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第2章 組織・チームを動かすルールとは?

「― 組織・チームを動かす力とは?

● 組織を動かすためのマニュアルとは?

製品の取扱説明書や、ものづくりの作成指示書は誰でも想像がつくと思います。

しかし、人 を動かす、組織のためのマニュアルとはどんなものでしょうか? いきなり「この業務やつといて」といって、何も知らない部下に仕事を任せても仕事は先に進 まないでしょう。

仕事というのは必ず手順があります。

その手順を知らせるものがマニュアルです。

マニュアルは、「指示書」や「フローチャート」として形を変えているものもあります。

マニュ アルがあることによって、「誰が手がけても一定の品質」が保てるのです。

つまり、マニュアルとは誰でも「スーパーな仕事」ができる教科書であり、仕様書であり、つ くり方の説明書でもあるのです。

一言に組織のマニュアルといっても、いろいろなものがあります。

役員が会社の会議を運営する ための規則、従業員の働き方を労働法などに沿って作成した就業のための規則、どの役職がど のぐらいの決め事ができるかなどの稟議の規定など、数を上げたらキリがありません。

この決 まりごとが多いか少ないかは組織を構成する人数に比例します。

つまり、会社なら社員の数が多ければ規定の数が多いということです。

船が大きければ、点 検する箇所が多いのと同じです。

人が多ければ、人の数だけ決まり事が必要になるのです。

ここで面倒になってはいけません。

決まり事の1つや2つ、どうでもいいやと思った瞬間から組 織のほころびが浮かび上がってくるのです。

最初は、些細なことと思いがちです。

でも、この取り扱い方によって将来の行き先が大きく 変わるのです。

些細なほころびは、当初は「このぐらいなら、まあいいか」といった感じでしょう。

しかし、「このぐらい」を放置していたら、そのほころびはどんどん広がります。

まして、人と 人のつながりである組織の中でこのような現象は「甘え」という構造で、内部にはびこります。

人は苦労より、楽をしたい動物です。

「甘え」が広がるのは時間がかかりません。

この状態で「まずい」と気がつき、何らかの対策が必要と感じる頃は、手遅れの状態であることが多いのです。

業務進行におけるマニュアルとは、業務をスムーズに指導させる「手順書」です。

それ も優秀な先輩社員と同じような知麟を与えてくれるものです。

ここをきちんと抑えて、手 早く、クオリティーの高いビジネスを展開するようにしましよう。

● 組織の方向性を掲げる

組織には、向かうべき共通の方向性があり、認識があり、コミュニケーションがあります。

つ まり、目指すゴールがあるのです。

このことは会社組織として、トップから現場のスタッフまで、 共通認識として目指すゴールを視界に入れていなくてはならないからです。

私のクライアントで、社員数を急激に伸ばした会社があります。

5年前からのお付き合いで すが、当時は社長以下7人の小さな企業でした。

業種はレンタル業を営んでおり、時代の流れ に合致した営業を行っていました。

業績が大きく伸び始め、社員数も2年で3倍、4年で5倍とどんどん増えていきました。

そんな中、社長とゆつくり話をしたときのことでした。

「社員が10 人未満のときは、誰が何をやっているか一目瞭然だったよ。

正直言うと今では社員の 名前がすぐに出てこないことがあるんだ。

それと、前だったら朝礼で、会社の方針、直近の目 標をlヶ月に1回確認すれば済んだことが、今では、なかなか聞き入れてくれない者もいて、参っ ちやうよ・・。

」 社長は、人数が増えれば増えるほど同じ方向を向いてもらうことの難しさを嘆いていました。

では、この会社ですが、具体的にこの問題をどのように乗り越えたのでしょうか? 決して難 しいことではないのです。

というのは、社長自ら朝礼で、会社の方針、進むべき方向を話したの です。

それも、毎日、毎日… 。

話をしている社長ですら「自分でもいつも同じ話をしてい るな。

飽き飽きしてくる」と話していました。

そのぐらい、繰り返し、繰り返し話をしたのです。

この話を私が聞いたときは、社員は30 名を超えていました。

そして、社長は「毎日、耳にた こができるくらいに話をして、それでようやく全員に伝わった気がします」と教えてくれました。

話の最後に「人に話を伝えることは、とても大変ですね。

こちらが思っていたレベ ルなんて、聞く方は関係ないですからね。

多わかっていないな゛と思ったら、何度で も何度でも根気よく話をすることが、最善の方法ではないでしょうか」と言っていま した。

会社が向かう方向を社員に浸透させるのは、とても手間がかかることです。

しかし、組織 全体がどこに向かっているかがわからないと、緊急事態や急激な環境の変化にスタツフ一人一人が 対応できなくなるのです。

またその反対で、全体の方向性がわかっていれば、自分が何をすれ ばいいのか、自ずとわかつてくるのです。

まずは、会社組織が大きな方向性を持ちましょう。

さらにその方向性をわかりやすく目標 として掲げましょう。

そして、全体から部署ごとに目標をサイズダウンさせ、部署に合ったもの にするのです。

なぜかというと、大きな目標は「抽象的」過ぎるからです。

大きな目標のみ だと現場レベルでは、何をしていいのかわからなくなるのです。

現場の目標は、いわゆる「行動レベル」まで落としこまないと、変化があつたときには混乱して機能しなくなるものなのです。

会社組織の方向性は、会社のミッションとほぼ同じで構わないでしょう。

この方向性は、社長 などリーダーの想いを言葉にしたものを掲げましょう。

そして、長期、中期計画で向かう方向 性を指し示しましょう。

それから部門での目標設定を具体的にし、アクションプランまでつくり 上げましょう。

そして、現場レベルでの行動まで標準化するのです。

そのきっかけとなる目標設 定を手助けをするシートが、次ベージの「目標設定シート」に掲載されています。

このシート を埋めることにより、組織全体の目標設定と部門の目標設定が可能となります。

また、このシートは「木を見て、森を見ず」といった全体の姿を見失うことがないようにつく られています。

これを活用して方向性を定めた目標を設定してみてください。

2 自分で組織図をつくってみる

● 組織構築のときに考えなければならないこと

組織構築のときに考えなければならないことは何でしょうか? 採用のことでしょうか。

仕事 の割り振りのことでしょうか。

仮に、あなたが1人で会社を起こしたとします。

起業したてのときは、社長が何から何まで こなします。

事務所の物件探しから、引越しの手配、電話回線の手続き、コピーのリースの契約、 関連先への挨拶状の発送準備などなど。

… 。

「1日24 時間じゃ足りないよ―」という状況に陥 るのは目に見えています。

このような状況を打破するためには、協力者を募らなければなりません。

身内をはじめ、前 の職場の先輩、同僚、後輩、友人などに声をかけることになるでしよう。

しかし、この前によく考えなければならないことがあります。

それは「組織図」をつくることです。

別の言い方をすれば、仕事の範囲を事前に設定して、役割分担を決めておく のです。

そのためには、社員を採用する前に組織図を作成することをおすすめします。

スタツフを採用する前に、組織図をつくって、役割分担を明確にしておくことは、私の友人の K社長から教わりました。

彼は、私より1年前に自分のビジネスを立ち上げました。

資格を 活かし、測量の仕事と登記の仕事で会社を起こしました。

しかし、立ち上げ当初は資金的にも厳しく、当然他人を雇う余裕などありません。

ただ、 K社長は「近い将来、必ず人手が必要になるので、そこまで見越した経営が必要だ」と言って いました。

そして、役割分担を明確にした組織図をつくりました。

社長がトツプに位置し、営 業部、業務部、管理部が並列で書かれていました。

組織図を見せてもらつて思わず「え―」と声を出してしまいました。

それは、K社長が最初 につくった組織図で、すべての担当者の名前がK社長自身の名前だったのです。

しかし、K社長は、 この役割に忠実に業務をこなしました。

例えば、新規営業のときは、「今の自分は社長として の仕事ではなく、営業部長としての仕事をしているのだ」と話してくれました。

実際に、部長として仕事をしているから「今の時給は1万円だ」と独り言のようにつぶやいていました。

別の とき、実際に領収書を整理しているK社長に「今の時給はいくらですか?」と問いかけたこと があります。

すると、「2000円かな」と答えてくれました。

つまりK社長は、自分自身で業務のすみ分け、価値の違いを常に認識していたのです。

K社長が起業して、半年弱が経ったところで、業務スタツフを採用しました。

採用したときに 「何を任せるか、具体的にイメージもあるし、引き継がせる業務のメモもある」と言っていまし た。

役割分担がきちんとできていたので、新たに雇われたスタッフはその日のうちに業務をこな すことができたのです。

大手の企業などでは、「とりあえず仕事の勉強をしておいて」と入社1日目は机に座らされ てしまうケースがありませんか? 少ない資源で事業を走らせている中小企業にとって、このよう なことは人材、時間の大きな損失となるのです。

K社長のところに話を戻しましょう。

K社長は、しばらくして営業ができるスタッフを雇い入 れました。

この場合も、任せる業務範囲や内容がまとまっていたので、スムーズに仕事を任せる ことができたのです。

もし、あなたが起業したてで組織図がない場合は、次の「組織図」をご活用ください。

この 資料を基に自分の会社の組織図をあらためてつくってみましよう。

また、会社の部門のリーダーの方も、あなたの部署の組織図を作成してみましょう。

会社全 体の組織図とは別のものです。

この場合、役割が不明確だったり、微妙に業務の流れが「なん となく」できていたりする場合が多いです。

ここを明確にすることにより、チームのボトルネツ クが見えてくることがあります。

作成してみてください。

3 リーダーの役割とは?

● 時代とともに役割は変わる

組織やチームのリーダーの役割について考えてみましょう。

会社組織の中で社長の役割は、会 社の方向性を決め、社員全体を統括して業務に邁進する環境をつくるというところでしようか。

今は違っても、社長を目指している人は意識をしておいてください。

では、管理者・チームリーダーの役割とは何かということを整理します。

リーダーの姿という ものも、時代と共に役割が変わってきています。

組織を動かすポジションの人ですが、従来の ような単純なアメとムチでは、部下はついて来ません。

若いスタッフは、入社3年で辞め ていくのが当たり前の時代です。

外部環境の変動が、リーダーの役割に変化を要求しています。

それではリーダーには、どのような役割が求められているのでしょうか?

←ビジョンやミッションを理解し、噛み砕いて伝道する 経営トップのビジョンやミッションをダイレクトに伝えても、部下にはなかなか伝わりません。

経営トップの描くビジョンを自分が率いているメンバーに合わせて、わかりやすく噛み砕いて理解 させる必要があるのです。

そして、メンバーに理解させ、行動させる力がリーダーには求められ ているのです。

「なぜ、その仕事をするのか?」「なぜ、その仕事を進めなければならないか?」というメンバー の疑間に丁寧に答え、理解させていくことが求められています。

メンバーが「自分たちの仕事にプライド」を感じるように、「仕事に将来」を感じるように していく役割が求められています。

←組織のやる気を引き出す 今、企業に求められているのは、当たり前の仕事をすることではありません。

当たり前を超 えた仕事を行うかが、生き残りのポイントにとなります。

そのため、マニュアルなどで基礎固めをするのです。

標準化された製品、サービスの提供を行い、品質が保障されたあと、社員一人一 人の個性がにじみ出るサービスを提供するのです。

そのためリーダーはスタッフ個々人のモチベーションを引き上げなければならないのです。

このた めには個人の興味を知り、「仕事を楽しくさせていくこと」でモチベーションを上げていくことが、 リーダーに求められているのです。

←職場風土をマネジメントする 職場の人間関係や環境が、チームの生産性を左右していきます。

笑顔がなく、いつも暗い雰 囲気であれば、自由な意見も出ないのです。

また、いつもガヤガヤとおしやべりばかりをしてい れば、集中して仕事ができません。

自らの職場が暗い場合は、明るく、笑顔で率先して冗談を言いながら、チームを明るくしな いといけません。

業務以外ではなく、イベントなどを行ってチームの結束を強めることも必要で しょう。

逆に、騒がしい雰囲気であれば、チームを引き締めていくのも役割のひとつです。

リーダー は、職場の空気を読みながら、その環境をマネジメントしていく役割が重要となるのです。

←目標達成のための手助けをする 業務目標を達成することが、ビジネスでは命題となつています。

目標達成は、充実感と達成 感を刺激するでしょう。

さらに、日標達成時には、仕事が楽しくなっていくのです。

しかし、メンバーが目標を達成しようと努力をしているときに、障害が発生したらどうでしょ う。

その障害を乗り越えていくために指導することがリーダーには求められます。

単なる指導ではなく、「コーチとして、サポートする」役割が必要になるのです。

←メンバーの回―ルモデルとなる あなたの組織のメンバーにとつて、身近な理想のロールモデルがリーダーであるあなたです。

あ なたの背中を見て、メンバーは日々の業務の中で色々なことを感じているのです。

そして、自分 の目標をつくっていくのです。

だから、あなたはメンバーの目標であり、模範となり、そして、理想とならなければいけません。

日々の仕事の中で、楽しく業務をこなし、ときには落ち込み、そのような姿を身近で見せ、自分たちの将来を重ねてもらうのです。

そのためには、「自分はメンバーの目標だ」という自覚を持てばいいでしょう。

それも、ある がままの姿で。

ここで取り繕ってもすぐにぼろが出ます。

外見だけではなく、強い気持ちでロー ルモデルの自覚を持ちましよう。

4 新人をプロフェツショナル化する

● マニュアルで基礎を叩き込む

業務をマニュアル化するメリットはいくつかお話しさせていただきました。

品質やサービスの均一化をはじめ、マニュアル化のメリットは計り知れません。

そして、スタッフ の育成にもマニュアルが大いに影響してくるのです。

しかし、人材育成となると「マニュアル・… 」と尻込みする人も多いです。

これは、マニュア ルは、「同じもの」「同じような行動しか取れない人」を生み出すのではないか? と考えられて いるからです。

いわゆる「金太郎飴製造機」がマニュアルと考えられているのです。

しかし、これは大きな誤解です。

私は、マニュアルは「基礎を知る」教科書だと考え ています。

つまり、教科書をマスターすれば、基礎問題が確実に解けるのです。

そして、応 用問題は、自分自身でアレンジを加えないと解答することはできないのです。

マニュアルの欠点というエピソードをご紹介します。

ファーストフード店でのことです。

1人で来店したお客さんが「ハンバーガ1 30 個」と注文を しました。

そして、接客した店員が「当店でお召し上がりですか? お持ち帰りですか?」と 尋ねたそうです。

もちろん、「お召し上がり」のわけはありません。

冷静な判断ができれば「お 持ち帰り」と考えられるはずです。

もし、質問することが「ルール」だったとしても「質問の仕方」がありますよね。

マニュアル 人間は決められたとおりにしかできないということになつてしまいます。

しかし、このようなエピソードはごく一部の人でしょう。

実際には、現場でいろいろ工夫し、最 適なルール化を行っていると考えられます。

スターバックスコーヒーのスタツフは、生き生きと接客していると評判です。

彼らは決して、物 事をマニュアル的に捉えないと思われますが、本当にそうでしようか? 確かに、先ほどのファーストフードのような考え方をするスタッフはいないでしょう。

しかし、 基本的なマニュアルはすべてのスタッフが身につけているのではないでしようか。

スターバックスコーヒーでは、行動という部分を全員がきちんとおさえ、それから考え方のマニュ アルを提供しているのでしょう。

基本を押さえ、基本部分では行動のマニュアルという教科書で 仕事をマスターするのです。

そして、現場では「お客様をもてなす心」を第一に、基礎をベース に「その瞬間」を考え動いていくのです。

これは、自分自身で応用問題を解いていることにな るのです。

行動のマニュアルは同一品質、同一サービスを生み出します。

そのことは紛れもない事実です。

しかし、考え方の基礎を新人もベテランも把握できれば、応用するのは自分自身です。

新人 も行動の基礎をおさえ、考え方がブレなければ、もうプロフェッショナルなのです。

このようにして、行動と考え方を押さえていくのです。

5 マニュアルで教え上手になる

● 基本を漏らさず教えることができる

部下に仕事を教える際に、マニュアルがあるかないかで教え方とその効果が大いに変わってきま す。

まず、マニュアルこそがあなたが部下に伝える仕事の手順の大半を教えてくれることになる からです。

「それでは、人がいなくていいのでは?」と疑間が起きるかもしれませんが、人が教えること により、より臨場感が伝わり、仕事のメリハリを伝えることができるのです。

しかし、マニュアルがないと、上司が重要と考えたこと多ばかリクが強調されてし まうことがあります。

そして、必ず伝えなくてはならない基礎的で重要なことが抜け落ち てしまうケースがあります。

このような状況だと教わった部下も悲劇です。

重要なことばかり印象づいてしまい、肝心なことが抜け落ちてしまうのです。

素晴らしい上司であっても、基礎が伝えられなければ部下を教育したことになりません。

しかし、マニュアルやチェックリストがあれば、上司が教えるポイントを一瞬でつかむことができ ます。

それによって、基礎部分で確実に教えなくてはいけないところを漏らすようなことがなく なるのです。

さらにそこから、自分自身で経験したことを基に色々なアレンジや生の情報を足し、 より説得力のある教え方ができるのです。

この基礎を伝えることはもちろん、自分で強調したいことを伝えることにより、もつとも効率 よく部下であるスタッフの魅力も最大限引き出すことが可能になるのです。

ベースの部分をマニュアルに委ね、そこからヒューマンエラーが起こりやすい箇所やもっと個性が 発揮できる箇所などを伝え、教育し、現場で叩き込むと部下が伸び伸びかつイキイキと働く ようになるのです。

そしてゆくゆくは部下が育ち、その下のスタツフに伝承していくのです。

そのときもマニュアルベースでアレンジをかけていけば教えやすいし、自分が教わってきたことな ので「いい流れ」が伝承されていくでしょう。

マニュアルを活用して業務を教えると、あなたもその瞬間から「名コーチ」となっていくでしょう。

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