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第3章逆境のなかでこそ、日本一のチームワークが!一人のスタッフも辞めたいと言わない団結力の秘密

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第3章逆境のなかでこそ、日本一のチームワークが!一人のスタッフも辞めたいと言わない団結力の秘密

ガンで亡くなったスタッフからの最高のプレゼント「支配人、この間の内部監査で緊張していたせいか、お腹の調子が悪いんです!」いつも元気で明るいレストランスタッフが勤務後、笑いながら私に話しかけてきました。「大丈夫?病院へ行って診てもらってきたほうがいいんじゃない?緊張からお腹の調子がよくないなんて長すぎるよ!」「私は歌舞伎町が大好きで、支配人も大好きだし、仕事が楽しいから休みたくないんです。それより、支配人こそ無理しないでくださいね。ここ歌舞伎町は三輪支配人だからこそ、みんながんばって仕事しているんですから」そう言うと「お疲れさまでーす!」と彼女は、自転車で帰っていきました。ところが、彼女はものの5分もしないうちに笑顔で戻ってきます。忘れ物かな、と思って見ていると、彼女はさっと栄養ドリンクを私に差し出したのです。「支配人!これユンケル2本あるから飲んでくださいね。支配人のことだから続けて飲んじゃいそうだけど、一本ずつ飲んでくださいよ。支配人に倒れられたら私たち、路頭に迷いますので!」そう笑いながら、手を振って帰っていったのがいまでも忘れられません。その後、検診で彼女にガンが見つかり、退職することとなりましたが、入院中も外出届を出して店舗に顔を見せにきてくれました。「支配人、私はもう長くは生きられないかもしれない」そう漏らす彼女に、私には返す言葉がすぐに見つかりませんでした。彼女は、スタッフ60名分の菓子折りを持って挨拶にきてくれました。私に宛てた手紙には、「支配人、ありがとうございます。この歌舞伎町で働けたこと、支配人のもとで働けたことを本当に感謝しております」とありました。私には、この手紙の文言が最高のプレゼントでした。数か月後、彼女が亡くなったことを知ることとなりました。いまも私の心のなかには、笑顔の彼女が居続けています。私が掲げた「おもいやり」の旗を、振り続けてくれたのはスタッフたちかもしれません。クレーム対応続きで、疲れきった私がデスクにうつ伏せになってつかの間寝ていたと

き、フロントスタッフたちが私の好きなドリンクをそっと置いてくれ、何事もないように業務をしていました。言葉はなくても思いは通じるものです。「ありがとう!」でも、彼女たちは言うのです。「誰も何にもしてませんけど」と。清掃スタッフのなかにタイ人、フィリピン人がいます。彼女たちは1年に1回できるかできないかという貴重な里帰りにもかかわらず、私のために私の大好きな色であるピンクの小物や、洋服などを買ってきてくれます。「支配人、マイニチ、イロンナオ店ニ行ッテ、支配人ノ好キナノ、ドレカナッテ探シ歩イタンデス!」真剣に私に話しかけながら、おみやげを渡すスタッフを見て、「限られた時間のなかで私のためにここまで」と私は感謝の気持ちでいっぱいになります。スタッフを想う気持ちを、私は逆にスタッフ個人個人から教えられているような気がします。スタッフの気持ちもわからないで、お客様の気持ちが理解できるはずがない、と確信しています。スタッフ100名の名前と、入社年月日、家族構成はすべて頭に入っている私がMVP賞をいただいた理由は、2010年度売上日本一の成績だけではなく、チームワークを評価されたからです。このチームワークは、私一人で実現できるものではなく、スタッフ一人ひとりの力が大きいものです。ですから、むしろチームワークのつくり方については、スタッフたちに語ってもらいたいところですが、せっかくの機会ですので、私の考え方も紹介したいと思います。意識して覚えようとしているわけではありませんが、新宿歌舞伎町と、いま支配人を代行しているもう一つの支店のスタッフ総勢100名の名前と、入社年月日、家族構成はすべて頭に入っています。支配人のような立場になると、いちいち部下の名前を覚えられないのが普通かもしれません。でも、もしも自分が逆の立場だったら、覚えていて欲しいと思うはずです。その職場のトップに「ちょっとそこの女の子」と言われるより、「三輪さん」とひと声かけてもらえたら、社員の一員として認められたような、とてもうれしい気持ちになります。

人の気持ちというのは、そういうものではないでしょうか?厳しい環境のなかでも、たったひと言で、あたたかい気持ちになるものです。そのうえ、家族のことを知っていてもらえたら、もっとうれしいと思うのです。「三輪さん、お母さんは八戸だよね。お母さんは、お元気ですか?」たったそれだけの言葉で、私たちはがんばれるものなのです。清掃スタッフは、わがホテルの誇り清掃スタッフこそ、わがホテルの商品であるお部屋の価値を高め、また次に来たいと言ってもらえるホテルを実現する、わが社の誇りであり、宝物です。スタッフについて、私はこんなふうに感じるのです。たとえば、たった一人でホテルを運営していたとしましょう。一人でできることは限られています。とてもではありませんが、全室を一人で運営するのは不可能です。それを、スタッフと一緒にやると実現できる。つまり、自分の身体がいくつもあるようなものです。スタッフは、私の「手」そのものなのです。清掃作業は、特に夏は苛烈を極めます。外の温度が30度のとき、バスルームは40度以上になります。それを美しく整え、満室の続くホテルですみやかに次のお客様にお渡しするわけですから、清掃スタッフの高い技術なしでは成り立ちません。ですから、清掃スタッフの一人ひとりは、私が面接で直接会って採用します。採用後の信頼は絶大です。清掃スタッフの場合は職人です。次々と流れ作業で部屋を移り掃除をしていく手早さと、きれいにしたいという思いを、作業として「手」に表せる器用さが求められています。ほかの仕事とのかけ持ちもOKですので、ほかのホテルからの転職組も多いです。一度ミスをしても、めげずに次につなげるタフさも必要です。清掃スタッフのタイ人、フィリピン人など外国人も、日本人スタッフとまったく同じ条件で勤めています。身元がしっかりしていること、きちんと信頼できる人かどうかを採用の条件としています。何かクレームがついたときには、私が謝りにまいります。自分の「身体」がしたことは、私の責任ですから、私が謝るのは当然です。そして反省すべきことがあった場合には、絶対に怒ったりせず、失敗を次につなげてもらうことで、気持ちよく働いてもらっています。怒らないとスタッフが動かない、というのは誤解です。

むしろ、怒らないことで、「支配人には迷惑をかけられない」としっかりがんばってもらえるようです。怒るのは、むしろ上司の都合ではないかと思います。自分が怒りたいから怒っているというのは、何も言い返すことのできない部下から見れば、公平性を欠く行為ではないでしょうか。私自身の経験から、上司に怒られれば、怒られるほど焦って、またミスをしてしまうという悪循環を招きかねないと思うのです。ですから、注意はしても、私は決して感情的に怒らないことにしています。ミスは、次から気をつければそれでいいのです。十人十色で人それぞれ考え方、やり方が違いますので、一概に私がやっていることが正しいとは限りません。ただ言えることは信頼関係が成り立っていれば、意図することが相手に伝わるということです。率先して嫌な仕事を引き受けるムードメーカーでありたい私がクレーム対応を一手に引き受けていることはすでに書いたとおりです。部下は、上司が責任ある仕事をしているかを、ジッと見ています。現場の部下の陰に隠れていい思いをしている上司がいたら、ただちに現場の士気が落ちてしまいます。まず率先して、嫌な仕事を引き受ける。最もわかりやすいリーダーシップです。スタッフたちはきちんと見ていて、行動で返してくれます。自己保身の上司は、団結力をそいでしまいます。逆にスタッフのためにという利他の気持ちで動くと、スタッフたちもまた、会社全体の利益を考えてくれるのです。私が仕事に汲々として、いつも暗い顔をしていたら、スタッフたちは逃げ出したくなるでしょう。大変な職場に大切なのは、ユーモアの心です。「また、人気者だから呼ばれちゃった」「私ってカッコいい!」こんな自画自賛の言葉に、スタッフはあきれがちですが、少なくとも暗く、うつむいているよりはいいでしょう。私だって、強烈なクレーマーに理不尽に怒鳴り込まれるのはテンションが下がりますが、まるでいかにも楽しそうにクレーム対応に向かう姿勢は、その後、私が怒鳴られている光景を目の当たりにしても、スタッフたちに安心感を与えるはずです。いつのまにか、スタッフたちも、クレーム対応に余裕を持つことができるようになりま

した。上司である私から「大丈夫」というメッセージを発信していくことが、大事なのだと思います。障がいのある人を採用する理由当ホテルでは、ハローワークと連携して、積極的に障がいのある人を採用しています。採用してからもその人には、「もし仕事で何か困ったことがあったときは、いつでも私に相談してくださいね」と、常々言うようにしています。決して人員に余裕があるわけではありませんので、最初の教育係は私が受け持ちます。しかし、そのような労力を使ってでも、障がいのある人を採用することは私たちの職場にとってプラスになると考えているのです。なぜなら障がいのある人に働きやすい仕事場は、すべてのスタッフにとって働きやすい職場だと考えているからです。障がいのある人に働きやすい職場の実現は、常にこのホテルの労働環境を振り返るきっかけになるのです。さらに、ハローワークを通して求人することが、地域とのつながりをいっそう深めることにもなります。2010年11月、私は、ハローワーク主催の「障がい者雇用説明会」で100名ほどの障がいのある方々を前に、当ホテルについての会社説明をさせていただきました。そのとき、ジッと話に聞き入っている障がいのある方々の真摯な姿に感動を覚えました。後日、希望者の個人面接となりましたが、「私の会社説明が面白かった」という理由で当ホテルは、そこに集まっていた企業のなかでも一番人気となったのです。現在では、そのなかの1名を採用しております。私はさらにもう1名を採用したい、と思っていましたが、のちほどその方のご家族から「そちらのホテルに迷惑をかけると申し訳ない」とご辞退がありました。いまでも、その方と、お世話をされている方の涙が忘れられません。その方はほとんど語ることなく、「がんばる」とうなずくだけでしたが、代わりに世話人の方がご自分のことのように、その想いを語られていました。その出会いがご縁でお世話をしている方は、私に会うためだけにわざわざお泊まりにきてくださいます。本当にうれしい限りです。数年前には、東京都立の養護学校の実習をお引き受けしたことがご縁で、運動会、卒業式に来賓として招待していただいたことがあります。ハンディを持ちながらも懸命にがんばっている生徒さんたちには、前向きに生きる強さを教えてもらい、感動の涙を流して帰ってきました。

なかでもうれしかったのは、ホテルに実習に来た子が遠くから手を振って出迎えてくれたことでした。ハンディがあるかないかは関係なく人柄次第です。たまたまその人に障がいがあるにすぎません。少しの手助けがあれば普通に働けるのに、働いてもらわない手はありません。それに対して、私はほんの少し協力をするだけなのです。採用基準はこれだけ!伸びるスタッフは例外なく心が柔らかいホテルの運営に支配人はかなりの裁量を与えられており、スタッフ採用も本社ではなく、店舗で選ばなければなりません。ですから、ここでのスタッフ採用はすべて私が決め、採用したスタッフには、自分で責任を取ります。ここで私なりの採用の基準をお話ししておきましょう。清掃スタッフの場合は先ほど述べましたので、ここではフロントスタッフに大切な資質について紹介しましょう。私の採用基準は、人の言葉を素直に聞ける心の柔らかさと、臨機応変に対応できる心を持った人かどうかです。サービスの現場ですから、ある程度の明るさや積極性は必要です。でも、それほど口がうまくなくても、私の場合は採用しています。聞き上手のほうが信頼されることもあるからです。でも心の柔軟さは、それがないとお客様とだけではなく、スタッフとも、地域ともうまくコミュニケーションが取れません。一人として同じ人格を持ったお客様はいらっしゃいませんから、お客様との対応はいつだって「想定外」です。いろいろなリクエストをされてどう対応するかは、その場で瞬時に決めなければなりません。その場合のやりとりは、気持ちと気持ちのキャッチボールのようなものです。「私は、間違っていることに頭を下げられません」「それはお客様が間違っているんです」といった原則を曲げられない融通のなさは、トラブルのもとです。だからといって、いつもお客様の要求を通していたのでは、業務になりません。「包丁持ってきて」というリクエストには、「はいはい」と従っていてはいけませんし、一人で泊まっているとをついて5人も部屋のなかにこもっている場合には、断固として追い出さなければなりません。そこでどう問題解決するかは、その人の心の柔らかさにかかっているのです。

正しさを貫きながら、周囲と調和を取っていくには、失敗をしながら微調整をかけていくしかありません。つまり、失敗はするものだと、あらかじめ折り込んだうえで、失敗をしたときには自分の行動にフィードバックして常に修正をかけていくのだ、という心構えが必要となるのです。それには、誰かにアドバイスされたことについて、一度自分の思い込みを脇に置いたうえで、言われたことをその場で消化できる臨機応変さが必要となってきます。たとえ注意されても、それを軌道修正のナビゲーションとできるか、ただ単に自分を否定されたと思うかで、それ以降の伸びはまったく違ってきますし、現場への適応力も違ってきます。採用したスタッフが成長していけるかは、いまの自分へしがみつくようなかたくなさを捨てて、臨機応変に対応できることと、それでも人としての正しさを常に芯に持っている一本筋の通った強さにかかっているのではないでしょうか。「利他の心」はめぐりめぐって、必ず自分に返ってくる前述のように、私がこのホテルに着任した当時、スタッフのほとんどは辞めたそうにしていました。しかし私は感動したのです。我先に自分が辞めてしまったら、ほかのスタッフに迷惑がかかる。そう考えて、必死に踏んばっていた彼女たちの心意気は、立派なものでした。フロントスタッフをはじめとして、このホテルの従業員はほとんどが女性です。20代の女性も多く、いまも「歌舞伎町」ということで、両親や恋人に働くことを反対されるスタッフもいます。しかし、ホテルのほかのスタッフたちにさらに負担をかけてはいけないと、スタッフはみな逃げずに、けなげに踏みとどまっていました。成果主義、自己責任という言葉が独り歩きをして、久しい時代です。一度でもミスをすれば、会社も同僚も誰も手を差しのべてはくれない、という場合もあります。そのなかで、人のために手を差しのべ、会社のために奉仕をする、というのは、一見貧乏くじを引く覚悟でなければできないことです。自分の身は自分で守らなければならないのなら、ほかのスタッフのことなど放っておいて、さっさと逃げればいいとも思えます。しかし、果たしてそうでしょうか。彼女たちのがんばりがあったから、私は彼女たちを守ろうと思い、いまの団結力が生ま

れたのです。彼女たちが同僚を支えたから、私が彼女たちを支えた。私が必死になってスタッフを守ろうと思ったから、スタッフがついてきたのです。チームワークに不可欠なマインド。それは「利他の心」だと思っています。嫌な仕事だから、人に任せない。つらい仕事だから、笑ってみせる。それは一見、なんの見返りもない行為です。もっといえば、見返りを求めてはいけない行為ともいえます。しかし、人は必ず、それに応えてくれます。「情けは人のためならず」とは、よく言ったものです。利他の心はめぐりめぐって、必ず自分に返ってきます。それが、チームワークの正体だと私は思うのです。なぜ、外国人客への英語担当を置かないのかこの新宿歌舞伎町店では、英語担当のスタッフは置いていません。これについては、試行錯誤の末、結果的にスタッフを置かなくなったのです。以前は英語採用でスタッフを雇っていたこともありました。英語で採用されているから当然、英語で会話をすることが自分の役割とそのスタッフはがんばります。しかし、それに対する思わぬ弊害がありました。英会話が得意なスタッフが、外国人観光客と一生懸命話してくれるのはいいのですが、そのことによって全体のフロント業務に遅れが出るようになってしまったのです。さらに、外国人は英語の得意なスタッフが外国人の対応をするもの、という微妙な空気ができてしまい、「全員野球」を旨としていたチームに、仕事の境界が生まれてしまいました。フロント業務での英語は片言でも通じます。不自由ながらも一生懸命フォローするところに、本来のおもてなしがあったはずです。特に私は、ほかの人の仕事であっても、全員がカバーすることによってチームワークをつくってきたので、英語が話せる人と話せない人によって仕事が分かれ、互いの縄張りと縄張りの間にできてしまう空白は、英語が流暢に話せる問題よりもっと大きいことのように思えたのです。要はチームワークの問題だったのです。確かに、英語ができるスタッフを取りそろえて外国人観光客にもっと手厚いサービスをしたほうがいいという考え方もありますが、当面のところ、「体当たりイングリッシュ」でなんとか業務に支障は出ていないようです。

要は心だと私は思っています。「心」は、国境を越えて通じ合えるからです。言語の違いがあっても「心」は万国共通です。震災後、海外のお客様のキャンセルが相次ぎましたが、常連の海外のお客様たちから励ましのお電話、お手紙、メールをいただきました。「おもいやり」「やさしさ」は、万国共通なのだとこれまで以上に痛感するところとなりました。「正しいことをすると疎まれる」の真実「正しい」ことは「正しい」と言い、「間違っている」ことは「間違っている」と言う。私は支配人になって、終始一貫そういう態度でやってきました。でも実は、それがとても難しいことだということも知っています。みなさんにもご経験がありませんか?小さな頃、いじめられている子を助けようと思って、逆にいじめられたことが。大人の社会でもまったく同じです。スタッフのためによかれと思って身体を張ってやってきたことが、逆にスタッフに憎まれることもあるのです。「ごきげんとり」「いい子ちゃんぶって」そう言われるのは、小学校も大人の社会も変わりありません。でも、ここで感情的になって、「正しくないこと」をしたら私の負けです。私は人と勝ち負けを争いませんが、自分にした約束は守りたいのです。誰かに、どう思われるかを考えて、いちいちブレていたら、誰もついていきたくないと思うのです。ほかのスタッフが、私の一挙手一投足をジッと見ています。ほかのスタッフだけではありません。自分の行動を一番見ているのは自分です。ほかの選択肢も考えて、これが正しいと思ってそれを選択したのですから、後悔も路線変更も必要ありません。一番悪いのは、正しいと信じることをやっていて、ちょっと何かがあるとすぐにそれを引っ込めてしまうことです。歌舞伎町もホテルも変わっていこうとするさなかでした。同じままでいるのは楽なのです。しかし、変化はいつも苦しい。苦しくて当たり前です。わかってくれる人がわかってくれればいい。私は、自分のやり方を変えませんでした。

チームワークには、上司がブレないことがとても大切なのです。スタッフには、素直に「ありがとう」と「ごめんなさい」を私はときどき、あえて休日にホテルへ出向くことがあります。何のために?スタッフとコミュニケーションを取るためです。平日はどうしても来客対応、業務に追われ、スタッフとゆっくりコミュニケーションを取れないケースが多々あります。でも、休日は時間の制約がないため、スタッフの話にも耳を傾けられるゆとりができます。たわいないプライベートの話もでき、スタッフの様子も一目瞭然です。こういうとき、私が子どもの頃から父が病院の忘年会で従業員に言っていた言葉をよく思い出すのです。「みんな、今年もがんばってくれてありがとう。みんなががんばってくれたから、いまの僕がある。本当にありがとう。」と。そのときの父の気持ちがいま、痛いほどわかるのです。スタッフががんばってくれていることに心からの感謝の気持ちをこめて、「ありがとう!」。また、頼まれていたことを忘れていたりしたときなどは素直に、「ごめんなさい」。お客様には当然のことですが、スタッフに対しても素直に「ありがとう」「ごめんなさい」が言える人間でなければと思っています。スタッフが笑って仕事ができる職場が一番誰もが最高のチームで仕事がしたいと望むものです。でも、右を見ても、左を見ても、優秀でテキパキと仕事をこなし、心遣いも最高。そんなドリームチームに最初から配属されるなんてありえません。私がよく人に言われるのは、「スタッフも三輪さんのことが大好きだけど、三輪さんもスタッフのことを思っているよね」という言葉です。私はスタッフのみんなが大好きで、経験を積んだベテランスタッフが今後一人も欠けることなく、働き続けてほしいと願っています。もちろん、いろいろな家庭の事情で、辞める人もいますが、職場の環境が悪くて辞めるような人がいないように努力をしてきました。

チームを育てたいなら、まずチームのスタッフ全員をかけがえのない大事な部下であると信じることが大事だと思います。「この部下はダメ」「あの部下は使えない」自分のことを棚にあげて、自分の成績が伸びないのはまるで部下が悪いと言わんばかりの上司がたくさんいます。でも、スタッフの個性をそれぞれ受け入れたうえで、すべてのスタッフを大事に思う気持ちなくしてチームワークが成り立つとは思えないのです。人は信頼されて初めて、最高のパフォーマンスを発揮します。小さいミスがどうした、と思います。スタッフが笑って仕事ができる職場が一番だろう、と思うのです。いつもスタッフがニコニコして楽しそうに仕事をしていれば、サービス業ですから人は自然と寄ってきます。たとえノーミスの仕事をしていても、いつもビクビク、ギスギスしていたら、お客様までお行儀よくしていなければならないような気がして、無用な緊張感を生み出します。このホテルは、もともと出張中のビジネスマンが、あたかも自宅へと帰るような気安さをご提供しています。そんなホッとできる場所であるためには、スタッフが楽しく笑顔であることが一番なんじゃないかと思うのです。お互いに助け合って、少しずつ自分がほかのスタッフが楽なように仕事を余分にする。まるで家庭や、学校のような、シンプルな調和の仕方がここにはあります。私たちは仕事のために生きているのではなく、楽しむために仕事をしているのではないでしょうか。本来、チームで何かを成し遂げるというのは、幸せで、楽しいことだったはずです。私は、このホテルでの仕事はそうであってほしいと思いますし、そうでなければ改善したいと思っています。あえて言うなら、これが「日本一のチームワーク」とほめていただいた当ホテルの支配人としての心構えなのです。

 

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