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第3章目標までの距離を意識する

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Know Exactly How Far You Have Left to Go

どんな目標であっても、達成するために欠かせないことがあります。それは「どれだけ進歩したかをモニタリングする」ということです。

目標達成に向けて、ただがむしゃらに努力するのではなく、日々、どれだけ進歩したのかを確認する必要があるのです。

フィードバックで目標との距離を確認するどれだけ自分がうまくやれているのかがわからなければ、行動を見直すこともできませんし、フィードバックがなければ、やる気を持続させることも困難です。

これは私たちの脳の働きからして自然なことです。脳は無意識のうちに「今の自分の状態」と「自分が望む、好ましい状態」を比べています。

そのおかげで、その2つの間に距離があるときには、自然にさまざまな反応ができるのです。距離を近づけるように、注意を向け、情報を処理し、努力する─といったようにです。

目標までの距離が把握できないなら、今の自分とのギャップを意識することはできません。その結果「やる気が出ない」「集中できない」といった状況になってしまうのです。

どれだけ今の自分と理想の自分が違うのか─その距離を把握しなければなりません。どれだけ離れているかがわからなければ、何も始まらないのです。

目標に向かって行動をするときには、できるだけ多くフィードバックを得ることが大切です。フィードバックによって、向上しているのか(あるいは、していないのか)がはっきりするからです。

そのためには、他人からフィードバックを受けるか、自分自身で進捗状況をモニタリングする必要があります。自分自身でモニタリングする場合、どれほどの頻度で行うべきかについては、絶対的な指標がありません。

それは、どれほどの期間で目標を設定しているかによるからです。

その目標が1週間のものなのか、あるいは1年間のものなのか、5年間にわたるようなものなのかによって、必要なフィードバックの頻度も変わります。

長期的な目標なら、フィードバックの頻度も、ゆったりとした設定でいいでしょうし、短期的な目標の場合は、頻繁にフィードバックを受けられるように設定して、自分が目標に正しく向かっているかを確かめる必要があるでしょう。

目標達成までの期間が短いということは「エラーは命取り」になりかねないということを意味するからです。

上級者ほど、フィードバックは頻繁にフィードバックの頻度を決めるにあたって、もうひとつ考慮すべきは「習熟度がどれくらいか」ということです。

つまり、スキルの上達具合によっても、適切なフィードバックの頻度が変わるのです。最近の研究でわかっていることは「初心者はあまり頻繁にチェックすべきではない」ということです。

未熟な人が新しいことに挑戦するときに、あまりに頻繁にチェックをすると、混乱を招き、かえって上達の邪魔となってしまいます。

ある程度、コツをつかむまでは、頻繁にフィードバックを受けることはやめておいた方がよいのです。いずれにせよ、フィードバックは目標達成への大きな後押しとなるのですが、多くの人はほとんど活用していません。

その理由として真っ先に思い浮かぶのは「面倒だから」という答えでしょう。

実際、自分の努力が正しい方向を向いているのか、それとも間違った方向を向いているのかを、いちいち立ち止まって確認するのはたいへんです。

もうひとつ思い浮かぶ理由は「自分の未熟さに向き合わなければいけない」という理由です。フィードバックは、常にあなたを満足させてくれたり、得意な気持ちにしてくれるわけではありません。

ときには「あまりに進歩が遅い」という現実に向き合う必要も出てきます。それに、特に自分自身で進捗状況をチェックしてフィードバックをするのは、大きな意志の力を必要とするものです。

もっとも、if thenプランニングを活用することで、だいぶ楽に取り組むことができます(意志力については、第7章で詳しく説明します)。

モチベーションを上げるフィードバックとはここで、もうひとつフィードバックに関して大事なことをお話しします。

正しいフィードバックは、モチベーションを高めてくれますが、誤ったフィードバックはモチベーションを削いでしまいかねません。

つまり、フィードバックは〝諸刃の剣〟なのです。

シカゴ大学の心理学者ミンジョン・クーとアエレット・フィッシュバックの研究を紹介しましょう。目標に対するときには、対照的な視点があります。

「これまで思考(todatethinking)」と「これから思考(togothinking)」の2つです。

「これまで思考」とは「どこまでやり遂げたのか」に視点を向ける思考スタイルです。つまり「これまで進んだ距離に目を向けること」と言い換えることができます。

「これから思考」とは「あとどれだけやらなければいけないのか」に視点を向ける思考スタイルです。つまり「目標までの距離に目を向けること」と言い換えられます。

「これまで思考」と「これから思考」─人は誰でも、この2つの思考を行ったり来たりしているものです。

例えば、マラソン選手なら「これまで何キロ走ってきたか」と同時に「これからどれだけ走らねばならないか」を考えています。

15キロのダイエットを目指している人なら「これまで9キロやせた」という成果と「これから6キロやせなければ」という残りの目標を交互に考えているでしょう。

「これまで思考」も「これから思考」も、どちらも目標達成のためには、同じように大切な考え方に感じられますが、ここで注意が必要です。

それは「これまで思考」が強くなるとモチベーションが下がる危険性があるということです。「目標に対して自分はこれだけ進歩したのだ」ということに目を向けると達成感を得ることができます。

「これまで思考」の強い人は、早い段階で達成感を持つために、早く気が緩んでしまう─クーとフィッシュバックの研究で、そのことが明らかになっています。

実際、次のような研究結果があります。

大事な試験を控えた大学生を2つのグループに分けて、グループ1には「憶えなければならないことがあと52パーセント残っている」と伝えました。

そしてグループ2には「すでに48パーセントは憶えた」と伝えました。結果はどうなったでしょうか。

グループ1のモチベーションはグループ2よりも格段に上がったのです。こうなってしまう理由は「早すぎる達成感」以外にも、もうひとつ考えられます。

それは「これまで思考」でやり遂げたことを考えると、ついつい他の目標に目がいってしまうという理由です。

つまり「これまで思考」が強くなると「やりかけの目標ばかりがたくさんあって、どれひとつとして達成されたものがない」という事態になりかねないのです。

反対に「これから思考」を重視して、目標までの距離を測ると、モチベーションは維持されます。さらには「これからやるべきこと」を意識することでモチベーションを高めることもできます。

本当に喜ぶのは目標にたどり着いた後でも遅くありません。あまり早くから、小さな達成を喜ばない方がいいのです。

第3章のまとめ

1どの程度の頻度でフィードバックを得るかを決める。ちょうど良い頻度は試行錯誤で決めるしかありません。やっているうちに、適切なタイミングが見えてくるはずです。

2誰からフィードバックを得るのかを決める。

・「自分自身」でモニタリングする。

・「信頼できる家族や友人」に頼む。

・目標の分野で「成果を出している先輩」に頼む。

3フィードバックの予定を決める。

・カレンダーに書き入れる。

・ふせんやスマートフォンのリマインダーを活用してもよい。

if thenプランニングの要領で忘れないようにします。「自分の進捗を確認する」というだけでは行動できません。「これこれになったら、確認する」という形で、確実にフィードバックを得るようにします。

4「これから思考」で、目標までの距離を考える。

「これから思考」をすることでモチベーションが下がるのを防ぐことができます。「ここまでやり遂げた」ことを見ると油断が生じます。

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