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第3章コミュニケーションで段取りを加速させよう

目次

21相手の頭の中にある言葉をイメージする

ソクラテスは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」と説いたと言われています。

プレゼンや商談などであなたが使う言葉は相手にちゃんと届いているでしょうか。

コミュニケーションは、受け手に届いてこそ成立しますから、相手の頭の中にある言葉を使わなければ成立しないのです。

カギは「受け手」にあります。

「ふぁぼありがとうございます」「全部かわいくて草」SNSを見ていると、若者たちがよく使っているのを見かける言葉です。

「ふぁぼ」はfavorite(お気に入り)の意味で、SNSでの「いいね」のことを指していますし、「草」というのは「笑える」「ウケる」のような意味で使われています。

詳しくない人からすると、ちんぷんかんぷんですよね。

言葉は相手とのつながりを生み出すツールでもありますが、一方で相手との壁を作るものでもあるのです。

しかし、これは何も若者に限った話ではなく、専門的な分野にどっぷりとつかっている人の中には、専門用語を多用する人が少なくありません。

商品やサービスについて専門用語を交えながら説明してしまうと、その言葉がお客様には届いていないことがよくあります。

お客様と話すときはお客様が理解できる言葉で話す必要があるのです。なんとなく伝わっているような感じに見えて、相手の頭の中はもやもやとしていることでしょう。

私は日英通訳をする機会が度々あります。そのときに大切にしているのは、相手の使う英語をよく聞くということです。まずしっかり聞くことで、どのレベルの英語が相手にとってベストかを測るのです。

英語を話す人は世界で17億人いると言われていますが、母国語として英語を話す、いわゆるネイティブは4億人しかいないのです。

その4億人は英語を母国語として使っていますから、気遣いなく英語で話しかけても問題なく通じます。

しかし、残りの13億人は英語が話せるとは言ってもレベルはバラバラです。

英語のレベルをしっかりと聞き分けて、こちらもレベルを合わせて話さないと、その単語や表現がいかにいいものであっても、相手がそれを知らなければ通じないということがあるのです。難しい言葉を使うとかっこいいかもしれませんが、通じなければ意味がないのです。

また、仕事中に当たり前のように使われている言葉の中には、実はその業界でしか使われない略語・社内でのみ通じる造語が存在します。

新入社員や初めてその業界に入ってきた人はさっぱり意味がわからなくて、それゆえ会議の内容を誤って解釈してしまったりすることがよくあるものです。

本当に頭の良い人とは、難しい話でも噛み砕いてやさしく伝えられる人です。相手にどうしたら伝わるかを理解しているからです。

ですから、プレゼンや商談、会議に向けて資料を作るときには、相手の立場に立ってその言葉はちゃんと伝わるかどうかを検討しなければならないのです。

どうしても専門用語が多くなる場合は、簡単な用語集を資料に入れるなどの配慮をしたいものですね。

とにかく話せばいいというものではなくて、相手を動かしたい、商品を買ってもらいたいなど、コミュニケーションの先にはゴールがあるはずなのです。

一方通行になってしまわないように、事前にシミュレーションをして、どんな言葉を選択すれば相手に通じるか、コミュニケーションをスムーズにするために用意できる資料はないだろうかということを考えてみましょう。

Havealanguageincommon相手の頭の中をイメージする

22メールは短く、短く、そして早く

段取りがうまい人はメールが短いです。

多忙を極める人は限られた時間の中でたくさんのメールを読み、返信をするわけですから、だらだらと長い文章があって、「で、結局何が言いたいの?」と思っていたら、最後のほうに結論が来るような文章は負担になります。

パッとメールを開いて、とても長い文章が画面に現れた瞬間に、読む気が失せてしまう可能性だってあります。

読むだけでも大変ですし、それに返信することも考えると、相当な時間がかかってしまうのではないかということが頭によぎります。

「来月のプレゼンの件で○○課長にご相談したいことがあります。お時間をいただけないでしょうか」「御社の○○について興味を持っており、協業できないかと考えております。面談の機会をいただけないでしょうか」このようにまず最初に要件を書いて、それから具体的な内容を説明することで相手への負担を減らすことができるようになります。

メールの内容を短くすることも重要ですが、それに加えて一文を短くする、ということも重要です。

「先日ご提案いただきましたプロジェクトについて、社内で検討いたしましたところ、全体的な流れを理解することはできましたが、いくつか不明点が出てまいりまして、下記に列挙いたしましたので、ご覧いただいた上で、回答いただけますと幸いですがいかがでしょうか」とても長い文章でなにが言いたいのかがぼやけてしまいますよね。

逆に短く書くと、スッと頭に入る、わかりやすい文章になります。結論を述べてからその理由を簡潔に述べる。メールは送信する前に一呼吸置いて、見直してみましょう。

削るところはないか、遠回しになっていないかという二つの視点が重要になります。また、段取りがうまい人はいつも全体を俯瞰することができています。

段取りは自分だけのものではなくて、仕事に一緒に取り組む相手にも段取りがあることを理解しているのです。

だから段取りがうまい人はメールの返信が早いです。

もちろんお礼のメールや何かの報告のメールであれば、相手はそれほど早く返信がほしいと思うこともないでしょう。

しかし、仕事の依頼や相談などのメールの場合は、早く返信をもらえたほうが相手も段取りを考えやすいですよね。

ですから私は「メール12時間ルール」を作っています。

長時間飛行機に乗っているようなとき以外は、12時間以内に返信するということです。

こうしてルールを作っておかないと、考えがまとまったら返信しよう、準備ができたら返信しようと思ったまま時間が経ってしまって相手を不安な気持ちにさせてしまう……、ということになりかねないのです。

すぐに回答できない内容もあるでしょう。

例えば、誰かに確認を取ってから連絡する場合は時間がかかりますし、長い文章の翻訳の見積書作成依頼であれば内容を簡単に確認してから、となります。

その場合にも、「お問い合わせの件につきましては○○に確認中ですが、現在出張に出ているため明日の10:00までには回答できる見込みです」と状況を説明しながら伝えておけば、相手も納得ができます。

レスポンスがないことが相手を心配させることにつながってしまうので、メールの返信にも締め切りを設けて、その締め切りまでにとにかくレスポンスをしましょう。

仕事は相手があって成立します。

ですから、相手にやってほしいこと・尋ねたいことを的確に伝えて、うまく仕事を進めるために、メールは短く結論から述べ、文を短くまとめ、12時間以内にとにかく返信するという締め切りを作るのです。

この3点を意識しながらメールを活用して、仕事をうまく進めていきましょう。

WritestraightforwardemailsEメールは簡素に

23一歩先をスケジュール化しておく

段取りにおいて重要なことは、一歩先を常に考えることです。取引先から会食のお誘いを受け、ディナーをご馳走になったとしましょう。

会社の上司にご馳走になったのであれば、翌日に直接お礼を伝えることができますが、取引先だとそうはいきません。

やはりその場でのお礼だけではなく、メールでもお礼を伝えたほうが印象は圧倒的にいいでしょう。

せっかく取引先と食事をご一緒して、お互いの距離が縮まっても、お礼のメールがなかったために悪い印象を持たれてしまうのは、大変もったいないですよね。

ですから、接待に参加した時点で終わりなのではなくて、もう一歩先を考えて、改めてお礼メールを送るということをセットとして考えるのです。

いつもお礼メールはしているとしても、ちゃんとそれをスケジュールの中に組み込んでいるという人は少ないように思います。

気まぐれに、「あ、そうだ昨日のお礼メール送っておかなきゃ」と思い出したら送るということだと、次の日の忙しさで忘れてしまったり、かなり時間が経ってからになってしまっていたり……。

こんな風になってはいないでしょうか。

会食に参加すると決まった時点で、夜の会食のお礼は次の日の朝に、昼の会食のお礼は必ずその日のうちにする、ということをタスクリストにきちんと書き出して入れておけば、先延ばしすることもお礼を伝え忘れることもなくなるでしょう。

仕事を円滑に進める上では、相手のことを大切に考えているということをしっかりと行動で示す必要があるのです。だから、一歩先を考えて想定できることを予めスケジュールに落とし込んでおくのです。

そのほか、私は打ち合わせをしたらなるべく早くその内容を自分の言葉でまとめ直します。記憶は鮮度が大切ですから、早いうちに見直したほうが圧倒的にまとめもうまくいきます。

打ち合わせの内容をまとめ直す時間を持つということも、タスクの中に入れスケジュール化させておくのです。

ネットショップで買い物をしたら、商品が到着した数日後に、お店から「商品はいかがでしたか」というフォローのメールが届くことがありますよね。これもまさに購入したその一歩先を想定した行動です。

「商品を売った時点」がゴールではなく、「ちゃんとお客様に喜んでもらうこと」がゴールだと考えているから、一歩先の行動が仕組み化されているのです。結果、利用者も大事なお客様として扱われていると感じることができます。

仕事には相手がいるものですから、段取りも考えずに思いつきで行動していると相手にはそれが伝わりますし、信頼関係を築くことは難しくなるでしょう。

先を読んで、想定されるタスクを予めスケジュールの中に埋め込んでおくことで、「あ、忘れた」を防げます。皆さんも、スケジュール帳や今日のタスクリストの全体を俯瞰してみてください。

取引先にお礼のメールを送ること打ち合わせの内容をまとめ直す時間を確保することお客様に購入後フォローの連絡を入れることなどが、「手が空いたときに」となっていませんか。

そうなっていたとしたら、今すぐ手を打ちましょう。一歩先を読んで仕組みを作っておくことは、重要な段取りなのです。

Thinkonestepahead一歩先を

24こまめな確認で信頼を高める

やり直しが好きな人なんていません。上司や取引先にダメ出しをくらって、せっかく頑張ったのにまた最初からやり直し。それではモチベーションは下がってしまいます。

「それならそうと最初から言ってくれればよかったのに」「今さらそんなこと言わないでほしい」もしかすると上司の伝え方が悪かったのかもしれません。

言葉足らずだったのかもしれません。

でもそれはあなたには変えられないことですから、自分にできることを探したほうがよほど効果的です。

PDCAは回転率が命。

段取りをする上でも、長距離走をするイメージより、短距離走をたくさん繰り返すようなイメージがいいのではないかとお話ししましたが、そのキモとなってくるのがこまめに確認を行うということです。

誰でも一発OKがもらえるに越したことはありませんし、それゆえ途中で確認することをためらう人がいますが、上司や取引先も最後までなんの報告もないほうが心配です。

もちろんすでに説明されたことや指示されたことはしっかりとメモし、覚えておかなければ「何度同じことを言わせるんだ」と信頼を失いかねませんが、進めていくうちにわからないことが出てくるのは自然なことですし、方向性が合っているかどうかを確認するのも大切なことです。

一発OKを狙ってやり直しになるとモチベーションが下がりますが、逆にこまめにフィードバックを得ることであなたのモチベーションを高めることも可能です。

自己効力感という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「自分はそれを達成できるという感覚」のことで、ノースカロライナ大学の教育心理学者デール・シュンクによると、自己効力感を高めるには次の四つの条件があります。

  1. 一つ目は「自分が目標設定したこと」。
  2. 二つ目は「フィードバックがあること」。
  3. 三つ目は「進捗が管理されていること」。
  4. 四つ目は「自分の頑張りによって達成できるという意識があること」。

この二つ目の「フィードバックがあること」というのがまさに、こまめに確認を取るということに他なりません。

「自分がやっていることは上司の求めていることに合っているのかな?」「こういうことが取引先が求めていることなのかな?」と、取り組んでいることに確信が持てないと、スムーズに仕事を進められなくなってしまいます。

フィードバックがあることで、もやもやとしたものが解消されて、目の前のことに集中できる環境を持つことができるのです。迷いが生じたらそのタイミングで素早く相談をする。そして、こまめにすり合わせをすることです。

段取り力の高い人は、小さなPDCAをたくさん回すことで微調整を繰り返し、大きなやり直しを防ぎます。

私は会社に属してはいませんから、取引先やお客様があって仕事が成立します。会社勤めをされている方であれば、取引先や上司があって仕事が成立します。

いずれの場合にも、どんな仕事の向こう側にも人がいるということですから、いい仕事をするためには相手の期待値を上回ることが不可欠ですね。

ですから、こまめに確認することは、相手があなたに何を期待しているのかをしっかり捉えることにもつながります。相手の期待値を上回り、信頼を獲得しましょう。

Alwaysdoublecheck確認はこまめに

25知らないことは知らないと言う

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざを聞いたことがない人はいないでしょう。

段取りが下手な人は、打ち合わせで知らない言葉が出てきたときに、ついつい知ったかぶりをしてしまいがちです。

「あとで調べればいいか」と思ってその場でその疑問を解決せずにやり過ごしてしまうのです。そしてあとでその言葉を調べてみると、いろんな情報が出てきて「え、結局それってどういうことなんだ?」。

もしくは、その言葉が出てきたあたりの話の内容を理解できていないせいで「で、それをどうするんだっけ?」となってしまう。

そうすると、せっかく打ち合わせした内容を元にしてプロジェクトの段取りを組もうと思っていたのに、そこで行き詰まってしまうのです。

ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが提唱した「エビングハウスの忘却曲線」を知っている人も多いでしょう。

私たちの脳は20分後に42%、1時間後に56%、1日後に67%、1週間後に77%、1カ月後に79%を忘れてしまうというのです。つまり、打ち合わせを終えた20分後には、半分近くの記憶が曖昧になっています。

ですから、ノートにメモをしたりするわけですが、知らない言葉が登場したところはあまり理解できていないはずですから、打ち合わせ中にとったメモの内容も曖昧になっています。

あとでその言葉を調べて、そのときの話を思い出して……としているうちに記憶は曖昧になってしまっているので「やるべきこと」も曖昧になってしまいます。

わからない言葉が出てきたときにすかさず、「不勉強で申し訳ありませんが、○○○ってどういう意味ですか?」と聞くことができたら、その場で理解をすることができますし、ノートも的確に取れたはずですよね。

「こんなの聞いちゃったら、バカって思われるかも?」とか「怒られるかも?」などと考える必要なんてありません。

自分の無知と経験不足を露呈しているように感じて勇気が必要かもしれませんが、やはり「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」なのです。

あなたの仕事の目的は、上司や取引先、ビジネスパートナーの依頼を的確に理解して、それに応えることだからです。

知らないはずのことを知っているかのように振る舞うことによって、相手の考えや要望をきちんと理解できなかったら、相手の期待に沿った仕事ができない可能性が高くなります。

それによって評価を下げたら、何にもつながらないですね。誤解してはいけないのは、日頃から新聞や本を読んで勉強する必要はあるということです。

なんでもかんでも「それってどういう意味ですか」と質問ばかりしていたら、打ち合わせが進みませんよね。

相手の業界のことや、ニュースで話題になっていることなどについて、一定の知識を持っておくことは大切です。

そして大事なのは、同じ質問を何度もしないこと。一度聞いたことはしっかりメモを取るなど忘れないように心掛け、次へつなげていけばいいのではないでしょうか。

段取り力が高い人は、知らないということを素直に言うことができます。

その場で意味を確認できれば、あとで調べるという手間も省くことができますし、何より本当の「実利」を最優先するからです。

仕事をしていれば、誰しもわからないことにぶつかります。特に異業種の方と打ち合わせをしていると、業界用語が自然と出てくることがあります。

その方にとっては日常的に使う言葉でも、あなたにとってはそうではない、ということはよく起こることです。そこでちょっと勇気を持って質問できるかどうかは、とても大きな違いを生みます。

Don’tbeafraidtoask聞くは一時の恥

26事前準備で信頼関係を築く

「知らないことは知らないと言う」ことが大切だということをお伝えしましたが、だからと言って、何も勉強しなくていいということではありませんでした。

ビジネスの相手と会社・業界についての知識を共有できたら、関心を持ってきちんと準備してきたことが相手に伝わります。ちょっとした発言や態度にそれは現れるものです。

下手な鉄砲も数打てば当たる的に仕事をしている人よりも、「あなたと一緒にお仕事がしたいんです」ということを伝えられる人のほうが、相手を動かせることは明白です。

私は初めて打ち合わせの機会をいただくときには、少なくとも相手の会社のホームページ、ブログやSNS、場合によっては著作物などにも目を通します。

初めてお仕事をする出版社さんであれば、売れ筋の本は全部読みます。

ホームページだけパパッと見て、「ああ、○○業か」、と表面的なことしかわかっていないというのは話をしていればすぐに相手に伝わるので、愚の骨頂です。

特に相手の方が発信している情報で、話のネタになりそうなものを調べておきましょう。

「最近こういうものに興味を持たれているんだな」とか「こういう新しいチャレンジをされているんだな」とか、そういったことを調べてから打ち合わせに臨むのです。

「最近、○○○に新しくお店を出されたそうですね」「そうなんだよ。いい場所でしょう。初期投資は確かに結構かかったんだけど……」と話が膨らみます。

これだけでグッと相手との距離が近くなるわけです。

「そう言えば、先月メルボルンに行ってこられたんですよね。いかがでしたか?」「いやぁ、日本と季節が逆ということを忘れて、厚着して行っちゃったよ!」結局のところ仕事も人と人とのつながりであることは変わりません。

相手にも日々の活動やプライベートがあり、表面的な理解では見えない部分というものが存在するわけです。もちろん、仕事の話だけでなくても構いません。

「最近○○○が調子いいですよね!」「いやぁ、長く続いてくれるといいんだけどね。去年も最後の最後で……」と、相手の方が熱狂的に応援しているスポーツチームがあったら、そういった話を入れてみるというのもいいでしょう。

全てが仕事に直結するわけではないですが、仕事以前に一人の人間同士でいい関係性を築けていると、会話はスムーズになります。

ラポール(rapport)という言葉を聞いたことがある人も多いとは思いますが、フランス語で「橋をかける」という意味で、いい信頼関係を指します。

心理学やNLPで使われる言葉です。相手にお願いごとをする前には、いかにラポールを築くかが大事。

どこの街にも昔から続いている小さな商店や八百屋さんがありますよね。品揃えが良くて安いスーパーや大型ショッピングセンターがあるのに、なぜか潰れない。当たり前の話ですが、お客さんがいるから潰れません。

もちろん何を買うかも大事なのですが、そこに来るお客さんは店主との何気ない会話を楽しみに来ていたりするわけです。

ガッチリとラポールが築けているから、顧客が離れない。これからは個人に仕事が集まってくる時代です。

「あの会社だから依頼しよう」ではなく、「あの人に仕事を依頼したい」という流れが強まっています。その時代に大切なのが、人としてのつながりです。

ほんの些細なことでも構いませんので、相手のこと、事業のこと、関心のあることなどについて事前に調べておくことで、相手との信頼関係を築くことがスムーズになり、あなた自身も仕事を前に進めることができるようになります。

これは取引先だけではなく上司や部下との関係においても同じです。ちょっとした準備で、相手といい関係を築き、応援してくれる人を増やしましょう。

Besincere誠実な姿勢

27いい質問で理解を深める

質問力が高い人は仕事を的確に進めることができる人です。

一方で、質問が下手な人は、相手に質問の要点を理解してもらえないことから、回答の質が下がったり、意図からずれた回答しか得られなかったりするので、結局は悩みが解消されないままになってしまいます。質の高い答えを引き出したかったら、質の高い質問をすることが不可欠なのです。

実際、上司に質問するのが苦手な人は多く、わからない点を聞かないまま仕事を進める人も多いのではないでしょうか?しかし、質問は仕事をする上で避けては通れません。

もやもやした状態でわからないことをわからないままにしておくことは、行動力を鈍らせる大きな原因となってしまうのです。

きちんと聞きたいポイントが聞けるように、以下の点を注意しましょう。

1まずは自分なりに考える

「すみません。わからないんですがどうしたらいいですか?」と丸投げの質問をするのは的確な質問とは言えませんね。

あなたが何をどこまで理解できているのかわかりませんから、相手は何を教えていいのかわかりません。

「私はこう考えたのですが、もっと適切なやり方はありますか?」「今、○○したのですがうまくいきません。

何かいい方法はないでしょうか?」などと自分が考えたことを具体的に説明しながら質問すれば、相手も答えやすくなります。

「英語が話せるようになりたいのですが、どうしたらいいですか?」という質問を私は多く受けますが、正直答えに困ります。

それよりも具体的に、自分の目指すものは何か、今どういう取り組みをしていて、どこで行き詰まっているのかを交えて話してもらえたら、具体的なアドバイスができますよね。

2簡潔にまとめてから質問する

質問するときは相手も仕事で忙しいということを前提に、なるべく時間を奪わない配慮をする必要があります。

なかでも「結局、何が聞きたいの?」とよく言われる人は、簡潔に質問をまとめてから尋ねるようにしたいですね。

特に前置きが長く、会話の後半になってようやく質問が登場するパターンはNGですね。

「22メールは短く、短く、そして早く」でメールの書き方についてもお話ししていますが、質問をするときも同じです。

「先ほどA社との打ち合わせが終わりまして、そのときに○○さんが……それでですね、私としましては……」と長い状況説明が続いてから質問がくるパターンだと、聞いているほうは「早く要点を言ってくれ」と感じてしまいます。

要点が最後にきますから、話を整理しながら聞くことが容易ではありません。

一方で、「○○について教えていただけませんか。実は先ほどA社との打ち合わせが終わりまして……」だと、要点が先にきますから、聞く側も最後まで「要点はなんだろう」と考えながら聞かなくてもすみますよね。

質を上げるためにはムダを削ること。そのためにはまず簡潔に要点から述べる。そうすると質問する側も話しやすくなります。

ですから、質問を整理するのが苦手だなと感じている人は、まずメモに書き出して、どの部分が質問したい要点なのか確認してから上司に話しかけるようにしましょう。

書き出してみることで自分の頭の中をすっきりと整理することができるはずです。質問の仕方によって相手から引き出せる情報が何倍も変わってきます。疑問や悩みを素早く、的確に解消するためには、なんとなくではなく、上手に質問できるようにしましょう。

Thinkbeforeyouspeak質問は整理して

28三つの選択肢で相手を動かす

段取り力が高い人は、周囲を巻き込み、動かすことがうまいものです。

上司に相談をするとき、取引先に打ち合わせのアポを取るときにも、段取りがうまい人と下手な人で差がはっきりと出ます。

「来月あたり、都合の良いときに打ち合わせできますか?」

「打ち合わせができればと思うのですが、9月17日と23日、25日でご都合の良いときはありますか?」

前者が段取りがうまくない人。

後者が段取りがうまい人です。

段取りがうまくない人は漠然としたお願いをしてしまい、相手の中で、あなたの依頼の優先順位は下がってしまいます。

なぜかと言うと、選択肢が多すぎることで、考えないといけなくなるからです。相手は「来月」という30日分の選択肢が与えられますから、すぐには決められません。

「また、予定がわかったらお知らせします」となってしまい、忘れられてしまう可能性が高くなります。

一方で、三択だとどうでしょうか。

「18日は出張だし、25日はもう予定が詰まっているな。23日の13時からの1時間ならなんとかなりそうだ」という風に、スケジュールを確認して判断するだけになるので、考えなくて良いですよね。

仮にどれもダメでも、「24日だったら行けるんだけどな」と具体的に考えやすくなります。

つまり選択肢を絞って提案することで、アポ取りに成功する確率はとても高くなるということなのです。

TEDでの講演は有名なのでご存知の人も多いと思いますが、アメリカの心理学者バリー・シュウォルツは「選択のパラドックス」の中で、「選択肢の多さは無力感につながる」と説いています。

コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の研究によれば、24種類のジャムの売り場と、6種類のジャムの売り場では、前者は後者の10分の1の売上しかありませんでした。

選択肢が多いことで相手に自由を与えることは確かですが、一方で選択肢が多すぎると人は行動を起こしにくくなるのです。

相手に選択を委ねるということは一見相手にとって良いことのように感じますが、実はそうではないのです。

「考える」という行為は時間とエネルギーが必要なので、相手はレスポンスしづらくなってしまいます。

だからと言って一つや二つに選択肢を絞り込みすぎてしまうと、押しつけがましく感じられてしまうかもしれません。

何かを相談するときも同じです。漠然とした質問を投げかけて「ご意見を聞かせてください」というより、A案、B案、C案を提示することで「A案が一番良いんじゃないかな。なぜならB案の場合は……」と、相手の反応を得やすくなります。

相手を巻き込む力というのは、いい段取りをする上でとても大事です。

忙しい相手にお願いをするならばなおさら、「ゼロから考えてください」という風になってしまわないように、三つほどの選択肢を用意してみましょう。

依頼の仕方を改善するだけで、相手の反応が良くなりますよ。

Giveoptions選択肢を用意する

29日頃から教わり上手になっておく

これまでにやったことのない仕事を引き受けると、どう段取りしていいか見当もつかないときがあります。やはりそういうときは、上司や先輩にアドバイスを乞うのがベストですね。

しかし、世の中には教わり上手と教わり下手の2タイプの人がいることも事実なのです。もう少し言い換えると、上司や先輩から見て、「教えてあげたくなる・サポートしてあげたくなる人」と「なんだか教えたくならない人」がいるのです。

どう考えても前者がいいですよね。では、教わり上手な人とは、どういう人なのでしょうか。それは、素直にアドバイスを聞くことができる人、そしてアドバイス通りにやってみる人です。

なんでもそうですが、教えを乞うのであれば、まずは自分の考えは捨てる。そして、完コピするくらいまでにやってみることですね。

ましてやその道で結果を出している人からのアドバイスならば、なおさらです。

私は多くの企業や大学などで教育に関わっていますが、伸びる人と伸びない人の違いはまさにここにあると思っています。

伸びる人はアドバイスをしたら、すぐに試します。とにかく素直にやってみます。そして、次に会ったときに報告してくれます。

「アドバイス通りやってみたらうまくいきました」という場合もあれば、「アドバイス通りやってみたのですが、まだうまくいかなくて」という場合もあるでしょう。

どちらの場合にしてもアドバイスした側からすると、素直に実行する人はサポートしたくなります。より良くなってほしいと思うことができます。

うまくいかなかったのであれば、どこで詰まってしまったのかを一緒に考え、次こそはうまくいけばいいと感じます。

しかし、アドバイスを乞う割には素直にやってみない人や自己流をどうしても貫いてしまう人は、「アドバイスしても、どうせやらないんだから、その必要はない」と判断されてしまうと思いませんか。

自分のやり方に固執してしまう人は、伸びません。パナソニックの創設者、松下幸之助さんは家庭の事情で小学校に3年半しか行くことができませんでした。

しかし、松下さんは、自身が成功できた要因の一つとして、そのことを挙げられるのです。学校を出ていないから、わからないことばかりです。

だからこそ、松下さんは、「素直に人に聞くということしかない」、と考えたのです。人に素直に聞き、知識や知恵を学び続けたことで大きな成功を手に入れました。

だから、学校に行くことができず、人並みに学ぶことができなかったことを成功の要因に挙げられたのです。

知識も豊富で有能なのに出世しない人がいますが、よくある問題は、人にアドバイスを乞えないこと。プライドが邪魔してしまって、聞けばすぐに解決できるものでも聞かない。

そして、聞いてもアドバイスを素直に実行できず、うまくいかない自己流に固執してしまうのです。だから、可愛がってもらえません。

一方で、可愛がられる人は「できない」ことを自覚して、素直に聞くので、周りも思わず手を貸したくなります。

ウンウン唸って頑張ることよりも、日頃から教わり上手になっておきましょう。可愛がってくれる人が周りにいるほうが悩みもすぐに解決できるし、仕事もスムーズに進みますよね。あなたは、素直に「アドバイスをください」と言えていますか?

Behonest素直であれ

30聞くに徹して、相手を理解する

「顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人である」(ドラッカー『創造する経営者』)

相手があなたに何を期待して仕事を依頼したのかを理解する努力は、いい仕事をする上で欠かすことのできないものです。あなたがやり遂げた仕事を受け取る人がいて、仕事は成立します。どんな仕事も勘所というものがあります。

相手の要望や意向を的確に理解して段取りを組まないと、段取りの方向性がずれてしまっては、相手のニーズを満たすことはできません。

だから、仕事がうまくいく人は、聞き上手なのです。相手の話をしっかりと聞き、的確な質問をしながら相手が抱えている課題を見つけていきます。課題が明確になるからソリューションを提供できるようになります。

私たちは話し上手を目指しがちですが、聞く力を鍛えることも考えるべきです。聞き手に回ることで、相手からいろいろなものを引き出せるようになります。実際、コミュニケーションを成立させるためには、聞き手の力量が不可欠です。

段取りがうまくいかない人に多いのが、人の話をちゃんと聞いていない人です。相手の話をちゃんと聞かず、自分なりの解釈をして、がむしゃらに努力しても成果にはつながりません。

成果が出ないのは頑張りが足りないのではなく、相手のことを理解できていないため、努力の方向性が間違っていたからなのです。

かつては、私も人の話を聞くことが苦手でした。その重要性を理解していなかったのです。いつも、話がなぜか広がらない。打ち合わせをしていても、お互い沈黙が多くなってしまう……。

そんなコミュニケーションに対しての課題を感じて、大ベストセラー『誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方66のルール』(すばる舎)の著者である野口敏先生の主宰する教室に通ったほどです。

そこでまず徹底して練習したのが、「話の聞き方」だったのです。話を聞いてもらえていると感じると人は気持ちがいいもので、もっと話したくなります。

しかしかつての私は、人の話の途中で「アァ、これってあれのことですよね」と口を挟んだり、「そう言えば私も先日……」と相手の話をさえぎって自分のものにしたりしてしまうから、相手は話さなくなってしまうのでした。

聞き上手になると相手は徐々に心を開き、一歩踏み込んだ話もしてくれるようになります。いくらビジネスの場とはいえ、みんなそれ以前に一人の人間ですから、「この人はちゃんと話を聞いてくれる」と感じたいものなのです。

相手がどういう意図や気持ちを持って話しているのかを理解し、共感する。相手の話をさえぎるのではなく、相手が話し終わり、相手のことを理解したということを示してから、適切な質問を投げかける。

そうすると相手のことをより深く理解することができるようになり、良好な人間関係を築け、相手からも信頼されます。

話を聞くことがうまくなることで、初めてお会いする方とでも仕事を超えた話をすることができるようになり、いい関係づくりができるようになります。そうすると、疑問点も質問しやすいですよね。相手もあなたに遠慮せずに、要望を伝えやすくもなります。

相手の話を聞くからこそ、その仕事の方向性が明確になり、いい関係を築けるからこそ、細部をきちんと詰めることができるようになるのです。

Beagoodlistener聞き上手になる

31報告でストーリーをイメージさせる

先ほど報告をこまめにすることの重要性についてお話をさせていただきました。報告と言えば、報連相を思い浮かべた人もいるのではないでしょうか。

ここで提案したいのがホウレンソウの質を高めるということ。きちんと意味のあるホウレンソウにすることの重要性について、お話ししたいと思います。

「先ほどAさんと打ち合わせをしてきました」「昨日だけでAについて15件のクレームが入りました」といった単純な事実を述べただけでは、報告とは言えません。

「それで?」となってしまいますよね。では良い報告とはどういったものなのでしょうか。大切なのは、「ソラ・アメ・カサ」の3点を押さえて報告するということです。

マッキンゼーをはじめとするコンサルティングファームが用いる、代表的なフレームワークです。

  • ●空……事実の把握「雨雲が空を覆い始めた」
  • ●雨……事実に基づく分析・解釈「雨が降りそうに思う」
  • ●傘……分析・解釈に基づく行動あるいは提案「傘を持って行こう」

つまり、事実だけを報告するのではなく、事実からどんなことが考えられるのか、そして次のアクションはなにか、ということをまとめて報告するということです。

この3点を盛り込みながら報告をすると、良い報告になるのです。

例えば、「先ほどA社と新規プロジェクトの打ち合わせをしましたが、先方の反応はとても良くスムーズに進みました。

提案を受諾いただけそうですが、決裁が下りるまでは少し時間がかかりそうなので、こまめにフォローを入れていきたいと思います」とすれば、単なる事実の報告だけにならず、どうすればより確実に仕事を進められるかが伝わります。

これが一歩先を読んだ行動で、きちんとゴールまでの道筋を描いていることから、段取りの良さが見て取れますね。

「空」(事実の把握)で気をつけなければいけないのが、事実の認識は客観的に、そして自分の目で確かめるということです。

事実に自分の期待を上乗せして少し盛って報告したり、人から聞いたことを鵜呑みにしてあたかも自分が確認したかのように話す人がいますが、これではスタートからずれてしまいますよね。

具体的な数字を交えて話すと、客観性を高めることができます(客観性については「33数値化して客観的に判断する」で説明しているのでそちらを参照してください)。

「雨」(分析・解釈)についての注意点は、事実の解釈というのは一つに限らないという姿勢が必要だということです。

空が曇り始めたら、「雨が降りそうだ」、「まだもう少しは大丈夫かも」「かなり強い雨になりそうだ」といろんな解釈ができますよね。

一つに限定してしまうと、それが外れたときに対応できないのです。

「プロジェクトは順調にいくだろう」という解釈しかしていなかったら、うまくいかなかったときに手を打つのが遅くなります。

うまくいかなかったときのパターンも想定しておけば、対応は早くなりますね。

そして分析・解釈とあるように、分析はその原因や理由を考えること、解釈はそれがどういう効果を生むのかを考えることです。

そして最後に「傘」ですが、ここはやはり次の一手を打つということですから、考えうるベストな選択をするということでしょう。

折りたたみ傘を持って出るのか、長傘にするのか、それとも一時的な雨だろうから傘を持たなくていいと判断するか。

事実の解釈を踏まえて、どうしたら成果に貢献ができるかという視点でベストの手を打つということですね。

結局のところ、段取りというのは、現在地からゴールまでの道筋を明確に描いているか、それを常に把握しながら上司や取引先とコミュニケーションを取っているかということなのです。

事実は通過点に過ぎません。ゴールまでのストーリーの一部なのです。大きなゴールへ向かう中で、その伝えるべき事実がどのような役割をするのかを報告しましょう。

Speakfrequentlyコミュニケートする

32具体的な言葉で信頼を勝ち取る

段取りをする上で、上司や同僚、ビジネスパートナーとコミュニケーションを取るときに、ついつい抽象的な言葉を使っていませんか。

「すみません、少し遅れます」「まだ在庫はたくさんあったと思いますよ」「会社に戻り次第すぐ送ります!」と言われても、少し、たくさん、すぐ、といった言葉は抽象的で、はっきりわかりませんよね。

「5分遅れる」となれば、ここで待っていようかという判断もできますし、20分の遅れであれば駅前の書店で気になっていた本のチェックができるかもしれませんし、いくつかのメールの返信にその時間を当てられるかもしれません。

「たくさん」というのも具体的ではないですよね。きっとあなたと相手の頭の中で描いているイメージは違うはずです。

「戻り次第すぐ」という言葉も抽象的で、そもそも相手はあなたが何時に帰社するか、知らないでしょう。例え知っていたとしても、知らないことを前提に伝えることで相手から信頼を得ることができます。

ここで大切なことは、相手にも段取りがあるということです。抽象的な伝え方では、相手は段取りを考えづらいのです。相手の立場に立って考え・伝えることは、円滑に仕事を進めていく上ではとても大切です。常に具体的な伝え方を意識しましょう。

抽象的な言葉は、相手を不安にさせたり、イライラさせたり、ときには大きな誤解につながってトラブルに発展するということすらあります。

そして、たいていの場合、形容詞や副詞がその原因となっています。形容詞というのは「長い」「高い」「面白い」のように名詞を修飾する言葉。副詞は「たくさん」「すぐに」「早く」のように動詞や形容詞、文などを修飾する言葉です。

これらの言葉は人によって捉え方が違います。

もちろん日常で友人と話す分には抽象的な言葉を使うことも全く問題ないと思いますが、ビジネスにおいては特に数字は重要な要素ですから、数字化して伝えられるようにしましょう。

「たくさんの人が参加しました」→「10000人の人が参加しました」「みんな賛成していますよ」→「100人中74人が賛成していますよ」「少しだけここで待っていてもらえますか」→「3分ほどここで待っていてもらえますか」場合によっては、相手が抽象的な言葉で仕事を依頼してくることもあるでしょう。

そのときはすかさずその場で確認したいものです。

「来週の打ち合わせの資料、早めに送ってくれる?」と上司に言われたときに、きっとその「早め」という言葉の意味は自分の感覚とは違うものだ、という前提に立って質問しましょう。

「明日の10時までに送ればいいですか?」この質問であなたは信頼を得ることができます。

なぜならば、「10時までに送ってくる」という前提に立って、上司は他の仕事の段取りを組むことができます。

「早めと指示してあるのに、一体いつになったら送ってくるつもりなんだろう」と心配する必要もありません。

その資料の準備ができて、「さあ上司に送ろう」と思っていた矢先に「あの資料まだなの?」と言われてしまう心配もなくなりますよね。私は、大学生のときには経済数学で26点を取ってしまったほど、数字が苦手でした。

しかし、テキパキ仕事をこなしている方の会話を聞いていると、数字をベースとした話が多く、それが説得力や安心感につながっていると気づきました。

それからは抽象的な話し方ではなく具体的に伝えることを意識していますし、何より「明日の10時までに送りますね」と言うことで締め切り効果も働いて、自分の段取りが良くなる効果もうまく活用しています。

抽象的な言葉を使うことがいけないわけではありません。ただ、それを具体的に伝えるには、どうすればいいかを考えるクセをつけてみてください。

コミュニケーションが円滑になって、段取りもうまくいくようになるはずです。

Bespecific具体性を心がける

33数値化して客観的に判断する

段取りというのは確実に目標を達成したり、生産性を高めるために行うものですから、ここでも数字を抜きにしては話せません。

さらに言うと、数字を使ってのコミュニケーションは不可欠ですから、数字で考える習慣を身につけておく必要はありますね。

これについては「32具体的な言葉で信頼を勝ち取る」でも説明いたしました。

さて、段取りを考えるときには、「いつまでに」「何を」「どれだけ」ということを明確に考えることが必要になるので、そこで大事なのが数字です。

数字を明確にすることで、それが達成できなかったときに、何がどれくらい足りなかったのかを客観的に判断することができます。

また、モチベーションを高める効果も期待できます。目標達成までに何をすべきか、という具体的なアクションが見えてくるからです。

例えば料理です。

材料や調味料を揃えても、「何を」「どの程度」「どの順番、タイミングで」使うのかということを把握せずに適当に混ぜてしまうと、うまくはいきません。

旅行のプランなども同様で、来年旅行に行く計画を立てようと思って、旅費を調べてみたところ30万円必要だということになったとしましょう。

そこで毎月3万円ずつ貯金しようと計画したとします。

このように数値のある目標を設定すれば、たまたま会社帰りに目に留まったカバンを衝動買いしてしまいそうになっても、「ここは我慢しよう」とその衝動を抑えることができるはずです。

目標のために自分の欲をコントロールすることができます。目標が基準を与えてくれます。

一方で、このような数値を含めた目標がないと、その場の雰囲気やそのときの気分などに、「なんとなく」流されてしまいます。

明日の朝、9時から大事なミーティングがあるとすれば、その前日の飲み会は一次会までにして、いつもより30分早く出社する。

そのためにいつもより1時間早く起きて、という計算ができるのも、明確な数字を意識しているからに他なりません。

同時に、数値化にはモチベーションを高める効果もあります。

先ほどの旅行の例で言えば、20万円まで貯まったから、来月と再来月は5万円ずつ貯金して、早く貯めきってしまおう!と、数値化することで、ゴールまでの達成度や自分が努力した結果が目に見えてわかるため、モチベーションが高まるのです。

心理学では自己効力感という「自分はその目標を達成できるのではないかという期待感」を指す言葉があります。

この自己効力感を高めるには、進捗の管理がされていることがポイントですから、数値で進捗を管理することは、そのためにも大切なのです。

そもそも人間は、楽してうまくいくならば、なるべく楽をしたいと思う生き物です。だからこそ、数値を明確にすることで自分を動かしやすくなります。

本書は50項目で成り立っていますが、原稿の完成期限から逆算をして「毎日何項目書く」、ということを自分のスケジュールに明記しておきました。

行動目標ですね。「できるところまで頑張る」と、数値を持たずに取り組んでいると、うまくアイデアが出なかったり、言葉がまとまらなかったりと行き詰まりを感じたときに「今日はもういいか」となってしまいます。

楽をしたいから、甘えが出やすくなってしまうものなのです。その繰り返しが先延ばしの慢性化につながり、期限に間に合わないということになってしまいます。

ですから、段取りを組むときには、「○○をする」というのではなくて、きっちりと「○○を××個する」ということを明確にする。

そのためにはもちろん、目標や課題も数値化したり、数値として分析をしたりする必要があるのです。

数値で進捗を管理するから現在地がわかりますし、客観的に現状を把握することもできます。

段取りがうまく進んでいるのかを把握して、それによってモチベーションを高めたり、想定外の課題を見つけたりすることも、数値化されているからこそできることです。

「アポ取りの電話をかけまくる」のではなく、「1時間に20件電話をかける」とする、「新規顧客獲得数を高める」のではなく「今日は新規顧客を10人獲得する」などとすることで、達成できなくても「どうすればできるか?」を考えられるようになります。

全ての仕事においての数字を考える習慣を持ちましょう。

specifyinnumbers数字を明確に

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