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第2章頭の中をスッキリと整理しよう

目次

11頭の中をできるだけ空っぽにする

段取りを考えるときは、頭の中にあるものを全部取り出すことが大切です。

段取りがうまくできない、バタバタとしている割には効率が悪い人の特徴として、頭の中で段取りを考えようとしてしまう、ということが挙げられます。

もちろん、よほど簡単なものや、もうなんども繰り返して慣れている仕事の段取りであれば、頭の中であれこれ考えるだけでもスムーズにまとまるでしょう。

しかし、今は次から次へとやらなければいけないことが降ってくるような時代です。それを全て頭の中で処理しようとすると、「あ、あれを忘れてた!」という事態を招きかねません。これでは上司や取引先の信用を失うことにつながってしまいますよね。

さらに「アレもやらなきゃ、コレもやらなきゃ」という状況だと、脳のパフォーマンスが落ちます。脳のワーキングメモリに負荷がかかりすぎて、ダウンしてしまうのです。

会議の資料作りをしていたら、FAXで案内状を送らないといけないことを思い出し、そっちに気を取られているうちに資料作りのアイデアが頭から消えてしまって「さっき何か書こうと思っていたのに……」ということになってしまいます。

パソコンやスマホでも同じですよね。たくさんのアプリを同時に開いたりしていたら、負荷がかかりすぎてダウンしてしまったり、処理速度が低下してしまったりします。これだとやらなきゃいけないことを進めるだけの余裕がない状況です。

これって、小学生がまだそれほど計算が上手ではないのに、筆算をせずに答えをうんうん考えて計算ミスするのと変わりませんよね。

「書き出せば早いのに」って思いませんか。頭の中を空っぽにして、脳への負荷を減らしましょう。頭よりも手を動かせばいいのです。やることも思いついたアイデアも、全部すぐに書き出してみましょう。

書き出しておけば、一つのタスクが終わった段階で、また他のタスクについて考えることができるので、一つのタスクに集中することができ、迷いなく行動を起こせます。

書類を作っているときに上司から頼まれごとをしたら、それをすぐにメモする。もし書類作成を中断して、そちらを優先しなければいけないのならば、書類作成のアイデアなどを書き出しておく。

そうすれば、あとでバタバタしなくてもすむようになります。段取り力の高い人は自分の記憶をあてにしていません。私たちはAIやロボットではありませんし、ミスをする生き物だからです。

ミスをすることが悪いのではなくて、ミスが起こらないような仕組みを持っていないことが問題なのだと考えているからこそ、忘れないようになんでも書き出します。

段取りがうまくできない人は、ここで自分の記憶力を過信してしまって、うっかりミスを繰り返してしまいます。ですから、私は常にペンとメモを携帯しています。

誰かから入ってきた依頼や、思いついた仕事のアイデアなどは、その場で全部書き出しています。そうすることで、確実にやるべきことをやり遂げることができますし、その小さな積み重ねが信用につながります。

アイデアをその場で逃さないようにすることで、ちょっとしたアイデアが大きなチャンスを生み出すことにもつながるかもしれません。

「アレもやらなきゃ、コレもやらなきゃ」となってしまうことが多い人は、脳の整理能力が低いのではなく、単純にそれを頭の中で処理しようとすることに問題があるだけです。

段取りを考えるときも、ゴールまでのステップを頭の中で考えるのではなく、全て書き出してみるのです。

そうすることで、本当にその順番でステップを進んでいけば、ゴールまで確実に、そして効率良くたどり着けるかを把握することができます。

やることを全部書き出して、頭から取り出しましょう。脳にスペースもできて、余裕を持って考えやすくなるはずです。

Organizeyourthoughts頭の中を整理する

12「一言で言うと?」を問いかける

「何が言いたいのかわからない」「もっとまとめてから話をしてくれ」「結局何が言いたいのだ?」と言われることはないでしょうか。

話をする前に「何を」「どのように」伝えれば相手にしっかりと理解してもらえるのかと、しっかりと段取りができていない人によくあるパターンです。

本書では50項目で段取りが良くなるコツをお伝えしていますが、1項目1メッセージだと思っています。

だから、一つの項目に着手する前に必ず、「この項目で伝えたいメッセージはなんだろうか」ということを考え、書き出すようにしています。

本だけでなく、講演や会議などでも、わかりやすいと思わせる人の話は極めてシンプルです。

人を動かすことができる人はいつもシンプルで、一言で話をまとめたり状況を自分の言葉で簡潔に伝えたりすることに長けています。

一方で、何が言いたいのかわからない人は、伝えたいことが多すぎて自分でも頭の中が整理できていない。

あれもこれも伝えたい、という思いが先行して、自分でもよくわからないということになってしまうのです。そうすると絡んだ紐のように、解くのが難しくなってしまいます。

だから、「一言で言うと」を考えることは、最優先事項をあぶり出すためのキラークエスチョンなのです。

一言でまとめる力は段取りにおいての軸を作る上でも大切ですし、タスクを遂行していく上で、ブレないようにするためにも機能します。

ですから私は、「一言で言うと」を考え、書き出します。

書き出して見えるところに置いておくことで、それを意識して書いたり、資料の準備をしたりすることが容易にできるようになります。

「書くこと」は目標達成を助けると、いくつかの研究でも確認されています。

ドミニカン大学の心理学教授ゲイル・マシューズは、目標を設定するだけの人と比べて、目標を紙に書き出した人は、達成の可能性が33%高いことを発見しました。

いつでも見える状態にするということは、思考のブレを小さくしてくれる効果があるのです。

  • 一言で言うと、自己紹介で伝えたいことはなんだろう。
  • 一言で言うと、自分の会社の強みはなんだろう。
  • 一言で言うと、最も伝えたいことはなんだろう。
  • 一言で言うと、相手にどんなイメージを持ってほしいだろう。

シンプルに考えると、どんどんムダがそぎ落とされていきます。質の高いものはムダが少ないもの。

そのための軸を見つけ、最優先事項を明確にするために「一言で言うと」を考える習慣を持ちましょう。

「シンプルイズベスト」とはよく言ったものですね。

いい段取りをするために、打ち合わせなどで、相手の話をしっかりと聞き、ニーズを明確に理解することはとても大切であるとお伝えしましたよね。

とはいえ、必ずしも相手が「段取り上手な話し手」であるかどうかはわかりません。

つまり、ふむふむと聞く姿勢を持って、なんとか相手を理解しようと思っても、なにが言いたいのかよくわからない人がいることもありますよね。

ですから、相手の話があちこちに飛んだり、あれこれバラバラになっている印象を受けたときは、相手が話し終わったタイミングを見て、「一言で言うと、御社が今一番力を入れたい分野はどこですか?」「一言で言うと、他社のサービスとの違いはなんですか?」「一言で言うと、課題はなんだと思いますか?」と、一言クエスチョンを投げかけてみるのです。

自分のことを客観的に捉えることは誰にとっても簡単なことではありませんから、話をしている相手は自分の話が伝わっていないことに気づいていないというケースは多いのです。

相手の頭の中が整理できていないと感じたときは、一緒に整理する。「一言で言うと」という質問は、その絡まった紐を解くにも最強なのです。

Bebriefシンプルであれ

13それは自分がすべきことなのか考える

部下や後輩に任せるべき仕事を、つい自分で抱え込んでしまう癖がついている人がいます。自分の成長とともに関わる分野・仕事量が増えても、一人で抱え込んでしまう傾向があるのです。その結果、抱え込みすぎてパンクしてしまう。

そうすると、優先順位がつけられなくなって、重要な仕事をあと回しにしてしまったり、仕事が遅れがちになってしまったりと、悪影響が出てくる恐れがあります。

他人から仕事の依頼をされて、期待に応えようとしすぎるとこうなってしまうのです。誰しも「向き、不向き」や「得手、不得手」があります。だからこそ社会も企業も成り立っています。

数字が苦手な人もいれば、会話が苦手な人もいます。一方で、資料作りが誰よりもうまい人や、相手の心を摑むのがうまい人もいます。それぞれの強みを活かしながら貢献できます。

スポーツでもそうですよね。守備がうまい人がいれば、攻撃がうまい人がいる。足の速い人もいれば、誰にも負けない筋力を持っている人がいる。やっぱりそれぞれが違うからいいんです。

当然のことながら、不得意なことで頑張ろうとしても時間がかかってしまうし、成果も出にくいものです。

そうであれば、それを自分よりも上手にこなせる人に任せてしまったほうが、全体もスムーズに進みます。

先ほどもお話ししたように、私の会社では、海外の大学で学んでいる人たちに、論文の添削校正サービスを提供しているのですが、人によって専攻はバラバラです。

物理学を専攻している人もいれば、美術史を専攻している人も、考古学を専攻している人も、政治学を専攻している人もいます。

英語のチェックだからと言って、英語ができる人であれば誰でもいいというわけではありません。それだけの多様な専攻に合わせて私が一人で頑張ることは、非効率以外の何物でもありませんね。その都度、基礎から勉強しなければいけないのですから。

やはりそれぞれの専攻にフィットする人をあてがうほうがいいに決まっていますから、海外のフリーランスでそれぞれの道に詳しい人物を見つけ、仕事を依頼するための仕組みを築いています。

その分野に詳しい人にお願いすれば、作業も確実でスムーズに進むので、ユーザーにもベストなサービスを提供できるのです。

部下や後輩でも自分より上手にできるものがあればしっかり任せればいい。

うまく段取りを考えられる人は、自分で抱え込むことは効率が悪いと考えているので、周囲を味方につけて物事を進めることができます。

「自分でできること」と「自分一人ではできないこと・苦手なこと」を見極めて、周囲の人の協力が必要な場合には上手に協力を得て仕事をこなします。

段取りがうまい人は、目指すゴールが決まったら、ヒト、カネ、ジカン(HKT)などのリソースを把握して、どうすれば最短で、そして的確にそこを目指すことができるのかを考えます。

そのために、今すべきことの全体像をいつでも見渡せるようにタスクを把握しておくこと、そして、その優先順位を明確にしておくことが大切です。

すべきことが整理されていれば、それを誰かに任せたほうがいいかどうかを客観的に判断することもできますが、整理も把握もできていないから、「とりあえずやっておこう」となってしまうのです。

あなたと同じで周囲の人にも自分のやるべきことがありますし、決して暇ではありません。周囲が協力しやすくなるよう、環境や条件をしっかりと整えましょう。そのために必要なのが、日々の細かなコミュニケーションなのです。

Takeadvantageofourstrengthsそれぞれの強みを生かす

14頭ではなく、手を動かす

「ああ、どうすればいいのだろう」「どうやって段取りを組めばいいのだろう」やることが次から次へと降りかかってくる時代において、段取りが悪い人や優柔不断な人は、何をすべきかの整理がうまくできません。

つまり頭の中にたくさんのタスクがあって、それらを整理する必要があるのですが、それができていません。それなのに、なぜかそういう人に限って頭の中であれこれ整理しようとします。

簡単に整理できるものはすぐにスッキリとまとまるかもしれませんが、様々なタスクが少し複雑に絡み合ってくると、「ああどうしよう」と動けなくなってしまいませんか。

そうならずに的確な段取りを組むためには、極論を言うと、頭を動かそうとするのではなく手を動かすこと。これが一番です。

「手は第2の脳」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。

手や指先の動きは、言語や思考といった脳の高次機能を担う大脳皮質に影響を与え、手を動かすことで脳の血流量が増えるということが研究でもわかっています。

手には神経がたくさんあるので、手をたくさん使うことで脳細胞に刺激を与え、脳の活性化へとつながります。

もう一つ、手書きが脳内の整理に効果的な理由は、そのスピードにあります。

2014年プリンストン大学のパム・ミュラーとUCLAのダニエル・オッペンハイマーは実験をしました。

授業でノートを取るときに紙に書くか、ノートパソコンに記録するかで分けて、授業のあとに記憶、理解、情報の活用の3点についての試験をしました。

その結果は驚くべきものでした。

パソコンに記録していた学生よりも、ノートに手書きで書き込んでいた学生のほうが、圧倒的にスコアが高かったのです。

一週間後に再び試験をしたときにも、手書きでノートを取った学生のスコアのほうが圧倒的に良かったのです。

なぜそうなるのでしょうか。タイピングすることに比べると、手書きはゆっくりなため、教授の話すことの全てを書き取ることは難しい。

それゆえ、注意深く聞き、消化し、授業を聴きながら話の要点をまとめることに集中力を使うのです。つまり聞きながら、頭の中で整理し、学んでいるわけです。

逆にタイピングをしたときは、あまり考えることなくひたすら記録することに集中をしてしまうのです。

そしてその場で考えることがあまりできないために、疑問も思い浮かびづらくなり、理解できなかったことを質問する機会をも逃してしまうのです。

私は常にノートとペンを携帯していて、思いついたことや感じたことはどんどんメモするようにしています。

手書きで書くと、その書いたことから新しいことなどをどんどん思いつきます。体裁なんて気にせず、まずはランダムに感じたことや考えたことを書き出していく感じです。

書き出したもの同士、最初はなんの関係性もないように感じることもあるのですが、あとで眺めてみると、アイデアのつながりが見えてきたり、難しく考えていたことが意外とシンプルだったことに気づいたりと、頭の中が整理されていく感覚を覚えるものです。

手を動かしながら、次から次へと頭の中にあるものを取り出していく。

そんなシンプルな方法で自然と頭の中がまとまってきますし、段取りのスピードもグンと速くなります。

Writeout手を動かす

15「ここだけの話」で情報の質を高める

いい段取りをするためには、いい情報が欠かせません。今の時代はインターネットによる情報革命のおかげで、あらゆる情報が手に入るようになりました。

しかも多くの情報が無料で手に入るので、何か調べたいことがあるときはすぐにネットで解決、としてしまっている人も少なくないのではないでしょうか。

しかし、誰でもアクセスできる情報にはあまり価値がありません。情報化社会になって、情報の価値がどんどん低下しています。

価値を生むのは、いつも誰でもが手に入らない情報です。それらを入手するために必要なのは、自分で体験することで得られる一次情報。そして、信頼できる人から聞いた情報です。

私は様々な業界の方とお仕事をさせていただきますが、飲み会の席や打ち合わせで出てくる話は、ネットはもちろんのこと、本にも書かれていない情報が山ほどあります。

書けない情報、と言ったほうが早いのかもしれません。どこの業界がどのように動いているか。どういうところに課題があるのか。

考えたら当たり前の話なのですが、ライバル企業に知られたくない新プロジェクトの計画を、誰にでもベラベラと話したり、ネットに公開したりするはずがありませんよね。

水面下でじわじわとプロジェクトを進めて、ここぞというときにそれをパブリックにします。見えている世界というのは、氷山の一角に過ぎないのです。

だから、「ここだけの話」はあちこちにいっぱい存在します。業界のトップは話せない話を話しています。そんな水面下の動きを把握するためには、異業種の人と交流しなければいけない。

そのためにも日頃から、社外にも飛び出して、様々なジャンルの業界の人とのつながりを持ち、深めておく。

そうすると新鮮で、質の高い情報が入ってくるようになるのです。また、現場に行って得る一次情報の価値は、ますます高まっています。なんと言っても一次情報には説得力があります。

なぜならば、「なにを言うか」はもちろん大切なのですが、「誰が言うか」も同じくらい大切なのです。

留学したことがない人が留学の魅力を語るよりも、経験がある人が語ったほうが説得力がありますよね。自分はやらないのに「良い」と勧められても心が動きません。ネットや本で情報を得るのも、もちろん大切。

しかし、自分で行って、見て、聞いて、嗅いで、触れて、味わってと、五感全てから入力された情報が一次情報なわけですが、ただどこかから入手した情報を元に考えることと実際体験したことを元に考えることでは、深さが違います。

私の主戦場はグローバル教育ですから、海外を知らないのにグローバルを語ることはできません。

「イギリスとアメリカ、旅行するならどっちがいいですか」と言われたときに、そこに行った実体験があれば「私にしか話せない言葉」を使うことができます。

アメリカは広い、大きいというイメージがありますし、ネットやテレビでもそれを感じることができることはあります。しかし、実際現地に行って感じるその規模は、全く違ったものなのです。

イギリスと言えばイギリス英語と思うでしょう。しかしホテルや百貨店でも耳にするのは欧州各国を中心とした英語を母国語としない人たちの英語なのです。

こういうことは足を運んで、その場で感じて初めて手に入れられる情報なのです。100点満点の段取りなんて、そもそもありません。

しかし、情報をたくさん持っているかどうかが段取りに大きな影響を与えることは事実です。コツコツと積み上げる質の高い情報は、あなたならではの価値を生む上での、大きな資産となるのです。

Qualitybeforequantity量より質

16やることを二つに分類する

段取りを考える上で重要なのは、脳が最も活発な時間帯に最も集中力を必要とする仕事をすることです。

脳が疲れた状態のときに気合でなんとかしようと思っても、全然進まなかったり、クオリティが低いものができてしまったりするからです。

夜に眠い目をこすって頑張って仕上げた資料を翌朝見直ししたら、「全然ダメじゃんこれ。やり直さないと」となった経験がある人は少なくないでしょう。

ですから、高いパフォーマンスを発揮するためには、まずタスクを大きく二つに分類することが重要です。

それは、集中力が必要なタスクと、それほど必要でないタスクです。

例えば、重要な書類作りや、文章の作成、企画を考えることなどは集中力を要します。一方で、メールのチェックや電話をかけること、プリントやコピーをすることなどは、特に集中力を必要としませんよね。

私の場合で言うと、本の執筆をしたり、講演や仕事の資料を作成したりすることが多いのですが、まさにこれらは集中力を要します。

脳が働かない、集中できる環境がないときにいくら頑張ろうと思っても、手が進みません。

逆に簡単な書類の確認作業やメールの返信などは、それほど集中力がなくてもできますから、スキマ時間にでも十分できますし、集中力があまり保てない脳が疲れているときでも問題ありません。

段取りの悪い人は、まとまった時間が取れる時間帯に、スキマ時間でもなんとかなることに取り組んでしまって、集中力が必要な仕事にちゃんと時間を割けない、脳がもう疲れて働かない、という事態に陥ってしまいます。

せっかく脳がシャキッと働く時間帯で時間もしっかりあるのにメールの返信をせっせとこなして、「今日もメールの返信が多かったな。疲れたよ」となってしまう。

そして、「あぁ、でもあの会議の資料をまとめないと」となって、全然捗らないという状態に陥ってしまい、厄介なことに、仕事が進まないのは自分の能力に問題があるからだと思ってしまうのです。

何をやるか、ということも大事ですし、いつやるかということも同じく重要なのですが、それをないがしろにして自分を追い込んでしまっていては、自信を失いかねませんよね。

タスクをしっかりと分けて、それぞれいつやるのかを段取りしないと、このようなマイナスのスパイラルにはまってしまいます。ついでに言うと、これは何も仕事の話だけではありません。

キャリアアップのために英語や資格などの勉強に励んでいる人もいるでしょう。

例えば英単語を覚えるとき、単語帳を覚えるようなタスクの場合は、別に机に向かっていなければならないということはありませんよね。電車の中や、バスの中、テレビを見ながらでもできます。

一方で文章問題を解いたり、小論文やレポートを書いたりということはまとまった時間と集中力を要します。

まとまった時間を必要としないような作業系のタスクは細切れの時間を活用すればいいですが、まとまった時間で集中して取り組まなければならないものはそのための時間を確保して取り組まないと、非効率のスパイラルにはまって「ああダメだな」となってしまいます。

人間の脳は集中できる時間帯が1日の中で限られているので、その時間帯に集中力を要するタスクを入れていかないと、仕事や勉強は思うように進まず、無力感へとつながっていくのです。

まずは仕事でも勉強でも、タスクを思考系と作業系に分類しましょう。そしてそれぞれを「いつやるのか」ということをしっかりと考えましょう。あなたのポテンシャルを最大限に引き出す段取りは、そこから始まります。

Classifyタスクを分類する

17PDCAはとにかく回転率を高める

ビジネスパーソンであれば、PDCAという言葉を聞いたことがない人はいないのではないでしょうか。

Plan(目標設定と計画)、Do(実行)、Check(測定と評価)、Act(改善)、この四つの行動(PDCAサイクル)を繰り返し回すことによって、効率良く成果に至ることができると言われています。

ただ世界的に見ると、日本人は行動が遅く、その原因にPDCAがあるとも言われています。なぜならば、きちんとしたPlanがないとDoしないからです。

「Plan」、つまり行動する前に「いつまでに、何を、どれだけ、どうやってやるか」を明確にします。

このしっかりとしたPlanを作るために「ああでもない、こうでもない」とあれこれ時間をかけすぎて、Doまでの道のりが長くなってしまいます。

欧米の企業では、「やってみないとわからない」という考えが基準となっているので、見切り発車が当たり前のように行われています。

これは、チャップリンのこの名言に集約されているように感じます。

Imaginationmeansnothingwithoutdoing.(行動を伴わない想像力は、なんの意味も持たない)本書のテーマである「段取り」というのはPDCAでいうところのPにあたります。

しかし、Planで止まってしまったら、確かになんの成果も生みません。

ダイエットを例にとってみたらわかりやすいですが、ネットや本でいろんな方法を知り、緻密な計画を立てたとしても、実行しなければ痩せることは絶対にあり得ませんよね。

PDCAは大切ですが、「完璧なPlanはない」ということを常に念頭に置いておくことではないでしょうか。

「やってみなはれ。やらなわからしまへんで」とはサントリー創業者の鳥井信治郎が残した名言ですが、本当にやってみないとわからないことだらけです。

行動するために考えるより、考えるために行動することが大切です。

ですから、段取りをする上でも、長距離走をするイメージより、短距離走をたくさん繰り返すようなイメージがいいのではないかと思うのです。

そうすることで、PDCAの回転率を高めながらゴールまで向かうことができるようになります。行動をすることで何かしらの結果が返ってきます。うまくいく場合もあれば、うまくいかない場合もあるでしょう。

しかし、大事なのが次の「Check」。今進んでいる方向性がそれで大丈夫なのかを確認するために、極めて重要なステップです。

「この方向性で進めていって、本当に期限までに達成できるか」を途中で確認できるようにしておかないと、方向性がずれたまま進行してしまっていたら、あとで修正することが難しくなってしまいますし、期限までに間に合わない可能性も出てきます。

2カ月で5キロダイエットするぞ、と思っても、毎日体重を測らないと、今の方法で順調に痩せられるかを判断できませんよね。

効果測定をすることで、うまくいくやり方をさらに応用したり、ダメなやり方を改善することもできます。

ですから、できるだけこのチェックのプロセスには数字など具体的にわかる基準を取り入れましょう。

そのチェックを経て、今のやり方で目指す時期までに目標を達成することができるのかを現実的に考え、難しそうであれば「改善」をして、次のサイクルに入っていきます。

このように回転率を意識しながら「PDCAサイクル」を回すことを前提にして段取りを組めば、確実にゴールへの道のりを進むことができるようになります。

Followtherightpath方向性を確認しよう

18パターン化でメッシになる

世界一のサッカー選手だと言われるバルセロナで活躍するリオネル・メッシは、走らないことで有名です。1試合あたりの走行距離はトッププレーヤーの中でも平均値以下。それでも毎年世界トップのゴール数を記録しています。それも世界トップのリーグで、です。

それは、闇雲に90分間走り続けるだけではなく、勝負のポイントを見極めてダッシュして、高い技術や得点能力を発揮しているからなのです。

常にダッシュしているのではなく、力を抜いている。

しかし、勝負のポイントだと見極めた瞬間にダッシュして、持てる力を発揮するのです。ドリブルだってそうです。ずっと全力疾走でドリブルをしていたら、相手はそのスピードに慣れます。

ゆっくり走っていたのに、いきなりトップスピードにギアを入れるから、相手はついてこられないのです。

仕事で結果を出している人を思い浮かべると、同じことが言えますよね。

逆に頑張っているのに結果が出ていない人は、力の入れどころ・抜きどころを意識していないから、ここぞというときにジョギングしている感じになってしまっているわけです。

段取りにおいて大切なことは、力の入れどころと抜きどころを明確にすることです。全てに頑張る必要性はなく、むしろ手を抜いていいところは抜いたほうがいい。

その一つの方法としては、パターン化しておけるものはパターン化しておくことで、余分なエネルギーをそこに割く必要がなくなります。

その典型的なものがメールではないでしょうか。

スマホであれば、「おは」と入力したら候補のところに「おはよう」「おはようございます」というものが表示されるので、それを選択すれば入力がラクです。

この便利な機能を使わずに、毎回1文字1文字ずつ入力することには意味はありませんよね。

私は仕事柄、日本語だけでなく英語でもメールを書く機会がありますが、どちらの言語においてもメールで使う言葉というのはある程度パターン化できるのではないでしょうか。

「先日はありがとうございました」などの簡単な挨拶に始まって、用件を伝えて、締めの挨拶をして、それで終わりです。挨拶文や締めの文はたいてい決まっていますよね。

毎回入力するのは時間とエネルギーがもったいないですから、常套句をパソコンやスマートフォンのユーザー辞書に短文登録しています。

「め」と入力して変換するだけで、「いつもお世話になっております」「ご無沙汰しております」「お手数ですが、ご検討ください」「今後とも、よろしくお願いいたします」のような常套句が20ほど出てくるようになっているので、一発で入力できてしまいます。

メールのほとんどがハンバーガーのような構成ですから、バンズはパターンでこなして、メインパーツに力を入れる、ということはすぐにできるはずです。

英語も同じように登録しておくことで、素早く常套句を引っ張り出せるので、メールに割く時間を一気に短縮できてしまいます。

かつてはたくさんの常套句を短文登録していたのですが、使うものが結構限られるので、今は「えめ」と入力するだけで「Thankyousomuchfor」や「Haveaniceweekend」「Itwouldbegreatifyoucould」のような常套句がすっと出てきて、続きを考えるだけですみます。

マーケティングにおいて全体の2割である優良顧客が売上の8割を上げているという「パレートの法則」はビジネスではよく登場する言葉なので、今更説明する必要もないかと思いますが、ある仕事の成果を左右するポイントは全体の2割に過ぎないかもしれません。

そこにエネルギーの8割を割くことが大きな成果を上げるためには必要で、残りの8割はこれまでにこなしてきた仕事から抽出したパターンやテンプレートなどの型でこなすことができるのではないでしょうか。

段取りを組むときには、どこに最も自分のアイデアやエネルギーを費やす必要があるかを徹底して考えましょう。

そして力を抜いてパターンでこなせるものは、徹底してパターン化してしまいましょう。

Gaincontrol力の加減を

19ちょっと悲観的なプランをベースに考える

段取りが苦手な人の中にも、きっちりと段取りを考えている人がいることも事実です。

「まずはあれをいつまでに終わらせて、そして次にこれをいつまでに……」という具合に考えてはいるのですが、何か一つ思い通りに進まないと、そこでパニックになってしまうという人も少なくないのではないでしょうか。

問題は起こりうる問題を想定できていなかったこと、思い通りに進まないことを前提にしたプランを持っていなかったことでしょう。

サッカーや野球などのチームスポーツでは、ゲームプランというものがあります。

対戦相手を分析して、どんなメンバーを先発で出し、そこからどんな風に試合が進むかということを考えて、サブメンバーや試合の組み立てを決めます。

そしてその試合に向けてどんな練習をしたら効果的かを考えて準備を進めるのです。スポーツにおける試合に向けての段取り、というわけです。

果たしてゲームプラン通りに試合は進むでしょうか。もちろんそんなはずはありません。

相手はこんなメンバーで来るだろう、と思っていても、意表を突いたメンバーで来るかもしれませんし、試合開始早々に不運が重なって退場者が出てしまうかもしれません。

サッカーは刻々と状況が変わっていくスポーツですから、思い描いていたゲームプラン、つまりプランAがうまくいかなかったとき、ポジション変更や、選手交代というアクションを、いつどうやって実行するか、リアルタイムな対応が必要になります。

「すみません、電車が遅れてしまって……」と言いながら遅刻を繰り返している人は、それだけで段取りが悪い人だということが伝わってしまいます。

私は京都に住んでいますが、東京出張が少なくありません。1日の東京滞在で6、7件のアポが入ることもありますから、いろんなことを想定して計画を練ります。

基本的には、ちょっと悲観的に、A地点からB地点までの移動方法をいくつか調べておきます。

「メトロだったら15分で着くことができる。でも、もしメトロが止まったとして、タクシーだと30分かかる。だから、アポとアポの間は最低でも45分は空けておかないと」という風な計算ができます。

何もトラブルなくスムーズに進んだときは、空いた時間はカフェでメールの返信をする、などと決めておけばいいですよね。

アポは相手の都合もありますから、どうしてもびっしりとしか予定が組めないときもあります。

そのときは事前に相手に「一つ前のアポが有楽町であり、14時終了予定ですが、飯田橋に14:30だと電車の遅れなどがあれば少し遅れが出る可能性があります」ということを伝えた上で、アポを取る。

そうすると相手のほうから「では有楽町まで行きますよ」となるかもしれませんし、実際に遅れが出たとしてもちゃんとそう伝えてあるので不快に思われることもありません。

このときに全く何も事前に考えていなかったらどうなるでしょうか。

「自分の責任じゃないから仕方ないよ」、と放り出すこともできますし、確かにそう感じる気持ちもよく分かりますが、「自分にできることを考える」のができるビジネスパーソンですし、いい仕事をするためのアポですから、その機会を逃してしまうのはもったいない話です。

だから私は、まず全てが順調にいった場合の段取りを組んで、ちょっと悲観的な段取りを考えます。そうしておくことで、何かが起こったときにも冷静に対応ができます。

実際には事故渋滞に急に巻き込まれるリスクなど、あれこれ考え始めたらきりがないとは思いますが、25%くらいの確率で起こりうることはひとまず想定して、段取りを組むといいでしょう。

それ以下の確率のことをあれこれ考えすぎても、段取りに無駄が増えてしまう可能性があります。

ちょっと悲観的なプランをベースに、うまくいったときのプランと、それでもダメだったらという結構悲観的なプランも一応念頭に置いておくと、状況に合わせて柔軟に動きやすくなります。

Becautious慎重であれ

20リソースを把握して、活用する

段取りとは、目指すべきゴールを決めて、そこに自力で懸命に突き進むことではありません。そこに向かっていくために、どういうリソースを活用するかということをまずは把握しなければなりません。

例えば、京都から東京へ向かうならば、車で行くのか、新幹線なのか、それとも夜行バスなのか。いろんな選択肢がありますよね。どれがベストであるということはありません。

途中でいろいろなところに立ち寄りたいのであれば車が便利かもしれませんが、自分で運転するとなると疲労は考慮しなければなりません。

新幹線ならば、ゆったり座って車内で仕事をしながら速く移動できますが、費用が高くつきます。

夜行バスならば、新幹線が台風の影響で動かないときでも走っていることも多いし低価格ですが、翌朝は少ししんどいかもしれない。

このように、一つのゴールを達成するための手段というのは様々です。

そこで、いい段取りをするためにはリソース、つまりどんな資源が手元にあるか、どんな資源を活用すれば効果的かを判断することが大切なのです。

そのために把握すべきものは次の五つです。ヒト(H)、モノ(M)、カネ(F)、情報(I)、時間(T)です。HMFITです。

これらの資源を整理してその組み合わせを考えることも、段取りです。

ヒトに関しては、上司にアドバイスをもらったり、同僚や部下に仕事を任せたりすることで、自分が最も力を発揮できるところで仕事をすることができます。

段取り上手は、ヒトを巻き込むことがうまい。モノに関しては、今手元にどういう物的資源があるのか、それを使って何かできるのか、それとも調達しなければいけないのかを考えることですね。

煮物を作ろうと思ったら料理酒が切れていた……。スーパーに買いに行くのか、それとも本みりんがあるからそれで代用するのか。このようなことですね。

カネは言うまでもなく、どこまでお金をかけられるのかによってできることも変わってきます。

潤沢な予算があれば大胆なことができるかもしれませんが、限られた予算でとなれば、どうすればいいか創意工夫することを優先しなければなりません。

外部から調達することも一つの手段ですね。

情報は、自社にその技術やノウハウがあるのかないのか、ターゲットとなる顧客情報はどうか。

それによって自社で全てやるのか、それとも他社とアライアンスを組んだほうが早く目標を達成できるのかを考えなければなりません。

そして時間です。仕事はなんと言ってもタイムフレームがありますから、それを無視することはできません。どれだけの時間があるのか。

そしてその時間内でなににどの程度の時間をかけられるのかを整理しないと、締め切りまでに間に合わないですよね。だから時間を整理しなければならないのです。

常にタイムフレームを意識しておかないと、いい段取りはできません。その仕事のゴールが決まったら、そこまでの道のりを明確にします。ルートがいくつもあるならば、それらを全て書き出しましょう。

そして、これらの五つの資源の状態はどのようになっているのかを整理しましょう。何が手元にあって、何が足りないのか。

足りないものは社内で用意できるものなのか、それとも外部から調達するのか。全て書き出してみましょう。

そして、どうすれば最もスムーズに進めることができ、お客様や取引先にとってベストな仕事をすることができるのか、その組み合わせを考えましょう。

Effectivelyutilizeresources資源の活用

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