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第3章段取り力とは「人と協力する技術」でもある

第 3章段取り力とは「人と協力する技術」でもある

仕事は「一人」ではできない。

周囲との調和が不可欠だ。

スムーズな段取りのためには、周囲への気配りも大きな要素になる。

まず「一人では何もできない」と考える ■たとえば休暇を取るときの段取りは綿密に! ■常に確認を怠らない 仕事を任せるときにも段取りが必要だ ■「あれ、やっといて」で、できる部下は少ない ■あえて失敗させて段取りを教える ■まず相手(協力者)の都合を聞くところから始める 「一〇分前」の段取りが気持ちの余裕を生む ■余裕を持って事に当たる ■雑で曖昧な人は段取りが立てられない ■平常心で段取りよく仕事をするためのポイントは? 後工程を常に考えて段取りを立てる ■今の仕事が全体の流れの中でどこにあるかを知る ■“次”の工程のことも考えて段取りを立てる コミュニケーション力が段取り力につながる ■周囲とのコミュニケーションがなければ段取りも立てられない ■部下や上司、後輩、同僚と協力する気持ちを持つ ■コミュニケーションは「聞く」ことから始まる 「整理整頓」も段取り力の一つだ ■整理力を、どう身につけるか? ■「捨てる基準」を決めてしまおう

第 3章段取り力とは「人と協力する技術」でもある仕事は「一人」ではできない。

周囲との調和が不可欠だ。スムーズな段取りのためには、周囲への気配りも大きな要素になる。

目次

1 まず「一人では何もできない」と考える

■たとえば休暇を取るときの段取りは綿密に!

仕事でもプライベートでも、「一人では何もできない」という気持ちが大切だと私は思っている。

そのことと段取り力と、どんな関係があるのかと聞かれそうだが、これが大いにあるのだ。

たとえば、急な用事ができて、やりかけの仕事を誰かに頼む。

あるいは休暇を取っている間に、何かの仕事を進めておいてもらう──ということはよくある。

そのとき、 「○日から ×日まで休みます」 と周囲に告げるだけでは、聞いたほうもあまりいい気持ちはしないし、休み中に何かあったときはどうするのかもわからない。

こういうときには、進行中の仕事は必ず一覧表にして上司なり部下に手渡しておく。

たとえば顧客ごとにファイルをつくっておくのもいいだろう。

こうすれば顧客から連絡が入ったときに他の人が対応しやすい。

さらに、トラブルが予想できるようなものについては、事前に話し合っておく。

また、休み明けに何をするかは、休み前に決めておくのが望ましい。

休みが明けたらすぐに仕事にかかれる──これが理想である。

ここでは ToDoリストを活用するのがいちばん簡単だろう。

なお、休み明けには必ず「手みやげ」を持ち帰ること。

小さなことかもしれないし、単なる儀礼的なことのようだが、こういう、気持ちを形にしてあらわす気配りが段取りよく仕事を進める基本にもなる。

■常に確認を怠らない

周囲との協力関係を強固なものにするために、明日からすぐできることをあげてみた。

□仕事を発注する、やらせる、のではなく「依頼する」という気持ちを持つ □人の話、気持ちをじっくり聞く □上司だけでなく同僚や部下にも相談する □常に、周りの人みんなに声をかける □お礼は、直接会って伝える □いつでも「確認」を怠らない ──なかでも大切なのが「確認」である。

仕事はつい、“流れ”で進めてしまう。

しかし何が起こるかわからないのがビジネスだ。

たとえば「キャンペーンで使う印刷物の納品の件」ならば、 □業者に連絡して、いつ納品できるかの期日を確認する

□納品されたものの(仕上がり、部数)確認 □必要な量だけ持って行けるようにしたい場合は、その量の確認 □残りは保管、管理(倉庫へ移動、管理台帳への記入)することの確認 さらに言えばこれら一連のことを、関係各部署へ連絡する。

こういうチェック作業こそが、段取りのキモである。

2 仕事を任せるときにも段取りが必要だ

■「あれ、やっといて」で、できる部下は少ない

部下のすべてが、「あれ、やっといて」で何でもやってくれるのなら、上司はこんなラクなことはない。

多くは、きちんと指示をして初めて、こちらの思う通りのことをやってくれる。

部下に仕事を任せるのも大変なのである。

上司の仕事で大切なことの一つが、部下を育てることだ。

人を育てるのに必要なことは、その人のできることを見極めて“任せる”ことが第一条件だと、私は思う。

それは、とてもむずかしいことだ。

しかし、その人ができるギリギリのレベルの仕事、役割を与え任せてみる。

そして、それができればまず褒めてあげよう。

「よくやった!」と心からみんなの前で褒めるのだ。

そして次は、それよりもう少しむずかしいことを任せてみよう。

そうやって少しずつできる仕事のレベルを上げていくことで、部下は自信がついていく。

自信こそ成長の源泉なのだから。

人を育てるには、叱咤だけではなく激励がいる。

そして仕事を任せるときには、段取りよく任せる。

相手を見ながら、「この仕事の次はこの仕事を……」 というように、任せられる仕事を用意する。

部下は、まだ仕事に慣れていないものである。

だからこそ、基本的な段取りはこちらで立てていく必要がある。

部下のレベルにもよるが、要所要所で報告をさせることも忘れてはならない。

それをチェックするのは、上司の責任でもある。

そして任せた仕事がうまくいったときには、手放しで喜んであげる。

こういう上司なら、部下のほうから相談に来るはずだ。

失敗して会社に損失を与えたりしたときに、「バカヤロー!」と叱る前に、部下からのヘルプのサインを感じ取れる気持ちがあるだろうか。

仕事を人に任せるということは、人を育てることとセットだと言ってもいいだろう。

■あえて失敗させて段取りを教える

段取りができない人を、段取りができるように育てるためには、あえて失敗させることも必要かもしれない。

あなたも、失敗しながら、ミスをしながら段取りを覚えてきたはずだ。

部下にもそれをやらせてみよう。

ただし、“放置”してはいけない。

新人の頃は、何からどういう順番でやっていいかわからないものだ。

その「優先順位」をきちんと指示する──これだけは忘れないでもらいたい。

大きな失敗では会社の損失も大きくなるので、大怪我にならないうちに、「このままだとマズいなあ」という段階で、あえて失敗を経験させる。

本人は慌てるし、オロオロするかもしれない。

しかしそのときに「なぜ失敗したか。

どうすれば修復できるか」を問いかけ、部下に対策を考えさせ、それを答えさせる。

答えの中に正解があれば、それを即実行させる。

正解を自分の頭で考えるという訓練をさせるのだ。

「教える」ということは、正解を教えるだけではなく、答えの出し方を体験させることでもあるのだ。

■まず相手(協力者)の都合を聞くところから始める

仕事を頼むとき、相手の都合も聞かずに、「これは今週中によろしく!」などと言う人がいる。

こういう仕事の仕方をすると、必ず段取りが狂う。

仕事の発注ということを、上司の権限と同じように思っているのだ。

仕事を頼むときは社内でも社外の協力業者への仕事の依頼でも、まず相手の都合を聞く。

「依頼をする」という考え方を持つべきだろう。

仕事はいろいろな人が協力して進めるものだ。

そのとき、相手(スタッフ)の都合を聞くということは、段取りを立てる上で最低限のルールでもある。

私は、“他者認知”ということをよく言う。

これは、相手の立場に立って、もし自分だったらどう感じるかを思う──ということだ。

あなたが夕方からデートや、久しぶりに友達との飲み会の予定が入っている日に、都合も聞かずに、「これ今日中に!」と帰社時間直前に言われたらどうするだろうか。

「わかりました!」とニコニコ笑いながら楽しく仕事に取りかかれるだろうか。

たとえば、「朝いちばんに言ってくれたら何とかできたのに……」と思うだろう。

相手の都合を考えるということは、相手の段取りを考慮してあげるということでもある。

このことを忘れないでほしい。

「相手のことを考える」 この気持ちが、ある意味では段取りには不可欠になる。

「相手の都合ばかり聞いていては、いい仕事はできない」 と言う人もいるだろう。

それはその通りだ。

私は「相手の都合に合わせる」と言っているのではない。

段取りの手順において、まず、「相手の都合を聞くこと」と言っているのである。

同じようだが、これはかなり違う。

段取りを立てるとき、いろいろな要素を考慮する。

自分の都合やスケジュールを考慮するのは言うまでもない。

しかし、スタッフの都合を考慮して手順を決めていくようにすれば、仕事もスムーズに進むはずだ。

相手の都合を聞く場合、毎回同じように聞くのもよくない。

たとえば下請け、協力会社がいつ頃忙しいかをあらかじめ知っておけば、都合を聞くのも「確認」程度で済ませられる。

明らかに忙しそうな取引業者に、「今日、打ち合わせをしたいんですが、打ち合わせに来てくれませんか?」 などと突然言う人がいる。

段取り以前に、マナーができていないのだ。

仕事の流れも把握できていない。

これでは、よい段取りなど立てられないだろう。

関係者やスタッフの都合を聞くときには、テキパキと要点を確実に告げる。

日時、場所などを告げて都合を聞くのは最低限しなければならない。

さらに個人的な用事は入っていないかも、さりげなく聞くとよい。

メールを効果的に使うのもいいだろう。

たとえばある会合を開きたい場合、日時、場所などを一斉メールで関係者に送付する。

そのあとで、確認の電話などを入れる“念押し”をやって、一人ずつの都合を押さえていくのである。

これは、幹事などをやる場合の鉄則だ。

また、緊急のアクシデントに対応するときも、「このクレーム処理を頼みたいんだが、今動けますか?」 という一声をかけるようにしよう。

発注側に立っていると、意外とこういう気配りができない。

つい「上から目線」になり、「やらせる」感覚になるのだ。

ビジネスは多くの人の協力があって初めて成立する。

段取りも同じである。

3 「一〇分前」の段取りが気持ちの余裕を生む

■余裕を持って事に当たる

今までさまざまな業界でたくさんの仕事をしてきたが、余裕のない人の仕事はいつもトラブルが多く、また、成果も少なかったように思う。

とにかく心に“ゆとり”がないのだ。

何かで予定通りに仕事が進まなくなると精神的にすぐにパニックになる。

あるいは“不機嫌”になってしまう。

私も段取りをおろそかにしていたときは、このパターンを繰り返していた。

そういう人と一緒に仕事をするときは、巻き込まれて被害を受けることがあるので前もって注意しておく必要がある。

それとは逆に、余裕のある人の段取りの立て方、仕事の区切りのつけ方は見ていて気持ちよい。

知人に、会社でどうしても終わらない仕事があると帰る途中のカフェである程度まで仕上げて、気持ちをすっきりさせてから帰宅する人がいる。

そうすることで、たとえ家に帰る時間が遅くなったとしても「これで明日は大丈夫」という気持ちの余裕が持てるのだそうだ。

その結果、深夜に家に帰って睡眠時間が短くてもぐっすり眠れて、次の日は朝から気持ちよく次のステップへと進んでいける。

つまり、どこかで区切りをつけることで、気持ちに余裕が生まれるのだ。

■雑で曖昧な人は段取りが立てられない

余裕のない人のパターンは二つに分かれる。一つは、「雑」ということ。これは先を見通して、ざっくり、大まかに見るということではなく、単に大雑把なのだ。

こういう人は何かアクシデントが起こったとき、慌てる。余裕がないということを通り越して、パニックになり、ヒステリックにもなる。

もう一つのパターンは、常に「曖昧」にしている人。

スケジュールや計画立てなど、何かを選択するときに、「いいとは思うんだけど……、考えてみようか?」などと曖昧で、かつ決断を先送りにする。

こういう人も、納期や締め切りがギリギリになって、余裕をなくしてしまう状態に陥るパターンだ。

では、余裕を持って事に当たるためにはどうすればいいのか考えてみよう。

仕事は焦ると失敗やミスが発生する。

平常心でないときには、自分の持っている思考能力やスキルも低下する。

そこで、少し早めの行動を心がけよう。

待ち合わせ時間ギリギリに行く人は、ちょっとしたことでその時間に間に合わなかったりする。

電車が事故で遅れる。

エレベーターが満員で乗れない。

いつも通っていた駅のコンコースが工事中で迂回しなくてはならない……そうなると、「遅れてしまう」という気持ちになる。

つまり“焦る”ということだ。

焦るとミスも多くなる。

気持ちの余裕がなくなり、思考能力も低下するのだ。

結果、さらに待ち合わせ時間に遅れてしまう。

私は、待ち合わせ時間には、一〇分か一五分前には着くようにしている。

約束の場所が喫茶店なら、事前に打ち合わせ内容の整理と確認をする。

先方の会社に伺うときも、近くの喫茶店などで最終確認をする。

この一〇分、一五分が大事なのだ。

いわゆる“すき間時間”を自らつくり出しているわけである。

■平常心で段取りよく仕事をするためのポイントは?

いい段取りは、気持ちの余裕を生む。

平常心で仕事をするために、段取りはある。

具体的にどのようにすればいいかを、以下にまとめてみた。

早めの行動を心がける 予定やスケジュールより、一〇分から一五分(出張など、場合によっては三〇分から一時間)早めの時間で移動時間を組む 何かの行動の前に深呼吸し、落ち着いてから行動を起こす 予定表やスケジュール表を常に見て、行動する癖をつける 気持ちや心のスイッチの切り替えができる方法を用意しておく(音楽を聴く、飲み物を飲む、トイレに行って顔を洗う、など) これ以外にもいろいろあると思うが、“余裕”を持つためには、手順を決めておくことだ。

スポーツ選手にも、試合前には必ず同じような手順でユニフォームを身につける人がいる。

それと同じことである。

そうすることで集中力も生まれるのだ。

4 後工程を常に考えて段取りを立てる

■今の仕事が全体の流れの中でどこにあるかを知る

仕事には、始まりと終わりがある。

営業マンなどで、後工程のことも考えずに納期の決まった仕事をバンバン取ってくる人がいる。

また、後工程のことを考えずに生産計画を立てる生産ラインの責任者もいる。

もちろん、後工程のことをしっかり把握していて、何とか工程を組み替えたり工夫することでこなせる作業量を持ってくるのなら問題ない。

仕事は最終工程まで考えて受注するのが基本である。

段取りも、後工程を考慮して立てる。

しかし考慮のない場合、満足のいかない商品を出荷したり納期がずれ込んだりして、結果的にスケジュール通り仕事が終わらなかったりする。

「現状知ってるの?」「ちゃんと確認してから仕事受けてきてよ」 と、後工程の人たちの不満や反発などが積み重なると、「あの人は段取りが悪い」ということになり、みんなから相手にされなくなってしまう。

関わっている仕事には、必ず前の工程と後の工程がある。

自分の仕事は、駅伝のタスキのように自分の受け持つ区間で役割を果たして、次の工程に渡さなくてはならない。

たとえ自分一人で仕事をしている場合でも、今やっている仕事が全体の流れの中で、どのあたりに位置するか──という工程管理をしておかないと、どこかで破綻がくる。

■“次”の工程のことも考えて段取りを立てる

自分の工程で予定していた以上の時間がかかれば、結果として全工程で遅れてしまう。

そうならないためにも、自分の仕事を俯瞰して見るようにするといい。

それができないと、仕事は期限までに終わらない。

たとえば、発売時期が遅れるというようなことになるだろう。

仕事が納期に間に合わないということは、その仕事の段取りは失敗したということでもある。

ビジネスの世界では、「少し遅れました、すみません」と謝っても済まされない。

違約金などのペナルティも覚悟しなければならない。

何より信用を失ってしまうだろう。

段取りを立てて納期までに仕事を仕上げるということは、すべてこの、「時間を守る」という基本を守るためにあると言ってもいい。

「自分は役割を果たしたから、あとはよろしく」 ということではなく、自分のあとの工程にも気を配り、いつ仕事を渡せるかなどを事前に伝えたりする必要がある。

社内だけでなく関係業者に対しても、「どうですか、うまく進んでいますか。

納期まであと少し、がんばってください」 と声かけをする。

また、自分の作業が遅れて次の工程に渡す期限を過ぎてしまいそうなときは、それを早めに伝える。

そうすることで相手も段取りを組み直すことができる。

これは、早く仕上がったときでも同じことが言える。

早く終わったときも速やかに伝えることで、仕事は予定より早く仕上がる。

しかし伝達ができていないと「空き時間」ができてしまう。

仕事とは、完結するまでのすべての工程が滞りなく進むよう、気を配らなくてはならないのだ。

段取りと気配りが密接な関係にあると私が言うのも、そのためである。

私が広告の仕事をしていたとき、依頼されたものを「つくって終わり」「納品すれば仕事が終わった」──ではなく、デザインした雑誌広告やポスターなどを納品したあと、その広告が掲載された雑誌の出版社の関係者に評判を聞きに行くようにしていた。

ポスターであれば、掲示場所などでその注目度を観察した。

当然のことだが、広告された商品の売行きや評判までをクライアントに教えていただいた。

いわゆる追跡調査をしていたのだ。

それはコンサルタント業になった今でも変わらない。

自分が関わった仕事の結果がその後どうなったかを知ることで、自分の仕事の役割も見えてくる。

そうすることで、自分の立ち位置がわかる。

自分がその仕事に、どう関わっているかが見えてくる。

段取りとは、そういうものではないだろうか。

仕事は、自分の分が終わればおしまいということではいけない。

それでは全体が見えず、段取り力も身につかない。

段取り力とは、仕事全体を見渡せる力でもあるからだ。

5 コミュニケーション力が段取り力につながる

■周囲とのコミュニケーションがなければ段取りも立てられない

段取りを立てて、その段取り通りに実行するためには人とのコミュニケーションが不可欠になる。

私はいつも、「仕事は団体戦だ」と言っているのだが、団体で仕事をする以上、互いのコミュニケーションがなければスムーズに運ばない。

その意味で、スタッフとどれだけ協力関係を築けるかも、段取りのポイントになる。

自分の担当する業務をどうやって効率的に進めるか──これはもちろん大切だ。

そのために段取りがある。

しかしそれと同じぐらい、周囲のスタッフや関係者に対してのコミュニケーションにも細心の注意を払うべきだろう。

周りがフォローしてくれれば、仕事もスムーズに進む。

コミュニケーション力を向上させるためには、まず「挨拶」である。

できる限り笑顔で、こちらから声をかける。

次に、人の話をまず聞く。

こちらから話を投げるのではなく、先に相手の話を聞く。

それも全身で聞く。

ただ聞くだけでは話が進まないから、話のきっかけづくりのためにもさまざまな話題を用意しておくことも大切だ。

人と接するには「笑顔が肝心」と、よく言われる。

人とのコミュニケーションの練習は、これがポイントと言う人もいるだろう。

しかし、今まで笑顔の練習をしていない人が、突然ぎこちない笑顔で打ち合わせをしても相手は困惑してしまう。

そこでまず笑顔の練習をする。

最初は、親戚の子供や家族などに対して練習をしてみて、今まで話したことがない人に対して自然に笑顔で話せるようになれば、仕事でも実行すればいい。

また、コミュニケーションが苦手な人はまず相づちを打つことと、相手の話を最後まで聞くということから始めよう。

これがコミュニケーションを上達させる基本だ。

そして、最も肝心なのは、決して相手の話をさえぎらないこと。

まず人の話を聞くことが、コミュニケーションの始まりなのである。

■部下や上司、後輩、同僚と協力する気持ちを持つ

少し段取りとは外れるかもしれないが、大切なことなのであえて書いておきたい。

仕事は一人ではできない、と私は何度も書いている。

ということは、たとえば、できる部下がいれば仕事はスムーズに進む。

いい部下を育てるのは、段取りよく仕事を進めるためのステップでもあるのだ。

人を育てるには、コツがある。

それは「褒める」ということを心がけることだ。

「いいところ」を何でもいいから一つ見つけ、それをいつどのような場面で褒めるかを考える。

そして実行してみる。

しかし、いつも褒めてばかりでは褒められるほうも慣れてしまって、嬉しいと感じなくなってくる。

これでは単なるお世辞になりかねない。

自分が褒めたことを相手が受け入れてくれたら、褒めたあとにほんの少しアドバイスをして、成長を手助けしてあげるといい。

たとえば、「こうやるともっといいんじゃない? こういうやり方だって ○ ○さんだったらすぐにできるようになるよ」 ──など。

いきなり、「こうしたほうがいいよ」では相手は身構える。

まず、いいところを褒める。

そのあと意見なりアドバイスを言う。

これは部下を育てるときだけでなく、コミュニケーションの基本中の基本である。

そのためには、日々、コミュニケーションを取る必要がある。

部下の行動をよく見ておかないと、部下が日々の業務の中で、いろいろと努力をしていても気づかない。

自分から「これをやりました。

褒めてください」などと言う人はまずいない。

上司は部下が何を考え、何をしているかを見ておくべきなのだ。

■コミュニケーションは「聞く」ことから始まる

もう少しコミュニケーションについて──。

コミュニケーションを取るとき、業界、業種、役職で対応するという発想を持つといい。

たとえば何かの会やイベント、展示会などといった人の集まりでのコミュニケーションも、どんな人が何の目的で集まっているかによって、対応が変わってくる。

業界や業種、役職によって、使う言葉、着ている服、履いている靴、付けている時計、声の出し方、会話や相づちの打ち方、自己紹介のときのフレーズ、目線や物腰……これらは微妙に違う。

それをよく観察してみる。

業界や業種、役職などが異なれば、コミュニケーションの方法も変えなければならない。

ただしどんなときでも基本は、相手の話を聞くことだ。

世界的企業の人と、仕事の打ち上げで会食したときのことだ。

その人が海外に赴任したときの話や各国の外交官との晩餐会の話、クラシックやオペラの話になると、一般的なサラリーマンの家庭に育った私には、「ついていけない」という話ばかりだったのを覚えている。

そのようなときは、共通話題を探すのではなく、知らないことを好奇心を持っていろいろと質問をするようにした。

そうすることで話が盛り上がって、クライアントは本音を私に話してくれた。

カラオケなんかは絶対歌わないという人だったのだが、二次会では何と“ド演歌”を歌ってくれた。

周囲の人がびっくりして、「すごいですねー、坂戸さん。

いろんな話ができるんですね」 と言うので、「話したんじゃないよ、相手が話したことに対して知りたいことを質問しただけで、僕は何も話してないよ。

面白い話は楽しく聞いていただけで、それ以外は普通にしていたら向こうが楽しい話にシフトしてくれたみたいですね」 と伝えた。

コミュニケーションとは、そういうものではないだろうか。

自分がよく知らないことや、浅い知識で話すことは疲れる。

それよりも、その場の雰囲気や相手の“好み”などに合わせることができれば、どんな業界や役職、階層の人に出会っても臆することなく話せる。

要するに、聞くことによって相手を主人公にするのだ。

気配りとは、相手を主人公にすることかもしれないと思う。

相手を主人公にするためにはシナリオが必要だ。

結果として段取りが必要となるのである。

6 「整理整頓」も段取り力の一つだ

■整理力を、どう身につけるか?

段取り力を上げるためには、まず身の回りのものを片づけるといい。

机の引き出し、カバンの中など、日々の現状を整理することによって、いろいろな気づきが得られるといったメリットがある。

整理することによって探し物もなくなり、段取りよく仕事が進む。

小さなことのようだが、身の回りが片づいていない人は、おおむね段取り力がない。

整然と片づけられた机の上に一枚のメモ用紙が置いてあれば、すぐに目に留まる。

数十枚のメモから一枚のメモを探すより、何もない机の上の一枚のメモを探すほうが簡単に決まっている。

たとえば、自分の机の上に資料や事務処理の書類などが堆積していて、隣の人との境界線にうずたかく、まるで城壁のように積み重なっている情景を思い浮かべていただきたい。

その机に座る人は、果たして気持ちよく仕事ができるだろうか。

静かに段取りを立てようにも、気持ちが乱れるのではないだろうか。

若いときに初めて働いていた会社に、仕事はできるが整理が苦手で、打ち合わせのミニテーブルにも資料を置いていた人がいた。

仕事に対する集中力はすごいのだが、周りへの影響をあまり考えられない。

そのためアシスタントが必要な人だった。

アシスタントがいて仕事をしている人はいいだろう。

しかし、誰もがアシスタントがつくポジションになれるわけではない。

周りが見渡せて、自分の周りの人々の気配、同僚の会話、かかってきた電話など、環境の変化に対応するのが仕事の力である。

周りの環境を敏感に察知できるような状況にしておけば、段取りも立てやすい。

自分が何からどういう順番でやればいいかが、自然と見えてくるからである。

机の上の整理はもとより、職場のレイアウトや整理整頓は、ビジネスにおいて必要不可欠なことだ。

整理整頓ができている人は、頭の中も整理されている。

取り組むべきテーマも見えている。

整理整頓を常に心がけることで、何かに気づく力も研ぎ澄まされていく。

結果的に段取り力も向上するのだ。

自分が立てた段取り通りにいかない状況が発生しているにもかかわらず、そのままにしていては何のための段取りかわからない。

その時々で不具合を修正し、次々と手を打っていくのが段取りである。

■「捨てる基準」を決めてしまおう

整理とは、いらないものを捨てることだ。

つまり、いるものだけを残して、それをすぐに取り出せるようにすることである。

そのためには、まず捨てる基準を決めるといい。

□捨ててしまっても、あとで入手できるもの □同僚のところや会社で保管しているもの □今すぐ必要でないもの □仕事に使わないもの □捨てるかどうか迷ったもの

たとえば、一年以上も使わなかった資料は捨てる、とルールを決めること。

こういった整理の基準やルールを仕事に組み込むことも、自分のための段取りである。

段取りという考えの中に“整理”や“片づけ”という項目を組み込んでおくといい。

どんな仕事でも整理や片づけは必ずついて回る。

その能力は身につけておいて損はない。

整理整頓という力は、段取り力を間違いなく向上させてくれるのだ。

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