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第3章リモート輸入ビジネスの「手続き」の仕方

目次

第3章リモート輸入ビジネスの「手続き」の仕方

1「心の準備」をしておけば判断に迷わない

知っておいて損はない「手続き」の知識の数々

本章では、ここまでの内容からちょっと踏み込み、支払い、契約、通関、保険などの専門的な手続きについてお話しします。基本的な貿易知識として「知っておくべきこと」、さらに「知っておいて損はない」ことをお話ししていきます。

なかには「ちょっと難しいな」と感じることもあるかもしれませんが、あくまでも「貿易知識として知っておいて損はない」程度の重要度であり、小規模で行う輸入業ではあまり遭遇することのない事象もあります。

また、詳しくは後でお話ししますが、「専門業者に丸投げする」という手段もあります。

輸入ビジネスを手掛ける際、知識として知っておくことで、ほかの人間やプロに任せるという判断が下せるようになるため、押さえておきましょう。

輸入量が増えたり、コンテナ輸送が増えたりなど、事業規模が大きくなると、専門的な手続きが発生する可能性があります。

「こういうこともある」と知っておいたうえで実際に遭遇するのと、まったく知らずに遭遇するのとでは、その後の対処がまるで変わってきます。

今の段階では「そういうこともあるのか」程度にお読みいただき、いずれ必要になったとき、もう一度読み返して、具体的な対応を確認しましょう。

なお、様々なやりとりがオンラインで行われるようになった結果、手続きが簡略化されたり、なくなったりしていることもあります。とはいえ、状況が定まっていませんし、しておいたほうが便利になる手続きもあります。本章でお話しする知識が、いずれきっと役に立つ時が来るはずです。

2「代金決済」の方法は大きく分けて3種類

代金の支払い方法も状況に合わせて選ぶ メーカーに商品を発注すると同時に、あなたには商品代金を支払う義務が発生します。

海外との取引における代金決済は、日本国内の送金とは異なる点があります。海外へ支払う際の代金決済の方法は、主に次の3つです。

  1. 銀行為替、電信送金( T/ T)
  2.  信用状( L/ C)付荷為替手形決済
  3.  オンライン決済

それぞれ説明しましょう。

1 銀行為替、電信送金( T/ T)

自身の取引銀行から相手の海外の口座に直接代金を支払う、最も古典的でシンプルな決済方法です。T/ Tは、「 Telegraphic Transfer」の略です。

銀行経由で外貨を送金することを指し、銀行決済の手数料が低いのが特徴です。ただし、「代金を支払ったのに商品が届かない」「商品を送ったのに、代金が支払われない」という事態も起きています。

そのため、送金で決済する場合、できれば「前払いで 30パーセント、船積み後、もしくは入荷後に 70パーセントを送金する」という条件で交渉するべきでしょう。これでリスクを減らすことができます。

「後払い分」の送金のタイミングは、「日本の港に到着した段階」ではなく「船積みした時点」で要求されるケースがほとんどです。船積みすると、メーカーには船会社からその旨を証明する書類が発行されます。

この書類は「 B/ L(船荷証券)」と呼ばれるもので、 B/ Lを持っている人間が、最終的に荷物を受け取ることができるという仕組みになっています。

海外メーカーは、船積みを終えた時点で、船積みをしたという証拠として、 B/ Lのコピーを先にあなたに送り、たいていの場合、同時に残りの70パーセントの送金を求めます。

なお、メーカーと取引を繰り返して信用を得られたら、「商品が港に着いてからの送金でOK」など、条件緩和の交渉もできることでしょう。

2 信用状( L/ C)付荷為替手形決済

これは、輸入地と輸出地の取引銀行(日本の銀行)が輸入者に代わって支払いを確約する支払い方法です。

「信用状( L/ C)付荷為替手形決済」は貿易特有の取引方法で、端的にいえば「何かあったとき、銀行があなたの代わりに代金を支払うことを確約します」というシステムです。

何かあったときの対応をしてもらえるというのは心強いメリットになりますが、メーカーとあなたが手数料を負担しなくてはならないというデメリットもあります。

「信用状( L/ C)付荷為替手形決済」は主に、コンテナ単位での取引など、規模の大きな貿易で条件とされます。

個人の輸入ビジネスでは、使う機会があまりないかもしれませんが、「 L/ Cという支払い方法がある」ことを知識として知っておきましょう。

荷為替手形決済の方法としては、ほかに「 D/ P決済」「 D/ A決済」などがあります。いずれも初心者は覚える必要はありませんので、本書では割愛します。

3 オンライン決済

今後はこの「オンライン決済」が主流になっていくことでしょう。

「銀行為替、電信送金( T/ T)」や「信用状( L/ C)付荷為替手形決済」のような煩わしい手続きがほとんどなく、手数料も安価なことから、扱いやすい決済方法だといえます。

「オンライン決済」を取り入れることができれば、「オンライン上で完結させる B t o Bビジネス」が可能になります。

わざわざ関係各所へ出向く必要もなく、非常に合理的かつスピーディであり、すべての時間短縮、コスト削減につながります。

「オンライン決済」の代表的なものには、 PayPal(ペイパル)や Wise(ワイズ)〈旧 TransferWise(トランスファーワイズ)〉などの海外送金サービスがあります。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

① PayPal(ペイパル)

PayPalは、ペイパル社が事業者と消費者の間に入ることで、オンライン上でデビットカードやクレジットカードでの決済、銀行決済を安全に行うことができるサービスです。クレジットカード情報は PayPal内で処理され、取引に対する保証制度があるため、安心して取引することができます。

ただ PayPalは、「相手もアカウントを持っていること」が条件になりますので、使い勝手という意味ではイマイチかもしれません。

② Wise(ワイズ)

〈旧 TransferWise(トランスファーワイズ)〉 銀行などの海外送金と比べ、かなり割安で海外送金できるサービスです。

送金主は Wiseの日本の口座に送金し、一方で Wiseが送金先の国に持つ口座から払い出しすることになります。そのため「海外送金」というより、限りなく「国内送金」に近い感覚で利用できます。

海外送金の際も、間に入る銀行への手数料などのコストが省けるうえに、わざわざ銀行に行く手間もありません。また、 Wiseは、先方がアカウントを持っている必要がなく、相手側の銀行に直接振り込みができるため、合理的かつ便利です。

上限額が決められていますが、少額の取引であれば使い勝手はよいでしょう。PayPalと Wiseはともに、「資金移動業者」としての認可を受けたサービスです。類似のサービスが増えてきており、「オンライン決済」は今後の主流になると予想されます。

3 4種の「貿易条件」を押さえる

貿易には「国際ルール」がある サンプルを仕入れ、日本国内にお客さまを見つけたら、注文数の商品をメーカーに発注し、仕入れることになります。

そこで知っておかなければならないのが、商品を海外から輸送する際の「貿易条件」です。通称「インコタームズ」と呼ばれる、商取引の国際ルールです。

国が違えばルールや取り決めが異なるのは当然ですが、当事者同士がそれぞれに自国のルールを主張すると、スムーズな取引ができず、もめる原因にもなります。

そこで、国際商業会議所が制定した国際ルールが、「インコタームズ」と呼ばれているものです。2021年6月の時点では、 2020年度に発効した「インコタームズ 2020」が使われています。

インコタームズは、貿易の「取引条件」であり、貨物に関するリスク負担の範囲と費用負担の範囲が定められています。

あなたが海外から商品を輸入するにあたって、海外の工場でつくられた商品の送料をどの地点から持ち、保険料を含めたリスクをどの地点から負うか、を取り決めた国際ルールとなっています。

覚えておくべき4つの貿易条件「インコタームズ」で定められている代表的な項目は、次の4つです。

  • 価格条件(建値条件)
  • 引渡しの場所
  • 危険(リスク)の移転時期
  • 輸入業者と輸出業者の費用負担の分岐点

これら4つの貿易条件を、インコタームズでは 2クラス 11種類に細かく分類し、輸入する側と輸出する側がどういった条件でコストを負担するかなどをわかりやすく定めています。

すべての条件を覚える必要はありません。現実的には次の「 4種の貿易条件」を覚えておけば大丈夫です。

費用負担(価格条件)の観点とリスクに絞って説明します。

1 工場渡し価格( Ex Works価格、 EXW価格)

「工場渡し価格」とは、海外メーカーの工場で商品を引き取る場合の価格条件です。あなたが指定した国際貨物運送業者を工場に引き取りに派遣し、引き取った段階でリスクと費用はあなたの負担となる、という条件です。

輸出通関などの手続きもあなたが対応することになりますが、運送業者が代行してくれますからご安心ください。リスクについても、海上保険でほとんどのリスクを回避できるため、問題ありません。「工場渡し価格」は、ヨーロッパとの取引で提示されることが多い条件です。

2 本船渡し価格( FOB価格)

「工場渡し価格」に、メーカーが工場から輸出港(空港)まで運ぶ運賃・通関・船積費用を含んだ価格条件です。アジアとの取引で提示されることが多い条件です。リスクと費用をどちらが負担するかの分岐点が、船積み時点になります。

たとえば、船積み後、不幸にもその船が沈んだとしたら、それはあなたが費用を負担するリスクとなります。なお、海上保険に入っておけば、それで対応できます。

3 運賃込み価格( CFR価格)

「本船渡し価格」に、輸出港や空港からあなたの指定する港や空港までの運賃を加えた価格で、 C&Fと表記されることもあります。FOBと同じく、船積みを終えた以降は、商品のリスクはあなたが負うことになります。

4 運賃・保険料込み価格(CⅠF価格)

「運賃込み価格」に、海上保険(航空保険)の保険料を加えた価格です。リスクと保険料、運賃以外の細かな費用の分岐点は、「工場渡し価格」「本船渡し価格」「運賃込み価格」と同様、船積み時点になります。

米国との取引で提示されることが比較的多い条件で、日本からの、輸出の際にも多く使われます。それまでのやりとりの多くをオンラインで行っていたとしても、輸送の手続きは、リアルで行われるものばかりです。輸送の段階になったら、再度確認してください。

4「納期」の決め方に気をつける

「納期」の定義は貿易条件によって変わる

日本において「納期」とは、お客さまが指定する場所に商品が届く日のことを指しますが、海外では違うため、注意が必要です。海外との取引において、「納期」の定義は、貿易条件によって変わります。

たとえば Ex Worksの場合、メーカー側の工場で商品を受け取る日を「納期」と表現します。FOB条件の場合は、船や飛行機に載せた日が「納期」となります。

つまり、日本のお客さまに輸入した商品を納品できる日は、日本のあなたの手元に荷物が届くまで決められないということになります。

貿易条件における「納期」は、日本国内のお客さまへの「納期」とはまったくの別物です。誤解のないようにしましょう。

「リードタイム」を加味する

「納期」も「リードタイム」も、日本国内における取引の感覚とはまったく違いますから、契約の際は、納期やリードタイムを必ず確認しましょう。商品を発注したら、すぐに発送され、届くわけではありません。

メーカーが商品をストックしていればさほど時間のロスは生まれませんが、オーダーを受けてから商品をつくることも少なくありません。その場合、一定の製作期間がかかります。その時間(生産日数)が「リードタイム」です。

貿易条件における「納期」と「リードタイム」、さらに輸送の時間などを加味してオーダーし、納期を見定める必要があります。

リードタイムが 2カ月ほど必要となる場合もあります。

つまり、日本メーカーを相手にするときと同じような感覚で発注すると、手元に届くのに大変な時間を要する場合があるので、注意が必要です。

契約時に「商品のストック」の有無を確認する「商品をストックしているか」「ストックしている場合、どこから送られてくるのか」も事前に確認しておきましょう。自国にストックがあれば比較的迅速な発送をしてくれます。

ただ、欧米のメーカーでも「ストックは自国にあるが、生産は中国で行っているため、貿易条件や物量によっては中国から直接送る」という場合もあります。

当然、この場合もリードタイムが発生します。契約の段階で「納期」と「リードタイム」も確認しておくと、誤解やトラブルが減り、スムーズに進みます。

5「通関」のために用意すべき5つの書類

通関は「プロ(専門家)」に任せる あなたが発掘し、契約した商品がいよいよ日本の港に到着しました。そこで必要になるのが「通関」という手続きです。通関とは、税金の申告・納税のことを指します。

貿易に関する税金は、賦課税(国や地方公共団体が納めるべき金額を計算し納税者に通知する)ではなく、申告税(納税者自らが、税務署へ所得などの申告を行い、税額を確定させる)です。

「この商品をこれだけ輸入したから、これだけの税金を払います」と自ら申告しなくてはなりません。ところがこれが結構難しいのです。輸入ビジネスを始めるにあたり、最も大きな障害となるのが通関かもしれません。

商品のジャンルによって税率も異なり、なかには税金がかからないものもあります。また、すべての輸入品には消費税が課されるため、消費税を合計した税額を算出しなくてはいけません。最も難しいのは、「その商品がどのジャンルに属するか」という判断です。

課税する側の主観で決めている側面もあるため、判断がつきにくいのです。通関に関する手続きは、自分でやれないことはありませんが、大変な手間暇がかかります。

費用はかかりますが、通関は、「プロ(専門家)」に任せるべきです。

ただし、通関業者やフォワーダーといったプロに通関を任せるにあたっても、あなた自身で用意しなければならない必要書類が5つ存在します。

5つの必要書類を用意できなければ、プロに丸投げすらできないことになります。ここは頑張らなければなりません。5つの必要書類は、次ページのリストのとおりです。それぞれの書類の入手方法をご説明しましょう。

1 インボイス(送り状、仕入れ書、納品・請求書)

あなた(輸入業者)に対してメーカー(輸出側)が発行する納品書兼請求書です。契約の段階で発行され、インボイスを元にあなたは送金の手続きを行います。商品の発送を依頼する際にも、インボイスが必要になります。

2 パッキングリスト(梱包明細書)

「貨物がどのように梱包されているのか」「梱包の数はいくつなのか」「インボイス番号と内容、大きさと重量はどうなっているのか」「梱包の外装に書かれたマーク(荷印)はどんなものなのか」が記載されている書類です。あなたが要求することで、メーカー(輸出側)が発行し、送ってくれます。

3 運送書類( B/ L、 A W B)

船便輸送の場合、 B/ L(船荷証券)は、輸入に関する書類の中で最も重要です(航空便の場合の「航空貨物運送状」は A W Bといい、同じく重要)。メーカーがあなたの商品を船積みすると、船会社はメーカーに対して B/ Lを発行します。

B/ Lは「貨物受領書」であり、船会社が運送を引き受けたことを示す「運送契約書」でもあり、これを所持している人間だけが、船から貨物の引き渡しを請求できます。メーカーが船会社から預かった B/ Lは、最終的に受け取る相手、つまりあなたに送られてきます。

この B/ Lを証明書として提示することで初めて、あなたは商品を港から引き取ることができるのです。B/ Lは「有価証券」であり、商品と同等の価値があるものとされているので、まずはそのコピーが送られてきます。

前払い 30パーセント、後払い 70パーセントの契約をしていたのであれば、あなたが残りの 70パーセントの代金を送金すると、原本が郵送されてきます。

B/ Lの原本は商品を受け取る際に渡してしまうので、万が一のために、 2通発行される予備は保管しておくといいでしょう。

4 保険証券

輸入ビジネスにおいて、保険の加入は必須です。貨物保険は、輸送開始前に加入しておきましょう(日本の保険会社がベスト)。

ただし、契約直後だと、申し込みに必要な船の名前等がまだ確定していないので、通常は仮の内容で「予定保険」に入り、確定したら「確定保険」に移行します。また、輸入のたびに手続きをしなくても自動的に保険が掛けられる「包括予定保険契約を結ぶという方法もあります。

「包括予定保険契約」とは、あなたが将来輸入するであろう全貨物について、もれなく保険を掛けることをあらかじめ保険会社との間で協定しておく契約です。

「包括予定保険契約」は、フォワーダーや通関業者に頼めば手配してくれます。その際に発行される証券を準備しておきましょう。保険については後の項目でも詳述します。

5 原産地証明書( Form A)

原産地証明書の正式名称は、「一般特恵関税制度原産地証明書様式 A」、略して「 Form A」と呼ばれます。原産地の税関または権限を有する商工会議所等が発給します。

これは、特定の地域から輸入する際に、「一般特恵関税制度( Generalized System of Preferences: GSP)」という制度の適用を受けることができる証明になります。

「特恵関税」とは、先進国が開発途上国から輸入する際に関税率を引き下げる、もしくは無税にするもので、開発途上国の支援を目的とした制度です。

あなたが特定の開発途上国から商品を輸入する場合、原産地証明書があれば、関税を引き下げてもらえたり、関税がかからなくなったりするのです。

あくまでも「特定の地域」から輸入する際に必要となる書類なので、常に用意する必要はありません。ただし、これを適用する場合は、現状、「原産品申告書」が必要となります。

現在は TPPや FTA、 EPAなどが拡大しているため、徐々に必要度合いが少なくなると考えられます。

ここまでにご紹介した5つの書類はすべて、メーカー側かプロの輸送業者が手配してくれるものであり、自身で作成する必要はありません。

あなたがすべきなのは、確実に発行・送付してもらうこと、そして発行された書類の管理です。必要書類を準備したうえで、商品を日本に上陸させる手続きはプロに任せる。これが最も安心で、コストパフォーマンスの高い方法です。

6 「B/ Lなし」で商品を引き取る方法

「サレンダー」で最悪の事態を防ぐ 輸入ビジネスをしていると、商品だけが日本の港に先に到着し、書類がなかなか届かないケースが出てきます。

たとえばアジア諸国から輸入する場合、たいてい 2 ~ 3日で商品が届きます。

ところが、 B/ Lなどの書類は、船会社から輸入者に回ってくるまでに 1週間ほどかかることがあります。「貨物は港に着いたものの、 B/ Lがないために、商品を引き取ることができない」という事態が起きてしまうのです。

前述したように、 B/ Lの原本が手元になくては、あなたは商品を引き取ることができません。そのため、 B/ Lの原本が届かない間、商品が港に置きっぱなしという事態になるおそれがあります。

こうした時は、「フリータイム」を活用することになります。「フリータイム」とは、コンテナ輸送の貿易取引において、揚港のコンテナヤード等に貨物を無料で置いておける制度で、すべての荷主や荷受人がその権利を有しています。

期間は 10日間ほどしかなく、この期間を過ぎると、港の倉庫に超過料金を支払わなくてはならなくなります。納期を遅らせることだけは、絶対に避けたいものです。

そこで有効なのが、「サレンダー」という手法です。サレンダーとは、「 B/ Lなし」で商品を引き取ることができる方法です。「B/ Lの原本が手元になくては商品を受け取れないと言ったではないか」と突っ込まれてしまいそうですね。もちろん、原則として、 B/ Lの原本が手元にないと商品を受け取ることはできません。

しかし、 B/ Lが商品より後に届くケースのほうが圧倒的に多いのが実状のため、正式な方法ではありませんが、「 B/ Lの元地回収」と呼ばれる、サレンダーという手法がとられているのです。

本来は、貨物の船積みをすると、船会社は「貨物を引き受けた証明書」としてメーカーに B/ Lの原本を手渡し、その原本があなたに送られてきます。

これが「商品引換券」となり、引き換えて貨物を受け取ることができます。船会社が発行した B/ Lは、最終的に船会社に戻るというわけです。

サレンダーの場合、貨物の船積みを終えた段階で、船会社が輸出者に B/ Lの原本を渡すのではなく、「 Surrendered(サレンダード)」のスタンプのついたコピーを渡します。

つまり、原本を船会社が持ったままの状態で商品が日本に届き、コピーと照らし合わせることで、輸入者は商品を引き取ることができる、という流れになります。言い換えると、輸出地で B/ Lを回収してしまうのです。

サレンダーは、船積みを終える時点までに全額を送金することで、多くのメーカーが対応してくれます。

正式なやり方ではありませんが、ごく普通に行われている手法なので、アジアなど近隣の国から輸入する場合は、サレンダーで輸入できることを念頭に置いて契約するといいでしょう。

7輸送・保険・通関はすべて「プロ」に任せる

請求書を「フォワーダー」に渡す

メーカー側と貿易条件を取り決めると、「インボイス(請求書)」があなたのもとに届きます。あとは、商品の運び入れになるのですが、「誰にどうやって頼めば、自分の商品を運んでくれるのかわからない」というのが、輸入ビジネス初心者に共通する疑問です。

オススメは、届いた請求書を「フォワーダー」と呼ばれる業者に渡し、商品の輸送手続きをお願いしてしまう方法です。フォワーダーとは、荷主から貨物を預かり、他の業者の運送手段(船舶、航空、鉄道、貨物自動車など)を利用して運送を引き受ける専門の事業者のことです。

一般的には貨物利用運送事業者のうち国際輸送を取り扱う専門業者を指します。フォワーダー業務を営む会社は数が多く、小規模の輸入ビジネスに対応してくれる業者も存在します。

あなたは、日本のフォワーダーに、面倒な海外からの輸送、保険のすべてを一括して任せることが可能なのです。費用のすべてはいったん、フォワーダーが立替払いしてくれ、後から一括して代金を払うという形が多数を占めます。

保険会社や運送会社に連絡を取って交渉し、それぞれに支払うという作業の手間が省けるのです。何から何までフォワーダーにお任せできる かつては、「フォワーダーはあくまでも『荷物を運ぶ役割』であり、関税等を納税する『通関業者』とは別である」という考え方が主流でした。

しかし今は、通関までをすべてフォワーダーがやってくれるケースが増えています。それどころか、通関後の国内発送まですべてやってくれたり、保険についても相談に乗ってくれたりする業者もあります。

海外からこちらに商品がやってくるまでのプロセスは、すべて、プロに丸投げできてしまうのです。輸入ビジネスはあくまで物販です。大事なのは、「売れるものを見つけること」と「実際に売ること」。

あなたはこの2つにだけエネルギーを注ぐべきであり、その間にある面倒なことは、すべてプロに任せてしまえばよいのです。

輸送や保険、通関を心配して、輸入ビジネスをはじめることに二の足を踏む人も多いのですが、なんとももったいない話です。これらはすべて、プロに任せることができる、あなたが考える必要のないことばかりなのですから。

8物流もすべて「プロ」に委託する

商品を自宅に置くのは N G輸入した商品を港から引き取った後、絶対にやってはいけないのが、「商品を自宅に置く」ことです。

商品を自宅に置いてしまうと、在庫が目に見えてしまい、モチベーションが下がるおそれがあります。生活スペースも圧迫するため、不都合なことも多くなります。

また、自分で発送作業をしてしまうと、一日の大半を「梱包」と「発送」に取られてしまうことになります。サンプル程度であれば、自宅で保管しても問題はないのですが、本格的に輸入を始めたら、自宅で商品を保管するのはオススメできません。

商品を一時的に置いておく倉庫を借りる必要があります。実は、倉庫も自分で探す必要はありません。フォワーダーが請け負ってくれるからです。フォワーダーの多くは、自前の貸し倉庫を港のそばに持っています。個別の取引先に発送してくれるサービスもあり、小口の配送までフォローしてくれます。

つまり、フォワーダーに頼めば、輸入ビジネスの中間工程である輸送から通関・配送までを一括して代行してくれるのです。あなたは「商品発掘」と「買い手探し」にだけ力を注げば、それで OKということになります。

実は私自身、自社倉庫から商品を配送していたことがあり、梱包・配送がいかに大変な作業かは、身をもって経験しています。

商品が売れれば売れるほどつらくなる。本当に不毛な時間でした。物流はプロに委託するのがベストだと言えます。これから輸入ビジネスを始めるのであれば、貸し倉庫を持っているフォワーダーに運送を頼むのがよいでしょう。

はじめのうちは、付き合うフォワーダーは 1社でも問題ありません。ただ、取引するメーカーや地域が増えてきた場合は、安定した輸入ビジネスを展開していくためにも、地域別、商品の種類別に複数のフォワーダーと付き合うことを考えてもいいかもしれません。

「ヨーロッパに強いフォワーダー」「アジアに強いフォワーダー」など、フォワーダーにも国や商品ごとに、得意・不得意があるからです。

ただ、早い段階で信頼できる 1社が見つかり、その会社が全世界の貿易をオールラウンドにフォローできるのであれば、その 1社と長く付き合い続けるのももちろん、間違いではありません。

9「輸送トラブル」をあらかじめ防ぐ方法

「ヤード通関」を使う

商品の輸送には、多くの場合、船便を利用することでしょう。輸送時のトラブルは決して少なくありません。船による輸送のトラブルで最も多いのは、商品の破損です。

壊れやすいものを輸入する場合、破損を極力避けるためには、コンテナでの混載(他の商品と一緒に積むこと)を避ける必要があります。

自分の貨物だけではなく、ほかの輸入業者の貨物と混載になると、輸出時と輸入時に 2回、貨物の中身を開けられ、チェックされるためです。

チェックの都度、荷物が開封され、商品が出し入れされることになるので、破損や傷みが発生しやすくなります。

こうしたリスクをできるだけ抑えるためにオススメなのが、輸入する商品の積載量がコンテナの半分くらいになるなら、コンテナを1つ借り切って運ぶことです。

そうすることによって、輸出入時に荷物を開けられることなく、コンテナヤードに保管されたままの状態で通関することができるようになります。これを「ヤード通関」といいます。

また、メーカーからあなたの手元まで直接輸送されてくるので、盗難に遭う可能性もほとんどありません。少しでも商品が破損する可能性を減らしておくことが必要です。

「ヤード通関」を依頼する場合は、「混載ではなく、フルコンテナで手配してほしい」とフォワーダーに頼んでおけば、それで OKです。料金が極端に高くなることもありませんし、破損や紛失の可能性を減らすことにもなります。

実は多い「温度」トラブル 商品によっては、「リーファーコンテナ(温度調整機能付コンテナ)」を選択しましょう。ヨーロッパから船で海上輸送されるコンテナは、必ず赤道を通ります。

炎天下にさらされるため、コンテナの内部は熱くなります。鉄板やアルミでできたコンテナの内部は 100度を超えることもザラです。ワインなどの食品類やキャンドルなど温度変化に弱い商品は「リーファーコンテナ」を使うように指示しておく必要があります。

リーファーコンテナとは、冷凍・冷蔵貨物の輸送に使用される特殊コンテナです。冷凍機を内蔵しており、コンテナ内部を一定の温度に保つことができます。

断熱材を使用しているため、通常のコンテナに比べて内寸は若干狭くなるという弱点はありますが、リーファーコンテナを使えば、温度変化による商品の変質、変形を防ぐことができます。

あらかじめフォワーダーに商品の内容と高温のリスクを伝えておくことで、最適なコンテナを手配してくれることが期待できます。

10「船便以外」の輸送手段も考えておく

多少輸送費が上がっても「航空便」を使う 商品の輸送手段はもちろん、「船便」だけではありません。船便に続いてよく利用されているのが「航空便」です。航空便の長所は、とにかく「速く着く」こと。

ヨーロッパからの輸送では、船便ならば 1カ月かかってしまうところ、航空便ならば数日で到着します。ただしその分、コストが高く、船便の数倍かかる場合も多いです。

「ここぞ」という場面の使いどころを考えながら利用するとよいでしょう。長期の輸送で品質が変わってしまう商品に関しては、航空便で運んだほうがよい場合があります。

また、貴金属やブランドもの、高価で軽い商品は、航空便で運ぶほうが安全です。数量面では、段ボール 3箱くらいの少量ならば、船便を利用する必要がなく、航空便を使ってもいいかもしれません。

「国際スピード郵便( EMS)」という選択肢

わざわざ航空便を使うほどの商品でない場合は、国際スピード郵便( EMS)を利用するのも1つの手です。

郵便物扱いになるので、あなたが配送を希望する場所まで商品が配達され、価格も非常にリーズナブルです。郵便ですから、荷物追跡サービスも充実していて安心です。

通関を日本郵便がやってくれるのも大きなメリットです。通関の専門業者に頼む必要もありません。少量の輸入品、始めたばかりの段階であるならば、 EMSを有効利用すべきです。

大きさ、重さに関して制限があるので事前に確認しておきましょう。EMS以外でも、「 FedEx」や「 D H L」といった国際輸送サービスもあります。

輸入初心者や、「手始めに少量の輸入から始めたい」「サンプルを輸入したい」といった用途であれば、 EMSや FedEx、 DHLを使ってコストを抑えながら、スピード感が担保された輸送手段を選ぶことをオススメします。

11「無保険」は絶対に避ける

なぜ「海上保険」が必要なのか 船でコンテナ輸入をする際は、海が相手になるため、商品が途中で壊れてしまうこともありますし、下手をすれば紛失されてしまう可能性さえ存在します。

加えて公海上では、いまだに海賊も存在していたりしますから、絶対に保険を掛けておかなければなりません。

海上保険では、万が一の事態があった場合、品物の代金だけではなく、売却して得られるはずだった利益も 10パーセント保証してくれるのです。

それにもかかわらず、海上保険の保険料はさほど高くはありません。手続きも簡単です。自身で加入手続きをするのもよいのですが、フォワーダーなどに代行を頼むことも可能です。

せっかくならば「保険対応まで代行してくれるフォワーダー」に運送・通関とセットで保険まで頼んでしまうといいでしょう。商品の種類によって保険料は異なります。

壊れやすいものは保険料が割高になりますので、さまざまな種類の商品を同時に輸入する場合は、いちばん壊れにくいものをメインの商品として申し込むのが、賢い保険の掛け方です。海上保険にも条件によってさまざまな種類が存在しますが、オススメは「オールリスク( A/ R)条件」です。

「オールリスク条件」とは文字どおり、すべての外部的な偶発原因によって起きた損害について程度を問わずにカバーしてくれる保険です。

損害内容には、「沈没」「火災」「濡れ」「衝突」「強盗」などがあります。ただし、次のような場合は保険としてカバーされませんので、注意が必要です。

  1. 被保険者がわざと与えた損害
  2. 商品の梱包が不完全なために起きた損害
  3. 航海の遅延による損害
  4. 貨物固有の性質によって生じた損害(果物が腐るなど)
  5. 戦争およびストライキによる損害

万全を期したいという場合は、オールリスク条件に特約で「戦争保険」と 「ストライキ、暴動保険」を掛けると完璧でしょう。運送におけるほとんどのトラブルに対応することが可能です。

海外では労働者の権利としてストライキが頻発しており、輸送が止まって納期どおりに商品が届かないこともあり得ます。また、海外であれば政情不安の場所も多く、戦争も絶対に影響しないとはいえません。

「戦争保険」や「ストライキ、暴動保険」といった特約を付けておくとより安心です。海上保険は「日本の保険会社」に頼む海上保険は、海外の保険会社ではなく、国内の保険会社に頼みましょう。海外の保険会社と補償についてやりとりするのは、とても大変だからです。

損傷の状態や、「何が起こってこうなったのか」について外国語でコミュニケーションするのは、そもそも難易度が高いですし、保険金が下りるまでにも相当な時間がかかります。

もちろん、日本のフォワーダーを通せば、自動的に日本の保険会社に頼んでくれますから、安心してください。ただし、取引をしていく中で、海外メーカー側から「自国の保険でなければ取引しない」と言ってくることがあります。

たとえば、「運賃・保険料込み価格( C Ⅰ F価格)」での契約を提案されるケースです。これは、「メーカー側が保険料まで支払うから、メーカー自国の保険会社の保険を掛けてください」という提案です。

「運賃・保険料込み価格( C Ⅰ F価格)」での契約を提案された場合は、とりあえず相手の指示に従いましょう。その場合は、自分で日本の保険会社の海上保険に入っておくことをオススメします。

二重に保険を掛けることになりますが、とりわけ壊れやすい商品を運ぶ際には両方掛けておき、万全を期すべきです。輸入ビジネスが軌道に乗ってきたら、「包括予定保険契約」の加入も検討するといいでしょう。

「包括予定保険契約」に入っておくと、煩雑な手続きがいらず、「うっかり掛け忘れた」なんていうこともありません。

船便の場合はとにかく、「日本の保険会社」の「オールリスク条件の海上保険」に入っておくのが絶対だと覚えておいてください。

12万が一のために「 PL保険」にも加入する

「万が一」の可能性を疎かにしない 海上保険のほかにもう1つ、入るべき保険があります。それが「 PL保険(生産物賠償責任保険)」です。

PL保険とは対人賠償であり、「あなたが輸入した商品によって、それを使った人が怪我をしたり、財産を失ったりした場合の賠償責任保険」です。

PL保険は、 PL法に基づき、制定されたものです。日本においては、輸入ビジネスの場合、商品を仕入れた後は輸入者が「メーカー」となるため、生産物賠償責任が発生します。

つまり、あなたの輸入した商品で何かトラブルがあった場合、あなたが損害賠償をしなくてはならないということです。そのため、万が一に備えて、 PL保険に加入するのは必須といえます。

年間のコストは数千円程度。入らない選択肢はないでしょう。

PL保険への加入については、通関業者に頼んでもよいですし、インターネットで商工会議所の PL保険を調べ、そこから加入しても OKです。

現実的には、生活関連の雑貨を輸入する場合には、 PL保険のお世話になることはほとんどありませんが、口に入れたり、直接体に触れたりするものを輸入するときはなおさら、万が一のリスクを考え加入しておくべきでしょう。

リスクがあると考えられる商品はサンプルの段階で徹底的にチェックし、危険であれば改良を求めることが重要になります。

そもそもリスクのある商品は「輸入しない」ことが重要で、そのうえで、万が一に備えて PL保険に加入しておくのがベストです。

いざという時の備えを万全にしてこそ、安心してビジネスに取り組むことが可能になります。輸入ビジネスは、海外との取引なので、日本での取引の当たり前が通用しません。

ビジネスの仕組みも、ルールも、マナーも文化も違うのですから当然です。書類や手続きを調えることで、様々なトラブルを回避することができます。そのことは覚えておきましょう。

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