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第3章営業・接客・面接・会議・プレゼン……での声と話し方

目次

営業・就活での声と話し方の基本1商談・プレゼン・面接……ビジネスでも大切なのは声

あなたは商談やプレゼンに臨むとき、いつもどんなことに注意を払っていますか。

どの順番で何から話そうか?お客様にどの商品(サービス)をお勧めしようか?商品(サービス)をPRするうえで、一番強調しなければいけない点は何か?おそらく、そういったことに意識が向いていると思います。

では、就活で面接に挑む人はどうでしょう。

「こんな質問をされたら、こう返答しよう」といったようなことで頭を張りめぐらせると思います。身だしなみも大切ですよね。ネクタイは曲がっていないか、スーツは汚れていないか、髪の毛は乱れていないか……。

こういったチェックにも余念がないのではないでしょうか。

しかし、あなたは「大切な何か」を忘れてはいませんか?それは、この本のテーマである「声」です。実は、声はものすごく重要になってきます。

なぜならば、声の出し方ひとつで、あなたの印象もガラリと変わるようになり、商談やプレゼンや面接のその後の展開も大きく変わるようになるからです。

プロローグでもお話ししましたが、私たちは心理学で言うところの「ハロー効果」の影響を少なからず受けています。

人は特定の人間の評価をするとき、第一印象が良いとその人に対するイメージは良い方向にふくらんでいきます。逆に、第一印象が悪いとその人に対するイメージは悪い方向にふくらんでいきます。その決め手となるのが「声」なのです。

第一声が良ければ、相手はあなたに好感を抱くようになり、あなたに対する期待値も高まるようになります当然、あなたの話を真剣に聞こうとするようになるのです。

営業・就活での声と話し方の基本2すべての失敗は「緊張」から始まる

話す順番も強調する部分も返答策も、しっかり頭の中に入れた。しかも、身だしなみまでチェックした……。でも、実際のところはどうでしょう。

「今回も商談がまとまらなかった」「また、プレゼンが通らなかった」「やっぱり、この会社からも内定がもらえなかった」こう嘆くあなたは、その場でものすごく緊張していませんでしたか。

もしあなたが緊張していたら、おそらく自分でどんな声でしゃべったか思い出せないはずです。なぜならば、多くの人が声を意識することがないからです。

そこで、自分が緊張して話している場面を思い出して、次のことを確認してみましょう。

  • ・緊張のあまり、震えた声になったことはありませんか?
  • ・うわずった声になったことはありませんか?
  • ・早口で矢継ぎ早にしゃべってしまったことはありませんか?
  • ・強い口調になったことはありませんか?
  • ・小さな声、暗い声でモゴモゴとしゃべってしまったことはありませんか?
  • ・声が出なくなってしまったことはありませんか?

商談やプレゼンや面接で失敗した経験のある人はたいてい、このいずれかに該当します。

たとえば、商談に向かう際、周到な準備をしたにもかかわらず、緊張のあまり震えた声になると、相手はこんな印象を受けます。

「この人はこの商品(サービス)を勧めているけれど、本当は自信がないのかなぁ」ということは、その先の展開も推して知るべしですよね。あるいは、早口で矢継ぎ早にしゃべってしまうときの自分の心境を振り返ってみてください。

そういうときのあなたは、「今日は何が何でもクロージングまでこぎつけるぞ」と、契約を結ぶことに躍起になっていたはずです。

しかし、躍起になってしゃべればしゃべるほど、相手は圧迫感を感じ、引いてしまいます。そうなると、あなたが推している商品(サービス)には意識が向かなくなります。

では、面接で声が出なくなってしまったときはどうでしょう。ただでさえ緊張しているのに、面接官からまさかの想定外の質問に頭が真っ白。どう返答していいのかわからず、言葉が出てこない。だから、声が出なくなってしまった……。

こうしてみると、商談やプレゼン、面接の失敗はすべて緊張から始まり、それが声に現れていることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

発声のための注意点緊張をやわらげ、心と声の状態を一致させる

緊張を緩和させ、自分にとっての最良の声を出すためには、どうすればいいのでしょうか。

そのためには、前章で述べた発声レッスンを含め、以下のテクニックを取り入れることが重要になってきます。

発声のための注意点

■常に鼻から息を吸い、鼻呼吸を意識して声を出す

第2章でも述べたように、鼻呼吸をすると脳に酸素がたくさん行きわたるため、それだけでも心を落ち着かせることができます。

また、鼻から息を吸うたびに「間」ができるため、ひと呼吸おいて、ゆったりとした口調でしゃべれるようになります。

そこで、商談やプレゼンや面接に臨むときは、とにかく鼻呼吸を意識し、鼻から深くたっぷりと息を吸い、お腹のふくらみをキープしながら、口からゆっくり息を吐くような感じで声を出すようにしましょう。

■口角を上げ、笑顔を心がける

これもたびたび説明してきましたが、人と会ってしゃべるときは意識的に口を横に開き、口角を上げるようにします。要は表情筋を使うようにするのです。

そうすれば、おのずとにっこりとした表情になりますが、慣れない人はとにかく「笑顔」「笑顔」と自分に言い聞かせ、にっこりとした表情でしゃべることを心がけてください。

商談やプレゼン、面接に臨む前に、軽く「IEAレッスン」を行ってみるのもいいでしょう。

■第一声は意識的にやや大きめの声を出す

「こんにちは」「はじめまして」という第一声を口にするときは、意識的にやや大きめの声を出すようにします。

「この人、元気!」「覇気がある」という印象を相手に与えることができるし、何よりも自分の緊張感が緩和されるという利点があります。

もし、「大きすぎたかな」と思ったら、ちょっと小さくすればいいのです。MAXを「10」と仮定して、通常のボリュームが「5」としたら、「6」を目安にしましょう。

■相手の声のトーンに合わせる

「こんにちは」「はじめまして」という第一声を口にすれば、当然、相手も第一声を返してきます。このとき、相手の声のトーンに敏感になり、それに合わせてしゃべるようにしましょう。

第2章でも述べましたが、自分よりも声が高めの人に対しては顎を少し上げて目線をやや上にすると声のトーンが上げやすくなり、自分よりも声が低めの人に対しては顎を少し下げ目線をやや下にすると声のトーンが下げやすくなります。同じ声のトーンならばいつも通りのトーンで話せばOKです。

■相手のしゃべる速度に合わせる

トーンを合わせるだけでなく、しゃべる速度も最初は相手に合わせるようにしましょう。相手が早口でしゃべる人であれば自分もやや早口に、相手がゆっくりしゃべる人であれば自分もややゆっくりしゃべるようにするのです。そして、徐々にあなたらしいしゃべる速度に戻していきます。

いずれにしても、第一声で相手にインパクトを与えたあと、トーンのチューニング合わせと速度のチューニング合わせをすれば、商談などにおいては会話の主導権はほぼあなたが握ったことになります。

■常に口を開いて話す

声のトーンや速度を合わせることができたら、口を開いてしゃべることを意識しましょう。口を開かずにしゃべると、声がモゴモゴして、相手に話が伝わりにくくなるからです。

ただ、正確に言うと、口を開くというよりも、上の奥歯と下の奥歯に人差し指が1本分入るくらいのスペースを開けてしゃべるようにするのです。

そうすることによって、最良の声が出せるだけでなく、顔の筋肉の緊張が緩和するため、表情がこわばらなくなるという利点もあります。

商談やプレゼンや面接の場で緊張しない人はいません。

しかし、今述べたことを意識しながら声を出せば、緊張が緩和し、自分のペースで相手と会話できるようになります。すると、自信もつくし、心も明るくなります。それによって、自分らしく話せるようになり、望み通りの成果を出すことが可能になるのです。

挨拶での声と話し方1母音を意識することで挨拶がスムーズになる

ビジネスシーンにおける第一声というと、あなたはどんなフレーズを連想しますか?「おはようございます」「こんにちは」「はじめまして」「いらっしゃいませ」といった言葉ではないでしょうか。

「おはようございます」の最初の言葉は「O」。最後の言葉が「SU」。母音が「O」と「U」になるので開口形のフレーズになります。

このように最後の言葉が無声音になる場合もよくありますが、そのときは、無声音で話すことを前提として考えていきます。

これに対して「はじめまして」は最初の言葉は「HA」。最後の言葉は「TE」。母音が「A」と「E」になるので閉口形のフレーズということになります。

何が言いたいかというと、声出しの基本は母音にあることを意識して、第一声を口にするときは、開口形のフレーズはやわらかくゆっくりとした口調でしゃべるように心がけ、閉口形のフレーズは口角を上げにっこりとした表情でしゃべるようにしてほしいのです。

たとえば、次のようになります。これは第一声に限ったことではありません。

「ありがとうございます」「いってらっしゃい」「お世話になります」といったフレーズを口にするときも、どの母音で始まり、どの母音で終わるかをいつも意識します。

それをもとに「このフレーズは開口形か?閉口形か?」を瞬時に察知するようにするのです。自信のない人は手帳などに、よく口にする「フレーズ一覧表」(開口形か閉口形を必ず明記)を作成しておくのもいいでしょう。

それでも、初めのうちは戸惑うかもしれませんが、パソコンのキーボード操作や車の運転と同じで、慣れてくればフレーズに合わせて、無意識にやわらかくゆっくりとした口調でしゃべったり、口角を上げにっこりとした表情でしゃべることができるようになります。

最初はフレーズを意識しながら意識レベルで取り組んでいることでも、慣れてくれば無意識レベルでできるようになるのです。

挨拶での声と話し方2言葉は3文に区切って発声する

初めて商談先に赴いたとき、あるいは初めてプレゼンするときに、最初に口にする言葉──それは「はじめまして。□□□□(会社名)の○○○○(自分の苗字)です。よろしくお願いします」だと思います。

このフレーズを口にしたとき、どれくらいの時間を要すると思いますか?個人差もありますが、だいたい3~5秒程度です。

そして、よく考察すると、このフレーズは3文節で成り立っています。実は、ビジネスシーンの会話において、この3文にいったん区切ることに注意を払ってほしいのです。

区切ることをせずに、「はじめまして。□□□□の○○○○です。よろしくお願いします。今日はとても暑いですね。都内は35度もあるそうですよ。お身体のほうは大丈夫ですか。夏バテとかしていませんか……」といったように、長いフレーズをダラダラとまくしたてたらどうなるか。

相手はそれだけでストレスを感じ、疲れてしまいます。ましてや、それが聞き取りづらい声だとしたら、その人に対するイメージは悪い方向にふくらんでいってしまってもおかしくありません。

エッ?あなたがそうですって?だとしたら、これからは「はじめまして。□□□□の○○○○です。よろしくお願いします」と3文に区切ったら、ひと呼吸置くようにしてみてください。

そして相手に会話を譲るようにするのです。

すると、相手も「お待ちしていました。お暑い中、お越しくださいましてありがとうございます」などと返してくれ、会話のキャッチボールのきっかけがつかめるようになります。

そうしたら、今度はあなたがボールを投げ返す番です。といったようにいったん区切り、再び3文のフレーズを口にすればいいのです。繰り返し言いますが、長いフレーズをダラダラと口にすると、相手はそれだけでストレスを感じ、疲れてしまいます。

しかし、3文でいったん区切ってしゃべれば、相手も話の内容が認知しやすくなり、レスポンスも返しやすくなります。

さらに加えて「暑いですね」「35度もあるみたいですね」と言うときに語尾に「NE」をつけるだけで閉口形になるので、自然と口角を上げてにっこりとした表情で話せるようになります。

すると相手もつい、「本当に暑いですね。熱中症にならないよう気をつけないと……」といったように、レスポンスを返さずにはいられなくなります。

そうなればしめたもの。会話の主導権はほぼあなたが握ったことになります。以上が、最良の声を仕事で生かすための基本的な注意事項です。

これを踏まえたうえで、次に仕事で劇的な成果を出すための声と話し方について、シチュエーション別に述べていきます。

初対面での声と話し方1初対面であなたの第一印象をグッと上げる

ビジネスの現場で、ある意味、一番緊張するのは初対面の人と会うときではないでしょうか。

これから会う人はどういう風貌をしているのか?どういう性格をしているのか?そういったことがまったくわかりません。それは相手も同じこと。

あなたがどういう人間なのか、まったくわからないことに加えて、セールスに赴くのであれば、「商品(サービス)を売り込みにくる」「何か買わされる」という意識が働くため、大なり小なり、あなたのことを警戒しています。

こうしたことを併せ考えると、初対面の人にはたしかに気を使います。その初対面の人から好感を抱いてもらうためには、やはり最良の声を出すことが決め手となります。

最良の声の出し方については、第2章でも述べた通りですが、おさらいを兼ねてもう一度手短に言うと、顎関節のくぼみの部分を軽く人差し指で押さえながら、指を2本分縦に入るくらい口を開き、下の歯の裏の部分に舌先をつけて、ハリのある少し大きめの声で「あ」の音を発声してみます。

この一番言いやすい声、ストレスを感じることなく自然体に出せる声、まずはこれをキープしてください。そして、ここではこれにプラスして、さわやかでやわらかみのある声を出すように努めてほしいのです。

さわやかでやわらかみのある声で話せば、相手に緊張を与えることはないし、むしろ「包容力がある人」という印象を抱いてもらうことができ、好感が得やすくなるという利点があるのです。

たとえて言えば、朝のテレビで放送されるニュースやワイドショーのアナウンサーの声です。

「おはようございます。〇月〇日〇曜日です」「今日は全国的に晴天に恵まれ、さわやかな天気になりそうですね」「初めは生まれたばかりのパンダの赤ちゃんのニュースからです」「それでは、みなさん、いってらっしゃい」この感じを思い出していただけましたか?どこの局のアナウンサーもさわやかで、やわらかみのある声でしゃべっていますよね。

聴いていて心地よくなりますよね。ストレスをまったく感じませんよね。そうです。まさしく、あの声。あの声を意識してほしいのです。

ただし、誤解がないように申し上げておくと、アナウンサーのあの声をマネしなさいと言っているのではありません。あくまで、あの雰囲気をイメージして、しゃべればいいのです。また、笑顔も忘れないようにしてください。

閉口形のフレーズを口にするときはもちろんのこと、相手の話に聞き耳を立てるときも、表情筋を存分に使って口角を上げるように努めれば、それだけで安心感を与えることができます。

初対面での声と話し方2人に会うときこそ心がけたい「準備8割、行動2割」

ここまで、初対面の人と会うときの声と話し方のコツについてお話ししましたが、私自身、トップセールスパーソンややり手のビジネスパーソンと呼ばれる人と接していると、どの人もみんなこの芸当に長けているような気がします。

逆に言うと、圧迫感や威圧感みたいなものを感じないのです。むしろ、「エッ?この人がトップセールスパーソン?」と、拍子抜けしてしまうような人も少なくありません。

でも、この疑問符こそが、さわやかに、やわらかく話すことで聞き手に緊張を与えず、好感が得やすい包容力のある声の効果なのです。

「準備8割、行動2割」という言葉があります。仕事で成果を出すためには、ぬかりなく準備をすることが大切になってきます。それさえきちんとしていれば、本番(行動)もうまくいくという意味です。

ところが、多くの人が、ぬかりなく準備をするといっても、「提出する企画書にモレはないか?誤字脱字はないか?」「プレゼンの流れはこれでいいか?」といったことだけに頭を張りめぐらせています。

本番を迎える直前にトイレに行ったときも、鏡に映る自分とにらめっこしながら「ネクタイは曲がっていないか?」「髪の毛は乱れていないか?」「お化粧がどぎつくないか?」といったようなことに意識が向きがちです。

もちろん、これらも重要ですが、これからはそれにプラスして声の準備も整えてみてください。

得意先に出向く前に、さわやかでやわらかみのある声を出す練習を行って、得意先の会社の入り口や玄関前で練習をリプライズするだけで大きく変わります。

そして、「よし、この声が最良の状態だ」ということが認識できれば、自分らしくいられるので、だんだんと自信が湧いてきて、心もポジティブになります。

まさしく「声が変われば、心が変わる」のです。そうすれば、初対面で相手の心を惹きつける最高のパフォーマンスが演じられるようになります。

営業での声と話し方1スランプに陥ったときこそ声の再点検をする

「最近は営業成績が低迷している」「今回のプレゼンもうまくいかなかった」「また契約が結べなかった」こうしたスランプは誰でも経験するものです。

そういうとき、たいていの人は焦燥感にかられます。私もそういう時期があったのでよくわかりますが、焦れば焦るほどますますうまくいかなくなります。うまくいっていたことまでうまくいかなくなってしまう……なんていうこともあります。

この状態から抜け出すためには、日ごろの仕事ぶりを振り返るほかに、自分の声の再点検をしてみることをお勧めします。

スランプに陥ると、それが声にもそのまま反映されることがしばしばあるからです。そんなときは暗い声かもしれません。小さくか細い声かもしれません。息苦しい声かもしれません。相手を圧迫するような強い口調かもしれません。表情が硬く、それがそのまま声に現れている可能性もあります。

そういった好ましくない声を発しているかどうかをチェックし、改善に努めれば、スランプから脱出できることが多くあるのです。

その際のポイントは、目の前に得意先の担当者がいる場面などを想像して、商談のときと同じ口調・テンポ・トーンでしゃべること。

スマホなどを使って音声を録音したり、動画で撮影することも心がけてください。そうすれば、問題点や改善するべき点が明確になります。

それでも今の自分の声の状態がよくわからないという人は、気心の知れた職場の同僚や家族などに自分の声を聞いてもらい、率直な意見を述べてもらうのも方法です。

他人は自分とは違う角度から声のチェックができるため、自分では認識できていない「声の弱点」に気づかされることがしばしばあるからです。

このときも、同僚を得意先の担当者だと思って、商談のときと同じ口調でしゃべるようにしてください。

そうすれば、「ちょっと表情がこわばっているな。声も暗いなぁ」「声がちょっと小さいよ」と率直な感想を述べてくれ、自分の声のどこに問題があるかがはっきりとしてきます。

あとはこれまで述べてきたレッスンを反復することで改善あるのみ。

「ちょっと表情がこわばっているな。声も暗いなぁ」と言われたら、口角を上げてしゃべるレッスンを繰り返し行うようにしましょう。

「声がちょっと小さいぞ」と言われたら、鼻呼吸や息圧を強くするレッスンを繰り返し行うようにしましょう。そうすれば、自分らしい最良の声が取り戻せるようになります。

しかし、なかには「レッスンを反復してもダメ。最良の声が出せない」という人もいるかもしれません。これはもうストレスによって心が疲れている証拠。心が疲れていると、それが声にも悪影響をおよぼします。

したがって、そういうときは無理に声を出すのはやめ、レッスンをいったん中断。気分転換を図るなどして、心をリセットするようにしましょう。

喧騒の都会を離れ、山や森林や海辺など、自然のパワーがたくさん吸収できる場所に出かけるのもよし。童心に帰って、遊園地やアミューズメントパークなどで思い切り遊んでみるのもよし。

お気に入りのカフェでくつろぐのもよし。要は、開放的な気分になれ、癒される場所、元気が取り戻せる場所に足を運んでみるのです。

そうやってエネルギーをチャージしたら、試しに顎関節のくぼみの部分を指で押さえながら、ハリのある少し大きめの声で「あ」と発してみてください。今度は自分にとっての最良の声が出せているはずです。

一番言いやすい声、自然体に出せる声の感覚が取り戻せるでしょう。そのうえで改善するためのレッスンに励めば、「本番」でも再び最良の声でしゃべれるようになり、ほどなくしてスランプ状態から抜け出せるようになりますよ。

営業での声と話し方2相手の隠れた本音を聞き出すときは声のボリュームを一瞬下げる

営業などで、初対面の人と会話をするときは、さわやかでやわらかみのある声を出す。この姿勢は基本的に一歩進んだ商談に移行したあとも変わりありません。

しかし、お客様に商品(サービス)の売り込みを図ったものの、何度訪ねても、「今、検討中」の一点張りで、相手の真意がわからない。

「いい提案ですが、もう少し待ってもらえませんか」と先送りされることもあります。そんなとき、相手の煮え切らない態度に、たいていのセールスパーソンはしびれを切らします。

本音を聞き出して、クロージングにこぎつけようとするあまり、ついつい詰め寄るような言い方をしてしまうということもあり得ます。

でも、それだと相手は余計引くばかり。最悪、破談になる可能性もあります。そんな状況にあっても、声の出し方ひとつで、その後の展開が望ましい方向にガラリと変わることもあります。

その場合のコツは、さわやかでやわらかみのある声をキープする一方で、相手の本音を聞き出すときだけ、一瞬、声のボリュームとトーンを下げ、ささやくような感じで、小声でしゃべること。

相手の心に染み込むような感じで、なるべくゆっくりしゃべること。その際、声のブレや震えにも注意を払うことです。これが、相手の隠れた本音を聞き出すための声と話し方のポイントになります。

たとえば、こんな感じです。

「田中部長、ぶっちゃけた話、ウチの商品(サービス)に何かご不満な点でもおありですか?」「山田常務、本当のところ、見込みはどうでしょうか?」「鈴木社長、正直な話、ご予算はどれくらい見ておられるのでしょう」こういったフレーズを口にするときだけ、あえて小さめの声を発するのです。

商談中に、あなたがいつもと同じ口調(さわやかでやわらかみのある声)でしゃべっていると、相手はその声が当たり前のように思えてきて、しだいに慣れていきます。

しかし、急に声のボリュームとトーンを下げ、ささやくような感じで、小声でしゃべり出すと、相手は意表を突かれたような感覚に陥り、緊張感が増すようになります。

実はそれによって、相手の脳(思考回路)が刺激され、結果的に本音を口にしやすくなるというわけなのです。

営業での声と話し方3契約直前!クロージングのときは声のトーンを上げる

「もうあと少しのところで契約にこぎつけられる」「今日はお客さんに商品(サービス)を選んでいただき、あとは契約書にサインをもらうだけだ」このように、クロージングの直前まで行ったにもかかわらず、契約が持ち越しになり、話が延びてしまったり、うやむやになってボツになってしまったという人を、これまで私は何十人も見てきました。

声と話し方の観点から考察すると、これにも1つの問題点があるように思えてなりません。それは「今日は何が何でも……」という焦る気持ちが露骨に声にも現れていることです。

焦れば焦るほど、相手目線ではなく自分目線で物事を考えるようになります。与えることよりも得ることにしか、意識が向かなくなります。

すると、どうしても強い口調にならざるを得なくなります。そのため、相手は圧迫感・威圧感を感じて引いてしまい、まとまる話もまとまらなくなるというわけなのです。そうならないためには、自分の心を最良の状態に導いていく必要があります。

言い換えると、「私は自信を持ってこの商品(サービス)をお勧めしてきた。これを利用すれば、きっとお客様の役に立つし、喜んでいただけるに違いない」という気持ちを大切に、余裕を持って商談に臨んでほしいのです。

具体的な話し方のテクニックとしては、「今日で決まり!」という空気感を漂わせるために、短い文節で、歯切れよく、簡潔・明解にしゃべること。

トーンをやや高めにすること。これがポイントになります。

たとえば、次のような感じです。

「サービスは、平日の場合、午前8時から午後7時までご利用できます」「緊急の際は、0120……8にお電話ください」「無料通話で、こちらは、24時間対応しています」とくに、クロージングの直前などは、相手も案内書や契約書の文面を見ながら話を聞くことが多々あります。

したがって、案内書や契約書を要約した形で、短い文節で、歯切れよく、簡潔・明解にしゃべったほうが、「なるほど」「わかりました」といったように相手も概要を把握しやすくなるという利点があるのです。

逆にNGなのは、案内書や契約書の文面の棒読み。これをやってしまうと、モゴモゴ、ダラダラとしゃべることになるため、相手もじれったくなります。

そこはくれぐれも注意してください。そういった意味で言うと、歯切れよく、簡潔・明解にしゃべるためのマニュアルをつくっておくのも1つの方法です。

「明日(今日)はクロージングにもっていこう」というとき、それを見て、事前に声と話し方の練習をしておけば、本番で緊張することもありませんし、それが声にも反映されるため、最高のパフォーマンスが発揮できるようになるのです。

営業での声と話し方4クレームに対応するときは鼻呼吸を意識する

「欠陥商品を納品してしまった」「工場の設備に不具合が生じたため、納品が遅れてしまった」こういうとき、お客様からのクレームはつきものです。

とくに、業務に支障をきたすようなトラブルが発生しようものなら、相手は大激怒してもおかしくありません。では、こういうとき、どのような対応をすればいいのでしょう。どういう声と話し方を心がけたらいいのでしょう。

まず、認識してほしいのは、相手が激怒しているときは神経が高ぶって興奮しているため、かなりの早口で荒々しい口調でクレームをまくし立ててくるということです。

それに動揺して合わせるかのように、「す、す、すみません。す、す、すぐに、た、た、対処します」と口ごもり口調で、怯えながら早口でしゃべろうものなら、相手はますます興奮し、余計口調が荒くなります。

そういうときの対処法としては、まず鼻呼吸をすることで、心を落ち着かせ、相手の半分くらいのテンポでしゃべることです。

音符にたとえると、相手が16分音符で攻めてきたら自分は8分音符、相手が8分音符で攻めてきたら自分は4分音符くらいのテンポを保つようにするのです(ただし、テンポが遅すぎると、「バカにされているのではないか」と相手が感じてしまい、余計怒らせてしまうことが往々にしてあるので注意が必要です)。

声のトーンもいつもよりも少し低め。このときばかりは相手と合わせる必要はありません。とにかく、落ち着いてしゃべるようにします。

私がこう言うのには、それなりの理由があります。

相手が激怒してクレームをまくし立ててきたといっても、それはSOSのサインにほかなりません。要するに「何とかしてくれ」「助けてくれ」と訴えているのです。

そのへんを察して、「大丈夫です。私はこの問題を真摯に受け止めています。誠意を持って対処に当たらせていただきます」という姿勢を声で表現するためには、低めのトーンで、相手の半分くらいのテンポでしゃべるのが一番効果的なのです。

いずれにしても、そうすることによって相手もしだいに冷静さを取り戻すようになります。あなたはあなたで鼻呼吸を心がければ、心を落ち着かせることができ、動揺することもありません。

むしろ、脳にたっぷりと酸素が行きわたることで、問題解決に向けての対応策が自然と湧いてくるようになります。

面接での声と話し方面接は「第一声」と「姿勢」と「歯切れ」よく話すこと

書店の就職関係のコーナーに行くと、面接のマニュアル本が所狭しと並んでいます。

表情、身だしなみ、挨拶、敬語の使い方等、どの本にも「なるほど」とうなずくようなことが書かれていて、この点に関しては私もまったく異論がありません。

しかし、声となると、「明るい声でしゃべりなさい」「ハキハキと受け答えしなさい」程度のことしか記されていません。でも、私に言わせれば声の出し方がもっとも重要で、これをないがしろにすると、面接官の印象も悪くなります。

そこで面接に挑むときは、次の3点を徹底して心がけるようにしてください。

1.第一声を大切にする2.姿勢に注意を払う3.3文で受け答えをする順を追って説明を加えていきましょう。

1.第一声を大切にする

第一声とは、ノックして部屋に入ったとき最初に発する「失礼します」という言葉、あるいは座ったときに最初に発する「はじめまして」「よろしくお願いします」といった言葉のことを言います。言うまでもないことですが、面接で緊張しない人はいません。

そのことを踏まえたうえで、これらの言葉を口にするときは、ハキハキとした明るめの声で大きめにしゃべるようにするのです。くどいようですが、このときも鼻呼吸は忘れずに。

息を吸ったとき、お腹のふくらみを意識し、胴体を土管のように筒状に保てば、「失礼します」「はじめまして」の声はかなり響いていきます。

いずれにしても、第一声でハキハキとした声が出せれば、鼻呼吸の効果も相まって、次第に平常心が取り戻せるようになります。

2.姿勢に注意を払う

ここで言う姿勢とは、面接官に好印象を与えるためだけではなく、ほかならぬ最良の声を出すためでもあります。

しっかりとした大きめの声をお腹から出すためには、第2章の「息圧を強くするためのレッスン」の項で述べたように、座ったとき、足の親指に力を入れ、椅子にお尻が軽く乗るくらいの感じで、あまり深く腰掛けないようにすることが大切です。

それに加えて、なるべく両肩を広げ、脇を締めるようにしましょう。肩が内側に丸まると猫背のようになり、声が出しづらくなるので注意が必要です。

3.3文で受け答えをする

ビジネスシーンの会話において、長いフレーズを口にするときは、3文節で区切ることの大切さを述べましたが、面接の受け答えも例外ではありません。たとえば、志望動機を尋ねられたとき、次のようなしゃべり方は良くありません。

「資源の有効活用を配慮した貴社の商品開発方針に大いに共感を覚えたため、私もリサイクル商品の開発に携わることで、エコロジーの一翼を担いたいと考え、応募させていただきました」このようにダラダラとしゃべろうものなら、自分自身の息が続かないし、相手もストレスを感じ疲れてしまいます。

そこで、こういうときは、次のような3文に区切ることを心がけるのです。

①私は、貴社の商品開発方針に、大いに共感しました。②それは、資源の有効活用を、配慮していることです。③どれも、素晴らしい、エコロジー商品だと思います。

──区切る──

①私も、資源の有効活用に、大いに関心があります。②貴社の下で、エコロジーの一翼を、担いたいと考えています。③これが、私の、志望動機です。

これならば自分の言いたいことが相手にも的確に伝わるのではないでしょうか。1文節(ワンフレーズ)を口にしたとき、自分自身の息も最初から最後まで保つことができます。そして、同じ声量・同じトーン・同じテンポもキープできます。

さぁ、これからはどんな質問をされても、3文節で受け答えができる準備をしておきましょう。これをマスターすれば、面接官はほかの応募者とは違った目で見てくれるようになり、あなたという人間に興味・関心がいくようになるはずです。

接客での声と話し方1お客様に向かって常に語尾のトーンを上げる

接客業で大切なことは何でしょう?飲食店ならば、さしずめ「味よし」「サービスよし」「値段よし」といったところでしょうか。

しかし、あえて言わせていただくと、もう1つ「よし」を加えていただきたいのです。それは「声」にほかなりません。そう、「声よし」です。

「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」「またの来店をお待ちしています」等々、こうした接客業には欠かせないフレーズを口にするときこそ、明るくハリのある声で、お店全体に響きわたるような最高にいいトーンを発してほしいのです。

その場合のポイントは語尾のトーンを意識的に上げること。

「いらっしゃいませ」の「せ」、「ありがとうございました」の「た」、「またの来店をお待ちしています」の「す」。

この「せ」「た」「す」を発するとき、息を吐き切り、息が上にいくような感じにするのです。すると、お客様は明るさ、活気、元気のよさ、威勢のよさを感じるのです。

「この店に来てよかった」「また、このお店に来よう」という気になります。

逆に語尾を下げて「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」「またの来店をお待ちしています」と言われたら、どんな気分になるでしょう。

「なんだか暗い店だな」「次回はもう来るのをやめよう」と思われてもおかしくはありません。試しに自分で、「せ」「た」「す」の語尾を上げたフレーズと、語尾を下げたフレーズを口にしてみてください。

どうです?語尾を上げる・下げるとでは、相手に与える印象がまるで違ってくるのがおわかりいただけるのではないでしょうか。

そうならないためにも、語尾のトーンを上げるように努めてほしいのです。

ちなみに、語尾をきちんと上げるためには、息を吐き切らなければいけないので、うまくいかないときは第2章で述べた「息圧を強くするためのレッスン」(4秒かけて息を吐くレッスン)をもう一度反復してください。

接客での声と話し方2お客様への感謝の気持ちは礼よりも言葉が先

あなたは「語先後礼」という言葉をご存じでしょうか。

語先後礼とは、端的に言うと「言葉が先で、お辞儀が後」という意味で、「ありがとうございました」と言ってからお辞儀をすることを言います。

これは接客業に携わる人はもちろんのこと、ビジネスパーソンにとっても不可欠のマナーと言ってもいいでしょう。

もし「ありがとうございました」と言いながらお辞儀をしたらどうなるか。「ありがとう」は聞こえますが、その後に続く「ございました」はきちんと聞き取れません。

これではお客様に感謝の気持ちが伝わりません。

以前、私は地方にある温泉旅館の従業員の研修をしたとき、従業員の大半が言葉を発しながらお辞儀をしていることに気づきました。

旅館の女将いわく、「イマイチお客様の入りが悪い」とのこと。

そこで私は語尾を上げる発声レッスンのほか、「語先後礼」を徹底して行うように指導しました。

口角を思い切り上げ、笑顔で明るくハリのある声で、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」「またのお越しをお待ちしています」というフレーズを口にしたあと、深々と3秒お辞儀をするようにアドバイスしたのです。

すると、おもてなしと感謝の気持ちがお客様に届くようになったのでしょう。少しずつですが、お客様の入りが良くなり、今ではテレビ取材を受けるほどの繁盛ぶりを見せるようになりました。

最初はわずかな差だったかもしれません。

しかし、「語先後礼」を当たり前のように続けていったら、誰も追いつけないほどの大差になって、それが売上げにもつながっていったのです。同じことはあなたにも言えます。

言葉と表情と態度は三位一体の関係にあります。見えないところでつながっています。

だとしたら、最良の表情と最良の態度で接客にあたるべきです。そうしてこそ、あなたの最良の声も生きるというものです。

声と話し方の応用1場所に応じて、一瞬にして声をギアチェンジする

ホテルのラウンジなどで仕事の打ち合わせをするとき、あなたはどれくらいの声量でしゃべりますか。「ホテルだから小さめ」「トーンもかなり低め」ならば、それは必ずしも好ましいとは限りません。

ホテルのラウンジと言っても、シーンと静まりかえったところだけとは限りません。大勢のお客様の声でザワついているところもけっこうあります。

にもかかわらず、小声でしゃべろうものなら、相手も聞き取りづらくなり、ストレスを感じてしまいます。逆のパターンもあります。

たとえば、ドトールやスターバックスのような誰もが出入りするようなカフェがありますよね。

以前、そういう場所で仕事の打ち合わせをしていたとき、隣席のテーブルに数人が座っていて、上司の悪口を口にするのが聞こえてきました。

聞き耳を立てたわけではありませんが、やや大きめの声だったため、「お酒が入ると平気で私の身体をさわろうとするのよ。完全にセクハラよ」「そうそう、私も。この前なんか……」といった話が否応なしに聞こえてくるのです。

どうやら、相当ひどい上司のようです。そのせいで、こちらは肝心の話に集中できませんでした(笑)。あなたはどうです?カフェだからと油断して、少し大きめの声でしゃべったりはしていませんか。

もし、大事な商談、たとえば企画の話をしようものなら、それこそ筒抜け。そばに同業者がいたら企画を盗まれてしまうなんていうこともあり得ないとは言えません。

その点、トップセールスパーソン、やり手のビジネスパーソンと呼ばれる人は違います。場の雰囲気、状況、その場にいる人の人数といったものを考慮して、即座に声のギアチェンジを図り、その場に適した声でしゃべっています。

そのためには具体的にどういったことに注意を払えばいいかというと、3フィート(約90センチ)の距離を1つの基準にするといいでしょう。

要するに、テーブルで向かい合って人と会話をするとき、3フィートの距離であれば、通常の声でしゃべるように心がけ、それよりも距離が近ければ小さめの声、距離が離れていれば少し大きめの声でしゃべるようにするのです。

ただ、周囲にどれくらい人がいるか、ザワついているかによっても違ってきます。

相手との距離が3フィートであっても、隣に人がいるようであれば、前かがみの姿勢で少し小さめの声でしゃべり、隣に人がいなくても騒々しいようであれば、少し大きめの声でしゃべる必要があります。

自分では聞き取りやすい声を出したつもりでも、場の空気が読めず、小さな声だったり、大きな声だったりすると、相手に不快感やストレスを与えることになります。

つまり、場の空気を察して、瞬時にギアチェンジを図り、それに調和させることも、最良の声を出すために大切なことなのです。

声と話し方の応用2相手が前のめりになったら「声のギアチェンジ」のサイン

この本を執筆中、私はある会社から研修の依頼を頼まれ、東京は有楽町にある帝国ホテルのラウンジで、担当者と打ち合わせをしたことがありました。

名刺を交換したあと、さっそく本題に入ったのですが、ものの数分もしないうちに私は前のめりの姿勢にならざるを得なくなりました。

相手の声が小さすぎて、話が聞き取れなかったからです。帝国ホテルのラウンジは高級ホテルとあって普通の椅子ではなくソファー。テーブルも低いときています。しかも、周りはザワついています。

そこで「もう少し、大きな声でしゃべっていただけますか」とお願いしたのですが、担当者が小さな声でしゃべっていた理由もわかる気がしました。

彼には失礼でしたが、「高級ホテル=静寂。静寂=小さめの声でしゃべらなくてはいけない」という固定概念がそうさせたのでしょう。

場慣れしていなかったため、気おくれしたみたいなのです。この話はけっして他人事ではありません。

高級ホテルに限らず、会社の応接室などに通されると、ソファーと低いテーブルが置かれているところもあります。

そういう場所で商談をするとき、気をつけてほしいのは、あなたがソファーの背もたれに寄りかかりながらしゃべっているときに、相手が前のめりになってきたら、それは「あなたの声が小さい。よく聞き取れない」というサインだということです。

したがって、そういうときは声のギアチェンジを図り、少し大きめの声でしゃべるようにしてください。

通常のボリューム(声量)を数字で表したとき「5」だとしたら、「7」くらいに上げるようにするのです。こう言うと、あなたは「それならば、お互い前かがみになって会話をすればいい」と思うかもしれません。

まあ、会社の応接室などであれば、それでもいいと思いますが、高級感漂うホテルのラウンジで会話をするのであれば、お互いソファーの背もたれにゆったりと寄りかかりながら会話をしたいものですよね。

実際、それなりの地位・役職にある人を観察すると、高級ホテルのラウンジなどで会話をするとき、前かがみになってしゃべる人はほとんどいません。

たいていの人は、ソファーの背もたれに寄りかかりながら会話をしています。

そこで、私からの提案ですが、たまには高級ホテルのラウンジに足を運び、同僚や後輩などを相手に、声と話し方の予行演習を行ってみてはどうでしょうか。

「声が聞き取りづらかったら、前のめりしてね。聞き取れるようならば、お互いソファーの背もたれに寄りかかりながら会話をしようよ」と事前にお願いしておくのです。

そして、会話をしていくうちに、相手が前のめりの姿勢を取ったら、声のギアチェンジのサインと考え、少し大きめの声でしゃべる。

あなたが前のめりの姿勢を取ったら、相手に少し大きめの声でしゃべってもらう。そうすれば、お互いにとっていいレッスンになります。

場の雰囲気や距離感を感じ取りながら、声と話し方のレッスンをするには、その場に出かけて行って実践するのが一番なのです。

声と話し方の応用3会議やプレゼンでは声にメリハリ+アクション

あなたは会議やプレゼンの席でどんな声を出していますか?どんな話し方をしていますか?緊張のあまり、か細い声になってしまう人もいれば、あえて大声を出す人もいると思います。

一番好ましくないのは、手元に資料があって、それを棒読みするような話し方。これをやってしまうと、聞かされるほうはたまったものではありません。

では、会議やプレゼンの席で最良の声を出すためにはどういった点に注意を払えばいいのかと言うと、なるべく母音を意識して、開口形の言葉を口にするときは、やわらかくできるだけゆっくりとした口調でしゃべること。

閉口形の言葉を口にするときは、意識的に口角を上げ、にっこりとした表情でしゃべること。場所・人数に応じて声のギアチェンジを図ること。

この3点が基本になります。しかし、それだけではまだ十分とは言えません。

会議で自分が立案した企画を提案するとき、ましてやプレゼンをするときなどは、一方的に長々としゃべることになります。

すると、自分では最良の声を出しているつもりでも、聞く側は慣れ──飽きが生じるため、熱心に耳を傾けなくなる場合もあります。

それを防ぎ、最後まで熱心に話を聞いてもらうためには、ところどころ抑揚をつけながらしゃべることが重要になってきます。

抑揚のつけ方のポイントは2つあります。1つは手でアクションをつけることです。

「ここは強調したい」「この箇所は真剣に耳を傾けてほしい」という部分は、拳を握りながら、腕を振りかざしたり、ガッツポーズをとるなど、身振り手振りを交えながらやや強めの口調で話すようにするのです。

こう言うと「拳を握りながら、腕を振りかざすと、筋肉を使うから、そこに力が入ってしまうため、声が出しづらくなるのではないか」とあなたは思うかもしれません。

でも、その心配はいりません。手でアクションをつけるのは、あくまでも「ここは強調したい」「この箇所は真剣に耳を傾けてほしい」という部分のみ。

通常は3つの基本を柱に声を出せばいいのです。

抑揚のつけ方の2つめのポイントは、「ここは強調したい」「この箇所は真剣に耳を傾けてほしい」という部分の言葉は、力強くハリのある声でしゃべることです。

そう、「ここぞ」というところで、トーンを上げるようにするのです。このテクニックに長けていたのが、ジャパネットたかたの前社長・高田明さんです。

テレビショッピングの高田さんの独特の語り口は有名で、ご存じの方も多いと思いますが、最大の特徴はまさしく「ここは強調したい」「この箇所は真剣に耳を傾けてほしい」という部分に移行すると、力強く、ハリのある声でトーンを上げてしゃべることです。

それを私の記憶の許す範囲で再現すると次のようになります。このノートパソコンには、これこれこれだけの機能が搭載されています。

消費税込みで、な、な、なんと、にまんきゅうせんはっぴゃくえん!2万9800円!それだけじゃありません。

今回は特別にプリンターーー。これもおつけしちゃいまーーーす。みなさん、今すぐ、お電話をーーー。放送終了後、30分以内でーーーす。

「なるほど、たしかにそう言っている。値段などの大事な箇所は力強く、トーンを上げてしゃべっている」と、納得されたのではないでしょうか。

ちなみに、私は一度だけ高田明さんの講演会を聴きに行ったことがありますが、正直なところ、第一声を聞いたとき拍子抜けしてしまいました。

実際に目の当たりにすると、声のトーンが低いのです。

でも、しゃべっていくうちに、それも「ここは盛り上げなければいけない」という箇所に入ると、テレビでお馴染みの高田節!これによって聴衆は一気に惹きつけられます。

要はこれと同じテクニックを会議やプレゼンでしゃべるときに用いてほしいのです。

とても大事な箇所なので、もう一度言いましょう。会議やプレゼンの席で、長い時間、自分がしゃべるときは、話に抑揚をつけること。

その一環として「ここは重要」「ここは注目してほしい」という部分は、文脈・文節・単語を問わず、力強く、トーンを上げて、ハリのある声でしゃべること。これだけのことでも肝に銘じれば、あなたのパフォーマンスはグンと高まるようになるに違いありません。

声と話し方の応用4多くの人を前にして話すときは出だしに集中

みなさんの中には、講演会やセミナーなど、多くの人の前で話をした経験のある人もいると思います。

「ある」と答えた人にお尋ねしますが、うまくしゃべれましたか?こう言うと、講師業を生業にしておられる方以外、たいていの人は首を横に振るのではないでしょうか。

それもそのはず。会議やプレゼンの席も緊張しますが、多くの人の前で話すとなると、ある程度広い会場でしゃべるわけですから、余計緊張せざるを得なくなるからです。

緊張すれば、それが声にも現れます。震えたり、小さくか細くなってしまったり、逆に甲高い声になってしまったり……。しかも、自分が緊張すれば、会場で話を聞く人にも緊張を与えることになります。

これでは双方とも不自然さを感じるだけで、その場に良いムードが築けなくなり、不甲斐ない結果となってしまうことは目に見えています。

となると、これはもう緊張を解くしかありません。

緊張を緩和させ、自分にとっての最良の声を出すための方法はこの章の前半でも述べましたが、それでも場慣れしていない人からすればドキドキの連続かもしれません。

では、どうしたらいいのか?結論から言うと、終始リラックスした状態で自分のペースで話せる方向に自分を誘導していけばいいのです。

そのためのコツは、出だし──イントロから会場に集まった人を笑わせること。最初の数分で笑わすことができるネタをあらかじめいくつか用意しておくのです。

笑いを取ることができれば、会場の雰囲気もなごみます。会場の雰囲気がなごめば、当人の心も「アウェイ感」が薄らぎ「ホーム感」が強まります。「ホーム感」が強まれば、緊張感がグンと緩和され、心が楽になります。

それによって、ありのままの自分、ふだんの自分のペースで話すことができるようになるというわけです。

ちなみに、人を笑わせるネタですが、私はその道の専門家ではないので、知人が講演会やセミナーなどでよく口にするパターンを2つほど要約して紹介しましょう。

はじめまして。山田リカと申します。山田リカ、これはもちろん本名ですが、正式には山田利家と書きます。利家と書いてリカと呼びます。

何だか戦国武将の名前みたいですね。

苗字の「山」の字を「前」の字に変えてしまうと、完全に大河ドラマの主人公にもなった前田利家になってしまいます。(40歳・女性・ファイナンシャルプランナー)群馬からまいりました熊沢幸宏と申します。

苗字もクマ、体型もご覧のように大柄でクマみたいです。そのせいか、地元群馬の人からは森のクマさんと呼ばれています。今日はその森のクマさんが東京のセミナーで大暴れをします。ですが、みなさん、逃げ出さないでください。(55歳・男性・経営コンサルタント)

こんな感じで、まずは会場に集まった人たちをひと笑いさせることができれば、その場の張り詰めた緊張感が緩和され、あとは自分のペースでリラックスしながら話ができるのではないでしょうか。

肝心の声の出し方ですが、会場の規模を問わず、遠くにいる人まで明るくさわやかに響きわたるようにしゃべること。

もう1つ注意点を指摘しておくと、講演やセミナーなど多くの人の前で長時間しゃべるときは、直前に「ウーロン茶は口にしない」ようにすること。

その理由については、「おわりに」で詳しくお話しすることにしますね。

声と話し方の応用5マイクの持ち方しだいで声は聞きやすくなる

この章の最後にマイクを持ってしゃべるときの注意点についても少し触れておきましょう。

講演やセミナーなどでは、最近、ウェアラブルマイクを使う頻度が増えてきましたが、それでも従来型のハンドマイクを使う場合がほとんどだと思います。

ハンドマイクを持ってしゃべるときは、どんな姿勢がいいのでしょうか?あまり考えたことはないと思いますが、声が出しづらい場合、マイクを手にしている腕の肘を上げすぎていることが少なからず関係しています。

片方の腕の肘を上げすぎると、肩に負担がかかるため、肩甲骨が凝り固まってバランスが悪くなってしまうからです。

また、目線──顔は左方向に向いているものの、首から下は正面、もしくは右方向に向いて、身体をひねった状態でしゃべることも、声を出しづらくする要因となります。

上半身を左(右)にひねると、左肩(右肩)が内側に狭まるため、左側(右側)の肩甲骨も凝り固まり、これまたバランスが悪くなってしまうからです。

総じて、マイクを握った腕の脇は少し締め、正面を向いてしゃべるときは、身体ごと正面を向き、左方向(右方向)に向いてしゃべるときは、身体ごと左方向(右方向)に向いてしゃべるようにすれば筋肉への負担もなくなり、自分らしい最良の声が出しやすくなるのです。

試しに自分で実験してみてください。

ビフォーとアフターとでは、声の出しやすさがまったく違うことを痛感するはずです。

ちなみに、これは講演やセミナーなど多くの人の前でしゃべる場合に限らず、会議などで発言するときも同じです。

特定の方向に向かってしゃべるときは、顔だけではなく、身体全体をその方向に向けると、声が出しやすくなります。

ただし、身体ごと一定の方向に向けてしゃべると言っても、ずっとそのままの姿勢で、最後まで一定の視線で話し続けるのは何ともぎこちないし、聞く人も物足りなさを感じてしまいます。

だからと言って最初からキョロキョロといろんな方向を見るのもNGです。

キョロキョロすると、目(視界)にたくさんの情報が入ってきます。

すると、人によっては脳の情報処理が追いつかなくなるため、軽いパニック状態になり、それによって緊張感が増し、声にも悪影響をおよぼす可能性があるからです。

したがって、「最初はここに目線を定めてしゃべる」と決めたら、その方向に向かってしゃべるようにして、慣れてきたら(自分のペースがつかめ、落ち着いて話せるようになったら)、少しずつ方向を変え、まんべんなく聴衆(聴き手)と視線を合わせるようにしましょう。

さぁ、仕事で劇的な成果を出すためのシチュエーション別の声と話し方のノウハウは以上です。あとは、実践あるのみ。ビジネスの現場でさっそく生かしてください。

緊張する場面や大事な場面で、うまく声が出せなかった自分と決別できる日はそう遠くはないはずです。

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