しつづけるのが「音読」。滑舌をよくするためには有効な手段です。しかし、そのベクトルは話す相手に向かってはいません。一方、朗読は相手に自分の言葉を届けることを目的とするもの。朗読こそが「相手の心を動かす話し方」につながるのです。★朗読トレーニングをすると、言葉がスラスラ出てくるようになる★朗読トレーニングをすると、言葉がスラスラ出てくるようになる朗読のトレーニングをしていると、それだけで「会話」も段違いに上達します。これは私自身の経験上、実感したことです。というのも、なぜか言葉がスラスラと出てくるのです。会話において「その場に応じた言葉が出てこない」「当意即妙な受け答えができない」という悩みをよく聞きます。会話というのは言葉のキャッチボールですから、「言葉の反射神経」みたいなものが必要になってきます。これが「朗読」によって劇的に改善するのです。じつは新人アナウンサーのころ、私は番組内で「コメント」を求められるのがとても苦手でした。当時入社したての女性アナウンサーは、早朝の情報番組で天気予報を担当するのが一般的でした。原稿は30~90秒程度で、まず予報を述べて、コメントをつけるというもの。原稿があるのだけれど、あたかも自分の私見であるかのように話さなければなりません。アナウンサーとなればそんなことは朝飯前だと思われるかもしれませんが、私はこれがまったくといっていいほどできなかったのです。丸暗記した情報をあたかも私見であるかのように話すことがどうしても不自然に感じてしまって、ぎこちなくなってしまうんです。そこにさらにアドリブで自分のコメントを加えるなんてことはとてもできませんでした。ほかの番組でもとっさにいいコメントが出てこなくて、「しーん」と5秒以上の間が生放送(!!)で起きてしまうという、放送事故のような失敗を何度も繰り返したものです。そのうちに、いくつかの番組のナレーションを担当するようになりました。週に何度もナレーションの仕事をこなすようになって、ある不思議な体験をしたのです。ある番組の中で、突然コメントを求められたとき、瞬時に言葉が出てきて、躊躇せずに受け答えができている自分に気づきました。とくに3時間を超える長丁場のナレーションを収録した翌朝などは、次から次へと言葉が口をついてあふれ出していました。考えが浮かんだと同時にすぐに言葉が口から飛び出してくるのです。まさに「言葉の反射神経」がよくなっていたのです。これはもう「朗読」効果以外の何物でもないと確信しました。新人時代から10年以上経ったいまでも、ナレーションに没頭したあとには同じように「言葉がスラスラ」と出てくるという実感があります。★なぜ「朗読」がスピーチの技術を向上させるのか?★なぜ「朗読」がスピーチの技術を向上させるのか?では、なぜ「朗読」が話すテクニックを大きく伸ばしてくれるのでしょうか。じつは、そのメカニズムは私にもはっきりとはわかっておらず、経験が私に気づかせてくれたとしかいいようがありません。なんとか理論的な解釈ができないものかと、脳のメカニズムを勉強してみたこともありました。脳外科医である父にも尋ねてみましたが、「そのメカニズムを解き明かすのは、一生かけても難しいかもしれないね。我々人間にとって、脳はそれほどまでに未知の領域なんだよ」といわれる始末……。なので、科学的な説明ができなくて申し訳ないのですが、私の25年にわたる経験から、その効果のほどは自信をもって断言できます。自分自身が実証しただけでなく、私の教室の生徒さんもみなさんが、この方法によって劇的に話し方が上手になっているという、「事実」こそが私にとってすべてです。「朗読」のテクニックが身につけば身につくほど、さまざまなアイデアを盛り込みながら「声色をつけていく」作業が楽しくなります。より細かいプランを考え、それを実践して成果があったときの満足感はなかなかのものです。これが、普段の会話においても大きな自信につながります。早速、レッスンを進めていきましょう!★ウォーミングアップ[5つの基本をマスターする]★ウォーミングアップ[5つの基本をマスターする]
ウォーミングアップだけでなく、レッスンすべてに共通することですが、次の5つの基本に注意して行いましょう。[1]お腹にグッと力を入れながら読む。自分のお腹を、「空気を押し出して音を出すアコーディオンの蛇腹」だとイメージしましょう[2]声量はなるべく大きいままキープ[3]言葉に集中する。言い間違えない[4]口をしっかりと開け、ハキハキと読む[5]スピードを一定にして読むでは、次の例文を、口の形に気をつけながら滑舌よく読んでみましょう。早口言葉はしっかりと口を動かさないと嚙んでしまう言い回しが多いので、ウォーミングアップには最適です。いずれも早口言葉ですが、目的は早く話すことではありません。ゆっくりでいいので、口のまわりの筋肉をきちんと動かして、はっきり発音ができるように意識しましょう。息継ぎしないで一文を読み切るのが理想ですが、難しければ息継ぎしても構いません。一文を読み終わるごとに息を吐き切り、きちんとお腹を膨らませて(腹式呼吸を意識して)、息を吸ってから次の一文へ進んでください。Rie’sTraining▼早口言葉でウォーミングアップお綾や親にお謝り。お綾や八百屋にお謝りとお言いこの釘は引き抜きにくい釘だ貨客船の旅客がたくさんいる月々に月見る月は多けれど、月見る月はこの月の月のら如来のら如来、三のら如来に六のら如来蛙ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ菊栗菊栗三菊栗、合わせて菊栗六菊栗古栗の木の古切口李も桃も桃のうち、李も桃ももう熟れたこの寿司は少し酢が効き過ぎたアンリ・ルネ・ルノルマンの流浪者の群れ書写山の社僧正竹屋の竹やぶに竹立てかけたかったから、竹立てかけた口のまわりの筋肉が少し疲れますが、それこそがきちんと動かせている証拠なので、ご心配なく。単音の発声を連続させた言葉、さらには文章によって、「滑舌」はさらによくなることでしょう。ひととおり読むのに、ほんの数分。3分もあれば十分と思います。「朝のコーヒーを飲んだあと」「歯磨きのあと」など、生活のどこかに組み込んでみるといいですね。朝、これを行うだけでも、あなたの話し方に変化が出てくると思います。★朗読トレーニング[トレーニングは「❶黙読→❷音読→❸朗読」の3要素]★朗読トレーニング[トレーニングは「❶黙読→❷音読→❸朗読」の3要素]ウォーミングアップが完了したら、いよいよ朗読を始めていきます。トレーニングは「❶黙読→❷音読→❸朗読」の3つの要素から成り立っています。まずは「❶黙読」で内容を理解し、「❷音読」では「どう読むか」という朗読のプランを練ります。そして「❸朗読」でそれを実行します。最初はプロセスをひとつずつ追うことをおすすめしますが、慣れてくればいくつかのプロセスを同時進行させることも可能です。そして、この努力は必ず抑揚のある「伝わる話し方」「心に響く話し方」につながっていきます。★原稿を準備する★原稿を準備するこれは私がレッスンの教材として実際に活用している文章です。まだ何も手を加えていません。ここに、どんな準備をほどこして「朗読」用の原稿にしていくか、楽譜にしていくか、具体的に説明していきます。みなさんも一緒に取り組みながら身につけていってください。「『失敗』をビジネスに」朗読用原稿失敗した経験がない、という人はこの世にひとりもいません。もしいるとすれば、その人は何も行なっていない人です。失敗や逆境の中には、それに相応しい、あるいは、それ以上の、大きな利益の種が含まれています。そう、失敗の中には、チャンスの芽が埋まっているんです。会社を倒産させてしまったベンチャー企業家がいます。彼は、IT事業を立ち上げ、順調な滑り出しをみせていました。しかし、金融機関からの十分な融資を得られず、会社は倒産してしまいました。残ったのは、億単位の借金でした。しかし、彼はそれで終わらなかったのです。事業がなぜ失敗してしまったのかを、本にして出版しました。日本でベンチャー企業が育たない原因は何なのかを、この本は浮き彫りにしました。この本は飛ぶように売れました。彼は、マスコミから脚光を浴び、講演会やビジネススクールの非常勤講師として招かれるようになり、現在はある会社の取締役にも就任しているのです。(ナポレオン・ヒル『思考は現実化する』より)
ここでは一例としてナポレオン・ヒルの著作を取り上げていますが、朗読する原稿は自分で自由に決めて構いません。基本的には好きなものを選べばいいのですが、どちらかというと古典的な文学などよりも、話し言葉に近い素材を選ぶのが現実的だと思います。普段の会話で活用できるボキャブラリーを増やすためにも、文章量が少なく、身近で探しやすいという意味では、新聞の社説や雑誌のコラムなどがおすすめです。あるいは、話し口調で書かれたビジネス書からの抜粋、スピーチに長けた政治家の演説を書き起こしたものなども適していると思います。また、ネットの動画サイトにはさまざまなスピーチも投稿されています。「こんなふうに話せたらいいな」と思える人物のトークやスピーチを探して、自分で書き起こして原稿をつくるのもいいかもしれません。文章量は500文字前後が適当。新聞の社説も、そのくらいのボリュームです。スピーチにしたら1分=300字のイメージです。❶(黙読)▼何がいいたい文章なのか?頭の中をウォーミングアップしようさて、例文「『失敗』をビジネスに」は4段落からなっています。第1段落は最初の2行です。第2段落は次の2行。「失敗や逆境~、埋まっているんです。」の部分です。第3段落は続く3行。「会社を倒産~、借金でした。」の部分。第4段落は残りの5行。「しかし~、就任しているのです。」の部分。まずは黙読して文章の意味を理解してください。スピーチの際、「自分は何を一番伝えたいのか」をしっかり考えることと同じです。全体の意味をきちんと理解するには、声は出さないで読み込むことが大切です。全体を見渡して自分が抱いた印象を頭の中に描いてみてください。私の場合、そこに描かれた状況を思い浮かべ、想像力を駆使しながら黙読を進めていきます。言葉の一つひとつの意味を考え、それを読み深めるといったミクロな視点と同時に、全体がどんな情景かを想像してみるなどマクロな視点もあるといいでしょう。❷(音読)▼楽譜を読み込んで演奏プランを考えよう「黙読」で内容を理解できたら、次に「音読」です。言葉の一つひとつをきちんとイメージしながら、間違えないように、滑舌に注意しながら読みましょう。[ステップ1]から[ステップ3]まであります。……………[ステップ1]強調したい箇所をマークするまず声に出して読みながら、ボールペンを片手に、強調したい(=重要だと思われる)単語やセンテンスに印をつけていきましょう。どうすれば伝わるのか、プランをこと細かく書き込んでいくのです。約500文字の文章のすべてを一から十までテンション高く、力を入れて話したら、聞き手は疲れて理解することもやめてしまいます。「最も重要な部分」だけを見極め、その内容を確実に聞き手に届けるのが大事です。「絶対に聞いてほしい言葉」と「聞き流してもらってもいい言葉」を区別するのです。私の場合、強調したい部分は□で囲むようにしています。仕事においても必ず行っています。渡された原稿を書き込みなしのそのままで読むことはまずありません。「『失敗』をビジネスに」失敗した経験がない、という人はこの世にひとりもいません。もしいるとすれば、その人は何も行なっていない人です。失敗や逆境の中には、それに相応しい、あるいは、それ以上の、大きな利益の種が含まれています。そう、失敗の中には、チャンスの芽が埋まっているんです。会社を倒産させてしまったベンチャー企業家がいます。彼は、IT事業を立ち上げ、順調な滑り出しをみせていました。しかし、金融機関からの十分な融資を得られず、会社は倒産してしまいました。残ったのは、億単位の借金でした。しかし、彼はそれで終わらなかったのです。事業がなぜ失敗してしまったのかを、本にして出版しました。日本でベンチャー企業が育たない原因は何なのかを、この本は浮き彫りにしました。この本は飛ぶように売れました。彼は、マスコミから脚光を浴び、講演会やビジネススクールの非常勤講師として招かれるようになり、現在はある会社の取締役にも就任しているのです。いかがでしょうか、どこが重要なのか、どこを強く伝えたいかを考えていくと、より深くこの文章を理解できるのではないでしょうか。……………[ステップ2]「抑揚」をつける次に強調したい言葉やフレーズに合わせて「抑揚」をつけていきます。「この人の話は聞きやすいな」と感じたとき、そこには心地よい「抑揚」があるはずです。抑揚というのは力を入れるところと抜くところの上手な使い分け、「緩急」を効かせているともいえます。ほどよい抑揚がついていると、聞く側は「次は何?どうなるの?」と身を乗り出して聞いてくれます。淡々と、平板に、一定のスピードでなされる話は、まるでロボットか機械の音声機能のようで、聞いているうちについ睡魔が……なんてことになりかねません。ではどう抑揚をつければいいのか、次の5つのテクニックがあります。❶高めの声を出す(前後を低くする)
これはじつは普段の会話でみなさんが気づかないうちに使っていることだと思います。先に述べたように、高い声は強いエネルギーをもっているため、言葉を際立たせる効果があります。このとき、手の振りをつけるとやりやすくなります。手を軽く上げてみたり、前に出してみたりするなど、自分でやりやすいものでいいので試してみてください。❷前後に比べて少しゆっくりと話す強調したい部分をゆっくりと念を押すように発音することで、聞き手は重要だと認識して耳を傾けてくれます。どのくらい強調したいかによって、「ややゆっくり」「かなりゆっくり」など、「ゆっくり度」も変えてみるといいですね。❸直前に軽くポーズ(間)をとる聞き手は、話の途中で沈黙があると注意を引かれるものです。少しだけ注意を引きたいならば、ほんの少しのポーズを言葉の前にとります。それが次に来る言葉への期待感を高めます。ここぞとばかり最大の注意を引きたい箇所では、周囲が注目するまで黙って待つくらいのポーズをとることもあります。❹強く発音する音量を上げることで抑揚がつきます。これもまた、どの程度大きくするのかを文意に応じて調整します。❺声色をつけるポジティブな言葉は明るく、ネガティブな言葉は抑え気味に……など、声にニュアンスをつけるのです。ここにこそ、話し手の個性や人間味が出ます。私は常々、年齢を重ねた方の話にはどなたでも「聞かせる」何かがあると実感しているのですが、それは長きにわたる経験が、知らず知らずのうちに大切な言葉に色をつけているのではないかと思うのです。つまり声色とは、その言葉に対して無意識のうちにも自分の内側からにじみ出るものなのです。では、実際に先ほどの例文で「声色をつけて話したい」と思える部分を探してみましょう。それぞれ以下のようなことを想像して声色をつけてみました。倒産……重大な事件、予期せぬこと(をイメージ)億、借金……巨額の損失、重々しさ(をイメージ)飛ぶように……文字通り、羽ばたいていくような(イメージ)脚光を浴び……フラッシュが光る(イメージ)この訓練を行っていくと、実際のスピーチの際に人間味あふれるすてきな話し方ができますよ!Rie’sTraining▼「『失敗』をビジネスに」(記入例・声色をつけたい箇所)失敗した経験がない、という人はこの世にひとりもいません。もしいるとすれば、その人は何も行なっていない人です。失敗や逆境の中には、それに相応しい、あるいは、それ以上の、大きな利益の種が含まれています。そう、失敗の中には、チャンスの芽が埋まっているんです。会社を倒産させてしまったベンチャー企業家がいます。彼は、IT事業を立ち上げ、順調な滑り出しをみせていました。しかし、金融機関からの十分な融資を得られず、会社は倒産してしまいました。残ったのは、億単位の借金でした。しかし、彼はそれで終わらなかったのです。事業がなぜ失敗してしまったのかを、本にして出版しました。日本でベンチャー企業が育たない原因は何なのかを、この本は浮き彫りにしました。この本は飛ぶように売れました。彼は、マスコミから脚光を浴び、講演会やビジネススクールの非常勤講師として招かれるようになり、現在はある会社の取締役にも就任しているのです。▼池上彰さんに学ぶ「上手な抑揚のつけ方」上手な抑揚といえば、何といっても池上彰さんの話し方がお手本的存在です。池上さんは政治や経済の込み入った話でも、とてもわかりやすく解説されます。説得力があるばかりか、ますます聞きたくなってくる話し上手です。私の生徒さんでも、理想の話し方として池上さんの名前を挙げられる人がとても多いです。池上さんはキャスターをなさっていただけあって、パッと音を上げたり、適切なところでポーズをとったり、わざとゆっくり話してみたり、強調したいワードは最初の文字をクリアに発音したりと、抑揚のつけ方が非常に巧みです。さらに、一文、一文が短く、時には「○○ですね」と語りかける口調も使う……など、彼の話し方には上手な話し方のヒントが満載です。出演されているテレビ番組や、動画サイトなどを検索して、ぜひ参考にしてみてください。必ずやお手本になるはずです。……………[ステップ3]全体の流れをつかむ[ステップ1~2]の作業では一つひとつの言葉やフレーズにフォーカスしてきましたが、ここでもう一度全体を見直してみます。ひとつめの例文「『失敗』をビジネスに」(朗読用原稿)の場合、4段落で構成されていると述べましたが、第1段落が述べているのは「結論」です。第2段落で、もうひとつの「結論」が加わります。次の第3段落は、話題が転換します。その結論を導くことになった事例の説明です。第3段落で述べられたのは過去の内容ですが、第4段落では時間を経た末の現在の状況を語っています。この全体像を頭に入れてみると、たとえばこのようなプランを立てることができます。
・第1段落と第2段落は「結論」を述べているから、ゆっくりと丁寧に読む。しかし内容的には続くので、段落間はポーズを置かずに読む・話が転換する第3段落の直前は少しポーズをとる・第3段落から第4段落への間も、時間の経過を感じてもらうためのポーズを置く内容によって、段落と段落の間にポーズをとるかどうかは違って来るでしょう。また、そのポーズも均等とは限らないと思います。このように全体の文意をつかんで話すことによって、メリハリがつき、聞いている側にとって非常に聞きやすく、理解しやすくなります。❸(朗読)▼「音読」によって立てたプランを「朗読」で実践する最後に、いよいよ朗読に入っていきます。「朗読」する際に必ずしてほしいこと、それは「録音」です。読み終わったら直後に聞き返してみます。こういうとみなさん「えー」という顔をされます。前にも述べましたが、「自分の声の録音を聞くのは好きでない」という人は多いですよね。私にもよくわかります。でも、自分を客観的に認識することが上達のための最短の近道なのです。というより、「録音なくして上達なし」というぐらい大事なことだと思ってほしいのです。録音して、それを聞き返す。これを何度でも繰り返します。また可能であれば友人や家族などに聞いていてもらうのもいいでしょう。スピーチも同様です。客観的な意見は上達を助けてくれます。「エジソンが聞いた内なる声」朗読用原稿失敗は形を変えた恩恵なのです。どんな状況であれ、失敗した状況を分析してみると、どんな失敗にも、それに見合った利益の種が含まれている、という事実に行き当たるはずです。しかし重要なのは、失敗が、いつも熟した果実となって利益を与えてくれる、ということではありません。失敗には、成功の種が含まれている、ということにすぎないのです。種を見つけ出し、芽を出させ、豊かに実を結ばせるには、明確な目線を持って、想像力を積極的に働かせることが大切です。転んでもただでは起きないという、積極的なマインドを持つことです。気をつけなければならないのは、失敗を、どうしようもないものとして受け止める習慣を身につけてしまうことです。そうなると、潜在意識も同じ過ちに陥ってしまいます。これは、貧乏や心配、あらぬ不安など、あらゆる種類の悲観的見方についても同じことが言えます。積極的であれ、消極的であれ、ある状態が心を支配するようになると、それはすぐに、習慣になるのです。発明家のエジソンは、子どもの頃の事故で、聴力のほとんどを失いました。彼は「聴力障害は大きなハンディにならないか」と聞かれたときこう答えたと言います。「耳が聞こえないことで大助かりしていますよ。周囲の否定的な言葉を聞かなくてすみますからね、それで『内なる声』を聞くことができるようになりました」(ナポレオン・ヒル『思考は現実化する』より)次は私の書き込み(プラン)です。「正解」はないので、みなさんそれぞれの着眼・発想でプランを立ててみてください。前例と同じで□は強調、ゴシック太字は抑揚です。Rie’sTraining▼「エジソンが聞いた内なる声」(記入例・声色をつけたい箇所)失敗は形を変えた恩恵なのです。どんな状況であれ、失敗した状況を分析してみると、どんな失敗にも、それに見合った利益の種が含まれている、という事実に行き当たるはずです。[第1段落]しかし重要なのは、失敗が、いつも熟した果実となって利益を与えてくれる、ということではありません。失敗には、成功の種が含まれている、ということにすぎないのです。[第2段落]種を見つけ出し、芽を出させ、豊かに実を結ばせるには、明確な目線を持って、想像力を積極的に働かせることが大切です。転んでもただでは起きないという、積極的なマインドを持つことです。気をつけなければならないのは、失敗を、どうしようもないものとして受け止める習慣を身につけてしまうことです。そうなると、潜在意識も同じ過ちに陥ってしまいます。これは、貧乏や心配、あらぬ不安など、あらゆる種類の悲観的見方についても同じことが言えます。[第3段落]積極的であれ、消極的であれ、ある状態が心を支配するようになると、それはすぐに、習慣になるのです。[第4段落]発明家のエジソンは、子どもの頃の事故で、聴力のほとんどを失いました。彼は「聴力障害は大きなハンディにならないか」と聞かれたときこう答えたと言います。[第5段落]「耳が聞こえないことで大助かりしていますよ。周囲の否定的な言葉を聞かなくてすみますからね、それで『内なる声』を聞くことができるようになりました」[第6段落][魚住メモ]種を見つけ出し、芽を出させ、豊かに実を結ばせるには……実際に植物が育っていく様子を頭に思い浮かべて(聞き手にも同じ経験はあり、気持ちは同調しやすいはず)転んでもただでは起きない……決意を感じさせて貧乏や心配、あらぬ不安……ネガティブ、抑えめに
積極的……上げ気味に消極的……下げ気味に内なる声……わき上がるイメージ第1段落は重要な結論なので、ゆっくりと丁寧に。第3段落で内容が展開するので、直前には少しポーズを置く。第5段落からエジソンの逸話、ここでも話がガラリと変わるため直前にはポーズを置く。★なぜ「言葉の反射神経」がよくなるのか★なぜ「言葉の反射神経」がよくなるのか先ほど、朗読トレーニングをすることで、「言葉の反射神経」が磨かれると述べました。それについて少し補足しておきたいと思います。たとえば、口を動かしつづけたことで、舌や口まわりの筋肉が十二分にほぐれたために滑舌がよくなり話しやすくなったというのも、理由のひとつでしょう。しかし、それだけでは説明できません。ナレーションを終えた翌日に効果が顕著であるといいましたが、ひと晩の睡眠を経ると、舌や口まわりの筋肉はふたたび硬くなり、むくんでもいるはずだからです。そのタイムラグを考えれば、たんに筋肉のウォーミングアップになっているわけでもなさそうです。あくまで私の推測になってしまいますが、「適切な言葉をスピーディに選び出す能力」は、「ミスせずに声を出して読みつづけられる集中力」と相関関係があると思うのです。朗読は、言葉に対する感受性を保ちながら音声化する作業です。集中して言葉の意味を理解しながら声を出すと、言葉は意味とともに強烈に脳にインプットされるはずです。しかも、滑舌を意識して舌や口に負荷をかけながら発することで、さらに強化されます。したがって言葉のアウトプットがとてもスムーズにいくのです。これもまた私の経験から得た実感です。★「朗読」によってボキャブラリーが増える★「朗読」によってボキャブラリーが増える「朗読」によって会話が上手になる理由として、「ボキャブラリーが豊富になる」こともあると思います。人は、頭の中に何らかの伝えたいことが浮かんだとき、それを言語化しようとします。この考えを、どの言葉に乗せて伝えるべきかという選択をするわけです。会話の場合はこれがスピーディに選択されなくてはなりません。そこでボキャブラリーが多ければ、それだけ最適な言語を探し出しやすいと考えられます。このボキャブラリー、私の経験からいうと、黙読するだけではあまり身につかないものです。読書家が必ずしも饒舌だったり話上手だったりするわけではないからです。やはり「黙読」ではなく「音読」→「朗読」が脳に影響を与えているのだと思うのです。声に出して読むという行為は、ボキャブラリー形成に大いに役立つのです。声に出して読んだ言葉は確実に脳に蓄積され、その結果、ボキャブラリーが豊かになるように思います。しかも、言葉の意味、使い方もセットになってより確実に脳に記憶され、取り出しやすくなっている気がします。これもメカニズムについてはいまのところ解明されていないようですが、聴覚と脳のある部分が密接に関係しているのではないか、というのが私なりの推察のひとつです。幼児は、母親や周囲の人が自分に話しかける言葉を自らマネて声を出していき、おしゃべりを覚え、ボキャブラリーを増やしていきます。そのときの脳の状態に近いのかもしれないと思うのです。
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