第2章本当にしなければならないのは2割──優先順位と取捨選択
21仕事の全体感を持つ木を見て森を見る22リスト化するメリット仕事を見える化する23コップは大きくならない取捨選択の蛇口をひねろ24優先順位づけを習慣にする法習慣化の〝三つのメリット〟25本当にしなければならないのは何か20:80の法則26緊急度に追われすぎないもしかして、期限敏感症候群?27重要って何が重要?自分の大事ベスト3を見つけよう28頑張りどころはどこか?「頑張らなくても結果が出る」が一番29あなたの時間は無限じゃない期限を決めたほうがうまくいく理由
第2章本当にしなければならないのは2割──優先順位と取捨選択
21仕事の全体感を持つ緑川君、資格試験に挑戦する今日は緑川君の資格試験日。
この資格は社内での昇格試験に相当するもので年に1回行われている。
ライバルの青柳君も一つ向こうのテーブルにさわやかに座っている。
今日の緑川君は燃えている。
さらにライバルの姿を見て闘志を燃やしている。
この日のために緑川君は多大な時間とパワーを費やして勉強してきたのだ。
試験官が告げる。
「では試験時間は60分です。
10分前にお知らせしますので頑張ってください」緑川君は開始の合図とともに問題を開き、心の中でガッツポーズをした。
勉強したところがドンピシャで設問になっている。
しかも選択肢式だ。
これならサクサク進めることができる。
慎重に慎重を重ねて、回答を書いていく。
いまのところパーフェクトだ。
「残り10分です」緑川君は最後のページを残すだけで余裕の表情だ。
青柳君はいつもより焦っているようだ。
最後のページを見て緑川君は唖然とした。
最後の設問「以下のケースからあなたが考える対応策を400文字以内で回答せよ」「え……うそ……」しかも配点は100点中50点になっている。
慌ててケースを読むが頭に入らない。
そして試験官の声が聞こえた。
「では時間終了です。
解答用紙を前に回してください」緑川君は茫然と試験会場を後にした。
木を見て森を見る右の見出しを見て、あれ間違い?と感じられた方もいらっしゃるでしょう。
確かに一般的には「木を見て森を見ず」という言い方をします。
でもダンドリの世界では「木を見て森を見る」なのです。
この言葉の意味は、部分的なところを大事にしつつ、全体を気にする、ということです。
仕事をサクサク進めるには個々の仕事を片づけつつ、全体がどうなっているかを常に考えなければなりません。
この全体を気にするということを「全体感を持つ」といいます。
なぜなら全体感がないと、優先順位もつけられませんし、この先に起きるリスクも考えることができないからです。
ではこれから皆さんに、ある計算問題に挑戦をしていただきます。
次の問題を1分で暗算で行ってください。
あなたが回答した数字が大きければ大きいほどよい結果です。
いかがでしたでしょうか。
気づかれているかもしれませんが、実は最後の三つの設問を答えればハイスコアが出ます。
簡単なものから答えたり、最初から順番に答えているとスコアが高くなりません。
ここでお伝えしたかったのは、サクサク仕事を進めるためには、まず全体がどうなっているかを気にしていただきたいということです。
私たちは、多くの仕事を抱えたり、時間が足りなくなったりすると、視野が狭くなる傾向があります。
いわゆる目の前しか見えなくなる状態です。
こうなってしまうと、最初はサクサク仕事を進めていたとしても、すぐに時間に追われて、バタバタしだし、嫌な汗がダラダラ出だすわけです。
だからこそ、サクサク仕事を進めるには常に全体を気にすることです。
いまの作業が全体の中でどのような位置づけなのかを知ることなのです。
私自身も、原稿を書いているときは、どうしても集中して視野が狭くなってしまいます。
そのようなときはチェックリストを使います。
視野が狭くなっているかどうかを測るチェックリストです。
□いま書いている文章は何章の何項か理解している□この本のタイトルを覚えている□この本の目的やコンセプトを理解しているこれが頭にすぐ浮かんでこないときにはいったん休止して、頭の再起動をします。
そうしないと、本のコンセプトからずれたり、同じ内容を再度書いてしまうことになり、結局書き直しに労力を使ってしまうようなことになります。
そもそもそうならないように私は最近書き方を変えています。
まず各項を粗くサクサク書いて、そのあとにやすりをかけるように丁寧に書き直していきます。
このスタイルは仕事にも応用しています。
例えばパワーポイントをつくるにあたり、まずは下書きでスライドごとに要点を書き込んで、そこから加筆したり、見やすくレイアウトしたり、加工します。
そうすると、全体感を持った仕事ができるのです。
まとめますと、忙しいときにこそ全体を確認し工程を進めることが、一番サクサクと仕事を進めるコツなのです。
結果を出す人へのステップ4「仕事サクサク」の基本は全体感
22リスト化するメリット多忙なのか?緑川君課長が緑川君に催促した。
「おい、緑川、先月の白鷹商事のイベント結果の報告はいつできるんだ」「はい、いまちょっと立て込んでいまして、来月には」「来月……まあ、いい。
じゃあ、頼んでいた商品別の分析結果はできているんだろうな」「ですから、いま立て込んでいまして、急ぎでやりますが」課長の顔が曇ってきた。
「何が立て込んでいるんだ。
……まさかと思うが、杉の子物産への提案書は送っていないということはないよな」「恐れながら、いま緊急の案件が多くて、落ち着いたら送ります」「いい加減にしろ。
いったいなんの仕事が溜まっているんだ」「えっと、いまおっしゃった3件の仕事と、ああ、そうだった、大塚不動産の請求書を本日作成します。
それから、総務部から先日の九州出張の……」「緑川……お前、自分が何をしなければならないかわかっているか」「はい、仕事がありすぎてはっきりとわかりません。
わかっていることは多忙であるということでして……」「そんなことだから、いつも〝忙しい〟と走り回っているんだろう。
もういい、別の人間に頼む。
おい、青柳……」「あ、あれ課長……怒ってらっしゃいます?まいったな」仕事を見える化する見えないものを図や表で表現し、目で確認できるようにすることを「見える化」といいます。
普段は見えないものを見えるようにするだけで、画期的な変化をもたらすことがあります。
見える化の発祥はあのトヨタ自動車といわれています。
生産ラインで異常を知らせるランプを設置し、その色によってどんな異常が起きているのかみんながわかるという手法でした。
見える化はいろんな状況で取り入れられていますが、仕事の進め方や時間の使い方に活用するととても効果的です。
例えば仕事の全体量や時間などは目に見えないので、仕事の一覧化や手帳などによる時間管理で見える化すると、いくつかの気づきを得ることができます。
気づきの一つとして何が問題かを明確にとらえることができます。
見える化しないと「最近営業成績がふるわないなあ」と反省や自省で終わりますが、見える化すると、成績がよい時期と比較をして「アポの回数が少ない」だとか、「効率的に営業できていない」などと、問題が何か明確化します。
また、チェックリストをつくることで仕事の進め方を見える化し、事前にミスを減らすこともできます。
「取引先に確認メールを送ったか」「請求書は発行したか」などのチェックをすることでミスを減らすことにもなるし、仕事の進捗も確認できます。
何より頭の整理ができるのが見える化のメリットです。
仕事に追われていると、まるで水に溺れているように目の前のことに必死になります。
ともかく一つでも仕事を終わらせようと本人は頑張るのですが、冷静に見ると、いま手をつけなくてもいいことをやっていることもあるのです。
ですからまずやらなければならないことを一覧化するだけでも、頭の整理ができてベストな方法を見つけることができるのです。
一覧化などというと難しく思うかもしれませんが、私はただやるべきことを並べて書くだけでいいと思います。
難しい方法を選ぶと長続きしませんし、一覧化することに時間をかけすぎるのもどうかと思うからです。
押さえるべきはどのような仕事があるかが見えればそれでいいのです。
実際に私がやっている方法もシンプルです。
手帳の右側にタスクを書き、緊急度と重要度のマトリクス(詳しくは後掲の図参照)に落とし込み、やった仕事を評価してABCランクを書き込む。
Aはよい結果Bは基準は一応満たした評価、Cは改善必要というランクでつけています。
一覧化はこれだけです。
あなたも頭の中でブラックボックス化しているタスクややるべきことをまずは書き出してみましょう。
それだけでも最大のメリットである〝順番をつけることができる〟を体感できるでしょう。
結果を出す人へのステップ5頭のブラックボックスの中からやるべきことを取り出し、見える化する
23コップは大きくならない緑川君の夕暮れ「緑川さん、忙しそうね」同僚の藍川さんが声をかける。
「ああ、今日ね、見積もりの依頼が3件あってね。
……あ、どうかした?」「来週、取引先に行くんだけど、以前緑川さんがつくってた提案書を参考にさせてもらいたいなって」「え……あ、わかった。
探してみるね」「ごめんね。
忙しいのに」「大丈夫だよ。
気合だよ」「おい緑川」次は課長が声をかける。
「いま、来月の見込みを計算しているところだ。
君の予測を聞きたいのだが」「え……わかりました。
今日中に出します」「悪いがよろしく」「先輩、助けてください」後輩の黒山君が声をかけてきた。
「ネットがつながらなくなっちゃいました」「え……それは大変だな」「先輩、なんとかできますか」「え……わかった、じゃあ、少しパソコン預かるね」「わあ、ありがとうございます」いろんなこと受けちゃったけど頑張ればなんとかなるね、と緑川君が気合を入れていたら、社内アナウンスが流れた。
「あと1時間で終業時間です。
今日はノー残業デーにつき、1時間後にすべての電源を遮断します。
皆さんご協力よろしくお願いします」緑川君はその放送を聞いて一瞬固まったが、腕まくりをして仕事に取りかかった。
取捨選択の蛇口をひねろ段取りができない人はいつもバタバタしています。
このバタバタという状態は言い換えると、持っている時間より処理するべき仕事が多い状態を表しています。
先ほどお伝えした一覧化で仕事の量を確認した結果、「やることがこんなにあるのか」と思われた方も多いでしょう。
パソコンで例えれば、メモリーの使用量が残り数%になって固まりかけている状態ですね。
パソコンだとメモリーを増やしたり、さらにハイスペックな装備にすれば解消できますが、人間だとそうはいきません。
時間は限られていますし、一人で処理できる仕事量も限られているからです。
ですから私たちがやるべきことは、どうやって多くの仕事をさばくかを考えるのではなく、どの仕事をやるべきで、どの仕事をやらないべきかということなのです。
先ほど申し上げたバタバタ状態は持っている時間より処理すべき事柄が多い状態です。
次のようなイメージをしてください。
蛇口から水が出て、コップに注がれています。
コップはいっぱいになり、ふちから水があふれています。
多くの人はこの状態で二つの行動を取ります。
一つは蛇口を閉めて水を止める、もう一つは大きな器に入れ替えるの二つです。
あなたはどちらの方法を選ぶでしょうか?きっと多くの方が蛇口を閉めるとお答えになると思います。
なぜなら大きな器に入れ替えても蛇口を閉めない限り水が出続けて、いつか新しい器もいっぱいになってしまうからです。
しかし、この状態を職場に置き換えると私たちは逆のことをしています。
蛇口から出る水が仕事、受けるコップが私たちの時間ととらえたときに、私たちは蛇口をひねることはせず、自分のコップを大きくしようと残業をしたり、休みの日に仕事をするのです。
ただ私たちの時間は有限ですのでコップを大きくするにも限界があります。
バタバタ状態とはコップから水がこぼれて、こぼれた水を拭き取るのが精いっぱいで、コップの中に何が入っているかもわからなくなっている状態を指します。
ですからバタバタ状態を抜け出すには、蛇口をひねって、水を止める必要があるわけです。
このバタバタ状態を解消しないと段取りを考える余裕も生まれません。
だからこそ、入ってきたものをいかに処理するかを考えるのではなく、蛇口をひねって、せめて水の流れを細くする、つまり取捨選択することが大事なのです。
仕事の取捨選択とは、頑張ってやろうとするのではなく、その仕事を受けるべきか、または本当にしなければならないのかを考えることです。
蛇口を完全に閉めることはできないにしても、少し水の量を調節するところから始めましょう。
結果を出す人へのステップ6バタバタ状態を解消するには、仕事の蛇口を閉めること
24優先順位づけを習慣にする法全力投球緑川君会議が終わり、緑川君は後輩の黒山君と片づけをしていた。
黒山君は椅子と机を片づけ終わり、緑川君に声をかけた。
「先輩、あと何をすればいいですか?」「何って、もう終わったの?きちんと机は水拭きした?」「え?そこまでしなくてもいいんじゃないですか?」「ダメだよ。
仕事は手を抜いちゃ。
どんな仕事も全力投球」黒山君はしぶしぶ机を拭きだした。
「先輩、ホワイトボードで何をしているんですか」「何って、ほら、ここに薄く跡が残っているだろう」黒山君がのぞき込む。
「どれっすか……僕には見えないですけど」「ダメだよ。
ほら、ここだよ。
これってね、次に使う人が困るし、情報漏洩の可能性があるから完全に消さなきゃ」「そこまでしなくてもいいんじゃ」「ダメだよ。
どんな仕事にも全力投球」「先輩、全力投球がモットーですか」「そうだよ。
新入社員のころに習わなかったかい。
どんな仕事も全力投球、手抜きはするな、って」緑川君はホワイトボードを磨きながら言った。
習慣化の〝三つのメリット〟いままですべてのことに全力投球してきた方にとって、取捨選択や優先順位設定などは、頭でわかったとしても実践は難しいと感じられるでしょう。
なぜなら仕事を断るのは心苦しいもので、受けたほうがラクです。
また、頑張り屋さんにとっては仕事で手を抜くという罪悪感もあることでしょう。
私自身もインバスケットに出会う前のダイエー勤務時代は、「すべて完璧」をモットーに仕事をしていました。
朝から晩まで、休みの日も職場に行き、自分の担当の仕事の完璧を目指していました。
当然バタバタ状態が続き、ミスがミスを生むような悪循環に陥っていったわけです。
インバスケットも同じで、限られた時間の中ですべての案件を完璧に処理するにはどうするか?というテーマが私のインバスケット研究の第一歩でした。
研究を進めるうちに、あるとき、気づきました。
「ひょっとしてすべての仕事を完全にこなすことは不可能じゃないか」そこでやるべきことの順番をつけることを始めたのです。
でもなかなか優先順位づけは定着しません。
そのようなときに次のようなメリットを強く意識することで、徐々に順番をつけることができるようになりました。
あなたも優先順位をつけるには、これからお伝えする三つのメリットを意識してみてはどうでしょうか?1.時間的余裕が生まれる無駄なことを取り除くので物理的に時間が生まれます。
この時間的な余裕はとても大事です。
飛行機に乗る際に時間ぎりぎりで飛行機に乗り込むのか、空港でコーヒーを飲んでから乗るのか。
私自身は搭乗前に自分のやりたいことができる遊びの時間を楽しんでいます。
2.精神的余裕が生まれるリスト化や取捨選択によって、「何かわからないがやることがたくさんある」という状態から脱却できます。
精神的な余裕がなくなると、同僚や部下に挨拶をされても、パソコンを触りながら返事したり、相手の話が終わらないうちに自分の言いたいことをかぶせてしまうなんてことがよくあります。
すべては仕事に追われている状態、つまり精神的余裕に起因しているのです。
3.計画的余裕が生まれる
優先順位をつけることにより、ぎちぎちの計画にならなくなります。
その結果、起こった緊急案件にもすぐに対応したり、計画が組み替えやすくなります。
これらの「三つの余裕」は仕事の質を高める効果をもたらします。
また余裕があるから仕事の先回りである段取りを考えることができるわけです。
ぜひメリットを意識して優先順位をつけてみてください。
結果を出す人へのステップ7優先順位設定は三つの余裕を生み出す
25本当にしなければならないのは何か緑川君のメール処理能力緑川君は時計を見た。
「おい、黒山。
会議の時間だぞ」後輩の黒山君は資料をそろえながら、慌てて席を立つ。
「さっき、商談から戻ってきたばかりで、メールもチェックしていないんですよ」「僕もそうだよ。
あとは会議のあとに処理しよう」立ち上がった二人がデスクに椅子を入れたとき、前の席の茶山さんが声をかけた。
「緑川さん。
大井川産業さんから電話です」「あ、いまから会議って言っておいて」「でも、なんだか怒っていますよ。
昨日送ったメールの返信がまだ来ていないって」「え……昨日」緑川君はパソコンを操作しながら、「あ、え……発注した商品と違う……次のページで見えなかった」「どうします。
これ以上待たせると」「どうするって……えっと……どうしよう」「とりあえず代わりますね……あれ、切れている」緑川君は両手で目を覆った。
20:80の法則パレートの法則をご存じでしょうか?イタリアの経済学者のヴィルフレド・パレートが提唱した経験則です。
「社会の8割の所得は、上位2割の富裕層によって得られている」この法則はビジネスの世界でも用いられています。
私自身もこの法則を知って大きく人生が変わりました。
先ほど申し上げたように、すべてが大事であるという考えを覆したのがこの法則だったのです。
段取りにおいてもこの法則があてはまります。
完全な準備をしようとして準備が間に合わないよりも、重要な2割を押さえていれば8割段取りが終わったといえるわけです。
つまり重要なのはすべてではないということなのです。
しかし、私たちはできるだけ仕事の数を減らそうと、簡単なものから処理したり、目の前のものから処理したりしてしまいます。
でも、8割の仕事が減ったとしても、重要な2割が処理されていないと、仕事のほとんどはできていないことになってしまうわけです。
優先順位をつけて仕事をサクサク進めたいと思うのであれば、大事なものとそうでないものを区別する必要があります。
とはいえ、私たちはもともとすべてを大事と考えていたので、なかなか分けることができないでしょう。
そんなときに、半ば強制的に、大事な2割とそうでない8割を分けることで、取捨選択ができるのです。
もちろん、最初から8割を捨てろというつもりはありません。
30:70でも結構です。
50:50でもいいです。
ともかく捨てる基準値をつくることが必要なのです。
そうすると不思議に、いままでよりも力をかけずに仕事がサクサク進みだします。
基準値のつくり方はのちほどご説明します。
結果を出す人へのステップ8すべてが大事ではない。
大事なのは20%
26緊急度に追われすぎない緑川君、逃した魚は大きい課長が緑川君に声をかけた。
「あの日本物産との取引はどうなった」「え……あ、まだ何も」「おい、あそことの取引が始まれば大きい売り上げが期待できるじゃないか。
どうして放置している」「言い訳になるかもしれませんが、『急ぎではない』と言われていたので、期限が迫った見積もりから作成していました」「それは言い訳にもならないな。
すぐに見積もりをつくり送りなさい」課長の指示に緑川君はしぶしぶ従った。
すると日本物産から返信が来た。
「残念ながらすでに見積もりを出していただいた他社に決めることになりました。
また機会がありましたら、よろしくお願いします」緑川君は深いため息をついた。
もしかして、期限敏感症候群?私たちは期限に対して敏感です。
期限が迫っている仕事があると、たとえもっと重要なことが別にあるとわかっていたとしてもそれは後回しにして、とりあえず期限優先でやっつける人が多いでしょう。
もちろん期限を守ることは大事です。
特に相手がいるときに、相手に迷惑をかけることがあっては信頼を失います。
しかしあえて私はもう少しルーズになることを勧めます。
なぜなら期限が最優先にされると大事なものを見失うからです。
私も作家である以上、原稿を書き上げる期限を設けられています。
編集者との信頼関係を守るためにはこの締め切りは守らなくてはなりません。
しかし、それ以上に大事なのは、読者を裏切らないことです。
例えば事実ではないことを書いて読者にうそをついたり、期限を守ることを優先してほかの作家の作品から文章をそのまま盗作するなどはあってはいけません。
私が行っている研修でも「期限が第一」という受講者が山ほどいらっしゃいます。
通常優先順位をつける際には「緊急度」と「重要度」を考慮しなければなりませんが、緊急度が高いものを重要と考える、いわゆる「期限軸」で順番をつける方が多いのです。
それは「5分前集合」のように時間を厳守する教育が重視されてきた結果です。
実はビジネスでは期限をやぶってでもやらなければならないこともあるのです。
だからこそ少し緊急度に鈍感になる必要があります。
期限に追われると、仕事が期限重視となり、本当はしなければならない重要なことができなくなります。
あるレストランでは一気にオーダーが上がってきたときに、オーダーの順番で出すべきでしょうが、子供の料理を優先して出していました。
子供がぐずると周りのお客様にも迷惑がかかるということで、順番を変えたのでしょう。
このように期限に縛られない優先順位をつけてもらいたいものですね。
結果を出す人へのステップ9優先順位は期限だけで決めない。
むしろ重要性の比率を上げるといい
27重要って何が重要?緑川君のブログこんばんは。
みどりんです。
今日もなんとか生き抜いているようです。
我ながら今日も凄まじい一日を過ごしました。
私はいわゆる営業職なのですが、お客さんからの値引き要望を上司に持っていくと、利益はどうするのかって怒られて、なんとか承諾をもらって在庫確認をすると、まさかの在庫切れ。
配送からは処分に困っている商品をなんとか売ってもらえないかと言われ、……永遠の輪廻です。
私のライバルにこんな質問をしてみました。
「営業で一番大事なことは?」そしたら、そしたらなんて答えたと思いますか?彼の答えは、「スマイル」だそうです。
なんて奴だ。
自分の大事ベスト3を見つけよう仕事をサクサク進めるには、取捨選択だと申し上げました。
頭で納得しても、これを実行できる方は少ないのではないでしょうか。
なぜなら、取捨選択、つまり何かを選んで、何かを選ばないという判断は非常に難しいからです。
私自身も整理が苦手で、特に何かを捨てるという判断が大の苦手でした。
しかしあるものを見つけてから取捨選択ができるようになりました。
いまでは社内で「社長はなんでも捨てるから気をつけろ」とも言われているほどです。
そのあるものとは「自分軸」です。
自分軸とは自分が大事にする揺らぎない基準を差します。
例えば転勤などで部屋を選ぶとしましょう。
不動産屋さんからどのような部屋をお探しですか?と聞かれたとき、あなたはどう答えますか?間取りでしょうか?それとも家賃でしょうか?職場からの距離……。
部屋を選ぶ際にはいくつかの要素がありますが、すべてを兼ね備えた物件はなかなかありません。
ですからあなたは何が一番譲れないかを伝えて部屋を探すでしょう。
これが自分軸です。
仕事でこの自分軸をつくるとよいことは三つあります。
一つは物事の順番や取捨選択ができることです。
実は順番をつけることができないのは自分軸がないからです。
例えば、顧客満足を第一に考えるのであれば、時には上司の指示を後回しにすることもためらわずにできるようになります。
二つ目は判断が早くなることです。
自分軸をつくるとそれに沿って決めることになりますので、判断に苦しむことがなくなります。
服を買いに行ったとしましょう。
店員さんからいろいろ試着を勧められても、予算を明確に決めていれば、すぐに断ることができます。
予算が明確でないとついつい勧められる服にそでを通すということになるのです。
最後はコンセプトができるということです。
コンセプトとはあなた自身が大事にしていることが周りにもよくわかるということです。
例えば、日本料理の板前さんなら「素材を生かす」のか、「季節」なのか、中には「器」を大事にするお店もあります。
この大事にするものが
コンセプトとなり、お客さんもそれを楽しみに来るわけです。
コンセプトが明確になると、周りの人から見ても「ああ、この人は部下を大事にする人だ」だとか「目標を絶対達成することに大事を置いている」とわかります。
つまりブレない人と思われるのです。
ブレない人には、部下もついてきやすくなります。
自分軸をどうしても一つに絞れないという方もいらっしゃるでしょう。
そのような方には、「大事ベスト3」をお勧めします。
大事ベスト3とは、自分が大事だと思うことを3つに絞り、その中にも1位から3位の順位をつけることです。
例えば先にお話しした部屋選びであれば、「家賃」「陽当たり」「部屋の間取り」の譲れない要素を三つ選んだとします。
その中で1位「家賃」、2位「陽当たり」、3位「部屋の間取り」などと順番をつけるのです。
そうするといい物件が2軒あり、どちらにしようか迷っていても決めやすくなります。
「家賃」は両方とも許容範囲、A物件は間取りはいいけれど陽当たりがBに比べて悪い。
などとするとB物件を選ぶことができます。
論理的な決め方が好ましい方は、点数をつけて決めてもいいでしょう。
1位は50点、2位は30点、3位は20点というふうにです。
段取りの秘訣は「決めること」です。
何をしないのかを決め、順番を決め、時には省くものも決めなければなりません。
そのためには、大事ベスト3をつけておくと順番をつけるだけではなく、判断のよりどころになるので便利なのです。
結果を出す人へのステップ10大事ベスト3を決めておくと取捨選択しやすい
28頑張りどころはどこか?緑川君の張り切る一日「おい、緑川、今年の新商品発表会にお呼びするお客様へのご案内は終わったのか」課長がデスクにいる緑川君に声をかけた。
「はい、いま準備を進めています」緑川君の答えに課長は顔を曇らせた。
「緑川、準備って……新商品発表会は来月だぞ。
遅くても先週末には送っておくべきだろう」「課長のおっしゃることはもちろんです。
ただ、どなたをお呼びするかリスト化に時間がかかりまして」「顧客管理システムですぐにリストができるだろう」「はい、ただ、全員にお送りして全員がお越しになると十分対応ができない可能性がありますので、リストから顧客の属性を考えてABCのランクに分けました」「うむ、それで」「Aランクのお客様の中でもすでに取引が終了してしまっている会社や、ご担当が変わられている可能性がある会社があるので、最新なのか、いただいた名刺と照合しています」「何?……いつもメンテしていればそんなこといましなくても……」「もちろんメンテはしているつもりですが、万が一間違いがあっては信用失墜につながります。
なんせAランクのお客様ですから」「……まあいい、それで」「次にBランクのお客様ですが、これが全体の7割を占めており、これでは困るので、Bランクの中にも5段階を……」課長はあきれながら言った。
「あのなあ、この仕事は何が大事なのかわかるか?お客様に早くお知らせして予定を確保してもらうことだろう」「いえ。
それよりまずは完璧なリストをつくることです。
そこからすべては始まります」「……わかった。
君にはもう頼まない」「え……どうしてですか。
僕はこんなに頑張っているのに」「頑張らなくても結果が出る」が一番仕事をサクサク進めるには、頑張りどころを考えることです。
ついすべての仕事に対して全力投球してしまう方がいますが、それでいいのは新入社員の1年間くらいで、自分で仕事の計画が立てられるようになると、次のステップである「頑張りどころはどこか?」を考えなければなならないのです。
頑張っている人はよかれと思って全力を出しています。
もちろんそれを否定するつもりはありません。
ただ、頑張りどころが違うと結果が出ないばかりか、逆効果になってしまうことがあります。
例えば、管理職になりたての課長がいるとします。
彼は現場で優秀な成績を上げてきました。
課長になってもさらに頑張り営業成績を伸ばしました。
しかし、ある日上司である部長から「君は管理職として評価できない」とフィードバックを受けました。
なりたての課長は納得がいきません。
なぜなら頑張って成績を上げたのに評価されてないからです。
皆さんはこの頑張りをどう評価しますか?実は頑張ればいいわけでも、結果が出ればいいわけでもありません。
管理職は自分が頑張って結果を出せばいいのではなく、メンバーの力を使って目標達成したり、組織を安定的に運営しなければならないのです。
部長の目から見ると、「頑張りどころが違う」ということになります。
私自身も研修や講演で頑張りどころを決めています。
最初の10分とフィードバック、最後の締めです。
もちろんほかの手を抜いているわけではありませんが、頑張りすぎると聞いているほうも疲れますし、本来伝えなければならないところが伝わらなくなるのです。
楽曲と同じようにサビもあれば、イントロもあるわけです。
中長期的な話をすると、結果を出していくうえで頑張らなければならないのは、いかに自分が頑張らなくていいようにするかという点です。
段取りはその典型ですが、部下に仕事を任せるために教育したり、仕組みをつくったり、システムを導入したりするなど、自分が頑張らなくても結果が安定的に出せるようにする部分を頑張らなくてはならないわけです。
ですから、第1章でもふれましたが、ぜひキーワードとして覚えていてほしいのは、「頑張らないように頑張る」なのです。
結果を出す人へのステップ11頑張りにも優先順位をつける
29あなたの時間は無限じゃない緑川君、新入社員教育係になる「緑川さん、今日は新入社員の教育係ですよね。
頑張ってください」同僚の藍川さんに激励され、顔を紅潮させて会議室に向かう緑川君。
「僕が教官の緑川です。
今日は会議の準備をするときの心得を教えます。
しっかり学ぶように」緑川君が言うと、新入社員は全員「はい」と答えた。
「今日は会議の準備の掟を1時間で10個伝えます。
真剣に聞いてください」新入社員は全員「はい」と言い、緑川君はレジメの1ページから教えだした。
「まず、10個の掟の前に、会議とは何かについて考えましょう。
会議とはとても重要です。
会議は会社の決定事項を決めるだけではなく、みんなの意識の統一や当事者意識を上げるために行われるからです。
会議の種類もいくつかあって……」緑川君は興奮気味にホワイトボードに書きだした。
30分経過……。
「では会議の大事さは理解できたと思うので、早速掟1から教えます」「掟1、会議の内容の確認です。
これを確認しておかないと何をどのように準備するかわからなくなります。
まず、出席者名簿を手に入れます。
これで人数と役職が誰なのかわかります。
人数の多さによって会議室を……」45分経過……。
「では掟2、会議室の確保。
当社には会議室が6個あります。
それぞれ大きさと設備が異なり……」60分経過……。
「では掟3……」「先生、私たち次の講義に行かなくてはならないのですが……」「え……でもまだ7個あるんだけど……どうしよう」「どうしようといわれても」緑川君は決心した。
「よしわかった。
あとはレジメに書いてあるので各自学習すること」期限を決めたほうがうまくいく理由私たちは常に期限に追われています。
納期、会議時間、飛行機の搭乗時間などです。
この期限がないとどれだけ自由なのか実験をしたことがあります。
作家には締め切りという期限があります。
締め切り前には、まだ期限になっていないのに「大丈夫でしょうね」とアラートのようにメールを送ってくる編集者もいるほど締め切りは重要視されています。
私は2カ月に1冊ペースで本を刊行しています。
しかも原稿はライターさんにお願いせずに自分ですべて書いています。
ですからある意味毎日が締め切りとの闘いのような気持ちです。
あるときにひらめいたのは、企画が決まり、締め切りが設定されてから書きだすのでなく、あらかじめ原稿を書いておいてそれが完成したら編集者に渡すという方法です。
こうすれば締め切りに追われることはなく、もっといい原稿が書ける。
そう思ったわけです。
結果、大失敗しました。
この原稿は、いまの時点でもまだ書き終わっていません。
時間をかけても、いい原稿にならないばかりか、逆に文字数だけが多くなり、わかりづらくなってしまい、どう書き直そうかと思ったまま、お蔵入りになっています。
仕事も同じで、時間をかければいいものができるわけでも、結果が出るわけでもありません。
逆に期限を決めることで中身のある仕事ができ、
時間もパワーも配分を考えるので効率的な仕事ができるわけです。
期限を決めれば仕事がサクサク進むのは、期限から逆算して計画を組むからです。
逆算することで、計画がより組みやすくなり、仕事がサクサク進むわけです。
ですから、つまりどんな仕事にも期限をつける。
段取り上手な方はどんな仕事にも期限を決めています。
結果を出す人へのステップ12どんな仕事にも期限をつけることを習慣化する
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