第3章環境整備による潜在能力の解放
一倉式環境整備の神髄を発見する
冒頭の文章は、一倉先生がお亡くなりになる2年前に書かれた一倉社長学の総まとめとも言われている一倉定の社長学第10巻『経営の思いがけないコツ』の「第3章環境整備という強力な武器」の章扉の裏ページに掲載されている文章です。
ちなみに章扉というのは、本書のように、最初のページに章タイトルがあって、その裏ページにあるものです。
実は、一倉定の社長学の第9巻『新・社長の姿勢』の「第4章すべての活動の原点は環境整備からはじまる」の章扉にも、須梨槃特の同じ文章が掲載されているのです。ここがすごいところなんです。
今回、私も、紙の書籍では章扉の裏ページに(電子書籍では章扉のすぐ後に)、一倉先生のお言葉を掲載させていただいています。
それは著者として、その章で最も伝えたいことを載せています。ある意味タイトルの答えでもあるのです。
そうなると『新・社長の姿勢』では、「第4章すべての活動の原点は環境整備からはじまる」の答え、また、『経営の思いがけないコツ』の「第3章環境整備という強力な武器」の答え、が須梨槃特の逸話ということになるのです。
このわずか6行足らずですが、須梨槃特(すりはんどく)の逸話を、2回にわたり一番重要なページに載せていることで、いかに一倉先生が大切にしているかがわかります。
ある意味、一倉式環境整備の真髄の答えでもあるのです。私の見解としては、一倉先生の思想の核の一つだと言えます。
通常であれば、この答えの解説が本文でなされるのですが、『新・社長の姿勢』では、最初のページにこそ周利槃特の逸話は掲載されているものの、本文では一切触れられていません。
『経営の思いがけないコツ』の第3章1節の冒頭で少しだけ触れられています。次に抜粋してみます。
お釈迦様の「塵を払わん、垢を除かん」というお言葉は、仏教に携わる人びとに、最も尊い教えとして、広く深く行きわたっているということである。
ところが、不思議なことに、経営学とか管理学というものでは、〝環境整備〟という考えはほとんど無視されていて、これについての論文とかキャンペーンというものは非常に少ない。
一倉定の社長学第10巻『経営の思いがけないコツ』より
ここからわかるように、それほど須梨槃特の逸話について言及されているわけではないのです。
十カラットのダイヤモンドの秘密を解き明かす
正式には解説がないということになります。こうなると、これは禅問答のように、一倉先生から我々へ「考えてみなさい」という公案ということになります。
この須梨槃特の逸話の秘密を解き明かすことによって、「十カラットのダイヤモンドがゴロゴロところがっている宝の山に入り、誰でも自由にこれを拾っていいのに、これを拾い上げようとしないようなものである。」
「これを行う会社こそ幸いなるかな。聖書の福音書以上の素晴らしい結果を手に入れることができるからである。」と言われる真意に迫れると考えています。
ただ、全く言及しなかったわけではないのです。
一倉先生の晩年の環境整備の講座では、このように語られております。環境整備があれば、社員教育なんていりませんよ。環境整備をやっていれば、社員教育と比較にならない。次元の違う大きな意識革新、これが行われる。
私は、はじめ、知らなかった。しかし今はそれがはっきりわかっております。だから昔の人は、環境整備というものをよく知っていた。知っていたんですな。
その一番古くから知っていたのは、塵を払わん、垢を除かん、です。
これは、お釈迦様の弟子の須梨槃特、こいつは頭は悪くてなんにも理解もできなければ、どうにもならなかった。
その須梨槃特に対してお釈迦様がお与えになったのはなにか、塵を払わん、垢を除かん、彼はこの言葉を繰り返しながら、黙々と掃除をすることによって、他にも負けない悟りを開く、文字通り、悟りを開く、悟りというのはこれ、意識革新ですからね。
これはね、何が早いったってね、とにかく環境整備するくらい早いものはない。この言葉が、ヒントになります。
頭の悪い須梨槃特が「塵を払わん、垢を除かん」の言葉を繰り返しながら黙々と掃除をすることで、他にも負けない悟りを開きました。そして、それは他の仏弟子たちと比べて早かったということです。
他の弟子たちとの違いは、「塵を払わん、垢を除かん」と唱えて黙々と掃除をしたということだけです。
一倉先生は悟りを、意識革新と表現しています。この意識革新が環境整備によって早まることを、1万社の企業を指導していく中で体験として知ったのです。
※悟り=意識革新、意識革新は環境整備によって始まる。
一倉社長学の中心的な考え方は、社長の意識革新、これに尽きます。
なぜ、意識革新が必要なのでしょうか?第1章でも触れましたが、それは、赤字会社の社長の心を正すためです。
※赤字会社の社長は何かがズレている。
赤字になった原因は何か、それは自分中心に物事を考えて、お客様のことを一番に考えなくなったからですね。
一倉先生は、「会社の業績が振るわない根本原因は、必ず社長がお客様の要求を無視しているからであり、お客様の要求を無視している限り、何をどのようにやっても会社の業績は絶対によくならない」と言い切っています。
だからお客様の心を忘れた赤字会社の社長の意識革新をするために、一倉社長学があるのです。
これから先、お客様にどのようなサービスを提供するかを、考えに考えて文字と数字に落とし込む「経営計画書」の作成があり、お客の心がわからないなら社長が直接聞きに行く「お客様訪問」があるのです。
そして、その中心が「環境整備」です。「経営計画書」「お客様訪問」は、行動が直接、事業経営と直結しているので理解しやすいのではないでしょうか。
ただし環境整備となると、すごそうなのはわかるけれど、直接、経営に効果が出るように思えない、手間と時間もかかってしまう、と考え、なかなか行動に移しにくいのです。
一倉社長学を信奉している社長であっても敬遠しがちな方もおられるかも知れません。しかし、最も早く意識革新できるものこそ、環境整備なのです。
さてこの意識革新ですが、実際、周利槃特は、どのような意識革新をしたのでしょうか。「塵を払わん、垢除かん」と唱えながら開いた悟りとはどのようなものだったのでしょうか。
さらに具体的にどのような能力を得たのでしょうか。その能力を、社長やビジネスリーダーが得ることで、事業経営に活かすことはできるのでしょうか。
ここで周利槃特が得た悟りについてもう少し詳しくお話ししたのち、ビジネスにどのように役立つのかを、解説していきましょう。これはあくまで私の解釈ですのでご容赦ください。
周梨槃特の得た悟りとは何か?
まずは、周梨槃特の得た悟りについて語っていきます。
須梨槃特の両親やお兄さんについて、生い立ちから釈迦教団に入って悟りを開くまでの話は、『根本説一切有部毘奈耶31』に書かれています。
前半は、両親の話や兄の生い立ちなど、かなり長いお話となっているので、ここでは重要なところのみをお伝えしましょう。
周利槃特には兄がおりまして、子供の頃から優秀でした。お兄さんは500人の子供に学問を教えるほどに成長していきます。
一方、周利槃特は生まれつき愚鈍で、1つの単語を教え、2つ目の単語を教えている間に1つ目の単語を忘れるほど、頭が悪かったようです。自分の名前さえ覚えられなかったと言いますから、生まれつき障害があったようです。
お兄さんはその後、釈迦教団に出家し、阿羅漢の悟りを得て、500人の弟子を抱えるほどの高僧になります。
その頃、生活に困窮していた須梨槃特は、兄の勧めで出家します。兄から簡単な教えを授けられますが、何度反復しても覚えられません。兄は弟のことを思い、僧院の外に連れて行って厳しく指導します。
周梨槃特が、自分の愚かさが辛くて泣いているところに、お釈迦様が通りかかり、「直接、私が指導しよう」とおっしゃいました。
最初は、お釈迦様の付き人の阿難に周梨槃特を託しますが、彼はさじを投げます。そこで、お釈迦様は須梨槃特を呼び出し、有名な「塵を払わん、垢を除かん」という2つの言葉を授けます。
しかし、須梨槃特はこの2つの言葉さえも覚えられなかったのです。お釈迦様は、須梨槃特の障害を取り除かなくてはならないと考えます。
修行僧たちの草鞋の汚れを取り除きながら「塵を払わん、垢を除かん」と唱えるように、須梨槃特に指導します。その修行をしたところ、ほどなくして2つの言葉を覚えることができるようになったのです。
突如として視界が広がり、障害がなくなる、「阿羅漢」の悟り
さらに周梨槃特は、この2つの言葉の真意を考えながら草履の汚れを取っていたところ、突如として視界が広がり、障害がなくなります。
3つの教えが周梨槃特の心に浮かびました。この塵は土埃にあらず、実は「欲望」を塵というのだ。この欲望を除去するのは賢者であり、怠惰な者ではない。この塵は土埃にあらず、実は「怒り」を塵というのだ。この怒りを除去するのは賢者であり、怠惰な者ではない。
この塵は土埃にあらず、実は「迷妄」を塵というのだ。この迷妄を除去するのは賢者であり、怠惰な者ではない。
須梨槃特はこの教えの意味を覚え、教えにしたがって修業を重ね3つの毒を克服し、すべての煩悩を断って、やがて阿羅漢の境地を得たのです。
簡単ではありますが、これが、須梨槃特の物語です。ここで得た悟りというのは「阿羅漢」だったと言われております。
仏教用語なので難しいですね。では、阿羅漢の悟りとはどのようなものなのでしょうか。
調べてみると、阿羅漢とは、布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧によって煩悩を滅尽し欲望を断ち切って解脱し、3つあるいは6つの神通力・正覚を開いた聖者で、人々から尊敬され、布施を受ける資格のある人です。
阿羅漢については諸説あり、ちょっと難しいので、本書のテーマにあった形で私なりに解釈しますと、心穏かで執着がなく、欲望に振り回されず、日々勉強を怠らず、神通力を体得していて問題が起きても心が乱されず解決できる、という感じでしょうか。
阿羅漢とは、ある程度、心が透明になってきて、人間を超える能力を発揮できるようになった段階です。
2600年の時を経て、現代に環境整備として蘇らせる
イメージとしては、映画『スターウォーズ』のジェダイの騎士のような感じです。ルーク・スカイウォーカーは、精神修行を積み重ね、銀河を司るフォースを操れるようになります。
死んだジェダイマスターとも話ができてアドバイスを受けられます。ライトセーバーを操り、テレポーテーションもできます。ちょっと超能力的なものが強いですが、つまりは普通の人間の能力を超えている人です。
自我我欲が強いと暗黒面ダークサイドに落ちて、ダークジェダイになってしまいます。ルークの父、ダースベイダーですね。
また私の年代で言えば、アニメ『機動戦士ガンダム』でしょうか。ガンダムの主人公、アムロ・レイもそうですね。
ニュータイプと呼ばれ、第6感が冴えています。真後ろからの敵の攻撃も直感で察知し撃退します。普通のパイロットの何十倍もの敵を倒すことができます。
このアムロ・レイも死んだ人と話をすることができて、霊からさまざまなアドバイスを貰います。
心が透明になって、コントロールができるようになると、神通力が持てるようになるわけですが、この特殊能力が経営やビジネスに非常に必要な能力なのです。
お釈迦様が、「塵を払わん、垢を除かん」と唱えながら、草履の掃除をさせたことにより、須梨槃特は障害を取り除かれ、高速で悟りを開きました。
きっとこのことを一倉先生は見抜いたのだと思います。そして、その思想を一倉式環境整備に入れ込んだのです。
お釈迦様の発明した高速悟り法(意識革新法)を、2600年の時を経て、環境整備という形で現代に蘇らせ、多くの赤字会社の社長の意識を革新させ、特殊能力を授けたのです。その結果、会社は利益を上げ発展していきました。
ここからは、一倉式環境整備をすることで、どのような意識革新がなされるのか、周梨槃特のような特殊能力が得られるのか、また、それがどのように経営に活かされるのか、について、私自身のクライアントさんたちを指導してきた体験を踏まえて一つひとつ解説していきましょう。
マインドセットが変わる、奇跡が起こる!
まず、一倉式環境整備を続けていくことで、大きく変わっていくのは、マインドセットが変わるということです。
マインドセットとは無意識下の思考のクセ、思い込み、固定化された考え方です。赤字会社の社長は、これが変わらない限り、どんなに頑張って努力しても無駄となります。
環境整備には、このマインドセットをまるごと違うものに変わらせる効果があります。
一倉先生の言葉を借りるのなら、「環境整備さえやっていれば、何もしないのに業績が上がっていく。後はすべて自然とうまくいく」です。
マインドセットを変えることこそ、意識革新なのです。倒産寸前の赤字会社が黒字化するという現象は、まさに奇跡の大逆転ですね。
一倉先生は、環境整備を基本として行わせることで、赤字会社の社長の意識革新をしてきたからこそ、伝説のコンサルタントとして有名になったのでしょう。
では、環境整備をすると、いったい何が起きるのでしょうか。一倉先生は長年、社長専門のコンサルタントをしていました。
そこでわかったことは、赤字会社の社長は共通して、同じ考え方と行動を取り、黒字会社の社長もまたしかり、しかし全く逆の考え方で経営をしているということでした。
環境整備をすることで、赤字会社の社長の心がガラリと変わり、真逆の黒字会社を経営する心に入れ替わります。つまりマインドセットを変えられるのです。頭の悪い須梨槃特も同じでした。
お釈迦様から2つの教え「塵を払わん、垢を除かん」を授かっても、覚えることができませんでした。
しかし、草履の汚れを取り除きながら2つの教えを唱えることで、初めて覚えることができたのです。
これによって、障害も取り除かれ、悟りを開くことができ、高僧になりました。お釈迦様の指導により、心が入れ替わってしまったのです。
私自身も、第1章でも書きましたが、これまで何度もどん底から環境整備で復活してきました。その都度マインドセットを変えてきました。
私のクライアントさんで、整骨院を経営している女性社長さんがいましたが、彼女の体験は見事マインドセットを変えることで、奇跡の復活をした良い例ですので、ここでご紹介させていただきます。
その女性社長が、お客様の来店が少なくなり、資金不足になり、赤字が日に日に増えてくる体験をしていた時期の話です。
このままいけば、社員に給料が払えなくなる、会社が続かなくなる、お金をどこから工面すればいいかわからない……そういう思いで心がいっぱいで、眠れぬ夜を幾度も過ごしていました。
多くの人を幸せにするために始めた会社なのに、なぜこんなことになったのか、と自分が許せないのです。
「いや、何もしないスタッフが悪い、自分はこんなに苦しんでいるのに社員は何も考えていない」と思ったり、そんな社員を攻めてしまったという罪悪感が襲ってきて、「何て自分は駄目なんだ」と自分を責める、この繰り返しだったと言います。
こんな最悪な精神状態を何日も続けて、最終的に救ってくれたのが環境整備でした。心身ともに疲労して、追い込まれ、自分の環境を整備することしか残されていませんでした。
一つゴミを捨てる、埃を取る、出しっぱなしの書類やペン、本を棚や引き出しにしまう。すると、無力な自分でも、まだ埃を取る力があるのだと、心にちょっとずつ自己肯定という名の種火がともります。
ある時、彼女はトイレ掃除をすることにしました。便座を磨いていくうちに、押し殺していた感情が出てきたのです。
「辛い」という気持ちが心いっぱいに溢れてきました。涙が流れました。
さらに磨いていくと、辛い気持ちが全部吐き出された頃にようやく、「何が間違っていたのか」と考えられるようになっていきました。
その時、ハッと気づいたのです。自分のことばかり考えていたと。
「自分の心配しか考えていない、自分を守ることばかりだ。そもそもなぜ、お金が入らなくなったのか、それは……自分の都合ばかり考えてお客様の要求を無視し続けた結果だ」というように。
すると、スタッフがそのことを何度も伝えようとしていた場面が思い出されました。「ああ、私が間違っていた」自己中心に物事を考え、お客様を無視し、スタッフを無視し、会社を倒産寸前にまで追い込んでいた自分を受け入れました。
そこから力が湧き上がってきました。こんなに間違い続けた自分でも、まだ、命があり生かされている。まだ、時間が残されている。
「ここからは、恩返しをしていく。もう一度、多くの人々を幸せにするために立ち上がろう!」と誓いました。
心が入れ替わった瞬間でした。マインドセットが変わってからは、彼女に次から次へとチャンスが舞い込みます。
そのあと、お店にお客様が殺到したそうです。私がこれまで見てきた赤字会社の社長も当初の彼女と同じ考え方に陥っています。
また、夫婦の危機も同様で、自分の主張ばかりして伴侶の心を無視し続けた結果であることを付け加えておきます。
私自身、夫婦喧嘩する時はいつもそうだからです。本当の意味で反省ができた時に、心は入れ替わります。そこからは、驚くほど早く人生は好転するのです。
環境整備は、反省を促してくれます。間違いに気がつかせてくれるのです。
このマインドセットが変わることが前提となって、周梨槃特が阿羅漢の悟りを得たように、さらに6つの能力が開花していきます。
環境整備を続けることで、「読心力」「プレゼン力」「直感力」「先見性(未来予測能力)」「発想力」「心をコントロールする力」をさらに高めることができます。
■環境整備で高められる力①「読心力」▼▼▼お客様の心がわかる力
環境整備によって意識革新ができると、どのような力が得られるのか。まずは、「読心力」から解説していきましょう。読心力は、阿羅漢の代表的な能力です。
文字通り、相手の心が読めるということです。相手が、何を考えているか、何を悩んでいるか、何を欲しているか、がわかります。
相手が欲していることや欲しい言葉がわかれば、人間関係も良くなりますし、ビジネスをする上でも、最強の武器になります。
交渉する時、プレゼンする時、商談を決める時、相手が何を必要としているのかがよくわかると怖いものなしです。ぜひとも、体得したい能力です。
2020年10月に刊行された一倉定著『ゆがめられた目標管理【復刻版】』には次のようなことが書かれています。
企業の本当の支配者は、社長でもなければ株主でもない。それは顧客なのである。企業の製品もサービスも顧客あっての話なのだ。
※経営計画書に記載する。
このあたりまえの、あまりにもあたりまえのことが、とかく忘れられてしまうのである。顧客は、企業に対して直接命令をくだすことはない。
多くの場合、どのような製品を開発せよともいわないし、廃棄せよともいわない。ただ自分の気にいらなければ、その製品を買わないだけである。
なんの予告もなしに、その会社を見捨ててしまうのだ。ここに顧客のおそろしさがある。だからこそ、企業は、顧客が何を要求しているかを、自分のほうから知ろうとつとめなければならないのだ。
しかも、顧客に潜在している要求を誤りなく知る方法を、われわれはまだ知らないのだ。ということは、われわれは、さらにもっともっと顧客の潜在要求を知ることに努力しなければならないことを意味している。顧客の要求を知るかどうかが、企業の死活問題につながるのである。『ゆがめられた目標管理【復刻版】』より
これは1969年に発刊された書籍です。一倉先生は一貫して企業を支配する者は社長でもなければ株主でもない、「顧客」だと言います。
だからこそ、顧客の要求を探求しなければならないのですが、ここで注目すべきことは、顧客の「潜在欲求」を知る必要があるということです。
表面的な欲求では十分ではないということです。潜在欲求です。では潜在欲求とはどういうことでしょうか。それは、顧客自身もまだ気が付いていない要求を知るということです。
「そうそう、そういうのが欲しかった」「そのサービスを求めていた」といったレベルのことです。
「お昼に何か食べたいのだけど、何が食べたいのだろう?」に対して、「たぶん味噌ラーメンじゃない?そんな顔しているよ」と提案すると、「そうだ!自分でも気がつかなかったけど味噌ラーメンを食べたい気分だ」という感じです。
これができるように、企業は努力しなければならないというわけです。かなりハイレベルですが、ヒット商品というのは、顧客の潜在要求を満たしています。
この潜在欲求を、知ることができるのが、「読心力」なのです。この読心力が環境整備によってわかってくるようになるのです。
※なぜ?
日々、お客様のために、環境の汚れを取り除き、ピカピカの空間を作り上げる行為によって、自分本位の考えを抑え、お客様に心を合わせていくことができるようになります。お客様の立場に立って、考え、行動することが身に付いていきます。
※チリが払われて煩悩がなくなるから?
環境整備を続けていくことによって、お客様が、これから先の未来に、我が社に、何を求めているのか、どのようなサービスや商品を必要としているのか、がわかっていきます。
また、読心力があるということは、人を見抜く力もあるということです。社長の仕事では、人材の登用と活用があります。
社員の長所と短所を見抜き、どういう使い方をすれば成果を出すのか、誰と誰を組ませたら成果を出せるのかなどです。
環境整備を続けていけば社員の心の中も読めるようになることも付け加えておきます。
■環境整備で高められる力②「プレゼン力」▼▼▼説得する力
次は、「説得力」です。現代では、「プレゼン力」、一倉先生は表現力と言っています。
これは、先ほど解説した読心力とも関係していますが、相手の立場になって語るからこそ言葉に力が出てきます。
周梨槃特は、この説法する力、つまりは説得する力を身に付けていたことが、『法句譬喩経』に残っています。
当時、釈迦教団で一番頭の悪い須梨槃特が悟りを開いたことは、多くの人に衝撃を与えたと同時に、疑う人も多かったようです。
また、あんな愚かな須梨槃特が悟れるのなら釈迦教団も落ちぶれたものだと言う人もいました。お釈迦さまは、須梨槃特に、比丘尼と言われる出家した女性の寺へ行って説法するように命じます。比丘尼たちも、何も覚えられない人が講義できるわけがないと軽く見ていました。
しかし、須梨槃特の、理路整然と説く清らかな仏法に尊さを感じ、比丘尼たちは感動をし、涙を流したと言います。
それ以来、須梨槃特は、誰もが認める、お釈迦さまの代表的なお弟子になりました。自分の名前さえも覚えることができなかった須梨槃特が、説法をして涙を流させるほどになるのです。
まさに奇跡です。これはもう講演家として、最上級の能力ですよね。
以前、私は、一倉先生が晩年指導されたという社長さんの経営計画発表会に、出席させていただいたことがありました。
そこでは、全社員を集めて、社長が会社の未来について語っていました。社員の皆様への感謝から始まり、社員の頑張りによって、どれほど多くのお客様が喜ばれたかを話されました。
得た利益を、さらにお客様を喜ばせるために使っていくことを語っていました。その言葉には真実と説得力があり、その会社の未来がありありと見えてくるものでした。
社員の方たちは涙を流して聞いていました。社長の仕事は、会社の未来を作ることです。
※7つの習慣でいうとリーダーシップ。
まだ社員の誰一人、見ていないし体験していない未来を、社長自らの言葉で社員に伝えなければなりません。
我が社はこれから先、まだ存在していないサービスやこれから開発する商品で、お客様に貢献していく、ということを、確信を持って、言葉にして説得することが重要なのです。
※経営理念+ビジョン
このように環境整備によってプレゼン力も身に付きます。
それは、環境整備をやればやるほど仕事しやすい環境となり、頭は常にクリアで、やるべきことが明確になるからです。
※どこに何があるかがすぐにわかりアクションの始まりと終わりが明確になるため。またオーラがでるから?
どれをどのようにどれだけやるのか、組み立てる力も身に付くのです。
ゴミを捨てたらなくなる、汚れを取ったらキレイになる、バラバラの書類をファイルにまとめるとスッキリします。
このような一見小さなことですが、原因があって結果があることを繰り返しすることで、組み立てる力が訓練されます。そして、わかりやすいようにプレゼンする力もついてくるのです。
さらに、お客様の心がわかるようになれば、つまりは相手の立場に立ってどのような言葉を欲しているのかがわかれば、プレゼン力はより一層増していきます。
■環境整備で高められる力③「直感力」▼▼▼チャンスや危機を察知する力
次は「直感力」です。環境整備を毎日積み重ねていくと、直感力が身に付いていきます。
この直感は心の深いところから湧き上がるもので、論理を超えて、高度な決断へ導いてくれます。
単なる思い付きとは別次元のものです。私は、経営を知った初めの頃、経営に直感はいらないと思っていました。
個人的には私は直感主義でしたが、会社組織においては個人と違うので、社長が下す決定が直感にもとづくなんてありえないと思っていました。
しかし、当時、P・F・ドラッカーを勉強していた流れで、ドラッカーを信奉するジャック・ウェルチの本を読みました。
ジャック・ウェルチは、1981年にエジソンが創業した会社GE(ゼネラル・エレクトリック)の最高経営責任者に就任し、GEを復活させて、当時は20世紀最高の経営者と呼ばれていました。
その彼が、著作『わが経営』(日本経済新聞出版)の中で、私は直感経営だったと告白していて驚きました。
残念ながら、ジャック・ウェルチの後継者は、真逆の経営をしたようで、北京オリンピックのスポンサーを務めたあとは、あっという間にGEはガタガタになりました。
経営のことがよくわかってくると、偉大な経営者は、ここぞというときに直感によって決断をしていることがわかってきました。
しかし必ずと言っていいほど、経営幹部たちは、「論理」という武装をして反対します。
社長は、孤独の中、直感を信じ、その論理を押し切って決断して実行します。そして、見事、危機を抜け出し事業を発展へと導きます。
芸術家の岡本太郎は、「手なれたものには飛躍がない。常に猛烈な素人として、危険を犯し、直感にかけてこそ、ひらめきが生まれる」と言っています。もちろん経営には合理的思考は必要です。
※抽象度が高いところほど、直感力が必要になる。
しかし、大きな勝負どころは、直感による決断が必要となるのです。イスラエルの大学の研究では直感の的中率は90%以上と言いますから驚きですね。社長の最も重要な仕事である決定、決断において、直感力は身に付けておくべき能力ですね。
※ファーストチェス理論と一緒?
では、直感力を身に付けるにはどうすればいいでしょうか?直感力を磨く本などでは、身に付ける方法として、瞑想やマインドフルネス、静寂な時間に身を置くなどを挙げています。
※マインドフルネスを行う。
しかし、繰り返しになりますが一番早く身に付くのは、環境整備なのです。環境に現れている乱れや汚れを取り除きながら、心を平静にして何事にもとらわれない状態を作っていきます。
そう言えば、この直感のところを執筆しているところで、私はいつものように早朝に環境整備をしていたのですが、ふと英語の勉強のことを考えたのです。
そこで、急にアップルの創業者のスティーブ・ジョブズの英語で書かれたプレゼンやスピーチの本があったことを思い出しました。
その本で勉強しようと思い、書棚から探し出して、パラパラ見ていたのですが、目にとまったのが、その本の最後に掲載されていたスタンフォード大学での伝説のスピーチのある箇所でした。
そこには、何と「直感」について書かれていました。まさに直感力で見つけた箇所を次に引用させていただきます。
皆さんの時間は限られていますから、他人の人生を生きて時間を無駄にしてはいけません。ドグマにとらわれないでください。それでは、他の人たちの思考の結果に従って生きることになります。
他人の意見という雑音によって自分の内なる声がかき消されてしまわないようにしてください。そして、最も重要なことですが、自分の心と直感に従う勇気を持ってください。
あなたの心と直感は、あなたが本当は何になりたいのかを、どうしてだかすでに知っているのです。
他のことはすべて二の次です。『スティーブ・ジョブズ伝説のスピーチ&プレゼン』より直感力でもう一つ大切なことは、いち早く危機を察知できるようになることです。
以前ある私立高校に講演で呼ばれました。
校長先生からの依頼で講演会と校舎の環境整備のアドバイスをしたのですが、校舎の周りにはゴミ一つ落ちていなく、生徒が笑顔で気持ちよく挨拶をしてくれます。
校舎内は、何より、職員室がすばらしい。明るい雰囲気で、先生たちの机は、ものが少なく整理整頓されている様子でした。
もちろん校長室もとても爽やかで、ものが少なくて清潔です。私はすっかり感心してしまって、逆に校長先生に質問してしまいました。
「このすばらしい校舎を維持するために環境整備をされているようですが、どういった点で一番効果を感じておられますか?」校長先生がこう答えました。
「私は毎朝、校舎の周りを散歩するのが日課です。毎日、環境整備をしていると、その朝の散歩の時にお知らせが来るんです。小さな変化がパッと目に入るのです。
例えば、煙草の吸殻が数本落ちていたり、ゴミが落ちていたりするんですが、それを見た時に、身を引き締めよと直感が働くのです。
最近ではどのような種類の問題が起きてくるかもわかるようになってきました。
それによって、校舎内の環境整備も、より一層強化しますが、問題の早期発見ができて、大事に至らずに済んでおります」
毎日校舎を見回ることで、ちょっとした環境の変化から危機を察知できるということでした。直感がビジネスにおいて最も必要とされるのは、危機管理です。
これは危ないぞといち早く察知したり、この人は信用できないと思ったり、これには手を出してはいけない、あるいは今は一旦撤退しようと思ったりなど、危機管理は必須能力です。逆に、いち早くチャンスをつかむ能力でもあります。
名経営者は判断が早かったり、決断が早かったりしますが、この直感にもとづいて行動しているのでしょう。
直感力により、危機を察知することと、チャンスをつかむことができるのです。この能力は、理屈では絶対に説明できない能力でもあります。リーダーとしては、身に付けたい能力です。
■環境整備で高められる力④「先見性」▼▼▼未来透視力
次に「先見性」です。先を読む、未来を読む力ですね。「未来透視能力」と言ってもいいです。一倉先生は、悟りとは、意識革新だと言いました。
この意識革新を続けていくことは、自分の認識できることが拡大していくことを意味しています。
わからなかったお客様の心がわかるようになる、説得する力も付いてくる、さらに直感力が増して、チャンスも危機も察知できるようになるなど、認識力が拡大していくのです。認識力が拡大していくとはどういうことでしょうか。
たとえるならば、マンションの1階に住んでいた人が、10階に引っ越す感じです。
窓の外から見える景色の範囲が広がりますよね。1階の住人は、目の前の家しか見えませんが、10階から見える景色は5キロ先に建っているビルが見えます。
ちなみに、赤字の社長は地下に閉じこもっている感じです。外が見えないです。これは自分しか見えない状態です。名経営者ともなれば、30階、40階からの景色を見ているようなものでしょう。このように、認識力が拡大していくと、先を見通す力も増してくるのです。
東日本大震災を的中させた予言者、ゲリー・ボーネルさんは、人間の予知能力は普通の人で3ケ月先を見通すことができると言っています(発揮している現代人は少ないですが)。
世の中の事象には、すべて、原因結果という法則が働いています。種を蒔き、水をやり、果実が実って、報いがあります。すべては、心の中の思いが言動や行動となり、周りを巻き込んでいきます。
発展する場合であっても、転落する時でも、小さな種が育ち、周りに影響を与えながら、大きくなっていきます。
環境整備を続けることは、この原因結果を心に叩き込むことになります。時間とともに埃が積もり汚れとなる。この汚れを取ろうと思い、行動に移し、きれいになる。
行動を通して原因と結果の法則を心に刻み込むことができます。未来に起きることは、必ず現在に隠れています。種を見つければ、未来に果実をもたらすことが予想できるわけです。
毎日の環境整備を疎かにせず、環境を整え、心を整えていくことで、精神が研ぎ澄まされ、未来を先取りする目を持つことができるのです。
一倉社長学の中では、「会社の未来を作る経営計画書」があります。
作成した社長を始め社員の心に革命をもたらす魔法の書とされていますが、この未来透視能力が、ここで発揮されるのです。
経営計画書の作成と実行によって、予測と現実のズレをチェックしていきますが、環境整備で磨かれた未来透視能力によって、さらに精度が高まるのです。
■環境整備で高められる力⑤「発想力」▼▼▼無限の叡智の開放
次は「発想力」です。阿羅漢の悟りを得ると、心がきれいになって、霊的な覚醒が起きてくると言います。
そして、霊的世界との交流が始まり、自分よりもレベルが高い諸菩薩たちより智慧を授かるようになると言われています。
現代において、そこまで霊的能力が覚醒するかどうかはわかりませんが、例えば、会社が発展するためのアイデアが次々に溢れ出てくる感じでしょうか。
どういう戦略にするか、どんな商品を開発するかということに対して、アイデアが湧き出てきます。インスピレーションと言い換えてもいいですね。
「これは売れる」と、ポンとイメージが出てくる。
さまざまな問題や、難題に対しても、こうすれば乗り切れるんじゃないか、あの人に連絡しようなど、解決策が浮かんで来ます。
名経営者になればなるほど、信心深くなると言われていますし、神社詣でを熱心にする社長さんも多いです。
やはり、会社の発展や危機を何度も乗り越えてくると、自分の力だけでは成し得ない、大きな力が働いてくることを実感するからでしょう。
私自身も、そうじ力でミリオンセラーになりましたが、私の能力で成し得たとは到底思えません。
30万部、100万部といった本は、自分で書いたというより、書かされたといった感じでした。
目に見えない大きな力が働いていたことは実感しました。実は一倉先生も、この叡智を使っていたというエピソードがあります。
一倉先生は、赤字会社を黒字にするコンサルタントとして、さまざまな業界、業種に関わっていました。
御子息の健二さんの話によると、一倉先生は、初めての会社を訪問すると、経験したことのない無理難題を投げかけられることがよくあるそうです。
すると、その時すぐに答えが見つからなくても、会社を出るまでには、必ず解決策を出すのだそうです。
また、社長にちょっとしたアドバイスをすることで、社長自らが問題をすぐに解決するということが何度もあったそうです。
こうしたことを、一倉先生は守護霊の力とか、また潜在意識の力という言葉で表現していたそうです。
一倉先生は叡智が降り注いでいる状態で仕事をしていたということです。
環境整備を続けることによって、潜在意識は活性化され、どんな問題も解決し、いかなる状況からも復活することができる、阿羅漢で言えば無限の叡智を手にすることができるのです。
※阿羅漢になれるのか?
■環境整備で高められる力⑥「心をコントロールする力」▼▼▼心を平静に保つ大切さ
最後に「心をコントロールする力」を紹介しておきましょう。心のコントロールと聞いて、一見とても地味な感じを受けるかも知れませんね。
しかし、組織に属し、いざ人の上に立ったり、部下を持ったりするようになると、これがとても重要なのです。
例えば社員が失敗した時、名経営者であれば、自分の責任として受け止めますが、逆であれば、瞬間湯沸かし器のように怒ってしまうこともあるでしょう。怒りや、自分を守るために相手を責め立てたりしてしまうものです。
あるいは、地位や名誉が上がってくると、そういうものをひけらかす邪心が出てきたりします。異性を追いかけてしまって不祥事を起こすなどがそうです。
心のコントロールができるかできないかは、立場が上とか下とか関係ありません。それによって一気に転落の人生を歩む人もいます。
過ぎた欲望。例えば、食べたい欲求やお酒もそうですね。適度であれば、ほどよくストレス解消になるのに、それにとらわれると心が乱れていきます。
慢心もそうです。例えば会社が順調にいっている時、当初はお客様のおかげ、従業員のおかげと思っていたのに、いつしか自分の力ですべて上手く行っているんだと思うようになることもそうですね。
心が常に右に揺れ、左に揺れて、苦しい様です。有頂天になったり、落ち込んだり、自分を責めたり、相手を責めたり、不安や恐怖に心が支配されている。
そういった状態から、凪いだ湖面のように、穏やかな精神を保つことができる状態が、阿羅漢になる条件です。
環境整備を行うと、穏やかな精神を保てる状態に近づきます。つまり、心をコントロール可能な状態にできるようになるのです。
日々の心のコントロールの大切さを改めて知っておいてください。
今一度まとめると、「読心力」「プレゼン力」「直感力」「先見性(未来予測能力)」「発想力」「心をコントロールする力」が、環境整備で身に付けることができる特殊能力になります。これらの能力が一倉式環境整備によって引き出される能力なのです。
環境整備は、いかなる社員教育も道徳教育も、足元にも及ばない
さて、一倉式環境整備のすごさが伝わったことと思います。環境整備を、全社をあげて、毎日徹底すれば、どうなると思いますか。そうです。
社員が毎日、意識革新し続けるわけです。自然と神通力を身に付け、潜在能力が引き出されるのです。それは、まさにスーパー集団となります。
一倉先生は、環境整備には、いかなる社員教育もどんな道徳教育も足元にも及ばないと言い切ります。その真意が、ここで深く理解できます。
次に、一倉先生の環境整備と社員教育についてのお言葉でこの章を終えたいと思います。環境整備は、これを行った人々の心に革命をもたらす。
「いかなる社員教育も、どんな道徳教育も、足下にも及ばないものだ」というのが私自身でイヤという程思い知らされていることである。しかも、ただ一社の例外もないのである。
多くの社長は、というよりも日本中の殆どの社長がこのことに気がついていないのは誠に残念である。
社運の隆盛は、運というよりも、自らの努力で勝ち取るものである。というのが私の持論だが、それは、まず環境整備から始めるべきである。
コラム 私はクリエイターなので数字がちょっと苦手です
近所に、これまで食べた中で一番感動したカレーパンを提供するケーキ屋さんがありました。注文をしてから、揚げてくれるので、熱々ホクホクです。しかも値段も160円と安いのです。
しかし、オープンから1年もしないうちに潰れてしまいました。客である私の要求を完全に満たしていたので、残念でなりませんでした。
ケーキも美味しかったし、その場で買って食べられるオープンスペースでは、無料でコーヒーも飲めました。人も入っていました。
お客様の要求に答えていたケーキ屋さんは、なぜ、潰れたのでしょうか?原因を考えてみると、一つしかありません。
それは、経営トップが数字に弱かった。これに尽きます。
腕のいい職人たちで立ち上げた会社が倒産してしまう場合、数字に弱いということが共通しているようです。
この他にも、クリエイター、芸人やミュージシャン、作家、画家などの芸術家の人たちも、数字に弱いと、長く市場活動を続けていけないことが多いようです。
これはとても残念でなりません。そんな私も、数字が苦手でした。その理由は、やはり学校でならった数学の成績が悪かったことでした。数字には弱いけど、創造することは得意という感じです。
一倉先生は、このように言っております。社長の任務というのは数字を作り出すことだ。
それにもかかわらず、たくさんの社長が数字のことになると全くの音痴、こういうのが多すぎる。それでよくいうんです。
「先生、私は数字に弱くて」おふざけじゃないよ、何言ってるんだ!社長というのは数字を作り出す人なんだ、その数字を作り出すのが役割の人が、数字に弱いで済むかって。
この説教に耳が痛い社長は多いと思います。まずは、これまでの怠慢に対してゲンコツされるようなものです。
事業を続けていくためには、この事実を受け入れる覚悟を持つことです。すると、一倉先生は、次に希望を与えてくれます。弱かったら勉強したらいいでしょう。
なにもね、会社の中の数字なんか、高等数学使うわけじゃないんですよ。微分積分なんかないんですよ。大丈夫です。ルートさえ出てきやしねぇ。
何が出てくるか、加減乗除しか出てこない。たし算と引き算とかけ算と割り算しかないんですよ。
小学校3年生の算数なの。小学校3年生の算数が、大学出の社長が出来ねぇとは何事だ。
話にも何もならないですよ。
~中略~だから数字に弱い社長でその会社の業績がいい会社、これは、ありません。また何かの都合で一時的に良くなったって、必ず悪くなります。
何かの変化がおおった時にそれに対応することができないんですから。
だから社長というものは。数字を作り出す人だから数字を知らなくちゃならない、わからないんだったら勉強しなさい。
何も難しいことじゃないんだ。足し算引き算、掛け算割り算なら私でもできます。
この言葉は、私の中の苦から逃げず、まずは数字に強くなるぞと決意することです。そして、一倉先生から、社長に必要な数字を学びましょう。
以上紹介した数字についての一倉先生の言葉は、YouTubeの日本経営合理化協会のチャンネル「秘蔵映像」社長の教祖と呼ばれた男〝一倉定〟の伝説の公演「増収増益の本質」、をご視聴ください。
規律というのは、何かの行動だと思っておられる方もいらっしゃるが、行動ではなくて、「心構え」なのである。
その心構えとは、
- ①決められたことを守る
- ②指示や命令は必ず実行する
ということなのである。
清潔とは、きれいにすることではない。清掃することでもない。それは、
- ①いらないものを捨てる
- ②いるものを捨てないということである。
整頓とは、片づけることではない。片づけたら、仕事にならないからである。
一倉定の社長学第9巻『新・社長の姿勢』より
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