「変えられるもの」と「変えられないもの」を見分ける「仕事のどこを変えればいいのか」これを考えるのが、いわば仕事の醍醐味です。
思いつくままにテコ入れするのではなく、1つにフォーカスし、問題を解決する。
それは、個人でも組織でも同じです。
そのためには、目の前で起こっていることの裏側にある「数字」を見つけなくてはなりません。
結果を裏付ける数字があるはずです。
違和感をそのままにせず、数字を見つけ出すこと。
その技術を本章で身につけましょう。
ビジネスにおいて、すべての物事はいったん数字に置き換えられます。
ただし、そのすべてを考えるべきかというとそうではありません。
「考えるべきこと」と「考えてもムダなこと」に分かれます。
それを見分けるために必要な概念が、本章のキーワードである「変数」なのです。
2つの「頭の悪さ」とは世の中には、2つの頭の悪さがあります。
1つは、「すべて自分の思いどおりになる」と思っていることです。
もう1つは、「自分の力では何をやっても思いどおりにならない」と思っていることです。
どちらも間違っています。
正しくは、世の中には「変えられること」と「変えられないこと」があるということです。
そして、多くのビジネスパーソンは、次の2つのパターンで苦しんでいます。
・「変えられないこと」を変えようとする人 ・「変えられること」を変えられないと思い込んでいる人本来なら、「変えられること」を変えようと努力し、「変えられないこと」は早々に見切りをつけることが大事です。
どこに「 x」が隠れているのかこの見極めに必要なのが、「変数」という考えです。
数学が得意だった人は、「 y = ax + b」という一次方程式を思い浮かべてもらうと、「 x」が変数であり、それにより「 y」の値が変わるということがイメージできるでしょう。
「a」と「 b」は定数であり、与えられた数字なので、ここは変えられません。
数学が苦手でも、この本質は理解しておかないといけないので、さらに例を挙げましょう。
たとえば、大事なプレゼンに臨むとします。
資料作成の時間を 1時間から 2時間に増やし、レイアウトやデザインにこだわり抜いたとします。
しかし、プレゼンの結果があまり変わらなかったらどうでしょう。
ここで 2時間の努力を 3時間や 4時間に増やし、さらに資料作成に時間をかけるのは、間違った努力の仕方です。
それは、「プレゼン資料の『完成度』が『変数』ではない」からです。
今度は、プレゼンの様子を動画で撮影し、自分で見返してみるとします。
すると、資料をめくったときにすぐに要点を伝えることなく、ダラダラと前置きの話をしていることに気づきました。
そこで、「次の資料に移ったら、最初の 10秒で結論を述べる」という方法を試したとします。
すると、プレゼンを聞いている人の反応が変わり、プレゼンの成功する「回数」が以前より増えました。
数値化された成果が出たのです。
こうして、「プレゼンでの『伝え方』が『変数』だった」ことに気づくことができます。
「変数」こそが仕事の成果につながるこのように、結果を出すためには、「変数が何か」「どこに変数が隠れているのか」ということを、試行錯誤して見つけ出さないといけません。
ここが仕事の成果に直結します。
まずはプレーヤーとして、自分の仕事の変数を見つけられること。
次に、マネジャーや経営者として、マイナスにつながる変数を減らすこと。
いくら努力しても変えられない部分、つまり「定数」は、さっさと諦めることです。
「変数」の重要性について、それぞれの方法を本章で見ていきましょう。
プロセスの「型」を身につけるプレーヤーの人が「変数」を見つけ出すためには、プロセスを試行錯誤する必要があります。
上司から思いつくままに口出しされながら教えられるより、一度、自分でやってみたほうが学べることが多いはずです。
とはいえ、そのカンどころに個人差が出てしまいます。
センスのいい人はいち早く「変数」を見つけ、どんどん仕事が上達します。
センスがない人は置いていかれます。
そのような差が生まれることを避けないといけません。
どんな業界や職種でも通用する「型」は、たしかに存在します。
基本的に仕事は、第 1章で述べた「 PDCA」を回すことです。
では、変数を見つける「仕事ができる人」は、どのようにプロセスと向き合っているのでしょうか。
仕事の「中身」を細かく砕くまず、仕事の工程を細かく分けるところから始めます。
第 1章では、「目標」から「 KPI」を考え、それを実行してもらいました。
「変数」を見つけるためには、やることを時系列で整理するのがポイントです。
たとえば、自社で開発したシステムを商品に、法人営業で契約を取る業務をしているとします。
これを、「 PDCA」に置き換えましょう。
「P(目標)」は、「月 3件の契約を取ること」だとします。
「D(行動)」は、「 1日 4件のアポを入れること」だとしましょう。
さらに、1つの業務を時系列に分けると、次のようになります。
1 最初のアポイントを入れる ↓ 2 お試し期間としてシステムを試してもらう ↓ 3 契約の申込みを獲得するというように、1つの契約を取るまでの工程を3つに分けることができます。
「行動量」を増やすためには、最初の工程を増やすことです。
とにかくアポをたくさん入れることに集中します。
ここから、さらに成長する人は、それぞれの工程での問題点を整理します。
たとえば、アポが 2倍に増えたのに、契約件数が 2倍になっていないとします。
それぞれの数字をかぞえてみると、以前は、・アポ 60件・お試し 6件・契約 1件という状態でした。
そして、第 1章で述べた「行動量」を最優先した結果、・アポ 120件・お試し 12件・契約 1件と、改善できたとします。
アポが 2倍になったおかげで、 12件のお試しの導入にまでこぎつけています。
ただし、最終的な申込みにまでは 1件しか進んでいないことに気づきます。
ここで、どのようにプッシュすればいいのか、そこに「変数」が隠れていそうです。
ガムシャラにアポを増やしながらも、「最後の契約に結びつけるには『どこ』を頑張ればいいのか」にフォーカスしてみます。
「なぜ?」を繰り返して変数を明らかにするお試しにまでこぎつけた 12件のクライアントから、意見を集約してみたとします。
すると、その 8割から「使いにくい」「とっつきにくい」という声が出てきました。
それを改善するためには、「サポート体制があることを伝える」「ちゃんと担当者を付ける」
などのメリットを提示する必要があることに気づけます。
もしくは、「試用期間に一度も連絡がこなかった」という声も寄せられたとします。
最初のお試しを導入してもらうまでは力を入れているのに、その後、なんのフォローもなかったら、契約する気は下がっていきます。
「実際、使ってみてどうですか?」「何かお困りではありませんか?」と、何度か連絡を入れてみたら、もっと早い段階で改善点を知ることができて、親身になってくれる印象を与えられ、契約に結びつくかもしれません。
実際に、試用期間中の連絡やフォローの「回数」を増やすと、契約件数が 1件から 2件、 3件と増えたとしましょう。
ここで初めて、連絡やフォローの「回数」が「変数」であったことに気づけます。
ここでの例では、お客さんからの声を頼りに、変数を見つけました。
これに自分自身で気づくためには、シンプルな方法ですが、「なぜ?」を繰り返すことが大事です。
「なぜ、アポからお試しまでにこぎつけることができないのか?」「なぜ、試用期間が終わってから契約につながっていないのか?」というように、仕事の工程を細かくして、心を鬼にして自分と向き合うことが試されます。
「変数を見つける」という作業は、自分の行ないが間違っていたことを認める作業でもあるので、苦しさがあるかもしれません。
しかし、ここで向き合える人には必ず成長が待っているので、それを信じましょう。
いち早く「変数」に気づけるプレーヤーになるここまでの話は、あくまで一例にすぎません。
これを上司から言われる前に、自分で考えることができるようになるのが本書のゴールです。
工程を分けて、数字をかぞえて、「なぜ?」を繰り返す。
頭の中で妄想するのではなく、実際に行動した数字から考えていくのがポイントです。
いくら脳内でシミュレーションしても意味がありません。
急成長するプレーヤーは、 1人残らず、こうした仕事の進め方をしています。
人当たりがよくて営業スキルに長けていて、なんとなくビギナーズラックでうまくいく人もいるかもしれません。
しかし、そういう人はどこかで壁にぶち当たります。
あるいは、人に教えるときに教え方がわからず、「営業力を磨け」「足で稼げ」「気合いを見せろ」といったことしか言えません。
なんとなくうまくいってきた人ほど、「 力」という言葉を使って逃げます。
まさに、数値化と反対の概念です。
再現性があるのは、「型」なのです。
「行動レベル」にまで分ける前項の例では、 2件の契約を取るという目標の手前に、次のような目標が設定できました。
・アポをたくさん増やす・お試し期間にこまめに連絡を入れる・改善点をメリットとして伝えるさらに、数値化した KPIに分解すれば、 1日にやるべきことが明らかになります。
・1日 5件のアポを入れる ・1日 1回、お試しを導入している企業の担当者にメールか電話をする。
お試し期間の終了時には必ずメリットを提示するプレーヤーとして、ここまで行動に分解していれば、もう迷うことはありません。
変数が明らかになれば、あとは第 1〜 2章で述べたように「 D」を増やしていくだけですね。
「答え」を与えられても意味がない何度も言うように、これらは、上司から「これが正解だからやれ」と言われても意味がありません。
新入社員などの場合なら、こういった指示をしてプロセスを管理する必要があります。
しかし、プレーヤーとして成長する過程で、目標と結果以外は管理されないようにシフトしていくことが求められます。
最近の多くの企業は、いつまでもプロセスの管理をしてしまっています。
小さな目標を設定し、それをクリアしてくれれば、社員たちのモチベーションが上がるだろうと思い込んでいます。
まさにこれが、いつまで経っても社員や部下が成長しない原因です。
そして、あなたがプレーヤーであるのならば、その事実に早く気づくべきです。
気づいた人から成長していきます。
仕事のプロセスを分けて、どこが問題なのかを探しながら、試行錯誤をする。
これを「自分でやって、自分で解決する」からこそ、勝手にモチベーションが上がっていくのです。
上司や会社が踏み込む問題ではないのです。
いつまでたっても部下を子どもや新人扱いするから、モチベーション管理までを上司がやっているのでしょう。
しかし、それが成長を止めていることに、お互いが気づく必要があるのです。
「変数じゃないもの」に固執しないここまで、「変数」をちゃんと見つけられる例を紹介してきました。
しかし、簡単にうまくいくとは限りません。
なぜなら、変数ではないものに対して、「これが変数なんだ」と、信じ込む人が一定数いるからです。
「やった気になること」を排除せよたとえば、長時間の会議をやって仕事をした気になっている人がいます。
これは、会議をやっている「時間」が、仕事の「変数である」と勘違いしているから起こります。
「雑談をしてスッキリした」「みんなの思いを聞けて安心した」など、数字で語れるようなメリットが得られていないことがほとんどです。
「Aチームの業務改善のために、 10個のアイデアを出す会議をします」というように、数値化した目的があれば、会議は成立します。
そのためには、リーダーやメンバーが数字で物事を考えられないといけないのです。
もう1つ例をあげましょう。
「社長から現場に対して直々に説明をしてほしい」というような声が上がるとします。
これは、社長が直接みんなに声をかける「回数」が「変数である」と誤解しているからやりがちなことです。
それによって「士気が上がった」「鼓舞されて納得できた」と思い込んでいるのです。
では、どんな数値的な成果が上がったのでしょうか。
それは検証できません。
やった気になっているけれど、数値化できないものが、会社や組織の中にはたくさんあります。
それらを排除していくのが、「変数か、そうじゃないか」という判断基準なのです。
意味を「後付け」していないだろうか人間には、「やったことに意味を後付けする」という性質があります。
たとえば、子どもが塾に行ったにもかかわらず、成績が上がらなかったとしましょう。
その場合、親はこのように考えます。
「塾に行かせたおかげで現状維持ができているんだ。
もし、塾に行かなかったら、成績は落ちていたに違いない」せっかくやったのだから、そのことに「意味がなかった」ということをなかなか認められないのです。
これと同様のことが、さまざまな場面で起こります。
たとえば、お店の利益を上げたいときに、「内装をカッコよくしたら、人が集まるでしょう」というような、安易な考えをする人がいます。
もしくは、おしゃれなホームページを作れば人が集まると思い込む人もいます。
そうではなく、その行動が「顧客を増やすため」なのか、「単価を上げるため」なのか、といった目標とつながりがないと意味がありません。
そのために、ここまで紹介してきた「 PDCA」が力を発揮します。
いかなるときも、「 P(目標)」が何かを忘れないことです。
そして、それに対して行なった「 D」に対して数字としての成果があったかどうかが大事です。
「変数だったかどうか」を確認するやったことが変数だったかどうか。
それを見極めるのが、「 PDCA」の「 C(評価)」と「 A(改善)」です。
「D」のあとの「 C」と「 A」で、どんな思考をしているのか。
それを説明していきましょう。
「C」は、基本的には上司がおこなう評価を指します。
半年や 1年の目標に対する評価は「上司」がしますが、 KPIがちゃんとできていたかどうかは、自分の心を鬼にして「自分自身」で振り返ります。
この自分の認識が甘くならないように、正しく数値化させることが、本書の肝でしたね。
数値化のクセがつけば、次のように振り返ることができます。
プレゼンの例のように、「伝え方によって成功する回数が増えた」ということに気づけます。
あるいは、営業の例のように「お試し期間中の連絡を増やすと契約件数が増えた」ということにも気づけます。
それにより、 KPIとして重要な数字が見つかりました。
つまり、これが変数なのです。
その確認作業が、「 C」でやるべきことなのです。
「目標の成果につながる行動を『何回』とっただろうか」「目標の成果につながる仕事を『何時間』やっただろうか」これらを数字にして確認すれば、自分に甘くする余地が減ります。
そして、必ずセットで「次はどうするか?」の仮説を考えることです。
これが、最後の「 A(改善)」の段階です。
うまくいったら攻める、失敗したら考える 「C」で数値化して確認ができれば、次のアクションに移ります。
これは、とても単純です。
・うまくいっていたのなら、その調子でもっと攻める・失敗したり未達だったりしたのなら、他にどんな方法があるかを考えるその二択しかありません。
やり方を間違えたのであれば、それを素早く認めて次の行動を考えなくてはなりません。
それに自分で気づくことも大事ですが、上司からの評価を受け入れて改善する姿勢も重要です。
ここで、他者の評価を受け入れなかったり、自己評価が高すぎる人、失敗を失敗と認めない人は、成長が止まります。
また、「あいつよりマシだ」と、他者と比較することで安心するのも危険です。
これについては、第 1〜 2章で詳しく述べてきたとおりですね。
大事なことは、それぞれのフェーズで数値化がされて、「数値化の鬼」として自分の行動を客観視できることです。
自分の感情が入り込まないように数字をそのまま受け入れるのです。
「数値化の鬼」の本質が、徐々にあなたの考えに浸透してきたのではないでしょうか。
こうして「 PDCA」のフレームワークが頭に叩き込めると、自分の目の前の仕事に圧倒的に集中できるはずです。
ぜひ、それを実感しましょう。
他人の成功論はすべて「変数」ではなく「仮説」前項まで、「変数」を見つけるための考え方の「型」を紹介してきました。
すると、次のような意見が出てくるのではないでしょうか。
「そうはいっても、自分で改善点を見つけるのは難しい。
やるべきことの『答え』を教えてほしい」世の中には、「これが大事なノウハウだ」と語っている本がたくさんあります。
ネット上にも SNSにも、ノウハウが溢れ返っています。
たしかに、それらのノウハウは、あなたにとってヒントになる可能性があります。
あくまで可能性であって、絶対に正しい答えではありません。
なぜなら、「まだ『変数』ではなく、『仮説』だから」です。
それについて説明していきましょう。
すべては「個人的な体験談」たとえば、ある営業のトップセールスマンが書いた営業ノウハウ本があるとします。
その本を書いた人にとって「これが変数だった」という体験談が書かれているはずです。
その本に、次のようなことが書かれているとします。
「髪や歯、肌の美容を整えることで仕事の成果が出ました。
顔のパーツは重要です。
男女にかかわりなく自分磨きをすれば、営業はうまくいきます」さて、そのノウハウをあなたはどう受け止めるでしょうか。
これが営業の絶対的な成功法則だと思うでしょうか。
もし、そう思うのであれば、マズい状態です。
もちろん、自分磨きで効果が出る可能性はあります。
だから、それを「仮説」として受け入れるのはアリです。
ただ、あくまで仮説です。
それを受け入れて試してみて、あなた自身の目標の達成に数字的な変化があるのであれば、「仮説」が「変数」になります。
その順番を間違ってはいけません。
上司からの「プロセス介入」も「仮説」である本やネットの情報に限らず、社内で上司から受けるアドバイスも「仮説」です。
「私が新人だった頃は、こういう方法でうまくいった」というような武勇伝を聞かされる場面があると思います。
その上司とあなたは、たしかに同じ仕事をしているかもしれません。
しかし、上司の成功法則は、あなたにとっては「仮説」です。
時代が違いますし、能力や素質も違います。
私のこの本も、そうなってしまう可能性を秘めています。
だからこそ、「具体的なプロセスは教えるべきでない」と何度も伝えています。
それに、具体的な話や実践法はあくまで「1つの事例」で、「型」の話しかしていません。
その「やり方の元になっている考え方」の部分しか、この本には書かないようにしています。
仮説という前提で「シェア」しようそれぞれのプレーヤーは、自分の「 PDCA」を回しながら「変数」を見つけていきます。
その「変数」は、他の人にとっては「仮説」です。
では、他の人にとってはまったく役に立たないのでしょうか。
そんなことはありません。
正解ではなく「仮説」なのですから、役に立つ可能性がある、という話です。
そのため、全員が「これはあくまで仮説だ」という前提を認識した上で、情報共有するのはありです。
成果が出ていないプレーヤーやチームがいるとします。
彼らが、うまくいっている他のプレーヤーやチームに「どういうやり方をやっていますか」と聞いた場合、聞かれた側は積極的にオープンにすべきです。
優秀なプレーヤーから学んだり盗みとったりするのも健全な競争では起こることです。
個人は、組織のために働いていますし、組織が全体で大きな利益を生み出すから、個人にも給料が支払われます。
知識のブラックボックス化を許さないのは、組織で働く上では大事なことです。
自分 1人だけがうまくいっていても、そこで満足してしまうと、組織全体の成長にはつながりません。
仮説という前提で、知識をシェアするようにしましょう。
「変数」が「変数」でなくなるとき以上が、「変数」に関する大まかな考え方でした。
さて、本書で何度も登場しているのが、「手段と目的の順位が入れ替わる」という話です。
第 1章では「行動量」の重要性を理解してもらい、第 2章では行動量を下げないために「確率のワナ」があるという話をしました。
これは、あくまで上司から評価される「大きな目標」が目的であることを見失わないための考え方でした。
そして、本章では「変数」を説明しました。
しかし、ここでも「手段と目的の入れ替わり」が起こり得てしまいます。
「明らかに変数ではないもの」を「変数ではないと認める」という話をしました。
ただ、もっともタチの悪いものについては、あまり触れていません。
それが、「変数ではある」けれど、「重要度の低い変数」です。
「もっといい変数はないか」という視点仕事を進めていく上で、「変数」はたくさん出てきます。
プレゼンの「完成度」と「伝え方」の話をしました。
もしかすると、資料の完成度を高めることで、プレゼンの成功率が 5%ほど上がるかもしれません。
このときに、「資料の完成度を高めたら成功率が上がった。
これが『変数』だ」と信じてしまうと、非常に厄介ですよね。
なぜなら、本来ならもっと成功率を上げる「伝え方」があるのに、そこに目が行かなくなるからです。
「変数であることには間違いない。
だけど、もっと大事な変数があるはずだ」そうやって自分に厳しくする視点が必要なのです。
まさにこれが、本書でもっとも伝えたい「数値化の鬼」のポイントです。
それを次の章で詳しく説明しましょう。
3章の実践「変数」を見つける 3章では、仕事においてもっとも重要な能力である「変数を見つける」ことについての話をしました。
この考え方ができるかどうかが、成果に直接つながるので、ぜひマスターしましょう。
たとえば、店舗スタッフとして「 1ヶ月で 100万円を売り上げる」という目標があるとしましょう。
1ヶ月が経ったあと、売上は 80万円だったとします。
売上が足りなかった理由は、いくつも考えられるはずです。
・1ヶ月のうち、 10日間も雨が降った・アルバイトの学生が 2人も辞めてしまった・新商品が期待ほど売れなかった・リピーターが獲得できなかったこれらの理由のうち、まずは「変えられないこと(定数)」を考えます。
「雨が降ること」はどうしようもできませんね。
他の店舗や競合も同じ条件ですし、対策がありません。
また、「アルバイトの学生が辞めたこと」と「新商品が売れなかったこと」に関しては、ある程度の改善は必要かもしれません。
「業務が多すぎるので減らしてほしい」という要望があったり、新商品に対して「説明が足りない」というクレームがある場合は、それらに対処することは大事です。
ただ、不確定要素も多いので、ここでは「リピーターの獲得」を変数に設定してみましょう。
その場合、ちゃんとリピーターになってもらうために、・顔と名前を覚えて接客する(名前を 1回は口にする)・ポイントカードや割引券を渡し、回収率を割り出す・新商品や他の商品も説明し、次回の来店で試してもらえる確率を上げるなどが、それぞれのプレーヤーの行動となるでしょう。
そして、うまくいく方法が見つかれば、それを続ける。
成果が出なかったらやめて次を考える。
その確認と改善を、数字の変化を見ながらやり続けることです。
「リピーターを増やす」という軸がブレないことが大事です。
もし、これらの行動を実践し、配布した割引券の回収率が上がり、明らかにリピーターが増えたとします。
さらに、売上も増加し、「 1ヶ月に 100万円」という目標に近づけたのであれば、 「『リピーターの獲得数』が変数だった」と言えます。
そのまま同じ努力を続けていけばいいのです。
それとは逆に、リピーターが増えたにもかかわらず、売上が増加せずに横ばいだったり、下がったりした場合はどうでしょう。
そのときに、 「それでも『リピーター』を増やすべきだ」と考えてしまうのは、 NGです。
その他に、売上をあげるための「変数」があるはずなので、それに考えを切り替えます。
というように、「変数が何なのか」という軸を持つことで、仕事の目標設定がブレなくなります。
つねに「変数」を考えるようにしましょう。
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