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第3章 脳をコントロールする魔法の言葉

目次

わたしとOリング

Oリングテストを用いて、「言葉」に対する反応が如実に得られるというの は、わたしにとっても大きな驚きでした。実は、ここに至るまでには、わたし はわたしなりに考え抜いて、さまざまな試行錯誤を繰り返してきたのです。 言葉の持つパワーをテlマとした講演なども数多く重ねるようになってから というもの、 「世之介さんは、どうしてこういうことに興味を持つようになったのです か?」 という質問をよくされます。

その理由は大きくは二つあります。 まず一つは、経験からなのですが、非常にイライラさせる話し方をする人の 話を聞いていると、胃のあたりがちょっと重くなるんですね。ストレスがきて いるというのが、わかるんです。きっと、こういうことはわたしだけでなく、 多くの人が感じていることなのでしょう。要するに、相手の心持ちを悪くする ような話し方というのは、その話し方の中にそういう要素が何かあるのだと思 ったのです。 その要素とは何なのだろうか?どうやったらそれを見いだすこと ができるのだろうか?何かで表せるんじゃないか? そんなことを考えていたわけです。 じゃあ、 ずっと、 もう一つは、会社経営をはじめたのがきっかけです。 わたしはずっと噺家の世界だけに生きてきたのですが、前々から四O歳にな ったら、何かほかのことにもチャレンジしてみたいと思っていたんですね。 で、ちょうどその時期に、あるビジネスを立ち上げる機会に恵まれたのです。 それは飲食店のビジネスでした。

その店は東京・新橋につくった一号店を皮切りに、都内に五店舗まで拡張す るほど成功しました。 飲食店というのは、当然のことながらお客様とのコミュニケーションを必要 とする接客業です。どんな料理をお出しするかももちろん大切ですが、どうい うふうに挨拶すれば、お客様は気持ちがいいのか、喜んでいただけるのか、と いうことが重要なポイントになるビジネスです。 「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました」という言葉はその基本と いえるでしょう。よく「心をこめて」とか、「気持ちをこめて」と言いますが、 わたしの経験だとそれではダメなんです。 いくら「気持ちをこめていますよ」といっても、そして本当に気持ちをこめ ていたとしても、たとえば、その話し方が、語尾下がりであったり、低音であ ったり、怒鳴るように聞こえたりしたなら、お客様は気分を害してしまう。 正しい発音、音程、気持ちよく聞こえる発し方を徹底させないと良くならない。

それで、こういうことを従業員に徹底させると、それが実際に売り上げに反 映してくる。これはすごい、と思いましたね。言葉ひとつで、こんなにも違う

ものか!と本当に実感しました。 で、今度は、このことをきちんとスタッフに説明してあげなければならない と考えたのです。しかし、ただ「こうしなさい」というだけでは、トレーニン グしてもすぐにまた元に戻ってしまいます。ところが、本人が十分に納得して いれば身についてくる。まあ、数学の公式みたいなものですね。丸暗記だと応 用問題が出るとお手上げですが、理屈がわかっていれば簡単に解けるというわ けです。 スタッフに説明するために、いろいろな書物を読んだりもしました。そして、 何となく「言葉のパワ1」というようなことが、自分の中でだんだん明確にな ってきました。 これを皆にわかってもらうために、何か形に表すことができないだろうか? やはり思ったのは、このことでした。 前々から、精神的なものと体(筋力)には何か関係があるのではないかと考 えていたわたしは、何とかそれを数値で示せないかと考えました。 そこで閃いたのが握力計でした。そう、あの体力測定で使われる重い握力計 です。思いついたときは「自分は天才じゃないか」と震えたほどです。

ところが、握力計なんてどこで売っているか、見当もつかない。だから、 ろいろ探しまわりましたよ。やっと見つけたのが神田神保町のスポーツ用品店。 学校などに運動器具や用品を販売する専門店でした。しかも、大枚一万五00 0円もはたいて手に入れたのです。もう、こうなったら元を取るまでは引き下 がるわけにはいきません。 しh そして飽くなき実験を開始しました。 「やる気ねえよ」 「よし、やるぞ!」

何度も何度も握力計を握る日々||。すると、自分で試してみたところ、悪態をつくのと心地よい言葉をいうのと では、ゅうに二、三キログラムは握力に差が出たのです。 「言葉のパワ1」は測ることが可能だ! そう実感したわたしは、今度は、わたしが講師を務めているジョン・ロパー ト・パワlズスクールの生徒さんたちに試してもらいました。 ところが、だれも何の反応もしてくれないんですね。だれも驚かないんです よ。これには本当にガッカリしました。わたしとしては二、三キロはすごい!

と思ったのですが、生徒さんたちは「何、それ」「だから何なの?」という顔 をしているんです。まあ、それもそのはず、なにせ一00キロまで測れる握力 計の目盛りはほんのこっか三つしか動かないわけですから。これじゃあ「ウワ lッ!」と驚くほどのインパクトはありませんよね。 興奮の面持ちのわたしを冷ややかな視線で眺める生徒たち。そのときのわた しの気持ちは、実にみじめなものでした。 あの握力計は、今では寂しく我が家の押し入れで眠っています。 しかしあるとき、運命の出会いが訪れたのです||。わたしはとある講演会 くらもとてんがい の司会を引き受けました。講演の主はメンタルトレーナーの蔵本天外氏でした。 そこで、潜在能力を知る方法としてOリングを用いて、脳にとって良いものと 感じる場合、そして悪いものと感じる場合を判別するテストに出合ったのです。 ショックでした。 わたしは、かつてOリングが医療の現場で活用されているという話は知って いましたが、まさか「言葉」というものにも応用できるとは考えてもいません でした。

でもそのときは、まさに「これだ!」と思ったものです。

その後、たくさんの実験を重ね、やはり脳は、良い言葉、悪い言葉を判別し ているのだと、確信するに至ったのです。

言葉は脳の暗証番号

人聞は時として、想像をはるかに超えた力を発揮することがあります。 よく聞くのが「火事場の馬鹿力」という言葉。 人間は、ある差しせまった状態に置かれると、ふだんならとうてい考えられ ないような、とんでもない力を発揮するーーという意味ですが、火事の現場で は異常な興奮が作用して、本当にふつうではとても持ち上げられない重い物を 運び出すほどの力が出るといいます。ある実験では、運動神経を直接電気で刺 激して、すべての運動単位を興奮させたところ、通常の三O%もの大きい筋力 が得られたという具体的な数値も報告されています。 このとき、脳内には興奮性の神経伝達物質が大量に放出されているはずです。 スポーツなどは、こうした人間の潜在的な能力をどこまで訓練によって引き出せるのか、その飽くなき挑戦ともいえるでしょう。 後でまたお話ししますが、スポーツなどのトレーニングでも、達成したい目 標を声に出して一言うことは、たいへん効果的です。 人間は、ある個体の脳が発達して高い知能を獲得すると、次の世代の個体の 脳は、その遺伝情報を受け継ぎ、記憶領域などをさらに増幅させて誕生すると いいます。これは人間だけの特徴で、他の動物にはほとんど見られないことで、 遺伝子の働きによるものだそうです。 また、DNAの中にはいろいろな情報がたくさん詰まっています。しかし、 そのDNAで便われているのはたった五%にすぎず、あとの九五%は使われな いままだというのです。 つまり、あなたにも、わたしにも、自分ではわからない潜在的な記憶や能力 がたくさんあるということなのです。これはちょっと嬉しいことですよね。 で、ここが肝心なところなのですが、その潜在的な資質を引き出すには、意 識して言葉にするけ声に出して言うことが大切なのです。なぜなら、声に出し て言うと、脳は即座に反応し、その言葉どおりになろうとするからです。

要するに、言葉は脳の暗証番号なんです。 いくら銀行にお金があっても、暗証番号を入力しなければカlドで引き出す ことはできませんよね。脳もそれと同じ。「言葉」という暗証番号さえあれば、 自分が持っている能力、才能、健康:::さまざまな資質が引き出せるというわ けなのです。

脳の中には、約一四O億個の神経細胞があるといわれ、それが網の目のよう にはり巡らされています。神経細胞は、細胞膜の内側と外側のイオンの変化に よって電気信号を発生させ、それによってお互いに影響しあい、活動している のです。つまり、電気信号が次々と神経細胞に伝わることによって、さまざま な情報が伝えられているというわけです。 神経細胞どうしの結合部分には「シナプス」と呼ばれる非常に狭い隙聞があ ります。そのため、シナプスには渡し船のような役割を果たす神経伝達物質と 呼ばれる化学物質が放出され、次の神経細胞に電気信号を伝達します。 その神経伝達物質とは、たとえばストレスを受けると分泌されるアドレナリ ンや、食欲、性欲の欲求によって分泌され、脳を興奮状態にさせ快楽を高めるといわれるドlパミン、平安、休息の副交感神経と連動して働くセロトニンなどが知られていますね。 ちなみに、電気信号を伝達する回路には興奮性と抑制性の回路があり、それ に応じて、興奮性の神経伝達物質と抑制性の神経伝達物質が放出されます。 こうして、脳内の電気信号は、興奮性と抑制性シナプスを介して結びつき、 さらにそれらが組み合わさることで、膨大で徹密な神経団路を形成するという わけです。

自分自身の「きれいになるスイッチ」

さて、心理力学によると、私たちは自分に一番近い所にいる人から、最も強 く心理的な影響を受けるのだそうです。 では、あなたにとって最も身近な人は誰だと思いますか? 家族、恋人、友人:::。 いえいえ、実は最も身近な人とは、あなた自身に他なりません。 つまり、あなたの脳は、あなた自身が発する「言葉」に強く反応し、ほかの誰の言葉よりも一番影響を受けやすいということなのです。 たとえば、前に、朝「おはよう」と挨拶をすると、気持ちがシャキッとして 力が出る、というお話をしました。 実験2では、元気よく「おはようございます!」と言うと、力が入ることが 確認できました。つまり、「おはよう」の挨拶は、声をかけられた相手もそう ですが、どうやら言った本人がご番気持ちがいい」ようなのです。そして、 「今日も一日いい日になるぞ」と、自分をリセットしてくれるのも、この気持 ちのいい「おはよう」のひと言なのです。 私たちは、何かに怒ったり、イライラしたり、心配事などがあると、顔が赤 くなったり、青くなったり、あるいは知らず知らずのうちに肩に力が入ってい たり、手が震えていたりするものです。一方、楽しいときや嬉しいときは、自 然と笑みがこぼれ、足取りさえも軽快になるものです。 ところが、現実に何も起こっていなくても、私たちは想像するだけで、これ と同じような反応が体に起こることを知っています。たとえば、心配性の人は、 三カ月先の面接試験のことを考えただけで、心臓がドキドキしてしまうかもし れませんし、大好きな彼との初デlトを想像すると、それだけでうっとりしてしまうということもあるでしょう。 これは、大脳新皮質H人間の特徴でもある新しい脳が抱いたイメージを、古 い皮質日他の動物と共通する古い脳である自律神経系が受け、体内で生化学反 応が起き、体が反応してしまうということなのです。 そしてさらにプラスの言葉は、相手に向かって言ったとしても、自分にも跳 ね返ってくるという現象をも引き起こします。 あなたが、友だちのA子さんに、 「A子さん、いつも、とってもきれいね」 と言ったとしましょう。 それを聞いたあなたの脳は’自律神経系に働きかけ、自律神経系は 「とっても、きれい」というその部分だけを読み取り、脳内にきれいになって 幸せを感じるホルモンを分泌します。つまり、あなたはA子さんを褒めること によって、結果的には自分自身の「きれいになるスイッチ」を押したのです。 どうですか。プラス言葉の影響って、すごいと思いませんか? ですからわたしは、こうした褒め言葉をはじめとするプラスの言葉をたくさ ん使って、自分の脳とコミュニケーションをとり、仲良しになることを皆さんに提案したいと思うのです。

明確な「目的言葉」と「許可する」で自分を変える

プラスの言葉は、自分の持てる力を引き出すのに有効です。 たとえば、一生懸命勉強して自信があったのに、試験当日なんとなく不安に なって本来の力が出し切れなかった、などという悔しい思いーーだれにでもそ んな経験はあるはずです。 同様に、スポーツでも、大会までずっと練習をしてきで、筋力も技術も何も かも優勝圏内の実力だったはずなのに、いざというときに力が出ないというこ とがありますよね。そんな、ここ一番のときに、プラスの言葉はあなたの強い 味方になってくれることでしょう。 「わたしはできる! 絶対できる!」と自分に言い聞かせると、けつこう効果 があるものです。

また、トレーニングのときも、日頃からプラスの言葉を使って、自分の脳と コミュニケーションをとることがとても大切なのです。

ほとんどの有名なアスリートは、そのことを実によく知っています。 リレハンメル・オリンピックに始まり、長野オリンピックで金・銅メダルを、 ソルトレイクでも銀メダルを獲得し、三三歳という年齢でトリノ・オリンピツ しみずひろやす クにも出場した、スピードスケートの清水宏保選手。日本のスピードスケート の第一人者といわれる彼は、異常なほど太い、まるで女性のウエストくらいあ りそうな太ももを持っていますね。いくら鍛えてもあそこまで太くなるとは、 考えられません。 以前あるインタビューの中で彼は「いつも、太ももが太くなれ、太くなれ、 と強く念じながらトレーニングをしていた」と言っていました。 つまり、何も考えずに、ただトレーニングメニューをこなすのではなく、 「どこをどうしたい」「どうなりたい」という目的を明確にし、それをずっと意 識してトレーニングするほうが、断然、効果があるということなのです。その 証明、それがあの驚異の太ももだったのです。そしてそれは、声に出すこと (言葉にすること)によって、さらに大きな効果を生み出すことになっていきま す。 これと発想が似ているものにイメージトレーニングというのがありますが、

この場合でもおそらく、頭の中で描いた理想の姿を声にも出して言ったほうが、 より効果があるはずです。 私たち人間が何かを「意識する」というときに一番簡単な方法は、一一一口葉を発 するということなのです。 それでは、声を出すとこんなにも簡単に意識することができる、という実験をしてみましょう。

﹇実験6﹈ これは、ほんの一瞬で肉体が強くなるげという不思議な実験です。 この実験も協力者(調べる人)と被験者(調べられる人)の二名で行ないます。 まず、被験者に普通に立ってもらい、協力者はその人の体を軽く後ろに押し てみましょう。おそらく力がそれほど強いものでなくても、被験者はヨロヨロとするはずです。 次に被験者は、ガッツポ1ズをとりながらこう叫んでみてください。 「私の重心は下へ下へと行って、押されても動かない体になる二とを許可する。 よしっ!」と言います。

被験者がそう言い終わったら、協力者は被験者の体を押します。 どうですか?勢いをつけて押しても、被験者はびくともしないでしょう。 意識して声に出すだけで、人間の体はこんなにも変わるものなのです。わた しの経験では、男性の場合、普通に立っているときの一O倍の強さで押しても、 ほとんどの人はびくともしませんでした。 ちなみに、この「許可する」という言葉は、前出の蔵本天外氏が探し当てた もので、わたしも使ってみて、脳に言い聞かせるには明快で、非常にいい言葉 だと思っています。

良いことを断定的に言う

話はすこし横道にそれますが、「許可する」という言葉が出たところで、脳 がキャッチしやすい言葉と、キャッチしにくい言葉について触れておきたいと 思います。 わたしもすべての言葉を試してみたわけではありませんから、確証があるわ

けではありませんが、傾向として言えるのは、スッキリとしない言葉、暖昧な 言葉、消極的な言葉などは、脳がキャッチしにくい言葉のようです。こういう 言葉はたとえキャッチしたとしても、かえってマイナスになることもあると思 われます。 また、「もしも」という言葉も、あまりお勧めはできません。 たとえば、「もしもわたしが美人だったら、玉の輿に乗れるかも」は、いか にも消極的だし、自分が美人ではないことを心の中で認めているようにも聞こ えます。 脳は、この言葉を額面どおりに受け止めるだけで、特に活性化することはな いでしょう。だったら、 「わたしは美人だし、すべてに満足できる素晴らしい男性と結婚する」 と言ってしまいましょう。脳は仮定の話よりも、良いことを断定的に言って くれたほうが嬉しいのです。 「そんな厚かましいこと、言えないわ」と、おっしゃる方もいるかもしれませ

んが、ここはまあ、ちょっと図々しくいきましょう。人前では恥ずかしいでし ょうから、もちろん一人のときでいいのです。そのかわり、ちゃんと声を出し て言うこと。毎日続けて、脳が「その気」になってくれれば、しめたものです。

「痩せる」ではなく「美しくなる!」

ところで、あなたはダイエットをしたことがありますか? もし、したことがあるのなら、それは成功しましたか?女性の多くはダイエット経験者だそうですが、リバウンドで悩んでいる方も かなりいらっしゃると聞いたことがあります。 それにしても、女性というものは、そんなに痩せたいものなのでしょうか? わたしの見る限りでは、「そんなことする必要ないんじゃない」と思うような 人でも、体重計の一目盛りにものすごくこだわって必死になっているというの ですから、女心というのは本当にわからないものです。 ご存じの方も多いかと思いますが、体重で「太り度」をチェックする場合に は、一般的にBMIao身宮山田ニロ己負)指数を使います。

BMIは、体重(同)を、身長( m)の二乗で割った体格指数のことですが、 約二四を超えたら太りぎみと考えます。また、体脂肪率で「太り度」をチェッ クする場合には、女性では体脂肪率が三O%を超えると「肥満」の判定となり ます。いわゆる「普通」は、BMI指数が一九・八以上二四・二未満、体脂肪 率二O%以上二五%未満です。 ところが、というか、やっぱり、といったほうがいいかと思いますが、ダイ エットをしている人たち、特に若い女性の中には、肥満でも何でもなく、この 「普通」が多いというのです。そういえば、すこし前にオンエアされていた発 泡酒のCMで、スリムなタレントさんがお腹や二の腕をつまんで、「軽くヤパ い!」と言うのがありましたが、あれは女性のことをよくわかっているCMだ と思いましたね。もっとも、わたしに言わせれば、観月ありさにしても工藤静 香にしでもあんなの全然「ヤパく」はありませんけどね。 それはそうとして||。 女性が美しくなるために努力することは、決して悪いことではありません。 むしろ、とても大切だし、素敵なことだと、わたしは思っています。 そこで、ぜひ実行していただきたいことがあります。

スレンダ!なボディになりたいのなら、 「わたしは美しい。もっともっと美しくなる」 と声を出して言いましょう。

そのとき、「美しいウエストになる!」「美しい脚になる!」「美しいヒップになる!」:::といった具合に、どこをシェイプしたいのか、その部位を口にするともっと効果的です。

先に述べたスケートの清水選手の話を思い出してください。彼は太ももを意 識して鍛えました。それと同じように、体をシェイプするときもその部分に意 識をもっていくことが大切です。声に出しながら意識を集中させ、たとえばウ エストならウエストのシェイプアップをしてみてください。もちろん運動して いないときでも、声に出して、言葉を脳に言い聞かせることが大事です。脳は、 あなたが言った言葉どおりのことを「現実」にするために、一生懸命努力して くれるはずです。

ただし、このとき、「痩せる」「痩せたい」「捌くなる」「細くなりたい」 という言葉は絶対に使わないこと! なぜなら、「痩せる」「細くなる」という言葉を聞くと、私たちの脳は自分 が「太っている」こと、ぜい肉が「たぷたぷしている」ことなど、現在の姿以 上に負のイメージを浮かべてしまうものなのです。 この負のイメージというのが曲者。 だいたいの場合、負のイメージは強烈なことが多く、正のイメージを上回っ てしまうものなのです。 つまり、太っているわたしが、「痩せたい、痩せたい」と思って、それを口 に出すと、わたしの頭の中では「こんなに太っているわたし」の映像だけが強 烈にインプットされてしまい、脳は「痩せた自分」のイメージに辿り着かない のです。だから、わたしが「痩せたい」と言えばいうほど、脳は痩せることを 拒否し、極端なことをいえば、わたしを太らせる側にまわってしまうというわ けなのです。「美しくなる」「きれいになる」には、こうした負のイメージは浮かんできま せん。とても大切なことなので、ここをよく理解しておいてください。

「病気が治る」ではなく「もっと元気になる!」

同様なことでいうなら、「病気を治したい」というのも、あまりいい言い方 ではありません。考えてもみてください。健康な人というのは病気のことなど、これっぽっち も頭にありませんよね。毎日、仕事や勉強に取り組んで、たまに悩んだりもす るでしょうけど、今度の休みにはどこそこへ行こうとか、美味しいものを食べ に行こうとか、そんな楽しいことをたくさん考えて暮らしているはずです。 でも、病気の人は、「この病気が治ったらOOしたい」「この病気が治った ら××へ行きたい」と、たえず病気のことが頭から離れない状態なのです。 「病気を治したい」「治りたい」というときも同じです。頭の中につくられる イメージは「病気のわたし」に他なりません。「治る」という言葉より、「病 気」という言葉のほうが、脳にとってはインパクトが強いのかもしれませんね。

では、何と言ったら良いのでしょうか。 「健康になる」???・:・ うーん、これも「病気」を連想してしまいそうですね。 「病気」だから、「健康」になりたいんですよ、きっと。 わたしのお勧めは、「もっと元気になる!」です。 「わたしは、もっともっと元気になる!」

これを、それこそ元気な声で言って、元気で友だちと旅行したり、ショッピ ングしたり、食事に行ったり:::と、楽しいことをリアルに思い浮かべること です。 昔から、「病は気から」といわれていますが、まさしく病気は、脳がっくり だすイメージに影響されるものです。そして、そのイメージが良いものである か、悪いものであるかは、一一一一口葉がカギを握っているといっても過言ではないの です。

お金が「欲しい」ではなく「必要」

不援な質問で申し訳ありませんが、あなたはお金が欲しいですか? お金は、あなたにとって一番大切なものではなくても、なければ困るもの。 まあ、あってじゃまになるものでもないですよね。 そんなお金に関するおもしろい実験があります。まずはこれから試してみま しよう。

﹇実験7﹈

この実験は協力者(調べる人)とあなた(調べられる人)の二名で行ないます。 これは二つの言葉の違いを、Oリングではなく、両手の親指と人差し指の力 で判断するものです。 まず、お札を用意します。いくらのお札でもかまいませんが、一OOO円札 だとあまりありがたみがないので、五OOO円札とか一万円札のほうがいいかもしれません。

あなたはお札の端と端を両手の親指と人差し指で挟むように持ち、「わたしはお金が欲しい」と大きな声で言います。 被験者であるあなたが言い終わったら、協力者は「ハイ」という合図で、お 札の反対側の端を持って引っぱります。このときあなたはお札を引き抜かれな いように、指に力を入れます。 しかし、お札は見事、被験者の指から引き抜かれてしまいます。 次に、同じようにあなたはお札を持ち、 今度は「わたしはお金が必要だ」と言います。 そして再び、協力者は合図をしてお札を引っぱります。 お札は被験者の手に持たれたままです。 欲しいと言うとお金は去って行く:::。 これが、この実験の結論です。 「お金が欲しい」では、簡単にお札は指からすり抜けてしまいましたが、「お 金が必要」と言うと指に力が入ったでしょう。 なぜなのかということは実際にはわかりませんが、わたしはこれも前述の 「病気を治したい」というのと同じなのではないかと思っています。

「お金が欲しい」ということは、そもそも「ない」という意識があると思いま せんか?つまり脳は、「お金が欲しい」という言葉を聞くと、「わたしはお 金がない」ということを強くイメージしてしまって、結局は「ない」ことが 「よし」とされてしまうのではないでしょうか。 また、「欲しい」という言葉自体がなんとなく漠然としていて、目的が感じ られないから、脳がキャッチしにくいとも考えられます。 その点、「必要」という言葉には積極的なイメージがあり、負のイメージは まったく感じられません。また、脳にとっては、目的がはっきりしていて、暖 昧さのないインパクトのある言葉なのかもしれません。 ついでながら、わたしがいろいろな言葉で実験してみたところ、自分自身に 言い聞かせるには、「できる」「必要だ」「よくなる」という言葉がたいへん有 効であることがわかりました。

血行をよくする魔法の言葉

講演会などでもそうですが、わたしが「言葉には力があるんですよ」と言つて、いろんな実験をすると、まるでそれが魔法であるかのように、何でもかん でもできてしまうのだと勘違いする方がいます。そうかと思うと、最初はあた かもカルト教団か何かの教祖のように、わたしをうさん臭そうな目で見てらっ しゃる方もいます。当たり前のことですが、プラスの言葉を声に出して言うだけで、何もかもが 即思いどおりになるなんてことはありません。「わたしは美人だ」と言って次 の日に鏡を見ると、そこにはまったく別人のような自分がいた!なーんて、 整形手術でもしない限り無理ですよね。 病気だって、「もっと元気になる」と言ったからといって、一夜にして良く なるなんてことはありません。 でも、確かに言葉は自分を動かすことができるのです。 たとえば、病気は治せませんが、血行を良くすることぐらいだったら、けつ こう簡単にできるものなんです。万人が悩む肩こり||。この肩こりの原因は、ストレスだったり、運動不足 だったり、姿勢の悪きだったり、あるいは目からきたりとさまざまですが、いずれも血行が悪くなって起こるものです。 そこでこんな実験を試してみてください。もし、あなたが肩こりとは無縁の 人ならば、どなたか肩こりに悩まされている人に試してもらってください。 ﹇実験8﹈ これは血行を良くするという実験です。 これまでと違って、一人でやってみるものです。 立って、軽く脚を聞きます。 そして両手を、万歳の状態まで高く挙げて、 はっきりとした口調で、 コ屑の血液の循環が良くなることを許可する」 と言います。そして、挙げた手をダランと下におろし、肩を数固まわして、 三回ぐらい軽くジャンプしてみます。 どうですか? 肩が少し軽くなりませんか?

言葉はこれとまったく同じでなくても、たとえば「肩の血行が良くなって、 気持ち良くなることを許可する」のようなポジティブな言葉なら何でもかまい ません。ただし、「肩こりが治る」は負の言葉なので良くありません。

三固まわって体がフニャリ

では、もう一つおもしろい実験をしてみましょう。この実験に「言葉」は介 在していませんが、人間の体の不思議がわかる実験です。なぜかということは 解明されていないものの、以前から知られている現象です。 ﹇実験9﹈ 三固まわったら体が柔らかくなる不思議な実験です。 まず、何もしない状態で両手を伸ばして前屈をしてみてください。 指が床につきましたか?つかないなら床上何センチくらいか覚えておいて ください。

それでは、 時計と反対まわり(左まわり)に三固まわってください。 そして元の位置に戻り、もう一度前屈をしてみましょう。 どうですか?・さつきよりも柔らかくなっていませんか? 次に、今度は前と逆に時計回り(右まわり)にまわってください。 はい、前屈してみましょう。 不思議ですね。また、体は元どおりに硬くなってしまいます。わたしは講演会でこの実験をするときは、必ず会場のお客様に「ゴルフをな さる方はいらっしゃいますか?」とお聞きして、挙手してくださった方の中か らどなたかにお手伝いいただいています。まあ、だいたいはわたしよりも年上 のおじさんでして、それが一O人中一O人すべての方が、変化に驚き、首を傾 げて「何なんだ、これは?」という顔をなさるんですね。 ゴルフのコlスに何度か出たことがある方はわかると思いますが、ゴルフと いえばたいてい朝が早く、十分な準備運動もしないまま、いきなり第一打のドライパlショットということもしばしばです。もう体はカチンコチンに固まっ ていますから、ダブったり、チョロったりと、散々なわけですよね。 で、実験の後、「とにかく、ゴルフのときはこれをやってみてください。時 計と反対まわりですよ。これさえ間違えなければ大丈夫。後遺症もありませ ん!お金もかかりません!」と言うと、皆さん、もう大爆笑です。そして、 そうとう真面目におやりになるようです。なかにはお礼のお手紙をくださる方 もいるくらいですから、効果は絶大!と言っておきましょう。 もちろん、 「血行が良くなって、体が柔らかくなって、飛距離が出ることを許可する! よし!」 と、声に出して言ってまわれば、さらなる効果が期待できるのですが、それ だとちょっと「変な人」に思われてしまう可能性もありまずから、もしやりた いのなら周りに誰もいないことを確認して、トイレかどこかでやったほうがい いかもしれませんね。

ポーズで変わるイメージの不思議

これまでお話ししてきたように、私たち人聞は言葉によって心(脳)と体が 反応しますが、一方、行動(体の動き)によって心(脳)が反応するというこ ともあります。 たとえば、「パンザlイ!パンザ1イ!」と言うときは皆さん手を上に挙 げますよね。手をダランと下げて言ったら、とても「パンザ1イ!」という気 持ちにはなれないでしょう。 このように、人は「あることをすると、あることを考える」生き物でもある のです。 何やら禅問答のようでもありますが、決して難しいことを言っているのでは ありません。それは実験をしてみるとよくわかります。 ﹇実験叩﹈ この実験は、ポーズと心の不思議な関係を試すもので、Oリングは使いませ ん。

左右の掌を上に向け、顔を左上方向に向け、その先に視線をやります。この 状態で、大嫌いな人のことや、ものすごく嫌なことを思い浮かべてみましょう。 大嫌いなタレントでも上司でも、ものすごく嫌いな物など、何でも構いませ ん。

さて、思い浮かべることができましたかっ・思い浮かべてもすぐに消えてしそして、今度は両手をにぎり下向きにして、顔を右下方向に向け、視線も落 とします。この状態で嫌なことを思い浮かべてみてください。 ね、さっきと違って、嫌いな人や物についていろいろと、思い浮かべること ができたでしょう。だから嫌いなんだよね、ということまで。 さらに、この状態(ポlズ)で、楽しいこと、幸せなことを思い浮かべてみましょう。

そうなんです。すぐに消えてしまうんです。私たちの脳は、ちょうど天を仰ぎ見るように顔を上に向けて両手を高くあげ ると、幸せなことを思い浮かべるスイッチがオンになり、反対に顔を下に向け

て、両手をにぎって下げると、不幸せなことを思い浮かべるスイッチがオンに なるようにできているのです。前出した「重心を下にして:::」という、押されても動かない実験﹇実験 6﹈を思い出してみてください。あのときガッツポlズをしながら言葉を言い みなぎ ましたよね。あれは、ガッツポlズが、「体にパワーが、撮ってくる」脳のスイ ッチをオンにするポlズだからで、「言葉」と「体の動き(表現)けポlズ」と の相乗効果をねらったものだと解釈していただければわかりやすいと思います。 もちろん、ガッツポlズをしないで言葉だけでも効果はあります。 ちなみに、わたしはこの言葉とポ1ズによる脳への働きかけを自分で勝手に 「言語誘導」「動体誘導」と名づけていますが、これらの持つ「力」を十分理解 して、上手に活用することで、よりポジティブな考え方を身につけることがで きるのです。

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