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第3章採用編ダイヤの原石を見つける方法

目次

1パート社員の採用でこんなミスをおかしていませんか?

社員「パートのA子さん、今月で辞めたいって言ってきてますよ」

社長「ほんとか?困ったなぁ、忙しいってわかっているのに。責任感がないよな」

社員「そうですね、社長、どうしますか」

社長「どうしたもこうしたも、新しい人を採用しなきゃいけないだろ」

社員「じゃあ、いつものところに記事を載せてもらうようにしますね」

社長「ああ、一番小さい枠でいいから、早く載せてもらうように頼んどけよ」

社員「はい、時間はどうしますか?」

社長「そうだなぁ、今、忙しいから、9時5時で出しといて」

社員「はい、じゃあ頼んでおきます」

就職情報誌に記事を載せたものの問い合わせが少なく、面接をしてもいい人がいないということでパートさんが辞めたあとも結局補充ができていない。また、とりあえず面接に来た人の中で採用したものの、期待どおりの仕事をしてくれない。このようなことを私たちはよく耳にしています。

このように、安易に採用を考えていると、「いい人」が取れるということは本当にまれで、偶然を頼ることになってしまいます。

「おたくは、いい人を採用できて、うらやましい限りだね」とよく言われます。でも、いい人を採用できるようになるまでには、私たちもたくさんの失敗をしてきました。

だからこそ強調して言いたいのですが、採用はとても重要です。当社では採用を慎重に行っています。また採用の場というのは、経営者の思いを伝える場だと捉えています。どんな人に来てもらいたいのか。どんなことを期待するのか。こちらの思いに賛同してくれる人を採用しなければなりません。

この根本が違う人を採用してしまうと、採用してからが大変です。採用してから、根本の部分を相手に変えてもらおうとしてもなかなかうまくいかず、とても苦労するうえ、時間もかかってしまいます。

10数年にわたってパート社員の教育を行ってきましたが、根本的に考え方が違う人に会社の業務を理解してもらい、協力してもらうことは難しいのです。

採用の段階では、まず、こちらの思いに賛同してくれる人を採用しなければなりません。では、これから、長年パート社員の採用に携わる中で感じていることをお話します。

2なぜ未経験者を選ぶのか?

採用面接で、パート社員を希望する人の話を伺うと、自分の都合が聞き入れてもらえれば働きたいと考えてはいるものの、現実には条件が合わずに二の足を踏んでいる人が多いと感じます。

「以前から働きたいと考えていましたが、今日ようやく決心して面接にうかがいました」と話す人が多いのです。今、私たちの会社で働いているパート社員の前職は、バラエティーに富んでいます。

事務、秘書、栄養士、営業、専門学校講師、金融機関、住宅会社、歯科助手、教員、保母、CADオペレーターなど、以前の職場で十分に経験を積み、活躍していた人たちです。

前職で実績を上げていたけれども、結婚や出産、夫の転勤等で家庭に入り、また機会があれば働きたいと考えている人はたくさんいます。

この人たちがどうすれば、ビジネスの場に再び足を踏み入れることができるのかを考える必要があります。私たちは、募集をかけるときに会計の実務経験は問いません。

むしろ未経験者を選ぶ傾向にあります。その理由は、経験があることにより、以前のやり方にこだわり、新しいやり方を受け入れにくいケースがあるからです。

今まで、即戦力を求めて経験者を採用し、その結果、実務はこなすけれども、トップの意向を受け入れることができずに辞めていくということを何回か経験しました。

このようなことを通じて、スキルよりも会社の方針にどれだけ共感し、協力してやっていくことができるか、ここが一番大事だと気付いたのです。

今では、未経験でもやる気のある人を採用し、入社後、育てていくという方針をとっています。パート社員と一口に言っても、それぞれの経験を通じていろんな人がいます。

以下に、私たちがパート社員と接した中で感じた、大まかな傾向を紹介します。

●大企業にいた人は、基本的なトレーニングを受けているので、組織の中での役割行動が身についている人が多い。ルールを守り、上下関係などしっかりけじめをつけることができる。ミスが少なく安心感がある。

●中小企業にいた人は、任されていた仕事の守備範囲が広いので、臨機応変な対応ができる。発想が柔軟で、すぐ行動に移すことができる。自分で思っている以上に能力が高い人が多い。これらは、あくまでもひとつの傾向ですが、それぞれの環境で働いていたメリットがあります。採用の際には、主婦というカテゴリーでひとくくりにせず、先入観を持たずに本人の資質を正確に見ることが大切だと考えます。

3採用スケジュール・年間予算・1人を採用するのにかかる金額

私たちは、年間を通じて募集をかけているので、履歴書が到着すると、次の図のような採用面接スケジュールを組んでいます。

応募者の履歴書は、郵便またはメールで届くので、迅速に対応するようにしています。採用に関して、当社では、人員が不足しているので採用をかけるということは、やっていません。正社員・パート社員とも、「いい人がいたら採用する」を原則として、年間を通じて採用をかけています。

そのため、事業計画の作成時に、採用の年間予算を組んでいます。同時に、募集記事の年間スケジュールを決めます。地元に求人誌が3誌ありますが、3誌同時に募集記事を出す時期と、1誌のみに出す時期、2誌に出す時期というように計画を立てます。

以前、必要に迫られて募集をかけたこともありましたが、結局1人も採用できなかったことがあります。採用は、思いつきでやってもうまくいかないということを実感しています。

ちなみに、昨年私たちがパート社員1名を採用するのにかかった金額は、約20万円強です。確かにコストはかかりますが、パート社員の平均勤続年数は4年6カ月で、確実に収益を上げ、会社に貢献してくれるので、採用などにかかる資本の投下は必要と判断しています。

4応募したいと手を挙げてもらうには

「いい人がいたら採用したい」これは、どこの会社の採用担当者でも口にする言葉です。とはいえ、ただ待っていても「いい人」は会社にきません。なるべくたくさんの人に、この会社で働きたい、と手を挙げてもらいたいものです。

なぜならば、その中から「いい人」を選んでいきたいからです。では、どうすれば手を挙げてもらえるのでしょうか。そこで注目したいのが、パートで働く理由です。

『平成18年度版パートタイマー白書』によると、主婦がパートという働き方を選んだ理由は、1位家事や育児と仕事の両立を図りたいから(64・4%)2位自分の都合のよい時間や曜日に働きたいから(57%)3位扶養の範囲内で働きたいから(40・4%)となっています。

つまり、募集側は応募したいと手を挙げてもらうために、これらの理由を満たさなければならないのです。

当社の募集記事には、「あなたの生活に合わせて始めてください」「社会との接点を持つチャンスです」「子供の病気・行事等につきましては優先いただいて結構です」と明記します。

時間については、「9時から17時の中でお好きな5時間」、勤務日は、「週4日または5日で自己申告」としており、扶養の範囲内で働いてもらいます。

主婦のパート社員は、働くためにはいくつかの条件をクリアしなければなりません。私たちは、たくさんのパート社員と一緒に仕事をする中で、主婦にとっては1日5時間という時間が、仕事と家庭を両立するための最適な時間と判断しています。

募集段階では、どうすれば彼女たちが働きやすいのかを考え、それを彼女たちへわかりやすくアピールしていくことが重要です。もっと詳しく見ていきましょう。

5いつ、どの媒体を選んだらいいか

これは当社のデータですが、皆さんの会社と共通するところも多いはずです。①応募の多い時期応募者が多いのは、基本的に長期の休み前後です。

●春休み前後

●ゴールデンウイーク前後

●夏休み前後

●冬休み前後

今までの経験から、このように子供の休みの前後に多いのが特徴です。その理由として、子供が小学校の高学年になると、子供の休みに合わせてパートに出ようとする人がいます。子供が低学年では、子供が学校に行っている時間帯にパートに出ようという人がいます。

パート社員は、子供の入学などの家庭内の変化によって、働きに出ようという傾向があるのです。家庭から社会(職場)にもどるには、何か大きなきっかけが必要です。

そういうものに後押ししてもらわないと、なかなか決断しづらいのが現状です。

②募集媒体

求人募集の手段ですが、地方都市では、地域の求人情報誌に記事を掲載するのが安くて活用しやすいと思います。多少の金額差はありますが、2分の1ページのスペースをとっても、4~5万円です(次図参照)。

大量に採用したいときには、新聞の折り込みチラシも有効です。資金に余裕があるときには、新聞の求人欄にも載せるとよいでしょう。また、職業安定所にも忘れずに募集をかけておくなど、できるだけ多くの媒体を活用することが望ましいのです。

これらの募集媒体に、時期を集中して出すと人は集まります。職を探している人は真剣ですから、目に触れる機会が多いと、この会社は真剣に人を募集している、今人手がなくて困っているんだ、今だと採用の基準が低くなっているのではないか、などと思います。

面接を受ける側の、心理的なハードルが低くなるのです。まずは、自分でも選んでもらえるのでは、と思ってもらうことが大事です。ちなみに、募集をかけるときは、地方の求人誌3誌に同時に掲載します。経費としては1回15万円、1カ月で30万円です。

これで優秀なパート社員1~2人を採用できたら、十分に元が取れる有効な投資です。というのも、採用したものの期待どおりの仕事をしてくれず、そういう人が半年や1年で辞めていくということが、多くなってきているからです。

最近のパート社員の勤続年数の短さなどを考えれば、採用にかける費用は年間予算を確保し、適切に採用して、指導するということが大切になります。

③募集記事の書き方

募集広告を出すときは必ず、募集記事に社長の求人に対する思いや考えを入れてください。情報誌の担当者に希望だけ伝えて作ってもらうと、他の募集記事に埋没してしまって目立ちません。一度情報誌を見てください。

会社名と処遇が違うだけの、似たような募集記事がほとんどです。こういう人に来てもらいたい、という「思い」をしっかり作ると、相手にも伝わります。採用する側が自分の言葉で語りかけているものかそうでないのかは、真剣に職を探している人には敏感に伝わるのです。

上手に書けなくても、まず自分の言葉で、どういう人に来てもらいたいかを書き出すことをおすすめします。よく募集記事で見かけるような、「やる気のある方求む」や「業界経験者優遇」では、職探しをしている人に伝わりません。より具体的なメッセージを伝える必要があります。

●例えばこんな経験を活かしてほしい

●まず最初に着手してほしいこと

●あなたに解決してほしいこと

●あなたに約束される待遇と将来

●あなたの職場とメンバーを紹介します

●あなたはこんな知識や技術が身につきます

経営者の頭の中にイメージとしてあるものを言葉にし、それを募集記事へなるべく具体的に盛り込むことが必要です。

また、記事では夢を語ることも大事です。夢、つまり会社の方向性や未来、ビジョンなどのことです。それを踏まえたうえでどんな人に来てもらいたいのか、そして、この会社で働くことによって何を得られるのかを伝えていただきたいのです。

求人誌を見ると、会社側の都合ばかりを書いている募集記事がほとんどです。これでは夢がないのです。その仕事をすることでどのように成長できるのか、どんなことを身につけることができるのかを、ぜひ盛り込んでみてください。募集記事にこれらのことを盛り込むには、ある程度の大きさが必要です。

小さな枠では、伝えたいことが伝えられません。情報をきちんと載せられる大きさの広告にしてください。私たちの募集記事の一番の特徴は、パート社員が働く上でネックになりがちな子育てのことを、次のように呼びかけています。

「子供の病気・行事等につきましては優先いただいて結構です」この一文は、とても効果があり、重要です。実際に、働いているお母さんから、参観会や学校の行事に参加するとき、職場で肩身が狭いという話をよく聞きます。

このように募集をかけると、安心して仕事ができるという理由で、たくさんの人が面接に応募してきます。「こんなことを明言すると、仕事に支障があるのでは?」と思うかもしれません。

しかし、私たちの会社は、保育園や小学校に通っている子供がいるパート社員ばかりです。そういうパート社員は、子供のことを優先させても、同じ立場のパート社員同士でカバーし合ったり、仕事を前倒しにして進めたりと工夫するので、仕事への支障はほとんどありません。働く側の都合を考慮していくということは、優秀なパート社員を採用するために避けては通れないことなのです。

「こうすれば働けるのに」といった問題を解決している企業に、優秀な人材は集まるからです。さらに、募集記事を読んだ人が、応募しやすくする工夫も必要です。「お気軽にお電話ください」という一文をよく目にしますが、実際にお気軽に電話する人は皆無だと思います。

当たり前のことですが、電話をかけやすくするために、受付時間や担当者名を書いておくことが大変重要です。読みにくい苗字でしたら、カタカナで明記しておくといいでしょう。担当者や時間帯がわかっていると、「○○を見てお電話したのですが、担当の○○様をお願いいたします」とスムーズに電話できます。

しかし、明記していない場合は、担当者は誰だろうとか、今、電話して担当者はいるのかな、などと心理的な負担が生じてきます。このような余計な心理的負担を取り除くためにも、受付時間や担当者名は明記しておく必要があります。

④問い合わせの電話で期待値を上げる

当社では、採用の受付窓口は私たちパート社員が担当しており、日によって5~6本の問い合わせの電話を受けます。この問い合わせの電話への対応も大変重要です。というのも、かけてくる相手も何社かに問い合わせの電話をしているので、この会社の対応はどうだろう、テキパキしているか、感じはいいかなどをよく見て(聞いて)いるのです。

電話で好印象を与えるために、私たちはよく聞かれる質問に対して、次のようなマニュアルを作っています。

Q資格を持っていません。未経験でも大丈夫ですか。

Aはい、他業種からの経験のない人が大半です。一番大事なことは、ご本人がどれだけがんばることができるかだと思います。研修期間等もあり、こちらからの指導もありますが、ご本人のやる気と努力が最も重要だと思います。

Q監査スタッフの仕事の内容を教えてください。

A監査スタッフは研修のあと、担当顧問先を持ちます。その顧問先の毎月の会計監査を行います。また年間を通して、決算・年末調整・確定申告などを責任を持って担当しています。

Q面接日はいつになりますか。

Aまず、履歴書をお送りください。履歴書が届き次第、書類選考をいたします。そのあと、面接日をご連絡させていただきます。面接日は、基本的に土曜か日曜の午前9時からとなっております。

Q時間はどれくらいかかりますか。

A午前中いっぱいかかります。まず応募者全体に対しての説明をしたあと、個人面接と試験に移ります。試験の内容は一般常識・性格診断・職業適性です。

Qそちらの場所を教えてください。

A中央警察署がおわかりになりますか(誰でもわかる目印になる建物を示す)。中央警察署の前の高林バイパスを北に向かいます。中央警察署を過ぎてから、2つ目の信号を左折してください。そのまま200メートルほど進んだ左手の3階建ての建物が弊社になります。看板が出ておりますので、おわかりになると思います。お気をつけて、お越しください。

これらのマニュアルを作っておくと、担当者が不在の場合でも対応が可能です。例えば、「申し訳ございません。あいにくAは外出しております。私、Bと申しますが、代わってご用件をお伺いいたします」と対応することができます。

先ほど、応募者は応募する会社をよく見て(聞いて)いると言いましたが、私たちも応募者をよく見ています。電話での問い合わせで、返事が「ふん、ふん」という人や反応や相づちが全くない人がいます。

また、質問に答えているこちらの話が終わらないうちに、次の質問をしてくる人、仕事の中身よりも、休みなどの処遇を必要以上に気にする人、「私でも大丈夫でしょうか」と聞く人……。今まで、多くの問い合わせの電話を受けてきましたが、最初に「おや?」と違和感を持った人は、そのあとに面接と試験を受けてもらっても、ほぼ不採用になっています。

6一次面接……いい人を採用するためのステップ・バイ・ステップ

一次面接の目的は、二次面接に進む人を見極めることです。面接というのは、「こちらも選ぶが、あなたも会社を選ぶ。立場としては、フィフティ・フィフティである」というのが大前提です。

一次面接は毎回、土曜日か日曜日の午前中を使って行います。あらかじめ面接日を3日ほど決めておき、応募者へ一番近い日程から知らせて調整をします。面接日を土日の午前中に設定している理由は、

●一度にまとまった人数で面接を行うほうがメリットが大きい

●平日の昼間に個別に面接を行っていると、担当者の日常業務に支障が生じる

●応募者の中には働いている人もいるので、土日のほうが都合がいい

というケースが多いなどの理由があるからです。

まとめて面接を行うメリットは、大勢の中からこちらの希望にマッチした人を選ぶことができるということと、採用になった人が、「あれだけの人数の中から私は選ばれた」という意識を持つことができ、モチベーション・アップにつながる点にあります。

また、一次面接は私たちの上司が担当しており、経営トップではありません。最初から経営者が面接をすると時間のロスが大きいので、まずは、採用担当者が面接を行います。

①情報提供一次面接は、各回の面接につき、5~10名ほどのまとまった人数になります。午前9時に応募者に来てもらい、最初は担当者から情報提供します。ここでは、どのように働いてもらいたいかを以下のように、こちらからの期待、思いをしっかりと伝えます。

当社の採用に応募していただきまして、ありがとうございます。それでは早速、本日のスケジュールと採用の今後の予定について、お話をさせていただきます。本日のスケジュールは、このあと30分ほど当社からの情報提供をいたします。

その後、試験を行いますが、12時30分までの終了を目安に行ってください。その間、個人面接を行います。時間は約15分ほどかかります。1人ずつ呼びに参りますので、ご協力をお願いいたします。

個人面接と試験が終了しましたら、そのまま用紙を伏せて、本日はお帰りください。試験の結果は、専門機関から水曜日か木曜日くらいまでに私の手元に届きます。

そこで判断し、今回見送る方につきましては、履歴書をご返送いたします。試験の結果が基準をクリアしていましたら、二次面接という形で進めさせていただきます。

二次面接の方は、また来週の土曜日か日曜日に、面接をさせていただくことになります。二次面接は個人面接になりますので、都合の悪い方は遠慮なく申し出てください。

スケジュール調整は、責任をもってこちらでやります。二次面接のあと、2、3日で最終結論を出します。一次面接から最終結果が出るまでに10日間位かかりますので、ご協力をお願いいたします。

さて、それでは当社のことについて話をしてまいります。まず、当社の雇用形態は、パート社員、準社員、正社員と3つあります。

パート社員は雇用保険に入っていますが、社会保険には入っていません。

1日5時間勤務で、週4日稼動の方と週5日稼動の方と二通り募集をかけております。

週4日稼動の方は時給900円、週5日稼動の方は時給850円になっております。

この違いの理由は、今現在、市の託児所の基準で週5日、1日5時間以上の勤務でないと子供を預かってくれないという現状があります。そういう事情により、週4日または週5日を選んでもらうということで二通り用意をしてあります。

当社のパート社員は、103万円の扶養の範囲内で働いてもらうことを前提にしており、残業を一切禁止しております。さきほどの時給の違いは、扶養の範囲内でというところから発生しております。

というのも、週5日で時給900円にすると103万円の扶養の範疇を超えてしまうため、850円という時給で調整をしております。どちらを選ぶかは、皆様のご家庭の事情次第です。

ちなみに、当社のパート社員の8割は週4日、1日5時間稼動で働いております。また、後ほど行います個人面接の時点で、1日5時間のうち働きたい時間帯を確認させていただきます。

さらに、週4日の方については、働きたい曜日を確認させていただきます。募集記事にもうたっておりますが、当社のパート社員は「家庭第一優先」です。

具体的に説明しますと、学校の行事、または、お子さんの病気等で休むということに関しては、そちらを優先してくださいということです。

パート社員の方の仕事については、「家庭第一優先」に働いてもらうために考慮しており、今いる40名のパート社員も何のトラブルもなく働いております。

ただし、会社に出社後は対応が違います。私どもの会社は、仕事の領域と仕事の責任というものをパート社員、準社員、正社員で分けて考えておりません。これはもう全く同じ扱いをしております。

当社の考え方として、パート社員は働く時間帯が違う従業員というかたちで捉えております。具体的に総務・経理の例を出しますと、会計事務所の総務・経理は準社員1名、パート社員2名で担当しています。

正社員は配置しておりません。入社手続き、退社手続きなどのほか、総務と庶務の仕事全般を行っております。当然決算書の作成から事業計画の作成も行い、大企業の総務・経理の業務と、ほぼ同じことをやってもらっております。

中小企業ですので、処理の数が少ない、人員の数が少ないというだけで、発生する案件は同じです。そういう中でスムーズに業務を進めております。

皆様の中にはパート社員ということで、仕事の補助・サポートというイメージをして応募をされている方がいらっしゃるかもしれません。当社は、そういう意味では、正社員と全く同じ扱いをしていますので、補助もしくはサポートという感覚で応募されているのであれば、もし採用になっても勤まらない会社です。

採用後から研修がスタートしますが、将来的にも勉強し、仕事のスキルを高めていくという努力がなされないと、なかなか勤まらない職場です。逆の言い方をすれば、ここで働くと仕事の能力とスキルを高めることができます。そこのところを十二分にご理解ください。

次に、準社員についてお話しましょう。準社員につきましては外部からの募集をかけておりません。しかし、皆様には関係がありますので、簡単に説明することにいたします。

準社員につきましては、雇用保険・社会保険に加入していただきます。こちらの処遇ですが、収入の上限というものは取り払われ、働く時間帯も、朝9時から夕方5時までの1日7時間勤務になります。

ボーナスも年2・5カ月分支払われます。働くスタンスとしては、仕事と家庭の両立ということを目指しています。準社員は休みを取る場合、事前に有給休暇届けを提出し、休暇を取ることになっています。

ちなみに、準社員には、知識力を高め向上しようという気持ちを持ち、戦力として付加価値を高められる方を求めております。社内においては、準社員を希望する人もいますし、扶養の範囲内で働いていきたいという人もいます。

いずれにしても、本人の選択と会社の期待の中で、準社員の登用は考えております。以上、パート社員と準社員について説明してまいりましたが、皆様自身がここで働きたいということであれば、今から試験を行いますので、真剣に取り組んでください。

もし、ご自分のイメージと違うということであれば、このあとに時間をとりますので、このままお引取りいただいてかまいません。休憩を取りますので、もう一度、この会社で働きたいのか、そうでないのかを真剣に考えてみてください。以上のように、ここでは会社の雇用形態に関する情報をすべて伝えるように心がけています。

採用になったあとで、聞いた話と違うというトラブルがないように注意しています。説明後、チャレンジしようと思う人だけ残ってもらい、そうでない人は帰ってもらいます。これはお互いに求めるものが違うので、時間を無駄にしないためにも促していることです。

今までの経験では、ここで約1割の人が帰ります。この説明の冒頭に、面接というのはこちらも選ぶが、あなたも会社を選ぶ。立場としてはフィフティ・フィフティだと書きました。言葉を替えれば、フィフティ・フィフティとは自分でどうするか選択をすることです。

自分で選択することには責任が伴います。そして、それは主体性につながります。まずはパート社員が自ら働く場を自分で選ぶこと。これは簡単なことのように見えますが、とても重要なことなのです。次に、残った人に試験を受けてもらいながら、1対1の個人面接を順番に行っています。

②試験

試験は学校法人産業能率大学総合研究所の『新人適性総合テスト』を使用しています。テスト内容は基礎能力・性格特性・職務関心の3側面から構成されています。費用は1人当たり4200円(税込み)です。

月曜日に試験を送ると、木曜日にFAXで結果が送られてきます。試験中、私たちは、試験の内容を説明したあと、マークシート方式の試験に取りかかる手際の善し悪しなども見ています。試験をする最大の目的は、面接のときのイメージと試験結果のすり合わせをするためです。

試験の結果が出てくると、面接時の印象と試験結果の差異に注目します。差異がなく、点数が基準ラインをクリアできていたら二次面接に進みます。しかし、差異がある場合には、面接時の印象を優先しながら、その差異を確認します。今までの経験上、差異が感じられないというのは約65%ほどで、残りの35%は差異を感じています。

③1対1の面接

個人面接は、1人当たり15分ほど時間をとって行います。まず、履歴書では字が丁寧で自信のある字か、また、写真も応募にふさわしい写真かを見ます。応募者に質問したいことがたくさんあるかもしれませんが、質問内容も書けるものと、口頭で聞いたほうがいいものに分けられると思います。書けるものに関しては、次のようなシートにまとめてもらっています。

口頭で質問することは、前の会社を辞めた経緯などです。結婚や出産、またはご主人の転勤などの理由や、次の目的があって辞めたというのであれば問題ありません。

しかし、辞めた理由が、人間関係や会社や上司に不満があってということであれば、注意が必要です。その理由が、常識的にみて正当なものであればいいのですが、往々にして本人の思い込みによる不平不満になっていることがあるからです。

そういう人を採用してしまうと、また同じような理由で不平不満を持ち、困ったパート社員になる恐れがあります。

ここでは、その人自身が未解決の問題を抱えているかどうかを確認します。また、当社で働きたいと思った理由を聞き、当社の基準で働くことの確認をします。会計事務所はどちらかといえば、裏方的な仕事です。特に前職が華やかな業界にいた方には、どのように考えて応募してきたのかをお聞きします。

面接の最初に、「全体説明を聞いて何か質問はありませんか?」と聞き、最後には、「他に質問はありませんか?」と聞きます。最後に念押しして確認することで、あとから聞いておけばよかったという不満を残させないようにしています。

そのほか、面接では服装、言葉づかい、立ち居振る舞いなどの第一印象を見ることはもちろん、理解力や要点把握力などの基本的な能力も判断していきます。これは会話の中で判断します。面接の印象と試験の結果で採否を決め、次にトップとの二次面接を行います。

7二次面接……「いいと思って即採用」がまずい理由

二次面接はトップが面接します。ここでは、一次試験を通過した人たちに対して、当社で働く意思の確認と、当社でどのように働いて貢献してくれるのか、次の4点を個々に確認するようにしています。

①プラス思考でいてほしいということ

二次面接で応募者に最初にお願いし、確認していることは「プラス思考でいてほしい」ということです。物事は二面性を持っています。例えば、指示を出されたときに「よし、やってみよう」と思う人もいれば、「難しそう、やりたくないな」と思う人もいます。

出された指示は同じものであるにもかかわらず、指示を受ける人の気持ちの持ちようで、いろいろな受け止められ方があるからです。

経営者の考え方や会社の方針について伝えたときに、「そんなの無理だよ」「やりたくない」では通りません。会社の方針は十分に検討された上で出されることですので、素直に受け入れて取り組もうという気持ちを持ってもらえる人でなければ困ります。

②この組織を少しでも良くしようという気持ちを持ってほしい

組織をかたち作っていくのは、私たち一人ひとりであるということを伝えています。「誰かがやってくれるだろう」とか「私はパートだから関係ない」ではなく、組織を良くするために、「私はどのようにしたらいいか」という当事者意識を持って働いてもらいたいからです。

③休みの調整

わが社では、「子供の病気・行事等につきましては優先いただいて結構です」と明言しており、実際に休んでもらっています。ただし、週4日勤務を希望している人には、休みを取った場合、本来休みに当たる日に出社するなどの配慮をして、できるだけ仕事に支障がないように協力をしてほしいとお願いしています。

④車の運転について

現在、当社では、従業員全員が車通勤で、自分の車を使って顧客先や役所などへ行っています。そこで、次のような質問をしています。

「『静岡市まで資料を届けに、高速道路を使って行ってほしい』と言われたら、行くことができますか?」ここで「はい」と即答する人は、2人に1人です。

5人に1人は「高速道路で運転したことがないので……」「主人が行ってはいけないと言うと思います……」と答えます。高速道路を使って遠方に行ってもらうということは、実際にはまれなのですが、最初に確認をしておかないと、「そんなことは聞いてなかった」とトラブルのもとになります。

また、この質問はパート社員独特のもので、正社員には聞いていません。それは、なぜでしょうか。正社員は高速の運転をして当たり前だからです。それがなぜパート社員だと無理なのでしょうか。やればできますし、この会社に入って高速道路を走れるようになったというスタッフもいます。

高速道路を運転できるというのもスキルのひとつです。このことは、仕事に対する意識を変えてもらうためにも、必ず質問していることなのです。このように最後の面接で具体的に期待することを伝え、最終判断を行います。

ここまでに10日ほど時間をかけて採用面接を行っています。「面接したら感じが良かったんで、明日から来てくれってことになったんだけれど、働き始めたら問題が多くて困っている。面接だけじゃ、わかんないもんだね」皆さんはこのような経験はないでしょうか。

「面接後即採用」には大きなリスクがあります。2回面接を行い、2人の目から応募者を見るということで、採用ミスを少なくすることはできます。

やはり、1人だけの判断だと偏りが出てしまいます。また、面接の回数が1回だけだと、どうしてもその中で一番いい人を選ぼうとしてしまいます。採用の判断基準はあくまでも会社の求めている期待水準であり、集団の中で最も優秀な人ではないのです。

この点を明確にしておかないと、「今回は採用しない」という選択ができなくなるので要注意です。

このように、一次面接・試験・二次面接を通じて、2人の目と試験のふるいにかけ、最終評価を下します。そして、実際に採用になるのは応募者の1割弱です。

弊社のパート社員にアンケートを取ったところ、採用された時の心境を次のように書いていました。

●他にも何件か就職の説明会(面接)に行っていましたが、一番厳しかったように思います。入社後の心得などをきちんと説明してもらいました。

●体制が整っていることを感じ、安心した部分もありましたが、自分に勤まるだろうかと不安に思ったことも事実です。仕事面(時間管理も含めて)で、自己管理が重要な会社だと感じました。

●初めに「社員もパートも責任の重さは同じ。パートという甘えはない」と聞かされ、求めている人材がすぐにわかりました。採用されたならば、自分の能力を試してみたいと思いました。

●業務の大変さや心構えを聞き、厳しそうな会社だと思いました。少しびっくりしましたが、覚悟を決めるにあたり、良いお話だったと思いました。

●パートの採用でも、まるで社員を採用するかのように、会社や会社の求める人材を詳しく説明してもらいました。この時点で、中途半端な気持ちではやっていけない感じがしました。

●「やる気がなくなった人は帰ってもいいです」と言われ、びっくりしましたが、最後までがんばろうと思いました。採用に関しては、毎回同じことの繰り返しなので、一度仕組みとして作っておけば、あとは細かな変更だけですみます。

中小企業の採用担当者は、ほかの業務も兼務しており、忙しいのが現状です。そこで、年度初めに年間スケジュールの中で、おおまかに採用プランを作って、予算を組んでおくと、いざ採用というときにもあわてずにすみます。

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