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第3章フレーズとセリフで学ぶフィードバックのポイント

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第3章フレーズとセリフで学ぶフィードバックのポイント

BADフィードバック上がそう言うから、仕方なく言うよ>上司や人事のせいにして逃げてはいけない

第3章では、フィードバックをするときに意識しておくべきことを、実際の「セリフ」「フレーズ」を通じて、お伝えしていきます。

まずは、フィードバックが始まった直後の場面から。こんなセリフを言ってしまうと、すべてが台無しになってしまいます。

自分の責任ではない、とアピールをしてもすぐバレるフィードバックをするうえで、多くのマネジャーが恐れるのは、「厳しいことを言って、部下に恨まれること」でしょう。

その場で泣かれたり、キレられたりするのも困りますが、フィードバック後に、言うことを聞いてくれなくなったり、距離を置かれるようになったりすれば、仕事がやりにくくなります。

しかし、「恨まれたくない」からといって、逃げ腰のセリフを吐くと、すべてが台無しになってしまいます。

その代表的なセリフが、「〇〇がそう言うから、仕方なく厳しいことを言うよ。俺はそうは思っていないけどな」です。〇〇には、「人事」「上」「社長」などの言葉が入ります。

同じような意味のセリフとして、「社長の方針だから、我慢してここは従ってくれ」というのもあります。

いずれも、「自分の責任ではない」ことをアピールするためなのでしょうが、こんなふうに言われたら、その後のフィードバックはまったく刺さらず、部下は素直に自分の行動を改善する気にはなれません。

それに、本当にそう思っていないのなら、社長や人事に対して、擁護してくれても良いはずです。

それをしないということは、上司もそう思っているということであり、責任逃れの発言であることは明らかです。

そもそも、マネジャーの仕事は、経営陣から下りてきた方針を、部下にわかる言葉で、わかりやすく伝えること(=目標咀嚼)です。

経営陣から下りてきた方針を、そのまま伝言ゲームのように右から左に流すだけなら、マネジャーは必要ありません。

会社や経営陣が、直接伝えれば良いのです。

管理職となったら、経営陣の方針を、咀嚼して部下へと落とし込む「代弁者」としての覚悟を決めることです。腹をくくり、逃げないことが何よりも求められます。

普段の口調からモードを変えるまた、部下に与えるショックを和らげるために、普段と同じような軽い口調で、フィードバックをする人も見受けられます。

これもまた、刺さらないフィードバックを生み出してしまいがちです。

普段通りの話し方をすると、「またなんか言ってるわ」と、部下がこの指導の機会をあまり重要視しないかもしれないからです。

厳しいフィードバックをするときは、いつもと違うシリアスなモードで話すようにしましょう。

普段の話し方から切り替えて、はっきりと区切りをつけることで、相手も「あれ?いつもと違うぞ」と感じ、緊張感を持ってくれます。

相手から目をそらさず、きちんと向き合うことも大切です。

これから言いにくいことを言おうと考えると、フィードバックするマネジャーの方も挙動不審になり、目をそらしたり、体を横に向けたりしがちですが、そういう振る舞いをしても、相手に軽視されるだけです。

第2章で、「フィードバックは個室で行う」という話をしました。

これは、フィードバックされる側のメンツを潰さないということもあるのですが、いつもとは「コミュニケーションのモードを変える」ためにあえて行っているところもあります。

部下に「話を真剣に聞かなければならない」と思わせることが重要です。

まとめ・社長や人事などのせいにして責任逃れをすると、台無しになる・普段の口調ではなく、シリアスなモードで話す

GOODフィードバック時間をかけて今後のために話し合おう>「君の行動を改善するために、とことん付き合う」という覚悟を見せる

フィードバックは思った以上に時間がかかることがあります。それを想定して、多めに時間をとっておきましょう。

ポイントは、時間をとったことを部下に伝えることです。すると、上司の覚悟を示すことができます。

フィードバックは想像以上に時間がかかる実際に部下に対してフィードバックをしてみると、ただちに実感するのは、「想像以上に時間がかかる」ということです。

多くのマネジャーが口にするように、厳しいフィードバックをするときは、たいがい自分が想定していたよりも倍以上の時間がかかります。

1時間で終わると思ったら、まず2時間はかかると思った方がいいでしょう。

しかし、時間がかかることを想定していないと、次に予定を入れてしまい、時間切れになることがあります。

これで、フィードバックが中途半端になってしまうのは最悪です。面談後、部下は納得しないままモヤモヤした気分で過ごすことになります。こんな状況では、改善されるはずがありません。

マネジャーの皆さんが忙しいのは重々承知していますが、厳しいフィードバックをするときは、できる限り、後ろに他の予定を入れないようにした方が良いでしょう。

たっぷり時間をとったことを部下に伝える意味とは?フィードバックの時間をたっぷりとることは、「時間切れを起こさなくて済む」こと以外の効果もあります。

たとえば……「今日は時間をかけて今後のために話し合おう」「2時間でも3時間でもかまわない」「この後の予定は全部空けてある」といったセリフを言うことができるのです。

このようなセリフを言えば、「君の行動を改善するために、とことん付き合う」という「上司の覚悟」を示すことができます。

すると、部下も「真剣に話を聞かなければならない」という気になります。

  • フィードバックの時間はたくさんとっておく。後に予定を入れるのは避けることが望ましい
  • 「時間をたっぷりとった」ことを部下にも伝える

BADフィードバック君って◯◯的で、◯◯性が足りないよね>抽象的なフィードバックに要注意

抽象的な表現でフィードバックをされても、部下は何をどう直せばいいのかわかりません。具体的にロジカルに伝えることを強く意識しましょう。

鉄則は、具体的にロジカルに伝えることフィードバックをするときの鉄則は、部下の問題点を、なるべく具体的に、かつロジカル(論理的)に伝えることです。そうすることで、部下は問題点を理解し、行動改善につなげることができます。

たとえば、いつも締切りに遅れる部下がいたとしましょう。その場合は、「君、いつも締切りに遅れてないか?」と抽象的に言うのではなく、「この仕事の提出が、締切りより3日遅れましたね」というように、なるべく具体的に述べます。

そのうえで、「なぜそれが迷惑なのか」「なぜその行動を直さなければならないのか」といった理由を、ロジカルに説明していきます。

「たかが締切りだと思っているかもしれないが、信頼を失って、契約を打ち切られてしまう可能性がある」などと、厳しいことも包み隠さず言った方が、部下もその深刻さを理解するでしょう。

絶対に「いつも」と言わず、「いつ」なのかを明確にするところが、つい抽象的な言い方をしてしまうマネジャーは少なくないようです。

たとえば、「いつも〇〇している」「最近〇〇だよね」というように、いつやった行動なのかが曖昧なフィードバックには注意しましょう。

具体的にどの時点の行動なのか言ってもらわないと、部下はその行動を振り返って、問題点を考えられません。

意外とやってしまいがちなのが、「◯◯的」「◯◯性」という言葉を使ってフィードバックすることです。

たとえば、「すべてにおいて悲観的だよね」「最近、主体性が感じられない」などという言葉ですが、これも、ほとんどの場合、抽象的すぎて、どの行動に問題があり、今後どう変えていけば良いのかが、さっぱりわかりません。

抽象的な言い方になってしまう原因のほとんどは、その部下に対するデータが不足していることです。

具体的かつロジカルに伝えるためには、しっかりと部下を日頃から観察して、データを収集しておきましょう。

第2章でも述べましたが、特に重要なのは、やはりSBI情報です。

「どんな状況で(Situation)」「どんな振る舞いをしたことで(Behavior)」「どんな影響があったのか(Impact)」という「SBI情報」を事前に調べあげておくことで、部下にもこちらの真剣さが伝わります。

まとめ

  • フィードバックは具体的にロジカルに。抽象的な言い方をしたら、伝わらない
  • 「いつも」「○○的」「○○性」などという言葉を使わない
  • 具体的に言うためには情報収集が不可欠

GOODフィードバック今の君は◯◯のように見えるんだけど、どう思う?>一方的に決めつけるような言い方をしない

部下の問題行動の原因を一方的に決めつけて、まくしたてても、部下は聞く耳を持ってはくれません。では、どのような伝え方をすれば良いのでしょうか。

問題行動の原因を勝手に決めつけたら、必ず反発されるフィードバックをするときに、よく陥りがちなのが、部下の問題行動の原因を決めつけて、頭ごなしに叱りつけることです。

たとえば、「ミスが多いのは、やる気がないからだ。どうせ遊びのことばかり考えているんだろう。そうに決まっている」といったように断定してしまうのです。

しかし、上司が部下に話を聞くことなく、部下の問題行動の原因を100%突き止められることはありえません。話を聞く前に、決めつけたことを言えば、部下は必ず反発します。

誰だって、上司に自分のミスの原因を勝手に決めつけられて、頭ごなしに指摘されたら、不愉快に感じるものです。

先にご紹介したパスカルの言葉のように、相手には相手の「物事の見方」があり、その「物事の見方」の中では、見ているものは「真」なのです。

この状況を改善するためには、「部下の物事の見方」をいったんは受け入れて、聞き取り、そのうえで「別の見方」があることを示してあげなければなりません。

部下には「実際はどうなの?」「それについては、どう思うの?」と聞く相手に刺さるフィードバックをしたいなら、勝手に決めつけてはいけません。

事実を元に、客観的なスタンスで、淡々と話すことを意識しましょう。第2章でも述べましたが、その際に使うと良いセリフが、「◯◯のように見えるよ」です。

先ほどの例で言えば、「やる気がないように見えるよ」というわけです。「見えるよ」と語尾につけるだけでも、客観的な印象になります。

加えて、重要なのは、「それについてはどう思うの?」と聞くことです。こうして、部下に弁明する機会を与えると、一方的に決めつけて話している感じがなくなり、部下から反発される可能性が減ります。

弁明を聞くことで、真の原因が突き止められるでしょう。取るに足らない言い訳のこともありますが、それでも言いたいことを話してもらうことで、部下の気持ちは収まります。

そのうえで、「ここに問題があるのでは?」と伝えれば、聞く耳を持ってくれるものです。

言い換えれば、こちらから一方通行的に情報を通知しただけでは、部下に腹落ちさせることは難しいというわけです。

「これは残念だと思う」「あなたはまだできると思う」と少し感情を加えるのはかまいませんが、あくまで客観的なスタンスを崩さないよう、意識しましょう。

まとめ

  • 一方的に決めつけたような物言いをすれば、部下は反発する
  • 「私にはこう見えるよ」と言えば、決めつけた感じがしなくなる
  • 「実際はどうなの?」と部下に弁明の機会を与えることで、真の原因がわかり、部下に問題点を腹落ちさせることができる

BADフィードバックあれもそうだし、ほらこの前のあれも……>あれこれ指摘するのは、逆効果かも?

何か仕事を指示するとき、「話を絞って、シンプルにした方が良い」と言われます。あれこれ話すと、何が重要なのかわからなくなって、途中で忘れてしまうからです。フィードバックに関しても、同じことが言えます。

いくつも指摘すると、「ねちっこい」と思われる「今回だけでなく、前回も、期限に間に合わなかったよね」部下の問題行動をフィードバックするとき、複数の行動を同時に指摘することがあります。同じミスを繰り返している部下なら、ある意味仕方のないところもあるでしょう。

しかし、「あのときもこうだったよね」「こないだもそうだし、その前もこうだったよね」といくつもいくつも過去を蒸し返したりするのは、それに対して負の感情を持たせやすいので、余計なハレーションを起こしてしまいがちです。

いくら部下に問題があるといっても、あまりやりすぎると逆効果です。フィードバックはシンプルに、が原則です。

あれもこれも指摘すると、薄まるまた、「あの件では締切りに遅れた」「この件ではミスが多かった」と、1回のフィードバックの機会で、複数の問題点を指摘するのも、やめておいた方が良いでしょう。

部下からすると、責められている感じが増すこともありますが、いくつも指摘すると、部下の頭の中に残りにくくなるからです。

1回のフィードバックで指摘する問題点は、1つにとどめましょう。人材開発の世界には「1回に1指示」という原則があります。

1回に複数の指示や指摘を与えると、相手はなかなか理解できず、結局、変わらないのです。複数指摘することになる要因として、そもそもフィードバック面談の回数が少ないことが挙げられます。

過去のことを言われても、部下は覚えていませんし、「なぜ今さら言うのか」とも思われてしまいます。何か問題行動があったら、すみやかに面談の機会を設けて、即フィードバックしましょう。

曖昧な記憶で話すと、信頼を失うさらに最悪なのは、記憶が定かでないことをフィードバックすることです。

「ほら、あれだよあれ、何だったっけ、ほら……」などと言って、問題があったのかどうか曖昧なことを指摘するフィードバックです。

このような言い方をすると、「この人は自分のことをちゃんと見ていない」と思われてしまい、「この人の言っていることはいい加減だから、聞く必要はない」と思われてしまいます。

挙げ句の果てには、その部下のミスではなく、別の部下のミスだった、などということがあれば、いっぺんに信用を失ってしまうでしょう。

第5章でも述べますが、フィードバックをするときには、部下の問題行動について、他の複数の部下や他部署のマネジャーなどにも話を聞いて、裏付けをとることが大切です。

まとめ

  • 過去の問題をほじくり返しすぎない
  • 1回のフィードバックで指摘する問題点は1つにとどめる
  • 曖昧な記憶でフィードバックしない
  • 第三者からも情報を集めることが大切

GOODフィードバックそうか、◯◯というふうに考えているんだね。

でもね……>話を徹底的に聞いたら、リピートしたうえで切り返すフィードバックと言うと、「伝えること」に目がいきがちですが、「話を聞くこと:傾聴」も重要です。

部下の言い分をしっかり聞ききることで、「頭ごなしに言われた」と思われずに済みますし、部下が納得するような伝え方もできます。

まずは話を聞き、論理のほころびを待つ耳の痛いことを伝えたら、部下が黙って素直に聞き入れてくれた──。

なんて、ありがたいことは、実際のフィードバック場面では、ほとんどないでしょう。多くの場合、部下は、「そうは言いますけど……」と反論や言い訳をしたり、無言になってしまったりするものです。

部下には部下の現実のとらえ方や見方があるのです。こうした反応をされれば、通知したあなたも嫌な気持ちになるかもしれません。

しかし、イライラするあまりに、部下の反論が終わらないうちに、「とはいえさ」「っていうかさ」と言って、反論し返していれば、険悪になるだけです。

まずは、イラついている自分、心がザワついている自分を認識すると良いと思います。部下からの反論や言い訳に対処するときのポイントは、攻めることではありません。

まずは、部下の言い分をじっくりと聞くことです。思いの丈をすべて吐き出せば、部下もスッキリし、あなたの話を聞く気にもなります。

また、どんな反論や反発でも、冷静に聞いていれば、必ず、「論理のほころび」が出てくるものです。そのときこそが、刀を返すチャンスです。こちらの言い分や矛盾を提示していきます。

いきなり「でもね」と返さない最も大切なことは、いきなり「でもね」と言って、こちらの言い分をまくしたてないことです。

そうすると、部下もカチンときて、さらに言い訳や反論をする、という悪循環を招きます。それを防ぐためのポイントは、いきなり返すのではなく、「部下の言うことをリピートしたうえで、返す」ことです。

たとえば、いつも締切りに遅れる部下が、「花粉症がひどくて仕事に集中できず、締切りに間に合わなかった」などと言ってきたとしましょう。

そんなときは、「花粉症のせいで、仕事に差し支えているんだね。それは気の毒だね」「花粉症がひどくて集中できないんだね。それは大変だね」というように、いったん部下の発言をリピートするのです。

発言をリピートすると、部下は、あなたに「受け入れられている」という感覚を覚えます。すると、少しあなたに心を開いてくれます。その瞬間が、刀を返すチャンスです。「でもね」と言って、こちらの言い分を述べていくのです。

先ほどの花粉症の例で言えば、「病院に行って、薬をもらってくることもできるはずだよね。最近は眠くならない薬もあるよね」「集中できないとわかっているなら、少しスケジュールに余裕を持たせるべきじゃないの?」という具合に、「仕事人として相手がなすべきこと」を指摘していくわけです。

すると、いったん受け入れたことが効き、部下が聞く耳を持ってくれることがあります。一度でダメでも二度三度とリピートして返すことで、部下はあなたに受け入れられている感覚を持つでしょう。

マネジャーの中には、こちらが通知をしているときに、部下の話を黙って聞くことは「部下に負けているような気がする」とおっしゃる方がいます。

しかし、それは違います。フィードバックとは、「受け入れて、攻めること」「負けて、勝つこと」なのです。

まとめ

  • 言い訳や反論はじっくり聞いて、論理のほころびが出るのを待つ
  • 論理のほころびが出たら、こちらの言い分を述べるチャンス
  • いきなり反論せず、相手の言ったことをリピートしたうえで刀を返す

GOODフィードバックどうすれば◯◯せずに済むだろう?>立て直し策は部下に考えてもらう

問題点を指摘した後、立て直し策を講じるまでがフィードバックです。とはいえ、上司が立て直し策を押しつけてしまうと、部下はやる気を失ってしまいます。必ず部下に選んでもらいましょう。

複数の策を考えてもらい、選んでもらうあなたが指摘した問題点について部下が納得したら、今度は一緒に立て直し策を考えます。

「耳の痛いこと」を一方向的に通知することだけがフィードバックではありません。何度も繰り返しお伝えしていますが、フィードバックの後半は「成長の支援」なのです。

そのときに注意したいのが、立て直し策を一方的に押しつけることです。「いいから、これをやれ」と言われても、部下は納得しません。

大切なのは、「どうしたら〇〇しなくて済むだろう?」などと問いかけて、部下に自分で考えさせることです。

そして、最終的に何をするかは必ず部下に選んでもらうようにしましょう。部下は、自分で「口にできたこと」しか、できるようにはなりません。

たとえば、前述に出てきた「締切りに遅れる部下」で言えば、「見積もりが甘いからいけないんだ。3日前に必ず報告しろ」などと押しつけるのではなく、「どうすれば遅れずに済むだろう?」と言って複数の策を考えてもらい、部下自身に選んでもらうのです。

その際に、「振り返り」が重要であることは、先に述べました。

過去・現在をしっかり振り返ったうえで(What?)、何が良くて何が悪かったのかを考えさせ(Sowhat?)、どう行動を変えるかを考えます(Nowwhat?)。

この場合であれば、「Nowwhat?」の部分では、「ゴールから逆算してスケジュールをきちんと立てる」「スケジュールにバッファを設ける」「スマートフォンのリマインダーを使って、期限を意識する」などといった対策が出てくるでしょう。

トートロジーにも穏やかに対応こうしたときに、部下がトンチンカンな対策を出してくることもあります。

たとえば、よくあるのが、トートロジー(同義語反復)です。「どうすれば締切りを守れるか?」という質問に対して、「今度は、しっかり締切りを守ります」と同じ言葉を言い返してくるのです。

「どうすれば締切りを守れるか?」という問いに対して「今度はしっかり締切りを守ります」と答えるのは、同じ言葉の繰り返しです。これでは対策にも何にもなっていません。

しかし、そこは穏やかに聞くのが、大人の対応です。「締切りに遅れるに至った行動を分析しないと、改善しないよね?」などと論理の矛盾を突きつけ、問題を深掘りしていきましょう。

こうした振り返りの最後に意識しておくと良いのが「SMART」です。これは、「具体性(Specific)」「測定可能性(Measurable)」「達成可能性(Achievable)」「現実性(Realistic)」「時間(Time)」の頭文字をとったもので、具体的な目標設定に必要な要素を並べています*11。

目標設定の最中には、部下の考えた立て直し策がこれらの要素を満たしているかどうか、確認できるとベストです。

まとめ

  • 立て直し策は絶対に押しつけない
  • 「どうすれば○○せずに済むだろう?」と問いかけて、考えてもらう
  • 最終的には自分で選んでもらう
  • トンチンカンな立て直し策が出てきても、とことん付き合う
  • 「SMART」で具体的な目標設定かを確認する

*11目標達成に関する「SMART」の定義には諸説あります。特に、「R」については、「Resultbased(成果志向)─成果に基づいているか?」「Relevant(関連性)─本人の価値観に沿っているか?」などとしているものもあります。

BADフィードバックでも、よくやっていると思うよ、君も>耳の痛いことを言った後で無駄にほめない

厳しいフィードバックをして、落ち込んだ部下を見ると、罪悪感に駆られることがあります。かといって、フォローのつもりで部下をほめるのは、やめましょう。さまざまな弊害があります。

厳しい指摘を忘れて、ほめられたことしか覚えていない!?

フィードバックをするときに、注意しておきたいのは、せっかく指摘したことを「帳消し」にするようなことを言わないことです。

最もありがちなのは、「厳しい指摘をした直後に、気まずい雰囲気をごまかすために、相手をほめること」です。

たとえば、取引先に多大な迷惑をかけた部下に対して、「でも、人間的には、君にも良いところがある」などとほめるのです。

厳しいことを言って、相手がしょんぼりしていると、フォローを入れたくなる気持ちもわかります。それが奏功することもあるでしょう。

しかし、フィードバックのリアルな場面では、「思わぬ弊害」も起こってしまいがちです。ポジティブな発言の方にスポットが当たってしまい、厳しいことを指摘した効果が薄れてしまうのです。

特に、なんでも自分の都合の良いように受け取る人にフォローをすると、フィードバックの内容を完全に忘れてしまいかねません。

たとえば、今、仮にポジティブフィードバックを「+」、ネガティブフィードバックを「-」としましょう。

多くのマネジャーは、ネガティブフィードバックのパワーを認めつつも、やはり言いにくいので、ポジティブフィードバックを挟んだり、ネガティブフィードバックをした後でポジティブフィードバックを行ったりします。

しかし、ここで部下が受けているフィードバック総量を考えてみてください。

図の上の事例では、ポジティブフィードバックを3した後に、ネガティブフィードバックを1しています。

すると、この場のフィードバックは足し引きを行うと「+2」になります。マネジャーとしては言ったつもりなのですが、言われた方からすると、「+2」の部分が残ってしまいます。

このように良かれと思って行ったネガティブフィードバックのフォローは、フィードバックそのものの効果を減じてしまうことがよく起こります。

これは、フィードバックをした方と、受けた方に対して行ったヒアリングの結果わかったことです。フォローのフィードバックは、白々しいのも事実です。

部下もバカではありませんから、取ってつけたようにほめても、「気休めを言わないでくれ」と思う人も多いでしょう。

つまり、どう転んでも、フォローで無駄にほめる行為は百害あって一利なしなのです。くどいようですが、フィードバックは、鏡のように、淡々と事実を述べるのが正解です。

フィードバックを聞き入れて、問題行動が改善されたというならば、大いにほめていいと思いますが、フィードバックの直後は無駄にほめないことを心がけてください。

まとめ

・部下が落ち込んでしまったからといって、ほめても、フォローにはならない

GOODフィードバックちょっと、場所を変えようか>膠着状態に陥ったら、環境を変えるのも一つの手

フィードバックの対話が膠着状態に陥ったとき、これ以上話しても無意味だと感じたら、思い切って日を改めたり、場所を変えたりすると、話がうまく運ぶことがあります。

日を改めれば、部下も冷静になるフィードバックをしていると、部下が何も言葉を発しなくなったり、同じことを言い続けて譲らなくなったり、いつまでも泣いていたりといった膠着状態に陥ることがあります。

そういう状態のことを「アンコーチャブル:Uncoachable(立て直し不能状態)」と言います。

「こんな状態では前向きな会話ができないな」とマネジャーが感じてしまう瞬間はいくらでもあるでしょう。

部下がそんな状態になったときには、それ以上、会話を続けても無駄です。

なぜなら、彼らはすでにパニック状態になってしまっているので、こちらの言葉も受け入れることはできないからです。

その日は切り上げて、別の日に改めて面談をしましょう。

すると、ヒートアップしていた部下も冷静になるので、フィードバックを受け入れやすくなります。

場所を変えるだけでも、気持ちが変わることがある「別の日にもう一度面談するほど、時間がない」という場合は、場所を変えるのも一つの手です。

外に行かなくても、会議室を変えるだけでもかまいません。

そうして時間や空間を変えると、互いに気分が一新され、建設的な話し合いができるようになることがあります。

部下も決して何も考えていないわけではないので、時間を与えると、落ち着きを取り戻し、客観的に考えられるようになります。

すると、自分の置かれた状況を自分なりにポジティブに意味付けて、現状を受け止めてくれるのです。

相手に刺さるフィードバックをするためには、「環境を変える」ということも重要なのです。

まとめ

  • 膠着状態に陥ったら、思い切って日を改めると、相手が冷静になることがある
  • 時間がないなら、場所を変えるだけでもいい

GOODフィードバック◯◯のときのな行動が△△の面で良かったと思う>ポジティブフィードバックも、客観的に伝えよう

部下の問題点を指摘することを中心にお話ししてきましたが、部下をほめることも重要です。

ほめることが苦手な人は多いですが、「ほめるに値する事実を客観的に話す」ことなら誰でもできるはずです。

最近、やる気になっているね、ではほめる意味がない「フィードバック」というと、耳の痛いことを伝えて立て直す「ネガティブなフィードバック」ばかりがクローズアップされますが、「ポジティブなフィードバック」も必要です。部下の良い行動を指摘して、ほめるというフィードバックです。

「最近やる気になっているね」とか、「最近、主体性が出てきたね」というように、ざっくり、ばっくりとしたほめ方をする人がいますが、そんな具体性のないことを言われても嬉しくありませんし、今後の行動の指針にもなりません。

どの行動がどう良かったのか、具体的に行動をほめましょう。ポジティブフィードバックの行い方は、ネガティブフィードバックの場合と、さして変わりません。

ほめるときにも、客観的かつ具体的に話すポジティブなフィードバックをするときのポイントは、ネガティブなフィードバックと同様に、「事実を元に、客観的かつ具体的に話すこと」です。

たとえば、「先ほどの企画会議では、これまで私たちの部署に足りなかった、子育て目線のアイデアをたくさん出してくれた。

今後も、自分の特性を踏まえた意見を出してくれると、皆の参考になる」という具合です。

つまり、「どんな状況で(Situation)」「どんな振る舞いをしたことで(Behavior)」「どんな影響があった(Impact)」ということを伝えるわけです。

そこまで具体的に伝えれば、次の行動につながるでしょう。

もうおわかりだと思いますが、このようなポジティブなフィードバックをするうえでも、SBI情報を集めることが非常に重要です。

悪いところばかりではなく、良いところにも目を向けるようにしましょう。

まとめ

  • 抽象的にほめても、参考にならない。部下の行動をできるだけ具体的にほめよう
  • ポジティブなフィードバックでも、SBI情報を集めることが大切

■若手マネジャーフィードバック

鉄道会社マネジャー池田大輔さん(仮名・37歳)鉄道会社の人事部でマネジャーをしている池田さん。

池田さんは運転士の経験がないにもかかわらず、部下にたくさんの運転士を抱えることになりました。

運転士経験がない中で、運転士のマネジメントも行っていたそうです。ただ、その経験によって、フィードバックの技術が磨かれたと言います。

運転士経験がないのに、運転士をマネジメント──現在の仕事内容とこれまでのご経歴について簡単にお伺いできますか?池田人事部でのマネジャーをしています。

会社にはさまざまな研修メニューがあり、主に新入社員や階層別研修等を企画・実施する10人程度の社員を、私が束ねています。

──新卒で入社されて以来、ずっと研修のお仕事を?池田最初は、駅や車掌等の現場第一線業務を3年ほどしていました。

その後、いくつかの部署を経験した後、運転士を管理する現場に配属され、そこではじめてマネジャーになりました。

部下は皆、運転士なのですが、実は私、運転士の経験は一切ないんですよ。

──それなのに、マネジャーが務まるんですか?池田最初は戸惑いましたが、意外と務まりましたね。

実は、私のフィードバックのスタイルは、その経験によって築き上げられました。今となっては良い経験をさせてもらったと思っています。

耳の痛いことを伝えながら、「上司は自分を信頼している」と思わせる──フィードバックをするにあたって、どのようなことを心がけていますか?池田一言で言えば、「部下を一方的に叩きのめさないこと」です。

部下の心にグサリと刺さらなくていいので、「俺もちょっと問題があったかな」「改めようかな」と少しでも思わせることができれば、それで十分だと思っています。

手ごたえを数字で言うとしたら、3割もあれば上々ではないでしょうか。

──フィードバックは「寸止め」でとめておくということでしょうか。

なぜそう思われるのですか?池田当社社員の多くは自分の担当する業務の専門性に自信を持っている者が多く、マネジャーは当該業務を経験していない場合も多いです。

完膚なきまでに叩きのめすと、部下は反発し、「何もわかってないくせに」と感じ、こちらの言うことに一切耳を傾けなくなるからです。

──追い詰められた人や逃げ場がない人は、反旗を翻すのでしょうか?池田基本的に、部下というのは、上司の言うことは聞かない生き物だと思っています。

なんといっても、私がそうなので、よくわかる(笑)。頭ごなしに注意されればされるほど、「変わってたまるか」「開発されてなるものか」と反発するものです。

これを繰り返していると、「こいつの言うことは絶対に聞かない」と完全フルガード態勢に入ってしまいます。

そうなったら、最悪です。その部下の行動を二度と改善できなくなります。まして、私の場合は、運転士経験がない人間が運転士にフィードバックするという状況でした。頭ごなしに言えば、「あいつは何もわかっていない」となるに決まっています。

──そんな状態を防ぐためには、「寸止めフィードバック」で対応する、ということでしょうか?池田そうです。

しかし「寸止め」でも、言うべきことは言わないといけませんよね。そこで、私は、耳の痛いことはしっかり伝えながらも、「マネジャーは、ある程度は私のことを理解して信頼してくれているんだな」という感触を、部下に持たせて帰すことを目指しています。

「理解され信頼されている」と感じると、部下は安心するので、自分のミスに関して理由や事実を正直に話してくれますし、こちらの話にも耳を傾けてくれるものです。

「そもそもの話」から始める──耳の痛いことを伝えながらも、「上司から理解され信頼されている」と思わせるために、どのようにフィードバックを行っているのでしょうか?池田まずは、「部下の話を(考え方や「思い」も含めて)すべて聞く」ように心がけています。

──部下の話を「最後まで聞ききる」というのは、頭ではわかっていても、なかなかできることではありませんね。

池田あとは、「自分の見たもの」からフィードバックをするということです。決して、誰かの報告だけからフィードバックをしません。

誰かの報告があったとしても、一度は、自分自身の目で働いている現場を見たうえで、フィードバックするようにしています。

報告だけ聞いていても、現場を見なければ、本当のところはわかりませんし、仕事や事象のイメージも湧かないので、フィードバック時に話がかみ合いません。

ただし、現場を見たからといって、すべてわかった気になってはいけないと考えています。「部下が何を考えてその行動をとっているのか」、そうした考えや思いは、直接聞かなければわからないものです。

仮に24時間見守ったとしても、話を聞かなければ、その部下のことを3割ぐらいしか把握できない、と私は考えています。

──ほとんどわかっていないというわけですね。

池田そうなんです。それこそ、運転士をフィードバックするときは、現場を見ても、何一つわかっていなかった作業の意味や勘所が、部下に話をしてもらうことで、はじめて理解できるという経験を何度もしてきました。

そこで、自分が経験したことのある仕事でも、部下に話してもらわなければ、想像以上にわかっていないのではないかということに気づきました。

だから、フィードバックが必要な問題行動があっても、いきなり部下の問題行動を注意するなど、頭ごなしに説教することは絶対にしません。部下の言い分を必ず聞くようにしています。

──どのように話を聞いていくのですか?池田普通、何かミスがあったら、なぜそのようなことが起こったのか、原因を聞くと思うのですが、私は、その前に、「そもそものところ」を聞くようにしています。

ミスした仕事の「目的やルール」を聞くのです。

運転士が機械の操作を間違えたとしたら、「この操作って、何のためにあるんだっけ?どういうルールに基づいているの?」などと聞きます。

──なぜ、そこから聞くのですか?池田「そもそものところ」の認識を共有するためです。

これがズレていると、いくら話しても話がかみ合いません。たとえば、電車の運転の話をするときに、その目的を「お客様を(不快感や不安感を感じさせないように)安全・正確に輸送すること」ととらえている人と、「とにかく定刻通りに走らせること」ととらえる人とでは、考えがまったく違ってきます。

部下の口からあえて言わせるのは、部下に自分自身の行動を振り返ってもらいやすくするためです。目的を自分の口から言うと、「あれ?目的とずれているな」などと気づくものです。

──そのうえで、改めてミスの原因を聞いていくのですか?池田そうですね。

目的を聞くときと同様に、原因を聞くときにも、「なんでこうなっちゃったんだっけ?」「わからないから、教えて」などと、軽い感じでたずねます。そうやって聞かれた方が、部下も話しやすいと思うからです。

ミスの原因をできるだけ多く引き出せれば、「組織知」、組織全体のノウハウの蓄積にもつながっていきます。そのために、研修講師や運転士を自前で雇っているわけですからね。

話を聞くことは、それ自体が、組織に貢献することだと考えています。

言い訳は、リピートして受け止める

──原因を聞くと、あれこれ言い訳をしてくる部下は多いと思います。

それに対しては、どう対処しているのですか?池田どんなにおかしなことを言っていても、すぐに反論しないで、最後まで聞ききるようにしています。

たとえば、運転士にミスを指摘すると、「天候が悪かったから」「体調が悪かったから」「直前にお客様から声をかけられて気が散ったから」などなど、さまざまなことを言ってきます。

「ちゃんと寝ろよ」「気が散る仕事なのは重々承知だろ。何年、運転士やってんだ」とその場で言いたくなりますが、ぐっと我慢します。

──何も言わないのですか?池田部下と同じ言葉を自分も繰り返して、受け止めます。

たとえば、気が散ると言われたら、「そうか、そうか、お客様に話しかけられると気が散るよね」などと言うのです。「そう感じるんだ」「そういうものか」などもよく言います。

そうやって受け止めるのは、「自分の言い分をちゃんと聞いてくれている」「事実をちゃんと見てくれようとしている」という印象を与えるためです。

すると、「マネジャーは自分のことをある程度理解し信頼してくれているな」というように感じると思うのです。

それによって、さらに洗いざらい話してくれれば、真の原因が突き止められ、適切なフィードバックができます。

ただ、私の場合は、すべて受け止めるだけでなく、たまにきつめの一言も交えます。

「そうか、そうか、大事だよな。でも、できてないじゃん」という具合です。たまにそういう言葉を交えることで、場の緊張感を保つようにしています。ただ、その頃合いは難しいです。相手への刃は「寸止め」でとめます。

部下も忙しいことを考慮する──話を聞ききった後は、どのようにフィードバックするのでしょうか?池田「どうすれば良いと思う?」と部下に改善策を聞きますが、すぐに出てこないようなら、こちらから「こうした方がいいのでは?」と言ってしまうこともあります。

人にはいろんな人がいるのです。かんで含めて、教えてあげて、わからせないと、わからない人もいるのです。

──上司は、そうしたときには戸惑う必要がありませんよね。

池田そうです。本当に大切なことは、自信を持って伝えればいいのです。その理由は、部下がそれを求めていることが多いからです。最近は、人手不足で、どの部下もたくさんの仕事を抱えています。だから、目の前の仕事を少しでも早く終わらせたい。

そういうふうに考えているのに、「どうしたらいいと思う?」と言って、のんびり待っていると、「いいから、早く教えてくださいよ」となるのがオチです。

──たしかに、近頃はそういうことを言う部下が増えているかもしれませんね。

池田部下を育てるためには、自分で答えを出すまでじっくり待つことも大切かもしれませんが、それは、仕事がヒマな時代だったからこそできた話だと思うのです。

残業削減の時代にあって、それは時代に合いません。それを踏まえて、私は、改善策をフィードバックするときには、最もパフォーマンスに直結し、短期間で改善できるポイントを手短に言うようにしています。

「長期的に見たら役立つけれども、目の前のパフォーマンスに直結しない」ことを言っても、部下は聞く耳を持ちません。

──すぐに実践できることをアドバイスするのですね。

池田目的は成果をあげることです。そのために必要ならば「気づかせれば」いいし、それが難しいならば「教えれば」いい。

最短距離を行く方法を一緒に考えてあげることが、現代のマネジャーのあるべき姿だと思います。

頑張りすぎたら、自分がつぶれる──他にフィードバックをするうえで、重要だと思うポイントはありますか?池田あとは、「一人で頑張りすぎないこと」ですね。

どんなに作戦を練ってフィードバックをしても、話を聞いてくれない部下は必ずいます。特に運転士のマネジメントをしているときは、よくありました。そんなときは、自分で言うのではなく、誰か他の人に言ってもらうようにしていました。

たとえば、その人の先輩や別の部署のマネジャーですね。すると、のように、話を聞いてもらえることがありました。

──人間関係にはどうしても相性というものがありますからね。自分で言えなかったからといって、「負けた」などと思う必要はない、と。

池田残念なことですが、「何を言うか」も大切ですが、「誰に言われるか」も大切ですね。

自分が言ってもどうしようもないことは、他の人から言ってもらう、というのは大切な実践知だと思います。

それは「負けること」じゃない。負けたなんて、そんなふうに思う必要はまったくないですね。要するに、どんな方法であれ、成果をあげればいいのですから。

──おっしゃる通りですね。

池田あと、手を抜くところはけっこう抜いています。たとえば、「正しくフィードバックするために、現場で働く姿を見る」と言いましたが、四六時中、一緒にいられるわけではありません。最低限必要な時間だけ、観察をします。

──たしかに、全部真剣に見ていたら、膨大な時間がかかります。

池田「部下を育てるために、きちんとフィードバックをしよう」と頑張りすぎて、自分がつぶれてしまったら、何にもなりませんからね。

仕事は誰のためにしているかといったら、部下のためではなく、自分のためであるはずです。フィードバックのために、自分の身を削りすぎる必要はないと思います。

──本日はありがとうございました。

解説フィードバックは「耳の痛いことを通知して、相手に変化してもらうための技術」なのであって、「相手を追い込む技術」ではありません。

池田さんがおっしゃるように、「追い込まれた相手」は、変化どころか「パニック状態」に陥ってしまい、無駄な反発をしてきます。

池田さんが「フィードバックは寸止めでとめる」とおっしゃっているのは、こうしたことにまつわる「実践知」であると思います。

非常に興味深いことです。また、どんなに自分で頑張っても、フィードバックが「刺さらない」相手というのはいます。

そうした相手が出てきたときに「他の人に言ってもらう」ということも大切な実践知です。

要するにフィードバックとは、相手が変化し、目的とする行動をとるようになることができればいいのです。

フィードバックを一人で抱え込まず、場合によっては、多くの人々に「開いていく」というのは、素敵な実践知であると感じました。

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