第3章商品発掘のツボと取引におけるルール
海外の見本市に行く前に、日本の国際見本市で練習する
輸入品を探す際の合言葉は「CLV!」
「美」「健康」「快適」「時短」「自己投資」「介護」関連グッズを探す
大好きな国の商品を輸入したい場合は大使館に連絡する
リスクのある商品は避ける
サンプルオーダーの方法
サンプルを利用するマーケティングの方法
値付けは仕入れ価格の最低5倍にする
●ビジネスコラム交渉が終わったら、相手の交渉力に屈しそうになったことを伝えろ
第3章商品発掘のツボと取引におけるルール
海外の見本市に行く前に、日本の国際見本市で練習する
輸入ビジネスを始めようとしても、輸入すべき商品が見つからないのでは話にならない。それでは輸入する商品をどこで発掘すれば良いのだろうか?一番手っ取り早く、効果的な方法をお答えしよう。それは、見本市に行くことである。見本市とは、文字通り新商品の「見本」を展示してある市場だ。インターネットで検索すれば、あなたの好きなジャンルの見本市がいくらでも出てくるだろう。
私は海外の見本市に行く前に、日本で開催されている国際見本市に行くことをお勧めしている。それも一般向けの日ではなく、業者向けの開催日に入場するのである。業者でもないのに入れるんですか?とよく尋ねられるが、名刺を作っていけばなんの問題もない。
自分が輸入業者と名刺で宣言してしまえば、あなたはすでに業者とみなされるのである。木曜・金曜は業者向け、土曜・日曜は一般向けという展示会もあるが、土日に行くとメーカーもオフモードなので、参考にならない。
こうした場合、ぜひ木金に行ってほしい。本当に入れるのかと思うかもしれないが、名刺さえあれば大丈夫。誰かに止められたり、質問されることもまずないから安心してほしい。日本は世界から見ても最大の市場のひとつである。
年間を通して様々なジャンルの見本市が開かれており、東京ビッグサイトや幕張メッセ等の大きな会場で開催される展示会も多い。こうした展示会は入場者が何十万人規模におよぶほどだ。
また、予算を組んでわざわざ日本まで来て売り込もうというのだから、やる気に満ちたメーカーが多いのも特徴だ。輸入業者としても低予算で海外の新製品に出会えるのだから、商品発掘の場としては最も身近で、最も効果的に感じられるだろう。
わざわざお金をかけて海外に行かなくても良いのでは?と思うかもしれない。
しかし、もちろんデメリットもある。日本で開催される見本市は競合になり、価格競争が激しくビジネスになりにくい。当然、新商品の第一発見者になることも難しく、独占販売権を獲得するのは困難だ。
またアジアなどのメーカーは、自国で開かれる見本市より高い価格設定をしているケースがある。輸入ビジネスの最大の魅力は新商品の発掘による独占販売権の獲得と、自由な価格設定による高い粗利率である。この2つが困難なことから、日本の見本市での商品発掘は、個人で始める初心者にはあまりうまみがない。
それでも、私が輸入ビジネスのビギナーにぜひ行くように勧めるのは、海外の見本市に行く前の絶好の練習の場になるからだ。見本市という場の独特の雰囲気に慣れることが重要だ。
いきなり海外の見本市に行き、雰囲気に圧倒されて何もできなかった、なんてことはよくあること。まずは、日本の国際見本市に足を運び、見本市とはこういうものだと理解し、日本で予行演習できたら、ぜひ海外の見本市にチャレンジしてみよう。
輸入品を探す際の合言葉は「CLV!」
あなたが商品を発掘する方法として、主に次の3つの道がある。
①自分の好きな分野、造詣の深い分野に的を絞って選ぶサラリーマンの方であれば、自分の職業に関連するもの。何かの趣味があれば、趣味に関連するもの。他の人が不得意でも、なぜか自分だけは得意なもの、等である。要は、その分野に対して、あなたのアンテナを高く伸ばしていれば、それだけでビジネスは有利になる。
②トレンドに乗った商品を探す例えばスマートフォン等、今、売れている商品に関連するグッズである。Apple製品が売れているなら、Apple製品に関する周辺機器など、トレンドの商品をいち早く輸入して、早く売る。
③すでに別のビジネスをしている方なら、現在のお客様に新たな商品を売る自分のビジネスの人脈、お客様に合わせた商品を輸入し、売り上げアップを図る。
これをクロスセル(新しい商品を増やして売り上げを伸ばす)と言う。
事前に、お客様にどういう商品が欲しいかマーケティングできる利点がある。あなたに合ったやり方で輸入ビジネスの道に参入すればいいわけだが、これから商品を探すのであれば、できれば「CLV」にしなさい、と私は常にアドバイスしている。
そもそも「CLV」とは何か?C=Compact(小さく)L=Light(軽く)V=Value(価値がある)小さくて軽ければ当然、輸送費が安い。
しかも、実際は安いけれども、価値があるということであれば、あなたの利益は倍増する。第1章で述べた原価10円、定価1980円のピアスなどは「CLV」の最も良い例である。
「美」「健康」「快適」「時短」「自己投資」「介護」関連グッズを探す
「CLV」の利点はご理解いただいたと思う。それではどんなジャンルの商品がこれからは狙い目なのだろうか?今後間違いなく需要があるであろう、私のお薦めジャンルをいくつか挙げてみよう。
1.「美」に関するグッズ
これからはアンチエイジング(老いを止める)ではなく、ダウンエイジング(若返り)。今、女性が買うものは化粧品であれなんであれ、ほとんどがダウンエイジングに関する商品──要は、若返りグッズである。
若くなるためであったら女性はエステでも、美容整形であっても、お金を惜しまないのである。同様に男性もバイアグラなどのEDや抜け毛に関する商品は需要が高いのはご存じの通りである。
2.「健康」関連グッズ
サプリメントや健康器具は、テレビショッピングの主役である。いつも同じような商品を売っているなぁ、と思うかもしれないが、類似した商品でも売れ続けているということは、高齢化社会となった日本では、健康への関心が年々高まっていることの証明なのだ。
とりわけ、「未病」に関する商品はこれから間違いなく売れる。要するに、病気にならないための予防グッズである。医療危機が問題にされている今、お金がなかったら医者にかかれないのではないか、という不安を我々日本人は抱いている。
そこでセルフメディケーション──医者に頼らない、医者にかからない生き方が注目を集めていく。「未病」にまつわる商品の需要は高まり続けることだろう。
具体的には、リラックス効果のあるアロマオイルや血行・リンパの循環を促し、冷えを改善するボディクリームなどが一例として挙げられる。
ただしサプリメント等、口に入れるものは医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)に触れる危険もあるので、初心者は手を出さないほうが無難である。
3.「快適生活」グッズ
2004年を境に、日本の人口は50代以上が40%を超えたのをご存じであろうか?かつてない高齢化社会に突入したのだ。なぜ銀座の飲み屋が流行らなくなったのか?これは単純に不景気という理由だけからではない。
40代まで会社の経費で接待と称して飲んでいた人たちが、それに疲れてしまったからなのだ。それより快適な家でインドアライフを楽しみたい、という人が増えたからなのだ。家でDVDを観たり、犬と遊んだりしたい。
だから快適なクッションやソファ、ペットグッズが売れているのである。室内で快適に過ごすための斬新なグッズを海外で見つけることができれば、ビッグチャンスの可能性大なのである。
4.「エンジョイメント」グッズ
これは「モノ」主体による満足ではなく、楽しくなる「精神」主体で満足を覚えるようなグッズである。例えば、かつてはハワイに観光に行くのなら、「ハワイに行く」というだけで楽しかった。
ところが今は、「ハワイのこのブランドショップに行く」とか、「サーフィンに行く」とか、「マッサージ店に行く」などと、より精神的な満足を人は求めている。半年かけて世界一周をする船があるが、これは陸に上がっている時間は非常に少ないのだ。
娯楽施設、サービスが充実した船で旅をする「楽しみ」自体に金を払っているのである。さらには、外国の小説等の書籍や映画のDVD、ヒーリング音楽等のCD等の輸入も面白いだろう。また時間を短縮する時間活用グッズも注目されている。圧力鍋や、ワインのコルクを一瞬で抜いてしまう栓抜き。
自動で掃除をしてくれるロボット掃除機「ルンバ」等も、「モノ」それ自体ではなく、時間を短縮してくれるという「精神」がそれ自体の満足を与えるという観点から、エンジョイメントグッズのひとつであると言える。
5.「自己投資」グッズ
これは勉強に関するグッズである。著作や、自己啓発系等の情報権利・情報商材を独占的に買うのだ。また海外の先端を走っているビジネスのひとつに、海外のマーケティングのノウハウの著作権を買ってきて、独占的に売る手法がある。
アメリカで流行っている成功哲学のプログラムの著作権を買い、翻訳し、CD化して、自由に価格を決定して売る──知的財産は在庫もほとんど必要ないし、当たれば爆発的に注文が殺到するので、ものすごい収入になる。
こうした情報を探し輸入するには、独自のアンテナと感性も必要だが、知的財産の展示会も開かれているのだ。一見の価値はあるだろう。
知的財産の輸入はハードルが高いように感じられるかもしれないが、自己啓発本などが好きで、プロモーションに自信がある方ならばチャレンジする価値のある分野である。
6.「介護」グッズ
最近、介護グッズがトレンドである。フィンランド、デンマークなど北欧系の社会保障がしっかりした先進国の介護グッズなどは進んでいる。日本の平均年齢は50歳。世界にさきがけて4人に1人が65歳以上の高齢者となり、日本は今や世界一の超高齢社会である。
そんな中、当然、介護グッズはこれから需要のある分野である。日本は意外にも介護分野の商品開発は進んでいない。まだまだ福祉の面では北欧に遅れを取っている。だからこそ輸入ビジネスのチャンスに満ちている。
例えば、私のクライアントさんの一人は、デンマークで開かれた世界有数の介護用品の専門展示会に行き、「靴下装着サポート」を輸入した。それが従来なかった、簡単に靴下を脱ぎ穿きできる自助具なのだ。
足腰に負担をかけずハンディキャップを持った人が自ら装着できる驚異のサポートグッズは、今、発売前にもかかわらず業界関係者、マスコミで取り上げられ、ハンディキャップのある方の救世主になるのではないかと注目されている。
介護グッズは医薬品医療機器等法がらみもあり、車椅子などは素人には扱えないので周辺グッズが中心になるが、これから要注目の分野であることは間違いない。
いかがであろうか?これなら私でもと思われたのではないか?そしてこれらの当たっているジャンルを見ていくと、いくら不景気とはいえ、我々日本人は「衣食住」は基本的に満たされている傾向であることがわかる。
モノではなく、精神的な満足感、安心感にお金を払っているのである。要は、私たち日本人が美しく、健やかに生活するための「満足感」を覚えるグッズを見つけることである。この方向性を踏まえたうえで、自分の得意分野でアンテナを伸ばし、勝負していくのがベストである。
大好きな国の商品を輸入したい場合は大使館に連絡する
あなたには特別に好きな国があるだろうか?もちろん、日本以外の国で、だ。そんなあなたに裏技をお教えしよう。
もしもあなたがフランスが大好きで、何度も足を運んだことがあり、文化、言語、宗教等、普通の人よりはるかに詳しいとする。
当然、輸入するならフランスから商品を入れたい、と思うだろう。そんな方には、フランス大使館の貿易投資庁に連絡することをお勧めする。
直接電話をしてもいいし、インターネットで調べてもいい。大使館には、その国の商品を日本に拡販するために存在する商務部や貿易投資庁などがある。常に買い手を求めているのだ。
自分の国の商品を売るための部署なので、対応も丁寧だ。職員はどこの国の大使館でもほとんどが日本人なので何も心配する必要はない。要は、その国における商品の営業マンなのである。
大使館だからといって、門前払いされるということはまったくない。むしろ、あなたが輸入ビジネスの相手になってくれることを待っていて、大歓迎してくれるはずだ。
あなたが好きな国の大使館の商務部にいきなり電話して、「あなたの国の商品を輸入するビジネスをしたいのですが、ご相談にのっていただけますか?」と聞いても、決して断られることはない。
私の知り合いでも大使館をパートナーとして輸入ビジネスをしている人はたくさんいる。
例えばブルガリアのワインを輸入している方は、奥様がブルガリア人なのだが、ブルガリアの宣伝になるということで、大使館が全面的にバックアップしてくれているのだ。
あるいは、モロッコ料理店を経営し、モロッコ人を雇っている方は、モロッコの大使館からすれば、自国の文化を宣伝してくれているお店ということになる。
モロッコ大使も来るし、大使館のホームページ等でも宣伝してくれる。しかも「大使館推薦のお店」というお墨付きももらって大繁盛している。大使館は文化・商品を宣伝するために存在している。
アメリカやフランスといった大国はともかく、日本ではあまり知られていない国の大使館ほどあなたを応援してくれることは間違いない。大使館は堅いところ、というイメージがなくなったのではないだろうか。
大好きな国に足を運ぶ前に、日本にある大使館に連絡したり、大使館が定期的に配信しているメールマガジンに登録するのもひとつの手である。
リスクのある商品は避ける
商品を発掘する際に気をつけなくてはならないのは、ワシントン条約で貿易が禁止されている動物や、剝製、毛皮、革製品、植物、薬、漢方薬、サプリメント等だ。
法律に触れるようなものは輸入しないに限る。また、健康器具等でも、「肩こりを取ります」などと謳うと医薬品医療機器等法に引っかかる可能性がある。
治療効果を狙っているものは、薬関係でなくても危険である。効能を謳う商品は、初心者にはお薦めしない。
私自身、ガラス製のボディにドライフラワーが入ったおしゃれなテーブルランプを輸入しようとして、港で止められてしまったことがある。そのドライフラワーが植物防疫法という法律に引っかかってしまったのだ。
植物防疫法とは、日本国内への病害虫の侵入を防ぐために、特定の地域における特定の植物の輸入を禁止する国内法である。
植物に付着する土や包装物も検疫の対象になり、検疫を義務付けられる。これは商品を見本市に出品する3日前の出来事であった。
ドライフラワーがこの法律の対象になることを、当時の私は知らなかったのだ。結局、ドライフラワーの部分を取り除くことで最悪の事態は回避できたが、こんなことにならないためにも国内法、国際法の規制にはざっと目を通しておいた方が良い。
きわどい商品であれば、ジェトロ等のホームページを見て、専門家に相談するのも良いだろう。動植物や薬に関するものに最初からチャレンジするのは危険、ということだけはくれぐれも覚えておいてほしい。
サンプルオーダーの方法
海外でお目当ての見本市に行き、「これは良い!」という商品に出会ったら、躊躇することはない。既述の世界一簡単なビジネス英語「Hi!」「Howmuch?」「E–mailyoulater.」を武器に直接交渉してしまうことだ。
繰り返すが、決して門前払いをされることはない。あなたはサプライヤー(供給者)にとって、お客様だからだ。とは言っても、いきなり商品を大量に仕入れたり、具体的なお金の話をする必要はない。
あなたが初心者ならむしろしない方がいい。詳しい話はメールでやり取りすることにして、まずは商品のサンプルを送ってもらう。
具体的な交渉の仕方としては、「展示会での英語によるFACETOFACEの商談15ステップ」〔*〕を参照していただきたい。
サンプルを送ってもらう理由は、まずは商品の品質・機能の確認はもちろん、後に商品をオーダーした時の品質の照合サンプルになるからだ。
大事に保管することはもちろん、デジカメ等で様々な角度から写真を撮っておくことをお勧めする。中国等の商品はサンプルと異なるものが届く場合も珍しくない。
いくら自分が良いと思った商品であっても、需要がなくては話にならない。サンプルは、お客様の声を聞くためのツールであり、テストマーケティングで利用するものなのだ。
当然、「ここはこうした方がいい」、「日本人好みに仕様を変えてほしい」などという要求が出てくるかもしれない。
その時は謙虚にお客様の声を聞き、輸出者(サプライヤー)にフィードバックする。勘違いしてはならないのは、あなたは作られた商品を売るのではない、ということだ。
あなたがサプライヤーと協力して、日本で売れる商品を生み出すのだ。日本市場のニーズ、ウォンツに合うようにサプライヤーを必ず説得すること。
あなたの好みの商品だから、妥協したくなるかもしれないが、まずはお客様ありきのビジネスであることは念頭に入れておく必要がある。どんなにあなたが気に入っていても、誰も買ってくれなければ、その商品は不良在庫になるだけだ。
サンプルとは、本格的にオーダーを始める前に品質のチェックとお客様、市場の声を聞くために絶対に必要なものである。もちろん、サプライヤー側もサンプルをインポーターに送るのが当たり前だと理解しているので、なんの心配もない。
もう一度言おう。見本市に行って、輸入したいと思う商品を見つけたら、挨拶をして値段を聞き、サンプルを送ってもらうようにお願いすること。
細かな交渉は日本に帰ってからメールですればいい。現場ですることはそれだけである。サンプルを送ってもらうのは有料か無料かも気になるところかもしれない。できれば、無料がいいに決まっている。
だからといって、そこで無料にしてほしい、などと言うのは得策ではない。せこいやつ、と思われたら損である。あえてそんなことには触れないことだ。
日本に帰って、先方からサンプルの請求書を送られてきた場合は有料、送られてこなければ無料だとわかるからである。サンプルは高価なものなら有料だが、それほどでもないものなら無料になるケースもある。
しかし、そこでもけちけちしてはいけない。サンプル代、送料共に有料であっても、すべて相手の条件を受け入れてしまうのが得策だ。
そして、次のように言うのだ。
「わかりました。その条件でいいです。しかし、本発注の際にはサンプル代と送料を無料にしてほしい」こう言えば相手にとってもフェアに聞こえるし、リスクもない話である。
発注があった時に値引きすればいいだけだからだ。ここだけの話、私はこの申し出を断られたことは今まで一度もない。
サンプルを利用するマーケティングの方法
あなたが海外の見本市に行って良い商品を見つけ、サンプルが届いたとする。さて、次にどうすればいいの?あなたが販路を一切持たないとしたら、ここでこんなふうに思うのは当然だ。飛び込み営業などしても、相手にされることはまずないし、私もそれはわかっている。
自分のサイト等にアップして売る方法もあるが、それは極めて特殊なマニア向けの商品等にこそ有効であるが、一般向けに流通させ、ビジネスとして考えるには得策ではない。
そこで私は、次の3つの方法をお薦めしている。
- ①アマゾン等、インターネット上で出品する
- ②プロの業者に頼んでFAXのDMを送ってもらう
- ③日本国内の見本市に出展する
①アマゾン等のインターネット上で出品して反応をうかがう方法は一番簡単で費用もかからない。
要は、サンプルをネットショッピングに出品して、日本の市場に需要があるかどうかリサーチをするのだ。
そこで反応があれば、次に自分の商品に興味がありそうなお客様に連絡をし、アポイントを取って、サンプル商品を持って実際に商談に行くのである。ここで言う「お客様」とは個人のことではない。あなたの商品を購入・販売してくれる日本の会社のことである。
ほとんどの大きな会社には購買課等の部署がある。彼らの仕事は商品発掘である。実は、大きな会社であればあるほどアポイントが取りやすい。大きな会社は常に新商品の情報を求めているからだ。
そう、いつでも、誰にでも、門戸は開かれているのである。でも、いきなり興味があるかないかわからない会社にアポイントなんて取れるのだろうか?そんな心配をされる方もいるだろう。
たしかにこの方法は、経験・度胸も必要とされる。あなたが二の足を踏むのも理解できる。
そこで②についてご説明しよう。
私は、輸入ビジネスの初心者には、まずこの方法をお薦めしている。今は、ジャンル、地域ごとのリストを持ったプロのFAXダイレクトメール業者がある。
見込み客を集めるために、プロがFAXを数千社に流してくれるのだ。業種別の名簿があるので、あなたの商品に興味がありそうな会社にターゲットを絞ってFAXは送られる。こちらはその原稿を考えるくらいだ。
場合によっては、原稿も作成してくれる。
こうして反応があった会社にだけ電話でアポを取り、サンプルを持って商談に出かけるのである。費用は内容にもよるが、3万~8万円前後。
反応は3500社にFAXを送っても、返ってくるのは約0・3%。それでも10件のアポイントである。その中で1件でもあなたの商品を1000個買うという大口の買い手が決まれば、大成功ではないか。そこから後の商談は、あなた次第である。
価格設定の方法については第6章で詳しく述べるが、商品に対する要望、市場価格等でお客様と折り合いをつけるのだ。この際に気をつけることは、お客様の反応を見て、安すぎるのか高すぎるのか、フレキシブルに対応することだ。
自分の商品にいくら自信があり、この値段で売るのだと言っても、買ってもらえなければ意味はない。特に気をつけなくてはならないのは、商品改良の要求は謙虚に受け入れ、フィードバックを約束することだ。
繰り返すが、あなたはメーカーなのである。メーカーは、常にお客様の要求に応える商品を開発する。ありものを押し付けるのではなく、オーダーメイドにも応えられる柔軟な発想が必要だ。仮に、あなたが日本市場のニーズを製造元に伝えれば、必ず何かの対応策を示してくれることだろう。
販売するお客様側も、商品に対する要求が受け入れられれば、「一緒にオリジナルの商品を作っている」という共同開発の連帯感が生まれ、積極的に商品をプッシュしてくれるようになる。
サンプルがそのまま受け入れられなくても焦る必要はない。サンプルはあくまで雛形であり、日本向きの商品を作る土台なのだと理解しておこう。
あなたの発想次第でサンプルが大ヒット商品に化ける可能性を秘めている。
そして私が最もお薦めするのが③日本国内の見本市に出展する──である。
私がアドバイスしている個人のインポーターの方々の多くはこの方法を採用し、絶大な効果を収めているのだ。なぜって?見本市に出展すれば、あなたは自分の商品をわざわざ営業して回る必要はなく、「取引をお願いしたい」と相手から来てくれるからである。
しかも、思いがけない大企業や、異業種の方が、あなたの商品と真剣に向き合ってくれるのだ。あなたは、その場ではメーカー側として位置づけられているのだ。
法律上においても日本に商品を輸入したあなた自身がメーカーになる訳だから当然なのだが、来場者たちはまさか個人で輸入販売をしているとは思わない。
見本市に出すということだけで、あなたも、あなたの商品も飛躍的にステイタスが上がっていることを実感するだろう。見本市に出店しているのだからすごい、と誰もが思うし、それによってあなたの仕入れた商品も自ずとブランド化されるのである。
もちろん、ある程度の予算も必要である。3×3メートルの小さなブースでも参加費用だけで30万~35万円かかると見ておいた方がいい。搬入、ブースの作りこみまで考えると、倍程度の予算を用意する必要がある。
ちょっと大変に感じられるかもしれないが、広告としての費用対効果を考えると、メリットの方がはるかに上回る。
見本市に出展する際の具体的流れ、必要なもの等は第6章の販路の作り方の中で詳しく述べるのでそちらを参考にしていただきたい。
でも、そんなにお金をかけて出品して、何も反応がなかったら怖い。あなたはこのように思うかもしれない。もちろん、絶対にそんなことはない、とは言えない。あなたの仕入れた商品に魅力がなければ、当然、誰もそれを買おうとは思わないだろう。
しかし、それはそれで意味がある。サンプルの段階で日本市場での需要の有無が見極められるからだ。逆に、自信があるのなら、何万人もの人に見てもらう絶好のチャンスである。
ジャンルごとに開催される見本市というのは、結局、新たな商品、売れる商品を仕入れたいという人々が何万人とやってくるのである。こんなチャンスを逃す手はない。
最近、私のクライアントが展示会に出品した時のことを例にとろう。
3×3メートルのワンブースでブースの作りこみ等の費用も含め、総経費が60万~70万円。結果は500万円の売り上げがあったのだ。商品の値段は原価の5倍。粗利は50%以上で価格設定している。ということは、約300万円の利益である。70万円の広告をかけても、プラスなのだ。これは別段、大成功した例ではない。普通である。もっと大きなビジネスチャンスを摑んでいる方はいくらでもいるからだ。
展示会に出展すれば世界観が変わる。ここで明言しておこう。社会的には自分よりはるかに上の大企業の人間が、頭を下げて自分の商品を買い求めに来るのである。これはひとつの快感である。舞い上がりそうになるほどだ。
実際、お勧めして見本市に出展したクライアントの方のほとんどが、「出してよかった」と語っているのだ。自分が仕入れた商品は、誰かに見てもらい、買ってもらって初めて世の中に流通するのだから。また、見本市に出展するメリットのひとつに、自分が想定しない業界から声がかかることがある。
例えば、私の経験だが、子供向けの写真立てを展示したら、なんと、産婦人科の方からオファーがあったのだ。定期的に買いたいという。子供が生まれた時に写真を撮るので、そのプレゼントにしたいというのだ。
これは私にとってはまったく想定外のお客様であった。もちろん、嬉しい誤算というやつなのだが……。
美容室はもちろん、美術館や映画の小道具業者、芸能プロダクション、ケーキ屋さん等々、商品が斬新でクオリティが高ければ、あなたが想像もしない業界からオーダーが来る。
それぞれその商品が欲しい理由を聞けば、「なるほどなぁ」と納得がいく。自分の考えていること、想像している範囲なんてたいしたことないと実感するのだ。そういった経験があなたを加速的に成長させるのである。
想定外の人からのアドバイスや受注──こういう経験を積み重ねてゆくと、自分の商品発掘力やイマジネーションを過信してはならないな、とつくづく思う。
お客様に選んでもらうのが一番だな、と。日本の見本市への出展は、世界の市場からしても憧れの的である。商品を輸入する際にも、「来場者20万人の東京の展示会でこの商品を出品します」などと約束すれば、独占販売権を獲得しやすくなる。
逆に言うと、独占販売権がなければ、メーカーの代理人として見本市に出展することは得策ではないのだ。
このオファーは、あなたが膨大な費用とマーケティングを必要とする複雑な日本市場への宣伝を代わりにやってくれるというのだから、当然、サプライヤーからするとありがたい話である。
メーカー側の最大の関心は、あなたがどれくらい商品を買ってくれるのか、である。展示会に出すというだけで「売れそうだ」という雰囲気になり、交渉も上手くいくだろう。
「日本の展示会に出す」と言った瞬間、独占販売権はほとんどあなたの手中にあると言ってよい。すなわち、海外の見本市で発掘した商品の独占販売権を獲得し、日本の見本市で出品する。これが私が提唱する輸入ビジネスの王道なのである。
個人で輸入ビジネスを行う場合、この方法は一見、大胆に見えるかもしれない。多少のコストはかかる。しかし、あなたが思うよりはるかにリスクは少ない。
なぜなら、本格的に仕入れる前に、サンプルオーダーでお客様の反応を見て、注文を取ったうえで初めて輸入する方法だからだ。
私のクライアントで成功している人は、みなこの王道を歩んでいる。最も確実で、最も早い成功の道だと私は自身の28年の経験から確信している。
値付けは仕入れ価格の最低5倍にする
日本での販売元が決まったら、いよいよ見積もり依頼である。販売先が500個仕入れたいということであれば、当然、500個分の見積もりを依頼する。
値段を交渉する場合は、仕入れ価格と販売価格の兼ね合いで、どうすれば利幅が出るかが問題になってくる。あなたはどれくらいの値段にすれば赤字が出ないのか、儲けが出るのかのラインが最初はわからないかもしれない。
私は輸入ビジネスをやるなら粗利50%を切ってはならないと教えている。ということは、値段設定は次のようになる。仕入れ価格の最低5倍で販売しなくては粗利50%の儲けは出ない。
なぜかと言うと、問屋、小売店と卸していくと、最低5倍で売らないと、粗利50%を切ってしまうからである。逆に言えば、5倍の値段がつかない商品は、輸入してもあまり儲からない。
安くすればするほど、量を捌かなくてはならないし、忙しくなる。これでは慈善事業をやっているようなものだ。商品に自信があり、需要があれば仕入れ価格の5倍でも10倍でも、20倍でも構わないのである。見積書は、この最低5倍のラインを守るべく、値段交渉するためのステップなのだ。
●ビジネスコラム交渉が終わったら、相手の交渉力に屈しそうになったことを伝えろ
人は、誰しも少なからずプライドを持っているものである。それがズタズタにされたとしたら、我慢ならないことであろう。
さて、ビジネスの交渉においては、自分の利益を最大限にするために、ありとあらゆる手段を使って、相手に自分に有利なように動いてもらうべく働きかけることになる。
もちろん相手もあなた同様、仕掛けてくるだろう。お互いにこれだけは譲れないラインを死守しながら、交渉は落とし所を模索していくことになる。そしてようやく合意に至る。
問題は、一度合意が成立した後なのだ。双方ともある程度の満足感を持ちながらも、心の中で「今回はやられたかな」と思うのも事実なのである。
もしあなたが、少し有利な条件で合意したと感じたならば、しておくべきことがあるのだ。それは、相手の交渉力が優れていて、何度も屈しそうになったと伝えることだ。なぜそんなことを言うのかと訝る向きもあろう。
しかしこれには、その発言によって相手の力量を認めるというメッセージが含まれていることにお気づきだろうか。そう、相手の健闘をたたえるのである。
スポーツ選手は、激しい戦いが済んでお互い抱き合ったり、握手をしたりするではないか。あれと同じ意味合いである。今回の折衝は、どっちに転ぶかわからなかった。ある意味いいゲームであったということを伝えるのである。
今回は、少しだけ自分が有利だったかもしれないが、次回はわからないね、という含みを持たせる。こうすると相手は、次回も土俵に上がってくれるのだ。くれぐれも相手をやりこめたなどと鼻高になってはいけない。
今回は運が良かったことを強調して、次回に備えるべきなのだ。愛される交渉者になることである。
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